JP2008240192A - 洗濯耐久性に優れたアミノ酸系有機高分子含有布帛及びかかる布帛の製造方法 - Google Patents
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Abstract
人の肌を保湿する作用を有するアミノ酸系有機高分子が洗濯を繰り返しても脱落しにくいような態様で含有されている布帛及びかかる布帛の製造方法を提供する。
【解決手段】
アミノ酸系有機高分子を未加工布帛重量に対し5〜60%含有する布帛であって、アミノ酸系有機高分子の数平均分子量が400〜800であり、洗濯50回後の布重量に対するアミノ酸系有機高分子が2%以上含有されていることを特徴とする布帛。好ましくは、アミノ酸系有機高分子の無機性/有機性の比は0.3〜0.6であり、アミノ酸系有機高分子はエモリエント剤であり、布帛は、ポリエステル繊維を50重量%以上含有し、中空断面を有する繊維からなる。また、超臨界二酸化炭素流体を用いて布帛にアミノ酸系有機高分子を含有させることを特徴とするかかる布帛の製造方法も提供される。
【選択図】なし
Description
即ち、本発明によれば、アミノ酸系有機高分子を未加工布帛重量に対し5〜60%含有する布帛であって、アミノ酸系有機高分子の数平均分子量が400〜800であり、洗濯50回後の布重量に対するアミノ酸系有機高分子が2%以上含有されていることを特徴とする布帛が提供される。
本発明の布帛の好ましい実施態様によれば、アミノ酸系有機高分子の無機性/有機性の比は0.3〜0.6であり、アミノ酸系有機高分子はエモリエント剤であり、布帛は、ポリエステル繊維を50%重量以上含有し、中空断面を有する繊維からなる。
また、本発明によれば、超臨界二酸化炭素流体を用いて布帛にアミノ酸系有機高分子を含有させることを特徴とする上記布帛の製造方法が提供される。
本発明で使用されるアミノ酸系有機高分子は、アミノ酸系エモリエント剤であることが好ましく、例えば、ミリストイルメチルアミノプロピオン酸ヘキシルデシル、ラウロイルグルタミン酸ジヘキシルデシル、ラウロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル、ラウロイルグルタミン酸ジオクチルドデセス−2、ラウロイルグルタミン酸ジオクチルドデセス−5、ラウロイルグルタミン酸ジステアレス−2、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・2−オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・ベヘニル・2−オクチルドデシル)などが挙げられる。これらのうちでもミリストイルメチルアミノプロピオン酸ヘキシルデシルは、通常、常温で液体であり、超臨界二酸化炭素の排出時に発生するドライアイスなどの冷却熱による凝固がなく、排気配管などに詰らない点で取扱いが容易であり、特に好ましい。ミリストイルメチルアミノプロピオン酸ヘキシルデシルの構造式[1]を下記に示す。
経糸として84デシテックス36フィラメントの中実仮撚加工糸、緯糸として135デシテックス36フィラメントの田の字型断面の中空原糸を使用し、レピア織機によって組織ツイル、ポリエステル100%織物Aを作成した。さらに、経糸として84デシテックス36フィラメントの中実仮撚加工糸、緯糸として167デシテックス30フィラメントの中実原糸を打込んだ、ポリエステル100%織物Bを作成した。これらの織物A,Bをそれぞれ公知の方法でリラックス精練、プレセット、アルカリ減量、及び仕上げセットして、いずれも目付け90g/m2の試験布A,Bを得た。
超臨界二酸化炭素流体を用いてアミノ酸系有機高分子を試験布へ導入する前に、試験布を105℃×2時間乾燥し、冷却後に試験布の絶乾重量を求めた。この重量を布帛へのアミノ酸系有機高分子の導入量(初期重量変化率)及び洗濯後の布帛中のアミノ酸系有機高分子の残留量(洗濯後の重量変化率)を把握するための基準重量とした。
布帛へのアミノ酸系有機高分子の導入量を初期重量変化率として下記式(1)から求めた。
初期重量変化率(%)=(a−b)×100/b 式(1)
a:アミノ酸系有機高分子導入後の試験布重量(g)
b:未処理の試験布絶乾重量(g)
洗濯耐久試験はJIS L0217 103法(中性)に準拠し、5回を1サイクルとした。
洗濯後の布帛中のアミノ酸系有機高分子の残留量を洗濯後の重量変化率として下記式(2)から求めた。
洗濯後の重量変化率(%)=(c−b)×100/b 式(2)
c:洗濯・乾燥後の試験布重量(g)
b:未処理の試験布絶乾重量(g)
ここで、洗濯・乾燥後の試験布重量は、洗濯後に40℃×−0.1MPa×18時間の真空乾燥を行い、冷却した後の試験布の秤量値である。
洗濯後の布帛中のアミノ酸系有機高分子の初期導入量に対する残留率を下記式(3)から求めた。
残留率(%)=洗濯後の重量変化率×100/初期重量変化率 式(3)
2.3Lの圧力容器内に、上記試験布A,Bそれぞれ38g(絶乾、秤量したもの)とアミノ酸系エモリエント剤(日本エマルジョン株式会社「アミテルMA−HD」、数平均分子量537)を30%owf導入した。
アミノ酸系エモリエント剤(日本エマルジョン株式会社「アミテルMA−HD」、数平均分子量537)の濃度を45%owfに変更した以外は実施例1と同じ条件で布帛を処理した。得られた試験布の初期重量変化率、洗濯5回後、10回後、30回後及び50回後の重量変化率、並びに洗濯5回後及び50回後の残留率の測定結果を表1に示す。
アミノ酸系エモリエント剤(日本エマルジョン株式会社「アミテルMA−HD」、数平均分子量537)の濃度を58.5%owfに変更した以外は実施例1と同じ条件で布帛を処理した。得られた試験布の初期重量変化率、洗濯5回後、10回後、30回後及び50回後の重量変化率、並びに洗濯5回後及び50回後の残留率の測定結果を表1に示す。
アミノ酸系エモリエント剤(日本エマルジョン株式会社「アミテルMA−HD」、数平均分子量537)の濃度を58.5%owfに変更し、共溶媒として2プロパノール58.5%owfを使用した以外は実施例1と同じ条件で布帛を処理した。得られた試験布の初期重量変化率、洗濯5回後、10回後、30回後及び50回後の重量変化率、並びに洗濯5回後及び50回後の残留率の測定結果を表1に示す。
アミノ酸系エモリエント剤(日本エマルジョン株式会社「アミテルMA−HD」、数平均分子量537)の濃度を58.5%owfに変更し、共溶媒としてエタノール58.5%owfを使用した以外は実施例1と同じ条件で布帛を処理した。得られた試験布の初期重量変化率、洗濯5回後、10回後、30回後及び50回後の重量変化率、並びに洗濯5回後及び50回後の残留率の測定結果を表1に示す。
アミノ酸系エモリエント剤の種類と濃度をアミノ酸系エモリエント剤(味の素ヘルシーサプライ株式会社「エルデュウSL205」、数平均分子量313)58.5%owfに変更した以外は実施例1と同じ条件で布帛を処理した。得られた試験布の初期重量変化率、洗濯5回後、10回後、30回後及び50回後の重量変化率、並びに洗濯5回後及び50回後の残留率の測定結果を表1に示す。
アミノ酸系エモリエント剤の種類と濃度をアミノ酸系エモリエント剤(味の素ヘルシーサプライ株式会社「エルデュウSL205」、数平均分子量313)58.5%owfに変更し、共溶媒として2プロパノール58.5%owfを使用した以外は実施例1と同じ条件で布帛を処理した。得られた試験布の初期重量変化率、洗濯5回後、10回後、30回後及び50回後の重量変化率、並びに洗濯5回後及び50回後の残留率の測定結果を表1に示す。
アミノ酸系エモリエント剤の種類と濃度をアミノ酸系エモリエント剤(味の素ヘルシーサプライ株式会社「エルデュウSL205」、数平均分子量313)58.5%owfに変更し、共溶媒としてエタノール58.5%owfを使用した以外は実施例1と同じ条件で布帛を処理した。得られた試験布の初期重量変化率、洗濯5回後、10回後、30回後及び50回後の重量変化率、並びに洗濯5回後及び50回後の残留率の測定結果を表1に示す。
アミノ酸系エモリエント剤の種類と濃度をアミノ酸系エモリエント剤(味の素ヘルシーサプライ株式会社「エルデュウCL202」、数平均分子量1000)58.5%owfに変更した以外は実施例1と同じ条件で布帛を処理した。得られた試験布の初期重量変化率、洗濯5回後、10回後、30回後及び50回後の重量変化率、並びに洗濯5回後及び50回後の残留率の測定結果を表1に示す。
アミノ酸系エモリエント剤の種類と濃度をアミノ酸系エモリエント剤(味の素ヘルシーサプライ株式会社「エルデュウCL202」、数平均分子量1000)58.5%owfに変更し、共溶媒として2プロパノール58.5%owfを使用した以外は実施例1と同じ条件で布帛を処理した。得られた試験布の初期重量変化率、洗濯5回後、10回後、30回後及び50回後の重量変化率、並びに洗濯5回後及び50回後の残留率の測定結果を表1に示す。
アミノ酸系エモリエント剤の種類と濃度をアミノ酸系エモリエント剤(味の素ヘルシーサプライ株式会社「エルデュウCL202」、数平均分子量1000)58.5%owfに変更し、共溶媒としてエタノール58.5%owfを使用した以外は実施例1と同じ条件で布帛を処理した。得られた試験布の初期重量変化率、洗濯5回後、10回後、30回後及び50回後の重量変化率、並びに洗濯5回後及び50回後の残留率の測定結果を表1に示す。
アミノ酸系エモリエント剤の種類と濃度をアミノ酸系エモリエント剤(日本エマルジョン株式会社「アミテルSG2000」無機性/有機性の比0.26)58.5%owfに変更した以外は実施例1と同じ条件で布帛を処理した。得られた試験布の初期重量変化率、洗濯5回後、10回後、30回後及び50回後の重量変化率、並びに洗濯5回後及び50回後の残留率の測定結果を表1に示す。
アミノ酸系エモリエント剤の種類と濃度をアミノ酸系エモリエント剤(日本エマルジョン株式会社「アミテルLGS−5(H)」無機性/有機性の比0.66)58.5%owfに変更した以外は実施例1と同じ条件で布帛を処理した。得られた試験布の初期重量変化率、洗濯5回後、10回後、30回後及び50回後の重量変化率、並びに洗濯5回後及び50回後の残留率の測定結果を表1に示す。
アミノ酸系エモリエント剤(日本エマルジョン株式会社「アミテルMA−HD」、数平均分子量537)の濃度を5%owfに変更した以外は実施例1と同じ条件で布帛を処理した。得られた試験布の初期重量変化率を表1に示す。アミノ酸系有機高分子の添加量が少なかったため、布帛への導入量が少なく、導入ムラを生じた。
アミノ酸系エモリエント剤(日本エマルジョン株式会社「アミテルMA−HD」、数平均分子量537)の濃度を80%owfに変更した以外は実施例1と同じ条件で布帛を処理した。得られた試験布の初期重量変化率を表1に示す。アミノ酸系有機高分子の添加量が多すぎたため、試験機にアミノ酸系有機高分子が多く残ってしまい、不経済であった。
アミノ酸系エモリエント剤(日本エマルジョン株式会社「アミテルMA−HD」、数平均分子量537)の濃度を58.5%owfに変更し、共溶媒として2プロパノール80%owfを使用した以外は実施例1と同じ条件で布帛を処理した。得られた試験布の初期重量変化率を表1に示す。共溶媒をたくさん入れすぎたため、布帛は刺激臭がした。
アミノ酸系エモリエント剤(日本エマルジョン株式会社「アミテルMA−HD」、数平均分子量537)の濃度を58.5%owfに変更し、処理圧力を8MPaに変更した以外は実施例1と同じ条件で布帛を処理した。得られた試験布の初期重量変化率を表1に示す。加工圧力が低すぎたため、布帛への導入量が少なく、導入ムラを生じた。
アミノ酸系エモリエント剤(日本エマルジョン株式会社「アミテルMA−HD」、数平均分子量537)の濃度を58.5%owfに変更し、処理圧力を30MPaに変更した以外は実施例1と同じ条件で布帛を処理した。試験機がうまく稼働しなかった。
アミノ酸系エモリエント剤(日本エマルジョン株式会社「アミテルMA−HD」、数平均分子量537)の濃度を58.5%owfに変更し、処理温度を80℃に変更した以外は実施例1と同じ条件で布帛を処理した。得られた試験布の初期重量変化率を表1に示す。加工温度が低すぎたため、布帛への導入量が少なく、導入ムラを生じた。
アミノ酸系エモリエント剤(日本エマルジョン株式会社「アミテルMA−HD」、数平均分子量537)の濃度を58.5%owfに変更し、処理温度を195℃に変更した以外は実施例1と同じ条件で布帛を処理した。得られた試験布の初期重量変化率を表1に示す。加工温度が高すぎたため、アミノ酸系有機高分子が変色してしまった。
アミノ酸系エモリエント剤(日本エマルジョン株式会社「アミテルMA−HD」、数平均分子量537)の濃度を58.5%owfに変更し、処理時間を3分に変更した以外は実施例1と同じ条件で布帛を処理した。得られた試験布の初期重量変化率を表1に示す。加工時間が短すぎたため、布帛への導入量が少なく、導入ムラを生じた。
Claims (6)
- アミノ酸系有機高分子を未加工布帛重量に対し5〜60%含有する布帛であって、アミノ酸系有機高分子の数平均分子量が400〜800であり、洗濯50回後の布重量に対するアミノ酸系有機高分子が2%以上含有されていることを特徴とする布帛。
- アミノ酸系有機高分子の無機性/有機性の比が0.3〜0.6であることを特徴とする請求項1に記載の布帛。
- アミノ酸系有機高分子がエモリエント剤であることを特徴とする請求項1または2に記載の布帛。
- 布帛がポリエステル繊維を50重量%以上含有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の布帛。
- 布帛が中空断面を有する繊維からなることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の布帛。
- 超臨界二酸化炭素流体を用いて布帛にアミノ酸系有機高分子を含有させることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の布帛の製造方法。
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