JP2006183798A - Tナット - Google Patents
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Abstract
【課題】油や塗料等が軸内に極力進入しないような構造にし、かつ少しの油の軸部内への侵入は可能で、ボルトのねじ込み取付けを常に円滑に行なうことができるTナットを提供することにある。
【解決手段】金属板からプレスにより一体に成形されてなる、筒状の軸部2と、この軸部2の第1の端部から外方へ張り出す外側フランジ部33aと、前記筒状の軸部2の外側フランジ部33aと反対側の内方へ張り出す内側フランジ部33bとからなり、上記筒状の軸部2の少なくとも一部に雌ねじ36を形成した雌ねじ形成部35を有し、さらに、前記金属板からプレスにより軸部2と外側フランジ部33aとともに一体に形成される内側フランジ部33bの形成時に、この内側フランジ部33bの中心部近傍に形成される孔44を有している。
【選択図】 図1
【解決手段】金属板からプレスにより一体に成形されてなる、筒状の軸部2と、この軸部2の第1の端部から外方へ張り出す外側フランジ部33aと、前記筒状の軸部2の外側フランジ部33aと反対側の内方へ張り出す内側フランジ部33bとからなり、上記筒状の軸部2の少なくとも一部に雌ねじ36を形成した雌ねじ形成部35を有し、さらに、前記金属板からプレスにより軸部2と外側フランジ部33aとともに一体に形成される内側フランジ部33bの形成時に、この内側フランジ部33bの中心部近傍に形成される孔44を有している。
【選択図】 図1
Description
本発明は、中空な軸部の一方端から外方へ張り出す外側フランジ部と内方へ張り出す内側フランジ部を有するTナットに関するものである。
従来のTナットとして、たとえば特開平4−341606号公報あるいは特開平6−323315号公報に示されたものがある。これらのTナットは、軸部にかしめが予定された薄肉部を有するものである。
上記特開平4−341606号公報に記載のTナット11は、図23(a)(b)に示す形状を有し、たとえば鉄系の金属板を板金加工することにより一体に得られるもので、軸部12およびこの軸部12の第1の端部から外方へ張出すフランジ部13を備える。
軸部12は外径が一様な中空の筒状をなし、その第1の端部とは反対側の第2の端部において、かしめ予定部分14を有し、かつ、かしめ予定部分14を除く雌ネジ形成部15の内周面上には、雌ネジ15aが形成されている。かしめ予定部分14は、雌ネジ形成部15が形成された部分に比べて肉薄とされる。これにより、雌ネジ15aを形成する場合、ボルト切りを軸部12の第1の端部側あるいは第2の端部側のいずれからでも行なうことができる。
フランジ部13には、フランジ部13の外周縁の一部を外方から内方へ向かって押しつぶすことにより形成された2個の爪16が、180度対向して、軸部12の第2の端部に向かって突出するように設けられている。フランジ部13の外周縁には、爪16が形成された結果、断面ほぼ半円の切欠き17が残されている。
このようなTナット11は、たとえば図24(a)に示すように使用される。すなわち、図24(a)を参照して、予め貫通孔18が設けられた、樹脂材料や木材からなる固着対象物19に、まず軸部12が挿入され、この状態で、かしめ機(図示省略)により、かしめ予定部分14(図23(a)参照)にかしめ加工が施され、固着対象物19の一方の面側においてかしめ部分14aが形成される。このとき同時に、爪16は固着対象物19の他方の面に食込む状態とされる。このようにして、Tナット11の固着対象物19への固定が完了する。
また、上記の特開平6−323315号公報に記載のTナット31は、図25(a)(b)に示す形状を有し、上記Tナット11と同様に、たとえば鉄系の金属板を板金加工することにより一体に得られるもので、軸部32およびこの軸部32の第1の端部から外方へ張出すフランジ部33を備え、上記軸部32の内周には雌ネジ36が形成された雌ネジ形成部分35を有し、かつ、かしめ予定部分34を有している。Tナット31の構造が図23(a)(b)のTナット11の構造と異なる点は、Tナット31ではフランジ部33の外周部に、第1の端部から第2の端部へ向く方向に延びる2対の爪37および38,39および40がフランジ部33の径方向に対向して配置され、フランジ部33が全体として実質的に八角形の形状をなしている点である。
このようなTナット31は、通常、「ホッパーフィードTナット」と呼ばれている。なぜなら、Tナット31は、これを固着対象物19に固着するためのナット固着機に備える供給トラック43(図25(b)参照)に沿って円滑に移動させることができ、Tナット31を自動的に供給することができるためである。なお、ホッパーフィードTナットの一形式の詳細は、たとえば、英国特許第1,157,734号明細書に記載されている。
このようなTナット31は、上記したTナット11の場合と同様の態様で用いられる。すなわち、図24(b)に示すように、固着対象物19の貫通孔18に、Tナット31の軸部32が挿入され、この状態でかしめ機により、かしめ予定部分34にかしめ加工が施され、固着対象物19の一方面側においてかしめ部分34aが形成される。このとき同時に、爪37〜40が固着対象物19の他方面に食込む状態とされる。
このようなTナット31の取付状態において、Tナット31が固着対象物19に対して回転することを爪37〜40が禁止するとともに、フランジ部33とかしめ部分34aとが固着対象物19を挟むことによって、Tナット31が貫通孔18から抜けることを禁止する。したがって、Tナット31は、固着対象物19に対して強固に固定されるとともに、その固定状態は、半永久的に維持される。なお、かしめ予定部34(14)を備えていないTナットに関しても、かしめ加工以外の部分は同様である。
このようなTナット11、31は、上記した図24(a)、(b)に示したように固定対象物19に固定した後に、固定対象物19の表面処理のために、一側面19Aに、油、塗料等を塗布したり、一側面19Aを油や塗料等の液中に浸漬する場合がある。
そのような場合には、Tナット11、31の第1の端部の開口部分11A、31Aから油や塗料等が多量に軸部12、32内に進入する危険性がある。Tナット11、31の軸部12、32内に進入した多量の油や塗料を放置することは、後の作業へ悪影響を与えるという観点や、品質保持の観点からも好ましくないので、除去する必要があるが、多数のTナット11、31の軸部12、32内へ進入した油や塗料等をひとつひとつ除去する作業は大変手間のかかる作業である。
そこで、油や塗料がTナット11、31の開口部分11A、31Aから軸部12,32内に侵入するのを防止するために、上記の開口部分11A、31Aを筒底封止部材(図示省略)によって完全に封止したTナットも本発明者と同一人によって開発されている。
しかしながら、固定対象物19に取り付けたTナット11、31にボルト(図示省略)をボルト込んで円滑に取り付けるには、雌ネジ部分15a、36に潤滑油としての作用を成す油の付着も必要である。また、筒底封止部材(図示省略)によって完全に軸部12,32の開口部分11A、31Aを封止したTナットでは、雌ネジ部分に筒底封止部材と反対側からボルトをボルト込んで取り付けていく場合、軸部内の空気を筒底封止部材側に圧縮しながらボルト込んで行くことになり、上記した潤滑油の作用のないことと相まって、ボルトをTナットの雌ネジ部分に円滑に取り付けられない懸念があった。
本発明は、上記のような点に鑑みて開発されたものであり、油や塗料等が軸内に極力進入しないような構造にし、かつ少しの油の軸部内への侵入は可能で、ボルトのねじ込み取付けを常に円滑に行なうことができるTナットを提供することを目的とする。
本発明は、上記した目的を有効に達成するために、次のような構成のTナットを開発した。
すなわち、請求項1に記載の本発明は、金属板からプレスにより一体に成形されてなる、筒状の軸部と、この軸部の第1の端部から外方へ張り出す外側フランジ部と、上記筒状の軸部の外側フランジ部と反対側の内方へ張り出す内側フランジ部とからなり、上記筒状の軸部の少なくとも一部に雌ネジを形成した雌ネジ形成部を有し、さらに、上記金属板からプレスにより軸部と外側フランジ部とともに一体に形成される内側フランジ部の形成時に、この内側フランジ部の中心部近傍に形成される孔を有していることを特徴とするTナットである。
また、請求項2に記載の本発明は、金属板からプレスにより一体に成形されてなる、筒状の軸部と、この軸部の第1の端部から外方へ張り出す外側フランジ部と、上記筒状の軸部の外側フランジ部と反対側の内方へ張り出す内側フランジ部とからなり、さらに、上記金属板からプレスにより軸部と外側フランジ部とともに一体に形成される内側フランジ部の形成時に、この内側フランジ部の中心部近傍に形成される孔を有していることを特徴とするTナットである。
また、請求項3に記載の本発明は、外側フランジ部の外周部には、第1の端部から第2の端部の方向に向き、かつ、上記外側フランジ部に対して垂直または略垂直に延びるように形成した複数の爪を有する請求項1または請求項2記載のTナットである。
また、請求項4に記載の本発明は、外側フランジ部は円形または略円形とした請求項1、請求項2または請求項3記載のTナットである。
また、請求項5に記載の本発明は、外側フランジ部は八角形または略八角形または変形八角形とした請求項1、請求項2または請求項3項記載のTナットである。
また、請求項6に記載の本発明は、内側フランジ部の外側露出面をリング状または凹凸リング状に形成した請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のTナットである。
また、請求項7に記載の本発明は、内側フランジ部の外側露出面とともに、外側フランジ部の上記内側フランジ部の外側露出面と同じ側の外側露出面を、リング状または凹凸リング状に形成した請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のTナットである。
また、請求項8に記載の本発明は、内側フランジ部の外側露出面を凸状に形成した請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のTナットである。
また、請求項9に記載の本発明は、内側フランジ部の外側露出面を凹状に形成した請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のTナットである。
また、請求項10に記載の本発明は、軸部は、第2の端部から所定の長さにかけて形成されたかしめ予定部を含む請求項1または請求項3〜請求項9のいずれか1項に記載のTナットである。
また、請求項11に記載の本発明は、軸部の第2の端部の外周面が、第1の端部側へ向かって徐々に末広がり状とされている請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のTナットである。
また、請求項12に記載の本発明は、軸部が、その軸方向の途中に設けられた段差部と、第1の端部とは逆の第2の端部から段差部にかけての先端側筒状部と、外周が先端側筒状部の外径よりも拡大された、段差部から外側フランジ部にかけての基端側拡大筒状部とを含んでいる請求項1または請求項3〜請求項10のいずれか1項に記載のTナットである。
また、請求項13に記載の本発明は、雌ネジ形成部を有する軸部は、第2の端部から所定の長さにかけて形成されたかしめ予定部を有し、かつ、該かしめ予定部を、雌ネジ形成部よりも大きな内径、および、雌ネジ形成部の外径よりも大きな外径とした請求項2〜請求項10のいずれか1項に記載のTナットである。
また、請求項14に記載の本発明は、かしめ予定部と雌ネジ形成部との境界近傍の軸部外周に、環状に形成した凹状溝を備えた請求項10記載のTナットである。
また、請求項15に記載の本発明は、外側フランジ部に、第2の端部側へ向かって突出する突起を形成した請求項1〜請求項14のいずれか1項に記載のTナットである。
また、請求項16に記載の本発明は、爪にはギザギザの形状が形成されている請求項3〜請求項15のいずれか1項に記載のTナットである。
また、請求項17に記載の本発明は、爪には、フック形状が形成されている請求項3〜請求項15のいずれか1項に記載のTナットである。
また、請求項18に記載の本発明は、外側フランジ部は、縦辺>横辺とした請求項4または請求項5〜請求項17のいずれか1項に記載のTナットである。
また、請求項19に記載の本発明は、外側フランジ部は、縦辺=横辺とした請求項4または請求項5〜請求項17のいずれか1項に記載のTナットである。
また、請求項20に記載の本発明は、外側フランジ部は、縦辺<横辺とした請求項4または請求項5〜請求項17のいずれか1項に記載のTナットである。
また、請求項21に記載の本発明は、雌ネジ形成部と内側フランジ部との間に空間が形成されている請求項1または請求項3〜請求項20のいずれか1項に記載のTナットである。
また、請求項22に記載の本発明は、外側フランジ部および内側フランジ部の外側露出面を凹状に形成した請求項1〜請求項7および請求項10〜請求項21のいずれか1項に記載のTナットである。
本発明に係るTナットは、軸部の第1の端部が内側フランジ部によって殆ど塞がれているので、塗料や油等の軸部内への浸入を極力防止することができ、かつ、内側フランジ部の中心部近傍に孔を有しているので、粘度の高い極僅かの油は上記の孔から軸部内に侵入して軸部内面を潤し、軸部へのボルトのねじ込み時に潤滑のはたらきを成して円滑にボルトを軸部にボルト込んで取り付けることができる。さらに、本発明に係るTナットは、上記の孔を有するが故に、軸部へのボルトのねじ込み時に軸部内の空気がこの孔から抜けて、容易にボルトを軸部にボルト込んで取り付けることができる。これらの作用効果は、軸部内に雌ネジを形成してあるTナットは勿論のこと雌ネジを形成してないTナットでも同様である。
また、本発明に係るTナットは、複数の爪を有しているので、これらの爪が固着対象物に食込んで、固着対象物に強固に固定することができる。
また、本発明に係るTナットの軸部にかしめ予定部を形成することで、かしめ処理により固着対象物に確実に固着されるという効果が得られる。
また、本発明に係るTナットの軸部に段差部を形成することで、固着対象物に確実に固着されるという効果が得られる。さらに、段差部から外側フランジ部にかけて基端側拡大筒状部を形成することにより、固着対象物への打込み時に、基端側拡大筒状部が固着対象物の貫通孔に圧入されることになり、固着対象物への固定がより強固なものとなる。
また、本発明に係るTナットのかしめ予定部を、雌ネジ形成部よりも大きな内径、および、雌ネジ形成部の外径よりも大きな外径としたTナットでは、固着対象物の下穴の径を、少なくともかしめ予定部の外径よりも大きくする必要があり、固着対象物に打ち込んだ状態で、雌ネジ形成と下穴の内周との間に隙間が生じるが、かしめ予定部をかしめることによって固着対象物に確実に固定することができる。
さらに、本発明に係るTナットのかしめ予定部と雌ネジ形成部との境界近傍の軸部外周に凹状溝を環状に設けることで、リサイクルに適したTナットを提供できる。
また、本発明に係るTナットの軸部の第2の端部の外周面を、第1の端部側へ向かって徐々に末広がり状に形成することによって、Tナットを固着対象物に確実に固着されるという効果が得られる。
また、本発明に係るTナットの外側フランジ部に第2の端部側へ向かって突出する突起を形成したことにより、Tナットの軸部を固着対象物の貫通孔に嵌め込んだ際に、突起が固着対象物に強固にかみ込んで、Tナットを強固に固着対象物に固定することができる。
また、本発明に係るTナットの爪にギザギザ形状またはフック形状を形成したことにより、
Tナットの軸部を固着対象物の貫通孔に嵌め込んだ際に、爪が固着対象物に強固にかみ込んで、より強固に固着対象物に固定することができる。
Tナットの軸部を固着対象物の貫通孔に嵌め込んだ際に、爪が固着対象物に強固にかみ込んで、より強固に固着対象物に固定することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1(a)(b)、または図4(a)に示す本発明の実施の形態における一例のTナット41は、金属板からプレスにより一体に成形されてなる、筒状の軸部2と、この軸部の第1の端部から外方へ張り出す外側フランジ部33aと、上記筒状の軸部2の外側フランジ部33aと反対側の内方へ張り出す内側フランジ部33bと、外側フランジ部33aの外周部に第1の端部から第2の端部へ向く方向すなわち外側フランジ部33aに対して垂直または略垂直に延びる2対の爪37および38,爪39および40とからなり、さらに、軸部2の少なくとも一部に雌ネジ36を形成した雌ネジ形成部35を有し、かつ、金属板からプレスにより軸部2と外側フランジ部33aとともに一体に形成される上記内側フランジ部33bの形成時に、この内側フランジ部33bの中心部近傍に形成される貫通した小さい孔44を有してなるものである。この孔44は、1mm位の径(または縦1mm×横1mm位の四角形)の貫通孔である。勿論、孔44の形状は円形や四角形に限らず他の形状でもある。また、孔44の大きさも上記した1mm位の径(または縦1mm×横1mm位)に限らず、この数値より少し大きくても小さくてもよい。
また、上記2対の爪37および38,爪39および40は、外向き側の縁部をギザギザ形状(またはフック形状でもよい。)に形成され、かつ、外側フランジ部33aの径方向に対向して配置されている。外側フランジ部33aは、この例では全体として八角形の形状をなしているが、略八角形または変形八角形など実質的に八角形の形状を成していればよい。
また、上記した筒状の軸部2の少なくとも一部に形成した雌ネジ36は、この例では筒状の軸部2の第2の端部側から第1の端部側にかけて軸部2の2/3位の深さまでであって、
軸部2の第1の端部までは形成されておらず、雌ネジ形成部35の雌ネジ36の下端部と上記内側フランジ部33bとの間には若干の空間Sが形成されている。
軸部2の第1の端部までは形成されておらず、雌ネジ形成部35の雌ネジ36の下端部と上記内側フランジ部33bとの間には若干の空間Sが形成されている。
内側フランジ部33bの外側露出面は、図1(a)(b)に示したようにほぼ同心円状の凹凸リング状(またはリング状)に形成されているが、図3(a)に示したように平坦に成形される場合や、図3(b)に示したように外側に突出した凸状に形成される場合や、図3(c)に示したように内側に窪んだ凹状に形成される場合がある。
また、本発明にかかるTナットは、上記した内側フランジ部33bの外側露出面とともに外側フランジ部33aの外側露出面を、ほぼ同心円状のリング状または凹凸リング状に、或いは凹状に形成した構成であってもよい。リング状や凹凸リング状や凹状の深さや幅や形状(大きさなど)は、図1などに示すものが好ましいが特に限定されるものではなく、他の深さや幅や形状等であってもよい。
なお、上記の図1(a)(b)に示したように外側露出面が凹凸リング状に形成されていると、使用状況によっては凹部にゴミや薬品が滞留して腐食の原因となる場合があるという問題や、外観が優れない場合があるという問題があるが、図3の(a)に示したように平坦に成形されている場合や図3(b)に示したように外側に突出した凸状に形成される場合には、ゴミや薬品が滞留しなくなるとともに、外観も優れたものとなるという効果が得られる。
なお、図26(a)、(b)、図27(a)、(b)には、上記の図3の(a)に示した内側フランジ部33bの外側露出面を平坦に成形した場合のTナット41A、Tナット61Aをそれぞれ示した。なお、図示のTナット41A、Tナット61Aにおいて、内側フランジ部33bの外側露出面が平坦である以外の構成は、上記した図1、図2に示す構成と同様であるので、ここではその説明を省略する。また、図3の(b)に示したように、内側フランジ部33bの外側露出面を凸状に形成する場合のTナットを図41(a)、(b)、図42(a)、(b)に示した。図41の(a)、(b)に示したTナット41Bは、内側フランジ部33bが外側に突出する凸状に形成されている。同様に、図42の(a)、(b)に示したTナット61Bも、内側フランジ部33bが外側に突出する凸状に形成されている。なお、図41(a)、(b)、42(a)、(b)に示したTナットにおいて、内側フランジ部33bの構成と軸部の長さ以外は、前述した図1、図2を参照して説明したものと同様であるので、ここではその説明を省略した。
上記した内側フランジ部33bの外側露出面を外側に突出する凸状に形成した場合には、図41(a)、図42の(a)に示したように、図1、図2に示すTナット41、61と同じまたはほぼ同じ大きさの空間Sを、図1のTナット41の空間Sの形成位置に対して、内側フランジ部33b寄りに形成することができる。
そのため、図41(a)、図42の(a)に示すTナット41B、61Bでは、雌ネジ361の有効なボルト山数を、図1、図2の雌ネジ36と同数だけ空間S寄りに形成できることになる。このことは、軸部2の長さcを図1、2の場合より短くしても、図1のTナット41と同数の有効な雌ネジ361のボルト山数を有するTナット41Bを形成することができる。軸部2の長さが短くなれば、材料素材の使用量が少なくなるのでコストの節減効果が得られる。
また、図3の(d)に示したように、Tナットを打ち込んだ中間部材19aに、ボルトを用いて別の板部材を重ね合わせて固定する場合には、重ね合わせる板部材が柔らかい場合には図3の(b)に示したような凸状のTナット41Bでもよいが、重ね合わせる板部材が硬い素材の場合には隙間が発生して不都合となるので、図1、2に示したように凹凸リング状のある形状や、図3の(a)、図26に示したような平坦な形状のTナット41Aが好ましい。
次に、図2(a)、(b)において示したTナット61は、軸部2の途中に段差3が形成され、且つ、先端側中空円筒部4にかしめ予定部34が形成されている点で、図1に示したTナット41とは異なる。その他の共通の構成要素については同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
上記Tナット61の使用形態を説明する。Tナット61の使用時においては、図5に示すように、木製の板材などの固着対象物19の貫通孔18に、Tナット61の軸部2が挿入され、この状態で、かしめ機によりかしめ予定部34にかしめ加工が施され、固着対象物19の一方面側においてかしめ部分34aが形成される。このとき同時に、爪37〜40が固着対象物19の他方面に食込む状態とされる。
固着対象物19の貫通孔18の内径は、図5に示す例においては、先端側中空円筒部4の外径とほぼ同じになるように設定されており、基端側拡大筒状部5の部分は、固着対象物19への打込み時に貫通孔18に圧入されている。このように設定することによって、先端側中空円筒部4の外周面と貫通穴18の内周面との間に隙間が生じることなく、しかも基端側拡大筒状部5の部分の圧入されることにより、固着対象物19への固定がより強固なものとなる。
次に、このTナット61を打ち込んだ固着対象物19の表面の塗布作業を説明する。
図5のようにTナット61が打ち込まれた固着対象物19の一側面19Aを表面処理するために、例えば塗料を吹き付け塗布する。このとき、吹き付けられた塗料は、固着対象物19の一側面19Aに吹き付けられるとともに、Tナット61の外側フランジ部33aおよび内側フランジ部33bに吹き付けられるが、内側フランジ部33bの中心部近傍に形成される孔44は開口部分が小さく、塗料はこの孔4から軸部2の内部に多量に侵入することはなく、寧ろ殆ど入らない。従って、後で、軸部2の内部の塗料を除去する等の作業が不要となり、作業性が向上する。また、固着対象物19の一側面19Aを油の中に浸漬した場合には、少しの油が上記の孔44から軸部2の内部に浸入するが、この場合は、軸部2の内面に付着して潤滑作用をなし、ボルトの軸部2へのねじ込みを円滑に行なうことができる。
図5のようにTナット61が打ち込まれた固着対象物19の一側面19Aを表面処理するために、例えば塗料を吹き付け塗布する。このとき、吹き付けられた塗料は、固着対象物19の一側面19Aに吹き付けられるとともに、Tナット61の外側フランジ部33aおよび内側フランジ部33bに吹き付けられるが、内側フランジ部33bの中心部近傍に形成される孔44は開口部分が小さく、塗料はこの孔4から軸部2の内部に多量に侵入することはなく、寧ろ殆ど入らない。従って、後で、軸部2の内部の塗料を除去する等の作業が不要となり、作業性が向上する。また、固着対象物19の一側面19Aを油の中に浸漬した場合には、少しの油が上記の孔44から軸部2の内部に浸入するが、この場合は、軸部2の内面に付着して潤滑作用をなし、ボルトの軸部2へのねじ込みを円滑に行なうことができる。
次に、外側フランジ部33aの形状の種々の形態を説明する。
図1(a)(b)、図2(a)(b)、および図4(a)(b)に示したTナット41、61は、外側フランジ部33aの形状をほぼ八角形としたが、その直交する2方向の長さa,bは、a<b、a=b、a>bの何れの形態も可能である。
図1(a)(b)、図2(a)(b)、および図4(a)(b)に示したTナット41、61は、外側フランジ部33aの形状をほぼ八角形としたが、その直交する2方向の長さa,bは、a<b、a=b、a>bの何れの形態も可能である。
また、図4(c)に示したTナット51のように、外側フランジ部33aの形状は円形としてもよい。なお、外側フランジ部をほぼ正方形あるいは長方形とし、その周縁部に複数の爪を設けた形状のTナットの場合でも、上記同様に、孔をほぼ中心部に有する内側フランジ部と、外側フランジ部とを軸部の第1の端部に形成すればよい。
上記したように外側フランジ部33aの形状をほぼ八角形とした場合には、4本の爪37,38,39,40以外に、例えば、図6(a)に示したように第2の端部へ向かって突出させるように塑性変形させた突起45,46を設けた形態や、図6(b)に示したようにへら状の突起47,48を設けた形態とすることができる。なお、図6(c)に示した形態は、4本の爪37,38,39,40のみを設けたものである。
また、外側フランジ部33aの形状を円形とした場合には、例えば、図7(a)に示したように爪を設けない形態や、図7(b)に示したように4本の爪51a,51b,51c,51dを設ける形態や、図7(c)に示したように3本の爪52a,52b,52cを設ける形態や、図7(d)に示したように6本の爪53a,53b,53c,53d,53e,53fを設ける形態がある。これらの何れの形態のTナットも、軸部2の底に、孔44をほぼ中央部に配した内側フランジ部33bを有している。
また、図1(c)(d),または図2(c)(d)に示す本発明の実施の形態における他の例の各Tナット41a、61aは、上記した図1(a)(b)または図2(a)(b)に示すTナット41,61と異なる点として、軸部2に雌ねじ36が形成されていない点である。したがって、この例の各Tナット41a、61aにおいては、軸部2に雌ねじ形成のないボルトねじ込み雌ねじ形成部35aを有している。このボルトねじ込み雌ねじ形成部35aには、この各Tナット41a、61aを固着対象物に固定して、ボルトを軸部2内にねじ込むことにより、上記のボルトねじ込み雌ねじ形成部35a内にボルトをねじつけて取付ける。なお、
各Tナット41a、61aのその他の箇所の構成は、上記したTナット41,61の構成と同様であり、同一箇所に同一符合を付して説明を省略する。
各Tナット41a、61aのその他の箇所の構成は、上記したTナット41,61の構成と同様であり、同一箇所に同一符合を付して説明を省略する。
また、軸部2に雌ねじを有さないTナットについては、図1(c)(d),図2(c)(d)に示すTナットを例示したが、本願に添付した図面に示される雌ねじを有する各種のTナットの構成において図示しないが、軸部2に雌ねじを有さない構成のTナットも、本発明の上記のボルトねじ込み雌ねじ形成部を有するTナットであることは勿論のことである。
次に図8を参照しながら、軸部2の外周面に溝20が形成された形態のTナット71について説明する。本実施の形態のTナット71は、軸部2の先端側中空円筒部4の、かしめ予定部34と雌ネジ形成部35との境界近傍の外周全周に、環状の溝20が設けられている点を特徴としている。この溝20の横断面形状は、半円状の他、U字状,V字状あるいはコの字状などであって、Tナットの材質や、それに伴う加工特性、あるいは引っ張り強度などの機械的特性に応じて適宜選定される。
このような構造を有する本実施の形態のTナット71は、図9(a)に示すように、予め貫通孔18が設けられた、樹脂材料や木材からなる固着対象物19に、まず軸部2が挿入され、この状態で、かしめ機(図示せず)により、かしめ予定部分34にかしめ加工が施され、固着対象物19の一方の面側においてかしめ部分34aが形成される。このとき同時に、爪37〜40は固着対象物19の他方の面に食込む状態とされ、Tナット71は固着対象物19に対して強固に固定される。
固着対象物19が構成要素となる製品においては、Tナット71がかしめ固定された状態で、その雌ネジ形成部35の雌ネジ36にボルト(図示せず)を螺合して締結することにより、他の部材が固着対象物19に接合される。雌ネジ形成部35の雌ネジ36にボルトを締結した状態で、当該ボルトの締結力は、主として雌ネジ形成部35に圧縮力として作用する。そのため、通常Tナット71の軸部2には大きな引っ張り応力は発生しない。したがって、軸部2に溝20を設けることによる強度の低下に起因して、実質的な固着強度の劣化を生じることはない。
次に図9を参照しながら、このTナット71がかしめ固定された固着対象物19が構成する製品が用済みあるいは寿命を終えて、リサイクル使用のために回収される際に、Tナット71を固着対象物19から分離する手法について説明する。
図9(a)に示すように、Tナット71のかしめ部34a側から、かしめ予定部34のかしめる前の状態での内径よりもわずかに大きな外形を有する円柱状の治具60の下端側を圧入する。治具60の下端が、かしめ予定部34と雌ネジ形成部35との境界の段差部に当接した状態で、治具60の上端をハンマー等で打ち付けて、図9(a)に示す力Fを作用させる。この力Fにより、かしめ予定部34と雌ネジ形成部35との境界の溝20を設けた軸部外周位置の、肉厚が最も薄くなっている箇所に応力集中が生じて大きな引っ張り応力が発生する。その結果、溝20において破断が生じ、Tナット71が図9(b)に示すように2つに分割され、治具60の下端によって、雌ネジ形成部35および外側フランジ部33aおよび内側フランジ部33bを含むTナット71の下半分が押し下げられ、固着対象物19から取り外される。かしめ部34aを含むTナット71の上半分は、治具60を上方へ引き抜く際に、治具60に嵌合された状態で、固着対象物19の貫通孔18から取り外される。
このように本実施の形態のTナット71によれば、固着対象物19からの取り外しが容易に行なえることにより、Tナット71をかしめ固定した製品が用済みとなった後において、当該製品を構成する固着対称物の分離回収を容易に行なうことができ、固着対象物19のリサイクル使用を促進することができる。
次に、軸部2の形状の種類について説明する。
図10においては、かしめ予定部を備えていないタイプのTナットを示した。即ち、図10(a)は段差のあるステップ・バレルタイプのTナット91aの側面断面図、図10(b)は段差の無いストレート・バレルタイプのTナット91bの側面断面図、図10(c)は、上記軸部の外周面が、外側フランジ部33a(第1の端部)側へ向かって徐々に末広がり状に形成されたテーパー・バレルタイプのTナット91cの側面断面図をそれぞれ示したものである。各タイプとも、内側フランジ部33bの中心部近傍には孔94a、94b、94cを有している。
図10においては、かしめ予定部を備えていないタイプのTナットを示した。即ち、図10(a)は段差のあるステップ・バレルタイプのTナット91aの側面断面図、図10(b)は段差の無いストレート・バレルタイプのTナット91bの側面断面図、図10(c)は、上記軸部の外周面が、外側フランジ部33a(第1の端部)側へ向かって徐々に末広がり状に形成されたテーパー・バレルタイプのTナット91cの側面断面図をそれぞれ示したものである。各タイプとも、内側フランジ部33bの中心部近傍には孔94a、94b、94cを有している。
図11においては、かしめ予定部34を備えたタイプのTナットを示した。即ち、図11(a)は段差の無いストレート・バレルタイプのTナット81aの側面断面図、図11(b)は、上記軸部2の外周面が、外側フランジ部33a(第1の端部)側へ向かって徐々に末広がり状に形成されたテーパー・バレルタイプのTナット81bの側面断面図、図11(c)は、かしめ予定部82が雌ネジ形成部84より外径も内径も大きく形成された先端広がりバレルタイプのTナット81cの側面断面図をそれぞれ示したものである。各タイプとも、内側フランジ部33bの中心部近傍には孔84a、84b、84cを有している。
なお、前出の図1(a)に示したTナットは、かしめ予定部34と、軸部2の途中の段差が形成されていないストレート・バレルタイプのTナットであり、図2(a)に示したものは、かしめ予定部34と、軸部2の途中の段差3が形成されたステップ・バレルタイプのTナットである。
前述した図11(b)に示すテーパー・バレルタイプのTナット81bは、軸部2の外周面がテーパ状になっていること以外は、図2に示すTナット61と類似するので、図2に示したナット61と同様の構成要素については、同一の参照番号を付して説明を省略する。
このタイプのTナット81bが、上記Tナット61と異なるのは、その軸部2の外周面が、かしめ予定部82もしくは雌ネジ形成部83から外側フランジ部33a近傍まで徐々に末広がり状に拡開したテーパ状になっている点である。
このタイプのTナット81bの場合、固着対象物としての板材の下穴の径を、かしめ予定部82もしくは雌ネジ形成部83の外径と略同じにすれば、板材に打ち込んだ状態で、雌ネジ形成83から外側フランジ部33aに至る部分が下穴を押し広げることによって固定される。そのため、回り止めとしての機能が得られるとともに、Tナット81bは板材に確実に固着される。さらに、かしめ予定部82をかしめることによって板材に固定され、爪37,39が板材に食い込むことによって回り止めとしての機能が果たされる。
図11(c)を参照して前述した先端広がりバレルタイプのTナット81cを説明する。
このタイプのTナット81cは、米国特許第5,618,144号公報に示されたTナットに本発明を適用したものであり、いわゆるリベットタイプのTナットである点で図2に示したTナット61と類似するので、これらの図において、図2に示したナット61と同様の構成要素については、同一の参照番号を付して説明を省略する。
このタイプのTナット81cは、米国特許第5,618,144号公報に示されたTナットに本発明を適用したものであり、いわゆるリベットタイプのTナットである点で図2に示したTナット61と類似するので、これらの図において、図2に示したナット61と同様の構成要素については、同一の参照番号を付して説明を省略する。
このタイプのTナット81cが、上記Tナット61と異なるのは、そのかしめ予定部82の形状が、雌ネジ形成部83の内径よりも大きな内径と、雌ネジ形成部83の外径よりも大きな外径とを有している点である。
このTナット81cの場合、固着対象物としての板材の下穴の径を、少なくともかしめ予定部82の外径よりも大きくする必要があり、板材に打ち込んだ状態で、雌ネジ形成83と下穴の内周との間に隙間が形成されるが、かしめ予定部82をかしめることによって板材に固定され、爪37,39が板材に食い込むことによって回り止めとしての機能が果たされる。
以上の各Tナット81a、81b、81cのかしめ予定部82の肉厚は、雌ネジ形成部83の肉厚と同じにする場合もあるが、かしめし易くするために薄くする場合もある。
次に、図12および便宜上図2(a)を参照して軸部2の雌ネジ形成部35から外側フランジ部33aに近い外周面を種々の形状とした形態について説明する。即ち、Tナットの軸部2に段差部3を有し、段差部3から外側フランジ部33a側の基端側拡大筒状部5が、中空円筒状ではなく、軸方向から見て六角形(図12(a))や正方形(図12(b))等の多角形や、楕円形(図12(c))のような非真円形をなしたものでもよい。このような構造を有するTナットによれば、先端側中空円筒部4とほぼ同径の板材の貫通穴に打ち込まれて、非真円形をなす基端側拡大筒状部5が板材に食い込むように圧入することにより、この部分が回り止めとして機能する。その結果、外側フランジ部33aが爪を有しない平坦な円板形状であっても、板材に固着した状態において、回転を生じることなく確実に固定することができる。
また、上記各実施の形態のTナット61等においては、いずれも段差部3が軸部2の外周全周にわたって設けられているが、本実施の形態の場合のように、基端側拡大筒状部5を使用状態における回り止めとして設ける場合には、必ずしも段差部3を軸部2の外周全周にわたって設ける必要はない。すなわち、段差部3よりも外側フランジ部33a側の基端側拡大筒状部5において、その外周の少なくとも一部に段差部3を有し、その部分において先端側筒状部4よりも拡大されていれば、使用時における回り止めとしての機能が発揮されうる。
以上において、本発明にかかるTナットの種々の実施の形態を説明したが、以下においては、それらの種々の形態を分類して図示したTナットについて説明する。
図13においては、外側フランジ部33aが基本的に八角形のパターンのTナットの種類を図示した。そこで、図13aは、かしめ予定部34を備えたステップバレルタイプの側面断面図、図13bは、かしめ予定部34を備えたストレート・バレルタイプの側面断面図、図13cは、かしめ予定部34を備えたテーパー・バレルタイプの側面断面図、図13dは、かしめ予定部34を備えた先端広がりバレルタイプの側面断面図、図13eは、これらのTナットの外側フランジ部33aおよび内側フランジ部33bの底面図である。さらに、図13fは、かしめ予定部を備えていないステップ・バレルタイプの側面断面図、図13gは、かしめ予定部を備えていないストレート・バレルタイプの側面断面図、図13hは、かしめ予定部を備えていないテーパー・バレルタイプの側面断面図、図11iは、これらのTナットの外側フランジ部33aおよび内側フランジ部33bの底面図である。
図13においては、外側フランジ部33aが基本的に八角形のパターンのTナットの種類を図示した。そこで、図13aは、かしめ予定部34を備えたステップバレルタイプの側面断面図、図13bは、かしめ予定部34を備えたストレート・バレルタイプの側面断面図、図13cは、かしめ予定部34を備えたテーパー・バレルタイプの側面断面図、図13dは、かしめ予定部34を備えた先端広がりバレルタイプの側面断面図、図13eは、これらのTナットの外側フランジ部33aおよび内側フランジ部33bの底面図である。さらに、図13fは、かしめ予定部を備えていないステップ・バレルタイプの側面断面図、図13gは、かしめ予定部を備えていないストレート・バレルタイプの側面断面図、図13hは、かしめ予定部を備えていないテーパー・バレルタイプの側面断面図、図11iは、これらのTナットの外側フランジ部33aおよび内側フランジ部33bの底面図である。
図14においては、外側フランジ部33aが基本的に円形であって、爪を塑性変形によって形成したTナットの種類を図示した。そこで、図14aは、かしめ予定部34を備えたステップ・バレルタイプの側面断面図、図14bは、かしめ予定部34を備えたストレート・バレルタイプの側面断面図、図14cは、かしめ予定部34を備えたテーパー・バレルタイプの側面断面図、図14dは、かしめ予定部34を備えた先端広がりバレルタイプの側面断面図である。また、図14fは、かしめ予定部を備えていないステップ・バレルタイプの側面断面図、図14gは、かしめ予定部を備えていないストレート・バレルタイプの側面断面図、図14hは、かしめ予定部を備えていないテーパー・バレルタイプの側面断面図、図14eは、これらのTナットの外側フランジ部33aおよび内側フランジ部33bの底面図である。
図15においては、外側フランジ部33aが基本的に円形であって、この円形の外側フランジ部33aの一部を切り起こして爪を形成したTナットの種類を図示した。図中の切り起こして形成した爪の図示を省略した。そこで、図15aは、かしめ予定部34を備えたステップ・バレルタイプの側面断面図、図15bは、かしめ予定部34を備えたストレート・バレルタイプの側面断面図、図15cは、かしめ予定部34を備えたテーパー・バレルタイプの側面断面図、図15dは、かしめ予定部34を備えた先端広がりバレルタイプの側面断面図である。さらに、図15fは、かしめ予定部を備えていないステップ・バレルタイプの側面断面図、図15gは、かしめ予定部を備えていないストレート・バレルタイプの側面断面図、図15hは、かしめ予定部を備えていないテーパー・バレルタイプの側面断面図、図15eは、これらの外側フランジ部33aおよび内側フランジ部33bの底面図である。図15eの詳細は図7を参照した前述説明と同じであるのでここでは省略する。
図16は、外側フランジ部33aが基本的に円形であって、爪45aを塑性変形によって形成したTナットの底面図および側面図である。
図17(a)は、外側フランジ部33aが基本的に円形のTナットの底面図と側面図であり、図17(b)は、図7同様に、さらに3〜6本の爪を切り起こして形成したTナットの底面図と側面図である。図17(c)は、外側フランジ部33aが2つの円弧と平行線とからなる形状のTナットの底面図と側面図であり、図17(d)は、さらに2本の爪47aを形成したTナットの底面図と側面図である。
図18は、外側フランジ部33aが基本的に八角形のものであって、各バレルタイプのTナットと爪との種々の組み合わせによるTナットの説明図である。なお、軸部2の側面にクリンプ・ロックを形成した例を示した。
図19は、外側フランジ部33aが基本的に円形である各バレルタイプのTナットの説明図である。なお、軸部2の側面にクリンプ・ロックを形成した例を示した。
図20は、基本的に円形の外側フランジ部33aと、各バレルタイプのTナットとを組み合わせたTナットの説明図である。
次に、外側フランジ部33aに爪を形成する方法を例示する。
図4(a)(b)に示したTナット41、61においては、外側フランジ部33aの外周を切り起こして形成した4個の爪37〜40を設けたが、図4(c)に示したTナット51のように、外側フランジ部33aの外周部の一部を軸部2側に塑性変形させることによって形成してもよい。このTナット51は、使用時においては、図5と同様に固着対象物19の貫通穴18に打ち込まれて圧入固定され、Tナット41の場合と同様の作用効果を得ることができる。
図4(a)(b)に示したTナット41、61においては、外側フランジ部33aの外周を切り起こして形成した4個の爪37〜40を設けたが、図4(c)に示したTナット51のように、外側フランジ部33aの外周部の一部を軸部2側に塑性変形させることによって形成してもよい。このTナット51は、使用時においては、図5と同様に固着対象物19の貫通穴18に打ち込まれて圧入固定され、Tナット41の場合と同様の作用効果を得ることができる。
次に、図21(a)(b)に示した形態のTナット111について、図を参照しながら説明する。このTナット111は、その112が段差部3を有し、先端側中空円筒部4にかしめ予定部34および雌ネジ形成部35を有する点、並び内側フランジ部113bと、内側フランジ部113bの中心部近傍に孔44を備えている点で、図1に示したTナット41と共通する。Tナット111がTナット41と異なるのは、段差部3から外側フランジ部113a側の基端側拡大筒状部115の外周と外側フランジ部113aとの境界近傍において、180度対向する1対の位置に、略三角形の突起116を形成している点である。この突起116は、基端側拡大筒状部115および外側フランジ部113aと一体的に成形されており、使用時に板材に打ち込んだ状態でこの突起116が板材に食い込むことにより、Tナット111の回り止めとしての機能を果たすことができる。このTナット111においては、突起116を2箇所に設けたが、必要に応じてその数を適宜増やすことにより、回り止めとしての機能をより強化することができる。
また、Tナット111における突起116に変えて、図22(a)(b)に示すTナット121のように、基端側拡大筒状部125はTナット41と同様の中空円筒状とし、円板状の外側フランジ部123に平行な2本の切れ目を入れた部分を突き上げて形成した突起126を、外側フランジ部123aに一体的に形成することによっても、上記Tナット111の突起116と同様の回り止めの機能を発揮させることができる。このTナット121においては突起126を外側フランジ部123の4ヵ所に均等な間隔をおいて設けたが、突起126の数や位置は、必要に応じて適宜変更可能であることは言うまでもない。勿論、このTナット121も内側フランジ部113bの中心部近傍に孔44を備えている。
なお、本発明にかかるTナットの内側フランジ部33bの外側露出面を平坦にした場合については、図26〜図40に示した。図26〜図40に示したように、Tナットの内側フランジ部33bの外側露出面を平坦にした場合には、側面断面図においてはリング状または凹凸リング状がなく平坦になり、底面図においては同心円状の模様はあらわれない。なお、図26〜図40においては、外側フランジ部33aおよび内側フランジ部33bの外側露出面の形状が図1〜図22の場合と異なるだけであって、他の部分の形状・機能は同じであるのでその説明は省略した。
また、本発明にかかるTナットの内側フランジ部33bの外側露出面を凸状にした場合については、図41〜図55に示した。図41〜図55に示したように、Tナットの内側フランジ部33bの外側露出面を凸状にした場合には、側面図においては凸状部分があらわれ、底面図においては同心円状の模様があらわれる。図43、44、45、54、55において示したTナット71B、94Ba、94Bb、94Bc、84Ba、84Bb、84Bc、111B、121B等においては、内側フランジ部33bの外側に突出した凸状の外側露出面が平坦になっている。なお、図41〜図55においては、内側フランジ部33bの外側露出面の形状が図1〜図22の場合と異なって外側に突出した凸状になるとともに、軸部の長さが短くなっただけであって、他の部分の形状・機能は同じであるのでその説明は省略した。
以上説明した各実施の形態のTナットの雌ネジが形成された領域には、螺合されるボルトの緩みを防止するためのロック手段として、ボルト山の一部が不整化された部分を設けることが好ましい。
なお、上記各実施の形態の開示は例示に過ぎないものであって、本発明の範囲を制限するものではなく、本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲に均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
2 軸部
3 段差部
4 先端側筒状部
5 基端側拡大筒状部
16 突起
17 突起
20 凹状溝
33a 外側フランジ部
33b 内側フランジ部
34 かしめ予定部
35 雌ネジ形成部
36 雌ネジ
37、38、39、40 爪
44 孔
45、46、47、48 突起
41,51,61,71 Tナット
3 段差部
4 先端側筒状部
5 基端側拡大筒状部
16 突起
17 突起
20 凹状溝
33a 外側フランジ部
33b 内側フランジ部
34 かしめ予定部
35 雌ネジ形成部
36 雌ネジ
37、38、39、40 爪
44 孔
45、46、47、48 突起
41,51,61,71 Tナット
Claims (22)
- 金属板からプレスにより一体に成形されてなる、筒状の軸部と、この軸部の第1の端部から外方へ張り出す外側フランジ部と、前記筒状の軸部の外側フランジ部と反対側の内方へ張り出す内側フランジ部とからなり、上記筒状の軸部の少なくとも一部に雌ねじを形成した雌ねじ形成部を有し、さらに、前記金属板からプレスにより軸部と外側フランジ部とともに一体に形成される内側フランジ部の形成時に、この内側フランジ部の中心部近傍に形成される孔を有していることを特徴とするTナット。
- 金属板からプレスにより一体に成形されてなる、筒状の軸部と、この軸部の第1の端部から外方へ張り出す外側フランジ部と、前記筒状の軸部の外側フランジ部と反対側の内方へ張り出す内側フランジ部とからなり、かつ、前記金属板からプレスにより軸部と外側フランジ部とともに一体に形成される内側フランジ部の形成時に、この内側フランジ部の中心部近傍に形成される孔を有していることを特徴とするTナット。
- 外側フランジ部の外周部には、第1の端部から第2の端部の方向に向き、かつ、前記外側フランジ部に対して垂直または略垂直に延びるように形成した複数の爪を有する請求項1または請求項2記載のTナット。
- 外側フランジ部は円形または略円形とした請求項1、請求項2または請求項3記載のTナット。
- 外側フランジ部は八角形または略八角形または変形八角形とした請求項1、請求項2または請求項3項記載のTナット。
- 内側フランジ部の外側露出面をリング状または凹凸リング状に形成した請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のTナット。
- 内側フランジ部の外側露出面とともに、外側フランジ部の前記内側フランジ部の外側露出面と同じ側の外側露出面を、リング状または凹凸リング状に形成した請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のTナット。
- 内側フランジ部の外側露出面を凸状に形成した請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のTナット。
- 内側フランジ部の外側露出面を凹状に形成した請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のTナット。
- 軸部は、第2の端部から所定の長さにかけて形成されたかしめ予定部を含む請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のTナット。
- 軸部の第2の端部の外周面が、第1の端部側へ向かって徐々に末広がり状とされている請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のTナット。
- 軸部が、その軸方向の途中に設けられた段差部と、第1の端部とは逆の第2の端部から段差部にかけての先端側筒状部と、外周が先端側筒状部の外径よりも拡大された、段差部から外側フランジ部にかけての基端側拡大筒状部とを含んでいる請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のTナット。
- 雌ねじ形成部を有する軸部は、第2の端部から所定の長さにかけて形成されたかしめ予定部を有し、かつ、該かしめ予定部を、雌ねじ形成部よりも大きな内径、および、雌ねじ形成部の外径よりも大きな外径とした請求項1または請求項3〜請求項10のいずれか1項に記載のTナット。
- かしめ予定部と雌ねじ形成部との境界近傍の軸部外周に、環状に形成した凹状溝を備えた請求項10記載のTナット。
- 外側フランジ部に、第2の端部側へ向かって突出する突起を形成した請求項1〜請求項14のいずれか1項に記載のTナット。
- 爪には、ギザギザの形状が形成されている請求項3〜請求項15のいずれか1項に記載のTナット。
- 爪には、フック形状が形成されている請求項3〜請求項15のいずれか1項に記載のTナット。
- 外側フランジ部は、縦辺>横辺とした請求項4または請求項5〜請求項17のいずれか1項に記載のTナット。
- 外側フランジ部は、縦辺=横辺とした請求項4または請求項5〜請求項17のいずれか1項に記載のTナット。
- 外側フランジ部は、縦辺<横辺とした請求項4または請求項5〜請求項17のいずれか1項に記載のTナット。
- 雌ねじ形成部と内側フランジ部との間に空間が形成されている請求項1または請求項3〜請求項20のいずれか1項に記載のTナット。
- 外側フランジ部および内側フランジ部の外側露出面を凹状に形成した請求項1〜請求項7および請求項10〜請求項21のいずれか1項に記載のTナット。
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