JP2006182665A - 免疫賦活組成物及び該免疫賦活組成物を含有する乳製品 - Google Patents

免疫賦活組成物及び該免疫賦活組成物を含有する乳製品 Download PDF

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Yoshiharu Matahira
芳春 又平
Yoshitomo Misawa
義知 三澤
Daiki Kubomura
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Abstract

【課題】 安全性の高い糖質を有効成分とする、安価で新しい免疫賦活組成物、及び該免疫賦活組成物を含有する調整粉乳、乳飲料を提供する。
【解決手段】 免疫賦活組成物の有効成分として、N−アセチルラクトサミン、Galβ1−4Galβ1−4GlcNAc、及びA−Galβ1−4GlcNAc−B(前記式中、Galはガラクトース、GlcNAcはN−アセチルグルコサミンを表す。また、Aは1〜6個のガラクトース、N−アセチルグルコサミン、フコース、シアル酸、硫酸基又はリン酸基を表し、Bは1〜6個のガラクトース、N−アセチルグルコサミン、グルコース、マンノース、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、ニトロフェニル基又はメチルウンベリフェリル基を表す。)から選ばれた少なくとも1種を含有させる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、N−アセチルラクトサミン及び/又はN−アセチルラクトサミン誘導体を有効成分として含有する免疫賦活組成物、及び該免疫賦活組成物を含有する乳製品に関する。
一般に加齢により免疫力は低下することが知られており、20代をピークに減少し、50歳代から急激に低下すると言われている。免疫力の低下は、感染症や悪性腫瘍等を引き起こすことが知られ、特に高齢者では命に関わる重要な問題である。また、最近では高脂血症や動脈硬化症のような生活習慣病にも影響を及ぼすことが分かってきている。
免疫力は、日々の運動や食生活、ストレスの軽減等により強化することができるが、より効果的な方法として、免疫賦活活性を有する薬剤や食品を摂取することが挙げられる。
従来、免疫力を向上させる薬剤として、インターロイキン、BCG−CWS、CK432、レンチナン、レバミゾール等が知られている。また、免疫力を向上させる健康機能食品として、アガリクス、β−グルカン等の多糖類、プロポリス、ラクトフェリン等が市販されている。
その他にも免疫賦活作用を示す糖質が知られており、例えば、下記特許文献1には、キチンオリゴ糖及びキトサンオリゴ糖を含有する免疫賦活組成物が開示されており、これらの糖を併用することにより、免疫賦活作用が相乗的に増強され、少量でも十分な免疫賦活効果を有する組成物が得られることが記載されている。
下記特許文献2には、乳果オリゴ糖を有効成分として含有することを特徴とする免疫賦活組成物が開示されており、該免疫賦活組成物は、免疫賦活及びIFN−γ産生能亢進作用を発揮し、消化管における生体防御機構(免疫機能)を高めて、消化管感染等に対して顕著な予防及び治療効果を奏し得ることが記載されている。
下記特許文献3には、2−6糖のオリゴ糖であって、非還元末端にガラクトースを有し、ガラクトースと他の1−5糖との結合がα1−6結合であるオリゴ糖又はその誘導体を含む体液性免疫調節剤が開示されており、該体液性免疫調節剤がアトピー性皮膚炎やアレルギー疾患に有効であることが記載されている。
下記非特許文献1には、キトサンオリゴ糖の人への投与により、NK細胞活性が上昇することが記載されている。
下記非特許文献2には、イヌロオリゴ糖やマルトペンタオースやシクロデキストリン等12種類のオリゴ糖が、マクロファージのTNF−α産生促進作用を有することが記載されている。
下記非特許文献3には、多糖であるアラビノガラクタンが、マクロファージのTNF−α、IL−1、インターフェロン−β2の産生を促進し、マクロファージを活性化させる作用を有することが記載されている。
特開2003−95954号公報 特開2001−64181号公報 特開2003−40779号公報 日本臨床栄養学会雑誌 21(1), pp41-47 (1999) J. Vet. Med. Sci, 60(4):519-522,1998 Journal of the National Cancer Institute, vol.81, No.9, May3, 1989
しかしながら、上記のような薬剤は、活性は強いものの多量の摂取により人体に悪影響を及ぼすものもある。また、アガリクス、β−グルカン等の多糖類、プロポリス、ラクトフェリン等は高価なものであり、日常的に摂取するには問題があった。
したがって本発明の目的は、安全性の高い糖質を有効成分とする、安価で新しい免疫賦活組成物、及び該免疫賦活組成物を含有する乳製品を提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成するため鋭意研究し、N−アセチルラクトサミン及びN−アセチルラクトサミン誘導体が免疫担当細胞であるマクロファージに作用して、細胞傷害活性因子である一酸化窒素や炎症性サイトカインであるTNF−αの産生を有意に促進することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の一つは、N−アセチルラクトサミン及び下記式(1)、(2)に示されるN−アセチルラクトサミン誘導体から選ばれた少なくとも1種を有効成分として含有することを特徴とする免疫賦活組成物を提供するものである。
Galβ1−4Galβ1−4GlcNAc …(1)
A−Galβ1−4GlcNAc−B …(2)
(上記式中、Galはガラクトース、GlcNAcはN−アセチルグルコサミンを表す。また、Aは1〜6個のガラクトース、N−アセチルグルコサミン、フコース、シアル酸、硫酸基又はリン酸基を表し、Bは1〜6個のガラクトース、N−アセチルグルコサミン、グルコース、マンノース、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、ニトロフェニル基又はメチルウンベリフェリル基を表す。)
本発明の免疫賦活組成物においては、N−アセチルラクトサミン及び/又は下記式(1)に示されるN−アセチルラクトサミン誘導体を有効成分として含有することが好ましい。
Galβ1−4Galβ1−4GlcNAc …(1)
(上記式中、Galはガラクトース、GlcNAcはN−アセチルグルコサミンを表す。)
上記発明によれば、免疫賦活組成物の有効成分として、N−アセチルラクトサミン及び/又は上記N−アセチルラクトサミン誘導体を含有させることにより、マクロファージを直接活性化して、細胞傷害活性因子である一酸化窒素や炎症性サイトカインであるTNF−αの産生を促進させ、免疫力を向上させることができる。また、上記オリゴ糖は、安全性が高く、容易に工業的規模で製造可能であり、安全かつ安価な免疫賦活組成物を提供することができる。
また、本発明のもう一つは、前記免疫賦活組成物を含有することを特徴とする乳製品を提供するものである。
本発明の乳製品は、前記免疫賦活組成物を、N−アセチルラクトサミン、下記式(1)に示されるN−アセチルラクトサミン誘導体及び/又は下記式(2)に示されるN−アセチルラクトサミン誘導体換算で0.00001〜1質量%含有することが好ましい。
Galβ1−4Galβ1−4GlcNAc …(1)
A−Galβ1−4GlcNAc−B …(2)
(上記式中、Galはガラクトース、GlcNAcはN−アセチルグルコサミンを表す。また、Aは1〜6個のガラクトース、N−アセチルグルコサミン、フコース、シアル酸、硫酸基又はリン酸基を表し、Bは1〜6個のガラクトース、N−アセチルグルコサミン、グルコース、マンノース、メチル基、エチル基、プロピル基、アリル基、フェニル基、ニトロフェニル基又はメチルウンベリフェリル基を表す。)
また、前記乳製品は乳飲料又は調整粉乳であることが好ましい。
上記発明によれば、前記免疫賦活組成物の有効成分であるN−アセチルラクトサミンは、本来ウシ乳中に含まれている成分であり、これを乳製品に添加することにより自然かつ安全に免疫賦活作用を得ることができる。
本発明の免疫賦活組成物は、N−アセチルラクトサミン及び/又はN−アセチルラクトサミン誘導体を有効成分として含有することにより、マクロファージを直接活性化して免疫力を向上させることができる。また、上記オリゴ糖は、安全性が高く、容易に工業的規模で製造可能であり、安全かつ安価な免疫賦活組成物を提供することができる。
本発明の免疫賦活組成物の有効成分であるN−アセチルラクトサミンは、ガラクトースとN−アセチルグルコサミンがβ1−4結合をしたオリゴ糖である。N−アセチルラクトサミンは、ウシ初乳中に遊離の状態で極微量発見されており、ウシの分娩から数日後の乳中には検出されなくなることから、初乳成分としての特別な機能が示唆されている。
また、下記式(1)に示されるN−アセチルラクトサミン誘導体は、N−アセチルラクトサミンの非還元末端側にガラクトースがβ1−4結合した、O−β−D−ガラクトピラノシル−(1−4)−O−β−D−ガラクトピラノシル−(1−4)−O−2−アセトアミド−2−デオキシ−β−D−グルコピラノース(以下、ガラクトシルN−アセチルラクトサミンという)である。
Galβ1−4Galβ1−4GlcNAc …(1)
(上記式中、Galはガラクトース、GlcNAcはN−アセチルグルコサミンを表す。)
また、下記式(2)に示されるN−アセチルラクトサミン誘導体は、N−アセチルラクトサミンの非還元末端側及び還元末端側が他の糖や官能基で修飾されたものである。
A−Galβ1−4GlcNAc−B …(2)
(上記式中、Galはガラクトース、GlcNAcはN−アセチルグルコサミンを表す。また、Aは1〜6個のガラクトース、N−アセチルグルコサミン、フコース、シアル酸、硫酸基又はリン酸基を表し、Bは1〜6個のガラクトース、N−アセチルグルコサミン、グルコース、マンノース、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、ニトロフェニル基又はメチルウンベリフェリル基を表す。)
以上のように、本発明の免疫賦活組成物の有効成分である上記オリゴ糖は、N−アセチルラクトサミン構造を有することが重要であり、その非還元末端側や還元末端側には他の官能基や糖が結合していてもよい。本発明においては、N−アセチルラクトサミン及び/又はガラクトシルN−アセチルラクトサミンが好ましく用いられる。
N−アセチルラクトサミンは、天然糖蛋白糖鎖や糖脂質糖鎖、あるいはケラタン硫酸等から糖鎖の酵素的分解により得ることもできるが、極微量しか得ることができない。そこで、本発明においては、ラクトースとN−アセチルグルコサミンを溶解した溶液にβ−ガラクトシダーゼを作用させて糖転移反応を行う方法により製造することが好ましい。この方法によれば、N−アセチルラクトサミンを工業スケールで容易に製造できるだけでなく、副生成物としてガラクトシルN−アセチルラクトサミンも製造することができる。
具体的には、特許第2819313号公報に記載されているように、ラクトースとN−アセチルグルコサミンを基質とし、β−ガラクトシダーゼを塩析剤存在下で作用させることことが好ましい。
上記β−ガラクトシダーゼとしては、Lactobacillus bulgaricusStreptococcusthermophilusAspergillus oryzaeBacillus circulansを起源とするものが例示でき、これら市販されている酵素を使用することができる。中でも、Bacilluscirculansを起源とするものが、β1−4選択性が高いため、好ましく用いられる。
上記塩析剤としては、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、リン酸カリウム、硫酸マグネシウム、クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム等が例示でき、これらのうち1種又は2種以上を用いることができる。塩析剤の濃度は5〜30質量%が好ましい。
また、反応に用いるラクトースとN−アセチルグルコサミンの量は、モル比で1:1〜1:5とし、全基質濃度として20〜70質量%とすることが好ましい。β−ガラクトシダーゼは、反応系において0.01〜5U/mlとなるように添加し、pH4〜9、温度5〜50℃に保持して2〜50時間作用させることが好ましい。
上記のようにして得られた反応液には、副生成物としてガラクトシルN−アセチルラクトサミンがN−アセチルラクトサミンに対して2〜3%の割合で含まれている。
酵素反応液は、加熱して酵素を失活させた後、そのまま、あるいは必要に応じて活性炭カラムクロマトグラフィーや逆浸透膜により分離・精製、濃縮してから用いることができる。例えば、上記反応液を活性炭カラムクロマトグラフィーに供してアルコールによるグラジエント溶出することにより、高純度のN−アセチルラクトサミン及びガラクトシルN−アセチルラクトサミンを得ることができる。
また、上記式(2)に示されるN−アセチルラクトサミン誘導体は、碓氷らによって報告されている方法等により調製することができる。
例えば、上記式(2)において、Aがなく、Bがラクトース(ガラクトースとグルコースの2糖)であるラクト−N−テトラオースやラクト−N−ネオテトラオースは、ラクトースとUDP−N−アセチルグルコサミンの存在下において、β1−3Nアセチルグルコサミニルトランスフェラーゼを作用させて得られた3糖に、ラクトースの存在下においてBacillus circulans由来のβ−ガラクトシダーゼを作用させてガラクトースを転移させることにより得ることができる。(Glycoconjugate J., 16, 189-195, 1999)
また、上記式(2)において、Aがなく、Bがマンノース又はグルコースである3糖はN−アセチルラクトサミンのpNP誘導体と、マンノース又はグルコースの存在下でTrichoderma reesei由来のセルラーゼを作用させて、マンノース又はグルコースを転移させることにより得ることができる(Archives of Biochemistry and Biophysics, 385(1), Jan 1, 70-77, 2001)。
本発明においては、上記オリゴ糖をそのまま免疫賦活組成物として用いることもできるが、通常、上記オリゴ糖を1〜99質量%含むことが好ましく、安価に量産が可能であるという点で5〜50質量%含むことがより好ましい。
本発明の免疫賦活組成物の製剤形態は、液剤、散剤、錠剤、丸剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、ゼリー、チュアブル、ペースト等が挙げられ、生理活性を損わない範囲で、賦形剤、糖類、甘味料、安定剤、増粘剤、着色料、香料、酸味料、その他添加剤等の他の成分を適宜含むことができる。
本発明の免疫賦活組成物は、各種飲食品や飼料に、添加・配合して摂取することもできる。N−アセチルラクトサミンや上記N−アセチルラクトサミン誘導体はいずれも容易に水に溶解するので、飲食品等への添加・配合が容易である。また、飲食品等に添加・配合することにより、手軽に免疫賦活組成物を摂取することができ、継続摂取も容易となるので、より高い免疫賦活作用が期待できる。
上記飲食品としては、例えば、(1)乳製品、(2)清涼飲料、炭酸飲料、果実飲料、野菜ジュース、豆乳、ミネラルウォーター、茶系飲料、コーヒー飲料、スポーツ飲料、アルコール飲料、ゼリー飲料等の飲料類、(3)トマトピューレ、キノコ缶詰、乾燥野菜、漬物等の野菜加工品、(4)乾燥果実、ジャム、フルーツピューレ、果実缶詰等の果実加工品、(5)カレー粉、わさび、ショウガ、スパイスブレンド、シーズニング粉等の香辛料、(6)パスタ、うどん、そば、ラーメン、マカロニ等の麺類(生麺、乾燥麺含む)、(7)食パン、菓子パン、調理パン、ドーナツ等のパン類、(8)アルファー化米、オートミール、麩、バッター粉等、(9)焼菓子、ビスケット、米菓子、キャンデー、チョコレート、チューイングガム、スナック菓子、冷菓、砂糖漬け菓子、和生菓子、洋生菓子、半生菓子、プリン等の菓子類、(10)小豆、豆腐、納豆、きな粉、湯葉、煮豆、ピーナッツ等の豆類製品、(11)蜂蜜、ローヤルゼリー加工食品、(12)ハム、ソーセージ、ベーコン等の肉製品、(13)加工卵製品、(14)干物、蒲鉾、ちくわ、魚肉ソーセージ等の加工魚や、乾燥わかめ、昆布、佃煮等の加工海藻や、タラコ、数の子、イクラ、からすみ等の加工魚卵、(15)だしの素、醤油、酢、みりん、コンソメベース、中華ベース、濃縮出汁、ドレッシング、マヨネーズ、ケチャップ、味噌等の調味料や、サラダ油、ゴマ油、リノール油、ジアシルグリセロール、べにばな油等の食用油脂、(16)スープ(粉末、液体含む)等の調理、半調理食品や、惣菜、レトルト食品、チルド食品、半調理食品(炊き込みご飯の素、カニ玉の素)等が挙げられ、中でも、乳製品に好ましく添加・配合することができる。本発明の免疫賦活組成物の有効成分であるN−アセチルラクトサミンは、本来ウシ乳中に含まれている成分であるため、乳製品に添加・配合することで、より自然かつ安全に免疫賦活作用を得ることができる。
なお、本発明における乳製品とは、厚生省の乳等省令に定められている乳製品に加えて、乳、及び乳又は乳製品を主要原料とする食品も含むものであり、例えば、牛乳、加工乳、脱脂乳、クリーム、バター、チーズ、濃縮ホエー、アイスクリーム類、濃縮乳類、れん乳類、粉乳類、調製粉乳、発酵乳、乳飲料、乳酸菌飲料等が挙げられる。また、上記乳飲料とは、乳固形分3%以上の種類別乳飲料に加えて、加工乳、発酵乳、乳酸菌飲料等の飲用の乳製品を含むものである。本発明においては、上記乳製品の中でも、乳飲料又は調製粉乳に特に好ましく添加・配合することができる。例えば、本発明の免疫賦活組成物を乳幼児向けの調製粉乳に配合することにより、本来は母乳より摂取されるべき免疫賦活成分を調製粉乳から摂取できる。
上記飲食品や飼料における本発明の免疫賦活組成物の配合量は、固形分当り、N−アセチルラクトサミン及び/又は上記N−アセチルラクトサミン誘導体換算で0.00001〜1質量%が好ましく、0.001〜0.1質量%がより好ましい。上記範囲内であればウシの初乳に本来含まれている含量に近似するため、より自然かつ安全に免疫賦活作用を得ることができる。
なお、N−アセチルラクトサミンのラットにおける経口投与での急性毒性はLD50>5g/kg以上であり、その安全性が確認されている。
また、本発明の免疫賦活組成物は、医薬品、皮膚塗布用クリーム、化粧料等にも添加、配合することができる。
例えば、医薬品に配合する場合、医薬的に許容される担体や賦形剤、添加剤を用いて、注射剤、噴霧剤、錠剤、カプセル剤、顆粒剤等とすることができる。また、安定剤、増粘剤、着色剤等の補助的添加剤を使用することもできる。
本発明の免疫賦活組成物の有効摂取量は、人や状態、摂取方法等によっても異なるが、例えば、経口摂取する場合は、N−アセチルラクトサミン及び/又は上記N−アセチルラクトサミン誘導体換算で0.1〜500mg/体重1kgが好ましい。また、皮膚に塗布する場合は、N−アセチルラクトサミン及び/又は上記N−アセチルラクトサミン誘導体換算で10〜2,000mg/体重1kgが好ましい。また、外粘膜へ塗布する場合は、N−アセチルラクトサミン及び/又は上記N−アセチルラクトサミン誘導体換算で10〜2,000mg/体重1kgが好ましい。
また、化粧品に配合する場合、その配合量は、N−アセチルラクトサミン及び/又は上記N−アセチルラクトサミン誘導体換算で0.01〜40質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。
<実施例1>
(オリゴ糖の調製)
乳糖(和光純薬製)90gとN−アセチルグルコサミン(焼津水産化学工業製)110gを500mLの水に溶解し、ビオラクタ(Bacillus circulans由来ラクターゼ、大和化成製)200U(1Uは、ONPガラクトシドから1分間に1μmolのONPを遊離するのに必要な酵素量とする)を添加し、30℃で24時間酵素反応を行った。
酵素反応終了後、100℃、15分間加熱処理して酵素を失活させた後、活性炭カラムクロマトグラフィーに供し、0〜18%(v/v)のイソプロピルアルコール溶液を用いてグラジエント溶出した。イソプロピルアルコール濃度8%(v/v)付近でN−アセチルラクトサミンが溶出し、イソプロピルアルコール濃度12%(v/v)付近でガラクトシルN−アセチルラクトサミンが溶出するので、それぞれの高純度画分を集めて、濃縮、凍結乾燥して、N−アセチルラクトサミン及びガラクトシルN−アセチルラクトサミンを得た。
得られたN−アセチルラクトサミン及びガラクトシルN−アセチルラクトサミンを用いて以下の試験を行った。
<試験例1>
使用細胞:マウス単球細胞株RAW264.7(大日本製薬製)
使用培地:DMEM+10%非動化ウシ胎児血清+50U/mLペニシリン+50μg/mLストレプトマイシン(pH7.4)
上記細胞を96ウェルプレートに1ウェル当り7.5×10cells/80μLで播種した。そして、陽性対照ウェルには20μLの上記培地を、対照ウエル及び他のウェルには20μLのポリミキシンBを終濃度100U/mLになるように添加した。
更に、陽性対照ウェルには100ng/mLのLPS(リポポリサッカライド)100μL、対照ウェルには上記培地を100μL、他のウェルには予め各濃度に調整したオリゴ糖サンプル(図1〜3参照)を100μL添加し、37℃、5%CO2下で24時間培養した。
次に、NO(一酸化窒素)の量を測定するために、各ウェルから100μLをサンプリングし、別の96ウェルプレートに移し、100μLのGriess試薬を加え、15分後に540nmの吸光度を測定した。そして、予め0、12.5、25、50μMの亜硝酸ナトリウムを含む培地を用いて測定した吸光度に基いて作成した標準曲線から、産生されたNO(一酸化窒素)の量を算出した。得られたデータは、平均値±S.D.で示し、ウェルチの二群比較による検定を行って有意差を判定した。有意水準は危険率5%以下とした。
図1に、N−アセチルラクトサミンがマクロファージのNO産生量に与える影響についての結果を示す。
図1から分かるように、N−アセチルラクトサミンを20mM添加した場合は、対照に比べて危険率0.1%以下の有意差でNO産生を促進した。
一方、還元末端の糖がグルコースであるラクトース(Gal Glc)、還元末端の糖がグルコサミン塩酸塩であるラクトサミン塩酸塩(Gal GlcN)を添加した場合は、同一濃度においてNO産生促進作用が見受けられないか、あるいは極めて弱く、マクロファージのNO産生促進には還元末端の糖がN−アセチルグルコサミン構造であることが重要であることが示唆された。
図2に、ガラクトシルN−アセチルラクトサミンがマクロファージのNO産生量に与える影響についての結果を示す。
図2から分かるように、ガラクトシルN−アセチルラクトサミンを10mM添加した場合は、対照に比べて危険率0.1%以下の有意差でNO産生を促進した。図1の場合と同様、還元末端の糖がグルコースであるGal Gal Glc(ガラクトシルラクトース)、還元末端の糖がグルコサミン塩酸塩であるGal Gal GlcN(ガラクトシルラクトサミン塩酸塩)を添加した場合は、同一濃度においてNO産生促進作用が見受けられないか、あるいは弱く、マクロファージのNO産生促進には還元末端の糖がN−アセチルグルコサミン構造であることが重要であることが示唆された。
図3に、各濃度のN−アセチルラクトサミン及びガラクトシルN−アセチルラクトサミンがマクロファージのNO産生量に与える影響についての結果を示す。
図3から、N−アセチルラクトサミン及びガラクトシルN−アセチルラクトサミンは、濃度依存的にNO産生を促進することが分かる。特に、ガラクトシルN−アセチルラクトサミンはN−アセチルラクトサミンに比べて極めて強い活性を示しており、濃度20mMの場合においては、N−アセチルラクトサミンに比べて6.9倍もNO産生を促進していることが分かる。
<試験例2>
試験例1と同条件で同細胞を培養し、その上清から産生されたTNF−α量を、商品名「マウスTNF−α ELISA Kit」(Pierce Biotechnology Inc. 社製)を用いて測定した。
具体的には、0、50、350、2450pg/mlのマウスTNF−αを含む培地を用いて測定した450nm(対照550nm)の吸光度により標準曲線を作成し、それに基づいて算出した(キットのマニュアルに準拠した方法)。その結果を表1に示す。
Figure 2006182665
表1から、N−アセチルラクトサミン及びガラクトシルN−アセチルラクトサミンを添加した系では、培地のみ添加した対照に比べてTNF−αの産生量が増大していることが分かる。N−アセチルラクトサミン20mMでは対照の2.0倍であったが、ガラクトシルN−アセチルラクトサミン10mMでは、対照の2.6倍と、ガラクトースの数が大きいほうがTNF−α産生を促進することが示唆された。
以上の結果より、N−アセチルラクトサミン及びガラクトシルN−アセチルラクトサミンは、免疫細胞であるマクロファージに直接作用することで、細胞障害活性因子であるNO(一酸化窒素)及び炎症性サイトカインであるTNF−αの産生を効果的に促進させることが明らかとなった。
本発明の免疫賦活組成物は、マクロファージを活性化して免疫機能を増大させることができ、免疫低下による各種疾患の予防や治療に有用である。
N−アセチルラクトサミンがマクロファージのNO産生量に与える影響について測定した結果を示す図である。 ガラクトシルN−アセチルラクトサミンがマクロファージのNO産生量に与える影響について測定した結果を示す図である。 各濃度のN−アセチルラクトサミン及びガラクトシルN−アセチルラクトサミンがマクロファージのNO産生量に与える影響について測定した結果を示す図である。

Claims (5)

  1. N−アセチルラクトサミン及び下記式(1)、(2)に示されるN−アセチルラクトサミン誘導体から選ばれた少なくとも1種を有効成分として含有することを特徴とする免疫賦活組成物。
    Galβ1−4Galβ1−4GlcNAc …(1)
    A−Galβ1−4GlcNAc−B …(2)
    (上記式中、Galはガラクトース、GlcNAcはN−アセチルグルコサミンを表す。また、Aは1〜6個のガラクトース、N−アセチルグルコサミン、フコース、シアル酸、硫酸基又はリン酸基を表し、Bは1〜6個のガラクトース、N−アセチルグルコサミン、グルコース、マンノース、メチル基、エチル基、プロピル基、アリル基、フェニル基、ニトロフェニル基又はメチルウンベリフェリル基を表す。)
  2. N−アセチルラクトサミン及び/又は下記式(1)に示されるN−アセチルラクトサミン誘導体を有効成分として含有する請求項1記載の免疫賦活組成物。
    Galβ1−4Galβ1−4GlcNAc …(1)
    (上記式中、Galはガラクトース、GlcNAcはN−アセチルグルコサミンを表す。)
  3. 請求項1又は2記載の免疫賦活組成物を含有することを特徴とする乳製品。
  4. 前記免疫賦活組成物を、N−アセチルラクトサミン、下記式(1)に示されるN−アセチルラクトサミン誘導体及び/又は下記式(2)に示されるN−アセチルラクトサミン誘導体換算で0.00001〜1質量%含有する請求項3記載の乳製品。
    Galβ1−4Galβ1−4GlcNAc …(1)
    A−Galβ1−4GlcNAc−B …(2)
    (上記式中、Galはガラクトース、GlcNAcはN−アセチルグルコサミンを表す。また、Aは1〜6個のガラクトース、N−アセチルグルコサミン、フコース、シアル酸、硫酸基又はリン酸基を表し、Bは1〜6個のガラクトース、N−アセチルグルコサミン、グルコース、マンノース、メチル基、エチル基、プロピル基、アリル基、フェニル基、ニトロフェニル基又はメチルウンベリフェリル基を表す。)
  5. 前記乳製品は、乳飲料又は調整粉乳である請求項3又は4記載の乳製品。
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