JP2006170365A - 動力伝達チェーンおよびこれを備える動力伝達装置 - Google Patents

動力伝達チェーンおよびこれを備える動力伝達装置 Download PDF

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Abstract

【課題】滑らかな屈曲を達成でき、且つ騒音の低減、伝動効率の向上および動力伝達チェーンにかかる負荷の低減を達成することのできる動力伝達チェーンを提供すること。
【解決手段】各リンク2は、貫通孔9,10と、これらの貫通孔9,10間を仕切る柱部8とを含んでいる。各貫通孔9,10に、第1および第2のピン3,4が挿通されている。柱部8の一対の側部35,36はそれぞれ山形部を含み、山形部は、一対の斜面40,41,43,44を有している。一対の斜面40,41にそれぞれ設けられる規制部が対応する第1のピン3と当接し得る。同様に、一対の斜面43,44にそれぞれ設けられる規制部が対応する第2のピン4と当接し得る。これにより、チェーン進行方向Xに隣り合うリンク2間の相対回転の角度範囲が規制される。
【選択図】 図5

Description

本発明は、動力伝達チェーンおよびこれを備える動力伝達装置に関する。
自動車のプーリ式無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)等の動力伝達装置に用いられる無端状の動力伝達チェーンには、複数のリンクをチェーン進行方向に並べ、チェーン進行方向に隣接するリンク同士を、断面略矩形状のピンで連結したものがある(例えば、特許文献1参照)。上記複数のリンクは、第1および第2の孔をそれぞれ有しており、上記ピンは、第1の孔に圧入されると共に第2の孔に移動可能に嵌め入れられている。そして、この動力伝達チェーンが、一対の可変径プーリに巻き掛けられることで、無段変速機が構成されている。
特開平8−312725号公報
上記一対のプーリに巻き掛けられた動力伝達チェーンの直線部分において、リンクの第2の孔の周面とこの第2の孔に嵌め入れられたピンの外周面との間には、所定の隙間が設けられている。その結果、チェーン直線部分において、チェーン進行方向に隣り合うリンク間の屈曲が滑らかに行われるようになっている。
一方、プーリの有効径が最小となるときに、当該プーリに巻き回された動力伝達チェーンは、設計上、最大に屈曲する状態となるが、このときにも、リンクの第2の孔の周面とこの第2の孔に嵌め入れられたピンの外周面との間には、所定の隙間が設けられている。その結果、チェーンの上記最大屈曲状態において、チェーン進行方向に隣り合うリンク間の屈曲が滑らかに行われるようになっている。
しかしながら、上記した隙間が過大であると、動力伝達チェーンに自励振動や外部からの加振による振動等が生じたときに、動力伝達チェーンが弦振動的な大きな振動を起こし、騒音の発生、伝動効率の低下および大きな負荷の発生を招いてしまう。
本発明は、かかる背景のもとでなされたもので、滑らかな屈曲を達成でき、且つ騒音の低減、伝動効率の向上および動力伝達チェーンにかかる負荷の低減を達成することのできる動力伝達チェーン、ならびにこれを備える動力伝達装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、チェーン進行方向に並ぶ複数のリンクと、それらのリンクを相対回転可能に連結する複数の動力伝達部材とを備える動力伝達チェーンにおいて、各上記リンクは、チェーン進行方向に並びそれぞれ対応する動力伝達部材が挿通された一対の貫通孔と、一対の貫通孔間を仕切る柱部とを含み、その柱部の一対の側部によってそれぞれ対応する貫通孔の周縁の一部が構成され、上記動力伝達部材はリンクの一方の貫通孔に相対移動を規制されて嵌め入れられ、他方の貫通孔に相対移動可能に嵌め入れられた動力伝達部材を含み、上記他方の貫通孔に対応する柱部の側部は山形部を含み、その山形部は、頂部と、その頂部を挟んで配置された一対の斜面とを有し、それら一対の斜面にそれぞれ設けられる規制部が対応する動力伝達部材と当接することにより、チェーン進行方向に隣り合うリンク間の相対回転の角度範囲が規制されることを特徴とするものである。
動力伝達チェーンは、例えば、第1および第2の可変径プーリ間に巻き掛けられて動力伝達装置を構成し、上記各プーリ間で動力を伝達するために用いられる。
本発明によれば、柱部の斜面に規制部を設けている。柱部であれば、比較的広い斜面を確保することができ、その斜面であれば、当該動力伝達チェーンが直線状態にあるときや、最大屈曲状態(プーリに巻き回されてそのプーリの最小有効半径に相当する曲率で屈曲された状態)にあるときにおいて、当該斜面と対応する動力伝達部材との間の隙間を精度よく小さく設定することができる。これにより、動力伝達チェーンの滑らかな屈曲を達成しつつ、動力伝達チェーンの駆動時における弦振動的な振動を抑制することができ、騒音の低減、伝動効率の向上および動力伝達チェーンにかかる負荷の低減を達成できる。
また、本発明は、相対向する一対の円錐面状のシーブ面をそれぞれ有する第1および第2のプーリと、これらのプーリ間に巻き掛けられ、シーブ面に接触して動力を伝達する上記の動力伝達チェーンとを備えることを特徴とする動力伝達装置を提供するものである。本発明によれば、動力伝達チェーンのスムーズな駆動が達成され、しかも、静粛性、伝動効率および耐久性に優れた動力伝達装置を実現することができる。
上記動力伝達部材は、動力伝達チェーンの直線状態および最大屈曲状態でそれぞれ対応する規制部との間に、10μm〜80μmの隙間を形成することが好ましい。この場合、動力伝達部材と対応する規制部との間に10μm以上の隙間を設けることで、動力伝達チェーンの直線状態および最大屈曲状態のそれぞれにおいて、チェーン進行方向に隣り合うリンク同士の相対回転が不用意に規制されることを防止でき、動力伝達チェーンの滑らかな屈曲を達成することができる。また、上記の隙間を80μm以下にすることで、動力伝達チェーンの弦振動的な振動を早期に収束させる振れ止め効果を良好に発揮することができる。
本発明の好ましい実施の形態を添付図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る動力伝達チェーンを備える動力伝達装置としてのチェーン式無段変速機(以下では、単に無段変速機ともいう)の要部構成を模式的に示す斜視図である。図1を参照して、無段変速機100は、自動車等の車両に搭載されるものであり、第1のプーリとしての金属(構造用鋼等)製のドライブプーリ60と、第2のプーリとしての金属(構造用鋼等)製のドリブンプーリ70と、これらの両プーリ60,70間に巻き掛けられた無端状の動力伝達チェーン1(以下では、単にチェーンともいう)とを備えている。なお、図1中のチェーン1は、理解を容易にするために一部断面を示している。
図2は、図1のドライブプーリ60(ドリブンプーリ70)およびチェーン1の部分的な拡大断面図である。図1および図2を参照して、ドライブプーリ60は、車両の駆動源に動力伝達可能に連なる入力軸61に一体回転可能に取り付けられるものであり、固定シーブ62と可動シーブ63とを備えている。固定シーブ62および可動シーブ63は、相対向する一対のシーブ面62a,63aをそれぞれ有している。各シーブ面62a,63aは円錐面状の傾斜面を含んでいる。これらシーブ面62a,63a間に溝が区画され、この溝によってチェーン1を強圧に挟んで保持するようになっている。
また、可動シーブ63には、溝幅を変更するための油圧アクチュエータ(図示せず)が接続されており、変速時に、入力軸61の軸方向(図2の左右方向)に可動シーブ63を移動させることにより、溝幅を変化させるようになっている。それにより、入力軸61の径方向(図2の上下方向)にチェーン1を移動させて、入力軸61(プーリ60)におけるチェーン1の有効半径R(巻き掛け半径)を、最小値R1(図3(A)参照)から最大値R2(図3(B)参照)までの間で変化できるようになっている。
一方、ドリブンプーリ70は、図1および図2に示すように、駆動輪(図示せず)に動力伝達可能に連なる出力軸71に一体回転可能に取り付けられており、ドライブプーリ60と同様に、チェーン1を強圧で挟む溝を形成するための相対向する一対のシーブ面730,72aをそれぞれ有する固定シーブ73および可動シーブ72を備えている。
ドリブンプーリ70の可動シーブ72には、ドライブプーリ60の可動シーブ63と同様に油圧アクチュエータ(図示せず)が接続されており、変速時に、この可動シーブ72を移動させることにより溝幅を変化させるようになっている。それにより、チェーン1を移動させて、出力軸71(プーリ70)におけるチェーン1の有効半径Rを、最大値R2(図3(A)参照)から最小値R1(図3(B)参照)までの間で変化できるようになっている。
上記の構成により、無段変速機100における減速比を最も高くする場合には、図3(A)に示すように、ドライブプーリ60におけるチェーン1の有効半径が最小値R1とされ、ドリブンプーリ70におけるチェーン1の有効半径が最大値R2とされる。
一方、無段変速機100における増速比を最も高くする場合には、図3(B)に示すように、ドライブプーリ60におけるチェーン1の有効半径が最大値R2とされ、ドリブンプーリ70におけるチェーン1の有効半径が最小値R1とされる。
図4は、チェーン1の要部の断面図である。図5は、図4のII−II線に沿う断面図であり、チェーン直線部分を示している。図6は、チェーン1の要部の一部断面図であり、後述する最大屈曲状態を示している。
なお、図5を参照して説明するときは、チェーン直線状態を基準として説明し、図6を参照して説明するときは、最大屈曲状態を基準として説明する。
図4および図5を参照して、チェーン1は、複数のリンク2と、これらのリンク2を相対回転可能に連結する複数対の第1および第2のピン3,4とを備えている。対をなす第1および第2のピン3,4は、互いに転がり摺動接触するようになっている。
なお、転がり摺動接触とは、転がり接触およびすべり接触の少なくとも一方を含む接触のことをいう。
以下では、チェーン1の進行方向に沿う方向をチェーン進行方向Xといい、チェーン進行方向Xに直交し且つ第1および第2のピン3,4の長手方向に沿う方向をチェーン幅方向Wといい、チェーン進行方向Xおよびチェーン幅方向Wの双方に直交する方向をチェーン厚み方向Vという。
各リンク2は板状に形成されており、チェーン進行方向Xの前後に並ぶ一対の端部としての前端部5および後端部6、ならびにこれら前端部5および後端部6間に配置される中間部7を含んでいる。
前端部5および後端部6には、第1の貫通孔としての前貫通孔9、および第2の貫通孔としての後貫通孔10が、それぞれ形成されている。これら前貫通孔9および後貫通孔10は、一対の貫通孔として設けられている。
前貫通孔9は、第1のピン3にとって、一対の貫通孔の他方であるとともに、第2のピン4にとって、一対の貫通孔の一方である。
後貫通孔10は、第1のピン3にとって、一対の貫通孔の一方であるとともに、第2のピン4にとって、一対の貫通孔の他方である。
中間部7は、対応する前貫通孔9および後貫通孔10間を仕切る柱部8を有している。この柱部8は、中間部7のチェーン厚み方向Vの一端部および他端部間を接続しており、チェーン進行方向Xに所定の厚みを有している。
各リンク2における周縁部は、滑らかな曲線に形成されており、応力集中の生じ難い形状とされている。
リンク2を用いて、第1〜第3のリンク列51〜53が形成されている。具体的には、第1のリンク列51、第2のリンク列52および第3のリンク列53はそれぞれ、チェーン幅方向Wに並ぶ複数のリンク2を含んでいる。第1〜第3のリンク列51〜53のそれぞれにおいて、同一リンク列のリンク2は、チェーン進行方向Xの位置が互いに同じとなるように揃えられている。第1〜第3のリンク列51〜53は、チェーン進行方向Xに沿って並んで配置されている。
第1〜第3のリンク列51〜53のリンク2はそれぞれ、対応する第1および第2のピン3,4を用いて、対応する第1〜第3のリンク列51〜53のリンク2と相対回転可能に(相互に屈曲可能に)連結されている。
具体的には、第1のリンク列51のリンク2の前貫通孔9と、第2のリンク列52のリンク2の後貫通孔10とは、チェーン幅方向Wに並んで互いに対応しており、これらの貫通孔9,10を挿通する第1および第2のピン3,4によって、第1および第2のリンク列51,52のリンク2同士がチェーン進行方向Xに屈曲可能に連結されている。
同様に、第2のリンク列52のリンク2の前貫通孔9と、第3のリンク列53のリンク2の後貫通孔10とは、チェーン幅方向Wに並んで互いに対応しており、これらの貫通孔9,10を挿通する第1および第2のピン3,4によって、第2および第3のリンク列52,53のリンク2同士がチェーン進行方向Xに屈曲可能に連結されている。
図4において、第1〜第3のリンク列51〜53は、それぞれ1つしか図示されていないが、チェーン進行方向Xに沿って第1〜第3のリンク列51〜53が繰り返すように配置されている。そして、チェーン進行方向Xに互いに隣接する2つのリンク列のリンク2同士が、対応する第1および第2のピン3,4によって順次に連結され、無端状をなすチェーン1が形成されている。
第1のピン3は、チェーン幅方向Wに延びる長尺(板状)の動力伝達部材である。
第1のピン3の周面11は、チェーン幅方向W(図5において、紙面に垂直な方向)に平行に延びている。この周面11は、チェーン進行方向Xの前方を向く前部12と、チェーン進行方向Xの後方を向く背部としての後部13と、チェーン厚み方向Vに相対向する一対の端部としての一端部14および他端部15とを有している。
前部12は、少なくとも一部、例えば、チェーン直線状態において対をなす第2のピン4と接触する接触線Tおよび当該接触線Tよりもチェーン外周側の部分が、断面インボリュート曲線とされている。このインボリュート曲線は、前部12よりもチェーン内周側に中心が配置された基礎円を有している。また、前部12の残りの部分が、滑らかな曲面に形成されている。
後部13は、平坦面に形成されている。この平坦面は、チェーン進行方向Xと直交する平面A(図5において、紙面に直交する平面)に対して、所定の迎え角B(例えば、10°)を有している。すなわち、後部13は、平面Aに対して、図5の反時計回り方向に10°傾いており、チェーン内周側を向いている。
一端部14は、第1のピン3の周面11のうち、チェーン外周側(チェーン厚み方向Vの一方)の端部を構成しており、前部12および後部13のチェーン外周側端部間に配置されている。この一端部14は、チェーン外周側に向けて凸湾曲する曲面に形成され、その周方向の略中間部が、第1のピン3のチェーン外周側の頂部となっている。
他端部15は、第1のピン3の周面11のうち、チェーン内周側(チェーン厚み方向Vの他方)の端部を構成しており、前部12および後部13のチェーン内周側端部間に配置されている。この他端部15は、チェーン内周側に向けて凸湾曲する曲面に形成され、その周方向の略中間部が、第1のピン3のチェーン内周側の頂部となっている。
図2および図4を参照して、第1のピン3の長手方向(チェーン幅方向W)における一対の端部16は、チェーン幅方向Wの一対の端部に配置されるリンク2からチェーン幅方向Wにそれぞれ突出している。これら一対の端部16には、端面17がそれぞれ設けられている。
各端面17は、例えば、球面の一部を含む形状に形成されている。各端面17は、各プーリ60,70の対応するシーブ面62a,63a,72a,73aに摩擦接触(係合)するためのものである。これらの端面17は、その接触中心点Cを中心として、上記対応するシーブ面62a,63a,72a,73aに接触するようになっている。接触中心点Cは、端面17の頂部に設けられており、例えば、チェーン幅方向Wからみたときの端面17の図心と概ね一致している。
ここで、前述した、各プーリ60,70におけるチェーン1の有効半径Rは、以下のようにして定義される。すなわち、プーリ60におけるチェーン1の有効半径Rは、プーリ60に挟持された第1のピン3の端面17の接触中心点Cと、プーリ60の中心軸線D1との間のプーリ径方向の距離として定義される。
同様に、プーリ70におけるチェーン1の有効半径Rは、プーリ70に挟持された第1のピン3の端面17の接触中心点Cと、プーリ70の中心軸線D2との間のプーリ径方向の距離として定義される。
上記の構成により、第1のピン3は、上記対応するシーブ面62a,63a,72a,73a間に挟持され、これにより、第1のピン3と各プーリ60,70との間で動力が伝達される。第1のピン3は、その端面17によって直接動力伝達に寄与するため、例えば、軸受用鋼(SUJ2)等の高強度耐摩耗材料で形成されている。
図4および図5を参照して、第2のピン4(ストリップ、またはインターピースともいう)は、第1のピン3と同様の材料により形成された、チェーン幅方向Wに延びる長尺(板状)の動力伝達部材であり、断面形状がチェーン厚み方向Vに細長となるように形成されている。
第2のピン4は、対をなす第1のピン3のチェーン進行方向Xの前方に配置されている。また、第2のピン4は、上記各プーリのシーブ面に接触しないように、第1のピン3よりも短く形成されている。チェーン進行方向X関して、第2のピン4は、第1のピン3よりも薄肉に形成されている。
第2のピン4の周面18は、チェーン幅方向Wに延びている。この周面18は、チェーン進行方向Xの後方を向く後部19と、チェーン進行方向Xの前方を向く背部としての前部20と、チェーン厚み方向Vに関する一対の端部としての一端部21および他端部22とを有している。
後部19は、チェーン進行方向Xと直交する平坦面に形成されている。この後部19は、断面形状がチェーン厚み方向Vに延びる直線をなしており、対をなす第1のピン3の前部12と接触線Tで接触している。
前部20は、後部19と概ね平行に延びる平坦面に形成されている。
一端部21は、第2のピン4の周面18のうち、チェーン外周側の端部を構成しており、後部19および前部20のチェーン外周側端部間に配置されている。この一端部21は、チェーン外周側に向けて凸湾曲する曲面に形成され、その周方向の略中間部が、第2のピン4のチェーン外周側の頂部となっている。
他端部22は、第2のピン4の周面18のうち、チェーン内周側の端部を構成しており、後部19および前部20のチェーン内周側端部間に配置されている。この他端部22は、チェーン内周側に向けて凸湾曲する曲面に形成され、その周方向の略中間部が、第2のピン4のチェーン内周側の頂部となっている。
第1のピン3は、各リンク2の前貫通孔9に相対移動可能に遊嵌されていると共に、各リンク2の後貫通孔10に相対移動を規制されるようにして圧入嵌合され、第2のピン4は、各リンク2の前貫通孔9に相対移動を規制されるようにして圧入嵌合されていると共に、各リンク2の後貫通孔10に相対移動可能に遊嵌されている。
換言すれば、各リンク2の前貫通孔9には、第1のピン3が相対移動可能に遊嵌されているとともに、この第1のピン3と対をなす第2のピン4が相対移動を規制されるようにして圧入嵌合され、各リンク2の後貫通孔10には、第1のピン3が相対移動を規制されるように圧入嵌合されているとともに、この第1のピン3と対をなす第2のピン4が相対移動可能に遊嵌されている。
上記の構成により、チェーン進行方向Xに隣接するリンク2が相互に屈曲する際、第1のピン3は、対をなす第2のピン4に対して接触線T上で転がり摺動接触する。そして、第1のピン3を基準とする、上記接触線Tの軌跡が、概ねインボリュート曲面となる。
また、チェーン1は、上記各プーリに巻き掛けられた状態において、図5に示す直線状態と、図6に示す最大屈曲状態とが存在するようになっている。
なお、最大屈曲状態とは、チェーン1が、前述の有効半径Rの最小値R1(図3(A)参照)に相当する曲率半径で屈曲された状態をいう。
再び図6を参照して、チェーン1の屈曲状態にある部分は、所定の屈曲角Eを有している。屈曲角Eは、例えば、リンク2の後貫通孔10に遊嵌された第2のピン4の前部20と上記チェーン進行方向Xに直交する平面Aとのなす角として定義することができる。チェーン1の最大屈曲状態における屈曲角E(最大屈曲角Emax)は、例えば、21°に設定されている。また、図5に示すように、チェーン1の直線状態における屈曲角は、例えば、0°に設定されている。
図7は、図5のリンク2の前貫通孔9周辺の拡大図である。図7を参照して、リンク2の前貫通孔9における、第1のピン3の遊嵌および第2のピン4の圧入嵌合は、以下のようにされている。すなわち、リンク2の前貫通孔9の周縁部23は、第2のピン4が圧入嵌合される被圧入部24と、被圧入部24よりもチェーン進行方向Xの後方に配置され、第1のピン3が遊嵌される被遊嵌部25とを含んでいる。
被遊嵌部25は、第1のピン3の周面11の断面形状より大きな形状に形成されており、チェーン厚み方向Vの一対の端部としての一端部26および他端部27と、後端部28とを含んでいる。
一端部26は、被遊嵌部25のチェーン外周側の端部を構成しており、一部が第1のピン3の周面11の一端部14と相対向している。他端部27は、被遊嵌部25のチェーン内周側の端部を構成しており、一部が第1のピン3の周面11の他端部15と相対向している。
後端部28は、一端部26および他端部27のチェーン進行方向Xの後方に配置されている部分を含んでおり、チェーン厚み方向Vに長手に延びている。後端部28は、第1のピン3の周面11の後部13と隙間をあけて相対向している。
図8は、図5のリンク2の後貫通孔10周辺の拡大図である。図8を参照して、リンク2の後貫通孔10における、第1のピン3の圧入嵌合および第2のピン4の遊嵌は、以下のようにされている。すなわち、リンク2の後貫通孔10の周縁部29は、第1のピン3が圧入嵌合される被圧入部30と、被圧入部30よりもチェーン進行方向Xの前方に配置され、第2のピン4が遊嵌される被遊嵌部31とを含んでいる。
被遊嵌部31は、第2のピン4の周面18の断面形状より大きな形状に形成されており、チェーン厚み方向Vの一対の端部としての一端部32および他端部33と、前端部34とを含んでいる。
一端部32は、被遊嵌部31のチェーン外周側の端部を構成しており、一部が第2のピン4の周面18の一端部21と相対向している。他端部33は、被遊嵌部31のチェーン内周側の端部を構成しており、一部が第2のピン4の周面18の他端部22と相対向している。
前端部34は、一端部32および他端部33のチェーン進行方向Xの前方に配置されている部分を含んでおり、チェーン厚み方向Vに長手に延びている。前端部34は、第2のピン4の周面18の前部20と隙間をあけて相対向している。
図5、図7および図8を参照して、リンク2の柱部8は、チェーン進行方向Xに並ぶ一対の側部35,36を含んでおり、これら一対の側部35,36によって、対応する前貫通孔9および後貫通孔10の周縁部23,29の一部がそれぞれ構成されている。
具体的には、前述したように、柱部8によって前貫通孔9と後貫通孔10とが仕切られており、一対の側部35,36のうちのチェーン進行方向Xの前側に配置される一方の側部35が、前貫通孔9の被遊嵌部25の後端部28を構成している。また、上記一対の側部35,36のうちのチェーン進行方向Xの後側に配置される他方の側部36が、後貫通孔10の被遊嵌部31の前端部34を構成している。
一対の側部35,36は、それぞれ山形部37,38を含んでいる。
図7を参照して、一方の側部35の山形部37は、チェーン厚み方向Vの中間部がチェーン進行方向X(前貫通孔9に遊嵌された第1のピン3)に向かって凸となるように形成されており、頂部39と、その頂部39を挟んでチェーン厚み方向Vの両側に配置された一対の斜面40,41とを有している。
頂部39は、一方の側部35のチェーン厚み方向Vの中央部よりもチェーン内周側に配置されており、滑らかな円弧面に形成されている。
一方の斜面40は、頂部39よりもチェーン外周側に配置された平坦面を含んでおり、チェーン外周側を向いている。一方の斜面40のチェーン外周側端部は、被遊嵌部25の一端部26のチェーン進行方向Xの後端と接続されている。
チェーン1の直線状態において、一方の斜面40と前貫通孔9に遊嵌された第1のピン3の後部13とは、概ね平行とされている。このとき、一方の斜面40と上記第1のピン3の後部13との間には、隙間F1が設けられており、チェーン進行方向Xに隣り合うリンク2間の滑らかな屈曲を可能としている。隙間F1は、例えば、10μm〜80μm、好ましくは、10〜50μmの範囲に設定されている。
他方の斜面41は、頂部39よりもチェーン内周側に配置された平坦面を含んでおり、チェーン内周側を向いている。他方の斜面41のチェーン内周側端部は、被遊嵌部25の他端部27のチェーン進行方向Xの後端と接続されている。他方の斜面41と一方の斜面40とは、所定の交差角Gをもって相交差している。この交差角Gは、チェーン1の最大屈曲角Emaxよりも大きく(G>Emax)なるように設定されており、例えば、23°に設定されている。
図6に示すように、チェーン1の最大屈曲状態において、前貫通孔9の他方の斜面41と前貫通孔9に遊嵌された第1のピン3の後部13とは、概ね平行とされている。このとき、上記他方の斜面41と第1のピン3の後部13との間には、隙間F2が設けられており、チェーン進行方向Xに隣り合うリンク2間の滑らかな屈曲を可能としている。隙間F2は、例えば、10μm〜80μm、好ましくは、10〜50μmの範囲に設定されている。
再び図7を参照して、一方の斜面40は、他方の斜面41よりも、前貫通孔9の周方向に長く延びている。すなわち、上記周方向に関して、一方の斜面41の全長H1は、他方の斜面41の全長H2よりも長く(H1>H2)されている。また、上記周方向に関して、一方の斜面40の全長H1は、一対の斜面40,41の全長H1+H2の例えば、60%以上とされている。
図8を参照して、他方の側部36の山形部38は、チェーン厚み方向Vの中間部がチェーン進行方向Xと反対方向(後貫通孔10に遊嵌された第2のピン4)に向かって凸となるように形成されており、頂部42と、その頂部42を挟んでチェーン厚み方向Vの両側に配置された一対の斜面43,44とを有している。
頂部42は、他方の側部36のチェーン厚み方向Vの中央部よりもチェーン内周側に配置されており、滑らかな円弧面に形成されている。
一方の斜面43は、頂部42よりもチェーン外周側に配置された平坦面を含んでおり、チェーン進行方向Xと概ね直交している。一方の斜面43のチェーン外周側端部は、被遊嵌部31の一端部32のチェーン進行方向Xの前端と接続されている。
チェーン1の直線状態において、一方の斜面43と後貫通孔10に遊嵌された第2のピン4の前部20とは、概ね平行とされている。このとき、一方の斜面43と上記第2のピン4の前部20との間には、隙間J1が設けられており、チェーン進行方向Xに隣り合うリンク2間の滑らかな屈曲を可能としている。隙間J1は、例えば、10μm〜80μm、好ましくは、10〜50μmの範囲に設定されている。
他方の斜面44は、頂部42よりもチェーン内周側に配置された平坦面を含んでおり、チェーン内周側を向いている。他方の斜面44のチェーン内周側端部は、被遊嵌部31の他端部33のチェーン進行方向Xの前端と接続されている。他方の斜面44と一方の斜面43とは、所定の交差角Kをもって相交差している。この交差角Kは、チェーン1の最大屈曲角Emaxよりも大きく(K>Emax)なるように設定されており、例えば、23°に設定されている。交差角Kは、例えば、一方の山形部37の一対の斜面40,41間の交差角G(図7参照)と等しくされている(K=G)。
図6に示すように、チェーン1の最大屈曲状態において、後貫通孔10の他方の斜面44と後貫通孔10に遊嵌された第2のピン4の前部20とは、概ね平行とされている。このとき、上記他方の斜面44と第2のピン4の前部20との間には、隙間J2が設けられており、チェーン進行方向Xに隣り合うリンク2間の滑らかな屈曲を可能としている。隙間J2は、例えば、10μm〜80μm、好ましくは、10〜50μmの範囲に設定されている。
再び図8を参照して、一方の斜面43は、他方の斜面44よりも、後貫通孔10の周方向に長く延びている。すなわち、上記周方向に関して、一方の斜面43の全長L1は、他方の斜面44の全長L2よりも長く(L1>L2)されている。また、上記周方向に関して、一方の斜面43の全長L1は、一対の斜面43,44の全長L1+L2の例えば、60%以上とされている。
図7および図8を参照して、本実施の形態の特徴とするところは、一方の側部35の山形部37の一対の斜面40,41にそれぞれ規制部45,46を設けると共に、他方の側部36の山形部38の一対の斜面43,44にそれぞれ規制部47,48を設け、これにより、チェーン進行方向Xに隣り合うリンク2間の相対回転の角度範囲を上記交差角G(K)の範囲に規制している点にある。
一方の側部35の一方の斜面40の規制部45は、当該一方の斜面40の少なくとも一部、例えば、略全域に亘って形成されている。一方の側部35の他方の斜面41の規制部46は、当該他方の斜面41の少なくとも一部、例えば、略全域に亘って形成されている。
他方の側部36の一方の斜面43の規制部47は、当該一方の斜面43の少なくとも一部、例えば、略全域に亘って形成されている。他方の側部36の他方の斜面44の規制部48は、当該他方の斜面44の少なくとも一部、例えば、略全域に亘って形成されている。
図3(A)および図3(B)を参照して、上記した概略構成を有する無段変速機100の駆動時において、チェーン1は、各プーリ60,70に、対応する有効半径Rで巻き掛けられた状態で回転駆動する。この場合において、減速比が最も高い図3(A)に示す状態のとき(アンダードライブ時)か、または増速比が最も高い図3(B)に示す状態のとき(オーバードライブ時)、チェーン1には、直線状態にある部分と最大屈曲状態にある部分とが存在する。
ここで、例えば、チェーン1に、その駆動に伴う自励振動や、各プーリ60,70を介した車体等からの加振等に起因する振動が生じ、チェーン1の直線状態にある部分がチェーン屈曲方向と反対方向に曲げられるような(逆反りされるような)力を受けたとき、対応する第1のピン3は、図9(A)に示すように、対応する前貫通孔9の一方の斜面40の規制部45に当接する。
同様に、対応する第2のピン4は、図9(B)に示すように、対応する後貫通孔10の一方の斜面43の規制部47に当接する。
再び図3(A)および図3(B)を参照して、チェーン1に上記と同様の振動が生じ、チェーン1の最大屈曲状態にある部分がチェーン屈曲方向にさらに曲げられるような力を受けたとき、対応する第1のピン3は、図10(A)に示すように、対応する前貫通孔9の他方の斜面41の規制部46に当接する。
同様に、対応する第2のピン4は、図10(B)に示すように、対応する後貫通孔10の他方の斜面44の規制部48に当接する。
このように、各規制部45〜48は、対応する第1および第2のピン3,4と当接することで、チェーン進行方向Xに隣り合うリンク2間の相対回転の角度範囲を、上記した交差角G(K)の範囲に規制する。
以上説明したように、本実施の形態によれば、各リンク2の柱部8のそれぞれの斜面40,41,43,44に対応する規制部45〜48を設けている。柱部8であれば、比較的広い斜面40,41,43,44を確保することができ、その斜面40,41,43,44であれば、チェーン1が直線状態にあるときや、最大屈曲状態にあるときにおいて、当該斜面40,41,43,44と対応する第1および第2のピン3,4との間の隙間F1,F2,J1,J2を精度よく小さく設定することができる。
これにより、チェーン1の滑らかな屈曲を達成しつつ、チェーン1の駆動時における弦振動的な振動を抑制することができ、騒音の低減、伝動効率の向上およびチェーン1にかかる負荷の低減を達成できる。
また、チェーン1の直線状態および最大屈曲状態の双方において、各リンク2に遊嵌された第1および第2のピン3,4と、対応する規制部45〜48との間に、10μm以上の隙間F1,F2,J1,J2を設けることで、チェーン進行方向Xに隣り合うリンク2同士の相対回転が不用意に規制されることを防止でき、チェーン1の滑らかな屈曲を達成することができる。さらに、上記の隙間F1,F2,J1,J2を80μm以下にすることで、チェーン1の弦振動的な振動を早期に収束させる振れ止め効果を良好に発揮することができる。
特に、チェーン1の直線状態において、各リンク2に遊嵌された第1および第2のピン3,4と、対応する規制部45〜48との間の隙間F1,F2,J1,J2を上記の範囲に設定していることにより、チェーン進行方向Xに隣り合うリンク2が、当該チェーン1の屈曲方向と反対方向に相対回転(逆反り)することを抑制することができ、チェーン1に余分な負荷がかかることを十分に抑制することができる。その結果、チェーン1の耐久性を格段に向上することができる。
また、柱部8の一対の側部35,36のそれぞれにおいて、交差角G,Kを設定することで、チェーン1のチェーン進行方向Xに隣り合うリンク2間の相対回転の角度範囲を容易に設定することができる。
さらに、第1のピン3に迎え角Bを設けることで、第1のピン3の配置を最適化して、各プーリ60,70との係合をより滑らかにすることができる。
また、第1のピン3を、各リンク2の前貫通孔9に遊嵌すると共に各リンク2の後貫通孔10に圧入嵌合し、第2のピン4を、各リンク2の前貫通孔9に圧入嵌合すると共に各リンク2の後貫通孔10に遊嵌している。
これにより、第1のピン3の各端面17が各プーリ60,70の対応するシーブ面62a,63a,72a,73aに接触する際、上記第1のピン3と対をなす第2のピン4とが、互いに転がり摺動接触することにより、チェーン進行方向Xに隣り合うリンク2同士の屈曲が可能とされている。
この際、上記対をなす第1および第2のピン3,4間において、互いの転がり接触成分が多くてすべり接触成分が極めて少なく、するとその結果、第1のピン3が上記各シーブ面62a,63a,72a,73aに対してほとんど回転しないこととなり、摩擦損失を低減して高い伝動効率を確保することができる。
さらに、対をなす第1および第2のピン3,4互いの接触線Tの軌跡が、概ねインボリュート形状を描くようにされていることにより、第1のピン3が各プーリ60,70に順次噛み込まれる際に、チェーン1に弦振動的な運動が生じることをより抑制できる。その結果、チェーン1の駆動時の騒音をより低減することができる。
このようにして、チェーン1のスムーズな駆動が達成され、しかも、静粛性、伝動効率および耐久性に優れた無段変速機100を実現することができる。
図11は、本発明の別の実施の形態の要部の一部断面図である。なお、本実施の形態では、図1〜図10に示す実施の形態と異なる点について主に説明し、同様の構成については図に同様の符号を付してその説明を省略する。
図11を参照して、本実施の形態の特徴とするところは、1つの第1のピン3によって、チェーン進行方向Xに隣り合うリンク2A同士が互いに屈曲可能に連結されている点にある。具体的には、各リンク2Aの前貫通孔9Aに、対応する第1のピン3が相対移動可能に遊嵌され、各リンク2Aの後貫通孔10Aに、対応する第1のピン3が相対移動を規制されるように圧入嵌合されている。
前貫通孔9Aの周縁部23Aの被遊嵌部25Aの前部49は、チェーン厚み方向Vに延びる断面形状を有しており、前貫通孔9Aに遊嵌された第1のピン3の前部12と転がり摺動接触するようになっている。これにより、リンク2Aと当該リンク2Aに遊嵌された第1のピン3とは、互いに転がり摺動接触するようになっている。また、第1のピン3を基準とした、第1のピン3とこれに転がり摺動接触するリンク2Aとの接触線TAの軌跡が、概ねインボリュート曲面となる。
なお、本発明は上記各実施の形態に限定されない。
例えば、図1〜図10に示す実施の形態において、一方の側部35の一対の斜面40,41間の交差角Gは、上記例示した値より小さくても大きくてもよい。また、他方の側部36の一対の斜面43,44間の交差角Kは、上記例示した値より小さくても大きくてもよい。さらに、柱部8の一対の側部35,36の一方にのみ、山形部を設けて対応する第1および第2のピン3,4と当接するようにしてもよい。
また、チェーン1の直線状態および最大屈曲状態のそれぞれにおいて、各斜面40,41,43,44(規制部45〜48)と対応する第1および第2のピン3,4との間の隙間F1,F2,J1,J2を、全て同一の値にしてもよいし、少なくとも2つ以上が等しい値となるようにしてもよいし、互いに相異なる値にしてもよい。
さらに、チェーン1の直線状態から最大屈曲状態までの全ての状態において、各リンク2の貫通孔9,10の被遊嵌部25,31とこれらの遊嵌部25,31に遊嵌された対応する第1および第2のピン3,4との間の隙間の最大値が、概ね一定とされていてもよい。当該隙間の最大値は、例えば、最大で10〜80μm、好ましくは10〜50μmの範囲で設定される。
この場合、入力軸61や出力軸71からのトルク変動によってチェーン1に負荷されるトルクが急に減少したときでも、チェーン1の弦振動的な振動をより確実に抑制することができる。特に、車両の減速等に伴い入力軸61からのトルクが急に減少したときに、チェーン1の振動を良好に抑制することができる。
また、第2のピン4が各プーリ60,70に係合するようにしてもよい。さらに、対をなす第1および第2のピン3,4の互いの転がり摺動接触の軌跡がインボリュート形状を描くようにしなくてもよい。具体的には、第1のピン3の前部12の形状を断面インボリュート曲線に形成しなくてもよいし、第2のピン4の後部19を断面直線形状に形成しなくてもよい。
また、図11に示す実施の形態において、一方の側部35の一対の斜面40,41間の交差角Gは、上記例示した値より小さくても大きくてもよい。さらに、第1のピン3とこれが遊嵌されている対応するリンク2Aとの互いの転がり摺動接触の軌跡がインボリュート形状を描くようにしなくてもよい。具体的には、第1のピン3の前部12の形状を断面インボリュート曲線に形成しなくてもよいし、リンク2Aの前貫通孔9Aの前部49を、断面直線形状に形成しなくてもよい。
さらに、チェーン1の直線状態および最大屈曲状態のそれぞれにおいて、各斜面40,41(規制部45,46)と対応する第1のピン3との間の隙間を、互いに等しい値となるようにしてもよいし、互いに相異なるようにしてもよい。
また、上記各実施の形態において、第1のピン3の一対の端面17のそれぞれの近傍に、端面17と同様の動力伝達面を有する部材を配置し、第1のピン3と当該動力伝達面を有する部材とを含む動力伝達ブロックを設け、これを動力伝達部材としてもよい。
さらに、リンクの前貫通孔と後貫通孔の配置とを互いに入れ換えてもよい。また、柱部8に連通溝(スリット)を設けてもよい。この場合、リンクの弾性変形量(可撓性)をより増すことができ、リンクに生じる応力をより低減することができる。
さらに、ドライブプーリ60およびドリブンプーリ70の双方の溝幅が変動する態様に限定されるものではなく、何れか一方の溝幅のみが変動し、他方が変動しない固定幅にした態様であっても良い。さらに、上記では溝幅が連続的(無段階)に変動する態様について説明したが、段階的に変動したり、固定式(無変速)である等の他の動力伝達装置に適用しても良い。チェーン1の有効半径Rを変化させない固定式プーリにおいても、可変径プーリにチェーン1を巻き掛けたときと同様の効果を奏することができる。
本発明の一実施の形態に係る動力伝達チェーンを備える動力伝達装置としてのチェーン式無段変速機の要部構成を模式的に示す斜視図である。 図1のドライブプーリ(ドリブンプーリ)およびチェーンの部分的な拡大断面図である。 無段変速機の模式的な断面図であり、(A)はドライブプーリにおけるチェーンの有効半径が最小とされると共にドリブンプーリにおけるチェーンの有効半径が最大とされた状態を示しており、(B)はドライブプーリにおけるチェーンの有効半径が最大とされると共にドリブンプーリにおけるチェーンの有効半径が最小とされた状態を示している。 チェーンの要部の断面図である。 図4のII−II線に沿う断面図であり、チェーン直線部分を示している。 チェーンの要部の一部断面図であり、最大屈曲状態を示している。 図5のリンクの前貫通孔周辺の拡大図である。 図5のリンクの後貫通孔周辺の拡大図である。 (A)は、チェーンの直線状態において、第1のピンが規制部に当接した状態を示す断面図であり、(B)は、チェーンの直線状態において、第2のピンが規制部に当接した状態を示す断面図である。 (A)は、チェーンの最大屈曲状態において、第1のピンが規制部に当接した状態を示す断面図であり、(B)は、チェーンの直線状態において、第2のピンが規制部に当接した状態を示す断面図である。 本発明の別の実施の形態の要部の一部断面図である。
符号の説明
1 チェーン(動力伝達チェーン)
2,2A リンク
3 第1のピン(動力伝達部材)
4 第2のピン(動力伝達部材)
8 柱部
9,9A 前貫通孔(一対の貫通孔の一方、他方)
10,10A 後貫通孔(一対の貫通孔の他方、一方)
23,23A (前貫通孔の)周縁部
29,29A (後貫通孔の)周縁部
35 一方の側部(一対の側部の一方)
36 他方の側部(一対の側部の他方)
37 (一方の側部の)山形部
38 (他方の側部の)山形部
39 (一方の側部の)頂部
40 (一方の側部の)一方の斜面(一対の斜面の一方)
41 (一方の側部の)他方の斜面(一対の斜面の他方)
42 (他方の側部の)頂部
43 (他方の側部の)一方の斜面(一対の斜面の一方)
44 (他方の側部の)他方の斜面(一対の斜面の他方)
45〜48 規制部
60 ドライブプーリ(第1のプーリ)
62a,63a シーブ面
70 ドリブンプーリ(第2のプーリ)
72a,73a シーブ面
100 無段変速機(動力伝達装置)
F1,F2,J1,J2 隙間
X チェーン進行方向

Claims (3)

  1. チェーン進行方向に並ぶ複数のリンクと、それらのリンクを相対回転可能に連結する複数の動力伝達部材とを備える動力伝達チェーンにおいて、
    各上記リンクは、チェーン進行方向に並びそれぞれ対応する動力伝達部材が挿通された一対の貫通孔と、一対の貫通孔間を仕切る柱部とを含み、その柱部の一対の側部によってそれぞれ対応する貫通孔の周縁の一部が構成され、
    上記動力伝達部材はリンクの一方の貫通孔に相対移動を規制されて嵌め入れられ、他方の貫通孔に相対移動可能に嵌め入れられた動力伝達部材を含み、
    上記他方の貫通孔に対応する柱部の側部は山形部を含み、その山形部は、頂部と、その頂部を挟んで配置された一対の斜面とを有し、
    それら一対の斜面にそれぞれ設けられる規制部が対応する動力伝達部材と当接することにより、チェーン進行方向に隣り合うリンク間の相対回転の角度範囲が規制されることを特徴とする動力伝達チェーン。
  2. 相対向する一対の円錐面状のシーブ面をそれぞれ有する第1および第2のプーリと、これらのプーリ間に巻き掛けられ、シーブ面に接触して動力を伝達する請求項1記載の動力伝達チェーンとを備えることを特徴とする動力伝達装置。
  3. 請求項2において、上記動力伝達部材は、動力伝達チェーンの直線状態および最大屈曲状態でそれぞれ対応する規制部との間に、10μm〜80μmの隙間を形成することを特徴とする動力伝達装置。
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