JP2006179741A - 電子部品及びその製造方法、電子部品付き配線基板 - Google Patents

電子部品及びその製造方法、電子部品付き配線基板 Download PDF

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Abstract

【課題】誘電体部に対する密着性に優れた電子部品を提供することにある。
【解決手段】本発明の電子部品10は、金属電極層11,31と誘電体部41とを備える。誘電体部41を構成する誘電体層21の表面上には、表面粗さRaが0.2μmよりも大きくて、有効厚みが10μm以下であるアンカー層55,56が形成されている。従って、金属電極層11,31と誘電体部41との密着性が改善される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、誘電体層とアンカー層とからなる誘電体部を備える電子部品及びその製造方法、電子部品付き配線基板に関するものである。
近年における電子機器の高性能化や小型化の要求は高く、このような要求が高まるにつれて電子部品の高密度化や高機能化に対する要求も確実に高くなってきている。それゆえ、配線基板における電子部品の実装効率を上げるために、例えば、インダクタ、コンデンサ、抵抗などの電子部品(受動部品)を内蔵した構造の配線基板などが各種提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
特許文献1においては、例えば、支持体層、金属層、高誘電率材料からなる受動部品形成層、金属層を順次積層配置した構造の電子部品(即ち薄膜コンデンサ)が開示されるとともに、この電子部品を内蔵した配線基板が開示されている。また、特許文献1には、支持体層側の金属層に対して受動部品形成層を形成する方法として、例えば、高誘電率フィラーを充填・分散させた樹脂をシート状に硬化成形する方法、ゾルゲル法により無機化合物を層状に析出させる方法、溶射法などにより無機化合物の層を成膜する方法などが開示されている。また、デスミア処理を施して表面粗化を行った後にめっき等を行うことで、受動部品形成層の表面上に銅めっきからなる別の金属層を形成することも開示されている。
また、非特許文献1には、チタン酸バリウム表面にめっきを形成する際にアンカー効果による密着性を確保するため、酸系薬液を用いたエッチング処理を施して表面粗化を行うことが開示されている。
特開平2002−9416号公報(図1等) 岡村ら 著 「無電解めっきの応用」、槇書店(1991)
ところで、一般的に金属−セラミック間の化学的結合性は低いため、金属層とセラミック等からなる誘電体層との界面の密着性は低く、しばしば当該界面にて剥離が生じやすい。よって、この場合には、電子部品に高い信頼性を付与することができない。
その点、上記従来技術では密着性改善のために薬液を用いてセラミック表面の粗化処理を行っているが、このような処理では密着性を改善しうる好適な粗さの表面、ひいては好適な形状のアンカー層の形成は実際上困難である。
即ち、電子部品がコンデンサ等であるような場合、そもそも誘電体層となるセラミック層は非常に薄い。よって、十分なアンカー効果が得られるような処理条件を設定してエッチング処理を行うと、セラミック層にショートパスが形成されてしまう。なお、セラミック表面は一様にエッチされるわけではなく脆弱な箇所から優先的にエッチされるため、最大エッチング深さのコントロールはかなり難しい。ゆえに、十分なアンカー効果を得つつ確実に絶縁を確保しようとすると、誘電体層をかなり厚くしなければならず、部品全体が厚くなる。しかも、この場合にはコンデンサの静電容量の低下につながってしまう。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、誘電体部に対する密着性に優れた電子部品、電子部品付き配線基板を提供することにある。また、本発明の別の目的は、上記の優れた電子部品を、全体の厚肉化や絶縁性の低下を伴うことなく、比較的容易に得ることができる電子部品の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するための手段(手段1)としては、誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一方の表面上に形成されかつ複数のアンカー部を有するアンカー層とからなる誘電体部を備えた電子部品であって、前記アンカー層は、表面粗さRaが0.2μmよりも大きくて、有効厚みが10μm以下であることを特徴とする電子部品がある。
従って、上記手段1の電子部品によると、誘電体層の表面上に好適なアンカー層を備えた状態となっている。このため、誘電体層とアンカー層とからなる誘電体部と、他層(電極となる金属層など)との界面に、化学的結合力のみならず物理的結合力が働き、誘電体部に対する他層の密着性が改善される。よって、信頼性に優れた電子部品を実現することができる。
上記電子部品において、アンカー層の表面粗さRaは、0.2μmよりも大きくなるように設定される。その理由は、アンカー層の表面粗さRaがこの値以下であると、密着性改善につながる好適なアンカー層とはならず、十分な物理的密着力が得られないからである。アンカー層の表面粗さRaは、好ましくは0.25μmよりも大きく、より好ましくは0.3μmよりも大きく設定される。なお、当然ながら、アンカー層の表面粗さRaは、アンカー層の有効厚みを超えることはない。ここで、本明細書で述べられている表面粗さRaの定義はJIS B0601に、その測定方法はJIS B0651に準じるものとする。
また、アンカー層の有効厚みは10μm以下(ただし0μmは除く)に設定され、好ましくは5μm以下(ただし0μmは除く)、より好ましくは3μm以下(ただし0μmは除く)に設定される。その理由は、アンカー層が厚くなりすぎると、アンカー層の底部まで他層が入り込まないため、十分な物理的密着力が得られないからである。さらに、電子部品全体の厚肉化につながってしまうからである。また、アンカー層が誘電体であるとすると、誘電体層の厚さが実質的に増えてしまう。よって、例えば電子部品がコンデンサ等の場合に、静電容量の低下につながってしまうからである。前記アンカー層の有効厚みは、好ましくは0.5μm以上、特に好ましくは1μm以上に設定される。その理由は、アンカー層が薄すぎると、好適な表面粗さRaを実現しにくくなるからである。ここでアンカー層の有効厚みとは、厚み方向に垂直なアンカー層のプロファイルに関してJIS B0601で定義される山と谷がそれぞれ10点以上含まれる任意の断面領域における、最大山高さと最大谷深さとの和を指すものとする。
誘電体層が第1主面及びその反対側にある第2主面を有している場合、アンカー層は、第1主面及び第2主面の少なくとも一方に形成される。
上記電子部品を構成する誘電体層とは、誘電率の高い無機物(例えば誘電体セラミックなど)を主成分とする層のことをいう。ここで誘電体セラミックとは、誘電率が高いセラミック(比誘電率が10以上のセラミックと定義する。)のことをいい、例えば、ペロブスカイト型結晶構造を有した複合酸化物がこれに該当する。かかる複合酸化物の具体例としては、例えば、チタン酸バリウム、チタン酸鉛及びチタン酸ストロンチウムから選択される1種または2種以上にて構成された化合物を挙げることができる。
誘電体層の厚さは、例えば0.01μm以上10μm以下であることがよく、好ましくは0.1μm以上5μm以下であることがよい。例えば、電子部品がコンデンサである場合、誘電体層が薄いことは高容量化にとって好ましいが、その反面でこれが薄くなりすぎると、絶縁を確保しにくくなるおそれがあるからである。一方、誘電体層が厚くなりすぎると、高容量化の達成が困難になるばかりでなく、部品全体の厚さが厚くなるおそれがあり、柔軟性の欠如に起因して取扱性が低下するおそれもあるからである。
上記電子部品は、誘電体層とアンカー層とからなる誘電体部を備えるばかりでなく、前記アンカー層の表面上に金属層をさらに備えていてもよい。この構成によると、他層である金属層が誘電体部に対して密着した状態の電子部品とすることができる。
このような金属層は、電子部品の片面側(第1主面側、第2主面側のいずれか一方)に配置されていてもよいほか、両面側(第1主面側及び第2主面側の両方)に配置されていてもよい。また、ここでいう電子部品とは、電子部品の完成品のみを指すのではなく、電極となる金属層を後で形成する(例えば配線基板への実装後に形成する)ことではじめて完成する構成部品も含むものとする。勿論、上記電子部品における誘電体層は、1層のみであってもよいほか、2層以上であってもよい。
上記電子部品の好適例としては、金属層と誘電体部とを積層してなる積層電子部品を挙げることができ、その具体例としてはコンデンサなどがある。電子部品全体の厚さは特に限定されないが、例えば1μm以上100μm以下であることがよく、好ましくは5μm以上75μm以下であることがよい。全体の厚さが薄すぎると、部品単体として取り扱うことが困難になる。一方、全体の厚さが厚すぎると、配線基板の高密度化や小型化の達成を阻害するおそれがある。また、電子部品を配線基板に内蔵させる場合には、段差が発生しやすくなるため、基板表面の平滑性を確保しにくくなるおそれがある。
アンカー層を構成する材料としては特に限定されないが、無機物であることが好ましく、例えば、セラミックなどがある。
また、アンカー層の材料として使用可能なセラミック材料としては、例えば、アルミナ、窒化珪素、窒化ほう素、炭化珪素、窒化アルミニウム、窒化珪素、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸亜鉛、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、チタン酸ストロンチウムなどのセラミックがある。この場合、誘電体層を構成する無機物材料と実質的に同じ材料を選択することが好ましい。その理由は、誘電体層を構成する無機物材料とは異なる材料を選択した場合に比べて、より強固な化学的結合性が得られるため、確実に密着性を向上できるからである。
なお「誘電体層と実質的に同じ無機物材料」とは、誘電体層を構成する無機物と成分が全く同じ無機物材料のことをいうほか、誘電体層を構成する無機物と主成分が共通している無機物材料なども含むものとする。従って、誘電体層が例えばチタン酸バリウムを主成分とする場合、アンカー層を構成する無機物はチタン酸バリウムを主成分として含むものであることが好適ということになる。
アンカー層は微小なアンカー部を多数有しているとともに、各々のアンカー部は部分的に誘電体層側に連結しているものもある。アンカー層における各々のアンカー部間には空隙が存在している。そして、誘電体部表面上に他層(例えば金属層)を積層配置した場合には、アンカー部間の空隙に対して当該他層の一部が入り込み、アンカー層と当該他層とが嵌合した状態となる。その結果、誘電体部と当該他層との間に強固な物理的結合力が得られ、より確実に密着性を向上することができる。なお、アンカー部は、複数の無機物粉が凝集して形成されたものであることがよく、この場合にはその形状が好適なものとなる。よって、嵌合性が高くなり、強固な物理的結合力を得やすくなる。
アンカー層におけるアンカー部の平均粒径は前記アンカー層の有効厚みの1/15以上とされていることがよい。無機物の平均粒径が小さすぎると、好適な形状のアンカー部が形成されにくくなり、他層との嵌合性を高くすることが困難になるからである。一方、アンカー層におけるアンカー部の平均粒径は前記アンカー層の有効厚み以下とされていることがよく、特に好ましくは1/2以下に設定されることが好ましい。金属層と誘電体部との密着のためには、アンカー層におけるアンカー部が金属層に入り込んだ形状(オーバーハングした形状)であることが好ましく、そのような形状とするためには、アンカー層の厚み方向に粒子が複数必要となるからである。
アンカー層における無機物の平均粒径は0.3μm以上、好ましくは0.5μm以上であることがよい。なお、アンカー層において好適な形状のアンカー部を確実にかつ均一に得るためには、無機物の平均粒径及び金属の平均粒径がいずれもアンカー層の厚さ以下であることが好ましい。
ここで、アンカー層の厚み方向から見たときのアンカー層面積にアンカー層有効厚みをかけた体積を100としたとき、アンカー層を構成する無機物結晶の量は、5体積%以上80体積%以下であることが好ましい。その理由は、無機物結晶の量が多すぎても少なすぎても、十分な密着性が得られなくなるおそれがあるからである。ここで密着性の向上のみを考慮すれば、空隙及び無機物結晶の体積比は50体積%前後の値が好ましいはずであるが、電子部品がコンデンサである場合に無機物結晶の量が多くなると、高容量化を阻害するおそれがある。また、空隙に比べて無機物結晶の体積比が多くなると、電子部品がセラミックに近い挙動を示すようになる結果、柔軟性が損なわれて取扱性が低下するおそれがある。以上のことを考慮すると、アンカー層を構成する無機物結晶の体積比は空隙の体積比よりも少ないことが好ましく(即ち50体積%より少ないことが好ましく)、特には15体積%以上45体積%以下であることが好ましい。無機物結晶の体積比をこのような範囲内にて設定すれば、好適な電気的特性や機械的特性を維持しつつ高い密着性を得ることができる。
上記電子部品が金属電極層を備える場合、金属電極層は導電性に優れた材料を用いて形成されることが好ましく、具体的には、銀、金、白金、銅、チタン、アルミニウム、パラジウム、ニッケル、タングステン等から選択される1種または2種以上の合金を用いて形成されることがよい。焼成工程を経た金属層を金属電極層として使用するような場合、金属電極層の形成用材料として例えばニッケルを用いることが好ましい。ニッケルは比較的安価な材料であることに加え、比較的融点が高いため高誘電率セラミックとの同時焼結が可能だからである。また、焼成工程を経た金属層を金属電極層として使用しないような場合、金属電極層の形成用材料として例えば銅や銀を用いることが好ましい。銅や銀は高い導電性を有しており、電極用材料として好適だからである。
金属電極層の厚さは、例えば0.1μm以上50μm以下であることがよい。金属電極層が薄すぎると、電気的信頼性を確保しにくくなるおそれがあるからである。一方、金属電極層が厚くなりすぎると、部品全体の厚さが厚くなるおそれがあるからである。その点、0.1μm以上50μm以下の範囲内で厚さを設定すれば、電気的信頼性を確保しつつ部品全体の厚肉化を防止することができる。さらに、金属電極層の厚さは0.2μm以上20μm以下であることがより好ましい。この範囲内で厚さを設定すれば、さらに金属電極層の表面にアンカー層の凹凸の影響を及ぼすことができ、金属電極層の表面粗さを大きくすることが可能となる。
この場合、金属電極層は表面粗さRaが0.2μmよりも大きくなるように設定されることが好適である。その理由は、金属電極層が誘電体部のアンカー層以外の層(例えば配線基板における樹脂絶縁層や導体層など)と接しているような場合、その層との密着性の改善につながるからである。
金属電極層の例としては、めっき層、金属ペースト層、金属箔貼付層、スパッタリング層、蒸着層、イオンプレーティング層などが挙げられるが、これらの中でもめっき層が好適である。めっき層はアンカー層との嵌合性がよく、高い密着力が得やすいからである。
上記課題を解決するための別の手段(手段2)としては、手段1に記載の電子部品を有する電子部品付き配線基板がある。
従って、この手段2にかかる電子部品付き配線基板における電子部品は、誘電体層の表面上に好適なアンカー層を備えた状態となっている。このため、誘電体層とアンカー層とからなる誘電体部と、他層(電極となる金属層など)との界面に、化学的結合力のみならず物理的結合力が働き、誘電体部に対する他層の密着性が改善される。よって、電子部品の信頼性が高くなり、結果として高信頼性の電子部品付き配線基板を得ることができる。
上記配線基板は、例えばコア基板上に絶縁層及び導体層を形成した構成を有している。コア基板の形成材料については特に限定されず、コスト性、加工性、絶縁性、機械的強度などを考慮して適宜選択することができる。コア基板としては、例えば、樹脂基板、セラミック基板、金属基板などが挙げられる。樹脂基板の具体例としては、EP樹脂(エポキシ樹脂)基板、PI樹脂(ポリイミド樹脂)基板、BT樹脂(ビスマレイミド−トリアジン樹脂)基板、PPE樹脂(ポリフェニレンエーテル樹脂)基板などがある。そのほか、これらの樹脂とガラス繊維(ガラス織布やガラス不織布)やポリアミド繊維等の有機繊維との複合材料からなる基板を使用してもよい。あるいは、連続多孔質PTFE等の三次元網目状フッ素系樹脂基材にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させた樹脂−樹脂複合材料からなる基板等を使用してもよい。前記セラミック基板の具体例としては、例えば、アルミナ基板、ベリリア基板、ガラスセラミック基板、結晶化ガラス等の低温焼成材料からなる基板などがある。前記金属基板の具体例としては、例えば、銅基板や銅合金基板、銅以外の金属単体からなる基板、銅以外の金属の合金からなる基板などがある。
コア基板上に形成される好適な絶縁層としては、樹脂絶縁層を挙げることができる。その理由は、樹脂製の絶縁層は電子部品の支持体として好ましいため、例えば電子部品を埋め込んだ構造を実現しやすくなるからである。樹脂絶縁層は、例えば、EP樹脂(エポキシ樹脂)、PI樹脂(ポリイミド樹脂)、BT樹脂(ビスマレイミド−トリアジン樹脂)、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂を用いて形成される。
導体層は、サブトラクティブ法、セミアディティブ法、フルアディティブ法などといった公知の手法によって、コア基板上や絶縁層上にパターン形成される。導体層の形成に用いられる金属材料の例としては、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、スズ、スズ合金などが挙げられる。なお、コア基板の片面または両面に、導体層と絶縁層とが交互に積層されてなるビルドアップ層が形成されていてもよい。
上記電子部品付き配線基板において、電子部品は、配線基板の表面にて露出した状態で実装されていてもよく、配線基板の内部に埋め込まれた状態で実装されていてもよい。後者の実装態様を採る場合には、電子部品をコア基板内に埋め込む構造、電子部品をコア基板と絶縁層との間に埋め込む構造、電子部品を絶縁層内に埋め込む構造のいずれにしてもよい。この場合、併せて他の部品である抵抗素子やインダクタ等を配線基板の内部に埋め込むようにしてもよい。
なお、前者の実装態様と比較した場合の後者の実装態様の利点としては、以下のようなことがある。例えば、当該電子部品が配線基板内に埋め込まれた結果、配線基板表面上の部品実装可能領域が増えるため、そこに他の電子部品を実装することが可能となる。ここで、上記の他の電子部品としては、例えば、半導体集積回路チップ、チップトランジスタ、チップダイオード等の能動部品や、チップ抵抗、チップコンデンサ、チップインダクタ、チップコイル等の受動部品を挙げることができる。
上記課題を解決するための別の手段(手段3)としては、誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一方の表面上に形成されかつ複数のアンカー部を有するアンカー層とからなる誘電体部を備え、前記アンカー層は、表面粗さRaが0.2μmよりも大きくて、有効厚みが10μm以下である電子部品の製造方法であって、前記誘電体層となるべき未焼結誘電体層上に、金属粉と無機物粉とを含有する混合層形成用層を配置する層配置工程と、前記混合層形成用層を加熱して焼結させることにより、金属と無機物とが混在する混合層を形成する焼成工程と、前記混合層から金属を選択的に除去して、無機物からなるアンカー層を露出させる金属除去工程とを含むことを特徴とする電子部品の製造方法がある。
従って、この手段3にかかる製造方法によると、層配置工程で未焼結誘電体層上に混合層形成用層を配置した後、焼成工程でその混合層形成用層を焼結させることにより、金属と無機物とが混在する混合層が形成される。混合層においては焼結により形成された誘電体層側に連結する無機物からなるアンカー層の空隙に金属が入り込んだ状態となっており、逆に、無機物からなるアンカー層が金属に入り込んでいると見なすこともできる。次いで、金属除去工程で混合層から金属を選択的に除去することにより、無機物からなり、所望の表面粗さを有するアンカー層を露出させることができる。よって、この製造方法によれば、上記の優れた電子部品を比較的容易に得ることができる。
また、従来方法では薬液を用いて表面粗化処理を行うため誘電体層側への浸食を伴うが、この製造方法によると一旦誘電体層の表面上に混合層を配置しその一部を除去するので、誘電体層側への浸食を何ら伴わない。そのため、全体の厚肉化や絶縁性の低下を伴うことなく、確実に所望のアンカー層を形成することができる。
以下、上記手段3にかかる電子部品の製造方法について説明する。
層配置工程では、誘電体層となるべき未焼結誘電体層上に、金属粉と無機物粉とを含有する混合層形成用層を配置する。誘電体層となるべき未焼結誘電体層としては、例えば、誘電体粉を含有する未焼結誘電体層形成用ペーストを材料として用いて、これを塗布及び乾燥して形成されたものなどが用いられる。誘電体粉としては、上述したチタン酸バリウム、チタン酸鉛及びチタン酸ストロンチウムから選択される1種または2種以上にて構成された化合物などが、好適である。このほか、誘電体粉を含有するグリーンシート(未焼結誘電体グリーンシート)を未焼結誘電体層として用いてもよい。このような未焼結誘電体グリーンシートは、誘電体粉を含有するスラリーをシート状にキャスティングする手法により比較的簡単に得ることができる。この手法の利点は、ペーストを用いた手法に比べて、薄くて均一な厚さの誘電体層が効率よく得られることにある。よって、ショート不良やキャパシタンスのばらつきの低減を達成しやすくなる。
次に、必要に応じて脱脂工程を行った後、焼成工程を行う。焼成工程では、混合層形成用層を加熱して焼結させる。その結果、複数の金属粉同士が凝集してできる金属と、複数の無機物粉同士が凝集してできる無機物とが混在する混合層を形成する。
次に、金属除去工程を行って、混合層から金属を選択的に除去し、無機物からなるアンカー層を露出させる。混合層から金属を選択的に除去する手法としては、例えば、エッチング処理等のような化学的な方法が好適である。エッチング処理によれば、金属を除去する際にアンカー層に物理的なストレスが加わらないため、除去後においても好適なアンカー形状を維持することができる。そして、このことは密着性の改善にとって好ましいと考えられる。
金属除去工程の後、さらに無機物からなるアンカー層の表面上に金属層(金属電極層)を成膜する成膜工程を行うようにしてもよい。成膜の方法としては、めっき、金属ペーストの印刷焼成、金属箔の貼付、スパッタリング、蒸着、イオンプレーティングなどが挙げられる。0.1μm以上10μm以下という極めて薄層の金属電極層を形成したいような場合には、特に、めっき、スパッタリング、CVD、PVD、イオンプレーティング等の手法を選択することが好ましい。そして、これらの手法により形成された金属電極層は、好適な表面粗さを備えたものとなりやすい。また、金属電極層を形成するにあたり、スパッタリング等のような成膜法よりも、めっきや蒸着等のような成膜法を採用することが好ましい。一般的にスパッタリング等では金属が一方向(ターゲットの方向に向かって)堆積しやすいのに対し、めっきや蒸着等では基材凹凸への金属の回り込みが容易に生じる。よって、後者の成膜法のほうが、入り組んだ形状のアンカー層に確実に金属薄膜を形成するのに適しているからである。従って、この場合には金属電極層とアンカー層との嵌合性がよくなり、両者間に高い密着力を付与することが可能となる。なお、化学的成膜法のなかでもめっき法によれば、大量の処理が可能となるため、電子部品の低コスト化に有利となる。
上記課題を解決するための別の手段(手段4)としては、誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一方の表面上に形成されかつ複数のアンカー部を有するアンカー層とからなる誘電体部を備え、前記アンカー層は、表面粗さRaが0.2μmよりも大きくて、有効厚みが10μm以下である電子部品の製造方法であって、粗化された表面を有するアンカー層形成用金属体上に前記誘電体層となるべき未焼結誘電体層を形成する未焼結誘電体層形成工程と、前記未焼結誘電体層を加熱して焼結させることにより、誘電体からなるアンカー層を表面に備える前記誘電体層を形成する焼成工程と、前記アンカー層形成用金属体を除去して前記アンカー層を露出させる金属除去工程とを含むことを特徴とする電子部品の製造方法がある。
また、上記課題を解決するための別の手段(手段5)としては、誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一方の表面上に形成されかつ複数のアンカー部を有するアンカー層とからなる誘電体部を備え、前記アンカー層は、表面粗さRaが0.2μmよりも大きくて、有効厚みが10μm以下である電子部品の製造方法であって、粗化された表面を有するアンカー層形成用金属箔上に前記誘電体層となるべき未焼結誘電体層を形成する未焼結誘電体層形成工程と、前記未焼結誘電体層を加熱して焼結させることにより、誘電体からなるアンカー層を表面に備える前記誘電体層を形成する焼成工程と、前記アンカー層形成用金属箔を引き剥がして前記アンカー層を露出させる金属除去工程とを含むことを特徴とする電子部品の製造方法がある。
そして、これらの手段4,5にかかる製造方法によると、誘電体からなるアンカー層を誘電体層表面に備える誘電体部の形成後、金属除去工程を行うことにより、所望の表面粗さを有するアンカー層を露出させることができる。よって、手段4,5にかかる製造方法によれば、上記の優れた電子部品を比較的容易に得ることができる。また、手段4,5にかかる製造方法では、アンカー層の形成にあたり誘電体層側への浸食を何ら伴わないため、全体の厚肉化や絶縁性の低下を伴うことなく、確実に所望のアンカー層を形成することができる。なお、手段5にかかる製造方法では、箔状の金属体(金属箔)をアンカー層形成のために用いていることから、金属除去工程における引き剥がしを行いやすいという利点がある。
なお、アンカー層形成用金属体の表面を粗化する方法としては、サンドブラスト、ショットブラスト、超音波による砥粒衝突法、バフ研磨といった砥粒加工等や、スクラッチ加工等のような物理的粗化方法があるほか、エッチング処理等のような化学的粗化方法がある。これらの方法は、いずれもアンカー層形成用金属体の表面の一部を除去する方法であるが、逆にアンカー層形成用金属体の表面に金属粒子を微視的にまばらに付着させることにより、粗化を行ってもよい。また、金型を用いた粗面転写加工等により粗化を行ってもよい。
[第1の実施形態]
以下、本発明を具体化した第1実施形態のセラミックコンデンサ内蔵配線基板及びその製造方法を図1〜図9に基づき説明する。
図1に示されるように、このセラミックコンデンサ内蔵配線基板71は、ガラスエポキシからなるコア基板72上に、ビルドアップ層73を形成してなるものである。ビルドアップ層73は、同じくエポキシ樹脂からなる樹脂絶縁層81,82,83,84(いわゆる層間絶縁層)を4層備えている。コア基板72と樹脂絶縁層81との界面には、銅からなる導体層90がパターン形成されている。樹脂絶縁層81,82,83,84同士の界面には、銅からなる導体層91,92,93がパターン形成されている。また、最表層の樹脂絶縁層84の表面上における複数箇所には、銅にニッケル−金めっきを被覆した端子パッド94が形成されている。樹脂絶縁層81,82,83,84内には、それぞれビア導体96が設けられている。これらのビア導体96のほとんどは同軸上に配置されるとともに、それらを介して導体層91,92,93及び端子パッド94が相互に電気的に接続されている。
ビルドアップ層73の内部(具体的には第1層の樹脂絶縁層81と第2層の樹脂絶縁層82との界面)には、図2に示すセラミックコンデンサ10(電子部品)が、埋め込んだ状態で実装されている。本実施形態のセラミックコンデンサ10はチタン酸バリウムからなる誘電体層21を備えている。誘電体層21の第1主面117の全域、及び誘電体層21の第2主面118の全域には、同じくチタン酸バリウムからなるアンカー層55,56が形成されている。Tそして、第1主面117側の無機物アンカー層55上には銅めっきからなる第1金属電極層11が形成され、第2主面118側の無機物アンカー層56上には銅めっきからなる第2金属電極層31が形成されている。
本実施形態では、誘電体層21の厚さは約4μmに設定されている。この誘電体層21は、厚さばらつきが±0.5μm程度であって、比較的均一な厚さを有している。無機物アンカー層46,47の有効厚みは約3μmに設定されるとともに、誘電体粒子の平均粒径が約0.5μmであって、表面粗さRaが0.3μm〜0.5μm程度に設定されている。無機物アンカー層46,47を構成する誘電体の量は約30体積%となっている。また、第1金属電極層11及び第2金属電極層31の厚さは約1μmに設定されている。このため、セラミックコンデンサ10の全体の厚さは、約10μm〜12μm程度であって、極めて薄くなっている。
図1に示されるように、第1金属電極層11は配線基板実装時に上向きの状態となるため、第2層の樹脂絶縁層82内にあるビア導体96に電気的に接続されている。一方、第2金属電極層31は配線基板実装時に下向きの状態となるため、第1層の樹脂絶縁層81内にあるビア導体96に電気的に接続されている。
そして、このような構成のセラミックコンデンサ10に通電を行い、第1金属電極層11−第2金属電極層31間に所定の電圧を加えると、一方の電極にプラスの電荷が蓄積し、他方の電極にマイナスの電荷が蓄積するようになっている。
次に、このセラミックコンデンサ10の製造方法を図3〜図8に基づいて説明する。
(1)未焼結誘電体グリーンシート22の作製
まず以下の手順で誘電体スラリーを調製した。平均粒径0.7μmのチタン酸バリウム粉末(誘電体粉)、エタノールとトルエンとの混合溶剤、分散剤、可塑剤、有機バインダをポットで湿式混合することにより、未焼結誘電体グリーンシート22を形成する際の出発材料となる誘電体スラリーを得る。このとき、各成分の配合比率を適宜変更することにより、誘電体スラリーを約0.5Pa・sの粘度(リオン株式会社製ビスコテスター VT−04型粘度計 No.1ロータ 62.5rpm 1分値 25℃で測定した粘度をいう。)に調製する。次に、この誘電体スラリーを用いて未焼結誘電体グリーンシート22の形成を以下のように行う。即ち、所定幅のPETフィルムのロールを用意して、このロールをキャスティング装置の供給側にセットし、ドクターブレード法やリップコーティングなどの従来周知の手法によりPETフィルムの上面に誘電体スラリーを薄く均一な厚さでキャスティング(塗工)する。その後、シート状にキャスティングされた誘電体スラリーをドクターブレード後方のキャスティング装置の供給側と巻き取り側との間に配置されているヒータで加熱乾燥し、厚さ7μmの未焼結誘電体グリーンシート22(誘電体層21となるべき未焼結誘電体層)を形成する。
(2)混合層形成用グリーンシート42の作製
まず以下の手順で混合層形成用スラリーを調製する。平均粒径0.7μmのニッケル粉(金属粉)と、平均粒径0.7μmのチタン酸バリウム粉末(誘電体粉)とを体積比が7:3となるように秤量し、これにエタノールとトルエンとの混合溶剤、分散剤、可塑剤、有機バインダを添加する。これをポットで湿式混合することにより、混合層形成用グリーンシート42を形成する際の出発材料となる混合層形成用スラリーを得る。このとき、各成分の配合比率を適宜変更することにより、混合層形成用スラリーを約0.5Pa・sの粘度(リオン株式会社製ビスコテスター VT−04型粘度計 No.1ロータ 62.5rpm 1分値 25℃で測定した粘度をいう。)に調製する。次に、この混合層形成用スラリーを用いて混合層形成用グリーンシート42の形成を以下のように行う。即ち、所定幅のPETフィルムのロールを用意して、このロールをキャスティング装置の供給側にセットし、ドクターブレード法やリップコーティングなどの従来周知の手法によりPETフィルムの上面に混合層形成用スラリーを薄く均一な厚さでキャスティング(塗工)する。その後、シート状にキャスティングされた混合層形成用スラリーをドクターブレード後方のキャスティング装置の供給側と巻き取り側との間に配置されているヒータで加熱乾燥し、厚さ6μmの混合層形成用グリーンシート42(混合層形成用層)を形成する。
(3)未焼結積層体50の作製
厚さ30μmのニッケル箔12を用意するとともに、そのニッケル箔12を打ち抜き金型等の従来周知の手段を用いて所定の大きさに切断する。また、未焼結誘電体グリーンシート22及び混合層形成用グリーンシート42についても、同様の手段を用いて同程度の大きさに切断する。そしてまず、ニッケル箔12上にPETフィルム付きの混合層形成用グリーンシート42を積層配置し、従来周知のラミネート装置を用いて80℃で500kgf/cmの条件で押圧力を加え、仮圧着させる(図3参照)。PETフィルムを剥離した後、その剥離面上に未焼結誘電体グリーンシート22を積層配置し、前記ラミネート装置を用いて80℃で250kgf/cmの条件で押圧力を加え、仮圧着させる(図3参照)。PETフィルムを剥離した後、その剥離面上に混合層形成用グリーンシート42を積層配置し、前記ラミネート装置を用いて80℃で750kgf/cmの条件で押圧力を加え、本圧着させる(図3参照)。この後、PETフィルムを剥離して未焼結積層体50を得る。この未焼結積層体50では、ニッケル箔12、混合層形成用グリーンシート42(混合層形成用層)、未焼結誘電体グリーンシート22(誘電体層21となるべき未焼結誘電体層)及び混合層形成用グリーンシート42(混合層形成用層)が積層配置された状態となっている。
(4)脱脂、同時焼成
次に、上記未焼結積層体50を大気中にて250℃で10時間脱脂し、さらに窒素−水素−水蒸気からなる雰囲気中1260℃にて所定時間焼成する。その結果、チタン酸バリウム及びニッケルが同時焼結し、ニッケル箔12、混合層、誘電体層21及び混合層の順で積層された焼結体60が得られる(図4参照)。第1主面117側の混合層は、ニッケルからなる金属アンカー層57と、チタン酸バリウムからなる多数のアンカー部55を有する無機物アンカー層46とにより構成されている。第2主面118側の混合層は、ニッケルからなる金属アンカー層57と、チタン酸バリウムからなる多数のアンカー部56を有する無機物アンカー層47とにより構成されている。
(5)第2主面118側の金属アンカー層57の除去
次に、焼結体60の第1主面117側に図示しないエッチングレジストを設けた状態で、ニッケルを溶解するエッチャントを用いて焼結体60の第2主面118側をエッチング処理する。このようなエッチャントとして、本実施形態では塩化第2鉄の40重量%水溶液を用いているが、これとは異なる組成のエッチャントを用いることも勿論可能である。そしてこの処理の結果、混合層を構成する金属アンカー層57のみが選択的に除去され、無機物アンカー層47が露出する。この場合、ニッケルからなる金属アンカー層57を除去する際に無機物アンカー層47に物理的なストレスが加わらないため、除去後においても好適なアンカー形状を維持することができる。そして、このことは密着性の改善に貢献する。
なお、本実施形態では、ニッケルからなる金属アンカー層57を全て除去しているが、(後に形成される金属層との密着のために必要な)表面粗さRaが0.2μmよりも大きくて、有効厚みがアンカー層における平均粒径の1倍以上、15倍以下であることを満たしている限りにおいては、それを誘電体層21側に部分的に残るようにしてもよい。
(6)めっきによる第2金属電極層31の形成
次に、露出した無機物アンカー層47の表面上に、従来公知の手法に基づいて無電解銅めっきを行った後にさらに電解銅めっきを行って、厚さ1μmの第2金属電極層31を形成する(図5参照)。この場合、エッチングレジストを剥離せずに、めっきレジストとしてそのまま用いてもよい。得られた第2金属電極層31の表面には金属アンカー層47の誘電体アンカー部56の凹凸の影響が及んでおり、第2金属電極層31の表面粗さRaが0.3μm〜0.5μmとなっている。なお、銅めっき工程においては、基本的には、酸系薬液を用いてのエッチング処理を行う必要は無いが、表面洗浄を目的として(表面形状が変わらない程度に)極短時間の浸漬を行ってもよい。
(7)第1層の樹脂絶縁層81の形成、部品実装
次に、導体層90及び第1層の樹脂絶縁層81が形成されたコア基板72を用意し、その第1層の樹脂絶縁層81上に、第1主面117側を上向きにした前記焼結体60を搭載する(図6参照)。
より詳細にいうと、第1層の樹脂絶縁層81を形成するための未硬化のフィルム材を用意し、それをラミネータ等でコア基板72の表面上に貼付する。前記フィルム材としては、例えば、未硬化の熱硬化性樹脂からなるものが好適である。次いで、図5の状態の焼結体60をフィルム材上に搭載し、所定の圧力で押し付ける。この時点では、まだフィルム材は未硬化であるため、焼結体60をフィルム材内に容易に埋め込むことができる。この場合の埋込深さは、焼結体60全体の厚さの半分程度に設定されることがよい。次に、加熱を行ってフィルム材を硬化させ、第1層の樹脂絶縁層81に焼結体60を支持固定させる。
第2金属電極層31の表面粗さRaは0.3μm〜0.5μmであり、多数の微細な凹凸を有している。よって、この凹凸に対して第1層の樹脂絶縁層81が埋まり込む結果、金属層の粗化工程がなくても、第2金属電極層31と第1層の樹脂絶縁層81とが強固に密着する。
(8)第1主面117側の金属アンカー層57の除去
次に、ニッケルを溶解するエッチャント(本実施形態では塩化第2鉄の40重量%水溶液)を用いて、焼結体60の第1主面117側をエッチング処理する。この処理により、ニッケル箔12と、混合層を構成する金属アンカー層57とを選択的に除去し、無機物アンカー層46を露出させる(図7参照)。
(9)めっきによる第1金属電極層11の形成
次に、露出した無機物アンカー層46の表面上に、従来公知の手法に基づいて無電解銅めっきを行った後にさらに電解銅めっきを行って、厚さ1μmの第1金属電極層11を形成する(図8参照)。なお、本実施形態のセラミックコンデンサ10はこの時点で完成する。
(10)第2層から第5層の樹脂絶縁層82,83,84の形成
従来周知の手法に従って、第1層の樹脂絶縁層81におけるビア導体96の形成や導体層91の形成を行う。次いで、第1層の樹脂絶縁層81上に上記の未硬化のフィルム材をラミネータ等で貼付した後、熱硬化させて第2層の樹脂絶縁層82とする。この時点で薄膜セラミックコンデンサ10が完全に埋め込まれる。第1金属電極層11の表面粗さRaは1μm〜2μmであり、多数の微細な凹凸を有している。よって、この凹凸に対して第2層の樹脂絶縁層82が埋まり込む結果、金属層の粗化工程がなくても、第1金属電極層11と第2層の樹脂絶縁層82とが強固に密着する。
次に、第2層の樹脂絶縁層82に対するビア穴あけを行った後、さらに銅めっきまたは銅ペーストの充填、印刷等を行って、ビア導体96を形成するとともに、第2層の導体層92を形成する。この場合、第1金属電極層11における多数の微細な凹凸に対して前記ビア導体96が埋まり込む結果、第1金属電極層11とビア導体96とが強固に密着し、高い接続信頼性が確保される。
この後、同様の手法により、第3層及び第4層(最表層)の樹脂絶縁層83,84の形成を行い、図1のセラミックコンデンサ内蔵配線基板71を完成させる。
(11)評価
ここではJIS C6481に倣ってピール強度を測定した。まずピール強度測定用サンプルを次のように準備した。厚さ0.8mmのガラスエポキシ基板と上記セラミックコンデンサ10の構成部品(図5の状態のもの)とを、エポキシ接着剤を用いて、第2金属電極31側の面で接着した。次いで、幅1cmの短冊状となるように、ガラスエポキシ基板に接着されたセラミックコンデンサ10の構成部品に切り込みを入れたものを(切り込みはセラミックコンデンサ10の構成部品を完全に貫通)、実施例のピール強度測定用サンプルとした(図9の表に示すサンプル4〜20)。
次に、ピール強度の測定は、短冊状となったセラミックコンデンサ10の構成部品のニッケル箔12の一端を、ガラスエポキシ基板主面に対して垂直な方向に、毎分0.5mmの速度で引き上げることにより行った。このとき、引き上げられるニッケル箔12とガラスエポキシ基板主面とが常に垂直となるように、ガラスエポキシ基板を上記引き上げ方向と垂直な方向に(ガラスエポキシ基板主面と平行な方向に)、毎分0.5mmの速度で移動させた。
このように測定した結果を図9の表に示す。実施例のピール強度測定用サンプルでは、第1金属電極11と誘電体部41との間で剥離が生じた。また、その平均ピール強度は総じて好適な値を示した。
また、この評価試験から以下の知見が得られた。即ち、無機物アンカー層46,47における誘電体の平均粒径が大きくなるほどピール強度が高くなる傾向がみられた。ただし、この平均粒径が大きい場合(1.5μmの場合)には、高いピール強度を得るためにある程度の厚さが必要になることもわかった。また、高いピール強度を得るには、無機物アンカー層46,47中の誘電体結晶の量が多くもなく少なくもない程度であることがよいことがわかった。また、ピール強度の向上のみを考慮すると、誘電体結晶の量は50体積%であることが一見良好に見えるが、この場合には静電容量を考慮する必要があることがわかった。さらに、アンカー層46,47が厚すぎるとピール強度が下がってくるが、これはアンカー層46,47の底部まで銅めっきが十分に入り込まないことに起因すると考えられた。
(12)比較例の作製及びその評価
ここでは、上述した未焼結誘電体グリーンシート22の作製方法に準じて、チタン酸バリウムの粉末の代わりに平均粒径0.7μmのニッケル粉末を用いることにより、厚さ7μmのニッケルグリーンシートをキャスティング法により作製し、これを所定の大きさに切断する。また、厚さ30μmのニッケル箔12及び厚さ7μmの未焼結誘電体グリーンシート22を用意し、これらを同程度の大きさに切断する。次いで、ニッケル箔12上にニッケルグリーンシートを積層配置し、80℃で500kgf/cmの押圧力を加え、仮圧着させる。PETフィルムを剥離した後、その剥離面上に未焼結誘電体グリーンシート22を積層配置し、80℃で750kgf/cmの条件で押圧力を加え、仮圧着させる。次いで、未焼結グリーンシート22上にニッケルグリーンシートを積層配置し、80℃で500kgf/cmの押圧力を加え、本圧着させる。この後、PETフィルムを剥離して未焼結積層体を得る。この後、上記条件と同じ条件で脱脂、同時焼成を行い、比較例のセラミックコンデンサを得る。なお、このセラミックコンデンサにおいては、無機物アンカー層46,47に相当する層は何ら存在していない。
上記と同様にしてピール強度を測定した結果を図9の表に示す(同表中のサンプル1参照)。比較例として位置づけられるサンプル1では、表面粗さが他のものよりも相当小さいことに加え、第1金属電極11と誘電体部41との間で、より詳しくは、ニッケルグリーンシートの焼成された層と誘電体部41との間で剥離が生じた。また、その平均ピール強度は0.13kg/cmとなり、各実施例に比べてかなり低い値を示した。従って、比較例は金属電極層と誘電体層との密着性に劣ると結論付けられた。
また、本実施形態の製造方法に従って作製する一方でアンカー層46,47の厚さを10μm以上に設定したサンプル2,3(これらも比較例)について、上記と同様にしてピール強度を測定した結果を図9の表に示す。比較例として位置づけられるサンプル2,3では、それぞれ平均ピール強度が0.29kg/cm,0.23kg/cmとなり、各実施例に比べてやはり低い値を示した。
(13)まとめ
従って、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
1: 本実施形態のセラミックコンデンサ内蔵配線基板71の場合、セラミックコンデンサ10の誘電体部41における誘電体層21の第1主面117上に好適な無機物アンカー層46が形成され、第2主面118上に好適な無機物アンカー層47が形成されている。このため、誘電体部41と第1金属電極層11との界面、誘電体部41と第2金属電極層31との界面に、化学的結合力のみならず物理的結合力が働き、誘電体部41に対する第1金属電極層11,第2金属電極層31の密着性が改善される。よって、前記界面において剥離が生じにくくなり、信頼性に優れたセラミックコンデンサ10、ひいては信頼性に優れたセラミックコンデンサ内蔵配線基板71を実現することができる。
2: 本実施形態の製造方法によれば、未焼結誘電体グリーンシート22の両面に混合層形成用グリーンシート42を配置した後、焼成工程でそれらの混合層形成用グリーンシート42を焼結させることにより、ニッケルとチタン酸バリウムとが混在する混合層がそれぞれ形成される。混合層においては、ニッケルからなる金属アンカー層57と、焼結により形成された誘電体層21側に連結するチタン酸バリウムからなる無機物アンカー層46,47とが、互いに相手側の空隙に入り込んだ状態となっている。次いで、金属除去工程で混合層からニッケル部分を選択的に除去することにより、所望の表面粗さを有する無機物アンカー層46,47を露出させることができる。よって、この製造方法によれば、薬液を用いて表面粗化処理を行う従来の製造方法に比べて、信頼性に優れたセラミックコンデンサ10を容易に得ることができる。
3: また、従来の製造方法では、薬液を用いて表面粗化処理を行うため、誘電体層21側への浸食を伴ってしまう。これに対して本実施形態の製造方法によると、一旦誘電体層21の表面上に混合層を配置しその一部を除去するので、誘電体層21側への浸食を何ら伴わずに確実に所望の無機物アンカー層46,47を形成することができる。そしてこの製造方法によると、従来とは異なり誘電体層21にショートパスが形成される心配がないため、第1金属電極層11及び第2金属電極層31間の絶縁性の低下が回避される。また、誘電体層21を非常に薄く形成できる結果、セラミックコンデンサ10の薄肉化が図られるとともに、大きな静電容量を達成しやすくなる。
[第2の実施形態]
次に、第2実施形態のセラミックコンデンサ10の製造方法を図10に基づいて説明する。ここでは、無機物アンカー層46,47を形成するにあたり、混合層形成用グリーンシート42ではなく混合層形成用ペースト40を用いる点で、第1実施形態の製造方法と異なっている。
(1)未焼結誘電体グリーンシート22の作製
基本的に上記実施形態1の手法に従い、厚さ7μmの未焼結誘電体グリーンシート22(誘電体層21となるべき未焼結誘電体層)を形成する。
(2)混合層形成用ペースト40の調製
平均粒径0.7μmのニッケル粉(金属粉)と、平均粒径0.7μmのチタン酸バリウム粉末(誘電体粉)とを体積比が7:3となるように秤量し、これに分散剤、可塑剤を加える。これをターピネオールを分散媒として、さらに有機バインダを加えたうえで3本ロールで混合し、混合層形成用ペースト層62を形成する際の出発材料となる混合層形成用ペースト40を得る。
(3)未焼結積層体50の作製
厚さ30μmのニッケル箔12を用意するとともに、そのニッケル箔12を打ち抜き金型等の従来周知の手段を用いて所定の大きさに切断する。また、未焼結誘電体グリーンシート22についても、同様の手段を用いて同程度の大きさに切断する。そしてまず、ニッケル箔12上に、従来周知のペースト印刷装置(例えばスクリーン印刷装置)を用いて混合層形成用ペースト40を印刷塗布する。このときの塗布厚みは、後の焼成工程を経た段階で約3μmとなるように、4μm〜6μm程度に設定される。次いで、80℃で乾燥し、混合層形成用ペースト層62を形成する。次いで、混合層形成用ペースト層62上に未焼結誘電体グリーンシート22を積層配置し、前記ラミネート装置を用いて80℃で750kgf/cmの条件で押圧力を加え、本圧着させる(図10参照)。次いで、PETフィルムを剥離した後、その剥離面上に混合層形成用ペースト40を4μm〜6μmほど印刷塗布する。そして、80℃で乾燥して、混合層形成用ペースト層62を形成し、未焼結積層体50とする。この未焼結積層体50は、ニッケル箔12、混合層形成用ペースト層62(混合層形成用層)、未焼結誘電体グリーンシート22(誘電体層21となるべき未焼結誘電体層)、及び混合層形成用ペースト層62(混合層形成用層)をこの順序で積層配置した状態となっている。
(4)脱脂、同時焼成等
次に、上記未焼結積層体50を大気中にて250℃で10時間脱脂し、さらに窒素−水素−水蒸気からなる雰囲気中1260℃にて所定時間焼成する。その結果、チタン酸バリウム及びニッケルが同時焼結し、ニッケル箔12、混合層、誘電体層21及び混合層の順で積層された焼結体60が得られる(図4参照)。そしてこの後、第1実施形態にて述べた(5)〜(10)の作業を実施し、セラミックコンデンサ内蔵配線基板71を完成させる。
従って、本実施形態においても上記第1実施形態と同様の作用効果が奏される。つまり、第1金属電極層11と誘電体部41との密着性、第2金属電極層31と誘電体部41との密着性が改善されるため、信頼性の高いセラミックコンデンサ10、セラミックコンデンサ内蔵配線基板71を得ることができる。また、本実施形態の製造方法であったとしても、信頼性に優れた上記構造のセラミックコンデンサ10を比較的容易に得ることができる。
[第3の実施形態]
次に、図11〜図14に基づいて第3実施形態であるセラミックコンデンサ内蔵配線基板71の製造方法を詳細に説明する。
ここでは、第1主面117側の無機物アンカー層46を形成するにあたり、粗化されたニッケル箔12を用いている点で異なっている。
(1)ニッケル箔12の粗化
厚さ30μmのニッケル箔12(アンカー層形成用金属箔)を用意するとともに、そのニッケル箔12を打ち抜き金型等の従来周知の手段を用いて所定の大きさに切断する(図11参照)。次に、そのニッケル箔12をエッチング液で所定時間処理することにより、微細な凹凸部132を有する粗化面131をニッケル箔12に形成する(図12参照)。なお、このような手法に代えて、湿式または乾式でのブラスト処理(サンドブラストやショットブラストなど)を行うようにしてもよい。
(2)未焼結誘電体層形成用ペースト120の調製
平均粒径0.7μmのチタン酸バリウム粉(誘電体粉)に分散剤、可塑剤を加え、これをターピネオールを分散媒として、さらに有機バインダを加えたうえで3本ロールで混合し、未焼結誘電体層形成用ペースト層122(未焼結誘電体層)を形成する際の出発材料となる未焼結誘電体層形成用ペースト120を得る。
(3)未焼結積層体50の作製
ニッケル箔12の粗化面131上に、従来周知のペースト印刷装置(例えばスクリーン印刷装置)を用いて未焼結誘電体層形成用ペースト120を印刷塗布する。このときの塗布厚み(粗化面131を基準としたときの塗布層の厚み)は、後の焼成工程を経た段階で約3μmとなるように、4μm〜6μm程度に設定される。ペースト印刷塗布を行うと、粗化面131の凹凸部132内に未焼結誘電体層形成用ペースト120が埋まり込んだ状態となる。この部分のペースト120は、後に無機物アンカー層46となる。次いで、80℃で乾燥し、未焼結誘電体層形成用ペースト層122を形成する。次いで、未焼結誘電体層形成用ペースト層122上に混合層形成用グリーンシート42を積層配置し、前記ラミネート装置を用いて80℃で750kgf/cmの条件で押圧力を加え、本圧着させる(図13参照)。次いで、PETフィルムを剥離し、未焼結積層体50とする。この未焼結積層体50は、ニッケル箔12(アンカー層形成用金属箔)、未焼結誘電体層形成用ペースト層122(未焼結誘電体層)、及び混合層形成用グリーンシート42(混合層形成用層)をこの順序で積層配置した状態となっている(図13参照)。
(4)脱脂、同時焼成等
次に、上記未焼結積層体50を大気中にて250℃で10時間脱脂し、さらに窒素−水素−水蒸気からなる雰囲気中1260℃にて所定時間焼成する。その結果、チタン酸バリウム及びニッケルが同時焼結し、ニッケル箔12、無機物アンカー層46、誘電体層121及び混合層(無機物アンカー層47とニッケルアンカー層57)の順で積層された焼結体60が得られる(図14参照)。そしてこの後、第1実施形態にて述べた(5)〜(10)の作業を実施し、セラミックコンデンサ内蔵配線基板71を完成させる。
従って、本実施形態においても上記第1実施形態と同様の作用効果が奏される。つまり、第1金属電極層11と誘電体部41との密着性、第2金属電極層31と誘電体部41との密着性が改善されるため、信頼性の高いセラミックコンデンサ10、セラミックコンデンサ内蔵配線基板71を得ることができる。また、本実施形態の製造方法であったとしても、信頼性に優れた上記構造のセラミックコンデンサ10を比較的容易に得ることができる。
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記各実施形態では、セラミックコンデンサ10を第1層の樹脂絶縁層81と第2層の樹脂絶縁層82との界面に埋め込むようにして実装を行ったが、例えば、最表層の樹脂絶縁層84上にこれを実装するようにしてもよい。
・上記各実施形態では、未完成のセラミックコンデンサ(即ちセラミックコンデンサ構成部品)を樹脂絶縁層上に実装した後、金属電極層の形成を行って完成品とする製造方法を例示しているが、既に完成品となっているセラミックコンデンサを樹脂絶縁層上に実装する製造方法であっても勿論よい。
・例えば上記第1実施形態では、相対的に薄いほうのニッケル層(金属アンカー層57)を除去した状態で、部品実装を行い、その後で相対的に厚いほうのニッケル層(金属アンカー層57及びニッケル箔12)を除去しているが、これを逆に行ってもよい。ただし、セラミックコンデンサ10が非常に薄いような場合には、前者の方法を採用するほうが好ましい。即ち、部品実装時において相対的に厚いニッケル層が存在していると、脆弱な誘電体部41が補強されて破損しにくくなり、また取扱性も向上するからである。
・例えば図15に示される別の実施形態のセラミックコンデンサ110のように構成してもよい。このセラミックコンデンサ110では、第2主面118側の金属アンカー層57の除去、第1主面117側の金属アンカー層57の除去及びニッケル箔12の除去を行った後、無機物アンカー層46,47上に第1実施形態のときよりも厚く銅めっき層を形成することで、第1金属電極層211及び第2金属電極層231としている。
次に、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一方の表面上に形成されかつ複数のアンカー部を有するアンカー層とからなる誘電体部を備えた電子部品であって、前記アンカー層は、表面粗さRaが0.2μmよりも大きくて、有効厚みが10μm以下であり、前記アンカー層を構成する無機物が、前記誘電体層と実質的に同材料であることを特徴とする電子部品。
(2)誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一方の表面上に形成されかつ複数のアンカー部を有するアンカー層とからなる誘電体部を備えるとともに、前記アンカー層の表面上に形成された金属電極層を備える電子部品であって、前記アンカー層は、表面粗さRaが0.2μmよりも大きくて、有効厚みが10μm以下であり、前記金属電極層は、表面粗さRaが0.2μmよりも大きいことを特徴とする電子部品。
(3)誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一方の表面上に形成されかつ複数のアンカー部を有するアンカー層とからなる誘電体部を備えるとともに、前記アンカー層の表面上に形成された金属電極層を備える電子部品であって、前記アンカー層は、表面粗さRaが0.2μmよりも大きくて、有効厚みが10μm以下であり、前記金属電極層は、厚さが0.1μm以上5μm以下であることを特徴とする電子部品。
(4)誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一方の表面上に形成されかつ複数のアンカー部を有するアンカー層とからなる誘電体部を備えるとともに、前記アンカー層の表面上に形成された金属電極層を備える電子部品であって、前記アンカー層は、表面粗さRaが0.2μmよりも大きくて、有効厚みが10μm以下であり、前記金属電極層は、厚さが0.1μm以上5μm以下のめっき層であることを特徴とする電子部品。
(5)誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一方の表面上に形成されかつ複数のアンカー部を有するアンカー層とからなる誘電体部を備えるとともに、前記アンカー層の表面上に形成された金属電極層を備え、前記アンカー層の表面粗さRaが0.2μmよりも大きくて、有効厚みが10μm以下である電子部品が、樹脂絶縁層内に埋め込まれていることを特徴とする電子部品内蔵配線基板。
(6)誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一方の表面上に形成されかつ複数のアンカー部を有するアンカー層とからなる誘電体部を備えるとともに、前記アンカー層の表面上に形成された金属電極層を備え、前記アンカー層の表面粗さRaが0.2μmよりも大きくて、有効厚みが10μm以下である電子部品が、コア基板表面に位置する樹脂絶縁層に実装された電子部品付き配線基板の製造方法であって、前記誘電体層となるべき未焼結誘電体層上に、金属粉と無機物粉とを含有する混合層形成用層を配置する層配置工程と、前記混合層形成用層を加熱して焼結させることにより、金属と無機物とが混在する混合層を形成する焼成工程と、前記混合層から金属を選択的に除去して、無機物からなるアンカー層を露出させる金属除去工程と、前記金属除去工程の後、無機物からなるアンカー層の表面上に金属電極層を成膜する成膜工程と、を含むことを特徴とする電子部品付き配線基板の製造方法。
(7)誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一方の表面上に形成されかつ複数のアンカー部を有するアンカー層とからなる誘電体部を備えるとともに、前記アンカー層の表面上に形成された金属電極層を備え、前記アンカー層の表面粗さRaが0.2μmよりも大きくて、有効厚みが10μm以下である電子部品が、コア基板表面に位置する樹脂絶縁層に実装された電子部品付き配線基板の製造方法であって、粗化された表面を有するアンカー層形成用金属体上に前記誘電体層となるべき未焼結誘電体層を形成する未焼結誘電体層形成工程と、前記未焼結誘電体層を加熱して焼結させることにより、誘電体からなるアンカー層を表面に備える前記誘電体層を形成する焼成工程と、前記アンカー層形成用金属体を除去して前記アンカー層を露出させる金属除去工程と、前記金属除去工程の後、前記アンカー層の表面上に金属電極層を成膜する成膜工程と、を含むことを特徴とする電子部品付き配線基板の製造方法。
本発明を具体化した第1実施形態のセラミックコンデンサ内蔵配線基板の一部を示す概略断面図。 第1実施形態のセラミックコンデンサを示す概略断面図。 第1実施形態の製造方法を説明するための概略断面図。 第1実施形態の製造方法を説明するための概略断面図。 第1実施形態の製造方法を説明するための概略断面図。 第1実施形態の製造方法を説明するための概略断面図。 第1実施形態の製造方法を説明するための概略断面図。 第1実施形態の製造方法を説明するための概略断面図。 第1実施形態において実施した評価試験の結果を示す表。 第2実施形態のセラミックコンデンサの製造方法を説明するための概略断面図。 第3実施形態のセラミックコンデンサの製造方法を説明するための概略断面図。 第3実施形態の製造方法を説明するための概略断面図。 第3実施形態の製造方法を説明するための概略断面図。 第3実施形態の製造方法を説明するための概略断面図。 別の実施形態のセラミックコンデンサを示す概略断面図。
符号の説明
10…電子部品としてのセラミックコンデンサ
11,211…金属層としての第1金属電極層
12…ニッケル箔
21…誘電体層
22…未焼結誘電体層としての未焼結誘電体グリーンシート
31,231…金属層としての第2金属電極層
41…誘電体部
46,47…混合層を構成する無機物アンカー層
42…混合層形成用層としての混合層形成用グリーンシート
62…混合層形成用層としての混合層形成用ペースト層
71…電子部品付き配線基板としてのセラミックコンデンサ内蔵配線基板
122…未焼結誘電体層としての未焼結誘電体ペースト層

Claims (8)

  1. 誘電体層と、
    前記誘電体層の少なくとも一方の表面上に形成されかつ複数のアンカー部を有するアンカー層と
    からなる誘電体部を備えた電子部品であって、
    前記アンカー層は、表面粗さRaが0.2μmよりも大きくて、有効厚みが10μm以下であることを特徴とする電子部品。
  2. 前記アンカー層における前記アンカー部の平均粒径は、前記アンカー層の有効厚みの1/15以上とされていることを特徴とする請求項1に記載の電子部品。
  3. 前記アンカー層の表面上に金属層をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の電子部品。
  4. 前記金属層は、めっき層であることを特徴とする請求項3に記載の電子部品。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子部品を有する電子部品付き配線基板。
  6. 誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一方の表面上に形成されかつ複数のアンカー部を有するアンカー層とからなる誘電体部を備え、前記アンカー層は、表面粗さRaが0.2μmよりも大きくて、有効厚みが10μm以下である電子部品の製造方法であって、
    前記誘電体層となるべき未焼結誘電体層上に、金属粉と無機物粉とを含有する混合層形成用層を配置する層配置工程と、
    前記混合層形成用層を加熱して焼結させることにより、金属と無機物とが混在する混合層を形成する焼成工程と、
    前記混合層から金属を選択的に除去して、無機物からなるアンカー層を露出させる金属除去工程と
    を含むことを特徴とする電子部品の製造方法。
  7. 前記金属除去工程では、エッチング処理により前記混合層から金属を選択的に除去することを特徴とする請求項6に記載の電子部品の製造方法。
  8. 前記金属除去工程の後、無機物からなるアンカー層の表面上に金属層を成膜する成膜工程を行うことを特徴とする請求項6または7に記載の電子部品の製造方法。
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