JP2008240192A - 洗濯耐久性に優れたアミノ酸系有機高分子含有布帛及びかかる布帛の製造方法 - Google Patents

洗濯耐久性に優れたアミノ酸系有機高分子含有布帛及びかかる布帛の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
人の肌を保湿する作用を有するアミノ酸系有機高分子が洗濯を繰り返しても脱落しにくいような態様で含有されている布帛及びかかる布帛の製造方法を提供する。
【解決手段】
アミノ酸系有機高分子を未加工布帛重量に対し5〜60%含有する布帛であって、アミノ酸系有機高分子の数平均分子量が400〜800であり、洗濯50回後の布重量に対するアミノ酸系有機高分子が2%以上含有されていることを特徴とする布帛。好ましくは、アミノ酸系有機高分子の無機性/有機性の比は0.3〜0.6であり、アミノ酸系有機高分子はエモリエント剤であり、布帛は、ポリエステル繊維を50重量%以上含有し、中空断面を有する繊維からなる。また、超臨界二酸化炭素流体を用いて布帛にアミノ酸系有機高分子を含有させることを特徴とするかかる布帛の製造方法も提供される。
【選択図】なし

Description

本発明は、人の肌の乾燥を防ぐ保湿機能を有するアミノ酸系有機高分子を含有し、かつ洗濯を繰り返してもこのアミノ酸系有機高分子が脱落しにくい布帛、及びかかる布帛の製造方法に関するものである。
繊維複合体にアミノ酸類を付与する従来の技術として、例えば、天然タンパク質であるセリシンを、合成樹脂バインダーを介して合成繊維へ付与する方法(例えば、特許文献1参照)や、セリシン水溶液に繊維製品を浸漬後乾燥させることによって繊維製品にセリシンを付与する方法(例えば、特許文献2参照)や、連通した微細孔を有する中空合成繊維の中空部にセリシン及び架橋剤の水溶液を含浸して架橋不溶化する方法(例えば、特許文献3参照)等が挙げられる。
しかしながら、これらの方法はいずれも液体を溶媒として使用するので排水の環境に与える負荷が高いという問題があった。さらに、特許文献1の方法では、製造された布帛は、タンパク質が合成樹脂バインダーの皮膜により露出を妨げられているので保湿効果が不十分になりやすいという問題があった。
特開平8―58006号公報 特開平8−60547号公報 特開平6−17373号公報
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、人の肌を保湿する作用を有するアミノ酸系有機高分子が洗濯を繰り返しても脱落しにくいような態様で含有されている布帛、及びかかる布帛の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため、環境に優しい方法でアミノ酸系有機高分子含有布帛に洗濯耐久性を付与するための条件について鋭意研究した結果、特定の範囲の分子量を有するアミノ酸系有機高分子を使用すると洗濯耐久性が飛躍的に向上することを見出し、遂に本発明を完成するに到った。
即ち、本発明によれば、アミノ酸系有機高分子を未加工布帛重量に対し5〜60%含有する布帛であって、アミノ酸系有機高分子の数平均分子量が400〜800であり、洗濯50回後の布重量に対するアミノ酸系有機高分子が2%以上含有されていることを特徴とする布帛が提供される。
本発明の布帛の好ましい実施態様によれば、アミノ酸系有機高分子の無機性/有機性の比は0.3〜0.6であり、アミノ酸系有機高分子はエモリエント剤であり、布帛は、ポリエステル繊維を50%重量以上含有し、中空断面を有する繊維からなる。
また、本発明によれば、超臨界二酸化炭素流体を用いて布帛にアミノ酸系有機高分子を含有させることを特徴とする上記布帛の製造方法が提供される。
本発明の布帛は、特定の範囲の分子量を有するアミノ酸系有機高分子を布帛に含有させているので、洗濯を繰り返してもアミノ酸系有機高分子が脱落しにくく、人の肌の乾燥を防ぐ保湿性能がほとんど低下しないというという利点がある。また、本発明の布帛製造方法は、超臨界二酸化炭素流体を用いてアミノ酸系有機高分子を布帛に導入するので、加工廃液をほとんど出さず環境に優しいという利点がある。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用されるアミノ酸系有機高分子は、アミノ酸系エモリエント剤であることが好ましく、例えば、ミリストイルメチルアミノプロピオン酸ヘキシルデシル、ラウロイルグルタミン酸ジヘキシルデシル、ラウロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル、ラウロイルグルタミン酸ジオクチルドデセス−2、ラウロイルグルタミン酸ジオクチルドデセス−5、ラウロイルグルタミン酸ジステアレス−2、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・2−オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル・ベヘニル・2−オクチルドデシル)などが挙げられる。これらのうちでもミリストイルメチルアミノプロピオン酸ヘキシルデシルは、通常、常温で液体であり、超臨界二酸化炭素の排出時に発生するドライアイスなどの冷却熱による凝固がなく、排気配管などに詰らない点で取扱いが容易であり、特に好ましい。ミリストイルメチルアミノプロピオン酸ヘキシルデシルの構造式[1]を下記に示す。
Figure 2008240192
本発明で使用されるアミノ酸系有機高分子の数平均分子量は400〜800であることが必要である。この範囲の分子量のアミノ酸系有機高分子であれば洗濯耐久性が優れ、繊維内部から繊維外へ徐々に浸出する徐放効果が得られるためである。ラウロイルサルコシンイソプロパノールのように分子量が400未満であれば繊維内部へ導入しやすいものの、洗濯によって抜けやすくなり、洗濯耐久性が悪化しやすいため好ましくない。一方、N−ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル・オクチルドデシル)のように分子量が800を越えると超臨界二酸化炭素を介しても繊維内部へ導入しにくく、繊維表面だけに付着しやすいため好ましくない。
本発明の布帛は、付与されているアミノ酸系有機高分子が洗濯を繰り返しても脱落しにくいことが好ましく、具体的には洗濯5回後の布帛中のアミノ酸系有機高分子の初期導入量に対する残留率が50%以上であることが好ましい。また、洗濯50回後の布帛中のアミノ酸系有機高分子の初期導入量に対する残留率が20%以上であることが好ましい。
本発明の布帛は、アミノ酸系有機高分子を未加工布帛重量に対して5〜60%含有していることが必要である。5%未満では導入ムラを生じやすく、保湿効果が不十分となりやすいため好ましくなく、また、60%を越えると導入過多となり、着用時にオイル感が増し、布帛がべとべとしたものとなりやすいため好ましくない。好ましくは、アミノ酸系有機高分子の含有量は10〜40%である。
本発明の布帛は、洗濯50回後の布帛中にアミノ酸系有機高分子が未加工布重量に対して2%以上含有されていることが必要である。2%未満では保湿効果が不十分となりやすいためである。
本発明で使用されるアミノ酸系有機高分子は、疎水性であることが好ましく、具体的には無機性/有機性の比が0.3〜0.6であることが好ましい。ステアロイルグルタミン酸ジオクチルドデシルのように無機性/有機性の比が0.3未満であれば疎水性が強くなりすぎ、ポリエステル繊維へ導入しにくいため好ましくない。また、ラウロイルグルタミン酸ジステアレス−5のように0.6を越えると親水性が大きくなりすぎ、洗濯時に溶出して洗濯耐久性に劣ったものとなり易く、その分保湿性能が劣ってしまうため好ましくない。さらに好ましくは、無機性/有機性の比は0.3〜0.5である。特に布帛中にポリエステル繊維を用いるとき、無機性/有機性の比がこれらの範囲にあることが望ましい。これは、おそらくポリエステルの極性との関係が大きく影響しているものと考えられる。
本発明の布帛は、ポリエステル繊維を50%以上含有していることが好ましい。超臨界二酸化炭素流体加工で分子量が400〜800のアミノ酸系有機高分子を繊維内部に含有させた場合、理由は定かでないがナイロン繊維100%の布帛であると洗濯耐久性が著しく劣ってしまいやすく好ましくない。ポリエステル繊維を50%以上含んでいる布帛であれば洗濯耐久性にも優れ実用に耐えうる性能が得られるため好ましい。
本発明の布帛は、中空断面を有する繊維からなることが好ましい。中空繊維の場合、超臨界二酸化炭素流体加工時において繊維断面の中空部にアミノ酸系有機高分子を容易に封入させることができる。さらに、布帛使用時に中空部に導入されたアミノ酸系有機高分子が徐々に放出されるという効果が得られ、しかもアミノ酸系有機高分子が洗濯時において溶出されにくいという効果があることがわかった。中空断面の形状は特に限定されず、一般的な一つの穴が開いたものだけではなく、二つ以上の穴が開いているものでも構わない。
次に、本発明の布帛製造方法について説明する。本発明の布帛製造方法では、アミノ酸系有機高分子の添加濃度は未加工布帛の重量に対し10〜60%であることが好ましい。添加量が10%よりも少ないと布帛に対し導入ムラを生じやすく、一方、60%をこえると布帛への導入過多となり、着用時にオイル感が増し、実用性にかける恐れがあり好ましくない。更には超臨界二酸化炭素流体試験装置の中にアミノ酸系有機高分子が多く残留し、洗浄回数を増やさなければいけないなどメンテナンスの手間がかかるという問題もある。
本発明の布帛製造方法では、アミノ酸系有機高分子は、単独で使用してもよいが、必要に応じて溶媒を併用しても差し支えない。例えばメタノール、エタノール、1プロパノール、2プロパノール、アセトン、ブタノール、エチレングリコールなどから選ばれた少なくとも一種類の溶媒を共溶媒として添加しても良く、溶媒の添加濃度は未加工布帛重量に対し0.1〜60%であることが好ましい。添加濃度が60%を超えると処理後の布帛に共溶媒が残留し、臭気や溶剤の除去が必要となり好ましくない。
本発明の布帛製造方法では、超臨界二酸化炭素流体を用いて布帛にアミノ酸系有機高分子を含有させる。超臨界二酸化炭素流体を用いた布帛の処理圧力は8MPa〜30MPaであることが好ましい。処理圧力が8MPa未満では布帛へ導入ムラが生じやすく、一方、30MPaを超えると圧力容器の構造が大がかりになるうえに、処理に要するエネルギーも多くなってしまうため好ましくない。処理圧力は、好ましくは10MPa以上であり、より好ましくは15〜25MPaである。
また、超臨界二酸化炭素流体を用いた布帛の処理温度は100℃〜180℃であることが好ましい。処理温度が100℃未満の場合は分子量400〜800のアミノ酸系有機高分子が超臨界二酸化炭素流体に十分に溶け込まず、布帛へ導入しにくい。一方、処理温度が180℃を越えるとアミノ酸系有機高分子が熱劣化してしまう場合があり、処理に要するエネルギーも多くなるため好ましくない。
また、超臨界二酸化炭素流体を用いた布帛の処理に要する時間は3分〜120分以内であることが好ましい。120分を超えると処理バッチ回数が少なくなるか、あるいは作業効率が悪くなる場合が多いため好ましくない。より好ましくは60分以下である。一方、3分未満では、分子量400〜800のアミノ酸系有機高分子が超臨界二酸化炭素流体中へ溶解されにくく、布帛へ導入ムラを生じやすい。処理時間は、好ましくは15分以上であり、更に好ましくは30分以上である。
以下、実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記実施例に限定されない。なお、実施例中に記載の特性値、物性値は以下の測定方法に基づき評価したものである。
(試験布)
経糸として84デシテックス36フィラメントの中実仮撚加工糸、緯糸として135デシテックス36フィラメントの田の字型断面の中空原糸を使用し、レピア織機によって組織ツイル、ポリエステル100%織物Aを作成した。さらに、経糸として84デシテックス36フィラメントの中実仮撚加工糸、緯糸として167デシテックス30フィラメントの中実原糸を打込んだ、ポリエステル100%織物Bを作成した。これらの織物A,Bをそれぞれ公知の方法でリラックス精練、プレセット、アルカリ減量、及び仕上げセットして、いずれも目付け90g/mの試験布A,Bを得た。
(絶乾重量)
超臨界二酸化炭素流体を用いてアミノ酸系有機高分子を試験布へ導入する前に、試験布を105℃×2時間乾燥し、冷却後に試験布の絶乾重量を求めた。この重量を布帛へのアミノ酸系有機高分子の導入量(初期重量変化率)及び洗濯後の布帛中のアミノ酸系有機高分子の残留量(洗濯後の重量変化率)を把握するための基準重量とした。
(初期重量変化率)
布帛へのアミノ酸系有機高分子の導入量を初期重量変化率として下記式(1)から求めた。
初期重量変化率(%)=(a−b)×100/b 式(1)
a:アミノ酸系有機高分子導入後の試験布重量(g)
b:未処理の試験布絶乾重量(g)
(洗濯耐久性試験)
洗濯耐久試験はJIS L0217 103法(中性)に準拠し、5回を1サイクルとした。
(洗濯後の重量変化率)
洗濯後の布帛中のアミノ酸系有機高分子の残留量を洗濯後の重量変化率として下記式(2)から求めた。
洗濯後の重量変化率(%)=(c−b)×100/b 式(2)
c:洗濯・乾燥後の試験布重量(g)
b:未処理の試験布絶乾重量(g)
ここで、洗濯・乾燥後の試験布重量は、洗濯後に40℃×−0.1MPa×18時間の真空乾燥を行い、冷却した後の試験布の秤量値である。
(残留率)
洗濯後の布帛中のアミノ酸系有機高分子の初期導入量に対する残留率を下記式(3)から求めた。
残留率(%)=洗濯後の重量変化率×100/初期重量変化率 式(3)
(実施例1)
2.3Lの圧力容器内に、上記試験布A,Bそれぞれ38g(絶乾、秤量したもの)とアミノ酸系エモリエント剤(日本エマルジョン株式会社「アミテルMA−HD」、数平均分子量537)を30%owf導入した。
液体の二酸化炭素を圧力容器内へ注入した後、圧力容器を過熱し、圧力容器内の温度130℃、圧力20MPaにて30分間、超臨界二酸化炭素流体中での処理を行なった。
処理後、徐々に圧力容器内の超臨界二酸化炭素流体を排出しながら圧力を下げ、常圧まで減圧させた。圧力容器から試験布を取り出し、得られた試験布の初期重量変化率を測定した。その結果を表1に示す。
処理した試験布を50回までの洗濯に供し、洗濯5回後、10回後、30回後及び50回後の重量変化率、並びに洗濯5回後及び50回後の残留率を測定した。その結果を表1に示す。
(実施例2)
アミノ酸系エモリエント剤(日本エマルジョン株式会社「アミテルMA−HD」、数平均分子量537)の濃度を45%owfに変更した以外は実施例1と同じ条件で布帛を処理した。得られた試験布の初期重量変化率、洗濯5回後、10回後、30回後及び50回後の重量変化率、並びに洗濯5回後及び50回後の残留率の測定結果を表1に示す。
(実施例3)
アミノ酸系エモリエント剤(日本エマルジョン株式会社「アミテルMA−HD」、数平均分子量537)の濃度を58.5%owfに変更した以外は実施例1と同じ条件で布帛を処理した。得られた試験布の初期重量変化率、洗濯5回後、10回後、30回後及び50回後の重量変化率、並びに洗濯5回後及び50回後の残留率の測定結果を表1に示す。
(実施例4)
アミノ酸系エモリエント剤(日本エマルジョン株式会社「アミテルMA−HD」、数平均分子量537)の濃度を58.5%owfに変更し、共溶媒として2プロパノール58.5%owfを使用した以外は実施例1と同じ条件で布帛を処理した。得られた試験布の初期重量変化率、洗濯5回後、10回後、30回後及び50回後の重量変化率、並びに洗濯5回後及び50回後の残留率の測定結果を表1に示す。
(実施例5)
アミノ酸系エモリエント剤(日本エマルジョン株式会社「アミテルMA−HD」、数平均分子量537)の濃度を58.5%owfに変更し、共溶媒としてエタノール58.5%owfを使用した以外は実施例1と同じ条件で布帛を処理した。得られた試験布の初期重量変化率、洗濯5回後、10回後、30回後及び50回後の重量変化率、並びに洗濯5回後及び50回後の残留率の測定結果を表1に示す。
(比較例1)
アミノ酸系エモリエント剤の種類と濃度をアミノ酸系エモリエント剤(味の素ヘルシーサプライ株式会社「エルデュウSL205」、数平均分子量313)58.5%owfに変更した以外は実施例1と同じ条件で布帛を処理した。得られた試験布の初期重量変化率、洗濯5回後、10回後、30回後及び50回後の重量変化率、並びに洗濯5回後及び50回後の残留率の測定結果を表1に示す。
(比較例2)
アミノ酸系エモリエント剤の種類と濃度をアミノ酸系エモリエント剤(味の素ヘルシーサプライ株式会社「エルデュウSL205」、数平均分子量313)58.5%owfに変更し、共溶媒として2プロパノール58.5%owfを使用した以外は実施例1と同じ条件で布帛を処理した。得られた試験布の初期重量変化率、洗濯5回後、10回後、30回後及び50回後の重量変化率、並びに洗濯5回後及び50回後の残留率の測定結果を表1に示す。
(比較例3)
アミノ酸系エモリエント剤の種類と濃度をアミノ酸系エモリエント剤(味の素ヘルシーサプライ株式会社「エルデュウSL205」、数平均分子量313)58.5%owfに変更し、共溶媒としてエタノール58.5%owfを使用した以外は実施例1と同じ条件で布帛を処理した。得られた試験布の初期重量変化率、洗濯5回後、10回後、30回後及び50回後の重量変化率、並びに洗濯5回後及び50回後の残留率の測定結果を表1に示す。
(比較例4)
アミノ酸系エモリエント剤の種類と濃度をアミノ酸系エモリエント剤(味の素ヘルシーサプライ株式会社「エルデュウCL202」、数平均分子量1000)58.5%owfに変更した以外は実施例1と同じ条件で布帛を処理した。得られた試験布の初期重量変化率、洗濯5回後、10回後、30回後及び50回後の重量変化率、並びに洗濯5回後及び50回後の残留率の測定結果を表1に示す。
(比較例5)
アミノ酸系エモリエント剤の種類と濃度をアミノ酸系エモリエント剤(味の素ヘルシーサプライ株式会社「エルデュウCL202」、数平均分子量1000)58.5%owfに変更し、共溶媒として2プロパノール58.5%owfを使用した以外は実施例1と同じ条件で布帛を処理した。得られた試験布の初期重量変化率、洗濯5回後、10回後、30回後及び50回後の重量変化率、並びに洗濯5回後及び50回後の残留率の測定結果を表1に示す。
(比較例6)
アミノ酸系エモリエント剤の種類と濃度をアミノ酸系エモリエント剤(味の素ヘルシーサプライ株式会社「エルデュウCL202」、数平均分子量1000)58.5%owfに変更し、共溶媒としてエタノール58.5%owfを使用した以外は実施例1と同じ条件で布帛を処理した。得られた試験布の初期重量変化率、洗濯5回後、10回後、30回後及び50回後の重量変化率、並びに洗濯5回後及び50回後の残留率の測定結果を表1に示す。
(比較例7)
アミノ酸系エモリエント剤の種類と濃度をアミノ酸系エモリエント剤(日本エマルジョン株式会社「アミテルSG2000」無機性/有機性の比0.26)58.5%owfに変更した以外は実施例1と同じ条件で布帛を処理した。得られた試験布の初期重量変化率、洗濯5回後、10回後、30回後及び50回後の重量変化率、並びに洗濯5回後及び50回後の残留率の測定結果を表1に示す。
(比較例8)
アミノ酸系エモリエント剤の種類と濃度をアミノ酸系エモリエント剤(日本エマルジョン株式会社「アミテルLGS−5(H)」無機性/有機性の比0.66)58.5%owfに変更した以外は実施例1と同じ条件で布帛を処理した。得られた試験布の初期重量変化率、洗濯5回後、10回後、30回後及び50回後の重量変化率、並びに洗濯5回後及び50回後の残留率の測定結果を表1に示す。
(参考例1)
アミノ酸系エモリエント剤(日本エマルジョン株式会社「アミテルMA−HD」、数平均分子量537)の濃度を5%owfに変更した以外は実施例1と同じ条件で布帛を処理した。得られた試験布の初期重量変化率を表1に示す。アミノ酸系有機高分子の添加量が少なかったため、布帛への導入量が少なく、導入ムラを生じた。
(参考例2)
アミノ酸系エモリエント剤(日本エマルジョン株式会社「アミテルMA−HD」、数平均分子量537)の濃度を80%owfに変更した以外は実施例1と同じ条件で布帛を処理した。得られた試験布の初期重量変化率を表1に示す。アミノ酸系有機高分子の添加量が多すぎたため、試験機にアミノ酸系有機高分子が多く残ってしまい、不経済であった。
(参考例3)
アミノ酸系エモリエント剤(日本エマルジョン株式会社「アミテルMA−HD」、数平均分子量537)の濃度を58.5%owfに変更し、共溶媒として2プロパノール80%owfを使用した以外は実施例1と同じ条件で布帛を処理した。得られた試験布の初期重量変化率を表1に示す。共溶媒をたくさん入れすぎたため、布帛は刺激臭がした。
(参考例4)
アミノ酸系エモリエント剤(日本エマルジョン株式会社「アミテルMA−HD」、数平均分子量537)の濃度を58.5%owfに変更し、処理圧力を8MPaに変更した以外は実施例1と同じ条件で布帛を処理した。得られた試験布の初期重量変化率を表1に示す。加工圧力が低すぎたため、布帛への導入量が少なく、導入ムラを生じた。
(参考例5)
アミノ酸系エモリエント剤(日本エマルジョン株式会社「アミテルMA−HD」、数平均分子量537)の濃度を58.5%owfに変更し、処理圧力を30MPaに変更した以外は実施例1と同じ条件で布帛を処理した。試験機がうまく稼働しなかった。
(参考例6)
アミノ酸系エモリエント剤(日本エマルジョン株式会社「アミテルMA−HD」、数平均分子量537)の濃度を58.5%owfに変更し、処理温度を80℃に変更した以外は実施例1と同じ条件で布帛を処理した。得られた試験布の初期重量変化率を表1に示す。加工温度が低すぎたため、布帛への導入量が少なく、導入ムラを生じた。
(参考例7)
アミノ酸系エモリエント剤(日本エマルジョン株式会社「アミテルMA−HD」、数平均分子量537)の濃度を58.5%owfに変更し、処理温度を195℃に変更した以外は実施例1と同じ条件で布帛を処理した。得られた試験布の初期重量変化率を表1に示す。加工温度が高すぎたため、アミノ酸系有機高分子が変色してしまった。
(参考例8)
アミノ酸系エモリエント剤(日本エマルジョン株式会社「アミテルMA−HD」、数平均分子量537)の濃度を58.5%owfに変更し、処理時間を3分に変更した以外は実施例1と同じ条件で布帛を処理した。得られた試験布の初期重量変化率を表1に示す。加工時間が短すぎたため、布帛への導入量が少なく、導入ムラを生じた。
Figure 2008240192
本発明によれば、超臨界二酸化炭素流体を用いて布帛に対して特定の範囲の分子量のアミノ酸系有機高分子を導入することにより、人の肌を保湿し乾燥を防ぐ性能を有するアミノ酸系有機高分子が洗濯を繰り返しても脱落しにくい布帛を提供することができる。従って、本発明の布帛は、繰り返し洗濯しても保湿性能が低下しないことが要求される、インナー材、裏地、衣服、手袋、靴下、寝具、スポーツ衣料、介護用品等の繊維製品に特に好適に使用することができる。

Claims (6)

  1. アミノ酸系有機高分子を未加工布帛重量に対し5〜60%含有する布帛であって、アミノ酸系有機高分子の数平均分子量が400〜800であり、洗濯50回後の布重量に対するアミノ酸系有機高分子が2%以上含有されていることを特徴とする布帛。
  2. アミノ酸系有機高分子の無機性/有機性の比が0.3〜0.6であることを特徴とする請求項1に記載の布帛。
  3. アミノ酸系有機高分子がエモリエント剤であることを特徴とする請求項1または2に記載の布帛。
  4. 布帛がポリエステル繊維を50重量%以上含有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の布帛。
  5. 布帛が中空断面を有する繊維からなることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の布帛。
  6. 超臨界二酸化炭素流体を用いて布帛にアミノ酸系有機高分子を含有させることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の布帛の製造方法。
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