JP2006188810A - 衛生加工された繊維製品 - Google Patents

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憲司 中村
Shingo Akieda
伸午 秋枝
Momoki Nakagawa
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Abstract

【課 題】 ふっくらとした独特の風合があり、優れた保湿効果及び殺菌効果を有し、湿疹、かゆみ、肌荒れに対する有効性を持ち、且つ耐洗濯性を有する繊維製品の提供。
【解決手段】 魚鱗由来の分子量400〜1000のコラーゲンオリゴペプチドと分子量500〜800のオリゴキトサンとの反応組成物を織物、編物又は不織布からなる繊維製品にバインダーを用いて固着して衛生加工することによって目的とする繊維製品を製造する。
【選択図面】なし

Description

本発明は、海洋コラーゲンを用いた処理によって特徴的な風合を有し、抗菌性と保湿性の衛生加工された繊維製品に関する。
また、本発明は、狂牛病(BSE)対策としてクリーンな魚鱗由来のコラーゲンを用いて衛生加工された繊維製品及びその製造方法に関する。
更に詳しくは、本発明は、魚鱗由来のコラーゲンオリゴペプチドとオリゴキトサンの反応組成物を使用して肌に快適環境を与える保湿性とふっくら風合と抗菌性に特徴を有する、耐洗たく性の優れた衛生加工された繊維製品に関する。
従来、繊維製品の衛生加工には、典型的には銀ゼオライトを塗布した医療用被覆材(特開平1-15054号公報)、銀ゼオライトを混入した布による外炎や逆行による疾病を予防できる消臭下着(特開平1-229801号公報)のように繊維基材によって肌に対して抗菌効果を付与する方法がある。
また、抗菌効果を与える外に、肌に快適環境効果を付与する方法もある。例えば、コラーゲンとキトサンによる天然保湿成分で肌に快適環境効果及び抗菌効果を得る方法で、コラーゲン、キトサン及び反応性シリコンを、繊維に含有させて肌になじみのよい風合と防臭殺菌性を得る繊維製品(特開平7-229064号公報)、動物蛋白質加水分解物としてコラーゲン加水分解物を用い、これにキトサン乳酸塩、さらには第4級アンモニウム塩を配合した繊維処理剤によって繊維処理して、肌荒れ、かゆみを防ぎ、肌の生理的保護効果を得る方法が知られている(特開2001-200478号公報)。また、キトサンは、水に不溶性であり、酸を作用させてキトサン塩にして、水溶性の第4級アンモニウム塩として用いて、オリゴキトサン、セリシン由来のアミノ酸及びセリシン蛋白質加水分解物を含有する組成物により保湿性被膜を形成する繊維処理剤としている(特開2002-327168号公報)。
代替コラーゲンとして海洋動物より採取されるコラーゲンが注目されているが、魚の皮や骨に由来する場合には魚臭の除去が難しい問題や、細菌の増殖による問題がある。また、魚臭のないコラーゲンを求めても、陸上動物に比較して蛋白質の変性温度が20℃以下と低いものや透明性の悪いものが多く、その利用にも問題点がある。
したがって、従来、コラーゲン代替の魚鱗由来のオリゴペプチドとオリゴキトサンの反応組成物を繊維処理剤として使用することにより独特の風合を有する衛生加工繊維製品を得ることについては知られていない。
特開平1-15054号公報 特開平1-229801号公報 特開平7-229064号公報 特開2001-200478号公報 特開2002‐327168号公報
本発明では、上述するように従来の牛又はブタ由来のコラーゲンオリゴペプチドとキトサンを含有する繊維の加工処理において、BSE対策の観点から牛やブタ代替コラーゲンとして海洋コラーゲンの一つである魚鱗由来のコラーゲンオリゴペプチドを用いる技術を確立すること、従来から海洋コラーゲンの課題であった細菌や魚臭問題を解決すること、魚鱗コラーゲンを用いることで繊維処理製品の品質の確保を図ることを本発明の課題とするものである。
そして、従来技術では、風合を損ねることなく、耐洗たく性の向上に必要な繊維処理組成物のバインダーの工夫が必須であったが、本発明では一般の繊維用バインダーの使用を可能にすることも本発明の課題とするものである。
本発明では、保湿性と抗菌性を有する独特のふっくら風合を有する衛生加工された繊維製品を提供することを課題とする。
本発明は、以下の構成を基本とすることで上記課題を解決した。
(1)魚鱗由来の分子量400〜1000のコラーゲンオリゴペプチドと分子量500〜800のオリゴキトサンとの反応組成物が、繊維用バインダーで固着されてなることを特徴とする衛生加工された繊維製品。
(2)前記魚鱗由来のコラーゲンオリゴペプチドが、暖流域に生息する魚の魚鱗から得られたコラーゲンオリゴペプチドであることを特徴とする(1)に記載の衛生加工された繊維製品。
(3)繊維製品が、肌着類、タオル類、靴下類、寝装類又はスポーツ衣料から選ばれたものであることを特徴とする(1)又は(2)に記載の繊維製品。
本発明における上記処理剤による衛生加工した結果、魚鱗コラーゲン由来のオリゴペプチドとオリゴキトサンによる天然の保湿成分により、保湿性により肌に快適環境を付与することができる。具体的には、本発明では、ふっくらとした独特の風合の繊維製品が得られ、保湿効果も優れており、さらに湿疹、かゆみ、肌荒れに対する有効性と抗菌効果をもたらす。
本発明におけるオリゴペプチドは、魚鱗蛋白質を加水分解して得られるものであるが、魚鱗蛋白質源として暖流域に生息する白身魚として、タイ国、マレーシア国又はインドネシア国等に生息するマダイ、へダイ、クロダイ、ブダイ、アオブダイ又はフエフキダイの魚鱗を脱カルシウム処理、酸又は酵素で加水分解処理をしてオリゴペプチドにして用いる。
これに対してマイワシ、サバやマグロ等の赤身魚の魚鱗からは、脂質及びヒスチジン含有量が多く、タウリンが少なく、透明な蛋白質加水分解物から得られ難いので好ましくない。
本発明に用いる魚鱗コラーゲン由来のオリゴペプチドは、魚鱗を脱カルシウム処理、酸又は酵素で加水分解処理することによってアミノ酸の重合度が10以下で平均分子量が600〜800のものが好ましい。
本発明に用いる魚鱗コラーゲン由来のオリゴペプチドの分子量分布の例を表1に示す。
Figure 2006188810
また、本発明における魚鱗コラーゲン由来のオリゴペプチドを構成するアミノ酸の分析結果を表2に示す。
Figure 2006188810
一方、本発明においては、上記オリゴペプチドとオリゴキトサンとの反応生成物を用いるものであるが、本発明で使用するオリゴキトサンの分子量分布を例示すると、表3の通りである。
Figure 2006188810
本発明によれば、上述するように魚鱗コラーゲン由来のオリゴペプチドとオリゴキトサンの反応組成物を用いるが、上記反応生成物は魚鱗コラーゲン由来のオリゴペプチドとオリゴキトサンとを水に溶解して50〜60℃に加熱することによってキトサンの2級アミンと魚鱗コラーゲン由来のオリゴペプチドのC末端アミノ酸のカルボキシル基が反応して、オリゴペプチドを捕捉して抗菌性を有する第4級アンモニウムよりなるゲル状となし、従来の技術と異なりオリゴキトサンにオリゴペプチドを反応させることで第4級アンモニウムとして抗菌性を得ると共に可溶性のオリゴペプチドをゲル化するのである。これによって、従来のように耐洗濯性を得るためには、特殊な工夫をしたバインダーを使用する必要がなく、風合面で独特のふくらみ風合が得られる。バインダーとともに繊維に付与せしめて100℃程度の熱処理をすることで、風合いの優れた繊維製品を得ることができる。このとき、オリゴペプチド以外のペプチドと使用しても、キトサンによる捕捉性とゲル化は得られないので、上記のような処理効果は発揮されない。魚鱗以外の魚由来のペプチドは臭いがあって、本発明には適さない。
本発明における、バインダーを使用したときの魚鱗コラーゲン由来のオリゴペプチドとオリゴキトサンの繊維への固定量は、繊維に対して0.5%以上8%以下、好ましくは5%以下でふっくら風合と保湿性と抗菌性が得られる。
繊維用バインダーは、従来のようにそれぞれに特有の樹脂系バインダーを使用する必要がなく、汎用的に繊維処理に用いられているバインダーでよい。例えば、ウレタン系又はアクリル系の樹脂バインダーを使用することができる。
本発明で処理対象となる繊維は、綿、レーヨン、ナイロン、ポリエステル、アクリル、絹又は羊毛等が可能であり、製品形態は、織物、編物又は不織布で形成された肌着類、バスロープ類、タオル類、靴下類、寝装類又はスポーツ衣料等がある。
上記処理剤の適用は、処理対象の繊維製品を上記処理剤を含む溶液に含浸し、絞液、乾操するか、又は上記処理剤を含む溶液を噴霧して乾燥する等により容易に処理加工することができる。
本発明は臭いのない魚鱗コラーゲン由来のオリゴペプチドとオリゴキトサンを用いることで、不溶液系で反応させて抗菌性と保湿性に優れたゲル状の組成物として繊維に加工することに特徴がある。
独特のふっくらした風合が得られ、肌との接触に於いて、乾燥肌や湿疹、アレルギータイプの肌に対して優しく症状を和らげ、痒みをなくすることができる。これはオリゴキトサンの効果と魚鱗コラーゲンオリゴペプチドのアミノ酸配列により得られる効果と考えられる。保湿性の面からセリシンを併用配合することは妨げないが、オリゴセリシンを用いて配合してもよい。
本発明によれば、優れた保湿性と抗菌性による衛生加工された繊維製品が得られる。
[実施例1〜3]
タイ国南部で漁獲したブダイの魚鱗より抽出したコラーゲンオリゴペプチドとオリゴキトサンを等量配合して水に溶解して20重量%溶液100部として50℃で1時間撹拌加熱して室温に冷却して配合液を得た。
使用したコラーゲンオリゴペプチドの分子量とアミノ酸単位は、先の表1及び表2に示す。
また、オリゴキトサンは、表3に示す分子量分布のものを用いる。
繊維用バインダーとしては、スーパーフレックスE-2000(ウレタン系繊維用バインダー;第一工業製薬株式会社製品)を20重量%に水で調整して得られた100部を、上記配合液に添加して全量を200部として繊維加工液とした。
肌着用の丸編綿布に対して浸漬パッド法によって、実施例1〜3、比較例1,2を表4に示す対繊維固着量となるよう処理して100℃で乾燥した。
Figure 2006188810
各例で得られた繊維製品の保湿性、抗菌性等の衛生効果を表5に示す。
Figure 2006188810

保湿性は、SCALAR社のモイスチャーチェッカーMY707Sで評価した。
また、抗菌性は、AATCC法により測定した。
[実施例4〜5]
実施例1で使用したオリゴペプチド及びオリゴキトサンを用いて、アクリル系のバインダーとしてライトエポックS−60NF(共栄社化学株式会社製造)を配合した表6に示す処理液を使用して、アクリル毛布に浸漬パッド法によって80重量%になるように付与して100℃で乾燥して、保湿と抗菌性に優れる毛布を処理した。
対繊維固着量は、表6の通りである。
Figure 2006188810
実施例の衛生効果について表7に示す。
Figure 2006188810
[結果の評価]
実施例4及び5で得られた繊維製品は、ふっくらとした独特の風合であった。また、抗菌効果の測定結果によれば、本発明のものは洗濯50回に耐え、比較例とは明らかに保湿性と抗菌性に優れており、衛生加工として有効であることがわかった。

Claims (3)

  1. 魚鱗由来の分子量400〜1000のコラーゲンオリゴペプチドと分子量500〜800のオリゴキトサンとの反応組成物が繊維用バインダーで固着されてなる、耐洗濯性の吸湿性及び殺菌性を有することを特徴とする繊維製品。
  2. 前記魚鱗由来のコラーゲンオリゴペプチドが、暖流域に生息する魚の魚鱗から得られたコラーゲンオリゴペプチドであることを特徴とする請求項1に記載の衛生加工された繊維製品。
  3. 繊維製品が、肌着類、タオル類、靴下類、寝装類又はスポーツ衣料から選ばれたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の繊維製品。
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