JP2006188856A - 既設トンネルの補修工法および補修用台車 - Google Patents

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Abstract

【課題】
地山の崩落防止や地山の安定確保等の目的で既設トンネルの内側面をきわめて効率的に補修できる既設トンネルの補修工法および補修用台車を提供する。
【解決手段】
既設トンネル1の天井部分とその両側の側壁部分に覆工用型枠2を既設トンネル1の内側面に沿わせて設置する。覆工用型枠2と既設トンネル1の内側面との間に裏込め材4を充填する。既設トンネル1の両側壁部分に受け部材7と受け部材7を覆うように根固め基礎をそれぞれ設ける。覆工用型枠2は既設トンネル1の内側面に対応して天井部分から左右側壁部分にかけて連続するアーチ状に形成する。天井部分に設けた少なくとも一個の蝶番6を回転軸に既設トンネル1の径方向に開閉可能に形成する。覆工用型枠2の両側壁部分の下端部を受け部材7の上にそれぞれ載置するとともに、根固め基礎3内に埋設して固定する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、地山の崩落防止や地山の安定確保等の目的で既設トンネルの内側面(内壁)をきめて効率的に補修できる既設トンネルの補修工法および補修用台車に関するものである。
地山の崩落防止や地山の安定確保、湧水や漏水の処理、さらにはトンネル内空の美観向上等の目的で、老朽化が進んだ既設トンネルの内側面を補修する方法として、例えばプレキャストコンクリート板や鋼板からなる覆工板を既設トンネルの内側面に面添え付け、当該覆工板と既設トンネルの内側面との間に裏込めを行う方法、スライドフォームを用い、現場打ちコンクリートによって既設トンネルの内側面を覆工(コンクリートライニング)する方法などが知られている。
いずれの補修工法においても、工事期間中はトンネルを使用できないため、工期短縮による工費の縮減に努めている。
特開2003−227296号公報 特開2001−227287号公報 特許第2908577号
しかし、覆工板を用いた補修工法の場合、クレーンやフォークリフト等の重機によって覆工板を一枚一枚トンネル内に搬入し、一枚一枚地山に添え付け、かつロックボルト等によって固定するか、若しくは、いわゆる枕壁などを別途施工し、これらを取り付ける必要があり、工期の長期化、工事費の割高感が免れないものであった。
また特に、小断面トンネルの補修の場合にあっては、施工機械をトンネル内に搬入できないために手作業による取り付けを強いられ、そのため部材を小さくする必要があり、工期の長期化が免れない等の課題があった。
さらに、既存の内部空間を確保するためには、覆工材の厚さを可能な限り薄くすることを求められるが、そのため覆工板として鋼板を使用すると塗装などの防錆処理が必要となり、結果的に維持費が嵩む等の課題があった。
一方、厚さ5cm程度の薄肉プレキャストコンクリート板を覆工板として使用すると、覆工板どうしを繋ぐ金具やボルトが露出するだけでなく、継手部の防錆や防水工に多くの手間がかかる等の課題があった。
本発明は、以上の課題を解決するためになされたもので、地山の崩落防止や地山の安定確保等の目的で既設トンネルの内側面をきわめて効率的に、しかも短期間でかつ低コストで補修できる既設トンネルの補修工法および補修用台車を提供することを目的とする。
請求項1記載の既設トンネルの補修工法は、既設トンネルの天井部分とその両側の側壁部分に覆工用型枠を前記既設トンネルの内側面に沿わせて設置し、かつ当該覆工用型枠と前記既設トンネルの内側面との間に裏込め材を充填する既設トンネルの補修工法において、前記既設トンネルの両側壁部分に受け部材と当該受け部材を覆うようにコンクリート基礎をそれぞれ設け、前記覆工用型枠を前記既設トンネルの内側面に対応して天井部分から左右側壁部分にかけて連続するアーチ状に形成するとともに、天井部分および/または側壁部分に設けた少なくとも一個の蝶番を回転軸にトンネルの径方向に開閉可能に形成し、かつ当該覆工用型枠の両側壁部分の下端部を前記受け部材の上にそれぞれ載置するとともに、前記コンクリート基礎内に埋設して固定することを特徴とするものである。
請求項2記載の既設トンネルの補修工法は、既設トンネルの天井部分とその両側の側壁部分に覆工用型枠を前記既設トンネルの内側面に沿わせて設置し、かつ当該覆工用型枠と前記既設トンネルの内側面との間に裏込め材を充填する既設トンネルの補修工法において、前記既設トンネルの両側壁部分に受け部材を、床部分に床版型枠をそれぞれ設置し、前記覆工用型枠を前記既設トンネルの内側面に対応して天井部分から左右側壁部分にかけて連続するアーチ状に形成するとともに、天井部分および/または側壁部分に設けた少なくとも一個の蝶番を回転軸にトンネルの径方向に開閉可能に形成し、当該覆工用型枠の両側壁部分の下端部を前記受け部材の上にそれぞれ載置し、前記床版型枠の両側端部を前記覆工用型枠の両側端部にそれぞれ接合し、かつ当該床版型枠と前記既設トンネルの内側面との間に裏込め材を充填することを特徴とするものである。
請求項1および2記載の既設トンネルの補修工法は、いずれも、天井部分および/または側壁部分に設けられた1個ないし複数個の蝶番を回転軸に開閉可能(開脚可能)に形成された覆工用型枠を用いることにより、地山の崩落防止や地山の安定確保、湧水や漏水の処理、さらにはトンネル内空の美観向上等の目的で、老朽化が進んだ既設トンネルの内側面をきわめて効率的に行えるようにしたものである。
この場合の覆工用型枠および床版型枠は、例えばセメントを基材とする珪砂、反応性微粉末を使用した無機系混合複合材と繊維補強材と減水剤とからなる繊維補強コンクリートから成形することで、極低水セメント比であるにもかかわらず、高い流動性を有し、したがって、上記した繊維補強コンクリートを加圧成形用型枠に投入し、加圧することにより容易に成形することができる。
また、反応性微粒末の使用により、その緻密性ゆえに超高強度であるとともに従来のコンクリートに比較して粗度係数が低く、さらに凍結融解抵抗性、中性化、耐塩害性、耐衝撃性に対しても高い性能を有しており、超長期の高耐久性を有する。
また、超高強度に加え、スチールファイバーや有機系繊維などの繊維補強材が混練することにより靭性を高めることができ、さらに最終的には破砕してコンクリート用の高強度の粗骨材として再利用も可能なため、環境汚染の心配もない。
請求項3記載の補修用台車は、既設トンネルの内側面に対応して天井部分から左右側壁部分にかけて連続するアーチ状をなすとともに、天井部分および/または側壁部分に設けた一個ないし複数個の蝶番を回転軸にトンネルの径方向に開閉する覆工用型枠を前記既設トンネル内に設置するための組立用台車であって、前記既設トンネルの軸方向に走行する台車本体と当該台車本体の上に設置された軸組と当該軸組と台車本体との間に設置され、前記軸組を昇降させる昇降用シリンダーと前記軸組に取り付けられ、前記覆工用型枠を押し上げつつ、既設トンネルの径方向に広げて前記既設トンネルの内側に添え付けるための据え付け用シリンダーを備えてなることを特徴とするものである。
本発明は特に、天井部分および/または側壁部分に設けられた1個ないし複数の蝶番を回転軸に開閉可能(開脚可能)に形成された覆工用型枠を用いることにより、地山の崩落防止や地山の安定確保、湧水や漏水の処理、さらにはトンネル内空の美観向上等の目的で、老朽化が進んだ既設トンネルの内側面をきわめて効率的に、かつ低コストで補修することができる等の効果を有する。
また、覆工用型枠は、天井部分および/側壁部分に設けられた1個ないし複数の蝶番を回転軸に開閉可能に形成されていることから、コンパクトに閉じて(畳んで)トンネル内に搬入することができるため、小断面トンネルの補修も容易に行うことができる等の効果も有する。
図1と図2は、本発明の一例を示し、図において既設トンネル1の内側面(内壁面)に覆工用型枠2が添え付けられている。また、既設トンネル1の内側両側の下端部に根固め基礎3がそれぞれ形成され、さらに既設トンネル1の内側面と覆工用型枠2との間に裏込め材4としてモルタルまたはコンクリートが充填されている。
覆工用型枠2は、既設トンネル1の天井部分から左右両側の側壁部分の下端部にかけてそれぞれ既設トンネル1の内側面の曲率に対応して曲板状をなす2枚の覆工板5,5からトンネルの軸方向に見てアーチ状に形成されている。
覆工板5は、例えばセメントを基材とする珪砂、反応性微粉末を使用した無機系混合複合材と繊維補強材と減水剤とからなる繊維補強コンクリートから成形され、極低水セメント比であるにもかかわらず、高い流動性を有し、したがって、上記した繊維補強コンクリートを加圧成形用型枠に投入し、加圧することにより成形されている。
また、こうして成形された覆工板5は、反応性微粒末の使用により、その緻密性ゆえに超高強度であるとともに従来のコンクリートに比較して粗度係数が低く、さらに凍結融解抵抗性、中性化、耐塩害性、耐衝撃性に対しても高い性能を有しており、超長期の高耐久性を有する。
また、超高強度に加え、スチールファイバーや有機系繊維などの繊維補強材が混練されていることで靭性も非常に高い。さらに最終的には破砕してコンクリート用の高強度の粗骨材として再利用も可能なため、環境汚染の心配もない。
こうして成形された左右2枚の覆工板5,5の上端部は天井部分の中央において蝶番6によって回転自在に連結され、これにより左右2枚の覆工板5,5は蝶番6を回転軸にトンネルの径方向に自由に開閉(開脚)するようになっている。
また、このように形成され覆工用型枠2は既設トンネル1の内側面にアーチ状に開いた状態で添え付けられ、各覆工板5,5の下端部は既設トンネルの側壁部に突設された受け部材7の上に載置され、かつ受け部材7に取付けボルト8によってボルト止めされたガイド部材9によって根固め基礎3のコンクリートが打設されるまでの間、受け部材7から外れないように保持されている。そして、根固め基礎3のコンクリートが打設されることにより当該コンクリート内に埋め込まれ一体的に固定されている。
さらに既設トンネル1の内側面と覆工用型枠2との間に裏込め材4としてモルタルまたはコンクリートが充填されている。こうして既設トンネル1の内側面が補修されている。
なお、この場合の受け部材7とガイド部材9は共に山形鋼などの形鋼から形成され、また、受け部材7は既設トンネル1の側壁部に既設トンネル1の軸方向に沿って梁状に添え付けられ、かつ複数のアンカーボルト10によって側壁部に固定され、ガイド部材9は受け部材7に取付けボルト8によってボルト止めされている。
根固め基礎3は、覆工板5の下端部、受け部材7およびガイド部材9を完全に埋め込むように打設されたコンクリートによって形成され、またインバート部に立設された複数のアンカー部材11によって既設トンネル1のインバート部および側壁部(覆工体)と完全に一体化されている。
図3(a),(b)は、覆工用型枠の変形例を示し、覆工用形枠は既設トンネル1の天井部分を覆う覆工板5Aと左右両側の側壁部分を覆う2枚の覆工板5B,5Bとから形成され、これらの覆工板5Aと2枚の覆工板5B,5Bはそれぞれ覆工板5Aの両端部において蝶番6によって回転自在に連結されている。
この覆工用形枠2を用いれば、トンネル周方向の2ヶ所に回転軸があるため、よりコンパクトに畳んで既設トンネル1の中に搬入することが可能となり、また既設トンネル1の内側面の曲率の変化に容易に追従させることができるため、小断面トンネルの補修や内側面の曲率にばらつきのあるトンネルの補修も難なく行うことができる。
図4(a),(b)は、本発明の変形例を示し、既設トンネル1の床部分(インバート部)に、天井部分および側壁部分の覆工用型枠に相当する型枠材として覆工用床型枠13が設置され、かつ当該覆工用床型枠13とトンネル床面との間に裏込め材4が充填されている。
この場合、覆工用床型枠13のトンネル周方向の両端部に補強リブ13a,13aがそれぞれ設けられ、当該補強リブ13a,13aは受け部材7の上において覆工板5の下端部に設けられた補強リブ5aと接合ボルト14によって一体的に接合されている。
図5(a),(b)は、上記した覆工用型枠既2を既設トンネル1内に搬入し、かつ既設トンネル1の内側面に添え付けるための補修用台車を示したものである。
補修用台車15は既設トンネル1の軸方向に走行する台車本体16と当該台車本体16の上に組み上げられた軸組17と当該軸組17と台車本体16との間に設置され、軸組17を昇降させる昇降用シリンダー18と軸組17に取り付けられ、覆工用型枠2を真上に押し上げつつ両側に押し広げて既設トンネル1の内側面に添え付ける複数の据え付け用シリンダー19を備えて構成されている。
台車本体16は電動モータ等による自走式であり、また台車本体16、昇降用シリンダー18および据え付け用シリンダー19はいずれも、自由に遠隔操作を行えるようになっている。なお、昇降用シリンダー18と据え付け用シリンダー19には、エアシリンダーや油圧シリンダー等が用いられている。
次に、本発明の既設トンネルの補修方法を図1,2の例に基いて説明すると、最初に、既設トンネル1の両側の側壁部に受け部材7をそれぞれ取り付け、この受け部材7にガイド部材9をそれぞれ取り付ける。
次に、既設トンネル1の外で補修用台車15の上に覆工用型枠2を積み込む。この場合、補修用台車15の昇降用シリンダー18および据え付け用シリンダー19はすべて収縮させておき、また覆工用型枠2は蝶番6を回転軸に内側に畳んだ状態(閉じた状態)で積み込む。なおこの場合、施工的に可能であれば複数の覆工用型枠2を重ねて積み込んでもよい。
次に、補修用台車15を走行させて覆工用型枠2を既設トンネル1内に搬入し、補修場所で補修用台車15を停止さる。
次に、昇降用シリーダー18を操作して軸組17を上昇させ、続いて据え付け用シリンダー19を操作して覆工用型枠2を徐々に上方に押し広げて既設トンネル1の内側面に添わせ、その両側の下端部、すなわち覆工板5,5の下端部を受け部材7の上に載せる。こうして、複数の覆工用型枠2を既設トンネル1の内側面にトンネルの軸方向に連ねて設置する。
次に、覆工用型枠2の設置が完了したら、床部(インバート部)に鉄筋などからなるアンカー部材11を突設し、かつ必要な補強筋(図省略)を配筋し、さらに覆工板5の下端部、受け部材7およびガイド部材9を埋めこむようにコンクリートを打設して根固め基礎3を形成する。また、各覆工用型枠2と既設トンネル1の内側面との間に裏込め材4としてコンクリートまたはモルタルを充填して補修作業は完了する。
本発明は、地山の崩落防止や地山の安定確保、湧水や漏水の処理、さらにはトンネル内空の美観向上等の目的で、老朽化が進んだ既設トンネルの内側面をきわめて効率的に補修することができる。
補修後の既設トンネルを示し、(a)は軸直角方向の縦断面図、(b)は軸方向の縦断面図である。 (a)は図1(a)におけるイ部拡大図、(b)は図1(a)におけるロ部拡大図、(c)は図2(b)におけるハ部拡大図である。 補修後の既設トンネルを示し、(a)は軸直角方向の縦断面図、(b)は(a)におけるニ部拡大図である。 補修後の既設トンネルを示し、(a)は軸直角方向の縦断面図、(b)は(a)におけるホ部拡大図である。 補修用台車を示し、(a)は覆工用型枠を設置する前の状態を示すトンネル軸直角方向の縦断面図、(b)は覆工用型枠を設置した後の状態を示すトンネル軸直角方向の縦断面図である。
符号の説明
1 既設トンネル
2 覆工用型枠
3 根固め基礎
4 裏込め材
5 覆工板
6 蝶番
7 受け部材
8 取付けボルト
9 ガイド部材
10 アンカーボルト
11 アンカー部材

Claims (3)

  1. 既設トンネルの天井部分とその両側の側壁部分に覆工用型枠を前記既設トンネルの内側面に沿わせて設置し、かつ当該覆工用型枠と前記既設トンネルの内側面との間に裏込め材を充填する既設トンネルの補修工法において、前記既設トンネルの両側壁部分に受け部材と当該受け部材を覆うようにコンクリート基礎をそれぞれ設け、前記覆工用型枠を前記既設トンネルの内側面に対応して天井部分から左右側壁部分にかけて連続するアーチ状に形成するとともに、天井部分および/または側壁部分に設けた少なくとも一個の蝶番を回転軸にトンネルの径方向に開閉可能に形成し、かつ当該覆工用型枠の両側壁部分の下端部を前記受け部材の上にそれぞれ載置するとともに、前記コンクリート基礎内に埋設して固定することを特徴とする既設トンネルの補修工法。
  2. 既設トンネルの天井部分とその両側の側壁部分に覆工用型枠を前記既設トンネルの内側面に沿わせて設置し、かつ当該覆工用型枠と前記既設トンネルの内側面との間に裏込め材を充填する既設トンネルの補修工法において、前記既設トンネルの両側壁部分に受け部材を、床部分に床版型枠をそれぞれ設置し、前記覆工用型枠を前記既設トンネルの内側面に対応して天井部分から左右側壁部分にかけて連続するアーチ状に形成するとともに、天井部分および/または側壁部分に設けた少なくとも一個の蝶番を回転軸にトンネルの径方向に開閉可能に形成し、当該覆工用型枠の両側壁部分の下端部を前記受け部材の上にそれぞれ載置し、前記床版型枠の両側端部を前記覆工用型枠の両側端部にそれぞれ接合し、かつ当該床版型枠と前記既設トンネルの内側面との間に裏込め材を充填することを特徴とする既設トンネルの補修工法。
  3. 既設トンネルの内側面に対応して天井部分から左右側壁部分にかけて連続するアーチ状をなし、かつ天井部分および/または側壁部分に設けた蝶番を回転軸にトンネルの径方向に開閉する覆工用型枠を前記既設トンネル内に設置するための既設トンネルの補修用台車であって、前記既設トンネルの軸方向に走行する台車本体と当該台車本体の上に設置された軸組と当該軸組と台車本体との間に設置され、前記軸組を昇降させる昇降用シリンダーと前記軸組に取り付けられ、前記覆工用型枠を押し上げつつ、前記既設トンネルの径方向に広げて前記既設トンネルの内側に添え付けるための据え付け用シリンダーとを備えてなることを特徴とする既設トンネルの補修用台車。
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