JP2006201746A - 楕円偏光板およびそれを用いた画像表示装置 - Google Patents

楕円偏光板およびそれを用いた画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】きわめて薄い、広帯域かつ広視野角の楕円偏光板およびその簡便な製造方法、ならびに楕円偏光板を用いた画像表示装置を提供すること。
【解決手段】 本発明の楕円偏光板は、偏光子と;該偏光子の片側に形成された保護層と;λ/2板として機能する第1の複屈折層と;λ/4板として機能する第2の複屈折層とをこの順に有し、偏光子の吸収軸と第1の複屈折層の遅相軸とのなす角度をα、偏光子の吸収軸と第2の複屈折層の遅相軸のなす角度をβとしたとき、角度αが10°〜20°または−10°〜−20°であり、角度βが65°〜85°または5°〜25°である。
【選択図】図1

Description

本発明は、楕円偏光板およびそれを用いた画像表示装置に関する。より詳細には、本発明は、きわめて薄い、広帯域かつ広視野角の楕円偏光板およびそれを用いた画像表示装置に関する。
液晶表示装置やエレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ等の各種画像表示装置には、一般に、光学的な補償を行うために、偏光フィルムと位相差板とを組み合わせた様々な光学フィルムが使用されている。
上記光学フィルムの一種である円偏光板は、通常、偏光フィルムとλ/4板とを組み合わせることによって製造できる。しかし、λ/4板は、波長が短波長側になるに従って位相差値が大きくなる特性、いわゆる「正の波長分散特性」を示し、また、その波長分散特性が大きいものが一般的である。このために、広い波長範囲にわたって、所望の光学特性(例えば、λ/4板としての機能)を発揮できないという問題がある。このような問題を回避するために、近年、波長が長波長側になるに従って位相差値が大きくなる波長分散特性、いわゆる「逆分散特性」を示す位相差板として、例えば、ノルボルネン系フィルムおよび変性ポリカーボネート系フィルムが提案されている。しかし、これらのフィルムにはコストの面で問題がある。
そこで、現在では、正の波長分散特性を有するλ/4板について、例えば、長波長側になるに従って位相差値が大きくなる位相差板や、λ/2板を組み合わせることによって、上記λ/4板の波長分散特性を補正する方法が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
このように、偏光フィルムとλ/4板とλ/2板とを組み合わせる場合、それぞれの光軸、すなわち偏光フィルムの吸収軸と各位相差板の遅相軸との角度を調整する必要がある。しかし、偏光フィルムも、延伸フィルムからなる位相差板も、その光軸が一般に延伸方向に依存するので、吸収軸と遅相軸とが所望の角度となるようこれらを積層するには、それぞれのフィルムを光軸の方向に応じて切り抜いてから積層する必要がある。具体的に説明すると、通常、偏光フィルムの吸収軸は延伸方向と平行であり、位相差板の遅相軸もまた延伸方向と平行となる。このため、偏光フィルムと位相差板とを、例えば、吸収軸と遅相軸との角度が45°となるように積層するには、いずれか一方のフィルムを長手方向(延伸方向)に対して45°の方向に切り出す必要がある。このようにフィルムを切り出した上で貼り付けを行う場合には、例えば、切り出した各フィルムにおいて光軸の角度にばらつきが生じるおそれがあり、結果として製品間に品質のばらつきが生じるという問題がある。また、コストや時間がかかるという問題もある。さらに、切り抜きによって廃棄物が増加し、大型フィルムの製造が困難であるとの問題もある。
このような問題に対しては、例えば、偏光フィルムや位相差板を斜め方向に延伸する等、延伸方向を調節する方法も報告されているが(例えば、特許文献2参照)、調節が困難であるとの問題がある。
さらに、近年、画像表示装置の薄型化への要求がますます大きくなってきている。それに伴い、円偏光板をはじめとする光学フィルムについても、薄型化への要求がますます大きくなってきている。
特許第3174367号 特開2003−195037号公報
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、きわめて薄い、広帯域かつ広視野角の楕円偏光板およびそれを用いた画像表示装置を提供することにある。
本発明者らは、楕円偏光板の特性について鋭意検討した結果、特定の基材に液晶材料とカイラル剤とを含む液晶組成物を塗工し、形成された複屈折層を転写して、きわめて薄く、かつ、優れた光学特性を有するλ/4板を形成することにより、上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の楕円偏光板は、偏光子と;該偏光子の片側に形成された保護層と;λ/2板として機能する第1の複屈折層と;λ/4板として機能する第2の複屈折層とをこの順に有し、該偏光子の吸収軸と該第1の複屈折層の遅相軸とのなす角度をα、該偏光子の吸収軸と該第2の複屈折層の遅相軸のなす角度をβとしたとき、角度αが10°〜20°または−10°〜−20°であり、角度βが65°〜85°または5°〜25°である。好ましい実施形態においては、上記第1の複屈折層の厚みは0.5〜5μmである。また、上記第2の複屈折層の厚みは0.3〜3μmである。
好ましい実施形態においては、上記第1の複屈折層は液晶材料を用いて形成され、上記第2の複屈折層は液晶材料とカイラル剤とを含む液晶組成物を用いて形成されている。好ましい実施形態においては、上記第2の複屈折層を形成する上記液晶材料は下記式(4)〜(19)で表される化合物の少なくとも1つであり、上記カイラル剤は下記式(24)〜(44)で表される化合物の少なくとも1つである。特に好ましい実施形態においては、液晶材料は下記式(10)で表される化合物であり、カイラル剤は下記式(32)で表される化合物である:
Figure 2006201746
Figure 2006201746
Figure 2006201746
本発明の別の局面によれば、楕円偏光板の製造方法が提供される。この製造方法は、透明保護フィルム(T)の表面に配向処理を施す工程と;透明保護フィルム(T)の該配向処理を施した表面に第1の複屈折層を形成する工程と;透明保護フィルム(T)の表面に偏光子を積層する工程とを含み、該偏光子と該第1の複屈折層が、互いに透明保護フィルム(T)を介して反対側に配置され、該第1の複屈折層の表面に第2の複屈折層を積層する工程を含む。好ましい実施形態においては、上記透明保護フィルム(T)、上記第1の複屈折層、上記偏光子および上記第2の複屈折層は長尺フィルムであり、その長辺同士を貼り合わせて積層する。
好ましい実施形態においては、上記第1の複屈折層を形成する工程は、液晶材料を含有する塗工液を塗工する工程と、該塗工された液晶材料を該液晶材料が液晶相を示す温度で処理して配向させる工程とを含む。さらに好ましい実施形態においては、上記液晶材料は重合性モノマーおよび/または架橋性モノマーを含み、上記液晶材料の配向工程は、重合処理および/または架橋処理を行うことをさらに含む。好ましい実施形態においては、上記重合処理および/または架橋処理は、加熱または光照射により行われる。
好ましい実施形態においては、上記第2の複屈折層を積層する工程は、液晶材料とカイラル剤とを含有する塗工液を基材に塗工する工程と、該塗工液を該液晶材料が液晶相を示す温度で処理して該基材上に第2の複屈折層を形成する工程と、該基材上に形成された該第2の複屈折層を上記第1の複屈折層の表面に転写する工程とを含む。好ましい実施形態においては、上記塗工液は、上記液晶材料100重量部に対して上記カイラル剤を0.03〜0.11重量部の割合で含有する。好ましい実施形態においては、上記基材は、延伸処理および再結晶処理を施して得られたポリエチレンテレフタレートフィルムである。好ましい実施形態においては、上記基材は、該基材表面に対する配向処理を施すことなく上記塗工液の塗工工程に用いられる。
本発明のさらに別の局面によれば、画像表示装置が提供される。この画像表示装置は、上記の楕円偏光板を含む。
以上のように、本発明によれば、第1の複屈折層および第2の複屈折層を液晶材料で形成することにより、これらを高分子延伸フィルムで形成する場合に比べてnxとnyとの差を格段に大きくすることができる。その結果、第1の複屈折層をλ/2板として機能させるための所望の面内位相差が得られる厚みを従来に比べて格段に薄くすることができ、かつ、第2の複屈折層をλ/4板として機能させるための所望の面内位相差が得られる厚みを従来に比べて格段に薄くすることができる。したがって、本発明の楕円偏光板は、従来の楕円偏光板に比べて格段に薄くなり、画像表示装置の薄型化に大きく貢献し得る。また、本発明の楕円偏光板は、第1の複屈折層および第2の複屈折層の液晶材料を重合または架橋することにより配向を固定化しているので、従来の楕円偏光板に比べて格段に優れた耐熱性を有する。その結果、高温環境下(例えば、車載用途)においても光学特性が低下しないという格別の効果を有する。
加えて、本発明によれば、液晶材料に対して所定量(微小量)のカイラル剤を用いて第2の複屈折層を形成することにより、ネガティブCプレート(nx=ny>nz)を形成することなく遅相軸の方向をずらすことができる。すなわち、遅相軸を消滅させることなくその方向をずらすことができる。その結果、第2の複屈折層の遅相軸の方向を、偏光子の吸収軸に対して平行または直交以外の方向に設定することが可能となる。従来、楕円偏光板において、λ/4板の遅相軸の方向を偏光子の吸収軸に対して平行または直交する方向から外すことにより光漏れが防止されることは経験的に示唆されていたが、そのようなλ/4板を実用可能に積層することは実質的に不可能であった(λ/4板を斜め方向に打ち抜くか、軸をずらして貼り合わせなければならないので、製造効率が実用的に許容不可能であった)。本発明によれば、長尺の偏光子と、当該偏光子の吸収軸に対して平行または直交以外の方向に遅相軸を有する長尺のλ/4板とを、それらの長手方向を揃えて(いわゆるロールtoロールで)連続的に貼りあわせることができる。したがって、偏光子の吸収軸に対して平行または直交以外の方向に遅相軸を有する長尺のλ/4板を非常に高い製造効率で積層することが可能となる。その結果、光漏れを顕著に防止し得る楕円偏光板(従来は実質的に製造不可能であった)を得ることができる。従来はカイラル剤を使用するとネガティブCプレートが形成され遅相軸が消滅していたが、カイラル剤を微小量使用することにより遅相軸を消滅させずにずらすことができることがわかった。このように、カイラル剤の使用量を最適化することにより遅相軸の方向を制御できたことは、本発明の大きな成果の1つである。
A.楕円偏光板
A−1.楕円偏光板の全体構成
図1は、本発明の好ましい実施形態による楕円偏光板の概略断面図である。図2は、図1の楕円偏光板を構成する各層の光軸を説明する分解斜視図である。図1に示すように、この楕円偏光板10は、偏光子11と保護層(透明保護フィルム)12と第1の複屈折層13と第2の複屈折層14とを有する。実用的には、本発明の楕円偏光板は、偏光子の保護層(透明保護フィルム)12が積層されていない側に、第2の保護層(透明保護フィルム)15を有し得る。
上記第1の複屈折層13は、いわゆるλ/2板として機能し得る。本明細書において、λ/2板とは、ある特定の振動方向を有する直線偏光を、当該直線偏光の振動方向とは直交する振動方向を有する直線偏光に変換したり、右円偏光を左円偏光に(または、左円偏光を右円偏光に)変換したりする機能を有するものをいう。上記第2の複屈折層14は、いわゆるλ/4板として機能し得る。本明細書において、λ/4板とは、ある特定の波長の直線偏光を円偏光に(または、円偏光を直線偏光に)変換する機能を有するものをいう。
図2は、本発明の好ましい実施形態による楕円偏光板を構成する各層の光軸を説明する分解斜視図である(なお、図2においては、見易くするために第2の保護層15を省略している)。図2に示すように、上記第1の複屈折層13は、その遅相軸Bが偏光子11の吸収軸Aに対して所定の角度αを規定するようにして積層され、上記第2の複屈折層14は、その遅相軸Cが偏光子11の吸収軸Aに対して所定の角度βを規定するようにして積層されている。角度αと角度βとの関係は、好ましくは2α+40°<β<2α+50°であり、さらに好ましくは2α+42°<β<2α+48°であり、とりわけ好ましくは2α+43°<β<2α+47°であり、最も好ましくはβ=2α+45°である。角度αと角度βがこのような関係を有することにより、非常に優れた円偏光特性を有する偏光板が得られ得る。しかも、この関係は包括的であるので、製品ごとに試行錯誤して積層方向を検討する必要がない。すなわち、偏光子とλ/2板とλ/4板のほとんどの組み合わせにおいて、この関係を用いることにより、非常に優れた円偏光特性が実現され得る。より具体的には、角度αは、10°〜20°または−10°〜−20°であり、好ましくは13°〜19°または−13°〜−19°であり、さらに好ましくは14°〜18°または−14°〜−18°である。したがって、最も好ましい実施形態(β=2α+45°)においては、角度βは、65°〜85°または5°〜25°であり、好ましくは71°〜83°または7°〜19°であり、さらに好ましくは73°〜81°または9°〜17°である。第2の複屈折層と偏光子とがこのような角度βをなすようにして積層されることにより、光漏れが顕著に防止され得る。平行(0°±0.5°)または直交(90°±0.5°)以外の角度βを規定する第2の複屈折層を実現したことが、本発明の特徴の1つである。
本発明の楕円偏光板の全体厚みは、好ましくは80〜200μmであり、さらに好ましくは90〜130μmであり、最も好ましくは100〜120μmである。本発明によれば、第1の複屈折層および第2の複屈折層を液晶材料(後述)で形成することにより、第1の複屈折層をλ/2板として機能させるための厚みを従来に比べて格段に薄くすることができ、かつ、第2の複屈折層をλ/4板として機能させるための厚みを従来に比べて格段に薄くすることができる。その結果、本発明の楕円偏光板は、従来の楕円偏光板に比べて、全体厚みが最小で4分の1程度にまで薄くすることができ、液晶表示装置の薄型化に大きく貢献し得る。以下、本発明の楕円偏光板を構成する各層の詳細について説明する。
A−2.第1の複屈折層
上記のように、第1の複屈折層13は、いわゆるλ/2板として機能し得る。第1の複屈折層がλ/2板として機能することにより、λ/4板として機能する第2の複屈折層の波長分散特性(特に、位相差がλ/4を外れる波長範囲)について、位相差が適切に調節され得る。このような第1の複屈折層の面内位相差(Δnd)は、波長590nmにおいて、好ましくは210〜330nmであり、さらに好ましくは230〜310nmであり、最も好ましくは245〜295nmである。なお、面内位相差(Δnd)は、式Δnd=(nx−ny)×dから求められる。ここで、nxは面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、nyは面内で遅相軸に垂直な方向の屈折率である。dは第1の複屈折層の厚さである。さらに、上記第1の複屈折層13は、nx>ny=nzの屈折率分布を有することが好ましい。本明細書において、「ny=nz」は、nyとnzが厳密に等しい場合のみならず、nyとnzが実質的に等しい場合も包含する。本明細書において「実質的に等しい」とは、楕円偏光板の全体的な偏光特性に実用上の影響を与えない範囲でnxとnyが異なる場合も包含する趣旨である。
上記第1の複屈折層の厚みは、λ/2板として最も適切に機能し得るように設定され得る。言い換えれば、厚みは、所望の面内位相差が得られるように設定され得る。具体的には、厚みは、好ましくは0.5〜5μmであり、さらに好ましくは1〜4μmであり、最も好ましくは1.5〜3μmである。
上記第1の複屈折層を形成する材料としては、上記のような特性が得られる限りにおいて任意の適切な材料が採用され得る。液晶材料が好ましく、液晶相がネマチック相である液晶材料(ネマチック液晶)がさらに好ましい。このような液晶材料としては、例えば、液晶ポリマーや液晶モノマーが使用可能である。液晶材料の液晶性の発現機構は、リオトロピックでもサーモトロピックでもどちらでもよい。また、液晶の配向状態は、ホモジニアス配向であることが好ましい。
上記液晶材料が液晶モノマーである場合、例えば、重合性モノマーまたは架橋性モノマーであることが好ましい。これは、後述するように、重合性モノマーまたは架橋性モノマーを重合または架橋させることによって、液晶材料の配向状態を固定できるためである。液晶モノマーを配向させた後に、例えば、液晶モノマー(重合性モノマーまたは架橋性モノマー)同士を重合または架橋させれば、それによって上記配向状態を固定することができる。ここで、重合によりポリマーが形成され、架橋により3次元網目構造が形成されることとなるが、これらは非液晶性である。したがって、形成された第1の複屈折層は、例えば、液晶性化合物に特有の温度変化による液晶相、ガラス相、結晶相への転移が起きることはない。その結果、第1の複屈折層は、温度変化に影響されない、極めて安定性に優れた複屈折層となる。
上記液晶モノマーとしては、任意の適切な液晶モノマーが採用され得る。例えば、特表2002−533742(WO00/37585)、EP358208(US5211877)、EP66137(US4388453)、WO93/22397、EP0261712、DE19504224、DE4408171、およびGB2280445等に記載の重合性メソゲン化合物等が使用できる。このような重合性メソゲン化合物の具体例としては、例えば、BASF社の商品名LC242、Merck社の商品名E7、Wacker−Chem社の商品名LC−Sillicon−CC3767が挙げられる。
上記液晶モノマーとしては、例えば、ネマチック性液晶モノマーが好ましく、具体的には、下記式(1)で表されるモノマーが挙げられる。これらの液晶モノマーは、単独で、または2つ以上を組み合わせて用いられ得る。
Figure 2006201746
上記式(1)において、A1およびA2は、それぞれ重合性基を表し、同一でも異なっていてもよい。また、A1およびA2はいずれか一方が水素であってもよい。Xは、それぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−C=N−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CO−NR−、−NR−CO−、−NR−、−O−CO−NR−、−NR−CO−O−、−CH2−O−または−NR−CO−NRを表し、Rは、HまたはC1〜C4アルキルを表し、Mはメソゲン基を表す。
上記式(1)において、Xは同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
上記式(1)のモノマーの中でも、A2は、それぞれ、A1に対してオルト位に配置されていることが好ましい。
さらに、上記A1およびA2は、それぞれ独立して、下記式
Z−X−(Sp)n ・・・(2)
で表されることが好ましく、A1およびA2は同じ基であることが好ましい。
上記式(2)において、Zは架橋性基を表し、Xは上記式(1)で定義した通りであり、Spは、1〜30個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の置換または非置換のアルキル基からなるスペーサーを表し、nは、0または1を表す。上記Spにおける炭素鎖は、例えば、エーテル官能基中の酸素、チオエーテル官能基中の硫黄、非隣接イミノ基またはC1〜C4のアルキルイミノ基等により割り込まれていてもよい。
上記式(2)において、Zは、下記式で表される原子団のいずれかであることが好ましい。下記式において、Rとしては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル等の基が挙げられる。
Figure 2006201746
また、上記式(2)において、Spは、下記式で表される原子団のいずれかであることが好ましく、下記式において、mは1〜3、pは1〜12であることが好ましい。
Figure 2006201746
上記式(1)において、Mは、下記式(3)で表されることが好ましい。下記式(3)において、Xは、上記式(1)において定義したのと同様である。Qは、例えば、置換または非置換の直鎖もしくは分枝鎖アルキレンもしくは芳香族炭化水素原子団を表す。Qは、例えば、置換または非置換の直鎖もしくは分枝鎖C1〜C12アルキレン等であり得る。
Figure 2006201746
上記Qが芳香族炭化水素原子団である場合、例えば、下記式に表されるような原子団や、それらの置換類似体が好ましい。
Figure 2006201746
上記式で表される芳香族炭化水素原子団の置換類似体としては、例えば、芳香族環1個につき1〜4個の置換基を有してもよく、また、芳香族環または基1個につき、1または2個の置換基を有してもよい。上記置換基は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。上記置換基としては、例えば、C1〜C4アルキル、ニトロ、F、Cl、Br、I等のハロゲン、フェニル、C1〜C4アルコキシ等が挙げられる。
上記液晶モノマーの具体例としては、例えば、下記式(4)〜(19)で表されるモノマーが挙げられる。
Figure 2006201746
上記液晶モノマーが液晶性を示す温度範囲は、その種類に応じて異なる。具体的には、当該温度範囲は、好ましくは40〜120℃であり、さらに好ましくは50〜100℃であり、最も好ましくは60〜90℃である。
A−3.第2の複屈折層
上記のように、第2の複屈折層14は、いわゆるλ/4板として機能し得る。本発明によれば、λ/4板として機能する第2の複屈折層の波長分散特性を、上記λ/2板として機能する第1の複屈折層の光学特性によって補正することによって、広い波長範囲での円偏光機能を発揮することができる。このような第2の複屈折層の面内位相差(Δnd)は、波長590nmにおいて、好ましくは80〜200nmであり、さらに好ましくは100〜180nmであり、最も好ましくは120〜160nmである。第2の複屈折層のNz係数(=(nx−nz)/(nx−ny))は、好ましくは1.0〜1.5であり、さらに好ましくは1.2〜1.3である。さらに、上記第2の複屈折層14は、nx>ny>nzの屈折率分布を有することが好ましい。
上記第2の複屈折層の厚みは、λ/4板として最も適切に機能し得るように設定され得る。言い換えれば、厚みは、所望の面内位相差が得られるように設定され得る。具体的には、厚みは、好ましくは0.3〜3μmであり、さらに好ましくは0.5〜2.5μmであり、最も好ましくは0.8〜2μmである。このような非常に薄い第2の複屈折層(λ/4板)を実現したことが本発明の特徴の1つである。例えば、従来の延伸フィルムによるλ/4板の厚みは60μm程度であるのに対して、本発明の楕円偏光板によれば、その1/20〜1/200程度の厚みを有するλ/4板(第2の複屈折層)が実現可能である。
上記第2の複屈折層を形成する材料としては、上記のような特性が得られる限りにおいて任意の適切な材料が採用され得る。好ましくは、第2の複屈折層は、液晶材料とカイラル剤とを含む液晶組成物から形成される。液晶材料を用いることにより、従来の高分子延伸フィルム(例えば、ノルボルネン系樹脂、ポリカーボネート樹脂)に比べてnxとnyの差を格段に大きくできるので、λ/4板に所望される面内位相差を得るための厚みを格段に薄くできる。さらに、所定量のカイラル剤を併用することにより、得られる第2の複屈折層の遅相軸を所望の方向に変化させることができる。液晶材料およびカイラル剤はいずれも、単独で、または2種以上を組み合わせて用いられ得る。
上記液晶材料としては、上記第1の複屈折層に用いられる材料と同様の材料が用いられ得る。液晶材料の詳細は、上記A−2項に記載したとおりである。
上記カイラル剤としては、液晶材料を所望の方向に配向させて第2の複屈折層の遅相軸を所望の方向に発現させ得る任意の適切な材料が採用され得る。例えば、このようなカイラル剤のねじり力は、好ましくは1×10−6nm−1・(wt%)−1以上であり、さらに好ましくは1×10−5nm−1・(wt%)−1〜1×10−2nm−1・(wt%)−1であり、最も好ましくは1×10−4nm−1・(wt%)−1〜1×10−3nm−1・(wt%)−1である。このようなねじり力を有するカイラル剤を所定量用いることにより、第2の複屈折層の遅相軸を所望の方向に発現させることができる。なお、本明細書において、「ねじり力」とは、カイラル剤が液晶材料にねじれを与えて第2の複屈折層の遅相軸をずらす能力のことを意味する。
上記カイラル剤は、好ましくは重合性カイラル剤である。重合性カイラル剤の具体例としては、下記一般式(20)〜(23)で表されるカイラル化合物が挙げられる。
(Z−XCh ・・・(20)
(Z−X−Sp−XCh ・・・(21)
(P−XCh ・・・(22)
(Z−X−Sp−X−M−XCh ・・・(23)
上記式(20)〜(23)において、ZおよびSpは上記式(2)で定義したとおりであり、X、XおよびXは、互いに独立して、化学的単結合、−O−、−S−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CO−NR−、−NR−CO−、−O−CO−NR−、−NR−CO−O−、−NR−CO−NR−を表し、Rは、H、C1〜C4アルキルを表す。また、Xは、化学的単結合、−O−、−S−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CO−NR−、−NR−CO−、−O−CO−NR−、−NR−CO−O−、−NR−CO−NR、−CH2O−、−O−CH2−、−CH=N−、−N=CH−または−N≡N−を表す。Rは、上記と同様に、H、C1〜C4アルキルを表す。Mは、上記と同様にメソゲン基を表し、Pは、水素、1〜3個のC1〜C6アルキルによって置換されたC1〜C30アルキル基、C1〜C30アシル基またはC3〜C8シクロアルキル基を表し、nは、1〜6の整数である。Chはn価のカイラル基を表す。上記式(23)において、XおよびXは、少なくともその一方が、−O−CO−O−、−O−CO−NR−、−NR−CO−O−または−NR−CO−NR−であることが好ましい。また、上記式(22)において、Pがアルキル基、アシル基またはシクロアルキル基である場合、例えば、その炭素鎖が、エーテル官能基内の酸素、チオエーテル官能基内の硫黄、非隣接イミノ基またはC1〜C4アルキルイミノ基によって割り込まれてもよい。
上記Chで表されるカイラル基としては、例えば、下記式に表される原子団が挙げられる。
Figure 2006201746
Figure 2006201746
上記原子団において、Lは、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、ハロゲン、COOR、OCOR、CONHRまたはNHCORを表し、Rは、C1〜C4アルキルを表す。なお、上記式に表した原子団における末端は、隣接する基との結合手を示す。
上記原子団の中でも、下記式で表される原子団が特に好ましい。
Figure 2006201746
また、上記式(21)または(23)で表されるカイラル化合物は、例えば、nが2であり、ZがH2C=CH−であり、Chが下記式で表される原子団であることが好ましい。
Figure 2006201746
上記カイラル化合物の具体例としては、例えば、下記式(24)〜(44)で表される化合物が挙げられる。なお、これらのカイラル化合物は、ねじり力が1×10−6nm−1・(wt%)−1以上である。
Figure 2006201746
Figure 2006201746
上記のようなカイラル化合物の他にも、例えば、RE−A4342280号およびドイツ国特許出願19520660.6号および19520704.1号に記載されるカイラル化合物が好ましく使用できる。
なお、上記液晶材料と上記カイラル剤の組み合わせとしては、目的に応じて任意の適切な組み合わせが採用され得る。特に好ましい組み合わせとしては、上記式(10)の液晶モノマー/上記式(32)のカイラル剤の組み合わせ、上記式(10)の液晶モノマー/上記式(38)のカイラル剤の組み合わせ、上記式(11)の液晶モノマー剤/上記式(39)のカイラル剤の組み合わせ等が挙げられる。
上記カイラル剤は、上記液晶材料100重量部に対して好ましくは0.03〜0.11重量部、さらに好ましくは0.045〜0.105重量部、最も好ましくは0.05〜0.09重量部の割合で使用され得る。カイラル剤の使用量が0.03重量部未満である場合には、液晶材料にねじれが十分に付与されず、第2の複屈折層の遅相軸が十分にずれない場合がある。カイラル剤の使用量が0.11重量部を超える場合には、液晶材料がコレステリック配向してしまい、ネガティブCプレート(nx=ny>nz)が形成されてしまう場合がある。その結果、第2の複屈折層に遅相軸が形成されない場合がある。カイラル剤の使用量をこのような範囲で調整することにより、ネガティブCプレートを形成することなく遅相軸をずらすことを実現したことが、本発明の特徴の1つである。
上記液晶組成物は、必要に応じて、重合開始剤および架橋剤(硬化剤)の少なくとも一方をさらに含む。重合開始剤および/または架橋剤(硬化剤)を用いることにより、液晶材料が液晶状態において形成したずれを固定化することができる。その結果、第2の複屈折層において、所望の方向にずれた遅相軸を安定的に形成することができる。このような重合開始剤または架橋剤としては、本発明の効果が得られる限りにおいて任意の適切な物質が採用され得る。重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド(BPO)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)が挙げられる。架橋剤(硬化剤)としては、例えば、紫外線硬化剤、光硬化剤、熱硬化剤が挙げられる。より具体的には、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート架橋剤等が挙げられる。これらは、単独で、または2種以上を組み合わせて用いられ得る。液晶組成物中の重合開始剤または架橋剤の含有量は、好ましくは0.1〜10重量%であり、さらに好ましくは0.5〜8重量%であり、最も好ましくは1〜5重量%である。含有量が0.1重量%未満である場合には、液晶材料のずれの固定化が不十分となる場合がある。含有量が10重量%を超えると、上記液晶材料が液晶状態を示す温度範囲が狭くなるので、第2の複屈折層を形成する際の温度制御が困難となる場合がある。
上記液晶組成物は、必要に応じて、任意の適切な添加剤をさらに含有し得る。添加剤としては、老化防止剤、変性剤、界面活性剤、染料、顔料、変色防止剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。これらの添加剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いられ得る。より具体的には、上記老化防止剤としては、例えば、フェノール系化合物、アミン系化合物、有機硫黄系化合物、ホスフィン系化合物が挙げられる。上記変性剤としては、例えば、グリコール類、シリコーン類やアルコール類が挙げられる。上記界面活性剤は、例えば、複屈折層の表面を平滑にするために添加され、例えば、シリコーン系、アクリル系、フッ素系の界面活性剤が使用でき、特にシリコーン系界面活性剤が好ましい。
A−4.偏光子
上記偏光子11としては、目的に応じて任意の適切な偏光子が採用され得る。例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらのなかでも、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素などの二色性物質を吸着させて一軸延伸した偏光子が、偏光二色比が高く特に好ましい。これら偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に、1〜80μm程度である。
ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を吸着させて一軸延伸した偏光子は、例えば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいても良いし、ヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗しても良い。
ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるだけでなく、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸しても良いし、また延伸してからヨウ素で染色しても良い。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液中や水浴中でも延伸することができる。
A−5.保護層
上記保護層12および第2の保護層15は、偏光板の保護フィルムとして使用できる任意の適切なフィルムからなる。好ましくは透明保護フィルムである。このようなフィルムの主成分となる材料の具体例としては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノルボルネン系、ポリオレフィン系、アクリル系、アセテート系等の透明樹脂等が挙げられる。また、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等も挙げられる。この他にも、例えば、シロキサン系ポリマー等のガラス質系ポリマーも挙げられる。また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルムも使用できる。このフィルムの材料としては、例えば、側鎖に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換または非置換のフェニル基ならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が使用でき、例えば、イソブテンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物が挙げられる。上記ポリマーフィルムは、例えば、上記樹脂組成物の押出成形物であり得る。TAC、ポリイミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ガラス質系ポリマーが好ましく、TACがさらに好ましい。
上記保護層は、透明で、色付きが無いことが好ましい。具体的には、厚み方向の位相差値Rthが、好ましくは−90nm〜+90nmであり、さらに好ましくは−80nm〜+80nmであり、最も好ましくは−70nm〜+70nmである。厚み方向位相差Rthは、d(nm)をフィルム(層)の厚みとしたとき、式:Rth={(nx+ny)/2−nz}×dによって求められる。
上記保護層の厚みとしては、上記の好ましい厚み方向の位相差が得られる限りにおいて、任意の適切な厚みが採用され得る。具体的には、保護層の厚みは、好ましくは5mm以下であり、さらに好ましくは1mm以下であり、特に好ましくは1〜500μmであり、最も好ましくは5〜150μmである。
第2の保護層15の偏光子と反対側の表面(すなわち、楕円偏光板の最外部)には、必要に応じて、ハードコート処理、反射防止処理、スティッキング防止処理、アンチグレア処理等が施され得る。
B.楕円偏光板の製造方法
本発明の好ましい実施形態における楕円偏光板の製造方法は、透明保護フィルム(T)(最終的に保護層12となる)の表面に配向処理を施す工程と;透明保護フィルム(T)の該配向処理を施した表面に第1の複屈折層を形成する工程と;透明保護フィルム(T)の表面に偏光子を積層する工程とを含み、該偏光子と該第1の複屈折層が、互いに透明保護フィルム(T)を介して反対側に配置され、該第1の複屈折層の表面に第2の複屈折層を積層する工程を含む。このような製造方法によれば、例えば、図1および図2に示すような楕円偏光板が得られる。上記の各工程の順序および/または配向処理が施されるフィルムは、目的に応じて適宜変更され得る。例えば、偏光子の積層工程は、いずれの複屈折層の形成工程または積層工程の後に行ってもよい。また例えば、配向処理は透明保護フィルム(T)に施されてもよく、任意の適切な基材に施してもよい。基材に配向処理を施す場合には、当該基材上に形成されたフィルム(具体的には、第1の複屈折層)は、楕円偏光板の所望の積層構造に応じて適切な順序で転写(積層)され得る。以下、各工程の詳細について説明する。
B−1.透明保護フィルムの配向処理
透明保護フィルム(T)(最終的に保護層12となる)の表面に配向処理を施し、当該表面に所定の液晶材料を含む塗工液を塗工することにより、図2に示すように、偏光子11の吸収軸に対して角度αをなすような遅相軸Bを有する第1の複屈折層13を形成することができる(第1の複屈折層の形成工程は後述する)。
上記透明保護フィルム(T)への配向処理としては、任意の適切な配向処理が採用され得る。具体例としては、ラビング処理、斜方蒸着法、延伸処理、光配向処理、磁場配向処理、電場配向処理等が挙げられる。好ましくはラビング処理である。なお、各種配向処理の処理条件は、目的に応じて任意の適切な条件が採用され得る。
上記配向処理の配向方向は、透明保護フィルム(T)と偏光子を積層した場合に偏光子の吸収軸と所定の角度をなすような方向である。この配向方向は、後述するように、形成される第1の複屈折層13の遅相軸Bの方向と実質的に同一である。したがって、上記所定の角度は、10°〜20°または−10°〜−20°であり、好ましくは13°〜19°または−13°〜−19°であり、さらに好ましくは14°〜18°または−14°〜−18°である。
長尺の透明保護フィルム(T)に対して上記のような所定の角度を規定し得る配向処理としては、長尺の透明保護フィルム(T)の長手方向に処理を行うこと、ならびに、長尺の透明保護フィルム(T)の長手方向またはその垂直方向(幅方向)に対して斜め方向(具体的には、上記のような所定の角度を規定する方向)に処理を行うことが挙げられる。偏光子は、前述したように二色性物質で染色したポリマーフィルムを延伸して製造されており、その延伸方向に吸収軸を有している。そして、偏光子を大量生産する際には、長尺のポリマーフィルムを準備し、その長手方向に連続的に延伸が行われている。したがって、長尺の偏光子と長尺の透明保護フィルム(T)との貼り合わせを行う場合には、両者の長手方向が偏光子の吸収軸方向となる。このため、偏光子の吸収軸に対して所定の角度をなすような方向に配向させるには、斜め方向に配向処理を行うことが望ましい。偏光子の吸収軸の方向と長尺フィルム(偏光子および透明保護フィルム(T))の長手方向は実質的に一致するので、配向処理の方向は、長手方向に対して上記所定の角度をなす方向に行えばよい。一方、透明保護フィルムの長手方向または幅方向に処理を行う場合には、透明保護フィルムを斜め方向に切り抜いてから積層する必要がある。その結果、切り出した各フィルムにおいて光軸の角度にばらつきが生じるおそれがあり、結果として製品間に品質のばらつきが生じ得、コストや時間がかかり、廃棄物が増加し、大型フィルムの製造が困難となる。
配向処理は、透明保護フィルム(T)表面に直接施してもよく、任意の適切な配向層(代表的には、ポリイミド層またはポリビニルアルコール層)を形成し、当該配向層に施してもよい。
B−2.第1の複屈折層を形成する液晶材料の塗工工程
次に、上記配向処理を施した透明保護フィルム(T)表面に上記A−2項で説明したような液晶材料を含有する塗工液を塗工し、次いで当該液晶材料を配向させて第1の複屈折層を形成する。具体的には、液晶材料を適切な溶媒に溶解または分散した塗工液を調製し、この塗工液を、上記配向処理を施した透明保護フィルム(T)表面に塗工すればよい。液晶材料の配向工程は後述のB−3項で説明する。
上記溶媒としては、上記液晶材料を溶解または分散し得る任意の適切な溶媒が採用され得る。使用される溶媒の種類は、液晶材料の種類等に応じて適宜選択され得る。溶媒の具体例としては、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、塩化メチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、フェノール、p−クロロフェノール、o−クロロフェノール、m−クレゾール、o−クレゾール、p−クレゾールなどのフェノール類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピルなどのエステル系溶媒、t−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオールのようなアルコール系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド系溶媒、アセトニトリル、ブチロニトリルのようなニトリル系溶媒、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル系溶媒、あるいは二硫化炭素、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、酢酸エチルセロソルブ等が挙げられる。好ましくは、トルエン、キシレン、メシチレン、MEK、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸エチルセロソルブである。これらの溶媒は、単独で、または2種類以上を組み合わせて用いられ得る。
上記塗工液における液晶材料の含有量は、液晶材料の種類や目的とする層の厚み等に応じて適宜設定され得る。具体的には、液晶材料の含有量は、好ましくは5〜50重量%であり、さらに好ましくは10〜40重量%であり、最も好ましくは15〜30重量%である。
上記塗工液は、必要に応じて任意の適切な添加剤をさらに含有し得る。添加剤の具体例としては、重合開始剤や架橋剤が挙げられる。これらは、液晶材料として液晶モノマー(重合性モノマーまたは架橋性モノマー)を用いる場合に特に好適に用いられる。重合開始剤および架橋剤の詳細は、上記A−3項に記載したとおりである。
上記塗工液の塗工量は、塗工液の濃度や目的とする層の厚み等に応じて適宜設定され得る。例えば、塗工液の液晶材料濃度が20重量%である場合、塗工量は、透明保護フィルム(T)の面積(100cm2)あたり好ましくは0.03〜0.17mlであり、さらに好ましくは0.05〜0.15mlであり、最も好ましくは0.08〜0.12mlである。
塗工方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。具体例としては、ロールコート法、スピンコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、エクストルージョン法、カーテンコート法、スプレコート法等が挙げられる。
B−3.第1の複屈折層を形成する液晶材料の配向工程
次いで、上記透明保護フィルム(T)表面の配向方向に応じて、第1の複屈折層を形成する液晶材料を配向させる。当該液晶材料の配向は、使用した液晶材料の種類に応じて、液晶相を示す温度で処理することにより行われる。このような温度処理を行うことにより、液晶材料が液晶状態をとり、上記透明保護フィルム(T)表面の配向方向に応じて当該液晶材料が配向する。これによって、塗工により形成された層に複屈折が生じ、第1の複屈折層が形成される。
上記のように処理温度は、液晶材料の種類に応じて適宜決定され得る。具体的には、処理温度は、好ましくは40〜120℃であり、さらに好ましくは50〜100℃であり、最も好ましくは60〜90℃である。また、処理時間は、好ましくは30秒以上であり、さらに好ましくは1分以上であり、特に好ましくは2分以上、最も好ましくは4分以上である。処理時間が30秒未満である場合には、液晶材料が十分に液晶状態をとらない場合がある。一方、処理時間は、好ましくは10分以下であり、さらに好ましくは8分以下であり、最も好ましくは7分以下である。処理時間が10分を超えると、添加剤が昇華するおそれがある。
また、液晶材料として上記A−2項に記載のような液晶モノマー(重合性モノマーおよび架橋性モノマー)を用いる場合には、上記塗工により形成された層に、さらに重合処理または架橋処理を施すことが好ましい。重合処理を行うことにより、上記液晶モノマーが重合し、液晶モノマーがポリマー分子の繰り返し単位として固定される。また、架橋処理を行うことにより、上記液晶モノマーが3次元の網目構造を形成し、液晶モノマーが架橋構造の一部として固定される。結果として、液晶材料の配向状態が固定される。なお、液晶モノマーが重合または架橋して形成されるポリマーまたは3次元網目構造は「非液晶性」である。したがって、形成された第1の複屈折層は、例えば、液晶分子に特有の温度変化による液晶相、ガラス相、結晶相への転移が起きることはない。その結果、温度に影響されない、非常に優れた安定性を有する第1の複屈折層が得られ得る。
上記重合処理または架橋処理の具体的手順は、使用する重合開始剤や架橋剤の種類によって適宜選択され得る。例えば、光重合開始剤または光架橋剤を使用する場合には光照射を行えばよく、紫外線重合開始剤または紫外線架橋剤を使用する場合には紫外線照射を行えばよく、熱による重合開始剤または架橋剤を使用する場合には加熱を行えばよい。光または紫外線の照射時間、照射強度、合計の照射量等は、液晶材料の種類、透明保護フィルム(T)の種類および配向処理の種類、第1の複屈折層に所望される特性等に応じて適宜設定され得る。同様に、加熱温度、加熱時間等も適宜設定され得る。
上記のような配向処理を行うことにより、上記透明保護フィルム(T)の配向方向に応じて液晶材料が配向するので、形成された第1の複屈折層の遅相軸Bは、上記透明保護フィルム(T)の配向方向と実質的に同一となる。したがって、第1の複屈折層の遅相軸Bの方向は、透明保護フィルム(T)の長手方向に対して、10°〜20°または−10°〜−20°、好ましくは13°〜19°または−13°〜−19°、さらに好ましくは14°〜18°または−14°〜−18°である。
B−4.偏光子の積層工程
偏光子を、上記透明保護フィルム(T)の表面に積層する。上記のように、偏光子の積層は、本発明の製造方法における任意の適切な時点で行われ得る。例えば、偏光子を予め透明保護フィルム(T)に積層しておいてもよく、第1の複屈折層を形成した後に積層してもよく、第2の複屈折層を形成した後に積層してもよい。
上記透明保護フィルム(T)と偏光子との積層方法としては、任意の適切な積層方法(例えば、接着)が採用され得る。接着は、任意の適切な接着剤または粘着剤を用いて行われ得る。接着剤または粘着剤の種類は、被着体(すなわち、透明保護フィルム(T)および偏光子)の種類に応じて適宜選択され得る。接着剤の具体例としては、アクリル系、ビニルアルコール系、シリコーン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系等のポリマー製接着剤、イソシアネート系接着剤、ゴム系接着剤等が挙げられる。粘着剤の具体例としては、アクリル系、ビニルアルコール系、シリコーン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、イソシアネート系、ゴム系等の粘着剤が挙げられる。
上記接着剤または粘着剤の厚みは、特に制限されないが、好ましくは10〜200nmであり、さらに好ましくは30〜180nmであり、最も好ましくは50〜150nmである。
本発明の製造方法によれば、上記透明保護フィルム(T)の配向処理において、第1の複屈折層の遅相軸を設定できるので、長手方向に延伸された(すなわち、長手方向に吸収軸を有する)長尺の偏光フィルム(偏光子)を使用することができる。つまり、長手方向に対して所定の角度をなすよう配向処理がなされた長尺の透明保護フィルム(T)と、長尺の偏光フィルム(偏光子)とを、それぞれの長手方向を揃えて(いわゆるロールtoロールで)連続的に貼りあわせることができる。したがって、非常に優れた製造効率で楕円偏光板が得られる。さらに、この方法によれば、フィルムを長手方向(延伸方向)に対して斜めに切り出して積層する必要がない。その結果、切り出した各フィルムにおいて光軸の角度にばらつきが生じることがなく、結果として製品間で品質のばらつきがない楕円偏光板が得られる。さらに、切り抜きによる廃棄物も生じないので、低コストで楕円偏光板が得られる。加えて、大型偏光板の製造も容易になる。
なお、偏光子の吸収軸の方向は、長尺フィルムの長手方向と実質的に平行である。本明細書において「実質的に平行」とは、長手方向と吸収軸方向との角度が0°±10°を包含する趣旨であり、好ましくは0°±5°であり、さらに好ましくは0°±3°である。
B−5.第2の複屈折層の積層工程
さらに、第2の複屈折層を上記第1の複屈折層の表面上に積層する。第2の複屈折層の積層工程の詳細な手順は以下の通りである。まず、第2の複屈折層を形成する液晶組成物(液晶材料とカイラル剤とを含む)を含有する塗工液を基材に塗工し、当該液晶組成物中の液晶材料を基材上で配向させる。当該液晶材料の配向は、使用した液晶材料の種類に応じて、液晶相を示す温度で処理することにより行われる。このような温度処理を行うことにより、液晶材料が液晶状態をとり、上記基材表面の配向方向に応じて当該液晶材料が配向する。これによって、塗工により形成された層に複屈折が生じ、第2の複屈折層が形成される。加えて、液晶組成物中のカイラル剤の効果により液晶材料が適切にねじられるので、得られる第2の複屈折層は、所望の方向にずれた遅相軸を有する。塗工液の塗工および液晶材料の配向処理についての詳細は、上記B−2項およびB−3項に記載の通りである。ただし、第2の複屈折層の厚みは第1の複屈折層の約半分となるので、塗工量も約半分となる。具体的には、塗工量は、基材の面積(100cm2)あたり好ましくは0.02〜0.08mlであり、さらに好ましくは0.03〜0.07mlであり、最も好ましくは0.04〜0.06mlである。
上記基材としては、本発明における適切な第2の複屈折層が得られる限りにおいて、任意の適切な基材が用いられる。好ましくは、上記基材は、延伸処理および再結晶処理を施して得られたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムである。より具体的には、PET樹脂を押出フィルム成形し、延伸し、次いで再結晶することにより基材が得られる。延伸方法は、横一軸延伸、縦横二軸延伸が好ましい。縦横二軸延伸においては、横方向の延伸倍率を縦方向の延伸倍率よりも大きくすることが好ましい。このような方法により、幅方向に配向軸を有する基材を得ることができる。また、基材はポリイミド層やポリビニルアルコール層を形成した後に延伸してもよい。延伸温度は、好ましくは120〜160℃である。延伸倍率は、好ましくは2〜7倍である。延伸方向は、第2の複屈折層に所望される遅相軸の方向に応じて設定され得る。本発明においては、第2の複屈折層の遅相軸を偏光子の吸収軸(長尺フィルムの長手方向)に対して平行または直交以外の方向にずらすのが好ましい。ここで、上記のように、第2の複屈折層の遅相軸の方向はカイラル剤の使用量を所定の範囲で変化させることにより制御され得るので、上記基材の延伸は、横方向(長手方向に対して直交する方向:偏光子の吸収軸に直交する方向)に行えばよい。このように、本発明においては、第2の複屈折層の遅相軸の方向を合わせるために打ち抜く必要がなく、ロールtoロールによる貼り合わせが可能となり、製造効率がさらに改善される。再結晶温度は、好ましくは150〜250℃である。このような温度範囲で再結晶化を行うことにより、PET分子の方向がより均一になり、配向軸のバラツキがきわめて小さい基材が得られ得る。基材の厚みは、好ましくは20〜100μmであり、さらに好ましくは30〜90μmであり、最も好ましくは30〜80μmである。このような範囲の厚みを有することにより、非常に薄い第2の複屈折層を積層工程において良好に支持する強度が付与され、かつ、すべり性やロール走行性のような操作性も適切に維持される。
上記のように、特定の延伸処理と再結晶処理とを組み合わせて行うことにより、配向軸のバラツキがきわめて小さい基材が得られ得る。具体的には、得られる基材の配向軸のバラツキは当該配向軸の平均方向に対して好ましくは±1°以内であり、さらに好ましくは±0.5°以内である。このような基材を用いることにより、液晶組成物を塗工する際に、基材表面に対する配向処理(例えば、ラビング処理、斜方蒸着法、延伸処理、光配向処理、磁場配向処理、電場配向処理)が省略され得る。その結果、非常に薄い楕円偏光板をきわめて優れた製造効率で作製することが可能となる。配向処理を省略し得る基材を用いて第2の複屈折層を形成したことが、本発明の大きな特徴の1つである。なお、このような基材は、東レ株式会社、三菱ポリエステル株式会社から入手可能である。
次に、上記基材上に形成された上記第2の複屈折層を上記第1の複屈折層の表面に転写する。転写方法は特に限定されず、例えば、基材に支持された第2の複屈折層を接着剤を介して第1の複屈折層と貼り合わせることにより行われる。上記接着剤としては、代表的には、硬化型接着剤が挙げられる。硬化型接着剤の代表例としては、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、湿気硬化型接着剤、熱硬化型接着剤が挙げられる。熱硬化型接着剤の具体例としては、エポキシ樹脂、イソシアネート樹脂およびポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂系接着剤が挙げられる。湿気硬化型接着剤の具体例としては、イソシアネート樹脂系の湿気硬化型接着剤が挙げられる。湿気硬化型接着剤(特に、イソシアネート樹脂系の湿気硬化型接着剤)が好ましい。湿気硬化型接着剤は、空気中の水分や被着体表面の吸着水、水酸基やカルボキシル基等の活性水素基等と反応して硬化するので、接着剤を塗工後、放置することによって自然に硬化させることができ、操作性に優れる。さらに、硬化のために加熱する必要がないので、第1および第2の複屈折層が貼り合わせ(接着)時に加熱されない。その結果、加熱収縮の心配がないので、本発明のように第1および第2の複屈折層がきわめて薄い場合であっても、積層時の割れ等が顕著に防止され得る。なお、上記イソシアネート樹脂系接着剤とは、ポリイソシアネート系接着剤、ポリウレタン樹脂接着剤の総称である。
上記硬化型接着剤は、例えば、市販の接着剤を使用してもよく、上記の各種硬化型樹脂を溶媒に溶解または分散し、硬化型樹脂接着剤溶液(または分散液)として調製してもよい。溶液(または分散液)を調製する場合、当該溶液における硬化型樹脂の含有割合は、固形分重量が好ましくは10〜80重量%であり、さらに好ましくは20〜65重量%であり、とりわけ好ましくは25〜65重量%であり、最も好ましくは30〜50重量%である。用いられる溶媒としては、硬化型樹脂の種類に応じて任意の適切な溶媒が採用され得る。具体例としては、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらは、単独で、または2種以上を組み合わせて用いられ得る。
上記接着剤の塗工量は、目的に応じて適宜設定され得る。例えば、塗工量は、第1または第2の複屈折層の面積(cm)あたり好ましくは0.3〜3mlであり、さらに好ましくは0.5〜2mlであり、最も好ましくは1〜2mlである。塗工後、必要に応じて、接着剤に含まれる溶媒は、自然乾燥や加熱乾燥によって揮発させられる。このようにして得られる接着剤層の厚みは、好ましくは0.1μm〜20μm、さらに好ましくは0.5μm〜15μm、最も好ましくは1μm〜10μmである。また、接着剤層の押し込み硬度(Microhardness)は、好ましくは0.1〜0.5GPaであり、さらに好ましくは0.2〜0.5GPaであり、最も好ましくは0.3〜0.4GPaである。なお、押し込み硬度は、ビッカース硬度との相関性が公知であるので、ビッカース硬度にも換算できる。押し込み硬度は、例えば、日本電気株式会社(NEC)製の薄膜硬度計(例えば、商品名MH4000、商品名MHA−400)を用いて、押し込み深さと押し込み荷重とから算出することができる。
最後に、上記基材を上記第2の複屈折層から剥離すれば、上記第1の複屈折層と上記第2の複屈折層との積層が完了する。このようにして、本発明の楕円偏光板が得られる。
B−6.具体的な製造手順
図3〜図7を参照して、本発明の製造方法の具体的手順の一例について説明する。なお、図3〜図7において、符号111、111’、112、112’115および116は、各層を形成するフィルムおよび/または積層体を捲回するロールである。
まず、偏光子の原料となる長尺のポリマーフィルムを準備し、上記A−4項に記載のようにして染色、延伸等を行う。延伸は、長尺のポリマーフィルムについて、その長手方向に連続的に行う。これによって、図3の斜視図に示すように、長手方向(延伸方向:矢印A方向)に吸収軸を有する長尺の偏光子11が得られる。
一方、図4(a)の斜視図に示すように、長尺の透明保護フィルム12(最終的には第1の保護層となる)を準備し、その一方の表面にラビングロール120によりラビング処理を行う。この際ラビングの方向は、透明保護フィルム12の長手方向とは異なる方向、例えば、±17.5°の方向とする。次いで、図4(b)の斜視図に示すように、上記ラビング処理を施した透明保護フィルム12上に、上記B−2およびB−3項に記載のようにして第1の複屈折層13を形成する。この第1の複屈折層13は、ラビング方向に沿って液晶材料が配向するため、その遅相軸方向は、透明保護フィルム12のラビング方向と実質的に同一方向(矢印B方向)となる。
次いで、図5の模式図に示すように、透明保護フィルム(第2の保護層となる)15と、偏光子11と、透明保護フィルム(保護層となる)12および第1の複屈折層13の積層体121とを、矢印方向に送り出し、それぞれの長手方向を揃えた状態で接着剤等(図示せず)によって貼り合わせる。なお、図5において、符号122は、フィルム同士を貼り合わせるためのガイドロールを示す(図6および図7においても同様)。
さらに、図6(a)の模式図に示すように、長尺の積層体125(基材26に第2の複屈折層14が支持されたもの)を準備し、これと積層体123(第2の保護層(透明保護フィルム)15、偏光子11、保護層(透明保護フィルム)12および第1の複屈折層13)とを、矢印方向に送り出し、それぞれの長手方向を揃えた状態で接着剤等(図示せず)によって貼り合わせる。このように、本発明によれば、非常に薄い第1および第2の複屈折層をいわゆるロールtoロールで貼り合わせることが可能となり、製造効率が格段に向上し得る。
最後に、図6(b)に示すように基材26を剥離して、本発明の楕円偏光板10が得られる。
本発明の製造方法の具体的手順の別の一例について説明する。
上記と同様、図3の斜視図に示すように、長尺の偏光子11を製造する。
一方、図4(a)の斜視図に示すように、長尺の透明保護フィルム12(最終的には第1の保護層となる)を準備し、その一方の表面にラビングロール120によりラビング処理を行う。この際ラビングの方向は、透明保護フィルム12の長手方向とは異なる方向、例えば、±17.5°の方向とする。
次いで、図7の模式図に示すように、第2の透明保護フィルム15(第2の保護層となる)と偏光子11と透明保護フィルム12(保護層となる)とを、矢印方向に送り出し、それぞれの長手方向を揃えた状態で接着剤等(図示せず)によって貼り合わせる。このとき、ラビング処理が施された透明保護フィルム12は、該ラビング処理が施された面とは反対側を偏光子11に対面させて送り出される。この結果、第2の保護層(透明保護フィルム)15/偏光子11/保護層(透明保護フィルム)12の積層体126が得られる。
次いで、保護層(透明保護フィルム)12の上記ラビング処理を施した表面に上記B−2およびB−3項に記載のようにして第1の複屈折層13を形成する(図示せず)。この第1の複屈折層13は、ラビング方向に沿って液晶材料が配向するため、その遅相軸方向は、保護層(透明保護フィルム)12のラビング方向と実質的に同一方向となる。この結果、第2の保護層(透明保護フィルム)15/偏光子11/保護層(透明保護フィルム)12/第1の複屈折層13の積層体123が得られる。
さらに、図6(a)の模式図に示すように、長尺の積層体125(基材26に第2の複屈折層14が支持されたもの)を準備し、これと積層体123(第2の保護層(透明保護フィルム)15、偏光子11、保護層(透明保護フィルム)12および第1の複屈折層13)とを、矢印方向に送り出し、それぞれの長手方向を揃えた状態で接着剤等(図示せず)によって貼り合わせる。
最後に、図6(b)に示すように基材26を剥離して、本発明の楕円偏光板10が得られる。
本発明の製造方法の具体的手順のさらに別の一例について説明する。
上記と同様、図3の斜視図に示すように、長尺の偏光子11を製造する。
次いで、図7の模式図に示すように、第2の透明保護フィルム15(第2の保護層となる)と偏光子11と透明保護フィルム12(保護層となる)とを、矢印方向に送り出し、それぞれの長手方向を揃えた状態で接着剤等(図示せず)によって貼り合わせる。この結果、第2の保護層(透明保護フィルム)15/偏光子11/保護層(透明保護フィルム)12の積層体126が得られる。
次いで、上記と同様に、透明保護フィルム12の一方(偏光子11と反対側)の表面にラビングロールによりラビング処理を行う(図示せず)。この際ラビングの方向は、透明保護フィルム12の長手方向とは異なる方向、例えば、+23°〜+24°または−23°〜−24°の方向とする。
次いで、保護層(透明保護フィルム)12の上記ラビング処理を施した表面に上記B−2およびB−3項に記載のようにして第1の複屈折層13を形成する(図示せず)。この第1の複屈折層13は、ラビング方向に沿って液晶材料が配向するため、その遅相軸方向は、保護層(透明保護フィルム)12のラビング方向と実質的に同一方向となる。この結果、第2の保護層(透明保護フィルム)15/偏光子11/保護層(透明保護フィルム)12/第1の複屈折層13の積層体123が得られる。
さらに、図6(a)の模式図に示すように、長尺の積層体125(基材26に第2の複屈折層14が支持されたもの)を準備し、これと積層体123(第2の保護層(透明保護フィルム)15、偏光子11、保護層(透明保護フィルム)12および第1の複屈折層13)とを、矢印方向に送り出し、それぞれの長手方向を揃えた状態で接着剤等(図示せず)によって貼り合わせる。上記のように、第1の複屈折層13の遅相軸の方向(角度α)をフィルムの長手方向(偏光子11の吸収軸)に対して+23°〜+24°または−23°〜−24°に設定すれば、第2の複屈折層14の遅相軸をフィルムの長手方向(偏光子11の吸収軸)に対して実質的に直交させればよい。
最後に、図6(b)に示すように基材26を剥離して、本発明の楕円偏光板10が得られる。
B−7.楕円偏光板のその他の構成要素
本発明の楕円偏光板は、さらに他の光学層を備えていてもよい。このような他の光学層としては、目的や画像表示装置の種類に応じて任意の適切な光学層が採用され得る。具体例としては、さらに別の複屈折層(位相差フィルム)、液晶フィルム、光散乱フィルム、回折フィルム等が挙げられる。
本発明の楕円偏光板は、少なくとも一方に最外層として粘着層をさらに有し得る。このように最外層として粘着層を有することにより、例えば、他の部材(例えば、液晶セル)との積層が容易になり、楕円偏光板の他の部材からの剥離を防止できる。上記粘着剤層の材料としては、任意の適切な材料が採用され得る。接着剤の具体例としては、上記B−4項に記載のものが挙げられる。好ましくは、吸湿性や耐熱性に優れる材料が用いられる。吸湿による発泡や剥離、熱膨張差等による光学特性の低下、液晶セルの反り等を防止できるからである。
実用的には、上記粘着剤層の表面は、楕円偏光板が実際に使用されるまでの間、任意の適切なセパレータによってカバーされ、汚染が防止され得る。セパレータは、例えば、任意の適切なフィルムに、必要に応じて、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離剤による剥離コートを設ける方法等によって形成され得る。
本発明の楕円偏光板における各層は、例えば、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤による処理等によって、紫外線吸収能を付与したものであってもよい。
C.楕円偏光板の用途
本発明の楕円偏光板は、各種画像表示装置(例えば、液晶表示装置、自発光型表示装置)に好適に使用され得る。適用可能な画像表示装置の具体例としては、液晶表示装置、ELディスプレイ、プラズマディスプレイ(PD)、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)が挙げられる。本発明の楕円偏光板を液晶表示装置に用いる場合には、例えば、視野角補償に有用である。本発明の楕円偏光板は、例えば、円偏光モードの液晶表示装置に用いられ、ホモジニアス配向型TN液晶表示装置、水平電極型(IPS)型液晶表示装置、垂直配向(VA)型液晶表示装置等に特に有用である。また、本発明の楕円偏光板をELディスプレイに用いる場合には、例えば、電極反射防止に有用である。
D.画像表示装置
本発明の画像表示装置の一例として、液晶表示装置について説明する。ここでは、液晶表示装置に用いられる液晶パネルについて説明する。液晶表示装置のその他の構成については、目的に応じて任意の適切な構成が採用され得る。図8は、本発明の好ましい実施形態による液晶パネルの概略断面図である。液晶パネル100は、液晶セル20と、液晶セル20の両側に配置された位相差板30、30’と、それぞれの位相差板の外側に配置された偏光板10、10’とを備える。位相差板30、30’としては、目的および液晶セルの配向モードに応じて任意の適切な位相差板が採用され得る。目的および液晶セルの配向モードによっては、位相差板30、30’の一方または両方が省略され得る。上記偏光板10は、上記A項およびB項で説明した本発明の楕円偏光板である。この偏光板(楕円偏光板)10は、複屈折層13および14が偏光子11と液晶セル20との間になるようにして配置されている。偏光板10’は、任意の適切な偏光板である(好ましくは、上記A項およびB項で説明した本発明の楕円偏光板である)。偏光板10、10’は、代表的には、その吸収軸が直交するようにして配置されている。図8に示すように、本発明の液晶表示装置(液晶パネル)においては、本発明の楕円偏光板10は、視認側(上側)に配置されるのが好ましい。液晶セル20は、一対のガラス基板21、21’と、該基板間に配された表示媒体としての液晶層22とを有する。一方の基板(アクティブマトリクス基板)21’には、液晶の電気光学特性を制御するスイッチング素子(代表的にはTFT)と、このアクティブ素子にゲート信号を与える走査線およびソース信号を与える信号線とが設けられている(いずれも図示せず)。他方のガラス基板(カラーフィルター基板)21には、カラーフィルター(図示せず)が設けられる。なお、カラーフィルターは、アクティブマトリクス基板21’に設けてもよい。基板21、21’の間隔(セルギャップ)は、スペーサー(図示せず)によって制御されている。基板21、21’の液晶層22と接する側には、例えばポリイミドからなる配向膜(図示せず)が設けられている。
例えば、VAモードの表示メカニズムについて説明する。図9は、VAモードにおける液晶分子の配向状態を説明する概略断面図である。図9(a)に示すように、電圧無印加時には、液晶分子は基板21、21’面に垂直に配向する。このような垂直配向は、垂直配向膜(図示せず)を形成した基板間に負の誘電率異方性を有するネマティック液晶を配することにより実現され得る。このような状態で、偏光板10’を通過した直線偏光の光を一方の基板21’の面から液晶層22に入射させると、当該入射光は垂直配向している液晶分子の長軸の方向に沿って進む。液晶分子の長軸方向には複屈折が生じないため入射光は偏光方位を変えずに進み、偏光板10’と直交する偏光軸を有する偏光板10で吸収される。これにより電圧無印加時において暗状態の表示が得られる(ノーマリブラックモード)。図9(b)に示すように、電極間に電圧が印加されると、液晶分子の長軸が基板面に平行に配向する。この状態の液晶層22に入射した直線偏光の光に対して液晶分子は複屈折性を示し、入射光の偏光状態は液晶分子の傾きに応じて変化する。所定の最大電圧印加時において液晶層22を通過する光は、例えばその偏光方位が90°回転させられた直線偏光となるので、偏光板10を透過して明状態の表示が得られる。再び電圧無印加状態にすると配向規制力により暗状態の表示に戻すことができる。また、印加電圧を変化させて液晶分子の傾きを制御して偏光板10からの透過光強度を変化させることにより階調表示が可能となる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。実施例における各特性の測定方法は以下の通りである。
(1)位相差の測定
試料フィルムの屈折率nx、nyおよびnzを、自動複屈折測定装置(王子計測機器株式会社製,自動複屈折計KOBRA31PR)により計測し、面内位相差Δndおよび厚み方向位相差Rthを算出した。測定温度は23℃、測定波長は590nmであった。
(2)厚みの測定
第1および第2の複屈折層の厚みは大塚電子製MCPD2000を用いて、干渉膜厚測定法によって測定した。その他の各種フィルムの厚みは、ダイヤルゲージを用いて測定した。
(3)透過率の測定
実施例1で得られた同じ楕円偏光板同士を貼り合わせた。貼り合わせたサンプルの透過率を、商品名DOT−3(村上色彩社製)により測定した。
(4)コントラスト比の測定
同じ楕円偏光板同士を重ねてバックライトで照らし、白画像(偏光子の吸収軸が平行)および黒画像(偏光子の吸収軸が直交)を表示させ、ELDIM社製 商品名
「EZ Contrast160D」により、視認側の偏光子の吸収軸に対して45°−135°方向に、かつ、法線に対して−60°〜60°までスキャンさせた。そして、白画像におけるY値(YW)と、黒画像におけるY値(YB)とから、斜め方向のコントラスト比「YW/YB」を算出した。
I.透明保護フィルムの配向処理(配向基材の作製)
透明保護フィルム(T)に配向処理を施して配向基材(最終的には保護層12となる)を作製した。
基材(1)〜(8): TACフィルム(厚み40μm)の表面にPVA膜(厚み0.1μm)を形成した後、ラビング布を用いて、下記表に示すラビング角度で当該PVA膜表面をラビングし、配向基材を作成した。
基材(9)〜(10): TACフィルム(厚み40μm)を、ラビング布を用いて、下記表に示すラビング角度でラビングし、配向基材を作成した。
Figure 2006201746
II.第1の複屈折層の作製
まず、ネマチック液晶相を示す重合性液晶(液晶モノマー)(BASF社製:商品名PaliocolorLC242)10gと、当該重合性液晶化合物に対する光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製:商品名イルガキュア907)3gとを、トルエン40gに溶解して、液晶塗工液を調製した。そして、上記のように作製した配向基材上に、当該液晶塗工液をバーコーターにより塗工した後、90℃で2分間加熱乾燥することによって液晶を配向させた。この液晶層に、メタルハライドランプを用いて1mJ/cm2の光を照射し、当該液晶の重合性液晶を重合して液晶層の配向を固定することによって、第1の複屈折層(1)〜(3)を形成した。第1の複屈折層の厚みおよび位相差は、液晶塗工液の塗工量を変化させることにより調整した。下記表に、形成した第1の複屈折層の厚みならびに面内位相差値(nm)を示す。
Figure 2006201746
III.第2の複屈折層の作製
III−a.基材の準備
幅方向に配向軸を有し、配向軸のバラツキが配向軸の平均方向に対して±1°以内のポリエチレンテレフタレートロール(幅4m)を準備した。
III−b.第2の複屈折層の形成(その1)
まず、ネマチック液晶相を示す重合性液晶(液晶モノマー)(BASF社製:商品名PaliocolorLC242:上記式(10)で表される)9.9964gと、カイラル剤(BASF社製:商品名PaliocolorLC756:上記式(32)で表される)0.0036gと、当該重合性液晶化合物に対する光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製:商品名イルガキュア907)3gとを、トルエン40gに溶解して、液晶塗工液を調製した。以下の手順は上記IIと同様にして、第2の複屈折層(21)を形成した。下記表に、形成した第2の複屈折層の厚み、面内位相差値(nm)、および偏光子の吸収軸に対する遅相軸の方向を示す。
III−b.第2の複屈折層の形成(その2)
まず、ネマチック液晶相を示す重合性液晶(液晶モノマー)(BASF社製:商品名PaliocolorLC242)9.9930gと、カイラル剤(BASF社製:商品名PaliocolorLC756)0.0070gと、当該重合性液晶化合物に対する光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製:商品名イルガキュア907)3gとを、トルエン40gに溶解して、液晶塗工液を調製した。以下の手順は上記IIと同様にして、第2の複屈折層(22)を形成した。下記表に、形成した第2の複屈折層の厚み、面内位相差値(nm)、および偏光子の吸収軸に対する遅相軸の方向を示す。
III−b.第2の複屈折層の形成(その3)
まず、ネマチック液晶相を示す重合性液晶(液晶モノマー)(BASF社製:商品名PaliocolorLC242)9.9899gと、カイラル剤(BASF社製:商品名PaliocolorLC756)0.0101gと、当該重合性液晶化合物に対する光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製:商品名イルガキュア907)3gとを、トルエン40gに溶解して、液晶塗工液を調製した。以下の手順は上記IIと同様にして、第2の複屈折層(23)を形成した。下記表に、形成した第2の複屈折層の厚み、面内位相差値(nm)、および偏光子の吸収軸に対する遅相軸の方向を示す。
Figure 2006201746
IV.楕円偏光板の作製
ポリビニルアルコールフィルムを、ヨウ素を含む水溶液中で染色した後、ホウ酸を含む水溶液中で速比の異なるロール間にて6倍に一軸延伸して偏光子を得た。下記表に示すような組み合わせで、保護層、第1の複屈折層および第2の複屈折層を用いた。これらの偏光子、保護層、第1の複屈折層および第2の複屈折層を、図3〜図7に示す製造手順によって積層し、図1に示すような楕円偏光板A01〜A18を得た。
Figure 2006201746
楕円偏光板A09を重ね合わせてコントラスト比を測定した。この楕円偏光板によれば、コントラスト10の角度が全方位において最小40度、最大50度、最大最小の差が10度であった。コントラスト10の角度が全方位において最小40度というのは実用上好ましいレベルであった。さらに、最大最小の差が10度と小さいので、視覚特性上バランスが良く、こちらも実用上非常に好ましいレベルであった。
楕円偏光板A01を重ね合わせてコントラスト比を測定した。この楕円偏光板によれば、コントラスト10の角度が全方位において最小40度、最大60度、最大最小の差が20度であった。コントラスト10の角度が全方位において最小40度というのは実用上好ましいレベルであった。
本発明の楕円偏光板は、各種画像表示装置(例えば、液晶表示装置、自発光型表示装置)に好適に使用され得る。
本発明の好ましい実施形態による楕円偏光板の概略断面図である。 本発明の好ましい実施形態による楕円偏光板の分解斜視図である。 本発明の楕円偏光板の製造方法の一例における一つの工程の概略を示す斜視図である。 本発明の楕円偏光板の製造方法の一例における別の工程の概略を示す斜視図である。 本発明の楕円偏光板の製造方法の一例におけるさらに別の工程の概略を示す模式図である。 本発明の楕円偏光板の製造方法の一例におけるさらに別の工程の概略を示す模式図である。 本発明の楕円偏光板の製造方法の一例におけるさらに別の工程の概略を示す模式図である。 本発明の好ましい実施形態による液晶表示装置に用いられる液晶パネルの概略断面図である。 VAモードにおける液晶分子の配向状態を説明する概略断面図である。
符号の説明
10 楕円偏光板
11 偏光子
12 保護層
13 第1の複屈折層
14 第2の複屈折層
15 第2の保護層
20 液晶セル
100 液晶パネル

Claims (16)

  1. 偏光子と;該偏光子の片側に形成された保護層と;λ/2板として機能する第1の複屈折層と;λ/4板として機能する第2の複屈折層とをこの順に有し、
    該偏光子の吸収軸と該第1の複屈折層の遅相軸とのなす角度をα、該偏光子の吸収軸と該第2の複屈折層の遅相軸のなす角度をβとしたとき、角度αが10°〜20°または−10°〜−20°であり、角度βが65°〜85°または5°〜25°である、楕円偏光板。
  2. 前記第1の複屈折層が液晶材料を用いて形成され、前記第2の複屈折層が液晶材料とカイラル剤とを含む液晶組成物を用いて形成されている、請求項1に記載の楕円偏光板。
  3. 前記第2の複屈折層を形成する前記液晶材料が下記式(4)〜(19)で表される化合物の少なくとも1つであり、前記カイラル剤が下記式(24)〜(44)で表される化合物の少なくとも1つである、請求項1または2に記載の楕円偏光板:
    Figure 2006201746
    Figure 2006201746
    Figure 2006201746
  4. 前記第2の複屈折層を形成する前記液晶材料が前記式(10)で表される化合物であり、前記カイラル剤が前記式(32)で表される化合物である、請求項3に記載の楕円偏光板。
  5. 前記第1の複屈折層の厚みが0.5〜5μmである、請求項1から4のいずれかに記載の楕円偏光板。
  6. 前記第2の複屈折層の厚みが0.3〜3μmである、請求項1から5のいずれかに記載の楕円偏光板。
  7. 透明保護フィルム(T)の表面に配向処理を施す工程と;
    透明保護フィルム(T)の該配向処理を施した表面に第1の複屈折層を形成する工程と;
    透明保護フィルム(T)の表面に偏光子を積層する工程とを含み、
    該偏光子と該第1の複屈折層が、互いに透明保護フィルム(T)を介して反対側に配置され、
    該第1の複屈折層の表面に第2の複屈折層を積層する工程を含む、楕円偏光板の製造方法。
  8. 前記透明保護フィルム(T)、前記第1の複屈折層、前記偏光子および前記第2の複屈折層が長尺フィルムであり、その長辺同士を貼り合わせて積層する、請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記第1の複屈折層を形成する工程が、液晶材料を含有する塗工液を塗工する工程と、該塗工された液晶材料を該液晶材料が液晶相を示す温度で処理して配向させる工程とを含む、請求項7または8に記載の製造方法。
  10. 前記液晶材料が重合性モノマーおよび/または架橋性モノマーを含み、前記液晶材料の配向工程が、重合処理および/または架橋処理を行うことをさらに含む、請求項9に記載の製造方法。
  11. 前記重合処理および/または架橋処理が、加熱または光照射により行われる、請求項10に記載の製造方法。
  12. 前記第2の複屈折層を積層する工程が、液晶材料とカイラル剤とを含有する塗工液を基材に塗工する工程と、該塗工液を該液晶材料が液晶相を示す温度で処理して該基材上に第2の複屈折層を形成する工程と、該基材上に形成された該第2の複屈折層を前記第1の複屈折層の表面に転写する工程とを含む、請求項7から11のいずれかに記載の製造方法。
  13. 前記塗工液が、前記液晶材料100重量部に対して前記カイラル剤を0.03〜0.11重量部の割合で含有する、請求項12に記載の製造方法。
  14. 前記基材が、延伸処理および再結晶処理を施して得られたポリエチレンテレフタレートフィルムである、請求項12または13に記載の製造方法。
  15. 前記基材が、該基材表面に対する配向処理を施すことなく前記塗工液の塗工工程に用いられる、請求項12から14のいずれかに記載の製造方法。
  16. 請求項1から6のいずれかに記載の楕円偏光板を含む、画像表示装置。
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