JP2006199208A - 液圧ブレーキシステムの気泡排除方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数のリニア減圧弁を備えた液圧ブレーキシステムにおいて、リニア減圧弁の少なくとも1つについて自励振動の発生を抑制する。
【解決手段】リザーバに真空引き装置,ブレーキ液充填装置を接続し、全部の電磁弁を開いて真空引きを行った後(S1〜S4)、ブレーキ液を充填する。充填前期にはフロントリニア減圧弁のみを開き、ブレーキ液をフロントシリンダに充填する(S5,S6)。この間、フロントリニア減圧弁を開閉し、プランジャ室内の液圧の増大に加えて脈動を生じさせ、気泡の溶込み,剥離を促がす(S8〜S9)。充填後期には全部の電磁弁を開いてリヤシリンダにもブレーキ液を充填する(S10)。さらにブレーキ液を加圧し、あるいはフロントシリンダからのブレーキ液の流出を許容した状態でフロントリニア減圧弁にブレーキ液を流し、気泡を排除する。
【選択図】 図5
【解決手段】リザーバに真空引き装置,ブレーキ液充填装置を接続し、全部の電磁弁を開いて真空引きを行った後(S1〜S4)、ブレーキ液を充填する。充填前期にはフロントリニア減圧弁のみを開き、ブレーキ液をフロントシリンダに充填する(S5,S6)。この間、フロントリニア減圧弁を開閉し、プランジャ室内の液圧の増大に加えて脈動を生じさせ、気泡の溶込み,剥離を促がす(S8〜S9)。充填後期には全部の電磁弁を開いてリヤシリンダにもブレーキ液を充填する(S10)。さらにブレーキ液を加圧し、あるいはフロントシリンダからのブレーキ液の流出を許容した状態でフロントリニア減圧弁にブレーキ液を流し、気泡を排除する。
【選択図】 図5
Description
本発明は、液圧ブレーキシステムの気泡排除方法に関するものであり、特に、リニア増圧弁およびリニア減圧弁によりホイールシリンダの液圧が制御される液圧ブレーキシステムのリニア減圧弁内部の気泡の排除に関する。
液圧ブレーキシステムの中には、前輪を制動するブレーキのフロントホイールシリンダと後輪を制動するブレーキのリヤホイールシリンダとの液圧を、それぞれリニア増圧弁とリニア減圧弁とにより制御する形式のものがある。この形式の液圧ブレーキシステムにおいては、リニア減圧弁に自励振動が発生することがある。その原因は、ソレノイドのプランジャを収容しているプランジャ室に微小な気泡が生じることであると推測されている。リニア減圧弁においては、リニア減圧弁内にはブレーキ液が充満していることを前提としてソレノイドへの励磁電流が制御されるため、もしプランジャ室に気泡が存在していれば、リニア減圧弁を僅かに開くべき電流が供給された場合に、プランジャが急激に移動し、リニア減圧弁の開度が大きくなり過ぎる。その反動として、次にはリニア減圧弁が閉状態とされ、続いて再び開状態とされるのであり、これが繰り返されることによって、リニア減圧弁に自励振動が発生すると推測されているのである。
電磁開閉弁や電磁方向切換弁を始めとする液圧ブレーキシステムの構成要素の内部に気泡が溜まった結果、ブレーキの効きが低下したり、運転者のブレーキ操作感が悪化したりすることを回避するために、電磁開閉弁等の内部の気泡を除去することは既に知られている。例えば、下記特許文献1には、液圧ブレーキシステムのリザーバに気体吸引装置とブレーキ液圧送装置とを接続し、システム内部の空気を吸引(真空引きと称する)した後、ブレーキ液を圧送(ブレーキ液充填と称する)してシステムにブレーキ液を充填すること(真空充填と称する)が記載されている。また、特許文献2に、液圧ブレーキシステムのリザーバとホイールシリンダとの両方に気体吸引装置とブレーキ液圧送装置とを接続し、真空充填を行うことが記載されている。さらに、これら公開公報には、真空引きやブレーキ液充填の実行時に、電磁減圧弁としての電磁開閉弁や電磁方向切換弁にON,OFF作動を繰り返させることが記載されている。
特開平11−91884号公報
特開2000−118387号公報
本発明は、以上の事情を背景として、複数のリニア減圧弁を備えた液圧ブレーキシステムにおいて、それらリニア減圧弁の少なくとも1つについて自励振動の発生を抑制することを課題としてなされたものである。
上記課題は、複数の車輪をそれぞれ制動する複数のブレーキの各ホイールシリンダと、ブレーキ液を加圧する加圧装置と、その加圧装置にブレーキ液を供給するリザーバと、前記加圧装置と前記複数のホイールシリンダの1つ以上ずつとの間に設けられた複数のリニア増圧弁と、前記リザーバと前記複数のホイールシリンダの前記1つ以上ずつとの間に設けられた複数のリニア減圧弁とを含む液圧ブレーキシステムにおいて、前記複数のリニア減圧弁の少なくとも1つである第一リニア減圧弁を経て、その第一リニア減圧弁に対応するホールシリンダへブレーキ液を圧送しつつ、その第一リニア減圧弁の内部に脈動を発生させることにより解決される。
第一リニア減圧弁を経てホイールシリンダへブレーキ液を圧送すれば、第一リニア減圧弁の内部、特に、ソレノイドのプランジャ室内の液圧が増大し、気泡の溶込みが促進される。その上、ブレーキ液の圧送中の少なくとも一時期に、第一リニア減圧弁の内部に脈動を生じさせれば、プランジャ室の壁面に付着している気泡の剥離とブレーキ液への溶込みとを一層促す効果が得られ、自励振動の発生が抑制される。
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、少なくとも、請求の範囲に記載された発明である「本発明」ないし「本願発明」を含むが、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、(2)項が請求項2に、(3)項が請求項3に、(4)項,(5)項および(6)項を合わせたものが請求項4に、(7)項が請求項5に、(10)項および(11)項を合わせたものが請求項6に、(12)項および(13)項を合わせたものが請求項7に、(14)項が請求項8にそれぞれ相当する。
(1)複数の車輪をそれぞれ制動する複数のブレーキの各ホイールシリンダと、ブレーキ液を加圧する加圧装置と、その加圧装置にブレーキ液を供給するリザーバと、前記加圧装置と前記複数のホイールシリンダの1つ以上ずつとの間に設けられた複数のリニア増圧弁と、前記リザーバと前記複数のホイールシリンダの前記1つ以上ずつとの間に設けられた複数のリニア減圧弁とを含む液圧ブレーキシステムの気泡を排除する方法であって、
前記複数のリニア減圧弁の少なくとも1つである第一リニア減圧弁を経て、その第一リニア減圧弁に対応するホールシリンダへブレーキ液を圧送しつつ、その第一リニア減圧弁の内部に脈動を発生させる液圧ブレーキシステムの気泡排除方法。
(2)前記液圧ブレーキシステム内部を前記リザーバから真空引きした後、そのリザーバから前記ブレーキ液の圧送を行う(1)項に記載の気泡排除方法。
第一リニア減圧弁に対応するホイールシリンダにブレーキ液が満ちるまで、第一リニア減圧弁にブレーキ液の流れが生じ、その間に第一リニア減圧弁内のエアが排除される。
(3)前記ブレーキ液の圧送中の少なくとも一時期に前記第一リニア減圧弁を1回以上開閉させることによりその第一リニア減圧弁の内部に前記脈動を発生させる(1)項または(2)項に記載の気泡排除方法。
第一リニア減圧弁を通過してブレーキ液が流れている状態において第一リニア減圧弁が閉じられれば、第一リニア減圧弁の低圧側の液室の液圧が上昇し、第一リニア減圧弁が開かれれば、液圧が低下する。その結果、第一リニア減圧弁の低圧側の液室に連通しているプランジャ室にブレーキ液の脈動が生じ、プランジャ室の壁面に付着している気泡の剥離とブレーキ液への溶込みとが促進される。
(4)前記加圧装置が、ブレーキ操作部材の操作に応じてブレーキ液を加圧するマスタシリンダを備え、前記液圧ブレーキシステムが、そのマスタシリンダと前記ホイールシリンダとの間に設けられて両者の連通を遮断するマスタカット弁を含むものであり、前記リザーバから前記ブレーキ液を圧送し、少なくともそのリザーバからのブレーキ液の圧送前期に前記マスタカット弁を閉状態とする(1)項ないし(3)項のいずれかに記載の気泡排除方法。
マスタカット弁がリニア増圧弁を介さないでホイールシリンダに接続されている場合は、マスタカット弁が開状態に保たれれば、第一リニア減圧弁を経てのみならず、マスタカット弁を経ても第一リニア減圧弁に対応するホイールシリンダにブレーキ液が流れ、そのホイールシリンダが短時間でブレーキ液により満たされてしまい、第一リニア減圧弁を通過するブレーキ液の流れが停止してしまう。そこで、少なくとも圧送の前期にはマスタカット弁を閉じて、第一リニア減圧弁を通過するブレーキ液の流れができる限り長く続き、エア排除が十分に行われるようにするのである。マスタカット弁が第一リニア減圧弁に対応するリニア増圧弁である第一リニア増圧弁を介してホイールシリンダに接続されている場合は、第一リニア増圧弁を閉じてもよい。
(5)前記リザーバから前記ブレーキ液を圧送し、少なくともそのリザーバからのブレーキ液の圧送前期に、前記複数の増圧弁のうち前記第一リニア減圧弁に対応するものである第一リニア増圧弁を閉状態とする(1)項ないし(4)項のいずれかに記載の気泡排除方法。
上記(4)項におけると同様の理由で第一リニア増圧弁を閉状態にするのである。
(6)前記リザーバから前記ブレーキ液を圧送し、少なくともそのブレーキからのブレーキ液の圧送前期に、前記複数のリニア減圧弁のうち前記第一リニア減圧弁以外のものである第二リニア減圧弁を閉じた状態とする(1)項ないし(5)項のいずれかに記載の気泡排除方法。
第二リニア減圧弁を通過したブレーキ液は第一リニア減圧弁に対応するホイールシリンダに流入することはないので、(4)項に関連して述べた不都合は生じないが、圧送されたブレーキ液の第一リニア減圧弁における液圧が低下して、気泡のブレーキ液への溶込みが悪くなるため、少なくとも圧送の前期には第二リニア減圧弁を閉じることが望ましい。要するに、ブレーキ液の圧送前期においては、液圧ブレーキシステムを、少なくとも第一リニア減圧弁に対応するホイールシリンダへ流入するブレーキ液はすべて第一リニア減圧弁を通過する状態とすることが望ましく、圧送されるブレーキ液がすべて第一リニア減圧弁を通過する状態とすることがさらに望ましいのである。
このように第二リニア減圧弁を閉じた状態でブレーキ液を圧送すれば、第一リニア減圧弁に十分な圧力がかかり、第一リニア減圧弁内のエアがブレーキ液によく溶け込む。制動時には、低圧側であるプランジャ室内部の液圧は、第一リニア減圧弁が開かれるとき、第一リニア減圧弁とリザーバとをつなぐ液通路内の流通抵抗により多少高くなるが、エアの溶け込みには不十分であるのに対し、本項の液圧ブレーキシステムにおいては十分な圧力がかけられてエアが溶け込まされるのであり、この溶け込んだエアは他のブレーキ液へ拡散し、リニア減圧弁外へ出る。そのため、第一リニア減圧弁の内部においてエアが気泡の形態で滞留することが低減させられ、自励振動の発生がより効果的に抑制される。
(7)前記加圧装置が、ブレーキ操作部材の操作に応じてブレーキ液を加圧するマスタシリンダを備え、前記液圧ブレーキシステムが、そのマスタシリンダと前記ホイールシリンダとの間に設けられて両者の連通を遮断するマスタカット弁を含むものであり、前記リザーバから前記ブレーキ液を圧送し、少なくともそのリザーバからのブレーキ液の圧送後期に、前記マスタカット弁、前記複数の増圧弁のうち前記第一リニア減圧弁に対応するものである第一リニア増圧弁、および前記複数のリニア減圧弁のうち前記第一リニア減圧弁以外のものである第二リニア減圧弁を開状態とする(1)項ないし(6)項のいずれかに記載の気泡排除方法。
真空充填を行う場合には、上記種々の電磁弁の弁子が弁座に着座していても、弁子の上流側と下流側との両方の空間にブレーキ液が流入するため、弁子を弁座から離間させることは不可欠ではない。しかし、離間させて電磁弁を通過してブレーキ液が流れる状態とする方が良好に気泡の排除を行うことができる。したがって、ブレーキ液の圧送後期には上記種々の電磁弁を開状態とするのである。
(8)前記複数のリニア減圧弁のうち前記第一リニア減圧弁以外のものである第二リニア減圧弁を含み、前記第一リニア減圧弁が、前輪を制動するフロントブレーキのホイールシリンダであるフロントシリンダに対応する少なくとも1つのフロントリニア減圧弁を含み、前記第二リニア減圧弁が、後輪を制動するリヤブレーキのホイールシリンダであるリヤシリンダに対応する少なくとも1つのリヤリニア減圧弁を含む(1)項ないし (7)項のいずれかに記載の気泡排除方法。
リニア減圧弁においてプランジャ室に存在する微小な気泡によって自励振動が発生する事情は、フロントでもリヤでも同じであるが、フロントリニア減圧弁はリヤリニア減圧弁に比較して高圧が作用することが多いため、プランジャ室に微小な気泡が存在する場合に自励振動が発生し易い。したがって、フロントリニア減圧弁を第一リニア減圧弁とする場合に、特に効果が大きい。
(9)前記第一リニア減圧弁が、左右前輪のフロントシリンダに対応する左右のフロントリニア減圧弁であり、前記第二リニア減圧弁が、左右後輪のリヤシリンダに対応する左右のリヤリニア減圧弁である(8)項に記載の気泡排除方法。
(10)前記ホイールシリンダからのブレーキ液の流出を許容した状態で前記リザーバからブレーキ液の圧送を行う(1)項ないし(9)項のいずれかに記載の気泡排除方法。
ホイールシリンダからのブレーキ液の流出が許容されている限り、第一リニア減圧弁をブレーキ液が流れ続け、第一リニア減圧弁のエア排除がより確実に行われる。ホイールシリンダからのブレーキ液の流出は、大気圧下での流出とすることも、加圧下での流出とすることもできる。後者の場合、例えば、ホイールシリンダの流出口あるいはそこに接続される液通路に絞りを設けることにより実現でき、ブレーキシステム内におけるエアのブレーキ液への溶込みを促すことができる。絞りを可変絞りとし、前期においては絞りの程度を緩くしてブレーキ液の流速を大きくし、ブレーキ液によるエアの巻き込みを盛んにし、後期においては絞りの程度を強くしてエアの溶込みを促すこともできる。
本態様のエア排除は、真空充填に引き続いて、エア排除の確実を期するために実施することもでき、あるいは、真空充填後、ブレーキ液の充填された液圧ブレーキシステムにおいて、フロントまたはリヤのリニア減圧弁に自励振動振動が発生した場合の対策として実施することもできる。
(11)前記加圧装置が、ブレーキ液を加圧下に蓄えるアキュムレータと、そのアキュムレータに前記リザーバのブレーキ液を圧送するポンプとを含み、前記リザーバからのブレーキ液の圧送中の少なくとも一時期に、前記第一リニア減圧弁に対応する第一リニア増圧弁を開いて閉じることを1回以上行って前記アキュムレータ内に蓄えられている高圧のブレーキ液を前記第一リニア減圧弁および前記ホイールシリンダに1回以上供給することにより、第一リニア減圧弁の内部に前記脈動を生じさせる(10)項に記載の気泡排除方法。
リザーバからのブレーキ液の圧送中に、アキュムレータの高圧ブレーキ液を第一リニア減圧弁およびホイールシリンダに1回以上送ることにより、第一リニア減圧弁のプランジャ室内のエアの排除を促進することができる。第一リニア増圧弁を開けば、アキュムレータの高圧のブレーキ液が第一リニア減圧弁およびホイールシリンダに送られる。第一リニア減圧弁は開いた状態にあり、ホイールシリンダはブレーキ液の流出が許容された状態にあるが、第一リニア増圧弁が開かれれば、第一リニア増圧弁とホイールシリンダとをつなぐ液通路内および第一リニア減圧弁とリザーバとをつなぐ液通路内のブレーキ液の慣性と流通抵抗とに基づいて第一リニア減圧弁内の液圧が相当高くなる。すなわち、第一リニア減圧弁内に液圧の変動が生じるのであり、第一リニア減圧弁のプランジャ室にブレーキ液の流れが生じ、脈動が生じさせられ、また、液圧が高くなればエアの溶込みが促されて、プランジャ室のエア(気泡)の排除が一層良好に行われる。第一リニア増圧弁の開閉回数が多いほどエアの排除は確実になる。
(12)前記液圧ブレーキシステムにブレーキ液が充填された状態で、そのブレーキ液を前記リザーバから加圧し続ける(1)項ないし(9)項のいずれかに記載の気泡排除方法。
真空充填の終了後、ブレーキ液を加圧し続ければ、微小な気泡のブレーキ液への溶込みが進行し、エアの一層確実な排除を行うことができる。液圧ブレーキシステムに脱気ブレーキ液を充填した状態で加圧すれば、気泡の溶込みが一層容易となり、良好に気泡を排除することができる。液圧ブレーキシステムに充填されているのが脱気ブレーキ液ではない場合には、例えば、液圧ブレーキシステム内のブレーキ液を流出させた後、脱気ブレーキ液を真空充填したり、充填されているブレーキ液を、例えば、ホイールシリンダから流出させつつリザーバから脱気ブレーキ液を圧送したりするなどにより、脱気ブレーキ液に置換した後、加圧を行うことが望ましい。
本態様のエア排除は、前記真空充填とは独立にも実施できる。ブレーキ液の充填された液圧ブレーキシステムにおいて、フロントまたはリヤのリニア減圧弁に自励振動が発生した場合の対策として実施することができるのである。その場合、前記各項の特徴を適用することも可能である。
(13)前記加圧装置が、ブレーキ液を加圧下に蓄えるアキュムレータと、そのアキュムレータに前記リザーバのブレーキ液を圧送するポンプとを含み、前記リザーバからの加圧中の少なくとも一時期に、前記第一リニア減圧弁を閉じる一方、その第一リニア減圧弁に対応するリニア増圧弁である前記第一リニア増圧弁を開いて前記ホイールシリンダの液圧を増大させた後、前記第一リニア減圧弁を開くことを1回以上行うことにより、第一リニア減圧弁の内部に前記脈動を生じさせる(12)に記載の気泡排除方法。
リニア増圧弁を開いた状態にすれば、ホイールシリンダ内とリニア減圧弁のリニア増圧弁側とはアキュムレータと同じ高圧になり、リザーバ側はリザーバ側からの圧送圧になる。そこで、リニア減圧弁を開くと、リニア減圧弁の両側の圧力が等しくなり、リニア増圧弁側の部分は液圧が低下し、リザーバ側は液圧が上昇する。リザーバはブレーキ液圧送装置に接続されており、この圧送圧は比較的低いが、リニア減圧弁とリザーバとを接続する液通路内のブレーキ液の慣性と流通抵抗とに基づいてリニア減圧弁のリザーバ側の部分の液圧が一時的に相当高くなり、脈動が生じさせられる。それによりリニア減圧弁のプランジャ室内の気泡の壁面からの剥がしと溶け込みとが促進される。
本態様においては、(11)項の態様に比較して、第一リニア減圧弁のリザーバ側の空間内により大きな脈動を生じさせることができ、第一リニア減圧弁のエア排除を良好に行うことができる。
(14)前記第一リニア減圧弁が、前輪を制動するフロントブレーキのホイールシリンダであるフロントシリンダに対応する少なくとも1つのフロントリニア減圧弁を含む(1)項ないし(13)項のいずれかに記載の気泡排除方法。
(8)項において説明したように、フロントリニア減圧弁ではリヤリニア減圧弁より自励振動が発生し易く、本項の気泡排除方法によれば、自励振動が効果的に抑制される。
(15)前記リザーバから圧送するブレーキ液として、予め溶解気体が排除された脱気ブレーキ液を使用する(1)項ないし(14)項のいずれかに気泡排除方法。
脱気ブレーキ液を使用すれば、エアの溶込みが容易となり、エアの排除が一層容易となる。前記(10)項の発明におけるように、ホイールシリンダからのブレーキ液の流出を許容した状態でリザーバからブレーキ液の圧送を行う場合には、ホイールシリンダから流出したブレーキ液を大気に接触させれば、空気が溶解して脱気度が低下してしまう。したがって、ホイールシリンダの流出口に液通路を接続し、流出したブレーキ液を大気に接触させることなく循環させて繰り返し使用することが望ましい。
前記複数のリニア減圧弁の少なくとも1つである第一リニア減圧弁を経て、その第一リニア減圧弁に対応するホールシリンダへブレーキ液を圧送しつつ、その第一リニア減圧弁の内部に脈動を発生させる液圧ブレーキシステムの気泡排除方法。
(2)前記液圧ブレーキシステム内部を前記リザーバから真空引きした後、そのリザーバから前記ブレーキ液の圧送を行う(1)項に記載の気泡排除方法。
第一リニア減圧弁に対応するホイールシリンダにブレーキ液が満ちるまで、第一リニア減圧弁にブレーキ液の流れが生じ、その間に第一リニア減圧弁内のエアが排除される。
(3)前記ブレーキ液の圧送中の少なくとも一時期に前記第一リニア減圧弁を1回以上開閉させることによりその第一リニア減圧弁の内部に前記脈動を発生させる(1)項または(2)項に記載の気泡排除方法。
第一リニア減圧弁を通過してブレーキ液が流れている状態において第一リニア減圧弁が閉じられれば、第一リニア減圧弁の低圧側の液室の液圧が上昇し、第一リニア減圧弁が開かれれば、液圧が低下する。その結果、第一リニア減圧弁の低圧側の液室に連通しているプランジャ室にブレーキ液の脈動が生じ、プランジャ室の壁面に付着している気泡の剥離とブレーキ液への溶込みとが促進される。
(4)前記加圧装置が、ブレーキ操作部材の操作に応じてブレーキ液を加圧するマスタシリンダを備え、前記液圧ブレーキシステムが、そのマスタシリンダと前記ホイールシリンダとの間に設けられて両者の連通を遮断するマスタカット弁を含むものであり、前記リザーバから前記ブレーキ液を圧送し、少なくともそのリザーバからのブレーキ液の圧送前期に前記マスタカット弁を閉状態とする(1)項ないし(3)項のいずれかに記載の気泡排除方法。
マスタカット弁がリニア増圧弁を介さないでホイールシリンダに接続されている場合は、マスタカット弁が開状態に保たれれば、第一リニア減圧弁を経てのみならず、マスタカット弁を経ても第一リニア減圧弁に対応するホイールシリンダにブレーキ液が流れ、そのホイールシリンダが短時間でブレーキ液により満たされてしまい、第一リニア減圧弁を通過するブレーキ液の流れが停止してしまう。そこで、少なくとも圧送の前期にはマスタカット弁を閉じて、第一リニア減圧弁を通過するブレーキ液の流れができる限り長く続き、エア排除が十分に行われるようにするのである。マスタカット弁が第一リニア減圧弁に対応するリニア増圧弁である第一リニア増圧弁を介してホイールシリンダに接続されている場合は、第一リニア増圧弁を閉じてもよい。
(5)前記リザーバから前記ブレーキ液を圧送し、少なくともそのリザーバからのブレーキ液の圧送前期に、前記複数の増圧弁のうち前記第一リニア減圧弁に対応するものである第一リニア増圧弁を閉状態とする(1)項ないし(4)項のいずれかに記載の気泡排除方法。
上記(4)項におけると同様の理由で第一リニア増圧弁を閉状態にするのである。
(6)前記リザーバから前記ブレーキ液を圧送し、少なくともそのブレーキからのブレーキ液の圧送前期に、前記複数のリニア減圧弁のうち前記第一リニア減圧弁以外のものである第二リニア減圧弁を閉じた状態とする(1)項ないし(5)項のいずれかに記載の気泡排除方法。
第二リニア減圧弁を通過したブレーキ液は第一リニア減圧弁に対応するホイールシリンダに流入することはないので、(4)項に関連して述べた不都合は生じないが、圧送されたブレーキ液の第一リニア減圧弁における液圧が低下して、気泡のブレーキ液への溶込みが悪くなるため、少なくとも圧送の前期には第二リニア減圧弁を閉じることが望ましい。要するに、ブレーキ液の圧送前期においては、液圧ブレーキシステムを、少なくとも第一リニア減圧弁に対応するホイールシリンダへ流入するブレーキ液はすべて第一リニア減圧弁を通過する状態とすることが望ましく、圧送されるブレーキ液がすべて第一リニア減圧弁を通過する状態とすることがさらに望ましいのである。
このように第二リニア減圧弁を閉じた状態でブレーキ液を圧送すれば、第一リニア減圧弁に十分な圧力がかかり、第一リニア減圧弁内のエアがブレーキ液によく溶け込む。制動時には、低圧側であるプランジャ室内部の液圧は、第一リニア減圧弁が開かれるとき、第一リニア減圧弁とリザーバとをつなぐ液通路内の流通抵抗により多少高くなるが、エアの溶け込みには不十分であるのに対し、本項の液圧ブレーキシステムにおいては十分な圧力がかけられてエアが溶け込まされるのであり、この溶け込んだエアは他のブレーキ液へ拡散し、リニア減圧弁外へ出る。そのため、第一リニア減圧弁の内部においてエアが気泡の形態で滞留することが低減させられ、自励振動の発生がより効果的に抑制される。
(7)前記加圧装置が、ブレーキ操作部材の操作に応じてブレーキ液を加圧するマスタシリンダを備え、前記液圧ブレーキシステムが、そのマスタシリンダと前記ホイールシリンダとの間に設けられて両者の連通を遮断するマスタカット弁を含むものであり、前記リザーバから前記ブレーキ液を圧送し、少なくともそのリザーバからのブレーキ液の圧送後期に、前記マスタカット弁、前記複数の増圧弁のうち前記第一リニア減圧弁に対応するものである第一リニア増圧弁、および前記複数のリニア減圧弁のうち前記第一リニア減圧弁以外のものである第二リニア減圧弁を開状態とする(1)項ないし(6)項のいずれかに記載の気泡排除方法。
真空充填を行う場合には、上記種々の電磁弁の弁子が弁座に着座していても、弁子の上流側と下流側との両方の空間にブレーキ液が流入するため、弁子を弁座から離間させることは不可欠ではない。しかし、離間させて電磁弁を通過してブレーキ液が流れる状態とする方が良好に気泡の排除を行うことができる。したがって、ブレーキ液の圧送後期には上記種々の電磁弁を開状態とするのである。
(8)前記複数のリニア減圧弁のうち前記第一リニア減圧弁以外のものである第二リニア減圧弁を含み、前記第一リニア減圧弁が、前輪を制動するフロントブレーキのホイールシリンダであるフロントシリンダに対応する少なくとも1つのフロントリニア減圧弁を含み、前記第二リニア減圧弁が、後輪を制動するリヤブレーキのホイールシリンダであるリヤシリンダに対応する少なくとも1つのリヤリニア減圧弁を含む(1)項ないし (7)項のいずれかに記載の気泡排除方法。
リニア減圧弁においてプランジャ室に存在する微小な気泡によって自励振動が発生する事情は、フロントでもリヤでも同じであるが、フロントリニア減圧弁はリヤリニア減圧弁に比較して高圧が作用することが多いため、プランジャ室に微小な気泡が存在する場合に自励振動が発生し易い。したがって、フロントリニア減圧弁を第一リニア減圧弁とする場合に、特に効果が大きい。
(9)前記第一リニア減圧弁が、左右前輪のフロントシリンダに対応する左右のフロントリニア減圧弁であり、前記第二リニア減圧弁が、左右後輪のリヤシリンダに対応する左右のリヤリニア減圧弁である(8)項に記載の気泡排除方法。
(10)前記ホイールシリンダからのブレーキ液の流出を許容した状態で前記リザーバからブレーキ液の圧送を行う(1)項ないし(9)項のいずれかに記載の気泡排除方法。
ホイールシリンダからのブレーキ液の流出が許容されている限り、第一リニア減圧弁をブレーキ液が流れ続け、第一リニア減圧弁のエア排除がより確実に行われる。ホイールシリンダからのブレーキ液の流出は、大気圧下での流出とすることも、加圧下での流出とすることもできる。後者の場合、例えば、ホイールシリンダの流出口あるいはそこに接続される液通路に絞りを設けることにより実現でき、ブレーキシステム内におけるエアのブレーキ液への溶込みを促すことができる。絞りを可変絞りとし、前期においては絞りの程度を緩くしてブレーキ液の流速を大きくし、ブレーキ液によるエアの巻き込みを盛んにし、後期においては絞りの程度を強くしてエアの溶込みを促すこともできる。
本態様のエア排除は、真空充填に引き続いて、エア排除の確実を期するために実施することもでき、あるいは、真空充填後、ブレーキ液の充填された液圧ブレーキシステムにおいて、フロントまたはリヤのリニア減圧弁に自励振動振動が発生した場合の対策として実施することもできる。
(11)前記加圧装置が、ブレーキ液を加圧下に蓄えるアキュムレータと、そのアキュムレータに前記リザーバのブレーキ液を圧送するポンプとを含み、前記リザーバからのブレーキ液の圧送中の少なくとも一時期に、前記第一リニア減圧弁に対応する第一リニア増圧弁を開いて閉じることを1回以上行って前記アキュムレータ内に蓄えられている高圧のブレーキ液を前記第一リニア減圧弁および前記ホイールシリンダに1回以上供給することにより、第一リニア減圧弁の内部に前記脈動を生じさせる(10)項に記載の気泡排除方法。
リザーバからのブレーキ液の圧送中に、アキュムレータの高圧ブレーキ液を第一リニア減圧弁およびホイールシリンダに1回以上送ることにより、第一リニア減圧弁のプランジャ室内のエアの排除を促進することができる。第一リニア増圧弁を開けば、アキュムレータの高圧のブレーキ液が第一リニア減圧弁およびホイールシリンダに送られる。第一リニア減圧弁は開いた状態にあり、ホイールシリンダはブレーキ液の流出が許容された状態にあるが、第一リニア増圧弁が開かれれば、第一リニア増圧弁とホイールシリンダとをつなぐ液通路内および第一リニア減圧弁とリザーバとをつなぐ液通路内のブレーキ液の慣性と流通抵抗とに基づいて第一リニア減圧弁内の液圧が相当高くなる。すなわち、第一リニア減圧弁内に液圧の変動が生じるのであり、第一リニア減圧弁のプランジャ室にブレーキ液の流れが生じ、脈動が生じさせられ、また、液圧が高くなればエアの溶込みが促されて、プランジャ室のエア(気泡)の排除が一層良好に行われる。第一リニア増圧弁の開閉回数が多いほどエアの排除は確実になる。
(12)前記液圧ブレーキシステムにブレーキ液が充填された状態で、そのブレーキ液を前記リザーバから加圧し続ける(1)項ないし(9)項のいずれかに記載の気泡排除方法。
真空充填の終了後、ブレーキ液を加圧し続ければ、微小な気泡のブレーキ液への溶込みが進行し、エアの一層確実な排除を行うことができる。液圧ブレーキシステムに脱気ブレーキ液を充填した状態で加圧すれば、気泡の溶込みが一層容易となり、良好に気泡を排除することができる。液圧ブレーキシステムに充填されているのが脱気ブレーキ液ではない場合には、例えば、液圧ブレーキシステム内のブレーキ液を流出させた後、脱気ブレーキ液を真空充填したり、充填されているブレーキ液を、例えば、ホイールシリンダから流出させつつリザーバから脱気ブレーキ液を圧送したりするなどにより、脱気ブレーキ液に置換した後、加圧を行うことが望ましい。
本態様のエア排除は、前記真空充填とは独立にも実施できる。ブレーキ液の充填された液圧ブレーキシステムにおいて、フロントまたはリヤのリニア減圧弁に自励振動が発生した場合の対策として実施することができるのである。その場合、前記各項の特徴を適用することも可能である。
(13)前記加圧装置が、ブレーキ液を加圧下に蓄えるアキュムレータと、そのアキュムレータに前記リザーバのブレーキ液を圧送するポンプとを含み、前記リザーバからの加圧中の少なくとも一時期に、前記第一リニア減圧弁を閉じる一方、その第一リニア減圧弁に対応するリニア増圧弁である前記第一リニア増圧弁を開いて前記ホイールシリンダの液圧を増大させた後、前記第一リニア減圧弁を開くことを1回以上行うことにより、第一リニア減圧弁の内部に前記脈動を生じさせる(12)に記載の気泡排除方法。
リニア増圧弁を開いた状態にすれば、ホイールシリンダ内とリニア減圧弁のリニア増圧弁側とはアキュムレータと同じ高圧になり、リザーバ側はリザーバ側からの圧送圧になる。そこで、リニア減圧弁を開くと、リニア減圧弁の両側の圧力が等しくなり、リニア増圧弁側の部分は液圧が低下し、リザーバ側は液圧が上昇する。リザーバはブレーキ液圧送装置に接続されており、この圧送圧は比較的低いが、リニア減圧弁とリザーバとを接続する液通路内のブレーキ液の慣性と流通抵抗とに基づいてリニア減圧弁のリザーバ側の部分の液圧が一時的に相当高くなり、脈動が生じさせられる。それによりリニア減圧弁のプランジャ室内の気泡の壁面からの剥がしと溶け込みとが促進される。
本態様においては、(11)項の態様に比較して、第一リニア減圧弁のリザーバ側の空間内により大きな脈動を生じさせることができ、第一リニア減圧弁のエア排除を良好に行うことができる。
(14)前記第一リニア減圧弁が、前輪を制動するフロントブレーキのホイールシリンダであるフロントシリンダに対応する少なくとも1つのフロントリニア減圧弁を含む(1)項ないし(13)項のいずれかに記載の気泡排除方法。
(8)項において説明したように、フロントリニア減圧弁ではリヤリニア減圧弁より自励振動が発生し易く、本項の気泡排除方法によれば、自励振動が効果的に抑制される。
(15)前記リザーバから圧送するブレーキ液として、予め溶解気体が排除された脱気ブレーキ液を使用する(1)項ないし(14)項のいずれかに気泡排除方法。
脱気ブレーキ液を使用すれば、エアの溶込みが容易となり、エアの排除が一層容易となる。前記(10)項の発明におけるように、ホイールシリンダからのブレーキ液の流出を許容した状態でリザーバからブレーキ液の圧送を行う場合には、ホイールシリンダから流出したブレーキ液を大気に接触させれば、空気が溶解して脱気度が低下してしまう。したがって、ホイールシリンダの流出口に液通路を接続し、流出したブレーキ液を大気に接触させることなく循環させて繰り返し使用することが望ましい。
以下、請求可能発明の実施例を、図面を参照しつつ説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、上記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
図1に、請求可能発明の一実施例である気泡排除方法が実施される車両の液圧ブレーキシステムが概念的に図示されている。本液圧ブレーキシステムは、ブレーキ操作部材たるブレーキペダル10,マスタシリンダ12およびブレーキアクチュエータ14等を備えている。
マスタシリンダ12は、本実施例では2つの加圧室20,22を備え、ブレーキペダル10の踏込みに基づいて加圧室20,22にそれぞれ発生させられた液圧は、マスタシリンダ通路24,26により左前輪28,右前輪30をそれぞれ制動するブレーキであるフロントブレーキの各ホイールシリンダであるフロントシリンダ32,34に供給される。また、マスタシリンダ12と共にリザーバ36が設けられ、加圧室20,22との連通を許容,遮断される。リザーバ36には、ブレーキ液が大気圧で蓄えられる。さらに、マスタシリンダ12の一方の加圧室20には、電磁開閉弁40を介してストロークシミュレータ42が接続されている。電磁開閉弁40は、本実施例では常閉弁とされており、ソレノイドに電流が供給されないノーマル状態では閉じられて加圧室20とストロークシミュレータ42との連通を遮断しているが、ソレノイドへの電流の供給により開かれて加圧室20とストロークシミュレータ42とを連通させ、マスタシリンダ12からストロークシミュレータ42へのブレーキ液の流出を許容する。以後、電磁開閉弁40をシミュレータ開閉弁40と称する。シミュレータ開閉弁40はシミュレータ制御弁である。
ブレーキアクチュエータ14を説明する。
ブレーキアクチュエータ14は、上記フロントシリンダ32,34および左後輪46および右後輪48をそれぞれ制動するブレーキであるリヤブレーキの各ホイールシリンダであるリヤシリンダ50,52の各液圧を制御する。ブレーキアクチュエータ14は、図1に示すように、2つのマスタカット弁56,58,液圧源たる動力液圧源60,液圧制御弁装置62,2つのマスタシリンダ圧センサ64および4つのホイールシリンダ圧センサ66を備えている。これらブレーキアクチュエータ14の構成要素は図示を省略するボックス状の本体部材に互いに一体的に組み付けられている。
ブレーキアクチュエータ14は、上記フロントシリンダ32,34および左後輪46および右後輪48をそれぞれ制動するブレーキであるリヤブレーキの各ホイールシリンダであるリヤシリンダ50,52の各液圧を制御する。ブレーキアクチュエータ14は、図1に示すように、2つのマスタカット弁56,58,液圧源たる動力液圧源60,液圧制御弁装置62,2つのマスタシリンダ圧センサ64および4つのホイールシリンダ圧センサ66を備えている。これらブレーキアクチュエータ14の構成要素は図示を省略するボックス状の本体部材に互いに一体的に組み付けられている。
動力液圧源60は、リザーバ通路68を経てリザーバ36からブレーキ液を汲み上げるポンプ70と、ポンプ70を駆動する駆動源たる電動モータであるポンプモータ72と、ポンプ70から吐出されたブレーキ液を加圧下に蓄えるアキュムレータ74と、ポンプ70の吐出圧を設定値以下に規制するリリーフ弁76とを含んでいる。ポンプ70は、圧力スイッチ78の信号に基づいて起動,停止させられる。アキュムレータ74の液圧が低下し、第一設定値以下になれば、圧力スイッチ78によりポンプ作動信号が出力されてポンプモータ72が起動され、ポンプ70の作動によりアキュムレータ74の液圧が高められる。アキュムレータ74の液圧が第一設定値より高い第二設定値以上になれば、圧力スイッチ78によりポンプ停止信号が出力され、ポンプモータ72が停止させられる。
動力液圧源60には、液圧制御弁装置62を介して前記4つのホイールシリンダ32,34,50,52が接続されている。液圧制御弁装置62は、ポンプ70あるいはアキュムレータ74から各ホイールシリンダ32,34,50,52へのブレーキ液の流入を制御するリニア増圧弁80,82,84,86と、フロントシリンダ32,34およびリヤシリンダ50,52からリザーバ36へのブレーキ液の流出を制御するリニア減圧弁90,92,94,96とを含んでおり、ポンプ70およびアキュムレータ74とリニア増圧弁80〜86とは増圧通路98により接続され、リニア減圧弁90〜96とリザーバ36とは減圧通路100およびリザーバ通路68により接続されている。4つのホイールシリンダ32,34,50,52のそれぞれについてリニア増圧弁とリニア減圧弁とが1つずつ設けられ、それぞれ液圧が互いに独立して制御されるのであり、4組のリニア増圧弁およびリニア減圧弁はそれぞれ、ホイールシリンダ通路102,104,106,108によってホイールシリンダ32,34,50,52に接続されている。以後、必要に応じて、フロントシリンダ32,34について設けられたリニア増圧弁80,82およびリニア減圧弁90,92をそれぞれフロントリニア増圧弁80,82およびフロントリニア減圧弁90,92と称し、リヤシリンダ50,52について設けられたリニア増圧弁84,86およびリニア減圧弁94,96をそれぞれリヤリニア増圧弁84,86およびリヤリニア減圧弁94,96と称する。
ポンプ70とリニア増圧弁80〜86との間に液圧源液圧センサ110が設けられて動力液圧源60の液圧が検出され、ホイールシリンダ32,34,50,52の各液圧がホイールシリンダ圧センサ66により検出される。また、マスタシリンダ12の2つの加圧室20,22とフロントシリンダ32,34との間にそれぞれ前記マスタカット弁56,58が設けられ、マスタカット弁56,58と加圧室20,22との間にそれぞれ前記マスタシリンダ圧センサ64が設けられ、加圧室20,22にそれぞれ発生させられる液圧が検出される。マスタカット弁56,58は、本実施例では常開の電磁開閉弁とされており、ノーマル状態では開かれて加圧室20,22とフロントシリンダ32,34とを連通させているが、ソレノイドへの電流供給により閉じられて加圧室20,22とフロントシリンダ32,34との連通を遮断する。
リニア弁は、その上流側と下流側との液圧差と供給電流との間に予め定められた一定の関係があり、供給電流の増減に応じて開弁圧が変えられる弁である。したがって、リニア増圧弁80〜86およびリニア減圧弁90〜96は、供給電流の制御により、ホイールシリンダの液圧であるホイールシリンダ圧を任意の高さに制御可能であり、ホイールシリンダ圧を連続的に変化させることができる。
本液圧ブレーキシステムにおいては、リニア増圧弁80〜86はいずれも常閉弁とされ、フロントリニア減圧弁90,92はそれぞれ常閉弁とされ、リヤリニア減圧弁94,96はそれぞれ常開弁とされている。以下、フロントリニア減圧弁90を代表的に説明する。
フロントリニア減圧弁90は、図4に示すように、バルブハウジング120,シート弁122および電磁駆動力発生装置たるソレノイド124を備えている。シート弁122は、弁座128,プランジャ132に設けられた弁子130および弁子130が弁座128に着座する向きにプランジャ132を付勢する弾性部材としてのスプリング138を含んでいる。また、ソレノイド124は、プランジャ132,ソレノイドコイル140,ソレノイドコイル140を保持する樹脂製の保持部材142,第一磁路形成部材144および第二磁路形成部材146を含んでいる。フロントリニア減圧弁90はソレノイドバルブであり、第一,第二磁路形成部材144,146は強磁性材料により形成されている。プランジャ132はシート弁122の構成要素であると考えることもできる。
バルブハウジング120は、本実施例では、複数の部材が互いに一体的に組み付けられて成り、第二磁路形成部材146は、バルブハウジング120の構成部材の1つである第一部材150により、バルブハウジング120の別の構成部材である第二部材152と同心に結合されている。第一部材150は、薄い有底の円筒状を成し、第二磁路形成部材146は第一部材150内に嵌合され、収容されている。第二部材152は中空の円筒状を成し、その軸方向の一端部において第二磁路形成部材146との間にスペーサ154を挟んで第一部材150内に嵌合されている。第一磁路形成部材144はソレノイドコイル140を覆って第一部材150の外側に嵌合されている。
上記第二部材152には、その周壁の2箇所に第一ポート158が形成され、減圧通路100によってリザーバ36に接続されている。なお、第二部材152には、フロントリニア減圧弁90を組み付けるための組付部材160が装着されているが、この組付部材160には図示を省略する開口が設けられ、ブレーキ液のリザーバ36への流入を許容する。バルブハウジング120を構成する更に別の部材である第三部材162は、第二部材152の他端部に嵌合され、第三部材162を軸方向に貫通して形成された貫通穴が第二ポート164を構成している。第二ポート164は、ホイールシリンダ通路102によって左前輪28のフロントシリンダ32に接続され、前記弁座128は、第二ポート164の第一ポート158側の開口端に設けられている。
上記第二,第三部材152,162および第二磁路形成部材146の間に弁孔170が形成され、前記プランジャ132が軸方向に移動可能に嵌合されている。プランジャ132は強磁性材料により形成され、弁孔170に、弁孔170の内周面との間に僅かな隙間176を有して嵌合されており、プランジャ132の弁座128側に弁室ないし液室178が形成され、第二磁路形成部材146側にプランジャ室180が形成されている。
プランジャ132にはまた、その軸心を中心とする一円周上に位置するとともに、直径方向に隔たった2箇所にそれぞれ、プランジャ132を軸方向に貫通して延びる貫通孔182が形成されている。前記隙間176および貫通孔182が、液室178とプランジャ室180とを連通させる連通孔184を構成しており、連通孔184における作動液の流れにより、プランジャ132は迅速に移動することができる。プランジャ室180は連通孔184,液室178および第一ポート158等を経てリザーバ36に常時連通させられている。プランジャ室180は弁座128,弁子130に対して低圧側なのである。なお、プランジャ132の第二磁路形成部材146側への移動限度は、その肩面が第二磁路形成部材146に設けられた当接面ないし吸引面188に当接することにより規定されるが、この肩面には非磁性材製の薄板186が設けられて張付防止部を構成し、肩面と吸引面188との間の距離を確保し、磁気吸引力によって吸引面188に引き付けられたプランジャ132の吸引面188に対する張り付きを防止し、吸引面188からの離れを良くするようにされている。
プランジャ132には、弁座128側に突出する突部192が軸心上に設けられ、その突出端部に半球状の弁子130が一体に設けられている。前記スプリング138は、プランジャ132と第二磁路形成部材146との間に配設され、プランジャ132はスプリング138により、弁子130が弁座128に着座する向きに付勢されている。したがって、ソレノイド124に電流が供給されない状態では、プランジャ132はスプリング138の付勢により弁座128に接近する向きに移動させられ、弁子130が弁座128に着座させられてフロントリニア減圧弁90が閉じた状態に保たれる。
ソレノイド124に電流が供給されれば、磁界が形成される。磁力線は、その多くが、第一磁路形成部材144,第二磁路形成部材146,プランジャ132およびプランジャ132と第二磁路形成部材146との間のギャップを通るようにされている。プランジャ132には、フロントシリンダ32の液圧とリザーバ36の液圧との差である差圧に、弁子130の弁座128に対する着座部分の断面積を掛けた大きさの力とスプリング138の付勢力とが互いに逆向きに作用し、ソレノイド124への電流供給により生じさせられる磁気吸引力は、プランジャ132に、スプリング138の付勢力とは逆向きに作用し、プランジャ132が軸方向において弁座128から離間する向きに移動させられ、弁子130を弁座128から離間させる。したがって、フロントシリンダ32の目標液圧等に基づいてソレノイド124への供給電流を設定し、磁気吸引力の大きさを制御すれば、プランジャ132がスプリング138の付勢力に抗して後退させられ、弁子130が弁座128から離間させられてフロントリニア減圧弁90が開かれる。それにより、フロントシリンダ32からリザーバ36への作動液の流出が許容され、フロントシリンダ32の液圧が目標液圧に減少させされる。フロントシリンダ32の液圧が減少すれば、上記差圧が減少し、プランジャ132がスプリング138の付勢により弁座128に接近する向きに移動させられ、目標液圧に到達した状態において弁子130が弁座128に着座してフロントリニア減圧弁90が閉じられる。
リニア増圧弁80〜86は、第一ポート158がホイールシリンダ通路102〜108によってホイールシリンダ32,34,50,52に接続され、第二ポート164が増圧通路98によって動力液圧源60に接続されていることを除いてフロントリニア減圧弁90と同様に構成されている。また、常開のリヤリニア減圧弁94,96は、例えば、特開2000−95094号公報に記載のリニア減圧弁と同様に構成され、例えば、フロントリニア減圧弁90において、プランジャ132と第三部材162との間にスプリング138を配設してプランジャ132を弁子130が弁座128から離間する向きに付勢させ、ソレノイド124への電流供給によりプランジャ132がスプリング138の付勢力に抗して弁座128に向かって移動し、弁子130を弁座128に押し付けるように構成される。
本液圧ブレーキシステムは、図1に示すECU(電子制御ユニット)200の指令に基づいて制御される。ECU200は、コンピュータを主体とするものであり、図1に概略的に示すように、実行部202,記憶部204,入出力部206等を含む。入出力部206には、前記マスタシリンダ圧センサ64等、各種センサ等が入力側に接続されるとともに、前記マスタカット弁56,58,リニア増圧弁80〜86およびリニア減圧弁90〜96の各ソレノイドおよびポンプモータ72が駆動回路(図示省略)を介して接続されている。ECU200は駆動回路を含み、ブレーキアクチュエータ14に接続されて、各種検出値が入力されるとともに、マスタカット弁56,58等を制御する。シミュレータ開閉弁40は、ブレーキアクチュエータ14につながっており、ECU200により開閉を制御される。また、記憶部204には、図示を省略するメインルーチン,電気制動制御ルーチン,アンチロック制御ルーチン,トラクション制御ルーチンおよびビークルスタビリティ制御ルーチン等、種々のプログラム等が格納されている。
本液圧ブレーキシステムについて、図1に示す真空充填システム210によりブレーキ液の真空充填が行われる。真空充填システム210は、真空引き装置212,ブレーキ液充填装置214およびこれらを制御する真空充填制御装置216を含む。真空引き装置212は、例えば、真空タンクを備え、バルブの開閉により真空引きが開始,停止させられる。真空引き装置212はリザーバ36に接続され、リザーバ36から真空引きが行われる。真空引きが行われるとき、液圧ブレーキシステム内の圧力は、本実施例では、真空引き装置212のリザーバ36に対する接続部近傍に設けられた圧力センサ218により検出される。ブレーキ液充填装置214は、本実施例では、図1に概略的に示すように、充填シリンダ220を備えている。充填シリンダ220は液圧シリンダ222により駆動され、ブレーキ液タンク224からブレーキ液室226へブレーキ液を入れ、液圧ブレーキシステムへ押し出す。ブレーキ液充填装置214もリザーバ36に接続され、リザーバ36から液圧ブレーキシステムにブレーキ液を充填する。
真空充填制御装置216は、コンピュータを主体とするものであり、図1に概略的に示すように、実行部230,記憶部232,入出力部234等を含む。入出力部234には、前記圧力センサ218が入力側に接続されるとともに、真空引き装置212およびブレーキ液充填装置214がそれぞれ駆動回路(図示省略)を介して出力側に接続されている。真空充填制御装置216は、真空引き装置212およびブレーキ液充填装置214を制御するとともに、前記ECU200と同様に前記ブレーキアクチュエータ14を制御する機能を備え、マスタカット弁56,58等を駆動する駆動回路を含む。真空充填制御装置216は、ECU200に替えてブレーキアクチュエータ14に接続され、ブレーキアクチュエータ14から信号が供給されるとともに、マスタカット弁56,58,リニア弁80〜86,90〜96およびポンプモータ72を制御する。真空充填制御装置216はシミュレータ開閉弁40も制御する。また、記憶部232には、図5にフローチャートで示す真空充填制御ルーチンが記憶されている。
本液圧ブレーキシステムについてはまた、図2に概略的に示すブレーキ液圧送システム250によりブレーキ液の加圧が行われる。ブレーキ液圧送システム250は、ブレーキ液圧送装置252およびブレーキ液圧送制御装置254を含む。ブレーキ液圧送装置252は、本実施例では、前記ブレーキ液充填装置214と同様に構成されており、同じ作用を成す構成要素には同一の符号を付して対応関係を示し、説明を省略する。
ブレーキ液圧送制御装置254は、実行部260,記憶部262,入出力部264等を含む。入出力部264の出力側には、ブレーキ液圧送装置252が駆動回路(図示省略)を介して接続されている。ブレーキ液圧送制御装置254は、ブレーキ液圧送装置252を制御するとともに、前記ECU200と同様に前記ブレーキアクチュエータ14を制御する機能を備え、マスタカット弁56,58等を駆動する駆動回路を含む。ブレーキ液圧送制御装置254は、ECU200に替えてブレーキアクチュエータ14に接続され、ブレーキアクチュエータ14から信号が供給されるとともに、リニア弁80〜86,90〜96等を制御するようにされている。この接続により、ブレーキ液圧送制御装置254はシミュレータ開閉弁40も制御する。また、記憶部262には、図6にフローチャートで示すブレーキ液加圧制御ルーチンが記憶されている。
本液圧ブレーキシステムについては更に、図3に概略的に示すブレーキ液圧送システム270によりブレーキ液が圧送され、循環させられる。ブレーキ液圧送システム270は、ブレーキ液圧送装置272およびブレーキ液圧送制御装置274を含む。ブレーキ液圧送装置272は、本実施例においては、前記ポンプ70に類似したプランジャポンプ276およびプランジャポンプ276を駆動する電動のポンプモータ278を含む。プランジャポンプ276は、ブレーキ液タンク224からブレーキ液を汲み上げ、リザーバ36から液圧ブレーキシステムに送り込む。
後述するように、ブレーキ液圧送システム270を用いてフロントリニア減圧弁90,92内部の気泡排除を行う場合、ブレーキ液タンク224は、チューブ等により構成される液通路280,282によりフロントシリンダ32,34のブレーキ液の流出口に接続され、ブレーキ液が大気に触れることなく、フロントシリンダ32,34からブレーキ液タンク224へ流出させられ、戻されるようにされる。これら液通路280,282にはそれぞれ、絞り284,286が設けられている。本実施例において絞り284,286は固定絞りとされており、フロントシリンダ32,34から流出されるブレーキ液を絞る。また、ブレーキ液タンク224内のブレーキ液は脱気装置288により脱気される。
ブレーキ液圧送制御装置274は、実行部290,記憶部292,入出力部294等を含む。入出力部294の出力側には、ポンプモータ278が駆動回路(図示省略)を介して接続されている。ブレーキ液圧送制御装置274は、ブレーキ液圧送装置272を制御するとともに、前記ECU200と同様に前記ブレーキアクチュエータ14を制御する機能を備え、マスタカット弁56,58等を駆動する駆動回路を含む。ブレーキ液圧送制御装置274は、ECU200に替えてブレーキアクチュエータ14に接続され、ブレーキアクチュエータ14から信号が供給されるとともに、リニア弁80〜86,90〜96等を制御するようにされている。この接続により、ブレーキ液圧送制御装置274はシミュレータ開閉弁40も制御する。また、記憶部292には、図7にフローチャートで示すブレーキ液流出許容圧送制御ルーチンが記憶されている。
本液圧ブレーキシステムにおいては、電気制動制御等、ブレーキアクチュエータ14の作動によるいずれの制御が行われる際にも、ECU200は、マスタシリンダ圧センサ64等、各種センサの検出信号に基づいて車両状態を取得し、それに基づいて、4つのホイールシリンダ32,34,50,52のそれぞれについて目標液圧を決定し、その目標液圧が得られるようにリニア増圧弁80〜86およびリニア減圧弁90〜96の各ソレノイド124等に供給される電流を決定し、供給を制御する。この決定された電流の供給により液圧制御弁装置62が作動させられ、ホイールシリンダ32,34,50,52の各液圧が目標液圧に制御されつつ、ブレーキが作動させられる。リニア増圧弁80〜86およびリニア減圧弁90〜96の作動によるホイールシリンダの液圧の制御時にはマスタカット弁56,58が閉じられる。ブレーキペダル10の踏込みに基づいてホイールシリンダ圧が電気的に制御される場合には更に、シミュレータ開閉弁40が開かれ、加圧室20からストロークシミュレータ42にブレーキ液が排出され、踏力に応じた操作感が運転者に付与される。
本液圧ブレーキシステムにおいては、その製造当初にブレーキ液が真空充填される。また、真空充填後、フロントリニア減圧弁90,92に自励振動が発生した場合、真空充填に引き続いて、ブレーキ液に含まれる気泡の排除が行われる。リニア弁は、図4にフロントリニア減圧弁90を示すように、プランジャ室180が閉じこめになっており、気泡が滞留し易いが、フロントリニア減圧弁90と同様に構成された常閉のリニア増圧弁80〜86は、弁座128および弁子130に対して動力液圧源60側もホイールシリンダ32,34,50,52側も液圧が高くなり、エアが溶け込む機会が多く、自励振動が生じ難い。それに対し、リニア減圧弁はプランジャ室180側がリザーバ36に接続されていて液圧が高くなる機会がない。フロントリニア減圧弁90,92において、弁子130が弁座128から離間させられ、プランジャ室180側より液圧が高いフロントシリンダ32,34内のブレーキ液が液室178に流入し、減圧通路100の流通抵抗により液室178内の液圧が多少高くなるが、エアの溶け込みには不足なのである。そのため、エアが溶け込み難い上、フロントリニア減圧弁90,92はリヤリニア減圧弁94,96より制御すべき液圧が高くなる機会が多いために、開かれる際に自励振動が生じ易い。
そこで、本液圧ブレーキシステムについては、フロントリニア減圧弁90,92内部の気泡が重点的に排除されるように真空充填等が行われる。
そこで、本液圧ブレーキシステムについては、フロントリニア減圧弁90,92内部の気泡が重点的に排除されるように真空充填等が行われる。
図5に示す真空充填制御ルーチンに基づいてブレーキ液の真空充填を説明する。
真空充填時には、真空引き装置212およびブレーキ液充填装置214がリザーバ36に接続される。また、ECU200に替わって真空充填制御装置216がブレーキアクチュエータ14に接続され、ブレーキアクチュエータ14等を駆動するようにされる。そして、作業者により真空充填の開始が指示されれば、真空充填制御装置216において真空充填制御ルーチンが実行される。
真空充填時には、真空引き装置212およびブレーキ液充填装置214がリザーバ36に接続される。また、ECU200に替わって真空充填制御装置216がブレーキアクチュエータ14に接続され、ブレーキアクチュエータ14等を駆動するようにされる。そして、作業者により真空充填の開始が指示されれば、真空充填制御装置216において真空充填制御ルーチンが実行される。
真空充填は、まず、液圧ブレーキシステムを構成する全部の電磁弁を開状態として真空引き装置212により真空引きを行った後、ブレーキ液充填装置214によりリザーバ36からブレーキ液を圧送することによって行われる。ブレーキ液の充填は、本実施例においては、前期,後期の2期に分けて行われ、圧送前期である充填前期にフロントシリンダ32,34についてブレーキ液の充填が行われ、圧送後期である充填後期にリヤシリンダ50,52についてブレーキ液の充填が行われる。フロントシリンダ32,34へのブレーキ液の充填時には、マスタカット弁56,58,リニア増圧弁80〜86,リヤリニア減圧弁94,96およびシミュレータ開閉弁40が閉じられる。そのため、充填シリンダ220により供給されるブレーキ液は、リザーバ36からリザーバ通路68,減圧通路100を通ってフロントリニア減圧弁90,92の液室178内に流入し、フロントリニア減圧弁90,92が開かれるとき、弁座128と弁子130との間の隙間を通ってフロントシリンダ32,34へ流入する。リザーバ36からフロントリニア減圧弁90,92を通ってフロントシリンダ32,34へブレーキ液が圧送されることにより、フロントリニア減圧弁90,92の内部、特に、プランジャ室180内の液圧が増大する。シミュレータ開閉弁40,リニア増圧弁80〜86,マスタカット弁56,58およびリヤリニア減圧弁94,96が閉じられているため、リザーバ36から圧送されるブレーキ液は、全部の電磁弁のうち、フロントリニア減圧弁90,92のみを流れ、そのブレーキ液に十分な圧力がかかり、プランジャ室180内部のエアがブレーキ液によく溶け込む。また、フロントシリンダ32,34に流入するブレーキ液はすべてフロントリニア減圧弁90,92を通過し、ブレーキ液の通過時間が長く、フロントリニア減圧弁90,92内のエア排除を十分に行うことができる。
充填前期においてフロントシリンダ32,34にブレーキ液が満ちるまでの間、フロントリニア減圧弁90,92が繰り返し開閉させられる。その結果、フロントリニア減圧弁90,92の弁子と弁座とのシール部のリザーバ36側とフロントシリンダ側とにおける液圧の比が、例えば、10:0,10:2,10:4,10:6,10:8,10:10というように段階的に変化する。それに伴って、液室178内にブレーキ液の激しい流れが生じ、プランジャ室180へのブレーキ液の衝撃的な流れが生じ易く、プランジャ室180内のエアが良好に排除される。フロントシリンダ32,34の開閉が行われない場合には、プランジャ室180内へブレーキ液が一度に流入してしまうのに対し、開閉が行われれば、プランジャ室180内のブレーキ液の流れの変化が激しくなり、脈動が発生させられ、プランジャ室180の壁面に付着している気泡の剥離とブレーキ液への溶け込みとが促される。なお、フロントリニア減圧弁90,92は1回開閉させるのみでも効果があるが、複数回、連続的に開閉させることが望ましい。また、フロントリニア減圧弁90,92の開度は100%とすることが望ましいが、100%より小さくしてもよい。開度が大きいほど、大きい脈動が発生させられる。
ブレーキ液の充填は、リヤシリンダ50,52への充填開始から設定時間が経過するまで行われる。車両組立ラインのタクトタイムの都合等で、真空充填時間を十分に取ることができない場合には、リヤシリンダ50,52にブレーキ液が十分充填されない事態や、気泡が残る事態が発生することがあり得る。しかし、本液圧ブレーキシステムにおいては、リヤシリンダ50,52はマスタシリンダ12に接続されていないため、運転者によるブレーキペダル10の踏込み感覚に悪影響を及ぼすことはない。また、リヤリニア減圧弁94,96のプランジャ室にエアが残ることもあり得るが、リヤシリンダ50,52の液圧はフロントシリンダ32,34に比較して低いため、自励振動の発生確率が低く、問題はない。
真空充填制御ルーチンのステップ1(以後、S1と略記する。他のステップについても同じ。)においては、液圧ブレーキシステムを構成する全部の電磁弁が開状態とされる。常閉弁についてソレノイドへの電流供給指示が出され、シミュレータ開閉弁40,リニア増圧弁80〜86およびフロントリニア減圧弁90,92が開かれるのである。次いでS2が実行され、真空引きが開始される。真空タンクがリザーバ36に連通させられ、液圧ブレーキシステム内の空気が吸引されるのである。
そして、S3において真空引きが完了したか否かの判定が行われる。この判定は、圧力センサ218により検出される圧力が設定値以下になったか否かにより行われる。液圧ブレーキシステム内の圧力が設定値より高い間、S3の判定結果がNOになってS3が繰り返し実行され、設定値以下になれば、S3の判定結果がYESになってS4が実行され、真空引きが停止される。真空タンクのリザーバ36との連通が遮断されるのである。
次いで、ブレーキ液の充填が行われる。前述のように、ブレーキ液の充填は2期に分けて行われる。そのため、S5において前期充填のための準備が行われ、リヤリニア減圧弁94,96,全部のリニア増圧弁80〜86,マスタカット弁56,58およびシミュレータ開閉弁40が閉状態とされる。そして、S6が実行され、ブレーキ液の充填が開始され、ブレーキ液充填装置214によりリザーバ36からブレーキ液が圧送される。ブレーキ液は、予め溶解気体が排除された脱気ブレーキ液が圧送される。この際、マスタカット弁56,58,リニア増圧弁80〜86,リヤリニア減圧弁94,96が閉じられているため、ブレーキ液はリザーバ36からリザーバ通路68,減圧通路100を通ってフロントリニア減圧弁90,92を通過し、フロントシリンダ32,34に送り込まれる。
そして、S7が実行されてフラグF1がセットされているか否かが判定される。フラグF1は、セットされることにより前期充填が完了したことを記憶する。前期充填が完了しておらず、フラグF1がリセットされていれば、S7の判定結果はNOになってS8が実行され、フロントシリンダ32,34にブレーキ液が到達したか否かが判定される。ここにおいてフロントシリンダ32,34へのブレーキ液の到達は、フロントシリンダ32,34にブレーキ液が充填され、満ちることである。充填開始からフロントシリンダ32,34にブレーキ液が到達するまでの時間は、車両設計上、予め取得され、設定されており、S8においては、その設定時間が経過したか否かの判定が行われる。また、本実施例では、設定時間は、フロントリニア減圧弁90,92の開閉が行われることを考慮して設定されている。設定時間が経過していなければ、S8の判定結果がNOになってS9が実行され、フロントリニア減圧弁90,92が1回、開閉させられる。設定時間が経過するまでS8,S9が繰り返し実行され、フロントシリンダ32,34にブレーキ液が到達するまでの間、フロントリニア減圧弁90,92が複数回、開閉させられる。
設定時間が経過し、フロントシリンダ32,34にブレーキ液が到達し、充填されたとすることができる状態になれば、S8の判定結果がYESになってS10が実行され、後期充填の準備が為される。全部のリニア増圧弁80〜86,全部のリニア減圧弁90〜96,マスタカット弁56,58およびシミュレータ開閉弁40が開かれるのである。それにより、ブレーキ液がリヤシリンダ50,52にも充填されるとともに、ブレーキ液がストロークシミュレータ42等にも流れる。S10においてはまた、フラグF1がセットされる。そして、S7が実行され、フラグF1がセットされているか否かが判定されるが、この判定結果はYESになってS11が実行され、液圧ブレーキシステム全体についてブレーキ液の充填が完了したか否かの判定が行われる。この判定は、例えば、後期充填の開始後(S11が初めて実行された後)、設定時間が経過したか否かにより行われる。後期充填の開始後、液圧ブレーキシステム全体にブレーキ液が充填されるのに要する時間は、車両設計上、予め取得され、設定されており、S11の判定は、この設定時間が経過したか否かにより行われる。設定時間が経過するまでS11が繰り返し実行される。
ブレーキ液の後期充填開始から設定時間が経過すれば、S11の判定結果がYESになってS12が実行され、ブレーキ液の充填が停止されるとともに、常閉の電磁弁の各ソレノイドコイルへの電流供給が断たれ、全部の電磁弁がノーマル状態とされる。また、フラグF1がリセットされる。図示は省略するが、前期,後期の各充填の時間を計測するタイマも0にリセットされる。真空充填終了処理が行われるのである。なお、フラグF1の設定およびS7の実行を省略し、S6の実行後、S8を実行し、S10の実行後にS11を実行するようにしてもよい。
なお、ブレーキ液充填時にフロントリニア減圧弁90,92を1回のみ、開閉させる場合には、例えば、ブレーキ液の圧送開始から、フロントシリンダ32,34にブレーキ液が到達するまでの間のいずれかの時期であって、フロントリニア減圧弁90,92をブレーキ液が流れている状態で行われる。
真空充填後、液圧ブレーキシステムにおいてフロントリニア減圧弁90,92に自励振動が発生するか否かの検査が行われ、自励振動が発生する液圧ブレーキシステムについては、ブレーキ液の加圧による気泡の排除と、フロントシリンダ32,34からのブレーキ液の流出を許容した状態でのリザーバ36からのブレーキ液の圧送による気泡の排除とのいずれか一方が行われる。自励振動の発生検査は、例えば、車両のイグニッションスイッチをONとした状態でブレーキペダル10を踏み込み、液圧制御弁装置62等を作動させることにより行われ、振動が発生し、騒音が発生すれば、自励振動が生じたことがわかる。そして、予め定められた条件に従って、例えば、自励振動の大きさに応じて、ブレーキ液の加圧による気泡の排除と、ブレーキ液の流出を許容した状態でのリザーバ36からのブレーキ液の圧送による気泡の排除とのいずれを行うかが決められる。例えば、自励振動が大きい場合にブレーキ液の加圧による気泡の排除を行い、小さい場合にフロントシリンダ32,34からのブレーキ液の流出を許容した状態での気泡の排除を行うのである。
ブレーキ液の加圧による気泡の排除は、本実施例では、全部の電磁弁がノーマル状態とされた状態で行われる。動力液圧源60とリニア増圧弁80〜86との間のブレーキ液は、リザーバ36からポンプ70を経て加圧され、リザーバ36からフロントリニア減圧弁90,92,リヤシリンダ50,52,リヤリニア増圧弁84,86のリヤシリンダ50,52側の部分(リヤシリンダ50,52を含む)までのブレーキ液は、リザーバ通路68,減圧通路100からのブレーキ液を介して加圧される。また、マスタシリンダ12からフロントリニア増圧弁80,82のフロントシリンダ32,34側の部分までの部分,フロントリニア減圧弁90,92のフロントシリンダ32,34側の部分までの部分およびフロントシリンダ32,34までの部分(フロントシリンダ32,34を含む)のブレーキ液はマスタシリンダ12側から加圧される。この加圧により微小な気泡のブレーキ液への溶け込みが進行する。
また、設定時間Ta毎にフロントリニア増圧弁80,82が開かれて動力液圧源60からフロントリニア減圧弁90,92へ高圧のブレーキ液が供給されるとともに、その状態でフロントリニア減圧弁90,92が開閉させられる。フロントリニア減圧弁90,92が開かれることにより、フロントリニア減圧弁90,92のリザーバ36側の部分の液圧が一時的に相当高くなるとともに、プランジャ室180内に脈動が生じさせられ、プランジャ室180内の気泡の壁面からの剥がしと溶け込みとが促進される。この際、マスタカット弁56,58は閉じられる。そのため、フロントリニア増圧弁80,82が開かれたとき、高圧のブレーキ液がマスタシリンダ12側へ流れることがなく、フロントリニア減圧弁90,92に高い液圧が確実に作用する。また、フロントリニア減圧弁90,92の開度は100%とすることが望ましいが、100%より小さくしてもよい。
ブレーキ液の加圧による気泡の排除を、図6に示すブレーキ液加圧制御ルーチンに基づいて説明する。
ブレーキ液の加圧が行われる前に予めポンプ70が作動させられ、アキュムレータ74の液圧が上限値まで高められている。そして、ブレーキ液圧送装置252によってブレーキ液が加圧されるときには、図2に示すように、ブレーキ液圧送装置252がリザーバ36に接続される。また、ブレーキ液圧送制御装置254がECU200に替わってブレーキアクチュエータ14に接続される。
ブレーキ液の加圧が行われる前に予めポンプ70が作動させられ、アキュムレータ74の液圧が上限値まで高められている。そして、ブレーキ液圧送装置252によってブレーキ液が加圧されるときには、図2に示すように、ブレーキ液圧送装置252がリザーバ36に接続される。また、ブレーキ液圧送制御装置254がECU200に替わってブレーキアクチュエータ14に接続される。
作業者によりブレーキ液の加圧実行が指示されれば、ブレーキ液加圧制御ルーチンが開始され、S21が実行されてブレーキ液の加圧が開始される。液圧ブレーキシステムには、真空充填によりブレーキ液が充填されており、ブレーキ液圧送装置252のブレーキ液圧送動作によりブレーキ液が加圧される。液圧ブレーキシステムを構成する全部の電磁弁は、ソレノイドへの電流供給が断たれてノーマル状態にあり、常閉のリニア弁においては、弁座に着座させられた弁子の両側(高圧側と低圧側)においてそれぞれブレーキ液が加圧され、リニア弁の過熱を回避しつつ、リニア弁内部のブレーキ液が加圧される。
次いでS22が実行され、加圧を終了するか否かの判定が行われる。この判定は、加圧開始から設定時間が経過したか否かにより行われる。設定時間が経過していなければ、S22の判定結果はNOになってS23が実行され、設定時間Taが経過したか否かが判定される。設定時間Taは加圧時間より短く設定されている。設定時間Taが経過するまで、S23の判定結果はNOになってルーチンの実行はS22へ戻る。
設定時間Taが経過すれば、S23の判定結果がYESになってS24が実行され、マスタカット弁56,58およびリヤリニア減圧弁94,96が閉じられる。また、シミュレータ開閉弁40が開かれる。次いでS25が実行され、フロントリニア増圧弁80,82が開かれる。ここではフロントリニア減圧弁90,92は閉じられているため、動力液圧源60の高圧のブレーキ液によりフロントシリンダ32,34の液圧およびフロントリニア減圧弁90,92のフロントリニア増圧弁80,82側の液圧が高められる。この際、マスタカット弁56,58が閉じられているため、動力液圧源60の高圧のブレーキ液がリザーバ36に戻ることがなく、フロントシリンダ32,34等の液圧が高められる。そして、S26が実行され、設定時間Tbが経過したか否かが判定される。設定時間Tbは、フロントシリンダ32,34の液圧等が動力液圧源60の液圧(ここではアキュムレータ74の上限圧)まで高くなるのに十分な時間である。
設定時間Tbが経過するまでS26が繰り返し実行される。設定時間Tbが経過すれば、S26の判定結果がYESになってS27が実行され、フロントリニア減圧弁90,92が開閉させられる。フロントシリンダ32,34の液圧等が高められた状態でフロントリニア減圧弁90,92が開かれれば、フロントリニア減圧弁90,92の両側の圧力が等しくなり、フロントリニア増圧弁80,82側の部分の液圧が低下し、リザーバ36側の液圧は一時的に上昇し、プランジャ室180内の気泡の壁面からの剥がしと溶け込みとが促進される。フロントリニア減圧弁90,92は1回以上、開閉されればよく、1回のみでもよく、複数回、開閉させられてもよい。フロントリニア減圧弁90,92は、複数回、連続的に開閉させられることが望ましい。フロントリニア減圧弁90,92の開閉は、ノーマル状態で、すなわち閉じた状態で終わる。リヤリニア減圧弁94,96は開いておいてもよいが、本実施例では閉じられる。そのため、フロントリニア増圧弁80,82が開かれた状態でフロントリニア減圧弁90,92が開かれるとき、動力液圧源60の液圧がリヤシリンダ50,52に供給されず、フロントリニア減圧弁90,92の液圧が高くなる。
フロントリニア減圧弁90,92が設定回数、開閉させられた後、S28が実行され、マスタカット弁56,58が開かれ、フロントリニア増圧弁80,82が閉じられ、リヤリニア減圧弁94,96が開かれるとともに、シミュレータ開閉弁40が閉じられる。全部の電磁弁がノーマル状態とされるのである。また、設定時間Ta,Tbを計測するタイマT1,T2が0にリセットされる。常閉弁であるシミュレータ開閉弁40は、フロントリニア増圧弁80,82が開かれてフロントリニア減圧弁90,92の開閉が行われる間、開かれ、ストロークシミュレータ42についてもブレーキ液が加圧される。そして、S29においてポンプ作動信号が出力され、ルーチンの実行はS22へ戻る。このポンプ作動信号は、圧力スイッチ78からポンプモータ72の駆動回路に供給される起動信号と同じ信号とされる。そのため、ポンプ70が作動させられ、次に設定時間Taが経過するまでの間に、アキュムレータ74の液圧が次のフロントリニア減圧弁90,92の開閉に備えて上限圧に高められる。
加圧開始から設定時間が経過するまで、S22〜S29が繰り返し実行される。ブレーキ液の加圧が設定時間行われれば、S22の判定結果がYESになってS30が実行されて加圧終了処理が行われ、ブレーキ液の圧送が停止させられ、加圧が終了させられるとともに、タイマT1が0にリセットされる。図示は省略するが、S22において加圧時間を計測するタイマもリセットされる。
フロントシリンダ32,34からのブレーキ液の流出を許容した状態でリザーバ36からブレーキ液を圧送することによる気泡の排除を説明する。
本実施例においては、ブレーキ液をフロントリニア減圧弁90,92を通ってフロントシリンダ32,34から流出させるが、リヤシリンダ50,52からは流出させず、フロントリニア減圧弁90,92について気泡が排除されるように制御が行われる。ブレーキ液流出時には、図3に示すように、フロントシリンダ32,34と前記ブレーキ液タンク224とが液通路280,282により接続され、ブレーキ液が大気に触れることなくブレーキ液タンク224へ回収されるとともに、ブレーキ液圧送装置272によって液圧ブレーキシステムへ圧送され、循環させられるようにされる。ブレーキ液圧送システム270は、ブレーキ液循環システムでもあるのである。また、ブレーキ液タンク224へ回収されたブレーキ液は脱気装置288により脱気され、ブレーキ液圧送装置272は脱気されたブレーキ液を液圧ブレーキシステムに圧送する。圧送されつつ、フロント側のブレーキ液が脱気ブレーキ液に置換される。ブレーキ液の圧送に先立って、液圧ブレーキシステム内のブレーキ液を脱気ブレーキ液に置換しておいてもよい。さらに、予めポンプモータ72が作動させられ、ブレーキ液流出時にアキュムレータ74の液圧が上限値まで高められているようにされる。
本実施例においては、ブレーキ液をフロントリニア減圧弁90,92を通ってフロントシリンダ32,34から流出させるが、リヤシリンダ50,52からは流出させず、フロントリニア減圧弁90,92について気泡が排除されるように制御が行われる。ブレーキ液流出時には、図3に示すように、フロントシリンダ32,34と前記ブレーキ液タンク224とが液通路280,282により接続され、ブレーキ液が大気に触れることなくブレーキ液タンク224へ回収されるとともに、ブレーキ液圧送装置272によって液圧ブレーキシステムへ圧送され、循環させられるようにされる。ブレーキ液圧送システム270は、ブレーキ液循環システムでもあるのである。また、ブレーキ液タンク224へ回収されたブレーキ液は脱気装置288により脱気され、ブレーキ液圧送装置272は脱気されたブレーキ液を液圧ブレーキシステムに圧送する。圧送されつつ、フロント側のブレーキ液が脱気ブレーキ液に置換される。ブレーキ液の圧送に先立って、液圧ブレーキシステム内のブレーキ液を脱気ブレーキ液に置換しておいてもよい。さらに、予めポンプモータ72が作動させられ、ブレーキ液流出時にアキュムレータ74の液圧が上限値まで高められているようにされる。
フロントシリンダ32,34からのブレーキ液の流出による気泡の排除は設定時間Tcの間、行われるが、フロントリニア減圧弁90,92のみを経てフロントシリンダ32,34にブレーキ液を流すため、フロントリニア減圧弁90,92が開かれ、マスタカット弁56,58が閉じられる。リヤシリンダ50,52は、ブレーキ液タンク224に接続されず、ブレーキ液が流出させられないため、リヤリニア減圧弁94,96は開いたままとされる。ブレーキ液はフロントシリンダ32,34のみから流出させられるため、フロントリニア減圧弁90,92について十分なブレーキ液の流れが確保され、プランジャ室180内のエアの排除がより確実に行われる。液通路280,282にはそれぞれ絞り284,286が設けられているため、ブレーキシステム内のブレーキ液の液圧が高くなり、ブレーキシステム内のエアのブレーキ液への溶け込みが促される。
過熱を防止するために、フロントリニア減圧弁90,92およびマスタカット弁56,58のソレノイドコイルへの電流供給は、設定時間Td行われては、設定時間Tf停止される。この間、プランジャポンプ276は作動し続け、ブレーキ液はマスタカット弁56,58を通ってフロントシリンダ32,34から流出し続けるとともに、シミュレータ開閉弁40が開かれ、シミュレータ42にブレーキ液が流入するようにされる。また、ブレーキ液の流出が許容される設定時間Tdの間、設定時間Te毎にフロントリニア増圧弁80,82が1回以上開閉させられる。それにより、フロントリニア減圧弁90,92のプランジャ室180内のエアの排除が促進される。また、フロントリニア増圧弁80,82の開度は100%とすることが望ましいが、100%より小さくしてもよい。
ブレーキ液流出時には、前述のように、フロントシリンダ32,34とブレーキ液タンク224とが接続される他、ブレーキ液圧送装置272がリザーバ36に接続されるとともに、ブレーキ液圧送制御装置274がECU200に替わってブレーキアクチュエータ14に接続される。作業者によりブレーキ液の流出が指示されれば、図7に示すブレーキ液流出許容圧送制御ルーチンが開始され、まず、S41が実行され、プランジャポンプ276が作動させられてブレーキ液の圧送が開始される。次いでS42が実行され、マスタカット弁56,58が閉じられるとともに、フロントリニア減圧弁90,92が開かれる。それにより、ブレーキ液はリザーバ36からフロントリニア減圧弁90,92を通ってフロントシリンダ32,34へ流入し、フロントシリンダ32,34から液通路280,282を通ってブレーキ液タンク224へ戻され、脱気装置288により脱気されて再びリザーバ36から液圧ブレーキシステムへ圧送される。そして、S43が実行され、設定時間Tcが経過したか否かが判定される。設定時間Tcが経過するまで、S43の判定結果はNOになってS44が実行され、フラグF2がセットされているか否かが判定される。フラグF2は、セットされることにより、設定時間Tdが経過したことを記憶する。設定時間Tdが経過しておらず、フラグF2がリセットされていれば、S44の判定結果はNOになってS45が実行され、設定時間Tdが経過したか否かの判定が行われる。この判定結果は設定時間Tdが経過するまでNOであり、S46が実行され、設定時間Teが経過したか否かが判定される。この判定も、設定時間Teが経過するまでNOであり、ルーチンの実行はS43に戻る。
設定時間Teは設定時間Tdより短く、設定時間Tdが経過してS45の判定結果がYESになる前にS46の判定結果がYESになってS47が実行され、フロントリニア増圧弁80,82が開閉させられる。開閉回数は、1回以上であればよく、1回のみでもよく、複数回でもよい。複数回、連続的に開閉させることが望ましい。フロントリニア増圧弁80,82が開かれれば、高圧のブレーキ液がフロントリニア減圧弁90,92およびフロントシリンダ32,34へ送られる。それにより、フロントホイールシリンダ通路102,104,減圧通路100,リザーバ通路68内のブレーキ液の慣性と流通抵抗とに基づいてフロントリニア減圧弁90,92内の液圧が相当高くなり、フロントリニア減圧弁90,92内に液圧変動が生じ、プランジャ室180にブレーキ液の流れが生じるとともに、脈動が発生させられて、プランジャ室180の壁面に付着している気泡の剥離とブレーキ液への溶込みとが促進され、プランジャ室180のエアの排除が一層良好に行われる。
フロントリニア増圧弁80,82の開閉後、S48が実行され、設定時間Teを計測するタイマT5が0にリセットされるとともに、ポンプ作動信号が出力されてポンプモータ72が起動され、ポンプ70が作動させられてアキュムレータ74の液圧が上限圧に高められる。そして、ルーチンの実行はS43に戻る。
設定時間Tdが経過するまでの間、設定時間Teが経過する毎にS46の判定結果がYESになってS47が実行され、フロントリニア増圧弁80,82の開閉が行われる。設定時間Tdが経過すれば、S45の判定結果がYESになってS49が実行され、マスタカット弁56,58およびフロントリニア減圧弁90,92の各ソレノイドへの電流供給が遮断され、マスタカット弁56,58が開かれるとともに、フロントリニア減圧弁90,92が閉じられる。また、シミュレータ開閉弁40が開かれる。ブレーキ液圧送装置272は作動させられたままであり、ブレーキ液は、マスタカット弁56,58を通ってフロントシリンダ32,34へ流れ、フロントシリンダ32,34からブレーキ液タンク224へ流出する。また、ストロークシミュレータ42にもブレーキ液が流入,流出させられ、気泡がブレーキ液と共に流され、排除されるようにされる。S49においてはまた、設定時間Tdを計測するタイマT4が0にリセットされるとともに、フラグF2がセットされる。
次いでS50が実行され、設定時間Tdの経過後、設定時間Tfが経過したか否かが判定される。設定時間Tfが経過するまでS50の判定結果はNOであり、ルーチンの実行はS43に戻る。フラグF2がセットされているため、次にS44が実行されるとき、その判定結果はYESになってS50が実行される。設定時間Tfが経過するまで、S43,S44,S50が繰り返し実行され、設定時間Tfが経過すれば、S50の判定結果がYESになってS51が実行され、設定時間Tfを計測するタイマT6が0にリセットされ、フラグF2がリセットされるとともに、シミュレータ開閉弁40が閉じられた後、ルーチンの実行はS42に戻る。それにより、再び、マスタカット弁56,58が閉じられるとともに、フロントリニア減圧弁90,92が開かれ、ブレーキ液がフロントリニア弁90,92を通ってフロントシリンダ32,34から流出させられる。また、設定時間毎にフロントリニア増圧弁80,82が開閉させられる。
シミュレータ開閉弁40は、フロントリニア減圧弁90,92が開かれてブレーキ液が流される間、ソレノイドコイルへの電流供給が遮断されて過熱が防止され、マスタカット弁56,58,フロントリニア増圧弁80,82,フロントリニア減圧弁90,92は、設定時間Tdが経過する毎に、設定時間Tfの間であって、シミュレータ開閉弁40が開かれる間、ソレノイドコイルへの電流供給が遮断されて過熱が防止される。
このようにフロントシリンダ32,34からブレーキ液が流出させられる間、設定時間Tcが経過すれば、S43の判定結果がYESになってS52が実行され、全部の電磁弁がノーマル状態にされる。また、ブレーキ液の圧送が停止され、タイマT3,T4,T5,T6が0にリセットされるとともに、フラグF2がリセットされてルーチンの実行は終了する。
以上の説明から明らかなように、本実施例において加圧装置は、運転者の操作による液圧源であるマスタシリンダ12を備えるとともに、動力液圧源60を備えており、フロントリニア増圧弁80,82が第一リニア増圧弁を構成し、フロントリニア減圧弁90,92が第一リニア減圧弁を構成し、フロントリニア増圧弁84,86が、複数の増圧弁のうち第二リニア減圧弁に対応するものである第二リニア増圧弁を構成し、リヤリニア減圧弁94,96が第二リニア減圧弁を構成している。また、真空充填制御装置216のS1〜S4を実行する部分が真空引き制御部を構成し、S5〜S12を実行する部分がブレーキ液充填制御部を構成し、S5,S8を実行する部分が前期充填制御部を構成し、S10,S11を実行する部分が後期充填制御部を構成し、S5を実行する部分が、気泡排除制御部としての一部リニア減圧弁圧力増大気泡排除制御部たるフロントリニア減圧弁圧力増大気泡排除部を構成し、S9を実行する部分が脈動発生気泡排除制御部としてのリニア弁開閉気泡排除促進部ないしリニア弁開閉気泡排除制御部であって、リニア減圧弁開閉気泡排除促進部たるフロントリニア減圧弁開閉気泡排除促進部を構成している。
また、ブレーキ液圧送制御装置254のS21〜S30を実行する部分が気泡排除制御部としてのブレーキ液加圧制御部を構成し、S24〜S27を実行する部分が、リニア弁開閉気泡排除促進部としての高圧供給下リニア減圧弁開閉気泡排除促進部たる高圧供給下フロントリニア減圧弁開閉気泡排除促進部を構成している。
さらに、ブレーキ液圧送制御装置274のS41〜S52を実行する部分が気泡排除制御部としてのブレーキ液流出許容圧送制御部を構成し、S47を実行する部分がリニア弁開閉気泡排除促進部としてのブレーキ液流出時リニア増圧弁開閉気泡排除促進部たるブレーキ液流出時フロントリニア増圧弁開閉気泡排除促進部を構成している。
また、ブレーキ液圧送制御装置254のS21〜S30を実行する部分が気泡排除制御部としてのブレーキ液加圧制御部を構成し、S24〜S27を実行する部分が、リニア弁開閉気泡排除促進部としての高圧供給下リニア減圧弁開閉気泡排除促進部たる高圧供給下フロントリニア減圧弁開閉気泡排除促進部を構成している。
さらに、ブレーキ液圧送制御装置274のS41〜S52を実行する部分が気泡排除制御部としてのブレーキ液流出許容圧送制御部を構成し、S47を実行する部分がリニア弁開閉気泡排除促進部としてのブレーキ液流出時リニア増圧弁開閉気泡排除促進部たるブレーキ液流出時フロントリニア増圧弁開閉気泡排除促進部を構成している。
上記ブレーキ液の加圧およびブレーキ液の流出許容圧送によるフロントリニア減圧弁90,92内部の気泡の排除は、既にブレーキ液の充填された液圧ブレーキシステムにおいて、フロントリニア減圧弁に自励振動が発生した場合の対策として行うこともでき、真空充填に引き続いてではないが、真空充填後に行うことができ、真空充填とは独立にも行うことができる。例えば、既に使用されている車両の液圧ブレーキシステムにおいて、フロントリニア減圧弁90,92に自励振動が発生する場合の対策とすることができ、ブレーキ液の充填が真空充填とは別の態様で行われた液圧ブレーキシステムについても自励振動対策として行うことができる。ブレーキ液の加圧により気泡を排除する場合には、ブレーキ液の加圧に先立って液圧ブレーキシステムの全部のブレーキ液が脱気ブレーキ液と交換される。現に充填されているブレーキ液が抜かれ、脱気ブレーキ液が充填されるのである。その後、ブレーキ液圧送装置252がリザーバ36に接続されるとともに、ブレーキ液圧送制御装置254がECU200に替わってブレーキアクチュエータ14に接続され、ブレーキ液加圧制御ルーチンが実行されて、液圧ブレーキシステムに充填されたブレーキ液が加圧される。また、フロントリニア減圧弁90,92を経てフロントシリンダ32,34からブレーキ液を流出させることにより気泡を排除する場合には、例えば、加圧時と同様に、液圧ブレーキシステムのブレーキ液が脱気ブレーキ液に交換された後、ブレーキ液圧送装置272がリザーバ36に接続されるとともに、ブレーキ液圧送制御装置274がECU200に替わってブレーキアクチュエータ14に接続され、ブレーキ液流出許容圧送制御ルーチンが実行され、フロントリニア減圧弁90,92を通ってフロントシリンダ32,34からブレーキ液が流出させられる。あるいはブレーキ液を流出させつつ、脱気ブレーキ液と置換する。
上記実施例においてはそれぞれ、真空充填等が行われる場合には、真空充填制御装置216およびブレーキ液圧送制御装置254,274がECU200に替わってブレーキアクチュエータ14に接続され、電磁弁等を制御するようにされていたが、真空充填制御装置およびブレーキ液圧送制御装置がそれぞれ、ECU200と共同して真空充填,ブレーキ液加圧およびブレーキ液流出を制御するようにしてもよい。その実施例を図8ないし図13に基づいて説明する。
この場合、ECU200は、記憶部204に、図9に示す真空充填制御ルーチン,図11に示すブレーキ液加圧制御ルーチンおよび図13に示すブレーキ液流出許容圧送制御ルーチンが記憶され、それらを実行する。真空充填システムは、図示は省略するが、前記真空充填システム210と同様に構成されているが、真空充填制御装置の記憶部には図8に示す真空充填制御ルーチンが記憶され、ブレーキ液加圧用のブレーキ液圧送制御装置の記憶部には図10に示すブレーキ液加圧制御ルーチンが記憶され、ブレーキ液流出用のブレーキ液圧送制御装置の記憶部には図12に示すブレーキ液流出許容圧送制御ルーチンが記憶され、それらを実行する。ECU200はブレーキアクチュエータ14に接続されたままであり、真空充填制御装置およびブレーキ液圧送制御装置はそれぞれ、ECU200と信号線により接続され、信号の授受が行われ、それに基づいてプログラムが進行させられ、真空充填等が行われる。
真空充填を説明する。
真空充填は、制御が真空充填制御装置とECU200との共同で行われることを除いて前記実施例と同様に行われるため、前記実施例と異なる部分である真空充填制御装置とECU200との間における信号のやりとりを主として説明する。
真空充填は、制御が真空充填制御装置とECU200との共同で行われることを除いて前記実施例と同様に行われるため、前記実施例と異なる部分である真空充填制御装置とECU200との間における信号のやりとりを主として説明する。
真空充填システムにおいて作業者により真空充填の開始が指示されれば、図8に示す真空充填制御ルーチンのS61が実行され、真空充填の準備指示がECU200へ出力される。次いでS62が実行され、真空引きの開始が指示されたか否かの判定が行われる。真空引きが行われる際には、液圧ブレーキシステムを構成する全部の電磁弁が開状態とされる。電磁弁の開閉は、ECU200の制御により行われ、S62では、ECU200から電磁弁を開いたことを表す信号が供給されたか否かが判定される。
液圧ブレーキシステムにおいては、真空充填時には、真空充填制御装置216とECU200とが接続され、信号の授受が行われるようにされるとともに、イグニッションスイッチがONにされれば、図9に示す真空充填制御ルーチンが開始され、S71において、真空充填制御装置216から真空充填の準備を行う指示が供給されたか否かが判定される。真空充填の準備指示が供給されるまでS71が繰り返し実行され、供給されれば、S71の判定結果がYESになってS72が実行され、全部の電磁弁が開状態とされる。そして、S73が実行され、真空引きの開始指示が真空充填制御装置へ出力された後、S74において真空引きの完了が待たれる。
真空引き開始指示の出力により、S62の判定結果がYESになってS63が実行され、真空引きが開始される。真空タンクがリザーバ36に連通させられ、液圧ブレーキシステム内の内の空気が吸引されるのである。そして、S64において真空引きが完了したか否かが判定される。この判定は、ブレーキシステム内の圧力が設定値以下になったか否かにより行われる。
ブレーキシステム内の圧力が低下し、所定の真空が得られれば、S64の判定結果がYESになってS65が実行され、真空引きが停止させられるとともに、真空引きの完了がECU200へ出力される。そして、S66においてブレーキ液の充填開始が指示されたか否かが判定される。ブレーキ液の充填開始はECU200により指示される。
ECU200において実行されている真空充填制御ルーチンにおいては、真空充填制御装置からの真空引き完了の信号に基づいてS74の判定結果がYESになった後、S75が実行され、前述のように、前後2期に分けて行われるブレーキ液の充填のうち、前期充填のための準備が行われ、リヤリニア減圧弁94,96,全部のリニア増圧弁80〜86,マスタカット弁56,58およびシミュレータ開閉弁40が閉状態とされる。そして、S76においてブレーキ液充填開始指示が出力され、それにより、真空充填制御装置において実行されている真空充填制御ルーチンのS66の判定結果がYESになってS67が実行され、ブレーキ液の充填が開始される。その後、S68が実行され、ブレーキ液の充填が完了したか否かの判定が行われる。この判定は、ブレーキ液の充填開始後、設定時間が経過したか否かにより行われる。
ECU200において実行される真空充填制御ルーチンにおいては、フロントシリンダ32,34にブレーキ液が到達するまでの間、S77,S78が繰り返し実行され、フロントシリンダ32,34にブレーキ液が充填されつつフロントリニア減圧弁90,92が開閉させられて気泡の排除が促進される。
設定時間が経過し、フロントシリンダ32,34にブレーキ液が充填されれば、S77の判定結果はYESになってS79が実行され、後期充填の準備が為される。全部のリニア増圧弁80〜86,全部のリニア減圧弁90〜96,マスタカット弁56,58およびストロークシミュレータ42について設けられた電磁開閉弁40が開かれるのである。そして、S80が実行されてブレーキ液の充填が完了したか否かの判定が行われる。S80の判定は、真空充填制御装置からブレーキ液の充填完了を表す信号が供給されたか否かにより行われる。
ブレーキ液の充填開始から設定時間が経過すれば、S68の判定結果がYESになってS69が実行され、ブレーキ液の充填が停止させられるとともに、ブレーキ液充填完了が出力される。また、充填時間を計測するタイマがリセットされる。それにより、S80の判定結果がYESになってS81が実行され、全部の電磁弁がノーマル状態とされる。
ブレーキ液の加圧を図10および図11に示すブレーキ液加圧制御ルーチンに基づいて説明する。
ブレーキ液圧送システムにおいては、作業者によりブレーキ液の加圧が指示されれば、図10に示すブレーキ液加圧制御ルーチンが実行され、S91において加圧開始がECU200へ出力される。次いでS92においてブレーキ液の加圧が開始された後、S93において設定時間が経過したか否かが判定される。ブレーキ液の加圧に十分な時間が経過したか否かが判定されるのである。加圧設定時間が経過するまで、S93が繰り返し実行される。設定時間が経過すれば、S93の判定結果がYESになってS94が実行され、ブレーキ液の圧送が停止され、加圧が終了させられる。そして、S95において加圧終了指示がECU200へ出力される。また、加圧時間を計測するタイマがリセットされる。
ブレーキ液圧送システムにおいては、作業者によりブレーキ液の加圧が指示されれば、図10に示すブレーキ液加圧制御ルーチンが実行され、S91において加圧開始がECU200へ出力される。次いでS92においてブレーキ液の加圧が開始された後、S93において設定時間が経過したか否かが判定される。ブレーキ液の加圧に十分な時間が経過したか否かが判定されるのである。加圧設定時間が経過するまで、S93が繰り返し実行される。設定時間が経過すれば、S93の判定結果がYESになってS94が実行され、ブレーキ液の圧送が停止され、加圧が終了させられる。そして、S95において加圧終了指示がECU200へ出力される。また、加圧時間を計測するタイマがリセットされる。
ECU200においては、イグニッションスイッチがONにされることにより、図11に示すように、ブレーキ液加圧制御ルーチンが開始され、S101において加圧が開始されたか否かが判定される。ブレーキ液圧送制御装置から加圧開始が出力されたか否かが判定されるのである。加圧開始が出力されれば、S101の判定結果はYESになってS102が実行され、加圧が終了したか否かが判定される。この判定は、ブレーキ液圧送制御装置から加圧終了指示が出力されたか否かにより行われる。加圧が終了していなければ、S102の判定結果がNOになってS103ないしS109が実行され、設定時間Taが経過する毎に動力液圧源60から高圧のブレーキ液が供給された状態でフロントリニア減圧弁90,92が1回以上、開閉させられる。S103ないしS109は、前記図6に示すブレーキ液加圧制御ルーチンのS23ないしS29と同様に行われるため、説明を省略する。
加圧設定時間が経過し、ブレーキ液圧送制御装置から加圧終了指示が出力されれば、S102の判定結果はYESになってS110が実行され、タイマT1が0にリセットされてルーチンの実行が終了する。
ブレーキ液流出許容圧送制御を説明する。
ブレーキ液圧送システムにおいては、ブレーキ液の流出開始が作業者により指示されれば、図12に示すブレーキ液流出許容圧送制御ルーチンが開始され、ブレーキ液圧送装置によるブレーキ液の圧送が開始される。このブレーキ液流出許容圧送制御ルーチンは、前記図7に示すブレーキ液流出許容圧送制御ルーチンのS42,S49,S52において行われる電磁弁の開閉制御がそれぞれ、ECU200への電磁弁の開閉実行指示の出力とされたものであり、S122の実行により、フロントリニア減圧弁90,92を経たブレー
キ液の流出実行が指示され、S126の実行によりフロントリニア減圧弁90,92を経たブレーキ液の流出の休止が指示される。設定時間Tdが経過する毎に設定時間Tfの経過が待たれ、ブレーキ液の流出が休止させられる。この間、S123,S124,S127が繰り返し実行され、設定時間Tfが経過すれば、S122が実行されてブレーキ液流出実行指示が出され、フロントシリンダ30,32からブレーキ液が流出するようにされる。そして、設定時間Tcが経過すれば、S129の実行によりブレーキ液流出終了が指示される。それら指示にもとづいてECU200により、指示の実行に必要な電磁弁の開閉が制御される。但し、設定時間Te毎のフロントリニア増圧弁80,82の開閉は、ECU200のブレーキ液流出許容圧送制御ルーチンにおいて実行の有無が判定され、実行される。
ブレーキ液圧送システムにおいては、ブレーキ液の流出開始が作業者により指示されれば、図12に示すブレーキ液流出許容圧送制御ルーチンが開始され、ブレーキ液圧送装置によるブレーキ液の圧送が開始される。このブレーキ液流出許容圧送制御ルーチンは、前記図7に示すブレーキ液流出許容圧送制御ルーチンのS42,S49,S52において行われる電磁弁の開閉制御がそれぞれ、ECU200への電磁弁の開閉実行指示の出力とされたものであり、S122の実行により、フロントリニア減圧弁90,92を経たブレー
キ液の流出実行が指示され、S126の実行によりフロントリニア減圧弁90,92を経たブレーキ液の流出の休止が指示される。設定時間Tdが経過する毎に設定時間Tfの経過が待たれ、ブレーキ液の流出が休止させられる。この間、S123,S124,S127が繰り返し実行され、設定時間Tfが経過すれば、S122が実行されてブレーキ液流出実行指示が出され、フロントシリンダ30,32からブレーキ液が流出するようにされる。そして、設定時間Tcが経過すれば、S129の実行によりブレーキ液流出終了が指示される。それら指示にもとづいてECU200により、指示の実行に必要な電磁弁の開閉が制御される。但し、設定時間Te毎のフロントリニア増圧弁80,82の開閉は、ECU200のブレーキ液流出許容圧送制御ルーチンにおいて実行の有無が判定され、実行される。
ECU200においては、イグニッションスイッチがONにされることによりブレーキ液流出許容圧送制御ルーチンが実行され、S131において流出終了であるか否かが判定される。ブレーキ液圧送制御装置から流出終了指示が出されていなければ、S131の判定結果はNOになってS132が実行され、流出実行が指示されたか否かが判定される。流出実行が指示されていれば、S132の判定結果はYESになってS133が実行され、フラグF3がセットされているか否かが判定される。フラグF3は、セットされることにより、流出実行の指示に基づいてマスタカット弁56,58を閉じ、フロントリニア減圧弁90,92を開いたことを記憶する。フラグF3がセットされていなければ、S133の判定結果はNOになってS134が実行され、マスタカット弁56,58が閉じられ、シミュレータ開閉弁40が閉じられるとともに、フロントリニア減圧弁90,92が開かれる。また、フラグF3がセットされ、フラグF4がリセットされる。それにより、ブレーキ液がフロントリニア減圧弁90,92を通ってフロントシリンダ32,34から流出させられる。
次いでS135が実行され、設定時間Teが経過したか否かが判定される。S135が実行される毎にタイマT5により時間がカウントされ、設定時間Teが経過したか否かが判定される。設定時間Teが経過していなければ、S135の判定結果はNOになってルーチンの実行はS131に戻る。フラグF3がセットされることにより、次にS133が実行されるとき、その判定結果はYESになってS135が実行される。ブレーキ液の流出実行が指示されている間に設定時間Teが経過すれば、S135の判定結果がYESになってS136が実行され、フロントリニア増圧弁80,82が開閉させられる。開閉後、S137が実行されてポンプ作動信号が出力されるとともに、タイマT5が0にリセットされてルーチンの実行はS131に戻る。
流出実行指示に替わって流出休止が指示されれば、S132の判定結果がNOになってS138が実行され、フラグF4がセットされているか否かが判定される。フラグF4はセットされることにより、フロントリニア減圧弁90,92を経たブレーキ液の流出が休止中であることを記憶する。フラグF4がリセットされていれば、S138の判定結果はNOになってS139が実行され、マスタカット弁56,58が開かれ、シミュレータ開閉弁40が開かれるとともに、フロントリニア減圧弁90,92が閉じられる。フロントリニア減圧弁90,92を経たブレーキ液の流出は休止させられても、プランジャポンプは作動を続けており、リザーバ36から圧送されたブレーキ液は、シミュレータ42について流入,流出させられるとともに、フロントシリンダ32,34から流出させられる。また、フラグF3がリセットされ、フラグF4がセットされてルーチンの実行はS131に戻る。次に流出実行が指示されるまでS131,S132,S138が実行され、流出実行が指示されれば、S132の判定結果がイグニッションスイッチになってS133以下のステップが実行される。
流出終了までS132〜S137とS138およびS139とが交互に実行される。流出実行中あるいは流出休止中に流出終了が指示されれば、S131の判定結果がYESになってS140が実行され、全部の電磁弁がノーマル状態とされる。また、タイマT5が0にリセットされ、フラグF3,F4がリセットされる。
本実施例においては、ECU200と真空充填制御装置およびブレーキ液圧送制御装置とが共同して制御を行い、それぞれ、前記真空引き制御部等、各種制御部等を構成する。なお、ECU200において真空充填制御ルーチン,ブレーキ液加圧制御ルーチンおよびブレーキ液流出許容圧送制御ルーチンはそれぞれ、真空充填時,ブレーキ液加圧時およびブレーキ液流出許容圧送時のみに行われるようにされる。
本実施例においては、ECU200と真空充填制御装置およびブレーキ液圧送制御装置とが共同して制御を行い、それぞれ、前記真空引き制御部等、各種制御部等を構成する。なお、ECU200において真空充填制御ルーチン,ブレーキ液加圧制御ルーチンおよびブレーキ液流出許容圧送制御ルーチンはそれぞれ、真空充填時,ブレーキ液加圧時およびブレーキ液流出許容圧送時のみに行われるようにされる。
なお、フロントリニア減圧弁が常開弁である場合にも、常閉弁である場合と同様に、真空充填,ブレーキ液の加圧およびブレーキ液の流出を行うことができる。
また、リヤリニア減圧弁について、フロントリニア減圧弁と同様に真空充填,ブレーキ液の加圧およびリヤシリンダからのブレーキ液の流出を行って、気泡が排除されるようにしてもよい。真空充填時には、フロントシリンダへのブレーキ液への充填に先立ってリヤシリンダへのブレーキ液の充填を行い、リヤリニア減圧弁に十分な圧力がかかった状態で充填を行うのである。また、リヤリニア減圧弁をフロントリニア減圧弁の場合と同様に開閉させる。フロントシリンダとリヤシリンダとのいずれについて先にブレーキ液を充填する場合でも、前のシリンダへのブレーキ液の充填時に、そのシリンダに対応するリニア減圧弁を開閉させるとともに、後のシリンダへのブレーキ液の充填時に、そのシリンダに対応するリニア減圧弁を開閉させてもよい。
真空充填時におけるブレーキ液の充填は、全部のホイールシリンダについて同時に行ってもよい。この場合、リニア減圧弁の開閉は、フロントとリヤとにおいて同時に行ってもよく、設定回数ずつ交互に行ってもよく、フロントとリヤとの一方のみについて行ってもよい。
さらに、ブレーキ液の加圧時に、リヤリニア増圧弁を開いた状態でリヤリニア減圧弁を開閉させてもよく、リニア増圧弁を開いた状態でのリニア減圧弁の開閉を、フロントとリヤとにおいて設定回数ずつ交互に行ってもよく、同時に行ってもよい。ブレーキ液の加圧が真空充填に引き続いて行われる場合も、自励振動発生時に行われる場合も同様である。
また、上記各実施例においてはフロントリニア減圧弁のみについてブレーキ液の流出制御が行われていたが、リヤリニア減圧弁のみについて行ってもよく、フロントとリヤとについて交互に行ってもよい。ブレーキ液の流出時には、ブレーキ液が流出させられるホイールシリンダに対応するリニア増圧弁を開閉させて気泡の排除を促進する。あるいは全部のホイールシリンダから同時にブレーキ液を流出させ、リニア減圧弁内の気泡を排除するようにしてもよい。フロントおよびリヤのホイールシリンダについてブレーキ液を同時に流出させる場合、リニア増圧弁の開閉は、フロントとリヤとにおいて交互に行ってもよく、同時に行ってもよく、いずれか一方のみについて行ってもよい。ブレーキ液の流出が真空充填に引き続いて行われる場合も、自励振動発生時に行われる場合も同様である。
さらに、ブレーキ液の加圧時に、リニア減圧弁を開いた状態でリニア増圧弁を開閉させてもよく、リニア増圧弁を開くことなく、リニア減圧弁を開閉させるのみでもよい。
また、ブレーキ液の加圧時にリニア増圧弁を開いた状態でリニア減圧弁を開閉させるとき、動力液圧源の液圧をアキュムレータの上限圧より低い大きさに制御してリニア減圧弁に供給してもよい。動力液圧源の液圧は、リニア増圧弁により任意の高さに制御可能であり、例えば、ホイールシリンダに供給する高さの液圧であって、高い液圧に制御する。
また、ブレーキ液のホイールシリンダからの流出を許容した状態でブレーキ液を圧送する場合、リニア増圧弁の開閉に替えて、あるいはそれと共に、ブレーキ液の圧送中にリニア減圧弁を開閉させてもよい。
さらに、真空充填,ブレーキ液加圧およびブレーキ液流出がすべてECUにより制御されるようにしてもよい。この場合、例えば、真空引き装置およびブレーキ液充填装置は、作業者により操作されて真空引きおよびブレーキ液の充填を開始,終了させられる。あるいは、ECUと真空充填制御装置あるいはブレーキ液圧送制御装置とがそれぞれ、スタート信号の入力に基づいて、それぞれ別個にかつ同期して制御を行うようにしてもよい。
また、動力液圧源から高圧のブレーキ液が供給される状態でのリニア減圧弁の開閉あるいはリニア増圧弁の開閉は、ブレーキ液の加圧およびブレーキ液の流出とは独立して行ってもよい。ECUに動力液圧源,リニア増圧弁およびリニア減圧弁を制御させ、リニア減圧弁のホイールシリンダ側の部分の液圧が高められている状態においてリニア減圧弁を開閉させるのである。あるいはリニア減圧弁が開いている状態でリニア増圧弁を開閉させる。
さらに、真空充填時におけるブレーキ液の充填は、3期に分けて行ってもよい。例えば、フロントシリンダについてブレーキ液を充填した後、マスタカット弁,リニア増圧弁を開かず、フロントリニア減圧弁を閉じ、リヤリニア減圧弁を開いてリヤシリンダにブレーキ液を充填し、その後、マスタカット弁,全部のリニア増圧弁およびリニア減圧弁を開くのである。
また、常閉のリニア減圧弁について、対応するホイールシリンダからのブレーキ液の流出を許容した状態でブレーキ液を圧送し、気泡の排除を行う場合、リニア減圧弁をノーマル状態として、リニア減圧弁を経たブレーキ液の流出を休止するとともに、ブレーキ液圧送装置によるブレーキ液の圧送を停止させる時期を設けてもよい。
さらに、ブレーキ液の圧送は、リザーバから行うことは不可欠ではない。例えば、第一リニア減圧弁の低圧側にブレーキ液圧送装置を接続し、ブレーキ液を圧送してホイールシリンダに充填し、あるいはホイールシリンダから流出させる。ブレーキ液の加圧も同様である。真空引きもリザーバから行うことは不可欠ではなく、他の部分から行ってもよい。
また、請求可能発明に係る気泡排除方法は、マスタシリンダの2つの加圧室に発生させられた液圧がそれぞれ、フロントシリンダに供給される液圧ブレーキシステム以外の液圧ブレーキシステム、例えば、2つの加圧室の一方に発生させられた液圧が2つのフロントシリンダに供給され、他方に発生させられた液圧が2つのリヤシリンダに供給される液圧ブレーキシステムや、一方に発生させられた液圧が左前輪および右後輪の各ブレーキのホイールシリンダに供給され、他方に発生させられた液圧が右前輪および左後輪の各ブレーキのホイールシリンダに供給される液圧ブレーキシステムにおいて行うことができる。
さらに、1つのリニア増圧弁が液圧を制御するホイールシリンダは複数でもよく、1つのリニア減圧弁が液圧を制御するホイールシリンダも複数でもよい。
また、リヤリニア減圧弁は、常閉弁でもよい。
さらに、1つのリニア増圧弁が液圧を制御するホイールシリンダは複数でもよく、1つのリニア減圧弁が液圧を制御するホイールシリンダも複数でもよい。
また、リヤリニア減圧弁は、常閉弁でもよい。
28:左前輪 30:右前輪 32,34:フロントシリンダ 36:リザーバ 46:左後輪 48:右後輪 50,52:リヤシリンダ 60:動力液圧源 70:ポンプ 74:アキュムレータ 80,82,84,86:リニア増圧弁 90,92,94,96:リニア減圧弁 122:シート弁 128:弁座 130:弁子 180:プランジャ室 200:ECU(電子制御ユニット) 210:真空充填システム 212:真空引き装置 214:ブレーキ液充填装置 216:真空充填制御装置 250:ブレーキ液圧送システム 252:ブレーキ液圧送装置 254:ブレーキ液圧送制御装置 270:ブレーキ液圧送システム 272:ブレーキ液圧送装置 274:ブレーキ液圧送制御装置 280,282:液通路 284,286:絞り
Claims (8)
- 複数の車輪をそれぞれ制動する複数のブレーキの各ホイールシリンダと、ブレーキ液を加圧する加圧装置と、その加圧装置にブレーキ液を供給するリザーバと、前記加圧装置と前記複数のホイールシリンダの1つ以上ずつとの間に設けられた複数のリニア増圧弁と、前記リザーバと前記複数のホイールシリンダの前記1つ以上ずつとの間に設けられた複数のリニア減圧弁とを含む液圧ブレーキシステムの気泡を排除する方法であって、
前記複数のリニア減圧弁の少なくとも1つである第一リニア減圧弁を経て、その第一リニア減圧弁に対応するホールシリンダへブレーキ液を圧送しつつ、その第一リニア減圧弁の内部に脈動を発生させることを特徴とする液圧ブレーキシステムの気泡排除方法。 - 前記液圧ブレーキシステム内部を前記リザーバから真空引きした後、そのリザーバから前記ブレーキ液の圧送を行うことを特徴とする請求項1に記載の気泡排除方法。
- 前記ブレーキ液の圧送中の少なくとも一時期に前記第一リニア減圧弁を1回以上開閉させることによりその第一リニア減圧弁の内部に前記脈動を発生させることを特徴とする請求項1または2に記載の気泡排除方法。
- 前記加圧装置が、ブレーキ操作部材の操作に応じてブレーキ液を加圧するマスタシリンダを備え、前記液圧ブレーキシステムが、そのマスタシリンダと前記ホイールシリンダとの間に設けられて両者の連通を遮断するマスタカット弁を含むものであり、前記リザーバから前記ブレーキ液を圧送し、少なくともそのリザーバからのブレーキ液の圧送前期に、前記マスタカット弁と、前記複数の増圧弁のうち前記第一リニア減圧弁に対応するものである第一リニア増圧弁と、前記複数のリニア減圧弁のうち前記第一リニア減圧弁以外のものである第二リニア減圧弁との少なくとも1つを閉状態とすることを特徴とする請求項2または3に記載の気泡排除方法。
- 少なくとも前記リザーバからのブレーキ液の圧送後期に、前記マスタカット弁,前記第一リニア増圧弁および前記第二リニア減圧弁を開状態とすることを特徴とする請求項4に記載の気泡排除方法。
- 前記加圧装置が、ブレーキ液を加圧下に蓄えるアキュムレータと、そのアキュムレータに前記リザーバのブレーキ液を圧送するポンプとを含み、前記ホイールシリンダからのブレーキ液の流出を許容した状態で前記リザーバから前記ブレーキ液の圧送を行うとともに、その圧送中の少なくとも一時期に、前記第一リニア減圧弁に対応する第一リニア増圧弁を開いて閉じることを1回以上行って前記アキュムレータ内に蓄えられている高圧のブレーキ液を前記第一リニア減圧弁および前記ホイールシリンダに1回以上供給することにより、第一リニア減圧弁の内部に前記脈動を生じさせることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の気泡排除方法。
- 前記加圧装置が、ブレーキ液を加圧下に蓄えるアキュムレータと、そのアキュムレータに前記リザーバのブレーキ液を圧送するポンプとを含み、前記液圧ブレーキシステムにブレーキ液が充填された状態で、そのブレーキ液を前記リザーバから加圧し続けるとともに、その加圧中の少なくとも一時期に、前記第一リニア減圧弁を閉じる一方、その第一リニア減圧弁に対応するリニア増圧弁である第一リニア増圧弁を開いて前記ホイールシリンダの液圧を増大させた後、前記第一リニア減圧弁を開くことを1回以上行うことにより、第一リニア減圧弁の内部に前記脈動を生じさせることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の気泡排除方法。
- 前記第一リニア減圧弁が、前輪を制動するフロントブレーキのホイールシリンダであるフロントシリンダに対応する少なくとも1つのフロントリニア減圧弁を含むことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の気泡排除方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010023089A (ja) * | 2008-07-22 | 2010-02-04 | Akebono Brake Ind Co Ltd | ブリーダ製造装置、及び製造方法 |
CN106080576A (zh) * | 2016-06-07 | 2016-11-09 | 上汽通用汽车有限公司 | 抽真空和加注的方法及制动防抱死系统 |
JP2020019300A (ja) * | 2018-07-30 | 2020-02-06 | 株式会社アドヴィックス | 車両用制動装置 |
JP2021024329A (ja) * | 2019-07-31 | 2021-02-22 | 株式会社アドヴィックス | 車両用制動装置 |
-
2005
- 2005-01-21 JP JP2005014689A patent/JP2006199208A/ja not_active Withdrawn
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