JP2006178289A - 光ファイバホルダおよび光ファイバケーブルの加工方法 - Google Patents

光ファイバホルダおよび光ファイバケーブルの加工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 光ファイバケーブルの端末に露出された光ファイバに対して切断や被覆除去等の加工を行う際に、基準面に対する光ファイバケーブルの位置決めを確実に行う。
【解決手段】 互いの相対的位置が固定された一対の側壁13,13と、これら側壁13,13の内側に突設された弾性片14,14,…とを備え、前記一対の側壁13,13のうち一方の側壁13から突設された弾性片14と、他方の側壁13から突設された弾性片14とが、これら弾性片14,14によって把持される光ファイバケーブル1の長手方向に沿う同じ向きに傾斜して設けられていることを特徴とする光ファイバホルダ10を用いる。この光ファイバホルダ10は、光ファイバケーブル1の長手方向に沿う一方の向きには光ファイバケーブル1の移動を許容し、前記一方の向きとは逆の向きには光ファイバケーブル1の移動を阻止する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、光ファイバケーブルの端末に露出された光ファイバに対して切断や被覆除去等の加工を行うために用いられる光ファイバホルダおよび光ファイバケーブルの加工方法に関する。
従来、光ファイバに対して切断や被覆除去等の加工を行う場合には、光ファイバをファイバホルダによって支持し、これを光ファイバ加工機器(ファイバカッタや被覆除去工具)にセットして加工を行っていた。
ここで、ファイバホルダとは、プレート状のベースと、該ベースの上面に形成された光ファイバ収納溝と、該光ファイバ収納溝に収納した光ファイバをベースとの間にクランプする開閉自在の蓋とを備える治具である(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−326646号公報
近年、光ファイバ2とこの光ファイバ2の両側に対向配置され前記光ファイバ2の長手方向に沿って延在された抗張力体3とを外皮4によって一体化してなる光ファイバケーブル1(図11(a)の断面図を参照)を光コネクタに組み立てる技術が提案されている。
このような光ファイバケーブル1の端末に露出された光ファイバ(図11(b)参照)を加工する場合には、光ファイバ2の外皮4の切り口5からの突出長Lが一定となる位置で加工することが要求される。しかし、光ファイバケーブル1が基準面に対して位置決めされるように片手で光ファイバケーブル1を押さえながら、別の手で光ファイバ加工機器を操作して加工しようとした場合、光ファイバケーブル1が基準面から離れてしまい、突出長Lが一定となる位置で加工することが難しいという問題があった。
また、従来のファイバホルダに類似した構成のホルダを用いて、ベースと蓋との間に光ファイバケーブル1をクランプすることが考えられる。しかしこの場合には、光ファイバケーブル1が持っている癖や曲がり等のため、光ファイバケーブル1をベース上に置いて蓋を閉める前に、光ファイバケーブル1の位置がずれてしまうことがあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、光ファイバケーブルの端末に露出された光ファイバに対して切断や被覆除去等の加工を行う際に、基準面に対する光ファイバケーブルの位置決めを確実に行うことが可能な光ファイバホルダおよび光ファイバケーブルの加工方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、互いの相対的位置が固定された一対の側壁と、これら側壁の内側に突設された弾性片とを備え、前記一対の側壁の間に配置した光ファイバケーブルを前記弾性片によって前記光ファイバケーブルの側方両側から挟み込んで保持したときに、光ファイバケーブルの長手方向に沿う一方の向きには光ファイバケーブルの移動を許容し、前記一方の向きとは逆の向きには光ファイバケーブルの移動を阻止するようにしたことを特徴とする光ファイバホルダを提供する。
また、本発明は、互いの相対的位置が固定された一対の側壁と、これら側壁の内側に突設された弾性片とを備え、前記一対の側壁のうち一方の側壁から突設された弾性片と、他方の側壁から突設された弾性片とが、これら弾性片によって把持される光ファイバケーブルの長手方向に沿う同じ向きに傾斜して設けられていることを特徴とする光ファイバホルダを提供する。
上述の光ファイバホルダにおいて、前記弾性片は、各弾性片の前記側壁から離れた側の縁部である端縁部の延在方向が前記光ファイバケーブルの長手方向に交差する薄板状であることが好ましい。
また、前記弾性片は、一方の側壁から突設された弾性片と、他方の側壁から突設された弾性片とが、互いに対をなして向かい合わせに設けられていることが好ましい。
前記弾性片は、各側壁につき複数設けられていることが好ましい。
さらに本発明は、光ファイバと該光ファイバの両側に対向配置され前記光ファイバの長手方向に沿って延在された抗張力体とを外皮によって一体化してなる光ファイバケーブルの端末に露出された光ファイバの加工を行うために用いられる光ファイバホルダであって、前記光ファイバの長手方向に垂直な基準面を有する前端壁と、前記前端壁の中央に設けられて前記光ファイバが挿通される光ファイバ溝と、前記前端壁の前記光ファイバ溝を介して両側となる両端部から前記基準面を内側とするように後方に延出された一対の側壁と、これらの側壁の内面から向かい合わせに突設された薄板状の複数対の弾性片とを備え、各弾性片の前記側壁から離れた側の縁部である端縁部が当該弾性片の前記側壁側である根元部よりも前方に位置するように傾斜して設けられており、互いに対をなす弾性片の端縁部間の隙間は、前記光ファイバケーブルの外皮の幅よりも狭くされていることを特徴とする光ファイバホルダを提供する。
この光ファイバホルダにおいて、前記一対の側壁における前記弾性片が突設された区間の前後両側には、これら一対の側壁を連絡する連絡壁が設けられており、この連絡壁には、光ファイバケーブルの外皮が挿通される切欠溝が形成されていることが好ましい。
また、本発明は、上述の光ファイバホルダを用いた光ファイバケーブルの加工方法であって、光ファイバケーブルの端末の外皮を除去して光ファイバを露出させ、前記外皮が把持固定される固定溝を有するブロック状の把持部材を前記光ファイバケーブルの外周に装着し、前記把持部材が前記前端壁と前記弾性片との間に配置されるように光ファイバケーブルを光ファイバホルダに嵌入させ、光ファイバケーブルの前記把持部材に把持された部分より後方の外皮を前記弾性片の端縁部間に挟み込むとともに前記光ファイバを前記光ファイバ溝に挿入し、前記弾性片の端縁部間で前記外皮を滑らせつつ前記把持部材を前記基準面に押し付け前記光ファイバケーブルを位置決めした後、前記光ファイバの加工を行うことを特徴とする光ファイバケーブルの加工方法を提供する。
本発明によれば、一方の側壁から突設された弾性片と他方の側壁から突設された弾性片との間に光ファイバケーブルを把持することができ、しかもこれらの弾性片によって把持された光ファイバケーブルは、光ファイバホルダの前方(すなわち基準面に向かう方向)には円滑に動かすことが可能であるが、光ファイバホルダの後方に動かそうとした場合には弾性片の復元力によって阻止される。このため、光ファイバケーブルを基準面に対して位置決めすることが容易である上、光ファイバケーブルが位置決め後に基準面から離れてしまうことを防止することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の光ファイバホルダの一形態例を示す(a)斜視図および(b)平面図である。
この光ファイバホルダ10は、光ファイバケーブル1の端末に露出された光ファイバ2(図11参照)に対して切断や被覆除去等の加工を行うために用いられるものであって、図2〜図5に示すようにして光ファイバケーブルが装着される。
ここで、光ファイバケーブル1は、光ファイバ2とこの光ファイバの両側に対向配置され前記光ファイバの長手方向に沿って延在された抗張力体3とを外皮4によって一体化してなる、ドロップケーブルである。
光ファイバ2は、例えば石英系光ファイバ等の裸光ファイバの外周に、紫外線硬化性樹脂やポリアミド樹脂などからなる樹脂被覆を、1層または複数層設けたものである。抗張力体3は、例えば鋼線等である。外皮4は、例えばポリエチレン等の樹脂からなるシース(外被)である。
光ファイバホルダ10は、光ファイバ2の長手方向に垂直な基準面11aを有する前端壁11と、前記前端壁11の中央に設けられて光ファイバ2が挿通される光ファイバ溝12と、前記前端壁11の光ファイバ溝12を介して両側となる両端部11b,11bから前記基準面11aを内側とするように後方に延出された一対の側壁13,13と、これらの側壁13の内面13aから突設された弾性片14,14,…とを備える。この光ファイバホルダ10は、例えば適当な成形用プラスチック等を用いた一体成形などによって製造することができる。
なお、ここでは弾性片14,14,…は薄板状とされているが、本発明において弾性片14,14,…の形状は薄板状に限定されるものではなく、この他、棒状、柱状などの形態、あるいは波状であるがその波面が光ファイバケーブル1に対して傾斜しているものなどを採用可能である。
本形態例の場合、弾性片14,14,…が突設された区間15において、両側壁13,13の内面13aは互いに平行な平面となっているが、本発明は、特にこれに限定されるものではない。両側壁13,13の内面13aを長手方向に対して若干の勾配を有する斜面としたり、曲面としたりすることもできる。また、側壁13の内面13aに凹凸を設け、その凸部の突端から弾性片14,14,…を突設する構成なども採用可能である。
一方の側壁13から突設された弾性片14と、他方の側壁13から突設された弾性片14との両方が、これら弾性片14,14によって把持される光ファイバケーブル1の長手方向の前方に傾斜している。ここで「弾性片14が前方に傾斜する」とは、各弾性片14の側壁13から離れた側の縁部である端縁部14aが、当該弾性片14の側壁13側である根元部14bよりも前方(すなわち基準面11aに近い側)に位置することをいう。
このため、図3に示すように光ファイバケーブル1を弾性片14,14間に把持したとき、光ファイバケーブル1を前方(図3の右側)に動かすときには、光ファイバケーブル1が端縁部14aから離れる方向の移動となるので、光ファイバケーブル1の円滑な移動が許容される。これに対して、光ファイバケーブル1を後方に動かすときには、光ファイバケーブル1が端縁部14aを押圧し、弾性片14を押し縮める方向の移動となるので、弾性片14の復元力(弾性的反発)によって光ファイバケーブル1がより強く把持されるようになり、光ファイバケーブル1の移動が阻止される。
各弾性片14は薄板状であり、各弾性片14の側壁13から離れた側の縁部である端縁部14aは、その延在方向(図1(b)および図4中、紙面に垂直な方向)が光ファイバケーブル1の長手方向に交差する辺となっている。このため、光ファイバケーブル1を長手方向に沿って動かすとき、光ファイバケーブル1から弾性片14に伝達される力は、薄板状弾性片14の厚み方向に作用するので、弾性片14の弾性力を効果的に発揮することができる。
弾性片14の端縁部14aは、光ファイバケーブル1の外皮4の傷つきを防止するため、丸みを帯びた形状とすることが好ましい。
図2,図4に示すように、互いに対をなす弾性片14,14の端縁部14a,14a間の隙間Xは、光ファイバケーブル1の外皮4の幅Wよりも狭くされている。このため、この隙間Xに光ファイバケーブル1を嵌め込んだとき、弾性片14,14が光ファイバケーブル1の外皮4によって押し縮められるので、その復元力による把持力が得られ、光ファイバケーブル1をしっかりと把持することができる。
図1(b)に示すように、各側壁13について弾性片14,14,…は複数設けられており、これらは互いに間隔をあけて平行に配列されている。この場合、弾性片14,14,…による把持力は、光ファイバケーブル1の側方の複数箇所に分散して作用するようになり、把持した光ファイバケーブル1の向きを安定させるために有利である。
また、一方の側壁13から突設された弾性片14と、他方の側壁13から突設された弾性片14とは、互いに対をなして向かい合わせに設けられている。具体的に説明すれば、図1(b)に示す平面図において、上側の側壁13から突設された弾性片14の端縁部14aの位置と、下側の側壁13から突設された弾性片14の端縁部14aの位置とが、上下に揃えられている。この場合、弾性片14,14,…による把持力は、光ファイバケーブル1の側方両側から対称的に作用するようになり、把持した光ファイバケーブル1の曲がりを抑制するとともに、光ファイバケーブル1の向きを安定させるために有利である。
なお、本発明において、一方の側壁13から突設された弾性片14の端縁部14aの位置と、他方の側壁13から突設された弾性片14の端縁部14aの位置を左右方向(光ファイバケーブル1の長手方向)にずらすように各弾性片14,14,…を配置することも可能である。
図1に示すように、一対の側壁13,13における弾性片14,14,…が突設された区間15の前後両側には、これら一対の側壁13,13を連絡する連絡壁16,17が設けられている。このように、前端壁11および連絡壁16,17によって両側壁13,13間を複数箇所で連結することにより、光ファイバホルダ10が枠構造をとり、形状安定性が向上する。
なお、本発明において、両側壁13,13の相対的位置を固定する連結構造は、壁、棒、柱など、種々の構造を採用することが可能である。
連絡壁16,17には、図2,図3に示すように、光ファイバケーブル1の外皮4が挿通される切欠溝16a,17aが形成されている。切欠溝16a,17aの隙間の幅Yは、光ファイバケーブル1の外皮4の幅Wと同程度か、外皮4の幅Wよりも若干広い幅とされている。これら切欠溝16a,17aは、光ファイバ溝12と同じく、光ファイバホルダ10の表側(図1(a)における上向き)に開いている。
なお、必要に応じて、光ファイバホルダ10の表側全体に被さる蓋を設けることもできる。蓋を設ける場合、その蓋は、嵌合や係止、ネジ留めなどにより光ファイバホルダ10に対して着脱可能に構成してもよいし、ヒンジなどによって光ファイバホルダ10と連結してもよい。また、光ファイバホルダ10と蓋とに穴を設け、その穴に紐やリング等を通して連結してもよい。蓋を設けた場合、光ファイバホルダ10に把持された光ファイバケーブル1の飛び出し防止や保護など、有利な効果を奏する。
本形態例の光ファイバホルダ10において、前端壁11、両側壁13,13、および連絡壁16で四方を囲まれた空間18ならびに両側壁13,13および連絡壁16,17で四方を囲まれた空間19は、光ファイバホルダ10の裏表(図1(b)の紙面に垂直な方向)に貫通した穴となっている。このため、光ファイバケーブル1を取り外す時に光ファイバホルダ10の裏側(図1(a)の下側)から押し出すことができるので、取り外しの作業性に優れる。なお、光ファイバホルダ10の裏側に底を設けて塞ぐこともできる。
次に、図2〜図5を参照しながら、光ファイバホルダ10の使用方法の一例を説明する。
まず、図11に示すように、光ファイバケーブル1の端末の抗張力体3および外皮4を除去して光ファイバ2を露出させたのち、図7に示すように、外皮4が把持固定される固定溝21を有するブロック状の把持部材20を光ファイバケーブル1の外周に装着する。外皮4の切り口5は、光ファイバケーブル1の長手方向に対して垂直に形成することが望ましい。
ここで把持部材20は、図6に示すように、固定溝21の両側に設けられた一対の側壁部22,22と、側壁部22,22同士を連結する端壁部23および底壁部24とを有する。図7に示すように、側壁部22,22および底壁部24は、光ファイバケーブル1の外周を三方から囲むようにコ字状に配設されている。また、端壁部23は、光ファイバケーブル1の長手方向(図7の左右方向)に垂直に形成されている。端壁部23には、光ファイバケーブル1の端末に露出された光ファイバ2が挿通される切欠状の光ファイバ挿通溝23aを有する。光ファイバ挿通溝23aの開口量は、光ファイバケーブル1の外皮4は挿通できないが、光ファイバ2の挿通には充分な大きさとされている。把持部材20は、例えば適当な成形用プラスチック等を用いた一体成形などによって製造することができる。
側壁部22,22の内面には鬼目状(先端が尖った形状)の固定用突起22aが複数対突設されている。このため、光ファイバケーブル1の外皮4を固定溝21に嵌め込んだときに、固定用突起22aが光ファイバケーブル1の外皮4に食い込み、固定溝21内における光ファイバケーブル1の長手方向に沿う位置ずれを阻止することができる。
図2に示すように、把持部材20が前端壁11と弾性片14との間(具体的には、空間18の中)に配置されるように光ファイバケーブル1を光ファイバホルダ10に嵌入させる。
図3に示すように、光ファイバ2を光ファイバ溝12に挿入するとともに、光ファイバケーブル1の把持部材20に把持された部分より後方の外皮4を複数対の弾性片14,14,…の隙間Xに挟み込む。隙間Xは、光ファイバケーブル1の外皮4の幅Wよりも狭くされているので、図4に示すように、対をなす弾性片14,14の端縁部14a,14aが互いに離間するように、弾性片14が外皮4の外面に沿って湾曲する。従って、外皮4に対して弾性片14の復元力による締め付け力が作用し、光ファイバケーブル1をしっかりを把持することができる。
光ファイバ2は光ファイバ溝12によって保持されるので、曲がりにくく、また、加工する箇所より後方で光ファイバ2の保護になり、光ファイバ2の折れや傷つき等を抑制することができる。
光ファイバケーブル1の外皮4は、連絡壁16,17に形成された切欠溝16a,17aに挿通する。これにより、弾性片14に把持された光ファイバケーブル1が切欠溝16a,17aによって案内されるので、光ファイバケーブル1をその長手方向に沿って動かすときに、光ファイバケーブル1の曲がり等を抑制することができる。
次いで、図5に示すように、弾性片14の端縁部14a,14a間で外皮4を滑らせつつ、把持部材20を基準面11aに押し付けることにより光ファイバケーブル1を位置決めする。各弾性片14の端縁部14aが根元部14bよりも前方に位置するように傾斜して設けられているので、光ファイバケーブル1を光ファイバホルダ10の前方(すなわち基準面11aに向かう方向)に移動させる場合には、外皮4の表面による摩擦力が弾性片14の端縁部14a,14a間の隙間を拡大するような方向に作用し、光ファイバケーブル1を円滑に動かすことが可能である。これに対して、光ファイバケーブル1を光ファイバホルダ10の後方に動かそうとした場合には、外皮4の表面による摩擦力が弾性片14の端縁部14a,14a間の隙間を狭くするような方向に作用し、光ファイバケーブル1の後方への移動は、弾性片14の復元力によって阻止される。従って、光ファイバケーブル1を基準面11aに対して位置決めすることが容易であるとともに、光ファイバケーブル1が位置決め後に基準面11aから離れてしまうことを防止することができる。
このように、光ファイバケーブル1を光ファイバホルダ10に固定した状態(図5参照)で、光ファイバ2に切断や被覆除去等の加工を行うことにより、突出長Lが一定となる位置で光ファイバ2を加工することが容易になる。
光ファイバ2の切断を行う場合には、光ファイバ加工機器として、例えば図8に示す構成のファイバカッタ30を用いる。この例におけるファイバカッタ30は、光ファイバホルダ10が載置される載置台31と、光ファイバ2を切断する切断刃32と、これら載置台31および切断刃32の間に突設された当接壁33と、切断刃32の直上位置および切断刃32の直上位置から離れた退避位置に自在に配置することが可能な押さえ板34とを備えて構成されている。
このファイバカッタ30を使用するには、まず、押さえ板34を退避位置に退避させた状態とし、光ファイバケーブル1が固定された光ファイバホルダ10(図5の状態)を載置台31上に載置する。そして、光ファイバホルダ10の前端壁11の外面11cを当接壁33に当接させたのち押さえ板34を切断刃32の直上位置に配置して光ファイバ2を切断刃32に向かって押さえつける。これにより、外皮4の切り口5から光ファイバ2が突出する突出長L(図11(b)参照)が一定となる位置で光ファイバ2を切断刃32に当接させることができる。この状態で光ファイバ2に切断刃32を押し付けて光ファイバ2を切断する。
切断後は、押さえ板34を退避位置に退避させたのち、光ファイバホルダ10を載置台31から取り上げたのち、光ファイバケーブル1を光ファイバホルダ10から取り外す。この際、把持部材20は光ファイバケーブル1に装着したままとする。
また、光ファイバ2の被覆除去を行う場合には、光ファイバ加工機器として、例えば図9に示す構成の被覆除去工具40を用いる。この例における被覆除去工具40は、光ファイバホルダ10が載置される載置台41と、光ファイバ2の被覆を除去する一対の被覆除去刃42a,42bと、これら載置台41および被覆除去刃42a,42bの間に突設された当接壁43とを備えて構成されている。被覆除去刃42a,42bは、載置台41に対して固定された固定刃42aと、ヒンジ44によって載置台41に対して可動とされた可動刃42bとを備える。可動刃42bは、ヒンジ44を中心とした回動により、固定刃42aの直上位置(図9中、実線で示す位置)および固定刃42aの直上位置から離れた退避位置(図9中、二点鎖線で示す位置)に自在に配置することができる。
この被覆除去工具40を使用するには、まず、光ファイバケーブル1が固定された光ファイバホルダ10(図5の状態)を載置台41上に載置し、さらに光ファイバホルダ10の前端壁11の外面11cを当接壁43に当接させたのち可動刃42bを固定刃42aの直上位置に配置して光ファイバ2を固定刃42aと可動刃42bとの間に挟み込む。これにより、外皮4の切り口5から光ファイバ2が突出する突出長L(図11(b)参照)が一定となる位置で光ファイバ2を被覆除去刃42a,42bに挟み込むことができる。さらに光ファイバホルダ10を被覆除去刃42a,42bから離れる方向(図9の右向き)へ引っ張ることにより、被覆除去刃42a,42bで光ファイバ2の被覆をしごいて除去することができる。
被覆除去後は、光ファイバホルダ10を載置台41から取り上げたのち、光ファイバケーブル1を光ファイバホルダ10から取り外す。この際、把持部材20は光ファイバケーブル1に装着したままとする。
なお、上記の形態例において、光ファイバケーブル1に把持部材20を装着することを省略することもできる。把持部材20を省略した場合は、光ファイバケーブル1の外皮4の切り口5を基準面11aに直接押し当てることにより光ファイバケーブル1の位置決めができる。しかし、把持部材20を利用することにより、光ファイバケーブル1を動かす際に光ファイバケーブル1を直接つまむことなく、把持部材20のところをつまむことができるなど、光ファイバケーブル1の取扱い性を向上することができる。
最近、図10に示すように、光ファイバケーブル1を把持部材20に装着して、把持部材20を光コネクタ50に挿入することにより把持部材20と光コネクタ50とが連結され、光ファイバケーブル1の端末に迅速に組み立て可能な光コネクタ50が提案されている(このように、光ファイバの端末に迅速に組み立て可能な光コネクタとしては、一般に「現場付け光コネクタ」と呼ばれるものが周知である)。そこで、把持部材20に装着された光ファイバケーブル1の端末を上述の加工方法によって加工したのち、そのまま光コネクタ50に挿入して把持部材20と光コネクタ50とを連結させることにより、加工後の光ファイバ2の端末に光コネクタ50を迅速に組み立てることが可能となる。
以上説明したように、本形態例の光ファイバホルダ10によれば、光ファイバケーブル1の長手方向に沿う一の方向には動きを許容するが他の方向には動きを阻止するという方向性を有するので、光ファイバケーブル1を長手方向に沿って動かして基準面11aに対して位置決めする作業が容易となり、位置決め精度が向上する。
光ファイバケーブル1の前方には動きを許容するが後方には動きを阻止する方向性を有するので、把持部材20の前方に位置した基準面11aへ把持部材20を押し付けた後、把持部材20が後退して基準面11aから離れることを阻止することができる。なお、基準面11aが把持部材20の後方に位置するように構成した場合には、光ファイバケーブルの動きの方向性を逆にすることができる。
本形態例の光ファイバホルダ10は、互いに対をなす弾性片14,14の端縁部14a,14a間の隙間Xが光ファイバケーブル1の外皮4の幅Wよりも狭くされているので、弾性片14の端縁部14a,14a間に光ファイバケーブル1の外皮4を把持することができる。しかも、弾性片14の端縁部14aが根元部14bよりも前方に位置するように側壁13の内面13aから傾斜して設けられているので、これらの弾性片14,14,…によって把持された光ファイバケーブル1は、光ファイバホルダ10の前方(すなわち基準面11aに向かう方向)には円滑に動かすことが可能であるが、光ファイバホルダ10の後方に動かそうとした場合には弾性片14,14,…の復元力によって阻止されるようになる。このため、光ファイバケーブル1を基準面11aに対して位置決めすることが容易である上、光ファイバケーブル1が位置決め後に基準面11aから離れてしまうことを防止することができる。
光ファイバケーブル1の外皮4が挿通される切欠溝16a,17aが連絡壁16,17に形成されているので、弾性片14に把持された光ファイバケーブル1を切欠溝16a,17aによって案内することができる。この結果、光ファイバケーブル1をその長手方向に沿って動かすときに、光ファイバケーブル1の曲がり等を抑制することができる。
光ファイバケーブル1の外皮4が嵌入される固定溝21を有した把持部材20を利用することにより、光ファイバケーブル1を動かす際に光ファイバケーブル1を直接つまむことなく、把持部材20のところをつまむことができるなど、光ファイバケーブル1の取扱い性を向上することができる。
本発明は、例えば光ファイバケーブル端末に光コネクタ等の各種光部品を組み立てる前などに、光ファイバケーブルの端末に露出された光ファイバに対して切断や被覆除去等の加工を行う際の補助工具として利用することができる。
本発明の光ファイバホルダの一形態例を示す(a)斜視図および(b)平面図である。 光ファイバケーブルを光ファイバホルダに装着する様子を示す平面図である。 光ファイバケーブルを光ファイバホルダに装着した様子を示す平面図である。 図3のA部を示す部分拡大図である。 光ファイバケーブルを光ファイバホルダの基準面に対して位置決めした様子を示す平面図である。 把持部材の一形態例を示す斜視図である。 光ファイバケーブルを把持部材に装着した様子を示す平面図である。 光ファイバホルダをファイバカッタにセットして光ファイバを切断する様子を示す正面図である。 光ファイバホルダを被覆除去工具にセットして光ファイバの被覆を除去する様子を示す正面図である。 (a),(b)把持部材に装着された光ファイバケーブルの先端に光コネクタを組み立てる様子を示す正面図である。 (a)光ファイバケーブルの一例を示す断面図である。(b)端末に光ファイバが露出された光ファイバケーブルの一例を示す正面図である。
符号の説明
1…光ファイバケーブル、2…光ファイバ、3…抗張力体、4…外皮、10…光ファイバホルダ、11…前端壁、11a…基準面、11b…前端壁の端部、12…光ファイバ溝、13…側壁、13a…側壁の内面、14…弾性片、14a…弾性片の端縁部、14b…弾性片の根元部、15…側壁における弾性片が突設された区間、16,17…連絡壁、16a,17a…切欠溝、20…把持部材、21…固定溝。

Claims (8)

  1. 互いの相対的位置が固定された一対の側壁(13,13)と、これら側壁の内側に突設された弾性片(14)とを備え、前記一対の側壁の間に配置した光ファイバケーブル(1)を前記弾性片によって前記光ファイバケーブルの側方両側から挟み込んで保持したときに、光ファイバケーブルの長手方向に沿う一方の向きには光ファイバケーブルの移動を許容し、前記一方の向きとは逆の向きには光ファイバケーブルの移動を阻止するようにしたことを特徴とする光ファイバホルダ(10)。
  2. 互いの相対的位置が固定された一対の側壁(13,13)と、これら側壁の内側に突設された弾性片(14)とを備え、前記一対の側壁のうち一方の側壁から突設された弾性片と、他方の側壁から突設された弾性片とが、これら弾性片によって把持される光ファイバケーブルの長手方向に沿う同じ向きに傾斜して設けられていることを特徴とする光ファイバホルダ(10)。
  3. 前記弾性片は、各弾性片の前記側壁から離れた側の縁部である端縁部(14a)の延在方向が前記光ファイバケーブルの長手方向に交差する薄板状であることを特徴とする請求項1または2に記載の光ファイバホルダ。
  4. 前記弾性片は、一方の側壁から突設された弾性片と、他方の側壁から突設された弾性片とが、互いに対をなして向かい合わせに設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の光ファイバホルダ。
  5. 前記弾性片は、各側壁につき複数設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の光ファイバホルダ。
  6. 光ファイバ(2)と該光ファイバの両側に対向配置され前記光ファイバの長手方向に沿って延在された抗張力体(3)とを外皮(4)によって一体化してなる光ファイバケーブル(1)の端末に露出された光ファイバの加工を行うために用いられる光ファイバホルダであって、
    前記光ファイバの長手方向に垂直な基準面(11a)を有する前端壁(11)と、前記前端壁の中央に設けられて前記光ファイバが挿通される光ファイバ溝(12)と、前記前端壁の前記光ファイバ溝を介して両側となる両端部(11b,11b)から前記基準面を内側とするように後方に延出された一対の側壁(13,13)と、これらの側壁の内面(13a)から向かい合わせに突設された薄板状の複数対の弾性片(14)とを備え、
    各弾性片の前記側壁から離れた側の縁部である端縁部(14a)が当該弾性片の前記側壁側である根元部(14b)よりも前方に位置するように傾斜して設けられており、互いに対をなす弾性片の端縁部間の隙間(X)は、前記光ファイバケーブルの外皮の幅(W)よりも狭くされていることを特徴とする光ファイバホルダ(10)。
  7. 前記一対の側壁における前記弾性片が突設された区間(15)の前後両側には、これら一対の側壁を連絡する連絡壁(16,17)が設けられており、この連絡壁には、光ファイバケーブルの外皮が挿通される切欠溝(16a,17a)が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の光ファイバホルダ。
  8. 請求項6に記載の光ファイバホルダを用いた光ファイバケーブルの加工方法であって、
    光ファイバケーブルの端末の外皮を除去して光ファイバを露出させ、前記外皮が把持固定される固定溝(21)を有するブロック状の把持部材(20)を前記光ファイバケーブルの外周に装着し、前記把持部材が前記前端壁と前記弾性片との間に配置されるように光ファイバケーブルを光ファイバホルダに嵌入させ、光ファイバケーブルの前記把持部材に把持された部分より後方の外皮を前記弾性片の端縁部間に挟み込むとともに前記光ファイバを前記光ファイバ溝に挿入し、前記弾性片の端縁部間で前記外皮を滑らせつつ前記把持部材を前記基準面に押し付け前記光ファイバケーブルを位置決めした後、前記光ファイバの加工を行うことを特徴とする光ファイバケーブルの加工方法。
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