JP2008133900A - ネジの締結構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 請求項1に係る発明は、二つの板金部材をネジの締結で固定するネジの締結構造であって、取付け側の板金部材に設けた下穴に一端側が圧入され、軸方向に開口するネジ挿入孔の内周に環状の凹部が周方向に形成された筒状の金属製ブッシュと、前記凹部内に収納されたバネ性を持った抜止め部材と、前記ネジ挿入孔に挿入されるネジとからなり、前記抜止め部材は、ネジ挿入孔に挿入されたネジの軸部を弾性的に保持することを特徴とする。そして、請求項2に係る発明は、請求項1に記載のネジの締結構造に於て、前記抜止め部材は、内径がネジの軸部の外径よりも若干小さな断面円形状のC字状のリング部材である。
【選択図】 図2
Description
図19は首付きネジ1を用いた締結構造3を示し、この締結構造3は、被取付け側(例えば、キャビネット側)を、ばか穴5を設けた板金(キャビネットのフレーム)7の裏面側にネジ穴9を有する脱落防止用の板金11を取り付けた二重構造として、ばか穴5を挿通させた首付きネジ1をネジ穴9に螺着して取付け側(例えば、電子装置側)の板金(電子装置の取付フランジ)13を板金7に固定するもので、前記ばか穴5とネジ穴9、そして、取付け側の板金13に螺刻したネジ穴15は同軸上に配置されている。
更にまた、特許文献1で開示された所謂「圧入式可動ネジ」も広く使用されており、この圧入式可動ネジによれば、取付け側の板金を被取付け側の板金に取り付けるに当たり、圧入式可動ネジの嵌輪に設けた圧入部を取付け側の板金に設けた下穴に予め圧入させておくことで、圧入式可動ネジ全体の脱落防止が図れるようになっている。
また、首付きネジ1は、図21のネジ39に比べ、ネジ部31に比し軸部29が細く強度的に弱いため、重い機器の設置では選定しづらい不具合がある。
そして、上述の如き不具合は図20の締結構造19にも該当し、構造の複雑化や強度上の問題が指摘されている。
更に、図19乃至図21の何れの締結構造3,19,37も、板金13,23を相手側の板金7,33に固定する際に、ネジ1,39の軸部31,40の先端が板金7,33方向に突出しているため、複数のネジを用いて固定を行う際に、締結前のネジ1,39の突出が邪魔になってしまう欠点があった。
本発明は斯かる実情に鑑み案出されたもので、電子,電機装置等の設置や取付けの際に行うネジの締結作業に於て、ネジの脱落を防止しつつ、作業性の改善を図ったネジの締結構造を提供することを目的とする。
また、請求項4に係る発明は、請求項1に記載のネジの締結構造に於て、前記抜止め部材は、内径がネジの軸部の外径よりも若干小さな断面矩形状のC字状のリング部材であることを特徴とし、請求項5に係る発明は、請求項1に記載のネジの締結構造に於て、前記抜止め部材は、コイルの内径がネジの軸部の径よりも若干小さなコイルバネであることを特徴とする。
また、自由な位置でネジを保持することができるため、ネジの締結前に軸部の先端をネジ挿入孔内に納めておけば、軸部の先端が被取付け側の板金部材に干渉することがなく、複数のネジを用いて固定を行う際に締結前のネジが邪魔にならず、また、状況に応じ、軸部の先端を下穴から突出させてその突出端をネジ穴に案内することも可能である。
そして、樹脂製の抜止めワッシャを用いる必要がないため、電気的な接続が可能となる。
そして、請求項6に係る発明によれば、従来、取付け用の下穴を設けていた場所にブッシュを圧入することで、取付フランジに対するネジのスライド構造と脱落防止構造を実現でき、而も、下穴への取付けを従来工法によって行うことができると共に、ネジについても特殊工具を用いることなく一般的な工具によって取付けが行えるので、作業が簡単である利点を有する。
図1及び図2は請求項1,請求項2,請求項6及び請求項7の一実施形態に係るネジの締結構造を示し、図中、41は電子装置側の取付フランジ(取付け側の板金部材)、43は電子装置を取り付けるキャビネットのフレーム(被取付け側の板金部材)で、取付フランジ41に丸穴の下穴45が設けられ、板金43にネジ47が螺着するネジ穴49が設けられている。
そして、前記下穴45に、金属製のブッシュ53が圧入されている。
図3乃至図5に示すようにブッシュ53は、従来周知の圧入スペーサと同様、円筒状の筒体55と、筒体55の底部に一体形成されて前記下穴45に圧入可能な圧入部57とからなり、軸方向にネジ挿入孔59が開口し、圧入部57は筒体55に比し小径な筒状に形成されている。そして、圧入部57の外周に、断面三角形状の突起61が周方向に多数設けられており、図7及び図8に示すように圧入部57を前記下穴45に圧入すると、これらの突起61が下穴45の内周に圧接してブッシュ53の抜止めを図るようになっている。
そして、図5及び図8に示すように、前記ネジ挿入孔59の内周に環状の凹部67が周方向に形成され、この凹部67内に、バネ性を持った1個のC字状のリング部材69が収納されている。
このとき、圧入部57の外周に設けた突起61が下穴45の内周に圧接するため、ブッシュ53が取付フランジ41に強固に取り付く。
この後、図9の如くネジ47の軸部51をネジ挿入孔59に挿入すると、図10に示すように軸部51がリング部材69を押し広げ乍ら挿通し、この結果、リング部材69がネジ47の挿入量に応じた位置でネジ47を保持する、即ち、自由な位置でネジを保持することができるため、ネジ47がブッシュ53(取付フランジ41)から脱落することがなく、また、既述したようにネジ挿入孔59の中心軸上にネジ47を保持することができるように凹部67とネジ挿入孔59の寸法が設定されているため、ネジ47はネジ挿入孔59と軸心を同じくしてブッシュ53にスライド自在且つガタ付きなく保持されることとなる。
このように、本実施形態は、
[1]従来、取付け用の下穴45を設けていた場所に前記ブッシュ53を圧入することで、取付フランジ41に対するネジ47のスライド構造と脱落防止構造を実現したので、狭い装置内での取付けや設置作業が改善され、ネジ47の落下による短絡事故や紛失等を防止することができる。
[5]ブッシュ53を従来周知の圧入スペーサと同様の形状として、下穴45への取付けを従来工法と同じくすることができると共に、ネジ47についても特殊工具を用いることなく一般的な工具によって取付けが行えるので、作業が簡単である利点を有する。
[7]図20で既述した樹脂製の抜止めワッシャ17を用いる必要がないため、電気的な接続が可能となる。
[9]特許文献1の「圧入式可動ネジ」に比し、ブッシュ53の高さ寸法を抑えて小型化が図れる利点を有する。
図11及び図12は請求項1乃至請求項3,請求項6及び請求項7の一実施形態に係るネジの締結構造を示し、本実施形態は、ブッシュ53-1の高さ寸法を前記ブッシュ53と同じにし乍ら、凹部67-1の高さ寸法を大きくして2本のリング部材69を重ねて凹部67-1内に収納できるようにしたものである。
本実施形態はこのように構成されており、本実施形態によれば、前記実施形態に比し、2本のリング部材69がネジ47の軸部51を軸方向に長く(幅広く)保持するため、ネジ挿入孔59の精度を多少下げてもネジ47を精度よくブッシュ53-1にスライド自在且つガタ付きなく直立性を持たせて保持することができ、ネジ47をネジ穴49にスムーズに螺着することができる利点を有する。
また、図16乃至図18は請求項1,請求項5乃至請求項7の一実施形態に係るネジの締結構造を示し、本実施形態は、図11の2本のリング部材69に代え、コイルの内径がネジ47の軸部51の径よりも若干小さなコイルバネ73を、前記凹部67-1に収納したもので、図13乃至図18の各実施形態に於て、その他の構成は図1の実施形態と同様であるため、同一のものには同一符号を付してそれらの説明は省略する。
43 フレーム(被取付け側の板金部材)
45 下穴
47 ネジ
49 ネジ穴
51 軸部
53,53-1,53-2,53-3 ブッシュ
55 筒体
57 圧入部
59 ネジ挿入孔
61 突起
65 凸部
67,67-1 凹部
69,71 リング部材
73 コイルバネ
Claims (7)
- 二つの板金部材をネジの締結で固定するネジの締結構造であって、
取付け側の板金部材に設けた下穴に一端側が圧入され、軸方向に開口するネジ挿入孔の内周に環状の凹部が周方向に形成された筒状の金属製ブッシュと、
前記凹部内に収納されたバネ性を持った抜止め部材と、
前記ネジ挿入孔に挿入されるネジとからなり、
前記抜止め部材は、ネジ挿入孔に挿入されたネジの軸部を弾性的に保持することを特徴とするネジの締結構造。 - 前記抜止め部材は、内径がネジの軸部の外径よりも若干小さな断面円形状のC字状のリング部材であることを特徴とする請求項1に記載のネジの締結構造。
- 前記リング部材は、複数重合して前記凹部に収納されていることを特徴とする請求項2に記載のネジの締結構造。
- 前記抜止め部材は、内径がネジの軸部の外径よりも若干小さな断面矩形状のC字状のリング部材であることを特徴とする請求項1に記載のネジの締結構造。
- 前記抜止め部材は、コイルの内径がネジの軸部の径よりも若干小さなコイルバネであることを特徴とする請求項1に記載のネジの締結構造。
- 取付け側の板金部材に設けた下穴は、丸穴であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のネジの締結構造。
- 前記ブッシュの頂部に、緩み止め用の凸部を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のネジの締結構造。
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