JP2006173413A - 薄膜形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】酸化性気体を処理室1内に導入し、被処理物4に酸化皮膜を形成するための薄膜形成装置において、酸化性気体が接触することになる部材表面1,2,3を、厚さ1μm以下の緻密な酸化皮膜により被覆した。
【選択図】図1
Description
しかしながら、多孔質型陽極酸化皮膜からは、非常に多くの気体が放出され、その中でも、水は、酸化性気体の量を制御する上で悪影響を与えるという問題があった。また、酸化皮膜の構造は、多孔質であるため酸化性気体が多孔質中に入り込んだり、吐き出されたりすることを繰り返し、同様に酸化性気体の量を制御することが困難になるという問題があった。
即ち、本発明の薄膜形成装置は、請求項1に記載の通り、酸化性気体を処理室内に導入し、被処理物に酸化皮膜を形成するための薄膜形成装置であって、前記処理室内において前記酸化性気体が接触することになる部材表面を、厚さ1μm以下の緻密な酸化皮膜により被覆したことを特徴とする。
また、請求項2に記載の薄膜形成装置は、請求項1に記載の薄膜形成装置において、前記酸化皮膜は、バリア型陽極酸化皮膜、オゾン酸化皮膜又は熱酸化皮膜のいずれかであることを特徴とする。
また、請求項3に記載の薄膜形成装置は、請求項1又は2に記載の薄膜形成装置において、前記酸化皮膜は、皮膜形成後、真空、大気、窒素雰囲気又はアルゴン等の雰囲気中で100℃乃至200℃の温度で加熱処理されたものであることを特徴とする。
また、本発明は、前記酸化皮膜は、被膜形成後に、真空、大気、窒素雰囲気又はアルゴン等の希ガス雰囲気中で100℃乃至200℃の温度で、前記部材を加熱処理することにより、酸化皮膜中に含まれた、或いは、酸化皮膜表面に吸着した水等が予め除去されるため、薄膜形成装置内で使用するときに、酸化皮膜からの不純物を低減することができ、被処理物に形成される酸化皮膜等の制御をより容易とすることができる。
前記被処理物に形成される酸化皮膜を形成する方法としては、酸化性気体を使用し、例えば、プラズマ酸化法や熱酸化法等が挙げられる。
前記酸化性気体についても、特に制限はなく、例えば、酸素、二酸化窒素や水等が挙げられる。
前記緻密な酸化皮膜とは、突発的な欠陥を除き、ナノメートルオーダー以上の空孔がなく酸化皮膜形成後に大気中で酸化するなどして酸化を促進しようとしても、それ以上酸化層が厚くならないことをいう。また、前記酸化皮膜は、1μm以下とする必要がある。1μmを超える酸化皮膜を成長させると、薄膜形成装置の熱サイクルにより、酸化皮膜にひび割れが生じ、酸化皮膜下のアルミニウムやアルミニウム合金等で構成される部材表面が露出するため、薄膜形成装置により処理される被処理物に形成される酸化皮膜の膜厚等の制御が困難になるからである。
(実施例1)
図1は、本発明の薄膜形成装置の一例を示すもので、図中1は、Al−Mg系合金(A5052)製真空処理室であり、2はAl−Mg系合金(A5052)製防着板、3はシャワープレート、4は基板、5は基板ホルダー(ホットプレート付き)、6はゲートバルブ、7はターボ分子ポンプ、8は油回転ポンプ、9はアングルバルブ、10はマスフローコントローラー、11はRF電源である。
本装置においては、真空処理室1の内壁、防着板2及びシャワープレート3には、10%−ホウ酸アンモニウムにより、400Vでバリア型陽極酸化処理を施し、表面に520nmの緻密な酸化皮膜を形成した。
次に、比較例1として、真空処理室1の内壁、防着板2及びシャワープレート3を、上記実施例1のバリア型陽極酸化処理をせずに、硫酸系溶液を用いた多孔質型陽極酸化処理を施し、表面に膜厚20μmの膜を形成し、温水により封孔処理を施した。
実施例1及び比較例1の装置を用い、シリコン製基板4を基板ホルダー5の上に置いて、基板ホルダー5の温度を300℃まで上昇させ、マスフローコントローラー10で調整しながら2sccmの酸素を導入した。そして、RF電源11により放電を行い、基板4の表面を酸化した。
そして、真空処理室1内への酸素の供給と停止を繰り返し、真空処理室1内の酸素分圧を測定した。その結果を、実施例1については図2に示し、比較例1については図3に示す。
図2から、実施例1の装置の真空処理室1内の酸素分圧は、酸素の供給と停止に対応して垂直方向に直線的に変化しており、酸素量を極めて容易に制御できることがわかった。これに対して、比較例1の装置の真空処理室1内の酸素分圧は、図3から酸素の供給と停止に即座に反応することができなかったことがわかった。また、酸素を真空処理室1内に供給したときの飽和値が、酸素の供給と停止の回数の増加に伴い変化しており、酸素分圧が不規則に変化していることがわかった。
実施例1の装置で処理された基板4では、酸化皮膜の平均膜厚は、18nm±10%であり、1〜100回目を通して、安定した膜厚が得られることがわかった。一方、比較例1の装置で処理された基板4では、平均膜厚は、20nm±22%であり、膜厚のばらつきが大きく、安定した膜厚が得られないことがわかった。
図6(b)の水のイオン電流は、同図(a)に示す水のイオン電流に比べて2桁以上大きかった。従って、比較例1の装置で処理された基板4の方が、実施例1の装置で処理された基板4に比べて、酸化処理を行う系内の不純物量が極端に多いことがわかった。
上記結果から、薄膜形成装置により被処理物を酸化する際、酸素流量を制御しても、比較例1の多孔質陽極酸化処理の場合には、不純物が多いために、酸化過程に使用される酸素量を制御することが困難であることがわかった。
図6(c)の水のイオン電流は、図6(a)の水のイオン電流に比べて小さく、実施例1よりも更に酸化処理を行う系内の不純物を低減できることがわかった。このことから、薄膜形成装置により被処理物を酸化する際、バリア型陽極酸化処理した部材を予め加熱処理しておくことにより、不純物が少なくできるので、酸化過程に使用される酸素量を制御することが容易であることがわかった。
アルミニウム製防着板2を使用した以外は、実施例1と同じ構成の薄膜形成装置を用意し、真空処理室1を10-6Paまで真空ポンプ7により排気した後、99.9999%の酸素を真空処理室1内に10000Paまで導入し、530℃の温度で10時間加熱して、真空処理室1内壁、防着板2及びシャワープレート3の表面に、厚さ50nmの緻密な酸化皮膜を形成した。
本実施例の装置により、シリコン製基板4に対して、酸素流量100sccm(分圧1Pa)、RF電源の出力300Wとし、300秒間の酸化処理を100回繰り返した。そして、形成された酸化皮膜の膜厚を、EPMAにより酸素のkα線強度から測定した。
その結果、実施例1の装置で処理された基板4と同様に、1〜100回目を通して、安定した膜厚が得られることがわかった。
尚、本実施例では、酸素雰囲気で酸化を行ったが、大気中で、450℃から550℃で1時間加熱してアルミニウム又はアルミニウム合金の表面に緻密な酸化皮膜を形成しても同様の効果が得られることを確認した。
上記実施例1と同じ構成の別の薄膜形成装置を用意して、真空処理室1に、真空処理室1の内壁、防着板2及びシャワープレート3の表面をオゾン酸化処理するために次の処理を行った。真空処理室1の内壁、防着板2及びシャワープレート3の表面を、150℃に加熱し、真空処理室1内に大気圧にて酸素を1slm導入して波長254nmの紫外線により真空処理室1内にオゾンを発生させて1時間オゾン酸化処理し、真空処理室1の内壁、防着板2及びシャワープレート3の表面に200nmの表面酸化層を形成した。
本実施例の装置により、シリコン製基板4に対して、実施例2と同様にして酸化処理を行い、酸化皮膜の膜厚を測定し、その結果を図7に示す。図7から、酸化皮膜の平均膜厚は、19.4nm±9%であり、安定した膜厚が得られることがわかった。
上記実施例1の装置に装着された防着板2の代わりに、実施例2の装置で使用する厚さ50nmの緻密な酸化皮膜が形成された防着板2を使用して薄膜形成装置とした。
本実施例の装置により、シリコン製基板4に対して、実施例2と同様にして酸化処理を行い、酸化皮膜の膜厚を測定し、その結果を図8に示す。図8から、実施例4の酸化皮膜の平均膜厚は、19.9nm±8%であり、安定した膜厚が得られることがわかった。
2 防着板
3 シャワープレート
4 基板
5 基板ホルダー(ホットプレート付き)
6 ゲートバルブ
7 ターボ分子ポンプ
8 油回転ポンプ
9 アングルバルブ
10 マスフローコントローラー
11 RF電源
12 RF誘導コイル
13 石英窓
14 マッチングボックス
Claims (3)
- 酸化性気体を処理室内に導入し、被処理物に酸化皮膜を形成するための薄膜形成装置であって、前記処理室内において前記酸化性気体が接触することになる部材表面を、厚さ1μm以下の緻密な酸化皮膜により被覆したことを特徴とする薄膜形成装置。
- 前記酸化皮膜は、バリア型陽極酸化皮膜、オゾン酸化皮膜又は熱酸化皮膜のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成装置。
- 前記酸化皮膜は、皮膜形成後、真空、大気、窒素雰囲気又はアルゴン等の雰囲気中で100℃乃至200℃の温度で加熱処理されたものであることを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成装置。
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