JPH1023898A - N−アセチルラクトサミン誘導体の新規な製造法 - Google Patents
N−アセチルラクトサミン誘導体の新規な製造法Info
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- JPH1023898A JPH1023898A JP19853796A JP19853796A JPH1023898A JP H1023898 A JPH1023898 A JP H1023898A JP 19853796 A JP19853796 A JP 19853796A JP 19853796 A JP19853796 A JP 19853796A JP H1023898 A JPH1023898 A JP H1023898A
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- acetylglucosamine
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Abstract
(57)【要約】
【解決手段】 ガラクトース残基供与体と、N-アセチル
グルコサミンを非還元末端に有する2糖又はN-アセチル
グルコサミン又はN-アセチルグルコサミニドとの存在
下、Bifidobacterium属に属する菌に由来するβ−ガラ
クトシダーゼを作用させて、N-アセチルラクトサミン誘
導体(構造中にGalβ1-4GlcNAc構造を有する化合物)を
製造する。 【効果】 目的物質の収率が高く、反応時間の制御が不
要であり、しかも、得られたN-アセチルラクトサミンを
機能性食品の材料として用いる際に安全性の問題がな
い。
グルコサミンを非還元末端に有する2糖又はN-アセチル
グルコサミン又はN-アセチルグルコサミニドとの存在
下、Bifidobacterium属に属する菌に由来するβ−ガラ
クトシダーゼを作用させて、N-アセチルラクトサミン誘
導体(構造中にGalβ1-4GlcNAc構造を有する化合物)を
製造する。 【効果】 目的物質の収率が高く、反応時間の制御が不
要であり、しかも、得られたN-アセチルラクトサミンを
機能性食品の材料として用いる際に安全性の問題がな
い。
Description
【発明の属する技術分野】本発明は、複合型糖蛋白質及
び糖脂質中の主要な構成要素であり、また、ビフィズス
菌増殖因子でもある、N-アセチルラクトサミン及びその
誘導体の新規な製造法に関する。
び糖脂質中の主要な構成要素であり、また、ビフィズス
菌増殖因子でもある、N-アセチルラクトサミン及びその
誘導体の新規な製造法に関する。
【従来の技術】N-アセチルラクトサミンは、ガラクトー
スとN-アセチルグルコサミンがβ1-4結合でつながった2
糖である。この2糖単位は、複合型糖蛋白質の構成要素
であり、また糖脂質中にも頻繁に出現する。従って、こ
れらの複合糖質を合成する際には、重要なキー物質とな
る。また、N-アセチルラクトサミンは、有用な腸内細菌
であるビフィズス菌に選択的に資化され、ビフィズス菌
を優先的に増殖させる機能を持っている。このようなこ
とから、N-アセチルラクトサミンを大量に合成し、これ
を材料とした機能性食品の開発も活発に進められてい
る。このように、N-アセチルラクトサミンは、複合型糖
蛋白質及び糖脂質の合成や、機能性食品への応用に有用
であるため、これまで様々な微生物に由来するβ−ガラ
クトシダーゼを利用して酵素的にN-アセチルラクトサミ
ンを製造することが試みられている。例えば、特開平3-
175990及び特開平3-49692においては、Bacillus circul
ans由来のβ−ガラクトシダーゼを用いて、ラクトース
を糖供与体、N-アセチルグルコサミンを糖受容体とした
転移反応により合成する方法が記載されている。また、
特開平6-335395には、Diplococcus pneumoniae由来のβ
−ガラクトシダーゼを用い、パラニトロフェニル-β-D-
ガラクトピラノシドを供与体、N-アセチルグルコサミン
を受容体として反応を行う方法が述べられている。さら
に、FriedrichZillikenらは、ラクトースとN-アセチル
グルコサミンを含む培地中で、Lactobacillus bifidus
菌を培養して、その培養液中に蓄積する当該2糖を取り
出す方法を述べている(Friedrich Zilliken, et al,
J. Biol, Chem., 217, 79-82(1955))。
スとN-アセチルグルコサミンがβ1-4結合でつながった2
糖である。この2糖単位は、複合型糖蛋白質の構成要素
であり、また糖脂質中にも頻繁に出現する。従って、こ
れらの複合糖質を合成する際には、重要なキー物質とな
る。また、N-アセチルラクトサミンは、有用な腸内細菌
であるビフィズス菌に選択的に資化され、ビフィズス菌
を優先的に増殖させる機能を持っている。このようなこ
とから、N-アセチルラクトサミンを大量に合成し、これ
を材料とした機能性食品の開発も活発に進められてい
る。このように、N-アセチルラクトサミンは、複合型糖
蛋白質及び糖脂質の合成や、機能性食品への応用に有用
であるため、これまで様々な微生物に由来するβ−ガラ
クトシダーゼを利用して酵素的にN-アセチルラクトサミ
ンを製造することが試みられている。例えば、特開平3-
175990及び特開平3-49692においては、Bacillus circul
ans由来のβ−ガラクトシダーゼを用いて、ラクトース
を糖供与体、N-アセチルグルコサミンを糖受容体とした
転移反応により合成する方法が記載されている。また、
特開平6-335395には、Diplococcus pneumoniae由来のβ
−ガラクトシダーゼを用い、パラニトロフェニル-β-D-
ガラクトピラノシドを供与体、N-アセチルグルコサミン
を受容体として反応を行う方法が述べられている。さら
に、FriedrichZillikenらは、ラクトースとN-アセチル
グルコサミンを含む培地中で、Lactobacillus bifidus
菌を培養して、その培養液中に蓄積する当該2糖を取り
出す方法を述べている(Friedrich Zilliken, et al,
J. Biol, Chem., 217, 79-82(1955))。
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
方法はそれぞれ問題点があった。すなわち、特開平3-17
5990及び特開平3-49692記載の製造法は、ある―定の反
応時間までは、Galβ1-4GlcNAc(=N-アセチルラクトサ
ミン)とGalβ1-6GlcNAcとが9/1の割合で生成するが、
反応時間が長くなるにつれて、Galβ1-6GlcNAcの比率が
増加して、ついにはN-アセチルラクトサミンを逆転して
しまう。このため、反応時間を制御する必要がある。ま
た、特開平6-335395記載の製造法は、Galβ1-6GlcNAcの
比率は極めて少ないものの、酵素自体が高価であるた
め、大量のN-アセチルラクトサミンの工業的生産には適
さない。さらに、Friedrich Zillikenらの方法は、収率
が5.4%と極めて低く、実用的ではない。
方法はそれぞれ問題点があった。すなわち、特開平3-17
5990及び特開平3-49692記載の製造法は、ある―定の反
応時間までは、Galβ1-4GlcNAc(=N-アセチルラクトサ
ミン)とGalβ1-6GlcNAcとが9/1の割合で生成するが、
反応時間が長くなるにつれて、Galβ1-6GlcNAcの比率が
増加して、ついにはN-アセチルラクトサミンを逆転して
しまう。このため、反応時間を制御する必要がある。ま
た、特開平6-335395記載の製造法は、Galβ1-6GlcNAcの
比率は極めて少ないものの、酵素自体が高価であるた
め、大量のN-アセチルラクトサミンの工業的生産には適
さない。さらに、Friedrich Zillikenらの方法は、収率
が5.4%と極めて低く、実用的ではない。
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来のN-
アセチルラクトサミンの酵素的合成法における種々の問
題点を解決し、しかも、機能性食品の材料として用いる
際に安全性の問題がないような酵素的合成法を鋭意研究
してきたが、Bifidobacterium属に属する菌に由来する
β−ガラクトシダーゼを用いることにより、これらの課
題を全て解決することを見出し、本発明を完成した。
アセチルラクトサミンの酵素的合成法における種々の問
題点を解決し、しかも、機能性食品の材料として用いる
際に安全性の問題がないような酵素的合成法を鋭意研究
してきたが、Bifidobacterium属に属する菌に由来する
β−ガラクトシダーゼを用いることにより、これらの課
題を全て解決することを見出し、本発明を完成した。
【発明の実施の形態】すなわち、本発明は、フェニル-
β-D-ガラクトピラノシド誘導体又はβ-D-ガラクトピラ
ノシル化合物と、N-アセチルグルコサミンを非還元末端
に有する2糖又はN-アセチルグルコサミン又はN-アセチ
ルグルコサミニドとの存在下、Bifidobacterium属に属
する菌に由来するβ−ガラクトシダーゼを作用させて、
前記フェニル-β-D-ガラクトピラノシド誘導体又はβ-D
-ガラクトピラノシル化合物のガラクトース残基を、前
記N-アセチルグルコサミン又はN-アセチルグルコサミニ
ド又はN-アセチルグルコサミンを非還元末端に有する2
糖に転移させることを特徴とするN-アセチルラクトサミ
ン誘導体の製造法である。本発明において、「N-アセチ
ルラクトサミン誘導体」とは、N-アセチルラクトサミン
自体、及び、構造中にGalβ1-4GlcNAc構造を有する化合
物を意味する。例えば、ベンジルN-アセチルラクトサミ
ン、パラニトロフェニルN-アセチルラクトサミン、Gal
β1-4GlcNAcβ1-4GlcNAc、Galβ1-4GlcNAcβ1-2Man等が
挙げられるが、これらには限定されない。本発明方法に
よるN-アセチルラクトサミンの反応収率は極めて高く、
ガラクトースが2個結合したGalβ1-4Galβ1-4GlcNAcま
で含めると、60%以上の収率で所望のオリゴ糖が合成さ
れる。また、反応時間に対する厳密性が低く、反応時間
が延長されても、β1-6結合の2糖が急激に増加すること
はなく、むしろ、Galβ1-4GlcNAcから別のGalβ1-4GlcN
Acに転移したGalβ1-4Galβ1-4GlcNAcが生成するという
特徴がある。さらに、酵素の由来が、腸内細菌であるBi
fidobacterium属に属する菌であるから、安全性に関し
ては全く問題がない。本発明におけるガラクトース残基
供与体は、フェニル-β-D-ガラクトピラノシド誘導体又
はβ-D-ガラクトピラノシル化合物である。フェニル-β
-D-ガラクトピラノシド誘導体としては、例えばパラニ
トロフェニル-β-D-ガラクトピラノシド、フェニル-β-
D-ガラクトピラノシドなどが挙げられるが、フェノール
系の化合物をアグリコンとして持つものであればよく、
例えばα-及びβ-異性体の混合物であってもα-異性体
は未反応のままで残るので何ら問題がない。また、β-D
-ガラクトピラノシル化合物としては例えばラクトース
やガラクトビオースが挙げられるが、非還元末端にガラ
クトース残基が存在するものであれば何であってもよ
く、これらに限定されるものではない。本発明のガラク
トース残基受容体は、N-アセチルグルコサミン又はN-ア
セチルグルコサミニド又はN-アセチルグルコサミンを非
還元末端に有する2糖である。N-アセチルグルコサミニ
ドとしては、例えばベンジルN-アセチルグルコサミニ
ド、パラニトロフェニルN-アセチルグルコサミニド等が
挙げられるが、これらに限定されるものではない。ま
た、N-アセチルグルコサミンを非還元末端に有する2糖
としては、例えばキトビオース又はGlcNAcβ1-2Man等が
挙げられが、これらに限定されるものではない。β−ガ
ラクトシダーゼは、Bifidobacterium属に属する菌に由
来するものであれば何であってもよく、例えば実施例で
用いているBifidobacterium bifidum及びBifidobacteri
um longumに由来するものが挙げられるが、これらに限
定されない。また、β−ガラクトシダーゼは、公知の方
法でBifidobacterium属に属する菌を培養し、その培養
上清から単離・精製して使用してもよいが、培養上清そ
のまま或いはその濃縮物を用いても何ら差し支えない。
本発明の反応は、フェニル-β-D-ガラクトピラノシド誘
導体又はβ-D-ガラクトピラノシル化合物と、N-アセチ
ルグルコサミンを非還元末端に有する2糖又はN-アセチ
ルグルコサミン又はN-アセチルグルコサミニドとを、ト
リエチルフォスフェートを添加した緩衝液中に溶解させ
て酵素反応を行わせることが好ましいが、これらの反応
基質を溶解させて酵素反応を行うことのできる有機溶媒
であれば何であってもよく、それらに各種緩衝液に添加
して反応を行うことができる。そのような有機溶媒とし
ては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルム
アミド、アセトニトリルなどが挙げられるが、これらに
は限定されない。酵素反応は、25〜40℃の酵素反応に適
した温度で、緩やかに攪拌しながら行うことが好まし
い。得られた反応生成物からN-アセチルラクトサミン誘
導体を単離・精製するには、各種のクロマトグラフィー
による公知の精製法を用いればよく、特に限定はない
が、とりわけ活性炭カラムを用いることが好ましい。
β-D-ガラクトピラノシド誘導体又はβ-D-ガラクトピラ
ノシル化合物と、N-アセチルグルコサミンを非還元末端
に有する2糖又はN-アセチルグルコサミン又はN-アセチ
ルグルコサミニドとの存在下、Bifidobacterium属に属
する菌に由来するβ−ガラクトシダーゼを作用させて、
前記フェニル-β-D-ガラクトピラノシド誘導体又はβ-D
-ガラクトピラノシル化合物のガラクトース残基を、前
記N-アセチルグルコサミン又はN-アセチルグルコサミニ
ド又はN-アセチルグルコサミンを非還元末端に有する2
糖に転移させることを特徴とするN-アセチルラクトサミ
ン誘導体の製造法である。本発明において、「N-アセチ
ルラクトサミン誘導体」とは、N-アセチルラクトサミン
自体、及び、構造中にGalβ1-4GlcNAc構造を有する化合
物を意味する。例えば、ベンジルN-アセチルラクトサミ
ン、パラニトロフェニルN-アセチルラクトサミン、Gal
β1-4GlcNAcβ1-4GlcNAc、Galβ1-4GlcNAcβ1-2Man等が
挙げられるが、これらには限定されない。本発明方法に
よるN-アセチルラクトサミンの反応収率は極めて高く、
ガラクトースが2個結合したGalβ1-4Galβ1-4GlcNAcま
で含めると、60%以上の収率で所望のオリゴ糖が合成さ
れる。また、反応時間に対する厳密性が低く、反応時間
が延長されても、β1-6結合の2糖が急激に増加すること
はなく、むしろ、Galβ1-4GlcNAcから別のGalβ1-4GlcN
Acに転移したGalβ1-4Galβ1-4GlcNAcが生成するという
特徴がある。さらに、酵素の由来が、腸内細菌であるBi
fidobacterium属に属する菌であるから、安全性に関し
ては全く問題がない。本発明におけるガラクトース残基
供与体は、フェニル-β-D-ガラクトピラノシド誘導体又
はβ-D-ガラクトピラノシル化合物である。フェニル-β
-D-ガラクトピラノシド誘導体としては、例えばパラニ
トロフェニル-β-D-ガラクトピラノシド、フェニル-β-
D-ガラクトピラノシドなどが挙げられるが、フェノール
系の化合物をアグリコンとして持つものであればよく、
例えばα-及びβ-異性体の混合物であってもα-異性体
は未反応のままで残るので何ら問題がない。また、β-D
-ガラクトピラノシル化合物としては例えばラクトース
やガラクトビオースが挙げられるが、非還元末端にガラ
クトース残基が存在するものであれば何であってもよ
く、これらに限定されるものではない。本発明のガラク
トース残基受容体は、N-アセチルグルコサミン又はN-ア
セチルグルコサミニド又はN-アセチルグルコサミンを非
還元末端に有する2糖である。N-アセチルグルコサミニ
ドとしては、例えばベンジルN-アセチルグルコサミニ
ド、パラニトロフェニルN-アセチルグルコサミニド等が
挙げられるが、これらに限定されるものではない。ま
た、N-アセチルグルコサミンを非還元末端に有する2糖
としては、例えばキトビオース又はGlcNAcβ1-2Man等が
挙げられが、これらに限定されるものではない。β−ガ
ラクトシダーゼは、Bifidobacterium属に属する菌に由
来するものであれば何であってもよく、例えば実施例で
用いているBifidobacterium bifidum及びBifidobacteri
um longumに由来するものが挙げられるが、これらに限
定されない。また、β−ガラクトシダーゼは、公知の方
法でBifidobacterium属に属する菌を培養し、その培養
上清から単離・精製して使用してもよいが、培養上清そ
のまま或いはその濃縮物を用いても何ら差し支えない。
本発明の反応は、フェニル-β-D-ガラクトピラノシド誘
導体又はβ-D-ガラクトピラノシル化合物と、N-アセチ
ルグルコサミンを非還元末端に有する2糖又はN-アセチ
ルグルコサミン又はN-アセチルグルコサミニドとを、ト
リエチルフォスフェートを添加した緩衝液中に溶解させ
て酵素反応を行わせることが好ましいが、これらの反応
基質を溶解させて酵素反応を行うことのできる有機溶媒
であれば何であってもよく、それらに各種緩衝液に添加
して反応を行うことができる。そのような有機溶媒とし
ては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルム
アミド、アセトニトリルなどが挙げられるが、これらに
は限定されない。酵素反応は、25〜40℃の酵素反応に適
した温度で、緩やかに攪拌しながら行うことが好まし
い。得られた反応生成物からN-アセチルラクトサミン誘
導体を単離・精製するには、各種のクロマトグラフィー
による公知の精製法を用いればよく、特に限定はない
が、とりわけ活性炭カラムを用いることが好ましい。
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 実験例1(Bifidobacterium属由来のβ−ガラクトシダ
ーゼの調製)Bifidobacterium bifidum(Deutche Sammlung von Mikr
oorbanismen寄託番号20456)をBriggs liver Broth(ト
マ卜ジュース:400ml、ネオペプトン(Difco):15g、イ
ーストエキストラクト(Difco):6g、レバーエキストラ
クト:75ml、グルコース:20g、可溶性殿粉:0.5g、Twe
en80:1g、L-システイン:0.2g及び蒸留水:505mlを、p
H6.8に調整した)中で7日間嫌気条件下培養した。培養
液を6,000rpmで30分間遠心し菌体を除去した。この上清
中には、101ユニット/mlのβ−ガラクトシダーゼ活性が
含まれていた。 実験例2(β−ガラクトシダーゼの部分精製) 実験例1で得られた上清6mlを、10mMのリン酸ナトリウ
ム緩衝液(pH7.4)に対して透析した。それをファルマ
シア社製Q-Sepharoseカラム(2.4cm×20cm)にアプライ
し、同緩衝液をべースとした食塩のグラジエント(0-1.
0M)により溶離した。流速は2ml/minで5mlずつのフラク
ションを集めた。β−ガラクトシダーゼ活性を含むフラ
クションを集めて濃縮した結果7mlの酵素液を得た。こ
の酵素液中のβ−ガラクトシダーゼ活性は176.8ユニッ
ト/mlであった。 実施例1 145mgのパラニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシド
と320mgのN-アセチルグルコサミンとを、570μlの酢酸
ナトリウム緩衝液(pH5.0)、300μlのトリエチルフォ
スフェートに溶解し、これに実験例1で得られた培養上
清30μlを加えて37℃で反応を行った。7時間後、反応液
を100℃の熱水中で5分間加熱して酵素を失活させた。こ
の反応液を、直径2cm、長さ50cmの活性炭カラムに供
し、水−40%エタノールのグラジエントで溶離を行っ
た。各画分に含まれる還元糖をフェノール硫酸法で定量
し、これをプロットして得られたグラフを図1に示す。
この図に示されるように、ピークA、ピークB及びピーク
Cの3つのピークが認められ、これらの13C NMRスペクト
ルを測定したところ(図2)、ピークAはGalβ1-4GlcNA
c(N-アセチルラクトサミン)、ピークBはGalβ1-4Gal
β1-4GlcNAc、ピークCはGalβ1-4Galβ1-4Galβ1-4GlcN
Acであった。また、これらの各オリゴ糖の収量は、それ
ぞれ58.9mg(収率32.0%)、19.7mg(収率18.7%)及び4.
1mg(収率2.2%)であった。 実施例2 145mgのパラニトロフェニル-β-D-ガラク卜ビラノシド
と320mgのN-アセチルグルコサミンとを530μ1の酢酸ナ
トリウム緩衝液(pH5.0)、300μlのトリエチルフォス
フェートに溶解し、これに実験例2の部分精製酵素170
μlを加えて37℃で反応を行った。1時間後、反応液を10
0℃の熱水中で5分間加熱して酵素を失活させた。得られ
た反応液のHPLCチャートを図3に示す。なお、HPLCの測
定は、試料をCapcell-pak NH2(資生堂社製)にアプラ
イし、UV(210nm)で検出しつつ、80%アセトニトリルにて
流速1ml/mlで溶離することにより行った。反応液から、
実施例1と同様にして活性炭カラムによりオリゴ糖画分
を単離したところ、53.7mgのGalβ1-4GlcNAcが得られた
(収率27%)。なお、本実施例では、2糖のみが得られ、
3糖は得られなかった。 実施例3 145mgのパラニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシド
と320mgのN-アセチルグルコサミンとを700μlの酢酸ナ
トリウム緩衝液(pH5.0)、300μlのトリエチルフォス
フェートに溶解し、これにBifidobacterium longumの培
養上清5μl(30ユニット)を加えて37℃で反応を行っ
た。得られた反応液のHPLCチャートを図4に示す。な
お、HPLCは実施例2と同様の条件で測定した。反応液か
ら、実施例1と同様にして活性炭カラムによりオリゴ糖
画分を単離したところ、91.8mgの2糖が得られた(収率4
6.1%)。このHPLCチャートおよび13C NMRスペクトルか
ら、2糖画分のうち86%がN-アセチルラクトサミンである
ことが確認された。
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 実験例1(Bifidobacterium属由来のβ−ガラクトシダ
ーゼの調製)Bifidobacterium bifidum(Deutche Sammlung von Mikr
oorbanismen寄託番号20456)をBriggs liver Broth(ト
マ卜ジュース:400ml、ネオペプトン(Difco):15g、イ
ーストエキストラクト(Difco):6g、レバーエキストラ
クト:75ml、グルコース:20g、可溶性殿粉:0.5g、Twe
en80:1g、L-システイン:0.2g及び蒸留水:505mlを、p
H6.8に調整した)中で7日間嫌気条件下培養した。培養
液を6,000rpmで30分間遠心し菌体を除去した。この上清
中には、101ユニット/mlのβ−ガラクトシダーゼ活性が
含まれていた。 実験例2(β−ガラクトシダーゼの部分精製) 実験例1で得られた上清6mlを、10mMのリン酸ナトリウ
ム緩衝液(pH7.4)に対して透析した。それをファルマ
シア社製Q-Sepharoseカラム(2.4cm×20cm)にアプライ
し、同緩衝液をべースとした食塩のグラジエント(0-1.
0M)により溶離した。流速は2ml/minで5mlずつのフラク
ションを集めた。β−ガラクトシダーゼ活性を含むフラ
クションを集めて濃縮した結果7mlの酵素液を得た。こ
の酵素液中のβ−ガラクトシダーゼ活性は176.8ユニッ
ト/mlであった。 実施例1 145mgのパラニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシド
と320mgのN-アセチルグルコサミンとを、570μlの酢酸
ナトリウム緩衝液(pH5.0)、300μlのトリエチルフォ
スフェートに溶解し、これに実験例1で得られた培養上
清30μlを加えて37℃で反応を行った。7時間後、反応液
を100℃の熱水中で5分間加熱して酵素を失活させた。こ
の反応液を、直径2cm、長さ50cmの活性炭カラムに供
し、水−40%エタノールのグラジエントで溶離を行っ
た。各画分に含まれる還元糖をフェノール硫酸法で定量
し、これをプロットして得られたグラフを図1に示す。
この図に示されるように、ピークA、ピークB及びピーク
Cの3つのピークが認められ、これらの13C NMRスペクト
ルを測定したところ(図2)、ピークAはGalβ1-4GlcNA
c(N-アセチルラクトサミン)、ピークBはGalβ1-4Gal
β1-4GlcNAc、ピークCはGalβ1-4Galβ1-4Galβ1-4GlcN
Acであった。また、これらの各オリゴ糖の収量は、それ
ぞれ58.9mg(収率32.0%)、19.7mg(収率18.7%)及び4.
1mg(収率2.2%)であった。 実施例2 145mgのパラニトロフェニル-β-D-ガラク卜ビラノシド
と320mgのN-アセチルグルコサミンとを530μ1の酢酸ナ
トリウム緩衝液(pH5.0)、300μlのトリエチルフォス
フェートに溶解し、これに実験例2の部分精製酵素170
μlを加えて37℃で反応を行った。1時間後、反応液を10
0℃の熱水中で5分間加熱して酵素を失活させた。得られ
た反応液のHPLCチャートを図3に示す。なお、HPLCの測
定は、試料をCapcell-pak NH2(資生堂社製)にアプラ
イし、UV(210nm)で検出しつつ、80%アセトニトリルにて
流速1ml/mlで溶離することにより行った。反応液から、
実施例1と同様にして活性炭カラムによりオリゴ糖画分
を単離したところ、53.7mgのGalβ1-4GlcNAcが得られた
(収率27%)。なお、本実施例では、2糖のみが得られ、
3糖は得られなかった。 実施例3 145mgのパラニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシド
と320mgのN-アセチルグルコサミンとを700μlの酢酸ナ
トリウム緩衝液(pH5.0)、300μlのトリエチルフォス
フェートに溶解し、これにBifidobacterium longumの培
養上清5μl(30ユニット)を加えて37℃で反応を行っ
た。得られた反応液のHPLCチャートを図4に示す。な
お、HPLCは実施例2と同様の条件で測定した。反応液か
ら、実施例1と同様にして活性炭カラムによりオリゴ糖
画分を単離したところ、91.8mgの2糖が得られた(収率4
6.1%)。このHPLCチャートおよび13C NMRスペクトルか
ら、2糖画分のうち86%がN-アセチルラクトサミンである
ことが確認された。
【発明の効果】N-アセチルラクトサミンの酵素的合成法
において、Bifidobacterium属に属する菌に由来するβ
−ガラクトシダーゼを用いることにより、高い収率で目
的物が得られ、反応時間の制御が不要となる。しかも、
Bifidobacterium属に属する菌は腸内細菌であるため、
得られたN-アセチルラクトサミンを機能性食品の材料と
して用いる際に安全性の問題がない。また、本発明は、
N-アセチルラクトサミンのみならず、構造中にGalβ1-4
GlcNAc構造を有する化合物、例えば、ベンジルN-アセチ
ルラクトサミン、パラニトロフェニルN-アセチルラクト
サミン、Galβ1-4GlcNAcβ1-4GlcNAc、Galβ1-4GlcNAc
β1-2Man等の製造においても、N-アセチルラクトサミン
の製造の場合と同様の特徴を有し、産業上有用である。
において、Bifidobacterium属に属する菌に由来するβ
−ガラクトシダーゼを用いることにより、高い収率で目
的物が得られ、反応時間の制御が不要となる。しかも、
Bifidobacterium属に属する菌は腸内細菌であるため、
得られたN-アセチルラクトサミンを機能性食品の材料と
して用いる際に安全性の問題がない。また、本発明は、
N-アセチルラクトサミンのみならず、構造中にGalβ1-4
GlcNAc構造を有する化合物、例えば、ベンジルN-アセチ
ルラクトサミン、パラニトロフェニルN-アセチルラクト
サミン、Galβ1-4GlcNAcβ1-4GlcNAc、Galβ1-4GlcNAc
β1-2Man等の製造においても、N-アセチルラクトサミン
の製造の場合と同様の特徴を有し、産業上有用である。
【図1】 パラニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシ
ドとN-アセチルグルコサミンとに、Bifidobacterium bi
fidumの培養上清を反応させて得られた反応生成物を分
画し、各画分の還元糖の量を測定したものである。
ドとN-アセチルグルコサミンとに、Bifidobacterium bi
fidumの培養上清を反応させて得られた反応生成物を分
画し、各画分の還元糖の量を測定したものである。
【図2】 図1のピークA、ピークB及びピークCの13C N
MRスペクトルである。
MRスペクトルである。
【図3】 パラニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシ
ドとN-アセチルグルコサミンとに、Bifidobacterium bi
fidum由来の部分精製β−ガラクトシダーゼを反応させ
て得られた反応生成物のHPLCチャートである。
ドとN-アセチルグルコサミンとに、Bifidobacterium bi
fidum由来の部分精製β−ガラクトシダーゼを反応させ
て得られた反応生成物のHPLCチャートである。
【図4】 パラニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシ
ドとN-アセチルグルコサミンとに、Bifidobacterium lo
ngumの培養上清を反応させて得られた反応生成物のHPLC
チャートである。
ドとN-アセチルグルコサミンとに、Bifidobacterium lo
ngumの培養上清を反応させて得られた反応生成物のHPLC
チャートである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年7月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複合型糖蛋白質及
び糖脂質中の主要な構成要素であり、また、ビフィズス
菌増殖因子でもある、N-アセチルラクトサミン及びその
誘導体の新規な製造法に関する。
び糖脂質中の主要な構成要素であり、また、ビフィズス
菌増殖因子でもある、N-アセチルラクトサミン及びその
誘導体の新規な製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】N-アセチルラクトサミンは、ガラクトー
スとN-アセチルグルコサミンがβ1-4結合でつながった2
糖である。この2糖単位は、複合型糖蛋白質の構成要素
であり、また糖脂質中にも頻繁に出現する。従って、こ
れらの複合糖質を合成する際には、重要なキー物質とな
る。
スとN-アセチルグルコサミンがβ1-4結合でつながった2
糖である。この2糖単位は、複合型糖蛋白質の構成要素
であり、また糖脂質中にも頻繁に出現する。従って、こ
れらの複合糖質を合成する際には、重要なキー物質とな
る。
【0003】また、N-アセチルラクトサミンは、有用な
腸内細菌であるビフィズス菌に選択的に資化され、ビフ
ィズス菌を優先的に増殖させる機能を持っている。この
ようなことから、N-アセチルラクトサミンを大量に合成
し、これを材料とした機能性食品の開発も活発に進めら
れている。
腸内細菌であるビフィズス菌に選択的に資化され、ビフ
ィズス菌を優先的に増殖させる機能を持っている。この
ようなことから、N-アセチルラクトサミンを大量に合成
し、これを材料とした機能性食品の開発も活発に進めら
れている。
【0004】このように、N-アセチルラクトサミンは、
複合型糖蛋白質及び糖脂質の合成や、機能性食品への応
用に有用であるため、これまで様々な微生物に由来する
β−ガラクトシダーゼを利用して酵素的にN-アセチルラ
クトサミンを製造することが試みられている。
複合型糖蛋白質及び糖脂質の合成や、機能性食品への応
用に有用であるため、これまで様々な微生物に由来する
β−ガラクトシダーゼを利用して酵素的にN-アセチルラ
クトサミンを製造することが試みられている。
【0005】例えば、特開平3-175990及び特開平3-4969
2においては、Bacillus circulans由来のβ−ガラクト
シダーゼを用いて、ラクトースを糖供与体、N-アセチル
グルコサミンを糖受容体とした転移反応により合成する
方法が記載されている。また、特開平6-335395には、Di
plococcus pneumoniae由来のβ−ガラクトシダーゼを用
い、パラニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシドを供
与体、N-アセチルグルコサミンを受容体として反応を行
う方法が述べられている。さらに、FriedrichZilliken
らは、ラクトースとN-アセチルグルコサミンを含む培地
中で、Lactobacillus bifidus菌を培養して、その培養
液中に蓄積する当該2糖を取り出す方法を述べている(F
riedrich Zilliken, et al, J. Biol, Chem., 217, 79-
82(1955))。
2においては、Bacillus circulans由来のβ−ガラクト
シダーゼを用いて、ラクトースを糖供与体、N-アセチル
グルコサミンを糖受容体とした転移反応により合成する
方法が記載されている。また、特開平6-335395には、Di
plococcus pneumoniae由来のβ−ガラクトシダーゼを用
い、パラニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシドを供
与体、N-アセチルグルコサミンを受容体として反応を行
う方法が述べられている。さらに、FriedrichZilliken
らは、ラクトースとN-アセチルグルコサミンを含む培地
中で、Lactobacillus bifidus菌を培養して、その培養
液中に蓄積する当該2糖を取り出す方法を述べている(F
riedrich Zilliken, et al, J. Biol, Chem., 217, 79-
82(1955))。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
方法はそれぞれ問題点があった。すなわち、特開平3-17
5990及び特開平3-49692記載の製造法は、ある―定の反
応時間までは、Galβ1-4GlcNAc(=N-アセチルラクトサ
ミン)とGalβ1-6GlcNAcとが9/1の割合で生成するが、
反応時間が長くなるにつれて、Galβ1-6GlcNAcの比率が
増加して、ついにはN-アセチルラクトサミンを逆転して
しまう。このため、反応時間を制御する必要がある。ま
た、特開平6-335395記載の製造法は、Galβ1-6GlcNAcの
比率は極めて少ないものの、酵素自体が高価であるた
め、大量のN-アセチルラクトサミンの工業的生産には適
さない。さらに、Friedrich Zillikenらの方法は、収率
が5.4%と極めて低く、実用的ではない。
方法はそれぞれ問題点があった。すなわち、特開平3-17
5990及び特開平3-49692記載の製造法は、ある―定の反
応時間までは、Galβ1-4GlcNAc(=N-アセチルラクトサ
ミン)とGalβ1-6GlcNAcとが9/1の割合で生成するが、
反応時間が長くなるにつれて、Galβ1-6GlcNAcの比率が
増加して、ついにはN-アセチルラクトサミンを逆転して
しまう。このため、反応時間を制御する必要がある。ま
た、特開平6-335395記載の製造法は、Galβ1-6GlcNAcの
比率は極めて少ないものの、酵素自体が高価であるた
め、大量のN-アセチルラクトサミンの工業的生産には適
さない。さらに、Friedrich Zillikenらの方法は、収率
が5.4%と極めて低く、実用的ではない。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来のN-
アセチルラクトサミンの酵素的合成法における種々の問
題点を解決し、しかも、機能性食品の材料として用いる
際に安全性の問題がないような酵素的合成法を鋭意研究
してきたが、Bifidobacterium属に属する菌に由来する
β−ガラクトシダーゼを用いることにより、これらの課
題を全て解決することを見出し、本発明を完成した。
アセチルラクトサミンの酵素的合成法における種々の問
題点を解決し、しかも、機能性食品の材料として用いる
際に安全性の問題がないような酵素的合成法を鋭意研究
してきたが、Bifidobacterium属に属する菌に由来する
β−ガラクトシダーゼを用いることにより、これらの課
題を全て解決することを見出し、本発明を完成した。
【0008】
【発明の実施の形態】すなわち、本発明は、フェニル-
β-D-ガラクトピラノシド誘導体又はβ-D-ガラクトピラ
ノシル化合物と、N-アセチルグルコサミンを非還元末端
に有する2糖又はN-アセチルグルコサミン又はN-アセチ
ルグルコサミニドとの存在下、Bifidobacterium属に属
する菌に由来するβ−ガラクトシダーゼを作用させて、
前記フェニル-β-D-ガラクトピラノシド誘導体又はβ-D
-ガラクトピラノシル化合物のガラクトース残基を、前
記N-アセチルグルコサミン又はN-アセチルグルコサミニ
ド又はN-アセチルグルコサミンを非還元末端に有する2
糖に転移させることを特徴とするN-アセチルラクトサミ
ン誘導体の製造法である。
β-D-ガラクトピラノシド誘導体又はβ-D-ガラクトピラ
ノシル化合物と、N-アセチルグルコサミンを非還元末端
に有する2糖又はN-アセチルグルコサミン又はN-アセチ
ルグルコサミニドとの存在下、Bifidobacterium属に属
する菌に由来するβ−ガラクトシダーゼを作用させて、
前記フェニル-β-D-ガラクトピラノシド誘導体又はβ-D
-ガラクトピラノシル化合物のガラクトース残基を、前
記N-アセチルグルコサミン又はN-アセチルグルコサミニ
ド又はN-アセチルグルコサミンを非還元末端に有する2
糖に転移させることを特徴とするN-アセチルラクトサミ
ン誘導体の製造法である。
【0009】本発明において、「N-アセチルラクトサミ
ン誘導体」とは、N-アセチルラクトサミン自体、及び、
構造中にGalβ1-4GlcNAc構造を有する化合物を意味す
る。例えば、ベンジルN-アセチルラクトサミン、パラニ
トロフェニルN-アセチルラクトサミン、Galβ1-4GlcNAc
β1-4GlcNAc、Galβ1-4GlcNAcβ1-2Man等が挙げられる
が、これらには限定されない。
ン誘導体」とは、N-アセチルラクトサミン自体、及び、
構造中にGalβ1-4GlcNAc構造を有する化合物を意味す
る。例えば、ベンジルN-アセチルラクトサミン、パラニ
トロフェニルN-アセチルラクトサミン、Galβ1-4GlcNAc
β1-4GlcNAc、Galβ1-4GlcNAcβ1-2Man等が挙げられる
が、これらには限定されない。
【0010】本発明方法によるN-アセチルラクトサミン
の反応収率は極めて高く、ガラクトースが2個結合したG
alβ1-4Galβ1-4GlcNAcまで含めると、60%以上の収率で
所望のオリゴ糖が合成される。また、反応時間に対する
厳密性が低く、反応時間が延長されても、β1-6結合の2
糖が急激に増加することはなく、むしろ、Galβ1-4GlcN
Acから別のGalβ1-4GlcNAcに転移したGalβ1-4Galβ1-4
GlcNAcが生成するという特徴がある。さらに、酵素の由
来が、腸内細菌であるBifidobacterium属に属する菌で
あるから、安全性に関しては全く問題がない。
の反応収率は極めて高く、ガラクトースが2個結合したG
alβ1-4Galβ1-4GlcNAcまで含めると、60%以上の収率で
所望のオリゴ糖が合成される。また、反応時間に対する
厳密性が低く、反応時間が延長されても、β1-6結合の2
糖が急激に増加することはなく、むしろ、Galβ1-4GlcN
Acから別のGalβ1-4GlcNAcに転移したGalβ1-4Galβ1-4
GlcNAcが生成するという特徴がある。さらに、酵素の由
来が、腸内細菌であるBifidobacterium属に属する菌で
あるから、安全性に関しては全く問題がない。
【0011】本発明におけるガラクトース残基供与体
は、フェニル-β-D-ガラクトピラノシド誘導体又はβ-D
-ガラクトピラノシル化合物である。フェニル-β-D-ガ
ラクトピラノシド誘導体としては、例えばパラニトロフ
ェニル-β-D-ガラクトピラノシド、フェニル-β-D-ガラ
クトピラノシドなどが挙げられるが、フェノール系の化
合物をアグリコンとして持つものであればよく、例えば
α-及びβ-異性体の混合物であってもα-異性体は未反
応のままで残るので何ら問題がない。また、β-D-ガラ
クトピラノシル化合物としては例えばラクトースやガラ
クトビオースが挙げられるが、非還元末端にガラクトー
ス残基が存在するものであれば何であってもよく、これ
らに限定されるものではない。
は、フェニル-β-D-ガラクトピラノシド誘導体又はβ-D
-ガラクトピラノシル化合物である。フェニル-β-D-ガ
ラクトピラノシド誘導体としては、例えばパラニトロフ
ェニル-β-D-ガラクトピラノシド、フェニル-β-D-ガラ
クトピラノシドなどが挙げられるが、フェノール系の化
合物をアグリコンとして持つものであればよく、例えば
α-及びβ-異性体の混合物であってもα-異性体は未反
応のままで残るので何ら問題がない。また、β-D-ガラ
クトピラノシル化合物としては例えばラクトースやガラ
クトビオースが挙げられるが、非還元末端にガラクトー
ス残基が存在するものであれば何であってもよく、これ
らに限定されるものではない。
【0012】本発明のガラクトース残基受容体は、N-ア
セチルグルコサミン又はN-アセチルグルコサミニド又は
N-アセチルグルコサミンを非還元末端に有する2糖であ
る。N-アセチルグルコサミニドとしては、例えばベンジ
ルN-アセチルグルコサミニド、パラニトロフェニルN-ア
セチルグルコサミニド等が挙げられるが、これらに限定
されるものではない。また、N-アセチルグルコサミンを
非還元末端に有する2糖としては、例えばキトビオース
又はGlcNAcβ1-2Man等が挙げられが、これらに限定され
るものではない。
セチルグルコサミン又はN-アセチルグルコサミニド又は
N-アセチルグルコサミンを非還元末端に有する2糖であ
る。N-アセチルグルコサミニドとしては、例えばベンジ
ルN-アセチルグルコサミニド、パラニトロフェニルN-ア
セチルグルコサミニド等が挙げられるが、これらに限定
されるものではない。また、N-アセチルグルコサミンを
非還元末端に有する2糖としては、例えばキトビオース
又はGlcNAcβ1-2Man等が挙げられが、これらに限定され
るものではない。
【0013】β−ガラクトシダーゼは、Bifidobacteriu
m属に属する菌に由来するものであれば何であってもよ
く、例えば実施例で用いているBifidobacterium bifidu
m及びBifidobacterium longumに由来するものが挙げら
れるが、これらに限定されない。また、β−ガラクトシ
ダーゼは、公知の方法でBifidobacterium属に属する菌
を培養し、その培養上清から単離・精製して使用しても
よいが、培養上清そのまま或いはその濃縮物を用いても
何ら差し支えない。
m属に属する菌に由来するものであれば何であってもよ
く、例えば実施例で用いているBifidobacterium bifidu
m及びBifidobacterium longumに由来するものが挙げら
れるが、これらに限定されない。また、β−ガラクトシ
ダーゼは、公知の方法でBifidobacterium属に属する菌
を培養し、その培養上清から単離・精製して使用しても
よいが、培養上清そのまま或いはその濃縮物を用いても
何ら差し支えない。
【0014】本発明の反応は、フェニル-β-D-ガラクト
ピラノシド誘導体又はβ-D-ガラクトピラノシル化合物
と、N-アセチルグルコサミンを非還元末端に有する2糖
又はN-アセチルグルコサミン又はN-アセチルグルコサミ
ニドとを、トリエチルフォスフェートを添加した緩衝液
中に溶解させて酵素反応を行わせることが好ましいが、
これらの反応基質を溶解させて酵素反応を行うことので
きる有機溶媒であれば何であってもよく、それらに各種
緩衝液に添加して反応を行うことができる。そのような
有機溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジ
メチルホルムアミド、アセトニトリルなどが挙げられる
が、これらには限定されない。
ピラノシド誘導体又はβ-D-ガラクトピラノシル化合物
と、N-アセチルグルコサミンを非還元末端に有する2糖
又はN-アセチルグルコサミン又はN-アセチルグルコサミ
ニドとを、トリエチルフォスフェートを添加した緩衝液
中に溶解させて酵素反応を行わせることが好ましいが、
これらの反応基質を溶解させて酵素反応を行うことので
きる有機溶媒であれば何であってもよく、それらに各種
緩衝液に添加して反応を行うことができる。そのような
有機溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジ
メチルホルムアミド、アセトニトリルなどが挙げられる
が、これらには限定されない。
【0015】酵素反応は、25〜40℃の酵素反応に適した
温度で、緩やかに攪拌しながら行うことが好ましい。
温度で、緩やかに攪拌しながら行うことが好ましい。
【0016】得られた反応生成物からN-アセチルラクト
サミン誘導体を単離・精製するには、各種のクロマトグ
ラフィーによる公知の精製法を用いればよく、特に限定
はないが、とりわけ活性炭カラムを用いることが好まし
い。
サミン誘導体を単離・精製するには、各種のクロマトグ
ラフィーによる公知の精製法を用いればよく、特に限定
はないが、とりわけ活性炭カラムを用いることが好まし
い。
【0017】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0018】実験例1(Bifidobacterium属由来のβ−
ガラクトシダーゼの調製)Bifidobacterium bifidum(Deutche Sammlung von Mikr
oorbanismen寄託番号20456)をBriggs liver Broth(ト
マ卜ジュース:400ml、ネオペプトン(Difco):15g、イ
ーストエキストラクト(Difco):6g、レバーエキストラ
クト:75ml、グルコース:20g、可溶性殿粉:0.5g、Twe
en80:1g、L-システイン:0.2g及び蒸留水:505mlを、p
H6.8に調整した)中で7日間嫌気条件下培養した。培養
液を6,000rpmで30分間遠心し菌体を除去した。この上清
中には、101ユニット/mlのβ−ガラクトシダーゼ活性が
含まれていた。
ガラクトシダーゼの調製)Bifidobacterium bifidum(Deutche Sammlung von Mikr
oorbanismen寄託番号20456)をBriggs liver Broth(ト
マ卜ジュース:400ml、ネオペプトン(Difco):15g、イ
ーストエキストラクト(Difco):6g、レバーエキストラ
クト:75ml、グルコース:20g、可溶性殿粉:0.5g、Twe
en80:1g、L-システイン:0.2g及び蒸留水:505mlを、p
H6.8に調整した)中で7日間嫌気条件下培養した。培養
液を6,000rpmで30分間遠心し菌体を除去した。この上清
中には、101ユニット/mlのβ−ガラクトシダーゼ活性が
含まれていた。
【0019】実験例2(β−ガラクトシダーゼの部分精
製) 実験例1で得られた上清6mlを、10mMのリン酸ナトリウ
ム緩衝液(pH7.4)に対して透析した。それをファルマ
シア社製Q-Sepharoseカラム(2.4cm×20cm)にアプライ
し、同緩衝液をべースとした食塩のグラジエント(0-1.
0M)により溶離した。流速は2ml/minで5mlずつのフラク
ションを集めた。β−ガラクトシダーゼ活性を含むフラ
クションを集めて濃縮した結果7mlの酵素液を得た。こ
の酵素液中のβ−ガラクトシダーゼ活性は176.8ユニッ
ト/mlであった。
製) 実験例1で得られた上清6mlを、10mMのリン酸ナトリウ
ム緩衝液(pH7.4)に対して透析した。それをファルマ
シア社製Q-Sepharoseカラム(2.4cm×20cm)にアプライ
し、同緩衝液をべースとした食塩のグラジエント(0-1.
0M)により溶離した。流速は2ml/minで5mlずつのフラク
ションを集めた。β−ガラクトシダーゼ活性を含むフラ
クションを集めて濃縮した結果7mlの酵素液を得た。こ
の酵素液中のβ−ガラクトシダーゼ活性は176.8ユニッ
ト/mlであった。
【0020】実施例1 145mgのパラニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシド
と320mgのN-アセチルグルコサミンとを、570μlの酢酸
ナトリウム緩衝液(pH5.0)、300μlのトリエチルフォ
スフェートに溶解し、これに実験例1で得られた培養上
清30μlを加えて37℃で反応を行った。7時間後、反応液
を100℃の熱水中で5分間加熱して酵素を失活させた。こ
の反応液を、直径2cm、長さ50cmの活性炭カラムに供
し、水−40%エタノールのグラジエントで溶離を行っ
た。各画分に含まれる還元糖をフェノール硫酸法で定量
し、これをプロットして得られたグラフを図1に示す。
この図に示されるように、ピークA、ピークB及びピーク
Cの3つのピークが認められ、これらの13C NMRスペクト
ルを測定したところ(図2)、ピークAはGalβ1-4GlcNA
c(N-アセチルラクトサミン)、ピークBはGalβ1-4Gal
β1-4GlcNAc、ピークCはGalβ1-4Galβ1-4Galβ1-4GlcN
Acであった。また、これらの各オリゴ糖の収量は、それ
ぞれ58.9mg(収率32.0%)、19.7mg(収率18.7%)及び4.
1mg(収率2.2%)であった。
と320mgのN-アセチルグルコサミンとを、570μlの酢酸
ナトリウム緩衝液(pH5.0)、300μlのトリエチルフォ
スフェートに溶解し、これに実験例1で得られた培養上
清30μlを加えて37℃で反応を行った。7時間後、反応液
を100℃の熱水中で5分間加熱して酵素を失活させた。こ
の反応液を、直径2cm、長さ50cmの活性炭カラムに供
し、水−40%エタノールのグラジエントで溶離を行っ
た。各画分に含まれる還元糖をフェノール硫酸法で定量
し、これをプロットして得られたグラフを図1に示す。
この図に示されるように、ピークA、ピークB及びピーク
Cの3つのピークが認められ、これらの13C NMRスペクト
ルを測定したところ(図2)、ピークAはGalβ1-4GlcNA
c(N-アセチルラクトサミン)、ピークBはGalβ1-4Gal
β1-4GlcNAc、ピークCはGalβ1-4Galβ1-4Galβ1-4GlcN
Acであった。また、これらの各オリゴ糖の収量は、それ
ぞれ58.9mg(収率32.0%)、19.7mg(収率18.7%)及び4.
1mg(収率2.2%)であった。
【0021】実施例2 145mgのパラニトロフェニル-β-D-ガラク卜ビラノシド
と320mgのN-アセチルグルコサミンとを530μ1の酢酸ナ
トリウム緩衝液(pH5.0)、300μlのトリエチルフォス
フェートに溶解し、これに実験例2の部分精製酵素170
μlを加えて37℃で反応を行った。1時間後、反応液を10
0℃の熱水中で5分間加熱して酵素を失活させた。得られ
た反応液のHPLCチャートを図3に示す。なお、HPLCの測
定は、試料をCapcell-pak NH2(資生堂社製)にアプラ
イし、UV(210nm)で検出しつつ、80%アセトニトリルにて
流速1ml/mlで溶離することにより行った。反応液から、
実施例1と同様にして活性炭カラムによりオリゴ糖画分
を単離したところ、53.7mgのGalβ1-4GlcNAcが得られた
(収率27%)。なお、本実施例では、2糖のみが得られ、
3糖は得られなかった。
と320mgのN-アセチルグルコサミンとを530μ1の酢酸ナ
トリウム緩衝液(pH5.0)、300μlのトリエチルフォス
フェートに溶解し、これに実験例2の部分精製酵素170
μlを加えて37℃で反応を行った。1時間後、反応液を10
0℃の熱水中で5分間加熱して酵素を失活させた。得られ
た反応液のHPLCチャートを図3に示す。なお、HPLCの測
定は、試料をCapcell-pak NH2(資生堂社製)にアプラ
イし、UV(210nm)で検出しつつ、80%アセトニトリルにて
流速1ml/mlで溶離することにより行った。反応液から、
実施例1と同様にして活性炭カラムによりオリゴ糖画分
を単離したところ、53.7mgのGalβ1-4GlcNAcが得られた
(収率27%)。なお、本実施例では、2糖のみが得られ、
3糖は得られなかった。
【0022】実施例3 145mgのパラニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシド
と320mgのN-アセチルグルコサミンとを700μlの酢酸ナ
トリウム緩衝液(pH5.0)、300μlのトリエチルフォス
フェートに溶解し、これにBifidobacterium longumの培
養上清5μl(30ユニット)を加えて37℃で反応を行っ
た。得られた反応液のHPLCチャートを図4に示す。な
お、HPLCは実施例2と同様の条件で測定した。反応液か
ら、実施例1と同様にして活性炭カラムによりオリゴ糖
画分を単離したところ、91.8mgの2糖が得られた(収率4
6.1%)。このHPLCチャートおよび13C NMRスペクトルか
ら、2糖画分のうち86%がN-アセチルラクトサミンである
ことが確認された。
と320mgのN-アセチルグルコサミンとを700μlの酢酸ナ
トリウム緩衝液(pH5.0)、300μlのトリエチルフォス
フェートに溶解し、これにBifidobacterium longumの培
養上清5μl(30ユニット)を加えて37℃で反応を行っ
た。得られた反応液のHPLCチャートを図4に示す。な
お、HPLCは実施例2と同様の条件で測定した。反応液か
ら、実施例1と同様にして活性炭カラムによりオリゴ糖
画分を単離したところ、91.8mgの2糖が得られた(収率4
6.1%)。このHPLCチャートおよび13C NMRスペクトルか
ら、2糖画分のうち86%がN-アセチルラクトサミンである
ことが確認された。
【0023】
【発明の効果】N-アセチルラクトサミンの酵素的合成法
において、Bifidobacterium属に属する菌に由来するβ
−ガラクトシダーゼを用いることにより、高い収率で目
的物が得られ、反応時間の制御が不要となる。しかも、
Bifidobacterium属に属する菌は腸内細菌であるため、
得られたN-アセチルラクトサミンを機能性食品の材料と
して用いる際に安全性の問題がない。また、本発明は、
N-アセチルラクトサミンのみならず、構造中にGalβ1-4
GlcNAc構造を有する化合物、例えば、ベンジルN-アセチ
ルラクトサミン、パラニトロフェニルN-アセチルラクト
サミン、Galβ1-4GlcNAcβ1-4GlcNAc、Galβ1-4GlcNAc
β1-2Man等の製造においても、N-アセチルラクトサミン
の製造の場合と同様の特徴を有し、産業上有用である。
において、Bifidobacterium属に属する菌に由来するβ
−ガラクトシダーゼを用いることにより、高い収率で目
的物が得られ、反応時間の制御が不要となる。しかも、
Bifidobacterium属に属する菌は腸内細菌であるため、
得られたN-アセチルラクトサミンを機能性食品の材料と
して用いる際に安全性の問題がない。また、本発明は、
N-アセチルラクトサミンのみならず、構造中にGalβ1-4
GlcNAc構造を有する化合物、例えば、ベンジルN-アセチ
ルラクトサミン、パラニトロフェニルN-アセチルラクト
サミン、Galβ1-4GlcNAcβ1-4GlcNAc、Galβ1-4GlcNAc
β1-2Man等の製造においても、N-アセチルラクトサミン
の製造の場合と同様の特徴を有し、産業上有用である。
Claims (7)
- 【請求項1】 フェニル-β-D-ガラクトピラノシド誘導
体又はβ-D-ガラクトピラノシル化合物と、N-アセチル
グルコサミンを非還元末端に有する2糖又はN-アセチル
グルコサミン又はN-アセチルグルコサミニドとの存在
下、Bifidobacterium属に属する菌に由来するβ−ガラ
クトシダーゼを作用させて、前記フェニル-β-D-ガラク
トピラノシド誘導体又はβ-D-ガラクトピラノシル化合
物のガラクトース残基を、前記N-アセチルグルコサミン
又はN-アセチルグルコサミニド又はN-アセチルグルコサ
ミンを非還元末端に有する2糖に転移させることを特徴
とするN-アセチルラクトサミン誘導体の製造法。 - 【請求項2】 フェニル-β-D-ガラクトピラノシド誘導
体が、パラニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシドで
ある請求項1記載のN-アセチルラクトサミン誘導体の製
造法。 - 【請求項3】 β-D-ガラクトピラノシル化合物がラク
トースである請求項1記載のN-アセチルラクトサミン誘
導体の製造法。 - 【請求項4】 N-アセチルグルコサミニドが、ベンジル
N-アセチルグルコサミニド、パラニトロフェニルN-アセ
チルグルコサミニドのいずれかである請求項1〜3記載
のN-アセチルラクトサミン誘導体の製造法。 - 【請求項5】 N-アセチルグルコサミンを非還元末端に
有する2糖が、キトビオース又はGlcNAcβ1-2Manである
請求項1〜4記載のN-アセチルラクトサミン誘導体の製
造法。 - 【請求項6】 Bifidobacterium属に属する菌が、Bifid
obacterium bifidum及びBifidobacterium longumのいず
れかである、請求項1〜5記載のN-アセチルラクトサミ
ン誘導体の製造法。 - 【請求項7】 N-アセチルラクトサミン誘導体が、N-ア
セチルラクトサミン、ベンジルN-アセチルラクトサミ
ン、パラニトロフェニルN-アセチルラクトサミン、Gal
β1-4GlcNAcβ1-4GlcNAc、Galβ1-4GlcNAcβ1-2Manから
なる群から選ばれたものである、請求項1〜6記載のN-
アセチルラクトサミン誘導体の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19853796A JPH1023898A (ja) | 1996-07-10 | 1996-07-10 | N−アセチルラクトサミン誘導体の新規な製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19853796A JPH1023898A (ja) | 1996-07-10 | 1996-07-10 | N−アセチルラクトサミン誘導体の新規な製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1023898A true JPH1023898A (ja) | 1998-01-27 |
Family
ID=16392810
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19853796A Pending JPH1023898A (ja) | 1996-07-10 | 1996-07-10 | N−アセチルラクトサミン誘導体の新規な製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1023898A (ja) |
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001245690A (ja) * | 2000-03-03 | 2001-09-11 | Yakult Honsha Co Ltd | グリコシドまたはオリゴ糖の製造方法 |
JP2006182665A (ja) * | 2004-12-27 | 2006-07-13 | Yaizu Suisankagaku Industry Co Ltd | 免疫賦活組成物及び該免疫賦活組成物を含有する乳製品 |
JP2006211938A (ja) * | 2005-02-02 | 2006-08-17 | Okumoto Seifun Kk | アラビノガラクタン分解酵素及びその製造方法並びに当該酵素によるガラクトビオースの製造方法 |
JP2007197371A (ja) * | 2006-01-26 | 2007-08-09 | Yaizu Suisankagaku Industry Co Ltd | 美肌促進剤及び美容健康食品 |
JP2007246426A (ja) * | 2006-03-15 | 2007-09-27 | Shinshu Univ | N−アセチルグルコサミンの誘導体を含有するピロリ菌増殖抑制剤 |
US7883874B2 (en) | 2003-06-30 | 2011-02-08 | Clasado Inc. | Galactooligosaccharide composition and the preparation thereof |
US8030049B2 (en) | 2006-01-31 | 2011-10-04 | Clasado Inc. | Galactosidase with α-galactosyltransferase activity |
US8058047B2 (en) | 2005-12-20 | 2011-11-15 | Clasado, Inc. | α-galactosidase with transgalactosylating activity |
US8168414B2 (en) | 2006-03-28 | 2012-05-01 | Clasado Inc. | Beta-galactosidase with transgalactosylating activity |
US11065268B2 (en) | 2009-05-27 | 2021-07-20 | Clasado Research Services Limited | Method of preventing diarrhoea |
-
1996
- 1996-07-10 JP JP19853796A patent/JPH1023898A/ja active Pending
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001245690A (ja) * | 2000-03-03 | 2001-09-11 | Yakult Honsha Co Ltd | グリコシドまたはオリゴ糖の製造方法 |
US7883874B2 (en) | 2003-06-30 | 2011-02-08 | Clasado Inc. | Galactooligosaccharide composition and the preparation thereof |
JP2006182665A (ja) * | 2004-12-27 | 2006-07-13 | Yaizu Suisankagaku Industry Co Ltd | 免疫賦活組成物及び該免疫賦活組成物を含有する乳製品 |
JP2006211938A (ja) * | 2005-02-02 | 2006-08-17 | Okumoto Seifun Kk | アラビノガラクタン分解酵素及びその製造方法並びに当該酵素によるガラクトビオースの製造方法 |
US8058047B2 (en) | 2005-12-20 | 2011-11-15 | Clasado, Inc. | α-galactosidase with transgalactosylating activity |
JP2007197371A (ja) * | 2006-01-26 | 2007-08-09 | Yaizu Suisankagaku Industry Co Ltd | 美肌促進剤及び美容健康食品 |
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JP2007246426A (ja) * | 2006-03-15 | 2007-09-27 | Shinshu Univ | N−アセチルグルコサミンの誘導体を含有するピロリ菌増殖抑制剤 |
US8168414B2 (en) | 2006-03-28 | 2012-05-01 | Clasado Inc. | Beta-galactosidase with transgalactosylating activity |
US11065268B2 (en) | 2009-05-27 | 2021-07-20 | Clasado Research Services Limited | Method of preventing diarrhoea |
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