JP2006178389A - 楕円偏光板の製造方法および楕円偏光板を用いた画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の楕円偏光板の製造方法は、透明保護フィルムの表面に配向処理を施す工程と、該透明保護フィルムの該配向処理が施された表面に液晶組成物を塗工して第1の複屈折層を形成する工程と、該透明保護フィルムの該配向処理が施された表面と反対側の表面に偏光子を積層する工程と、該第1の複屈折層の表面に高分子フィルムを積層して、第2の複屈折層を形成する工程とを含み、該偏光子の吸収軸と該透明保護フィルムの配向方向とのなす角度をα、該偏光子の吸収軸と該第2の複屈折層の遅相軸のなす角度をβとしたとき、角度αおよびβが下記式(1)の関係を有する:
2α+40°<β<2α+50° ・・・(1)。
【選択図】 なし
Description
2α+40°<β<2α+50° ・・・(1)。
好ましい実施形態においては、上記第2の複屈折層を形成する高分子フィルムは長尺フィルムであり、上記第2の複屈折層を形成する工程において、上記偏光子、上記第1の複屈折層が形成された上記透明保護フィルム、および該高分子フィルムの長辺同士は連続的に貼り合わせられる。
好ましい実施形態においては、上記第1の複屈折層と上記第2の複屈折層とは、接着剤層を介して貼り合わせられる。
好ましい実施形態においては、上記配向処理の方向は、上記偏光子の吸収軸に対して、+8°〜+38°または−8°〜−38°である。好ましい実施形態においては、上記配向処理は、ラビング処理、斜方蒸着法、延伸処理、光配向処理、磁場配向処理および電場配向処理からなる群から選択される少なくとも1つである。さらに好ましい実施形態においては、上記配向処理はラビング処理であり、該ラビング処理は上記透明保護フィルム表面に直接行われる。
好ましい実施形態においては、上記液晶組成物は、液晶モノマーおよび液晶ポリマーの少なくとも一方を含む。さらに好ましい実施形態においては、上記液晶組成物は重合性モノマーおよび/または架橋性モノマーを含み、上記液晶の配向工程は、重合処理および/または架橋処理を行うことをさらに含む。さらに好ましい実施形態においては、上記液晶組成物は、重合開始剤および/または架橋剤をさらに含む。さらに好ましい実施形態においては、上記重合処理および/または架橋処理は、加熱または光照射により行われる。
好ましい実施形態においては、上記第1の複屈折層はλ/2板である。さらに好ましい実施形態においては、上記第1の複屈折層の面内位相差は180〜300nmである。好ましい実施形態においては、上記第2の複屈折層がλ/4板である、請求項1から12のいずれかに記載の製造方法。好ましい実施形態においては、上記第2の複屈折層の面内位相差は90〜180nmである。
好ましい実施形態においては、上記高分子フィルムは延伸フィルムである。好ましい実施形態においては、上記高分子フィルムの延伸方向は、上記偏光子の吸収軸に対して実質的に直交する方向である。
好ましい実施形態においては、上記透明保護フィルムは、セルロース系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂およびガラス質系ポリマーからなる群から選択される少なくとも1つのポリマーを含む。
A−1.楕円偏光板の全体構成
図1は、本発明の好ましい実施形態による楕円偏光板の概略断面図である。この楕円偏光板10は、偏光子11と第1の複屈折層12と第2の複屈折層13とをこの順に有する。必要に応じて、偏光子11と第1の複屈折層12との間に第1の保護層14が設けられ、偏光子の第1の保護層14の反対側に第2の保護層15が設けられる。
2α+40°<β<2α+50° ・・・(1)。
角度αと角度βとの関係は、さらに好ましくは2α+42°<β<2α+48°であり、とりわけ好ましくは2α+43°<β<2α+47°であり、最も好ましくはβ=2α+45°である。角度αと角度βがこのような関係を有することにより、非常に優れた円偏光特性を有する偏光板が得られ得る。しかも、この関係は包括的であるので、製品ごとに試行錯誤して積層方向を検討する必要がない。すなわち、偏光子とλ/2板とλ/4板のほとんどの組み合わせにおいて、この関係を用いることにより、非常に優れた円偏光特性が実現され得る。このような関係を見出したことが本発明の大きな特徴の1つであり、このことは、円偏光特性の最適化に関する技術分野におけるきわめて有用な成果である。
上記のように、第1の複屈折層12は、いわゆるλ/2板として機能し得る。第1の複屈折層がλ/2板として機能することにより、λ/4板として機能する第2の複屈折層の波長分散特性(特に、位相差がλ/4を外れる波長範囲)について、位相差が適切に調節され得る。このような第1の複屈折層の面内位相差(Δnd)は、波長590nmにおいて、好ましくは180〜300nmであり、さらに好ましくは210〜280nmであり、最も好ましくは230〜240nmである。なお、面内位相差(Δnd)は、式Δnd=(nx−ny)×dから求められる。ここで、nxは遅相軸の方向の屈折率であり、nyは進相軸の方向(面内で遅相軸に直交する方向)の屈折率であり、dは第1の複屈折層の厚さである。さらに、上記第1の複屈折層12は、nx>ny=nzの屈折率分布を有することが好ましい。nzは、厚み方向の屈折率である。本明細書において、「ny=nz」は、nyとnzが厳密に等しい場合のみならず、nyとnzが実質的に等しい場合も包含する。
Z−X−(Sp)n ・・・(2)
で表されることが好ましく、A1およびA2は同じ基であることが好ましい。
上記のように、第2の複屈折層13は、いわゆるλ/4板として機能し得る。本発明によれば、λ/4板として機能する第2の複屈折層の波長分散特性を、上記λ/2板として機能する第1の複屈折層の光学特性によって補正することによって、広い波長範囲での円偏光機能を発揮することができる。このような第2の複屈折層の面内位相差(Δnd)は、波長550nmにおいて、好ましくは90〜180nmであり、さらに好ましくは90〜150nmであり、最も好ましくは105〜135nmである。第2の複屈折層のNz係数(=(nx−nz)/(nx−ny))は、好ましくは1.0〜2.2であり、さらに好ましくは1.2〜2.0であり、最も好ましくは1.4〜1.8である。さらに、上記第2の複屈折層13は、nx>ny>nzの屈折率分布を有することが好ましい。
上記偏光子11としては、目的に応じて任意の適切な偏光子が採用され得る。例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらのなかでも、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素などの二色性物質を吸着させて一軸延伸した偏光子が、偏光二色比が高く特に好ましい。これら偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に、1〜80μm程度である。
上記第1の保護層14および第2の保護層15は、偏光板の保護フィルムとして使用できる任意の適切なフィルムからなる。このようなフィルムの主成分となる材料の具体例としては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノルボルネン系、ポリオレフィン系、アクリル系、アセテート系等の透明樹脂等が挙げられる。また、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等も挙げられる。この他にも、例えば、シロキサン系ポリマー等のガラス質系ポリマーも挙げられる。また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルムも使用できる。このフィルムの材料としては、例えば、側鎖に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換または非置換のフェニル基ならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が使用でき、例えば、イソブテンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物が挙げられる。上記ポリマーフィルムは、例えば、上記樹脂組成物の押出成形物であり得る。TAC、ポリイミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ガラス質系ポリマーが好ましい。
本発明の1つの実施形態における楕円偏光板の製造方法は、透明保護フィルム(最終的に保護層14となる)の表面に配向処理を施す工程と;当該透明保護フィルムの当該配向処理が施された表面に液晶組成物を塗工する工程と;当該液晶組成物中の液晶材料を該透明保護フィルムの配向方向に応じて配向させて、第1の複屈折層を形成する工程と;当該保護フィルムの配向処理を施していない表面に偏光子を積層する工程と;第1の複屈折層の表面に高分子フィルムを積層して、第2の複屈折層を形成する工程とを含む。ここで、上記のように、偏光子の吸収軸と透明保護フィルムの配向方向(すなわち、第1の複屈折層の遅相軸)とのなす角度をα、当該偏光子の吸収軸と該第2の複屈折層の遅相軸のなす角度をβとしたとき、角度αおよびβは下記式(1)の関係を有する:
2α+40°<β<2α+50° ・・・(1)。
このような製造方法によれば、例えば、図1に示すような楕円偏光板が得られる。
透明保護フィルム(最終的に保護層14となる)の表面に配向処理を施し、当該表面に所定の液晶材料を含む塗工液(液晶組成物)を塗工することにより、図2に示すように、偏光子11の吸収軸に対して角度αをなすような遅相軸を有する第1の複屈折層12を形成することができる(第1の複屈折層の形成工程は後述する)。
次に、上記配向処理を施した透明保護フィルム表面に上記A−2項で説明したような液晶材料を含有する塗工液(液晶組成物)を塗工し、次いで当該塗工液中の液晶材料を配向させて第1の複屈折層を形成する。具体的には、液晶材料を適切な溶媒に溶解または分散した塗工液を調製し、この塗工液を、上記配向処理を施した透明保護フィルム表面に塗工すればよい。液晶材料の配向工程は後述のB−3項で説明する。
次いで、上記透明保護フィルム表面の配向方向に応じて、第1の複屈折層を形成する液晶材料を配向させる。当該液晶材料の配向は、使用した液晶材料の種類に応じて、液晶相を示す温度で処理することにより行われる。このような温度処理を行うことにより、液晶材料が液晶状態をとり、上記透明保護フィルム表面の配向方向に応じて当該液晶材料が配向する。これによって、塗工により形成された層に複屈折が生じ、第1の複屈折層が形成される。
さらに、偏光子を、上記透明保護フィルムの配向処理を施した表面とは反対側の表面上に積層する。上記のように、偏光子の積層は、本発明の製造方法における任意の適切な時点で行われ得る。例えば、偏光子を予め透明保護フィルムに積層しておいてもよく、第1の複屈折層を形成した後に積層してもよく、第2の複屈折層を形成した後に積層してもよい。
さらに、第2の複屈折層を上記第1の複屈折層の表面上に形成する。代表的には、第2の複屈折層は、上記A−3項に記載の高分子フィルムを第1の複屈折層の表面に積層することにより形成される。好ましくは、高分子フィルムは延伸フィルムである。より具体的には、当該高分子フィルムは、上記A−3項に記載したように幅方向に延伸されたフィルムである。このような延伸フィルムは、幅方向に遅相軸を有するので、当該遅相軸は偏光子の吸収軸(長手方向)に実質的に直交している。積層方法は特に限定されず、任意の適切な接着剤または粘着剤(例えば、上記B−4項に記載の接着剤または粘着剤)を用いて行われる。
図3〜図7を参照して、本発明の製造方法の具体的手順の一例について説明する。なお、図3〜図7において、符号111、111’、112、113、114、115および116は、各層を形成するフィルムおよび/または積層体を捲回するロールである。
本発明の楕円偏光板は、さらに他の光学層を備えていてもよい。このような他の光学層としては、目的や画像表示装置の種類に応じて任意の適切な光学層が採用され得る。具体例としては、複屈折層(位相差フィルム)、液晶フィルム、光散乱フィルム、回折フィルム等が挙げられる。
本発明の楕円偏光板は、各種画像表示装置(例えば、液晶表示装置、自発光型表示装置)に好適に使用され得る。適用可能な画像表示装置の具体例としては、液晶表示装置、ELディスプレイ、プラズマディスプレイ(PD)、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)が挙げられる。本発明の楕円偏光板を液晶表示装置に用いる場合には、例えば、視野角補償に有用である。本発明の楕円偏光板は、例えば、円偏光モードの液晶表示装置に用いられ、ホモジニアス配向型TN液晶表示装置、水平電極型(IPS)型液晶表示装置、垂直配向(VA)型液晶表示装置等に特に有用である。また、本発明の楕円偏光板をELディスプレイに用いる場合には、例えば、電極反射防止に有用である。
本発明の画像表示装置の一例として、液晶表示装置について説明する。ここでは、液晶表示装置に用いられる液晶パネルについて説明する。液晶表示装置のその他の構成については、目的に応じて任意の適切な構成が採用され得る。図8は、本発明の好ましい実施形態による液晶パネルの概略断面図である。液晶パネル100は、液晶セル20と、液晶セル20の両側に配置された位相差板30、30’と、それぞれの位相差板の外側に配置された偏光板10、10’とを備える。位相差板30、30’としては、目的および液晶セルの配向モードに応じて任意の適切な位相差板が採用され得る。目的および液晶セルの配向モードによっては、位相差板30、30’の一方または両方が省略され得る。上記偏光板10は、上記A項およびB項で説明した本発明の楕円偏光板である。この偏光板(楕円偏光板)10は、複屈折層12および13が偏光子11と液晶セル20との間になるようにして配置されている。偏光板10’は、任意の適切な偏光板である。偏光板10、10’は、代表的には、その偏光子の吸収軸が直交するようにして配置されている。図8に示すように、本発明の液晶表示装置(液晶パネル)においては、本発明の楕円偏光板10は、視認側(上側)に配置されるのが好ましい。液晶セル20は、一対のガラス基板21、21’と、該基板間に配された表示媒体としての液晶層22とを有する。一方の基板(アクティブマトリクス基板)21’には、液晶の電気光学特性を制御するスイッチング素子(代表的にはTFT)と、このアクティブ素子にゲート信号を与える走査線およびソース信号を与える信号線とが設けられている(いずれも図示せず)。他方のガラス基板(カラーフィルター基板)21には、カラーフィルター(図示せず)が設けられる。なお、カラーフィルターは、アクティブマトリクス基板21’に設けてもよい。基板21、21’の間隔(セルギャップ)は、スペーサー(図示せず)によって制御されている。基板21、21’の液晶層22と接する側には、例えばポリイミドからなる配向膜(図示せず)が設けられている。
試料フィルムの屈折率nx、nyおよびnzを、自動複屈折測定装置(王子計測機器株式会社製,自動複屈折計KOBRA31PR)により計測し、面内位相差Δndおよび厚み方向位相差Rthを算出した。測定温度は23℃、測定波長は590nmであった。
(2)厚みの測定
第1の複屈折層の厚みは大塚電子製MCPD2000を用いて、干渉膜厚測定法によって測定した。その他の各種フィルムの厚みは、ダイヤルゲージを用いて測定した。
(3)透過率の測定
実施例1で得られた同じ楕円偏光板同士を貼り合わせた。貼り合わせたサンプルの透過率を、商品名DOT−3(村上色彩社製)により測定した。なお、楕円偏光板の積層構造を下記に示す。
(4)コントラスト比の測定
同じ楕円偏光板同士を重ねてバックライトで照らし、白画像(偏光子の吸収軸が平行)および黒画像(偏光子の吸収軸が直交)を表示させ、ELDIM社製 商品名
「EZ Contrast160D」により、視認側の偏光子の吸収軸に対して45°−135°方向に、かつ、法線に対して−60°〜60°までスキャンさせた。そして、白画像におけるY値(YW)と、黒画像におけるY値(YB)とから、斜め方向のコントラスト比「YW/YB」を算出した。
(5)耐湿性試験
得られた楕円偏光板を60℃、95%(RH)の条件下で500時間放置した後、目視で外観を観察した。楕円偏光板が透明である場合を「良好」、楕円偏光板が白濁している場合を「不良」とした。
I−a.透明保護フィルムの配向処理(配向基材の作製)
透明保護フィルムに配向処理を施して配向基材(最終的には保護層となる)を作製した。
基材(1)〜(8): TACフィルム(厚み40μm)の表面にPVA膜(厚み0.1μm)を形成した後、ラビング布を用いて、下記表1に示すラビング角度で当該PVA膜表面をラビングし、配向基材を作成した。
基材(9)〜(10): TACフィルム(厚み40μm)を、ラビング布を用いて、下記表1に示すラビング角度でラビングし、配向基材を作成した。
基材(11)〜(12):TACフィルム(厚み40μm)の表面にシランカップリング剤(商品名KBM-503:信越シリコーン社製)を塗布した後、その表面を、ラビング布を用いて下記表1に示すラビング角度でラビングし、配向基材を作成した。
基材(13)〜(14) : TACフィルム(厚み40μm)の表面にPVA膜(厚み0.1μm)を形成した後、ラビング布を用いて、下記表1に示すラビング角度で当該PVA膜表面をラビングし、配向基材を作成した。保護層の厚み方向の位相差についても併せて下記表1に示す。
まず、ネマチック液晶相を示す重合性液晶(BASF社製:商品名PaliocolorLC242)10gと、当該重合性液晶化合物に対する光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製:商品名イルガキュア907)0.5gとを、トルエン40gに溶解して、液晶組成物(塗工液)を調製した。そして、上記のように作製した配向基材上に、当該塗工液をバーコーターにより塗工した後、90℃で2分間加熱乾燥することによって液晶を配向させた。このようにして形成された液晶層に、メタルハライドランプを用いて20mJ/cm2の光を照射し、当該液晶層を硬化させることによって、第1の複屈折層(1)〜(5)を形成した。第1の複屈折層の厚みおよび位相差は、塗工液の塗工量を変化させることにより調整した。下記表2に、形成した第1の複屈折層の厚みならびに面内位相差値(nm)を示す。
ポリカーボネートフィルム(厚み60μm)またはノルボルネン系フィルム(JSR社製:商品名Arton:厚み60μm)を所定温度で一軸延伸することによって、第2の複屈折層用フィルムを作製した。下記表3に、使用したフィルムの種類(ポリカーボネートフィルムはPC、ノルボルネンフィルムはNB)、延伸条件(延伸方向)、角度β(フィルムの長手方向に対する遅相軸の角度)、および、得られる位相差値を示す。
ネマチック液晶相を示す重合性液晶(BASF社製:商品名PaliocolorLC242)、カイラル剤(BASF社製:商品名PaliocolorLC756)、および、当該重合性液晶化合物に対する光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製:商品名イルガキュア907)の下記表に示す量をトルエン40gに溶解して、液晶組成物(塗工液)を調製した。一方、ポリエチレンテレフタレート樹脂を押し出しした後、140℃で横延伸し、200℃で再結晶して得たフィルムを基材として用いた。この基材フィルムに上記塗工液をバーコーターにより塗工した後、90℃で2分間加熱乾燥することによって液晶を配向させた。このようにして形成された液晶層に、メタルハライドランプを用いて1mJ/cm2の光を照射し、当該液晶層を硬化させることによって、基材上に第2の複屈折層用フィルムc1〜c3を形成した。偏光子の吸収軸に対するフィルムc1〜c3の遅相軸の角度βも併せて下記表4に示す。
ポリビニルアルコールフィルムを、ヨウ素を含む水溶液中で染色した後、ホウ酸を含む水溶液中で速比の異なるロール間にて6倍に一軸延伸して偏光子を得た。下記表5に示すような組み合わせで、保護層、第1の複屈折層および第2の複屈折層を用いた。これらの偏光子、保護層、第1の複屈折層および第2の複屈折層を、図3〜図7に示す製造手順によって積層し、図1に示すような楕円偏光板A01〜A21を得た。
楕円偏光板A11を重ね合わせてコントラスト比を測定した。表5から明らかなように、この楕円偏光板は、β=2α+64°の関係を有していた。この楕円偏光板によれば、コントラスト10の角度が全方位において最小30度、最大50度、最大最小の差が20度であった。この楕円偏光板によれば、コントラスト10の角度が全方位において最小30度であり、実用に供し得ないレベルであった。
楕円偏光板A13を重ね合わせてコントラスト比を測定した。表5から明らかなように、この楕円偏光板は、β=2α+24°の関係を有していた。この楕円偏光板によれば、コントラスト10の角度が全方位において最小30度、最大50度、最大最小の差が20度であった。この楕円偏光板によれば、コントラスト10の角度が全方位において最小30度であり、実用に供し得ないレベルであった。
市販の偏光板(日東電工社製、商品名「TEG1465DU」、TAC保護層/)を、その偏光子の吸収軸方向が長辺となるようにして長方形に切り抜いた。λ/2板として、上記表3に記載のフィルムb1を用い、その遅相軸(延伸方向)が偏光子の吸収軸の方向に対して23°になるようにして、上記切り抜いた偏光板と同じ形状に切り抜いた。切り抜いた偏光板およびフィルムb1の長辺同士および短辺同士を揃えて、接着剤を介して貼り合わせて積層体を得た。次に、λ/4板として、上記表3に記載のフィルムa3を用い、その遅相軸(延伸方向)が偏光子の吸収軸の方向に対して90°になるようにして、上記切り抜いた偏光板と同じ形状に切り抜いた。上記積層体およびフィルムb1の長辺同士および短辺同士を揃えて、接着剤を介して貼り合わせて楕円偏光板を得た。この楕円偏光板は、楕円偏光板A01〜A21に比べて製造工程が格段に複雑であり、製造時間が非常に長くかかった。この楕円偏光板の厚みは236μmであり、光線透過率は0.04%であった。
λ/2板として、上記表3に記載のフィルムb2を用いたこと以外は比較例3と同様にして楕円偏光板を得た。この楕円偏光板は、楕円偏光板A01〜A21に比べて製造工程が格段に複雑であり、製造時間が非常に長くかかった。この楕円偏光板の厚みは244μmであり、光線透過率は0.32%であった。
λ/4板として、上記表3に記載のフィルムa6を用いたこと以外は比較例3と同様にして楕円偏光板を得た。この楕円偏光板は、楕円偏光板A01〜A21に比べて製造工程が格段に複雑であり、製造時間が非常に長くかかった。この楕円偏光板の厚みは239μmであり、光線透過率は0.50%であった。
λ/4板として、上記表3に記載のフィルムa7を用いたこと以外は比較例3と同様にして楕円偏光板を得た。この楕円偏光板は、楕円偏光板A01〜A21に比べて製造工程が格段に複雑であり、製造時間が非常に長くかかった。この楕円偏光板の厚みは250μmであり、光線透過率は0.34%であった。
λ/4板として、上記表3に記載のフィルムa6を用いたこと以外は比較例4と同様にして楕円偏光板を得た。この楕円偏光板は、楕円偏光板A01〜A21に比べて製造工程が格段に複雑であり、製造時間が非常に長くかかった。この楕円偏光板の厚みは248μmであり、光線透過率は0.67%であった。
λ/4板として、上記表3に記載のフィルムa7を用いたこと以外は比較例4と同様にして楕円偏光板を得た。この楕円偏光板は、楕円偏光板A01〜A21に比べて製造工程が格段に複雑であり、製造時間が非常に長くかかった。この楕円偏光板の厚みは261μmであり、光線透過率は0.50%であった。
11 偏光子
12 第1の複屈折層
13 第2の複屈折層
14 第1の保護層
15 第2の保護層
20 液晶セル
100 液晶パネル
Claims (22)
- 透明保護フィルムの表面に配向処理を施す工程と、
該透明保護フィルムの該配向処理が施された表面に液晶組成物を塗工する工程と、
該液晶組成物中の液晶材料を該透明保護フィルムの配向方向に応じて配向させて、第1の複屈折層を形成する工程と、
該透明保護フィルムの該配向処理が施された表面と反対側の表面に偏光子を積層する工程と、
該第1の複屈折層の表面に高分子フィルムを積層して、第2の複屈折層を形成する工程とを含み、
該偏光子の吸収軸と該透明保護フィルムの配向方向のなす角度をα、該偏光子の吸収軸と前記第2の複屈折層の遅相軸のなす角度をβとしたとき、角度αおよびβが下記式(1)の関係を有する、楕円偏光板の製造方法:
2α+40°<β<2α+50° ・・・(1)。 - 前記偏光子および前記第1の複屈折層が形成された前記透明保護フィルムが共に長尺フィルムであり、前記偏光子の積層工程において、該偏光子および該保護フィルムの長辺同士が連続的に貼り合わせられる、請求項1に記載の製造方法。
- 前記第2の複屈折層を形成する高分子フィルムが長尺フィルムであり、前記第2の複屈折層を形成する工程において、前記偏光子、前記第1の複屈折層が形成された前記透明保護フィルム、および該高分子フィルムの長辺同士が連続的に貼り合わせられる、請求項1または2に記載の製造方法。
- 前記配向処理の方向が、前記偏光子の吸収軸に対して、+8°〜+38°または−8°〜−38°である、請求項1から3のいずれかに記載の製造方法。
- 前記配向処理が、ラビング処理、斜方蒸着法、延伸処理、光配向処理、磁場配向処理および電場配向処理からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1から4のいずれかに記載の製造方法。
- 前記配向処理がラビング処理であり、該ラビング処理が前記透明保護フィルム表面に直接行われる、請求項5に記載の製造方法。
- 前記液晶組成物が、液晶モノマーおよび液晶ポリマーの少なくとも一方を含む、請求項1から6のいずれかに記載の製造方法。
- 前記液晶組成物が重合性モノマーおよび/または架橋性モノマーを含み、前記液晶の配向工程が、重合処理および/または架橋処理を行うことをさらに含む、請求項1から7のいずれかに記載の製造方法。
- 前記液晶組成物が、重合開始剤および/または架橋剤をさらに含む、請求項8に記載の製造方法。
- 前記重合処理および/または架橋処理が、加熱または光照射により行われる、請求項8または9に記載の製造方法。
- 前記第1の複屈折層がλ/2板である、請求項1から10のいずれかに記載の製造方法。
- 前記第1の複屈折層の面内位相差が180〜300nmである、請求項11に記載の製造方法。
- 前記第2の複屈折層がλ/4板である、請求項1から12のいずれかに記載の製造方法。
- 前記第2の複屈折層の面内位相差が90〜180nmである、請求項13に記載の製造方法。
- 前記高分子フィルムが延伸フィルムである、請求項1から14のいずれかに記載の製造方法。
- 前記高分子フィルムの延伸方向が、前記偏光子の吸収軸に対して実質的に直交する方向である、請求項15に記載の製造方法。
- 前記透明保護フィルムが、セルロース系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂およびガラス質系ポリマーからなる群から選択される少なくとも1つのポリマーを含む、請求項1から16のいずれかに記載の製造方法。
- 前記第1の複屈折層と前記第2の複屈折層とが、接着剤層を介して貼り合わせられる、請求項1から17のいずれかに記載の製造方法。
- 請求項1から18のいずれかに記載の製造方法により製造された、楕円偏光板。
- 他の光学層をさらに有する、請求項19に記載の楕円偏光板。
- 請求項19または20に記載の楕円偏光板を含む、画像表示装置。
- 前記楕円偏光板が視認側に配置されている、請求項21に記載の画像表示装置。
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Legal Events
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A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090120 |
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A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090317 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090421 |