本発明は、電子写真法又は静電記録法等により形成される静電潜像を現像剤により現像する際に用いられる静電荷現像トナー及びその製造方法、並びに、その原材料として用いられる樹脂粒子分散液に関する。
電子写真法など静電荷像を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されている。電子写真法に置いては帯電、露光工程により感光体上に静電荷像を形成し、トナーを含む現像剤で静電潜像を現像し、転写、定着工程工程を経て可視化される。ここで用いられる現像剤には、トナーとキャリアからなる2成分現像剤と、磁性トナー又は非磁性トナーを単独で用いる1成分現像剤とがあるがそのトナーの製法は通常、熱可塑性樹脂を顔料、帯電制御剤、ワックスなどの離型剤とともに溶融混練し、冷却後、微粉砕し、さらに分級する混練粉砕製法が使用されている。これらトナーには、必要であれば流動性やクリーニング性を改善するための無機、有機の粒子をトナー粒子表面に添加することもある。
近年カラー電子写真法による複写機、プリンター、またそれらやファクシミリなどの複合機などの普及が著しいが、カラー画像画像再現における適度な光沢及び優れたOHP画像を得るための透明性を実現する場合、ワックスなどの離型剤を用いることが一般的に難しい。このため、剥離補助のために定着ロールに多量のオイルを付与することとなるためOHPを含む複写画像のべたつき感やペンなどいよる画像への追記が困難となり、また不均一な光沢感を生じることも多い。通常の白黒コピーでは、一般的に使用されるポリエチレン、ポリプロピレン、パラフィンなどのワックスは、OHP透明性を損なうために使用することがより困難である。
また、例えば、透明性を犠牲にしたとしても、従来の混練粉砕法によるトナー製造方法では、表面へのトナー露出を抑制することが困難であるために、現像剤として使用する際、著しい流動性の悪化や、現像機、感光体へのフィルミングなどの問題を招く。
これらの問題の根本的な改善方法として、樹脂の原料となる単量体と着色剤からなる油相を水相中に分散し、直接重合してトナーとする方法により、これらワックスをトナー内部に内包して表面への露出を制御する重合法による製造方法が提案されている。
また、他に意図的なトナー形状及び表面構造の制御を可能とする手段として特開昭63−282752号や特開平6−250439号に乳化重合凝集法によるトナーの製造方法が提案されている。これらは、一般に乳化重合などにより樹脂粒子分散液を作製し、一方溶媒に着色剤を分散した着色剤分散液を作製し、混合し、トナー粒径に相当する凝集体を形成し、加熱することによって融合合一してトナーとする製造方法である。
これらの製法はワックスの内包を実現するばかりでなく、トナーの小径化を容易とし、より高解像かつ鮮明な画像再現を可能とするものである。
上記のように電子写真プロセスにおいて高品位な画像を提供し、かつ様々な機械的ストレス下でトナーが安定した性能を維持するには、顔料、離型材選択、量の最適化、表面への離型剤の露出を抑制するとともに、樹脂特性の最適化により光沢と定着オイルがない状態での離型性改善、ホットオフセット抑制がきわめて重要である。
一方、エネルギー消費量を少なくするため、より低温で定着しうる技術が望まれ、特に近年では、省エネルギー化を徹底するために、使用時以外は定着機への通電を停止するといったことが望まれている。従って、定着機の温度としては、通電するとともに、瞬時に使用温度にまで高める必要がある。そのためには、定着機の熱容量をできるだけ小さくするのが望ましいが、その場合、定着機の温度の振れ幅が、従来以上に大きくなる傾向にある。即ち、通電開始後の温度のオーバーシュートが大きくなり、他方、通紙による温度低下も大きくなる。また、定着機の幅より幅の小さい紙を連続して通紙した場合には、その通紙部と非通紙部との温度差も大きくなる。特に、高速の複写機やプリンタに用いた場合、電源容量が不足しがちなこともあり、上記のような現象を生ずる傾向が強い。従って、低温で定着し、より高温領域までオフセットが発生しない、いわゆる定着ラチチュードの広い電子写真用トナーが強く要求されている。
トナーの定着温度を低くする手段としては、トナーを構成する結着樹脂として、温度に対してシャープな溶融挙動を示す重縮合型の結晶性樹脂を用いることが知られているが、結晶性樹脂は、溶融混練粉砕法では粉砕が困難で一般に使用することができないことが多い。
さらに、重縮合型樹脂の重合には、200℃を越す高温下で大動力による攪拌下、かつ高減圧下で10時間以上の時間に及ぶ反応が必要であり、大量のエネルギー消費を招く。またそのために反応設備の耐久性を得るために膨大な設備投資を必要とする場合が多い。
また、上記のように乳化重合凝集法によるトナー作製を実施する場合は重縮合型の結晶性樹脂を重合した後に、水系媒体中に乳化し、ラテックスとした状態で顔料やワックスなどと凝集した後、融合合一することができる。
しかしながら、重縮合樹脂の乳化の際には150℃を超えるような高熱下での高せん断によって乳化するか、溶剤に溶解して低粘度化した溶液を水系媒体中に分散した後に溶剤を除くなどの極めて非効率かつエネルギー消費の大きな工程を必要とする。
また、水系媒体中への乳化の際に加水分解などの問題を回避することが困難であり、材料設計において不確定な要因の発生が不可避であった。
これらの問題は、結晶性樹脂において顕著ではあるが、これに限らず非結晶性樹脂でも同様である。
ところで、従来困難とされてきた水系媒体でのポリエステルの重縮合が水系媒体中で可能であるとする報告がある(Saam JC, Chou YJ. US Patent, 4 355 154;1982)。また、スルホン酸基を有する触媒の存在下の水系媒体中でポリエステルを重縮合する報告もある(USP4355154)。
特開昭63−282752号
特開平6−250439号
Macromolecules, 2003,36,1772−1774
Saam JC, Chou YJ. US Patent, 4 355 154;1982
USP4355154
上述のように、トナー作製を実施する場合は重縮合型の結晶性樹脂を重合した後に、水系媒体中に乳化しているが、上記報告のように水系媒体中で樹脂粒子を形成できれば、樹脂粒子を水系媒体中へ乳化させる必要がなく、非常に有利と考えられる。
しかしながら、上記報告では樹脂粒子が不安定な状態で水系媒体中に乳化分散されており、この分散液を用いてトナーを作製すると、昨今の技術要求からみれば、トナーの粒径やその分布が悪化し、しいては画質低下などを招いてしまい、トナー特性を十分満足し得るものが得られないのが現状である。また、重縮合型の結晶性樹脂を重合した後に水系媒体中に乳化した場合でも、やはり、昨今の技術要求からみれば、樹脂粒子が不安定な状態で水系媒体中に乳化分散されており改善が望まれている。
従って、本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、低エネルギーで水系媒体中に樹脂粒子が安定して乳化分散された静電荷現像トナー用樹脂粒子分散液を提供することである。また、これを利用して、トナー特性を十分満足した静電荷現像トナーを製造し得る静電現像トナーの製造方法、及びそれにより得られる静電荷現像トナーを提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
本発明の静電荷現像トナー用樹脂粒子分散液は、水系媒体中で重縮合性単量体を重縮合した重縮合樹脂粒子が、メジアン径0.05μm以上2.0μm以下で分散していることを特徴としている。
本発明の静電荷現像トナー用樹脂粒子分散液において、前記重縮合樹脂粒子が結晶性であり、且つその結晶融点が50℃以上120℃未満であることが好適である。また、前記重縮合樹脂粒子が非結晶性であり、且つそのガラス転移点が50℃以上80℃未満であることも好適である。
本発明の静電荷現像トナー用樹脂粒子分散液において、前記重縮合性単量体は、少なくとも多価カルボン酸とポリオールとを含むことが好適である。
本発明の静電荷現像トナー用樹脂粒子分散液において、重縮合触媒として界面活性効果を有する酸、希土類含有触媒、又は加水分解酵素を用いて、前記重縮合性単量体を重縮合したことが好適である。
一方、本発明の静電荷現像トナーの製造方法は、少なくとも、樹脂粒子を分散させた分散液中で、当該樹脂粒子を凝集して凝集粒子を得る工程と、当該凝集粒子を加熱して融合させる工程と、を有し、
前記樹脂粒子を分散させた分散液が、上記本発明の静電荷現像トナー用樹脂粒子分散液であることを特徴としている。
また、本発明の静電荷現像トナーは、上記本発明の静電荷現像トナーの製造方法により得られたことを特徴としている。また、本発明の静電荷現像トナーにおいては、前記静電荷現像トナーの累積体積平均粒径は3.0〜5.0μmであることが好適である。
本発明によれば、低エネルギーで水系媒体中に樹脂粒子が安定して乳化分散された静電荷現像トナー用樹脂粒子分散液を提供することができる。また、これを利用して、トナー特性を十分満足した静電荷現像トナーを製造し得る静電現像トナーの製造方法、及びそれにより得られる静電荷現像トナーを提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
(静電荷現像トナー用分散液)
本発明の静電荷現像トナー用樹脂粒子分散液(以下、単に本発明の樹脂粒子分散液という)は、重縮合樹脂粒子が水系媒体中にメジアン径0.05μm以上2.0μm以下で乳化分散しており、そして、この重縮合樹脂粒子を水系媒体中で重縮合性単量体を直接重縮合することで得ている。
このような本発明の樹脂粒子分散液では、重縮合樹脂粒子のメジアン径0.05μm以上2.0μm以下となるように、水系媒体中で重縮合性単量体を直接重縮合しているので、低エネルギーで重縮合樹脂粒子が得られる。しかも水系媒体中媒体における重縮合樹脂粒子の分散状態が、例えば、水中で孤立した状態が実現され、トナー化のための凝集剤などを用いての凝集操作以前では長期に安定な状態となり、凝集操作によってはじめて制御性高く、凝集粒子の形成が可能となるために、この分散液を用いるとトナーとしての粒度分布が良好となり、またトナー個々の組成、構造も均一化されるためトナー特性を十分満足したトナーが得られる。
ここで、重縮合樹脂粒子のメジアン径(中心径)は0.05μm以上2.0μm以下であるが、好ましくは0.1μm以上1.5μm以下、より好ましくは0.1μm以上1.0μm以下である。このメジアン径が上記範囲となることで、上述のように水系媒体中媒体における重縮合樹脂粒子の分散状態が安定する。従って、トナー作製の際には、このメジアン径が小さすぎると、粒子化の際の凝集性が悪化したり、遊離の樹脂粒子の発生が生じやすく、また系の粘度も上昇しやすくなって粒径の制御が困難になる。一方、大きすぎると、粗粉の発生が生じやすくなり粒度分布が悪化するとともにワックスなどの離型剤が遊離しやすくなるために、定着時の剥離性やオフセットの発生温度が低下したりする。
なお、重縮合樹脂粒子のメジアン径は、例えばレーザー回析式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−920)で測定することができる。
また、重縮合樹脂粒子は、そのメジアン径だけでなく、超微粉や超粗粉の発生がないことも好適でり、メジアン径が0.03μm以下又は5.0μm以上の重縮合樹脂粒子の比率が全体の10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下であることがさらに望ましい。なお、この比率はLA920における測定結果において粒子径と頻度積算の関係をプロットし、0.03μm以下、または5.0μm以上の頻度積算量から求めることから得ることができる。
以下、本発明の樹脂粒子分散液の製造方法について説明する。本発明の樹脂粒子分散液を得るには、例えば、まず、目的とする樹脂粒子原料として重縮合性単量体を水系媒体中に例えば機械的シェアや超音波などにより乳化分散させる。この際、必要に応じて、重縮合触媒、界面活性剤などの添加剤も水溶性媒体に添加する。そして、この溶液に対して例えば加熱などを施すことで、重縮合を進行させる。
通常、重縮合樹脂は重合時に脱水を伴うために原理的に水系媒体中では進行しない。しかしながら、例えば、水系媒体中にミセルを形成せしめるような界面活性剤とともに重縮合性単量体を水系媒体中に乳化せしめた場合、単量体がミセル中のミクロな疎水場に置かれることによって、脱水作用が生じ、生成した水はミセル外の水系媒体中に排出せしめ重合を進行させることができる。このようにして、低エネルギで、水系媒体に重縮合樹脂粒子が乳化分散した分散液が得られる。
ここで、得られる重縮合樹脂粒子のメジアン径を上記範囲に制御したり、大粒径及び小粒径の重縮合樹脂粒子の比率を低く制御するためには、例えば、以下の処理を施すことが好適である。
1)重縮合性単量体を直接水系媒体に添加せず、一旦、重縮合性単量体をその他添加剤(例えば、重縮合触媒や界面活性剤)と共に混合融解させる。この油系の溶液を水系媒体に添加し第1の攪拌(例えばホモジナイザーによる攪拌)を施し、さらに第2の攪拌(例えば超音波による攪拌)を施して乳化分散する方法、
2)重合性単量体をその他添加剤(例えば、重縮合触媒や界面活性剤)と共に混合融解し、この油系溶液を例えば100℃前後に加熱した水系媒体中に攪拌乳化(例えばホモジナイザーによる攪拌乳化)し、さらに微粒乳化分散(例えば吉田機械興業製ナノマイザーなどによる微粒乳化分散)する方法、
3)重合性単量体をその他添加剤(例えば、重縮合触媒や界面活性剤)と共に混合融解し、さらに溶剤(例えば酢酸エチルなど)を少量添加した後、水系媒体中に攪拌乳化(例えばホモジナイザーによる攪拌乳化)し、さらに微粒乳化分散(例えば吉田機械興業製ナノマイザーなどによる微粒乳化分散)し、その後、例えば60℃程度に加熱をしながら攪拌し脱溶剤する方法、
4)重合性単量体をその他添加剤(例えば、重縮合触媒や界面活性剤)と共に混合融解し、その油系溶液に例えば100℃前後に加熱した水系媒体を徐々に添加しながら攪拌乳化(例えばホモジナイザーによる攪拌乳化)し、さらに水系媒体また必要に応じて界面活性剤を加えて転相乳化を実現する方法、など。
また、重縮合性単量体を低温で重縮合するためには、通常、重縮合触媒が用いられる。このような低温で触媒活性を有する重縮合性触媒としては、界面活性効果を有する酸、希土類含有触媒、又は加水分解酵素が好適に挙げられる。これらの触媒を用いることで、例えば、100℃以下の常温水系媒体中で重縮合を生じさせることができる。なお、より重縮合を早く進行させるたり、より広範な単量体を用いるためには、100℃以上の加熱下の水系媒体中で重縮合を進行させることもできる。
界面活性効果を有する酸とは、疎水基と親水基とからなる化学構造を有し、少なくとも親水基の一部がプロトンからなる酸の構造を有するものであり、乳化機能と触媒機能を併せ持つ触媒である。界面活性効果を有する酸としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸、イソプロピルベンゼンスルホン酸、ケリルベンゼンスルホン酸、しょうのうスルホン酸、などのアルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、アルキルジスルホン酸、アルキルフェノールスルホン酸、アルキルナフタリンスルホン酸、アルキルテトラリンスルホン酸、アルキルアリルスルホン酸、石油スルホン酸、アルキルベンゾイミダゾールスルホン酸、高級アルコールエーテルスルホン酸、アルキルジフェニルスルホン酸、モノブチルフェニルフェノール硫酸、ジブチルフェニルフェノール硫酸、ドデシル硫酸などの高級脂肪酸硫酸エステル、高級アルコール硫酸エステル、高級アルコールエーテル硫酸エステル、高級脂肪酸アミドアルキロール硫酸エステル、高級脂肪酸アミドアルキル化硫酸エステル、ナフテニルアルコール硫酸、硫酸化脂肪、スルホ琥珀酸エステル、各種脂肪酸、スルホン化高級脂肪酸、高級アルキルリン酸エステル、樹脂酸、樹脂酸アルコール硫酸、ナフテン酸、及びこれらすべての塩化合物などが挙げられ、必要に応じて複数を組み合わせてもよい。
希土類含有触媒としては、ランタノイド元素としてランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)、ネオジウム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)などを含むものが有効であり、特にアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、又はトリフラート構造を有するものなどが有効である。前記金属トリフラートとしては、構造式としてX(OSO2CF3)3Xで示される化合物であることが好ましい。なお、式中、Xは、スカンジウム(Sc),イットリウム(Y),イッテルビウム(Yb),サマリウム(Sm)などである。
また、希土類含有触媒としては、ランタノイドトリフラートなども好ましい。ランタノイドトリフラートについては、有機合成化学協会誌、第53巻第5号、p44−54)に詳しい。
加水分解酵素としては、エステル合成反応を触媒するものであれば特に制限はない。加水分解酵素としては、例えば、カルボキシエステラーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、アセチルエステラーゼ、ペクチンエステラーゼ、コレステロールエステラーゼ、タンナーゼ、モノアシルグリセロールリパーゼ、ラクトナーゼ、リポプロテインリパーゼ等のEC(酵素番号)3.1群(丸尾・田宮監修「酵素ハンドブック」朝倉書店 (1982) 等参照)に分類されるエステラーゼ、グルコシダーゼ、ガラクトシダーゼ、グルクロニダーゼ、キシロシダーゼ等のグリコシル化合物に作用するEC3.2群に分類される加水分解酵素、エポキシドヒドラーゼ等のEC3.3群に分類される加水分解酵素、アミノペプチダーゼ、キモトリプシン、トリプシン、プラスミン、ズブチリシン等のペプチド結合に作用するEC3.4群に分類される加水分解酵素、フロレチンヒドラーゼ等のEC3.7群に分類される加水分解酵素等を挙げることができる。
これらエステラーゼのうち、グリセロールエステルを加水分解し脂肪酸を遊離する酵素を特にリパーゼと呼ぶが、リパーゼは有機溶媒中での安定性が高く、収率良くエステル合成反応を触媒し、さらに安価に入手できることなどの利点がある。したがって、本発明のポリエステルの製造方法においても、収率やコストの面からリパーゼを用いることが望ましい。
リパーゼには種々の起源のものを使用できるが、好ましいものとして、シュードモナス(Pseudomonas )属、アルカリゲネス(Alcaligenes )属、アクロモバクター(Achromobacter )属、カンジダ(Candida )属、アスペルギルス(Aspergillus )属、リゾプス(Rhizopus)属、ムコール(Mucor )属等の微生物から得られるリパーゼ、植物種子から得られるリパーゼ、動物組織から得られるリパーゼ、さらに、パンクレアチン、ステアプシン等を挙げることができる。このうち、シュードモナス属、カンジダ属、アスペルギルス属の微生物由来のリパーゼを用いることが望ましい。
これら重縮合触媒は、単独でも、複数を組み合わせて使用してもよい。
一方、重縮合に用いる重縮合単量体としては、例えば、多価カルボン酸、ポリオール、ポリアミンが挙げられる。特に、重縮合単量体としては、多価カルボン酸とポリオールと含んだものを用いて、ポリエステルを得るものがよい。
多価カルボン酸は、1分子中にカルボキシル基を2個以上含有する化合物である。このうち、2価のカルボン酸は1分子中にカルボキシル基を2個含有する化合物であり、例えば、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、β−メチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、フマール酸、シトラコン酸、ジグリコール酸、シクロヘキサン−3,5−ジエン−1,2−カルボン酸、リンゴ酸、クエン酸、ヘキサヒドロテレフタール酸、マロン酸、ピメリン酸、酒石酸、粘液酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロルフタル酸、クロルフタル酸、ニトロフタル酸、p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレンジグリコール酸、p−フェニレンジグリコール酸、o−フェニレンジグリコール酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル−p,p'−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸等を挙げることができる。また、2価のカルボン酸以外の多価カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸等を挙げることができる。
特に、多価カルボン酸のうち、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカメチレンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等を用いることが好ましい。これらの多価カルボン酸は水に難溶あるいは不溶であるため、多価カルボン酸が水に分散した懸濁液中でエステル合成反応が進行する。
ポリオールは、1分子中に水酸基を2個以上含有する化合物である。このうち、2価のポリオールは1分子中に水酸基を2個含有する化合物であり、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール等を挙げることができる。また、2価のポリオール以外のポリオールとしては、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサエチロールメラミン、テトラメチロールベンゾグアナミン、テトラエチロールベンゾグアナミン等を挙げることができる。
特に、ポリオールのうち、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール等の2価のポリオールを用いることが好ましい。これらのポリオールは水に難溶あるいは不溶であるため、ポリオールが水に分散した懸濁液中でエステル合成反応が進行する
また、これらの重縮合性単量体の組み合わせにより非結晶樹脂や結晶性樹脂を容易に得ることができる。
例えば、結晶性ポリエステルや結晶性ポリアミドを得るために使用される多価カルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマール酸、シトラコ酸、イタコン酸、グルタコ酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、これらの酸無水物あるいは酸塩化物を挙げることができる。
また、例えば、結晶性ポリエステルを得るために使用されるポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4,ブテンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタングリコール、1,6−ヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールZ、水素添加ビスフェノールA等も挙げることができる。
また、例えば、ポリアミドを得るために使用されるポリアミンとしては、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,4,ブテンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジメタチルアミン等を挙げることができる。
このような重縮合性単量体を重縮合して得られる重縮合樹脂粒子は、結晶性であることが好ましい。特に、結晶性の樹脂を使用することで、トナーの低温定着が容易に実現可能となる。
このような結晶性の重縮合樹脂としては、1、9ノナンジオールと1,10デカメチレンカルボン酸、又はシクロヘキサンジオールとアジピン酸とを反応して得られるポリエステル、1,6ヘキサンジオールとセバシン酸とを反応して得られるポリエステル、エチレングリコールとコハク酸とを反応して得られるポリエステル、エチレングリコールとセバシン酸とを反応して得られるポリエステル、1,4−ブタンジオールとコハク酸とを反応して得られるポリエステルを挙げることができる。これらの中でも特に1、9ノナンジオールと1,10デカメチレンカルボン酸及び1,6ヘキサンジオールとセバシン酸とを反応させて得られるポリエステルがさらに好ましい。
ここで、結晶性の場合の結晶融点Tmは50〜120℃、好ましくは55〜90℃の範囲が適当である。Tmが50℃を下回ると、高温度域での結着樹脂自体の凝集力が低下するため、定着の際に剥離性の悪化やホットオフセットが生じやすくなり、120℃を超えると十分な溶融が得られず、最低定着温度が上昇することがあるためのである。
ここで、結晶性樹脂の融点の測定には、示差走査熱量計(DSC)を用い、室温から150℃まで毎分10℃の昇温速度で測定を行った時のJIS K−7121に示す入力補償示差走査熱量測定の融解ピーク温度として求めることができる。尚、結晶性の樹脂には、複数の融解ピークを示す場合があるが、本発明においては、最大のピークをもって融点とみなす。
また、非結晶樹脂のガラス転移点は、ASTM D3418−82に規定された方法(DSC法)で測定した値をいう。
一方、重縮合性樹脂粒子が非晶性の場合、ガラス転移点Tgは50〜80℃、好ましくは50〜65℃の範囲が適当である。Tgが50℃を下回ると、高温度域での結着樹脂自体の凝集力が低下するため、定着の際にホットオフセットが生じやすくなり、80℃を超えると十分な溶融が得られず、最低定着温度が上昇することがあるためである。
また、重縮合性単量体を重縮合して得られる重縮合樹脂粒子の重量平均分子量は、1500〜60000、好ましくは3000〜40000の範囲が適当である。重量平均分子量が1500を下回ると、バインダー樹脂の凝集力が低下しやすくなり、ホットオフセット性が低下する場合があり、60000を超えると、ホットオフセット性は良いものの最低定着温度が上昇する場合がある。また、単量体のカルボン酸価数、アルコール価数の選択などによって一部枝分かれや架橋などを有していても良い。
また、重縮合性単量体を重縮合して得られる重縮合樹脂粒子の粒径は、その体積中心粒子径で10μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは7μm以下、最も好ましい粒子径としては1μm以下である。この粒子径が10μmより大きいとトナーとして使用するにあたり、その解像度など画質特性上好ましくはない。さらに、粒子径が10μmより大きい場合、重縮合における分子量増加及びその速度が十分でなく製造上、定着後の画質強度の点で問題である。
このように、水系媒体中で所定の粒子径の重縮合樹脂粒子を得るためには、重合方法として懸濁重合法、溶解懸濁法、ミニエマルジョン法、マイクロエマルジョン法、ミクロエマルジョン法、多段膨潤法やシード重合を含む乳化重合法など通常の水系媒体中での不均一系重合形態を利用することがよい。また、この場合、上記に示した様に、重縮合反応、得に最終分子量や重合速度が粒子の最終粒子径に依存する事から最も好ましい粒子径形態としての1μmを達成し、しかも効率的な製造を達成することが可能である製造形態としては、ミニエマルジョン法、マイクロエマルジョン法など1μm以下のサブミクロン粒子をその最終形態とする重合方法がより好ましい。
また、重縮合樹脂粒子を水系媒体中で重縮合する際には、上記各材料を水系媒体に例えば機械的シェアや超音波などを使用し乳化又は分散するが、この乳化分散の際に必要に応じて界面活性剤や高分子分散剤、無機分散剤などを水系媒体中に添加することが可能である。
ここで用いる界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤などが挙げられる。これらの中でもアニオン界面活性剤、カチオン系界面活性剤が好ましい。前記非イオン系界面活性剤は、前記アニオン界面活性剤又はカチオン系界面活性剤と併用することが好ましい。前記界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。アニオン界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等などが挙げられる。カチオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。非イオン系界面活性剤としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等を挙げることができる。また高分子分散剤としては、ポリカルボン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、無機分散剤としては、炭酸カルシウムなどを例示することが出来るが、これらはなんら本発明を制限するものではない。さらに通常水系媒体中での単量体エマルジョン粒子のOstwald Ripning現象を防ぐためにしばしば、ヘプタノールやオクタノールに代表される高級アルコール類、ヘキサデカンに代表される高級脂肪族炭化水素類を安定助剤として配合することも可能である。
なお、重縮合樹脂粒子を水系媒体中で重縮合する際に、予め着色剤やワックスなどの定着助剤、その他帯電助剤など通常トナーに必要な成分を水系媒体中に予め混合し、重縮合と共に重縮合樹脂粒子中に配合させることも可能である。
(静電荷現像トナーの製造方法)
本発明の静電荷現像トナーの製造方法は、少なくとも、樹脂粒子を分散させた分散液中で、当該樹脂粒子を凝集して凝集粒子を得る工程(凝集工程)と、当該凝集粒子を加熱して融合させる工程(融合工程)と、を有するものである。そして、この乳化重合凝集法と呼ばれる製造方法において、樹脂粒子を分散させた分散液として、上記本発明の樹脂粒子分散液を適用する。
凝集工程では、上記本発明の樹脂粒子分散液における重縮合樹脂粒子は、水系媒体中で調製されるため、そのまま樹脂分散液として利用することができ、この樹脂粒子分散液を、必要に応じて着色剤粒子分散液及び離型剤粒子分散液と混合し、さらに凝集剤を添加し、これら粒子をヘテロ凝集させることによりトナー径の凝集粒子を形成することができる。また、このように凝集して第一の凝集粒子形成後、さらに上記本発明の樹脂粒子分散液又は別の樹脂粒子分散液を添加し第一の粒子表面に第2のシェル層を形成することも可能である。なお、この例示においては、着色剤分散液を別に調整しているが、重縮合樹脂粒子に予め着色剤が配合されている場合には、着色剤分散液は必要ない。
ここで、凝集剤としては、界面活性剤のほか、無機塩、2価以上の金属塩を好適に用いることができる。特に、金属塩を用いる場合、凝集性制御及びトナー帯電性などの特性において好ましい。また、例えば、樹脂の乳化重合、顔料の分散、樹脂粒子の分散、離型剤の分散、凝集、凝集粒子の安定化などに界面活性剤を用いることができる。具体的には硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤、アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン系界面活性剤、またポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤を併用することも効果的であり、分散手段としては、回転せん断型ホモジナイザーやメデイアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的なものを使用できる。
また、本発明の樹脂粒子分散液以外も、従来から知られる乳化重合などを用いて作製された付加重合系樹脂粒子分散液を合わせて用いることができる。
これらの樹脂粒子分散液を作製するための付加重合系単量体の例としては、スチレン、パラクロルスチレンなどのスチレン類、ビニルナフタレン、塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n―ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸n―オクチル、アクリル酸2―クロルエチル、アクリル酸フェニル、α―クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのメチレン脂肪族カルボン酸エステル類、アクリロニトリル、メタクリルロニトリル、アクリルアミド、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類、例えばN―ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物などの含N極性基を有する単量体やメタクリル酸、アクリル酸、桂皮酸、カルボキシエチルアクリレートなどのビニルカルボン酸類などビニル系モノマーの単独重合体及び共重合体など、さらには各種ワックス類もあわせて使用可能である。
付加重合系単量体の場合は、イオン性界面活性剤などを用いて乳化重合を実施して樹脂粒子分散液を作製することができ、その他の樹脂の場合は油性で水への溶解度の比較的低い溶剤に溶解するものであれば、樹脂をそれらの溶剤に解かし、イオン性の界面活性剤や高分子電解質とともにホモジナイザーなどの分散機により水系媒体中に粒子状に分散し、その後加熱又は減圧して溶剤を蒸散することにより、樹脂粒子分散液を得ることができる。
そして、凝集工程を経た後、融合工程(融合・合一工程)において、樹脂樹脂粒子のガラス転移点以上又は融点以上の温度に加熱して、凝集粒子を融合・合一し、必要に応じて洗浄、乾燥することにより、トナーを得ることができる。
また、融合工程を終了した後、任意の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て所望のトナー粒子を得るが、洗浄工程は帯電性を考慮すると、イオン交換水で十分に置換洗浄することが望ましい。また、固液分離工程には特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等が好適である。さらに、乾燥工程も特に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が好ましく用いられる。
以下、トナーの構成成分(その製法に使用される原料)について説明する。
まず、着色剤としては次のようなものを使用することができる。黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、マグネタイト等を挙げることができる。
黄色顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、クロムイエロー、ハンザイエロー、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーメネントイエローNCG 等を挙げることができる。
橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR 、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG 、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK等を挙げることができる。
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、ローダミンB レーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、エオキシンレッド、アリザリンレーキ等を挙げることができる。
青色顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレレートなどを挙げることができる。
紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等を挙げることができる。
緑色顔料としては、酸化クロム、クロムグリーン、ピグメントグリーン、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等を挙げることができる。
白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等をあげることができる。
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等を挙げることができる。
また、染料としては、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料、例えば、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等があげられる。
また、これらの着色剤は単独もしくは混合して使用される。これらの着色剤は、例えば、回転せん断型ホモジナイザーやボールミル、サンドミル、アトライター等のメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機等を用いて着色剤粒子の分散液を調製することができる。また、これらの着色剤は極性を有する界面活性剤を用いて、ホモジナイザーによって水系に分散することもできる。
着色剤は、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透過性、トナー中での分散性の観点から選択される。
着色剤は、トナー構成固体分総重量に対して4〜15重量%の範囲で添加することができる。黒色着色剤として磁性体を用いる場合は、他の着色剤とは異なり、12〜240 重量%添加することができる。
着色剤の配合量は、定着時の発色性を確保するための必要量である。また、トナー中の着色剤粒子の中心径(メジアン径)は100〜330nmにすることにより、OHP透明性及び発色性を確保することができる。
なお、着色剤粒子の中心径(メジアン径)は、例えばレーザー回析式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−920)で測定した。
また、磁性トナーとして用いる場合は、磁性粉を含有させても良い。具体的には、磁場中で磁化される物質を用いるが、鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性の粉末、もしくはフェライト、マグネタイト等の化合物が使用される。水相中でトナーを得るときには、磁性体の水相移行性に注意を払う必要があり、好ましくは予め磁性体の表面を改質し、例えば疎水化処理等を施しておくことが好ましい。
また、内添剤としてフェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、又はこれら金属を含む化合物などの磁性体を使用したり、帯電制御剤として4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料やトリフェニルメタン系顔料など通常使用される種々の帯電制御剤を使用することが出来るが、凝集や合一時の安定性に影響するイオン強度の制御と廃水汚染減少の点から水に溶解しにくい材料が好適である。
離型剤の具体例としては、例えば、各種エステルワックス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を示すシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪酸アミド類や、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス、ミツロウのような動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物系・石油系ワックス、及びそれらの変性物などを挙げることができる。
これらのワックス類は、室温付近では、トルエンなど溶剤にはほとんど溶解しないか、溶解しても極めて微量である。
これらのワックス類は、水系媒体中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散し、融点以上に加熱するとともに、強い剪断付与能力を有するホモジナイザーや圧力吐出型分散機(ゴーリンホモジナイザー、ゴーリン社製)で粒子状に分散させ、1μm以下の粒子の分散液を作製することができる。
離型剤は、トナー構成固体分総重量に対して5〜25重量%の範囲で添加することが、オイルレス定着システムにおける定着画像の剥離性を確保する上で望ましい。
なお、離形剤粒子分散液の粒子径は、例えばレーザー回析式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−920)で測定した。また、離型剤を使用するときには、樹脂粒子、着色剤粒子及び離型剤粒子を凝集した後に、さらに樹脂粒子分散液を追加して凝集粒子表面に樹脂粒子を付着することが帯電性、耐久性を確保する観点から望ましい。
本発明の静電荷現像トナーの製造方法により得られたトナーの累積体積平均粒径D50は3.0〜9.0μmの範囲、好ましくは3.0〜5.0μmの範囲が適当である。D50が3.0μmを下回ると、付着力が高くなり、現像性が低下することがある。また、9.0μmを超えると画像の解像性が低下することがある。
また、得られるトナーの体積平均粒度分布指標GSDvは1.30以下であることが好ましい。GSDvが1.30を超えると解像性が低下し、トナー飛散やカブリ等の画像欠陥の原因となることがある。
ここで、累積体積平均粒径D50や平均粒度分布指標は、例えばコールターカウンターTAII(日科機社製)、マルチサイザーII(日科機社製)等の測定器で測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積D16v、数D16P、累積50%となる粒径を体積D50v、数D50P、累積84%となる粒径を体積D84v、数D84Pと定義する。これらを用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16V)1/2、数平均粒度分布指標(GSDp)は(D84P/D16P)1/2として算出される。
得られたトナーの形状係数SF1は、画像形成性の点より100〜140、好ましくは110〜135の範囲が適当である。形状係数SF1は次のようにして求められる。まず、スライドグラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、50個以上のトナーについて周囲長(ML)と投影面積(A)を測定し、(周囲長の2乗/投影面積=ML2/A)をトナーの形状係数SF1とした。
得られたトナーには、流動性付与やクリーニング性向上の目的で通常のトナーと同様に乾燥した後、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウムなどの無機粒子やビニル系樹脂、ポリエステル、シリコーンなどの樹脂粒子を乾燥状態でせん断をかけながらトナー粒子表面に添加して使用することができる。
また、水系媒体中にてトナー表面に付着せしめる場合、無機粒子の例としては、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウムなど通常トナー表面の外添剤として使うすべてのものをイオン性界面活性剤や高分子酸、高分子塩基で分散することにより使用することができる。
以上説明した本発明の静電荷現像トナーの製造方法により得られるトナーは、静電荷現像剤として使用される。この現像剤は、この静電荷像現像トナーを含有することの外は特に制限はなく、目的に応じて適宜の成分組成をとることができる。静電荷像現像トナーを、単独で用いると一成分系の静電荷像現像剤として調製され、また、キャリアと組み合わせて用いると二成分系の静電荷像現像剤として調製される。
また、静電荷現像剤(静電荷現像トナー)は、通常の静電荷現像方式(電子写真方式)の画像形成方法に使用することができる。本発明の画像形成方法は、具体的には、例えば、静電潜像形成工程、トナー画像形成工程、転写工程、及びクリーニング工程を含む。前記各工程は、それ自体一般的な工程であり、例えば、特開昭56−40868号公報、特開昭49−91231号公報等に記載されている。なお、本発明の画像形成方法は、それ自体公知のコピー機、ファクシミリ機等の画像形成装置を用いて実施することができる。前記静電潜像形成工程は、静電潜像担体上に静電潜像を形成する工程である。前記トナー画像形成工程は、現像剤担体上の現像剤層により前記静電潜像を現像してトナー画像を形成する工程である。前記現像剤層としては、前記本発明の静電荷像現像トナーを含有する本発明の静電荷像現像剤を含んでいれば特に制限はない。前記転写工程は、前記トナー画像を転写体上に転写する工程である。前記クリーニング工程は、静電潜像担持体上に残留する静電荷像現像剤を除去する工程である。本発明の画像形成方法においては、さらにリサイクル工程をも含む態様が好ましい。前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程において回収した静電荷像現像トナーを現像剤層に移す工程である。このリサイクル工程を含む態様の画像形成方法は、トナーリサイクルシステムタイプのコピー機、ファクシミリ機等の画像形成装置を用いて実施することができる。また、クリーニング工程を省略し、現像と同時にトナーを回収する態様のリサイクルシステムにも適用することができる。
以下、本発明を実施例で詳しく説明するが、本発明を何ら限定するものではない。
なお、本実施例のトナーは、下記の樹脂粒子分散液、着色剤粒子分散液、離形剤粒子分散液をそれぞれ調製し、これを所定の割合で混合し攪拌したながら、金属塩の重合体を添加し、イオン的に中和させて凝集粒子を形成する。次いで、無機水酸化物を添加して系内のpHを弱酸性から中性に調整した後、前記樹脂粒子のガラス転移点以上の温度に加熱して融合・合一する。反応終了後、十分な洗浄、固液分離、乾燥の工程を経て所望のトナーを得る。以下、それぞれの調製方法を説明する。
(樹脂粒子分散液(1)の調製)
・ドデシルベンゼンスルホン酸:36重量部
・1、9ノナンジオール:80重量部
・1、10デカメチレンジカルボン酸:115重量部
・イオン交換水:1000重量部
上記配合に従って、まず、ドデシルベンゼンスルホン酸、1、9ノナンジオール、及び1、10デカメチレンジカルボン酸を混合し、120℃に加熱し融解した後、この油系の溶液を95℃に加熱したイオン交換水へ投入し、直後にホモジナイザー(IKA 社製、ウルトラタラックス)で5分間乳化した。その後、さらに超音波バス中で5分乳化後、乳化物を攪拌しながらフラスコ中で70℃に維持し、15時間保持した。
これにより粒子の中心径(メジアン径)が400nm、融点が70℃、重量平均分子量が5500、固形分量が18%の結晶ポリエステル樹脂粒子分散液(1)を得た。
また、樹脂粒子分散液(1)の粒子は、メジアン径が0.03μm以下又は5.0μm以上の粒子の全体比率(以下、大小粒子全体比率と記載)が、1.2%であった。
(樹脂粒子分散液(2)の調製)
・ドデシルベンゼンスルホン酸:36重量部
・1、6ヘキサンジオール:59重量部
・セバシン酸:101重量部
・イオン交換水:1000重量部
上記配合に従って、まず、ドデシルベンゼンスルホン酸、1、6ヘキサンジオール、及びセバシン酸を混合し、140℃に加熱し融解した後、この油系の溶液を95℃に加熱したイオン交換水に投入し、直後ホモジナイザー(IKA 社製、ウルトラタラックス)で5分間乳化した。その後、さらに超音波バス中で5分乳化後、乳化物を攪拌しながらフラスコ中で70℃に維持し、15時間保持した。
これにより粒子の中心径(メジアン径)が720nm、融点が69℃、重量平均分子量が4500、固形分量が16%の結晶ポリエステル樹脂粒子分散液(2)を得た。
また、樹脂粒子分散液(2)の粒子は、大小粒子全体比率が4.4%であった。
(樹脂粒子分散液(3)の調製)
・ドデシル硫酸:30重量部
・1、9ノナンジオール:80重量部
・アゼライン酸:94重量部
・イオン交換水:1000重量部
上記配合に従って、まず、ドデシル硫酸、1、9ノナンジオール、及びアゼライン酸を混合し、110℃に加熱し融解した後、この油系の溶液を95℃に加熱したイオン交換水にに投入し、直後ホモジナイザー(IKA 社製、ウルトラタラックス)で5分間乳化した。その後、さらに超音波バス中で5分乳化後、乳化物を攪拌しながらフラスコ中で70℃に維持し、15時間保持した。
これにより粒子の中心径(メジアン径)が220nm、融点が55℃、重量平均分子量が7500、固形分量が17%の結晶ポリエステル樹脂粒子分散液(3)を得た。
また、樹脂粒子分散液(3)の粒子は、大小粒子全体比率が0.5%であった。
(樹脂粒子分散液(4) の調製)
・イソプロピルベンゼンスルホン酸:25重量部
・テレフタル酸:46重量部
・ポリオキシエチレン(2,4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:34重量部
・エチレングリコール:20重量部
・イオン交換水:500重量部
上記配合に従って、イソプロピルベンゼンスルホン酸、テレフタル酸、ポリオキシエチレン(2,4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、及びエチレングリコールを混合し、110℃に加熱し融解した後、この油系の溶液をイオン交換水に投入し、ホモジナイザー(IKA 社製、ウルトラタラックス)で5分間乳化した。その後、さらに超音波バス中で5分乳化後、乳化物を攪拌しながらフラスコ中で90℃に維持し、20時間保持した。
これにより粒子の中心径(メジアン径)が520nm、ガラス転移点が55℃、重量平均分子量が4500、固形分量が14%の非晶ポリエステル樹脂粒子分散液(4)を得た。
また、樹脂粒子分散液(4)の粒子は、大小粒子全体比率が2.3%であった。
(樹脂粒子分散液(5)の調製)
・ドデシルベンゼンスルホン酸スカンジウム(希土類含有触媒):36重量部
・1、9ノナンジオール:80重量部
・1、10デカメチレンジカルボン酸:115重量部
・イオン交換水:1000重量部
上記配合に従って、ドデシルベンゼンスルホン酸スカンジウム(希土類含有触媒)、1、9ノナンジオール、及び1、10デカメチレンジカルボン酸を混合し、120℃に加熱し融解した後、この油系の溶液を95℃に加熱した水系媒体に投入し、直後ホモジナイザー(IKA 社製、ウルトラタラックス)で5分間乳化した。その後、さらに超音波バス中で5分乳化後、乳化物を攪拌しながらフラスコ中で80℃に維持し、15時間保持した。
これにより粒子の中心径(メジアン径)が370nm、融点が70℃、重量平均分子量が4900、固形分量が18%の結晶ポリエステル樹脂粒子分散液(5)を得た。
また、樹脂粒子分散液(5)の粒子は、大小粒子全体比率が1.8%であった。
(樹脂粒子分散液(6)の調製)
・ドデシルベンゼンスルホン酸:12重量部
・リパーゼ(シュードモナス属由来:酵素触媒):50重量部
・1、9ノナンジオール:80重量部
・1、10デカメチレンジカルボン酸:115重量部
・イオン交換水:1000重量部
上記配合に従って、まず、ドデシルベンゼンスルホン酸、リパーゼ、1、9ノナンジオール、及び1、10デカメチレンジカルボン酸を混合し、120℃に加熱し融解した後、この油系の溶液を85℃に加熱したイオン交換水に投入し、直後ホモジナイザー(IKA 社製、ウルトラタラックス)で5分間乳化した。その後、さらに超音波バス中で5分乳化後、乳化物を攪拌しながらフラスコ中で80℃に維持し、15時間保持した。
これにより粒子の中心径(メジアン径)が1070nm、融点が69℃、重量平均分子量が4500、固形分量が20%の結晶ポリエステル樹脂粒子分散液(6)を得た。
また、樹脂粒子分散液(6)の粒子は、大小粒子全体比率が8.8%であった。
(樹脂粒子分散液(7)の調製:比較用)
・ドデシルベンゼンスルホン酸:18重量部
・1、9ノナンジオール:80重量部
・1、10デカメチレンジカルボン酸:115重量部
・イオン交換水:1000重量部
上記配合に従って、まず、1、9ノナンジオール及び1、10デカメチレンジカルボン酸を混合し、120℃に加熱し融解した後、ドデシルベンゼンスルホン酸を溶解した室温のイオン交換水に投入し、ホモジナイザー(IKA 社製、ウルトラタラックス)で1分間乳化した。その後、乳化物を攪拌しながらフラスコ中で60℃に維持し、15時間保持した。
これにより粒子の中心径(メジアン径)が2100nm、融点が69℃、重量平均分子量が3500、固形分量が18%の結晶ポリエステル樹脂粒子分散液(7)を得た。
また、樹脂粒子分散液(7)の粒子は、大小粒子全体比率が10.8%であった。
(樹脂粒子分散液(8)の調製:比較用)
・ドデシルベンゼンスルホン酸:36重量部
・1、4ブタンジオール:45重量部
・アゼライン酸:94重量部
・イオン交換水:1000重量部
上記配合に従って、アゼライン酸、及び1、4ブタンジオールを混合し、110℃に加熱し融解した後、ドデシルベンゼンスルホン酸を溶解した95℃に加熱したイオン交換水に投入し、ホモジナイザー(IKA 社製、ウルトラタラックス)で5分間乳化した。その後、さらに超音波バス中で30分乳化後、乳化物を攪拌しながらフラスコ中で70℃に維持し、15時間保持した。
これにより粒子の中心径(メジアン径)が25nm、融点が48℃、重量平均分子量が6500、固形分量が15%の結晶ポリエステル樹脂粒子分散液(8)を得た。
また、樹脂粒子分散液(8)の粒子は、大小粒子全体比率が12%であった。
(樹脂粒子分散液(9)の調製:非結晶ビニル系樹脂ラテックス)
・スチレン:460重量部
・nブチルアクリレート:140重量部
・アクリル酸:12重量部
・ドデカンチオール:9重量部
上記配合に従って、各成分を混合溶解して溶液を調製した。他方、アニオン性界面活性剤(ローディア社製、ダウファックス)12重量部をイオン交換水250重量部に溶解し、前記溶液を加えてフラスコ中で分散し乳化した(単量体乳化液A)。さらに、同じくアニオン性界面活性剤(ローディア社製、ダウファックス)1重量部を555重量部のイオン交換水に溶解し、重合用フラスコに仕込んだ。重合用フラスコを密栓し、還流管を設置し、窒素を注入しながら、ゆっくりと攪拌しながら、75℃まで重合用フラスコをウオーターバスで加熱し、保持する。
次に、過硫酸アンモニウム9重量部をイオン交換水43重量部に溶解し、重合用フラスコ中に定量ポンプを介して、20分かけて滴下した後、単量体乳化液Aをやはり定量ポンプを介して200分かけて滴下する。
その後、ゆっくりと攪拌を続けながら重合用フラスコを75℃に、3時間保持して重合を終了する。
これにより粒子の中心径(メジアン径)が210nm、ガラス転移点が53.5℃、重量平均分子量が31000、固形分量が42%のアニオン性樹脂粒子分散液(9)を得た。
また、樹脂粒子分散液(9)の粒子は、大小粒子全体比率が0.2%であった。
(樹脂粒子分散液(10)の調製)
1、9ノナンジオール:40重量部、及び1、10デカメチレンジカルボン酸:57.5重量部に対し、ジブチルスズオキシドを0.05モル%加え、攪拌翼を装備したフラスコ中で攪拌しながら200℃に加熱、減圧下で6時間、重合を進行せしめ、重量平均分子量6200、融点69℃の結晶性ポリエステル樹脂を得た。この樹脂80gに対し、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3.2gを溶解したイオン交換水460gを加え、ステンレスフラスコ中の圧力下で140℃まで加熱し、同時にウルトラタラックスで、1時間乳化することにより、結晶ポリエステル樹脂粒子分散液を得た。
これにより粒子の中心径(メジアン径)が450nm、融点が69℃、固形分量が15%の樹脂粒子分散液(10)を得た。
また、樹脂粒子分散液(10)の粒子は、大小粒子全体比率が4.5%であった。
(着色剤粒子分散液(1)の調製)
・黄色顔料(大日精化社製、Y74):50重量部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬製、ネオゲンR):5重量部
・イオン交換水200重量部
上記配合に従って、成分を混合溶解し、ホモジナイザー(IKA 社製、ウルトラタラックス)5分と超音波バスにより10分間分散し、中心径(メジアン径)240nm、固形分量21.5%のYellow着色剤粒子分散液(1)を得た。
(着色剤粒子分散液(2)の調製)
着色剤粒子分散液(1)の調製において、黄色顔料の代わりにシアン顔料(大日精化社製、銅フタロシアニン B15:3)を用いた以外は着色剤粒子分散液(1)と同様に調製して、中心径(メジアン径)190nm、固形分量21.5%のCyan着色剤粒子分散液(2)を得た。
(着色剤粒子分散液(3)の調製)
着色剤粒子分散液(1)の調製において、黄色顔料の代わりにマゼンタ顔料(大日インキ化学社製、PR122)を用いた以外は、着色剤粒子分散液(1)と同様に調製して、中心径(メジアン径)165nm、固形分量21.5%の着色剤粒子分散液(3)を得た。
(着色剤粒子分散液(4)の調製)
着色剤粒子分散液(1)の調製において、黄色顔料の代わりに黒顔料(キャボット製、カーボンブラック)を用いた以外は、着色剤粒子分散液(1)と同様に調製して、中心径(メジアン径)170nm、固形分量21.5%の着色剤粒子分散液(4)を得た。
(離型剤粒子分散液の調製)
・パラフィンワックス(日本精蝋社製、HNP9;融点70℃):50重量部
・アニオン性界面活性剤(ローデイア製 ダウファクス):5重量部
・イオン交換水200重量部
上記配合に従って、成分を95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に分散した後、圧力吐出型ホモジナイザー(ゴーリンホモジナイザー、ゴーリン社製)で分散処理し、中心径(メジアン径)180nm、固形分量21.5%の離型剤粒子分散液を得た。
〔トナー実施例1〕
(トナー粒子の調製)
・樹脂粒子分散液(1):233重量部(樹脂42重量部)
・樹脂粒子分散液(9)50重量部(樹脂21重量部)
・着色剤粒子分散液(1)40重量部(顔料8.6重量部)
・離型剤粒子分散液40重量部(離型剤8.6重量部)
・ポリ塩化アルミニウム:0.15重量部
・イオン交換水:300重量部
上記配合に従って、成分(樹脂粒子分散液(9)除く)を丸型ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを攪拌しながら42℃まで加熱し、42℃で60分間保持した後、樹脂粒子分散液(9)を50重量部(樹脂21重量部)追加して緩やかに攪拌した。
その後、0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを6.0に調整した後、攪拌を継続しながら95℃まで加熱した。95℃までの昇温の間、通常の場合、系内のpHは、5.0以下まで低下するが、ここでは水酸化ナトリウム水溶液を追加滴下し、pHが5.5以下とならない様に保持した。
反応終了後、冷却し、濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離した。そして、40℃のイオン交換水3リットル中に再分散し、15分、300 rpmで攪拌、洗浄した。この洗浄操作を5回繰り返し、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離し、次いで、真空乾燥を12時間行いトナー粒子を得た。
このトナー粒子の粒径をコールターカウンターで測定したところ、累積体積平均粒径D50が4.6μm、体積平均粒度分布指標GSDvが1.20であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めたトナー粒子の形状係数SF1は130のポテト形状であった。
上記トナー粒子50重量部に対し、疎水性シリカ(キャボット社製、TS720)1.2重量部を添加し、サンプルミルで混合して外添トナーを得た。
そして、ポリメチルメタアクリレート(総研化学社製)を1%被覆した平均粒径50μmのフェライトキャリアを用い、トナー濃度が5%になるように前記の外添トナーを秤量し、両者をボールミルで5 分間攪拌・混合して現像剤を調製した。
(トナーの評価)
上記現像剤を使用し、富士ゼロックス社製のDocuCenterColor500 の改造機において、転写用紙として富士ゼロックス社製Jコート紙を使用し、プロセススピードを180mm/secに調整してトナーの定着性を調べたところ、PFAチューブ定着ロールによるオイルレス定着性は良好であり、最低定着温度(この温度は、画像の布摺擦により、画像の汚染で判定)は120℃以上で、画像は充分な定着性を示すとともに転写用紙は何ら抵抗無く剥離されていることが確認された。この定着温度140℃における画像の表面光沢は65%と良好であり、現像性、転写性とも良好であり、画像欠陥もなく高品質で良好な画像(○)を示した。定着温度200℃においてもホットオフセットの発生は見られなかった。
また、トナーの調製前に、用いた樹脂粒子分散液(1)の安定性を、樹脂粒子分散液100gを300mlステンレスビーカーに秤取し、ビーカー中で IKAウルトラタラックスT50で1分間せん断ホモジナイズ後、77ミクロンナイロンメッシュで樹脂粒子分散液をろ過し、凝集発生の有無を観察する方法(せん断ホモジナイズの方法)によりにより調べたところ、凝集物の発生は、まったく見られず分散液は安定な状態(◎)であった。
〔トナー実施例2〕
実施例1において、表1の配合量に従って、樹脂粒子分散液(1)から樹脂粒子分散液(2)に変更し、着色剤粒子分散液(1)から着色剤粒子分散液(2)に変更し、95℃加熱時のPHを5.0に維持した以外は、実施例1と同様にしてトナー粒子を得た。
このトナー粒子の累積体積平均粒径D50は4.40μm、体積平均粒度分布指標GSDvが1.19、であった。形状係数SF1は124とやや球状となった。
このトナー粒子を用いて実施例1と同様に外添トナーを得てさらに現像剤を調製し、実施例1と同様にしてトナーの定着性を調べたところ、PFAチューブ定着ロールによるオイルレス定着性は良好であり、最低定着温度は115℃以上で、画像は充分な定着性を示すとともに転写用紙は何ら抵抗無く剥離されていることが確認された。この定着温度150℃における画像の表面光沢は70%と良好であり、現像性、転写性とも良好であり、画像欠陥もなく高品質で良好な画像(○)を示した。また、定着温度200℃においてもホットオフセットの発生は見られなかった。
また、トナーの調製前に、用いた樹脂粒子分散液(2)の安定性を、先に述べたせん断ホモジナイズの方法により調べたところ、凝集発生はまったく見られず安定(◎)であった。
〔トナー実施例3〕
実施例1において、表1の配合量に従って、樹脂粒子分散液(1)から樹脂粒子分散液(3)に変更し、樹脂粒子分散液(9)から樹脂粒子分散液(4)に変更し、着色剤粒子分散液(2)から着色剤粒子分散液(3)に変更し、かつポリ塩化アルミ量を0.12重量部とした以外は、実施例1と同様にしてトナー粒子を得た。
このトナー粒子の累積体積平均粒径D50は4.20μm、体積平均粒度分布指標GSDvが1.22、形状係数SF1は119で球状であった。
このトナー粒子を用いて実施例1と同様に外添トナーを得てさらに現像剤を調製し、実施例1と同様にしてトナーの定着性を調べたところ、PFAチューブ定着ロールによるオイルレス定着性は良好であり、最低定着温度は100℃以上で、画像は充分な定着性を示すとともに転写用紙は何ら抵抗無く剥離されていることが確認された。この定着温度150℃における画像の表面光沢は85%と良好であり、現像性、転写性とも良好であり、画像欠陥もなく極めて高品質な画像(◎)を示した。定着温度200℃においてもホットオフセットの発生はみられなかった。
また、トナーの調製前に、用いた樹脂粒子分散液(3)及び(4)の安定性を、先に述べたせん断ホモジナイズの方法により調べたところ、凝集発生はまったく見られず安定(◎)であった。
〔トナー実施例4〕
実施例1において、表1の配合量に従って、樹脂粒子分散液(1)から樹脂粒子分散液(5)に変更した以外は、実施例1と同様にしてトナー粒子を得た。
このトナー粒子の累積体積平均粒径D50は3.92μm、体積平均粒度分布指標GSDvが1.22、形状係数SF1は135のポテト形状であった。
このトナー粒子を用いて実施例1と同様に外添トナーを得てさらに現像剤を調製し、実施例1と同様にしてトナーの定着性を調べたところ、PFAチューブ定着ロールによるオイルレス定着性は良好であり、最低定着温度は110℃以上で、画像は充分な定着性を示すとともに転写用紙は何ら抵抗無く剥離されていることが確認された。この定着温度150℃における画像の表面光沢は55%と良好であり、現像性、転写性とも良好であり、画像欠陥もなく高品質で良好(○)な画像を示した。定着温度200℃においてもホットオフセットの発生は見られなかった。
また、トナーの調製前に、用いた樹脂粒子分散液(5)の安定性を、先に述べたせん断ホモジナイズの方法により調べたところ、凝集発生はまったく見られず安定(◎)であった。
〔トナー実施例5〕
実施例2において、表1の配合量に従って、樹脂粒子分散液(2)から樹脂粒子分散液(6)に変更し、すべての樹脂粒子分散液を樹脂粒子分散液(6)とし樹脂粒子分散液(9)を用いなかった以外は、実施例1と同様にしてトナー粒子を得た。
このトナー粒子の累積体積平均粒径D50は3.50μm、体積平均粒度分布指標GSDvが1.25、形状係数SF1は120の球形状であった。
このトナー粒子を用いて実施例1と同様に外添トナーを得てさらに現像剤を調製し、実施例1と同様にしてトナーの定着性を調べたところ、PFAチューブ定着ロールによるオイルレス定着性は良好であり、最低定着温度は90℃以上で、画像は充分な定着性を示すとともに転写用紙は何ら抵抗無く剥離されていることが確認された。この定着温度150℃における画像の表面光沢は55%と良好であり、現像性、転写性とも良好であり、画像欠陥もなく高品質で良好な画像(○)を示した。定着温度200℃においてはホットオフセットの発生が若干みられた。
また、トナーの調製前に、用いた樹脂粒子分散液(6)の安定性を、先に述べたせん断ホモジナイズの方法により調べたところ、凝集発生が若干見られたが問題のない程度(○)であり、ほぼ安定であった。
〔トナー比較例1〕
実施例2において、表1の配合量に従って、樹脂粒子分散液(2)から樹脂粒子分散液(7)に変更し、実施例2と同様にしてトナー粒子を得た。
このトナー粒子の累積体積平均粒径D50は5.50μm、体積平均粒度分布指標GSDvが1.30、形状係数SF1は135でポテト形状であった。
このトナー粒子を用いて実施例1と同様に外添トナーを得てさらに現像剤を調製し、実施例1と同様にしてトナーの定着性を調べたところ、PFAチューブ定着ロールによるオイルレス定着性は良好であり、最低定着温度は120℃以上で、画像は充分な定着性を示したが、転写用紙の剥離状態が悪く、用紙の定着後の波打ちや巻き付きが確認された。定着温度180℃からホットオフセット発生がみられた。トナー中に粗粉の発生がみられ、画像中に白抜けなどの欠陥がみられた(×)。
また、トナーの調製前に、用いた樹脂粒子分散液(7)の安定性を、先に述べたせん断ホモジナイズの方法により調べたところ凝集発生が多量に観察された(×)。
〔トナー比較例2〕
実施例2において、表1の配合量に従って、樹脂粒子分散液(2)から樹脂粒子分散液(8)に変更し、実施例2と同様にしてトナー粒子を得た。
このトナー粒子の累積体積平均粒径D50は5.70μm、体積平均粒度分布指標GSDvが1.26、形状係数SF1は120の球形状であった。
このトナー粒子を用いて実施例1と同様に外添トナーを得てさらに現像剤を調製し、実施例1と同様にしてトナーの定着性を調べたところ、PFAチューブ定着ロールによるオイルレス定着性は、良好でなく、最低定着温度は90℃以上で、画像は充分な定着性を示したが、転写用紙の剥離状態が悪く、用紙の定着後の波打ちや巻き付きが確認された。また、定着温度140℃から著しいホットオフセット発生がみられ、画像欠陥もあり(×)十分な画像評価に至らなかった。
また、トナーの調製前に、用いた樹脂粒子分散液(8)の安定性を、先に述べたせん断ホモジナイズの方法により調べたところ凝集の発生が若干観察された(△)。
〔トナー比較例3〕
実施例2において、表1の配合量に従って、樹脂粒子分散液(2)から樹脂粒子分散液(10)に変更し、実施例2と同様にしてトナー粒子を得た。
このトナー粒子の累積体積平均粒径D50は5.95μm、体積平均粒度分布指標GSDvが1.40、形状係数SF1は118の球形状であった。
このトナー粒子を用いて実施例1と同様に外添トナーを得てさらに現像剤を調製し、実施例1と同様にしてトナーの定着性を調べたところ、PFAチューブ定着ロールによるオイルレス定着性は、良好でなく、最低定着温度は130℃以上で、画像は充分な定着性を示したが、転写用紙の剥離状態が悪く、用紙の定着後の波打ちや巻き付きが確認された。また、定着温度160℃から著しいホットオフセット発生がみた。また画像におけるベタ画像の荒れや細線におけるトナーの飛散が観察され、不満足なものとなった(×)。
また、トナーの調製前に、用いた樹脂粒子分散液(10)の安定性を、先に述べたせん断ホモジナイズの方法により調べたところ凝集発生が顕著で、ナイロンメッシュ上にかなりの凝集物が残った(×)。
これら実施例及び比較例の結果を表1にまとめて示す。なお、表中、樹脂粒子分散液の安定性の評価基準は「◎」をまったく凝集発生なしとし、「○」をわずかに発生するが問題なしとし、△を、若干の発生、「×」を多量の凝集発生した。また、画像品質の評価基準は「◎」を極めて良好とし、「○」を良好とし、「×」を画像欠陥発生とした。
これら結果から、本実施例のように、水系媒体中での直接重縮合して乳化分散した重縮合樹脂粒子のメジアン径を所定の範囲とすることで、重縮合樹脂を原料とするトナーを効率的に製造可能とするばかりでなく、トナーの画質品質定着性能を飛躍的に高めることができることがわかる。
これに対し、比較例のように、水系媒体中での直接重縮合して乳化分散した重縮合樹脂粒子であっても、そのメジアン径が所定の範囲から外れたり、別途、重縮合樹脂を得た後、水系媒体中に分散した重縮合樹脂粒子の場合、そのメジアン径が所定の範囲内であっても、トナー特性(画質品質、定着性)が実施例よりも悪化していることがわかる。