JP2006176829A - 金属多孔体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 発泡樹脂のブロック体をシート状にピーリングして得られた発泡樹脂シート基材に金属材料をめっきすることにより得られる金属多孔体において、上記発泡樹脂シートが、発泡後の樹脂ブロックの上面部を切断除去し、発泡時の上下方向に2段以上積層し、それらの界面を接着接合した後、上記上下方向の軸に対して平行にピーリングして得られることを特徴とする金属多孔体。
【選択図】 図2
Description
金属多孔体は、主として樹脂発泡体に導電処理を施し、これを電気めっきすることにより、所定の金属を付着させた後、焙焼・還元することで得られる。
このウレタンシートを基材として作られる金属多孔体は、電池用電極材として使用される場合も、フィルタ材として使用される場合も、その気孔の大きさや形状は均一であることが望まれるが、発泡樹脂ブロックからシート材を製造する工程でシートの面内に不均一性が生じてしまう。
特許文献1では、そのシート材の採取方法を気泡が抜ける方向を軸として渦巻き状にピーリングすることを開示している。この方法によれば、ピーリングされたシートの幅方向に対して発泡した気泡の抜け方向が平行でかつ一定であり、またシートの長さ方向においても気孔の形状、及び、大きさによるばらつきが少ないとの記載がある。
また、発泡時の気泡は発泡時の上下方向に長い長球状となるため、ピーリングして製造したシート材において、気孔は幅方向に長く、長さ方向に短い楕円形状となる。
これらの点から、得られた金属多孔体は、幅方向の不均一性や長手方向と幅方向の非対称性を持ったものとなる。
また、長球状気泡に対し、長手方向に垂直な方向でスライスするため、スライスするシートの厚さを気泡の大きさに近づけて行くと、シート内の骨格結合点が減少し、接合部以外の箇所も強度が低くなる問題があった。
(1)発泡樹脂のブロック体をシート状にピーリングして得られた発泡樹脂シート基材に金属材料をめっきすることにより得られる金属多孔体において、上記発泡樹脂シートが、発泡後の樹脂ブロックの上面部を切断除去し、発泡時の上下方向に2段以上積層し、それらの界面を接着接合した後、上記上下方向の軸に対して平行にピーリングして得られることを特徴とする金属多孔体。
(2)前記金属多孔体の気孔径の長手方向(発砲樹脂シートが走行する方向)と幅方向の比が0.9から1.1の範囲にあることを特徴とする前記(1)項記載の金属多孔体。
樹脂発泡ブロックを接合するには、気孔への流入による製品特性への悪影響の防止や接合強度の安定化のため、チクソトロピック性に富む熱硬化性樹脂系の接着剤を使用することが望ましい。
張力を加える工程は、導電処理工程または金属めっき工程中に行うことが望ましい。
尚、本発明において長手方向とは、発砲樹脂シートが走行する方向、即ち、図2においてピーリングされた発砲樹脂シートが走行する矢印の方向をいう。
張力を加える工程は、導電処理工程またはめっき工程、特にめっき工程においては、めっき工程の初期の工程部分に行うことが望ましく、これらの工程で張力を加えた場合には、製品にダメージを与えることがないため安定した特性をもつ金属多孔体が得られる。
なぜなら、これらの工程の段階では、製品に柔軟性があるため、張力を加えても基材の骨格に亀裂などのダメージが発生しない。しかし、めっき工程の後期、及び焙焼・還元・アニールの熱処理工程では、めっきが十分に付着しており、過度の張力を加えると亀裂を生じ製品の機械的特性に悪影響を及ぼす。また、熱処理工程では金属が高温に曝されているため、強度が低下しており、張力の影響を著しく受けると言う問題がある。
また、その後に行う金属めっきに使用される金属としては、電極に好ましいNi、Cu、Fe等が挙げられる。
また、フィルタ材として使用するときも、均一な孔が得られることにより、ばらつきの少ない安定したフィルタリング特性が得られる。
実施例1
図1に示すようなポリウレタン発泡体ブロックを製造した(高さ890mm)。このブロックの上面部を切断除去して、底面側のみで底面1100mm×1100mm、高さ550mmのウレタンブロックを2つ作り、それらを2段に積層し、その界面を柔軟性を高め、ポリウレタン発泡体との接合性を高めるためにウレタン樹脂を配合した熱硬化性のエポキシ系の接着剤で接合した。
その後、図2に示す軸を中心に外周部よりピーリングを行い発泡ポリウレタンシートを切出した。
こうして作製したポリウレタンシートの厚みは1.8mmで、幅が1100mm、平均気孔径は500μmであった。これに導電性カーボンを塗布した。この塗布工程において、ウレタンシートには、長手方向に20.5Nの張力を加え、長手方向に引き伸ばしながら導電化処理を行った。その後、ニッケルを電気めっきにより、550g/m2付着させた。
これを水洗し、700℃の酸化雰囲気中でウレタンとカーボンを燃焼除去し、1000℃の水素雰囲気中で加熱してニッケルを還元するとともにアニールして、金属多孔体を得た。
次に、幅10mm、電極間距離100mmの条件で電気抵抗を測定した。また、40箇所測定値の1σ値をばらつきとして求めた。更に、幅20mm、長さ150mmの試験片で引張強度を測定した。クランプ代は各約25mmとし、測定端子間距離は100mmとした。測定結果を表2に示す。
図3の方法でピーリングし作られている従来品(比較例1)、特許文献1(特開平3−226969号公報)に基づく技術で作られている製品(比較例2)、および特許文献2(特開平9−153365号公報)に基づく技術で作られている製品(比較例3)を実施例1と同じ条件で作製し、評価した。
測定結果を表1および表2に示す。
また、電気抵抗も幅方向長手方向比がほぼ1.0で、しかも幅方向と長手方向のばらつきが小さくなっている。
更に、公知の技術の中では最もばらつきの小さな比較例3(特開平9−153365号公報に基づく技術で作られた製品)に比べ高い引張強度を持っている。
尚、この製造過程において製品に破断が発生することはなかった。
図1に示すようなポリウレタン発泡体ブロックを製造した(高さ650mm)。このブロックの底面部から30mmと上面部を切断除去して底面1050mm×1050mm、高さ350mmのウレタンブロックを3つ作り、それらを3段に積層し、その界面をアクリル系の接着剤で接合した。
その後、実施例1と同様に上下方向を軸とする方向で外周部よりピーリングを行い発泡ポリウレタンシートを切出した。
こうして作製したポリウレタンシートの厚みは1.4mmで、幅が1050mm、平均気孔径は450μmであった。これに導電性カーボンを塗布した後、ニッケルを電気めっきにより、450g/m2付着させた。
この電気めっき工程の初期において、ウレタンシートには、長手方向に17.0Nの張力を加え、長手方向に引き伸ばしながら電気めっきを行った。
これを水洗し、700℃の酸化雰囲気中でウレタンと黒鉛塗料を燃焼除去し、1000℃の水素雰囲気中で加熱してニッケルを還元するとともにアニールして、金属多孔体を得た。
測定結果を表3および表4に示す。
図3の方法でピーリングし作られている従来品を実施例2と同じ条件で作製し、評価した。
測定結果を表3および表4に示す。
また、この製造過程において製品に破断が発生することはなかった。
Claims (5)
- 発泡樹脂のブロック体をシート状にピーリングして得られた発泡樹脂シート基材に金属材料をめっきすることにより得られる金属多孔体において、上記発泡樹脂シートが、発泡後の樹脂ブロックの上面部を切断除去し、発泡時の上下方向に2段以上積層し、それらの界面を接着接合した後、上記上下方向の軸に対して平行にピーリングして得られることを特徴とする金属多孔体。
- 前記金属多孔体の気孔径の長手方向(発砲樹脂シートが走行する方向)と幅方向の比が0.9から1.1の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の金属多孔体。
- 発泡樹脂のブロック体をシート状にピーリングして得られた発泡樹脂シート基材に金属材料をめっきすることにより得られる金属多孔体の製造方法であって、発泡後の樹脂ブロックの上面部を切断除去し、発泡時の上下方行に2段以上積層し、それらの界面を接着接合する工程と、上記上下方向の軸に対して平行にピーリングして得られる発泡樹脂シートを基材としこの表面に導電処理を行う工程と、電気めっきで金属体を付着させる工程と、熱処理を行い発泡樹脂部材を燃焼除去する工程を含むことを特徴とする金属多孔体の製造方法。
- 前記発泡樹脂シートに、発泡樹脂シートの長手方向(発砲樹脂シートが走行する方向)に張力を加えることにより、金属多孔体の気孔径の長手方向と幅方向の比を0.9から1.1の範囲とすることを特徴とする請求項3に記載の金属多孔体の製造方法。
- 前記発泡樹脂シートの長手方向(発砲樹脂シートが走行する方向)に張力を加える工程が、発泡樹脂シートへの導電処理工程、電気めっき工程、のいずれか、または、その両方の工程中に行われることを特徴とする請求項4に記載の金属多孔体の製造方法。
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