JP2006170299A - 電磁クラッチ - Google Patents

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憲爾 酒本
Yoshiro Miyamoto
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Abstract

【課題】 コイルの温度上昇による伝達トルク変動の少ない電磁クラッチを提供する。
【解決手段】 負荷を駆動する駆動軸1に遊嵌された回転体2と、駆動軸1と一体回転するロータ3と、回転体2と一体的に回転するとともにロータ3に対して離接可能に設けられたアマチュア5と、このアマチュア5とロータ3とが対向する磁極部に対して起磁力を与えるコイル7とを備えており、コイル7の温度上昇後の最低起磁力におけるロータ3とアマチュア5とが対向する磁極部での磁極部磁束密度Bを、直流磁化特性の飽和直線域の始端B以上に設定している。
【選択図】 図1

Description

本発明は、小型の電磁クラッチに関する。
例えば、複写機やプリンタ等の画像形成装置においては、感光体ドラムに形成されたトナー画像の先端と用紙先端との給紙タイミングが一致するように、レジストローラに連なる電磁クラッチをオンすることによりレジストローラを駆動して用紙の適切な位置に画像が転写されるようにしている。
このような画像形成装置に適用される小型の電磁クラッチとして、従来、例えば図8に示す構造のものが提供されている(例えば、特許文献1等参照)。
この電磁クラッチは、中空の駆動軸1を備え、この駆動軸1の横断面D字状のDカット部11には図示しない負荷(上記の画像形成装置の場合はレジストローラの軸)が連結されている。この駆動軸1の外側には、平歯車や斜歯車等の歯車部21を有する回転体2が回転自在に遊嵌されるとともに、ロータ3が嵌着されて駆動軸1と一体回転するようになっている。さらに、駆動軸1の外側には、ヨーク4が遊嵌軸承されている。したがって、ヨーク4は駆動軸1およびロータ3が回転しても滑りを起こして静止状態を維持する。
上記のロータ3は、外側円筒部31、内側円筒部32、両円筒部31,32を連結する連結部33とを有し、連結部33には、その周方向に沿う複数箇所に遮磁穴34が形成されている。これらの遮磁穴34は後述のアマチュア5への磁路が容易に形成されるように磁気抵抗を確保するためのものである。
そして、ロータ3の連結部33と回転体2との間の遮磁穴34に略対向する位置には中空円板状のアマチュア5が配置されており、このアマチュア5には中空皿状のリターンスプリング6の一端面が固定され、リターンスプリング6の他端面は回転体2に一体固定されている。したがって、アマチュア5は、リターンスプリング6および回転体2と一体回転するとともに、リターンスプリング6によって軸方向に微動できるようになっている。
ヨーク4は、大径筒部41、小径筒部42、および両筒部41,42を連結する底板部43によって構成されており、各部41〜43で囲まれた内部には、アマチュア5とロータ3の連結部33とが対向する磁極部に対して起磁力を与えるためのコイル7が巻かれたボビン8が収納されている。
そして、このヨーク4は、大径筒部41がロータ3の外側円筒部31と僅かな空隙を介して重合し、また小径筒部42が樹脂などでできた摩擦低減材91を介して駆動軸1に支承されている。さらに、ボビン8とロータ3の内側円筒部32との間には樹脂などでできた摩擦低減材92が介在されている。
なお、93はコイル7に接続されたリード線、94は回転体2、ロータ3およびヨーク4を軸方向に位置決めする位置規制用の止め輪、95はガタ防止用のワッシャである。
上記構成において、リード線93を介してコイル7に通電すると、ロータ3の連結部33とアマチュア5と対向部分により形成された磁極部に吸引力が発生して両者3,5が摩擦接触し、その結果、回転体2からリターンスプリング6、アマチュア5を介してロータ3にトルクが伝わり、さらにロータ3に接合されている駆動軸1が回転して図外の負荷が駆動される。なお、ヨーク4、コイル7、ボビン8は、ロータ3および駆動軸1が回転しても摩擦低減材91,92との間で滑りを起こして静止状態を維持する。
上記のコイル7に通電した時の磁気回路は、ヨーク4の大径筒部41→ロータ3の外側円筒部31→ロータ3の連結部33→アマチュア5→ロータ3の連結部33→ロータ3の内側円筒部32→駆動軸1の外周部→ヨーク4の小径筒部42→ヨーク4の底板部43→ヨーク4の大径筒部41となっている。
特開平8−210384号公報
ところで、電磁クラッチの伝達トルクTは、次式で与えられる。
T=μ・R・F・N …(1)
ここに、μはロータ3とアマチュア5との間の摩擦係数、Rはトルク伝達半径、Fはロータ3とアマチュア5との間で生じる吸引力、Nはロータ3とアマチュア5との間の対向部分で生じる磁極部の磁極数である。
上記のロータ3とアマチュア5との対向部分により形成された磁極部における吸引力Fは、磁気に関するクーロンの法則により、次式で与えられる。
F=1/(4πμ)・(M/c) …(2)
ここに、Fは吸引力、Mはロータ3とアマチュア5との間の磁極部における磁束、cはロータ3とアマチュア5との磁極間の距離、μは真空の透磁率である。
上記の磁束Mを、ロータ3とアマチュア5とが対向する磁極部における磁極面積で割った磁束密度(以下、磁極部磁束密度という)Bに置き換えると、(2)式はさらに次式のように表される。
F={1/(4πμ)}・(B・A/c) …(3)
ここに、Aはロータ3とアマチュア5との対向部分の磁極面積である。
(3)式から分かるように、吸引力Fは磁極部磁束密度Bの2乗に比例する。そして、吸引力Fの変動を抑えるには、磁極部磁束密度Bを常に一定に保つ必要がある。
ところで、コイル7に通電すると、コイル7の自己発熱によって温度が上昇して電気抵抗が増大する結果、起磁力が低下する。そして、この起磁力の低下によりロータ3とアマチュア5との対向部分での磁極部磁束密度Bも低下し、その結果、(3)式の関係から吸引力Fも低下する。すると、(1)式の関係から電磁クラッチの伝達トルクTが減少する。
このため、この電磁クラッチを例えば前述の画像形成装置に使用する場合には、レジストローラの回転開始タイミングがずれて、感光体ドラムに形成されたトナー画像の先端とシートの先端とが位置ずれするなどの問題を生じる。
この点について、以下、さらに詳述する。
コイル7の温度上昇の上限値は雰囲気温度も含めて規格化されており、慣例的に使用されるE種の温度上限は120℃である(JISC 4003参照)。このときのコイル7の起磁力は常温時(20℃)の70%まで低下する。つまり、起磁力は常温時の定格電流を100%とすると、温度上昇によって70%〜100%の範囲で変化する。
図9には起磁力比率と磁極部磁束密度Bとの関係を、また、図10には起磁力比率と吸引力Fとの関係を、それぞれ示している。なお、図9,図10において常温時に定格電流を流したときの起磁力比率を100%としている。
従来の電磁クラッチは、コイル7の温度変化と磁極部磁束密度Bとの関係について十分に考慮されておらず、図9の破線で示すような特性のものが使用されている。すなわち、起磁力が0%から100%まで略直線的に変化する(つまり、起磁力が100%になるまで磁極部磁束密度Bが飽和しない)特性になっている。
このため、コイル7の温度変化に起因して起磁力比率が常温時の70%まで低下したときには、磁極部磁束密度Bは磁気飽和状態の70%程度になる。そして、このときの吸引力Fは、磁極部磁束密度Bの2乗で変化するため、図10の破線で示すように、起磁力比率が100%のときの吸引力F0の約50%まで低下し、所望の伝達トルクTが得られなくなる。
従来、図9の破線で示す特性をものを使用する場合において、起磁力比率が70%のときに所望の吸引力Fを得るためには、大きなコイルを使用して起磁力比率が100%(常温時)のときに十分大きな吸引力が得られるように予め設定しておく必要がある。すなわち、図10の一点鎖線で示すように、常温時の吸引力を起磁力比率70%のときの吸引力の約2倍(磁極部磁束密度Bでは約1.4倍)になるように予め設定しておく必要がある。
しかしながら、コイル7の温度上昇による起磁力の低下を見越して、予めコイル7の常温時の吸引力が大きくなるように設定すると、これに併せて、寸法の大きなコイル7を使用する必要があるだけでなく、ロータ3やヨーク4を含めた各部の磁気回路面積が大きくなるように設定する必要がある。例えば、上記のように起磁力比率70%のときに所要の吸引力Fを得ようとすると、磁気回路面積を約1.4倍になるようにしておく必要がある。その結果、コイル7だけでなく、ロータ3、ヨーク4、アマチュア5などの寸法も大きくなり、電磁クラッチ全体が大型化してしまう。
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、コイルの温度上昇に起因した伝達トルクの低下を抑えて安定化させることができ、しかも、従来よりも小型化を図ることが可能な電磁クラッチを提供することを目的とする。
一般に、磁極材の磁束密度と電流の関係の示す磁化曲線(B−H曲線)は、コイルの通電電流を増して行くとある限度を越えたときに磁束密度がほとんど増加しなくなって磁気飽和を起こす。そして、前述のごとく、コイルの起磁力は常温時の定格電流を100%とすると、約70%〜100%の範囲で変化するが、温度上昇後の最低起磁力(約70%)の状態のときに磁極部磁束密度Bが飽和するように予め設定しておけば、起磁力が約70%〜100%の範囲で変化しても磁極部磁束密度Bは常に一定に保たれる。このため、(3)式の関係から吸引力Fも温度上昇に影響されずに一定に保つことができる。
本発明は、このような事象に着目してなされたもので、上記の課題を解決するために、負荷を駆動する駆動軸と、この駆動軸に遊嵌された回転体と、上記駆動軸と一体回転するロータと、上記回転体と一体回転するとともに上記ロータに対して離接可能に設けられたアマチュアと、このアマチュアと上記ロータとが対向する磁極部に対して起磁力を与えるコイルとを備えた電磁クラッチにおいて、次のようにしている。
すなわち、本発明の電磁クラッチは、上記コイルの温度上昇後の最低起磁力におけるロータとアマチュアとが対向する磁極部での磁極部磁束密度を、直流磁化特性の飽和直線域の始端以上に設定していることを特徴としている。
本発明によれば、コイルを励磁すると、コイルの温度上昇によって起磁力が減少した場合でもアマチュアとロータ間の磁極部磁束密度Bは飽和するので、その結果として、磁極部磁束密度Bは常に一定になる。そして、磁極部磁束密度Bが一定になることにより、前述の(3)式の関係から、コイルを励磁した際の吸引力Fを常に一定に保つことができる。これにより、コイルの温度上昇に起因した伝達トルクの低下を抑えて安定化させることができる。
したがって、この電磁クラッチを、例えば画像形成装置などに適用する場合には、レジストローラの回転開始タイミングに従来のようなずれが生じなくなり、感光体ドラムに形成されたトナー画像の先端とシートの先端とが常に精度良く一致し、印刷品質を向上させることが可能になる。
さらに、コイルを励磁すると、コイルの温度上昇によって起磁力が減少した場合でも常にアマチュアとロータ間の磁極部磁束密度Bは飽和するので、従来のように、コイルの温度上昇による起磁力の低下を見越して、予めコイルの常温時の吸引力が大きくなるように、大きな寸法のコイルを使用したり、アマチュアやロータの磁気回路面積を大きく設定しておく必要がない。このため、装置全体の小型化を図ることができる。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1における電磁クラッチの断面図、図2はロータの一部を拡大して示す正面図、図3はロータとアマチュアの一部を拡大して示す側面断面図である。なお、図7に示した従来技術と対応する構成部分には同一の符号を付す。
この実施の形態1の電磁クラッチは、中空の駆動軸1を備え、この駆動軸1の横断面D字状のDカット部11には図示しない負荷(画像形成装置の場合はレジストローラの軸)が連結されている。そして、この駆動軸1の外側には、平歯車や斜歯車等の歯車部21を有する回転体2が回転自在に遊嵌されるとともに、ロータ3が嵌着されて駆動軸1と一体回転するようになっている。さらに、駆動軸1の外側にはヨーク4が遊嵌軸承されている。したがって、ヨーク4は駆動軸1およびロータ3が回転しても滑りを起こして静止状態を維持する。
上記のロータ3は、外側円筒部31と、この外側円筒部31から径方向内方に縮径された中空皿状の縮径部35と、両部31,35を連結する連結部33とを有し、連結部33の周方向に沿う複数箇所には遮磁穴34が形成されている。また、縮径部35は駆動軸1に形成されたフランジ部12に着座されている。
そして、ロータ3の連結部33と回転体2との間の遮磁穴34に略対向する位置には中空円板状のアマチュア5が配置されており、このアマチュア5には中空皿状のリターンスプリング6の一端面が固定され、リターンスプリング6の他端面は回転体2に一体固定されている。したがって、アマチュア5は、リターンスプリング6および回転体2と一体回転するとともに、リターンスプリング6によって軸方向に微動できるようになっている。なお、この実施の形態1においては、ロータ3の各遮磁穴34は径方向に対して1箇所のみ存在し、連結部33の遮磁穴34を挟む上下の部分33a,33bがアマチュア5にそれぞれ対向することから、ロータ3とアマチュア5とが対向する磁極部は2極あることになる。
ヨーク4は、大径筒部41、小径筒部42、および両者41,42間を連結する底板部43によって構成されており、各部41〜43で囲まれた内部にはコイル7が巻かれたボビン8が収納されている。そして、このヨーク4は、大径筒部41がロータ3の外輪円筒部31と僅かな空隙を介して重合し、また小径筒部42が摩擦低減材91を介して駆動軸1に支承されている。なお、94は回転体2、ロータ3およびヨーク4を軸線方向に位置決めする位置規制用の止め輪である。
この実施の形態1の電磁クラッチにおいて、コイル7に通電すると、ロータ3の連結部33とアマチュア5と対向部分により形成された磁極部に吸引力が発生して両者3,5が摩擦接触し、その結果、回転体2からリターンスプリング6、アマチュア5を介してロータ3にトルクが伝わり、さらにロータ3に接合されている駆動軸1が回転して図外の負荷が駆動される。なお、ヨーク4、コイル7、ボビン8は、ロータ3および駆動軸1が回転しても摩擦低減材91との間で滑りを起こして静止状態を維持する。この動作は従来の場合と同様である。
また、コイル7に通電した際に生じる磁気回路は、ヨーク4の大径筒部41→ロータ3の外側円筒部31→ロータ3の連結部33→アマチュア5→ロータ3の連結部33→ロータ3の縮径部35→駆動軸1の外周部→ヨーク4の小径筒部42→ヨーク4の底板部43→ヨーク4の大径筒部41となっている。
この実施の形態1の電磁クラッチの特徴は、コイル7の温度上昇後の最低起磁力におけるロータ3とアマチュア5との間の磁極部磁束密度Bが、直流磁化特性の飽和直線域の始端(図9の符号B)以上となるように設定していることである。
すなわち、コイル7の起磁力は常温時の定格電流を100%とすると、コイル7を励磁したときには自己発熱によって温度が上昇して起磁力が前述のように70%〜100%の範囲で変化する。このとき、図9の実線で示すように、コイル7の起磁力が70%の状態で磁極部磁束密度Bが飽和するように予め設定しておけば、起磁力が70%〜100%の範囲で変化しても磁極部磁束密度Bの変化は極めて小さくなる。したがって、図10の実線で示すように、コイル7の温度上昇により起磁力が低下しても吸引力Fはそれに影響されずに一定に保つことができ、前述の(1),(3)式の関係から、伝達トルクTを安定化させることができる。
ここに、コイルの温度上昇に起磁力が低下して常温時の70%のときに、ロータ3とアマチュア5との間の磁極部磁束密度Bが直流磁化特性の飽和直線域の始端B0以上になるように設定するためには、ロータ3およびアマチュア5の材料を選定する必要がある。
すなわち、ロータ3およびアマチュア5の材料としては、起磁力比率が約70%で磁気飽和するような磁化容易な軟磁性体で、かつ、(3)式のように吸引力Pは磁極部磁束密度Bの2乗に比例して増加するので、磁極部磁束密度Bの高い材料を選定する必要がある。
このような材料としては、飽和磁束密度1.46テスラ以上が規定されている無方向性電磁鋼板(JIS C2552)、磁極用冷間圧延鋼板(JIS C2555)、方向性電磁鋼板(JIS C2553)等を好適に使用することができる。また、飽和磁束密度の規定はないが冷間圧延鋼板(JIS C3141)を使用することも可能である。
このようにして材料選定を行えば、温度上昇後の最低起磁力で磁極部磁束密度Bの飽和直線域の始端Bが決まるので、(3)式の関係から、必要とする吸引力Fを設定すれば、ロータ3とアマチュア5との間の磁極間距離cや磁極面積Aを決定することができる。
なお、コイル7の温度上昇後の最低起磁力におけるロータ3とアマチュア5との間の磁極部磁束密度Bが、直流磁化特性の飽和直線域の始端(図9の符号B)以上となるようにするには、上記のようなロータ3とアマチュア5の材料を選定する以外に、例えば、図示しない制御装置によって電磁クラッチの作動開始時に所定時間にわたって過励磁電流を供給するようにしたり、あるいは、定電流駆動回路を設けてコイル7に流れる電流値をコイル温度上昇後の電流値でカットするようにして対処することも可能である。
このように、この実施の形態1では、コイル7を励磁する際、温度上昇後の起磁力で磁極部磁束密度Bを飽和させることにより、コイル温度上昇に起因して起磁力が変化しても吸引力Pの低下を小さくすることができる。その結果、コイル7の温度変化に起因した伝達トルクTの変動を小さく抑えることができ、伝達トルクTの安定化を図ることができる。
しかも、コイル励磁時の温度上昇によって起磁力が減少した場合でも常にロータ3とアマチュア5間の磁極部磁束密度Bは飽和するので、従来のように、コイルの温度上昇による起磁力の低下を見越して、予めコイル7の常温時の吸引力が大きくなるように、大きな寸法のコイル7を使用したり、ロータ3やアマチュア5の磁気回路面積を大きく設定しておく必要がない。したがって、この実施の形態1の電磁クラッチは、コイル7の最低起磁力と常温時の起磁力との比率分だけ磁路面積を減少できるので、装置全体の小型化を図ることができ、しかも、材料費が安価になる、製品が軽くなる等の効果が得られる。
ところで、ロータ3とアマチュア5がリジッドで、しかも両者の対向面が平坦でなくて凹凸があると、コイル7を励磁した際にロータ3とアマチュア5との密着度が悪くなり、両者の対向面間に僅かな隙間Δが生じる。これは、この隙間Δによって僅かな磁極間距離cが存在することと等価であり、その結果、(3)式から分かるように磁極間距離cの2乗に比例して吸引力Fが低下する。したがって、吸引力Fの低下を防止するためには、コイル励磁時にロータ3とアマチュア5間に隙間Δが生じないように両者3,5の密着度を高める必要がある。
ロータ3とアマチュア5とを密着させるのに必要な荷重Pは、次式で与えられる。
P=(Δ・E・b・h)/(4w) …(4)
ここに、Δはロータ3とアマチュア5の凹凸で生じる対向面間の隙間の距離、Eはロータ3の縦弾性係数、bはロータ3の遮磁穴34の間に存在するリブ37のリブ幅、hはリブ37の軸方向の厚さ、wは遮磁穴34の径方向の幅である。
コイル励磁時に小さな荷重Pでロータ3とアマチュア5とを十分に密着させるには、両者3,5間に生じる隙間Δができるだけ小さくなるように、例えばロータ3とアマチュア5との対向面が平坦になるように表面を精密に仕上げることが一つの対策となる。しかし、そのためには、加工の高精度化や表面研磨等の後処理が必要となって加工費用がかさむために好ましくない。また、縦弾性係数Eは材料によって自ずと決る値であるが、上記のようにコイル励磁時の温度上昇後の最低起磁力で磁極部磁束密度Bが飽和するような材料を選定した場合には、このような材料を自由に変更することが難しい。
これに対して、ロータ3のリブ幅bやリブ厚さhを小さくしたり、遮断穴幅wを大きくすることは設計上の自由度があり、これらの値を調整することで比較的容易に小さな荷重Pでロータ3とアマチュア5とを十分に密着させることができる。
そして、リブ幅bやリブ厚さhを小さくしたり、遮断穴幅wを大きくすることは、ロータ3の連結部33が軸線方向に沿って柔軟性をもたせることにほかならない。したがって、アマチュア5の板厚kを薄くして軸線方向に沿って柔軟性をもたせてもロータ3とアマチュア5とを十分に密着させることができる。さらに、ロータ3とアマチュア5の双方に柔軟性をもたせた構成としてもよい。なお、リブ厚さhを小さくするには、ロータ3に使用する材料の板厚が薄いものを使用してもよいし、リブ37の部分だけをプレスして薄くしてもよい。
特に、前述の無方向性電磁鋼板(JIS C2552)、磁極用冷間圧延鋼板(JIS C2555)、方向性電磁鋼板(JIS C2553)、冷間圧延鋼板(JIS C3141)を選択使用する場合、これらの各材料には総称厚さが規定されているので、これらの内から最適な材厚のものを決定することになるが、0.23mm〜0.65mmの範囲がもっとも選択肢が多いので、この中から選択するのが好ましい。より好ましくは、最も選択肢の多い0.5mmの板厚のものを使用するのが良い。
そして、このように厚みが0.23mm〜0.65mmの範囲のものを使用することにより、ロータ3とアマチュア5に柔軟性が付与されるため、小さな荷重で両者3,5を十分に密着させることができ、十分な伝達トルクTを確保することができる。
実施の形態2.
図4は本発明の実施の形態2における電磁クラッチの断面図、図5は同電磁クラッチのロータの一部を拡大して示す正面図、図6は同電磁クラッチのロータおよびアマチュアの一部を拡大して示す側面断面図、図7は同電磁クラッチのアマチュアの一部を拡大して示す正面図である。なお、図1ないし図3に示した実施の形態1と対応する構成部分には同一の符号を付す。
この実施の形態2では、ロータ3の連結部33の周方向に沿う複数箇所に遮磁穴34が形成されているが、さらにアマチュア5にも周方向に沿う複数箇所に遮磁穴51が形成されている。しかも、この場合のロータ3の遮磁穴34は径方向に沿って3重に形成され、また、アマチュア5の遮磁穴51は径方向に沿って2重に形成されており、かつ各両遮磁穴34,51同士は径方向において互いに対向しないようにずらせた位置に形成されている。したがって、ロータ3とアマチュア5とが径方向に沿って対向する部分は6箇所存在するので、磁極部は6極となっている。
前述の(1)式から分かるように、磁極部の磁極数Nが増加する程、伝達トルクTは大きくなるので、逆に磁極部の磁極数Nが増えたときでも同じ伝達トルクTを得るために必要な吸引力Fは1/Nでよい。そして、吸引力Fが小さくてよいことは、(3)式の関係から、磁極部磁束密度Bも小さくてよいので、コイル7の起磁力も小さなものでよいことになる。したがって、この実施の形態2の電磁クラッチにおいては、コイル7の寸法を小さくすることができる。そして、コイル7の寸法が小さくできれば、電磁クラッチ全体の小型化が可能になる。なお、当然ながらコイル7の起磁力が従来と同じであれば、磁極部の磁極数Nが多いほど吸引力Fも増加して大きな伝達トルクTを得ることができる。
ところで、従来の電磁クラッチは、十分な吸引力Fを得るために外径寸法Dがφ26〜φ36mm、軸方向寸法Lが29〜33mmのものが多く、最低でもLは22.3mm以上のものが使用されている(例えば、姫電テクニカ株式会社:電磁クラッチカタログ、アキュレイト販売株式会社:ドミノクラッチカタログ等参照)。このため、電磁クラッチが組み込まれる機器内にはその設置スペースを確保する必要が生じたり、部品配置を変更する必要があり、機器全体の小型化が難しかった。
これに対して、この実施の形態2の電磁クラッチは、磁極部の磁極数Nを増やすことで十分な伝達トルクTを確保しながら小さなコイル7を使用することができるので、電磁クラッチの外径寸法Dをφ22.5〜φ36mmの範囲、つまり従来のφ26mm以下に設定することができる。その結果、この電磁クラッチが組み込まれる機器のスペースに余裕ができ、機器全体の小型化を図ることが可能になる。また、軸方向寸法Lについても従来の電磁クラッチよりも短いφ22.3mm以下に設定することが可能になるので、従来、スプリングクラッチを使用していた箇所にこの電磁クラッチを組み込むことが可能になる。
また、この実施の形態2においても、実施の形態1の場合と同様、コイル励磁時に小さな荷重Pでロータ3とアマチュア5とを十分に密着させる上で、ロータ3の連結部33とアマチュア5の少なくとも一方が軸線方向に沿って柔軟性をもつようにすることが必要である。
したがって、この実施の形態2においても、ロータ3の連結部33のリブ37のリブ幅bやアマチュア5のリブ52のリブ幅dを狭くしたり、リブ厚さh,kを薄くしたり、遮磁穴34,51の径方向の幅w,vを大きくしたりすることで、軸方向に柔軟性を持たせることができる。なお、リブ厚さh,kを薄くするにはロータ3やアマチュア5の板厚を薄くするだけでなく、リブ37,52の部分のみをプレスして薄くしてもよい。
この実施の形態2におけるその他の構成および作用効果は、実施の形態1の場合と同様であるから、ここでは詳しい説明は省略する。
本発明の電磁クラッチは、複写機、プリンタ等の画像形成装置の構成部品としての使用に限られるものではなく、各種の事務用機器や家電製品、その他の機器に広く適用することが可能である。
本発明の実施の形態1における電磁クラッチの断面図である。 同電磁クラッチのロータの一部を拡大して示す正面図である。 同電磁クラッチのロータとアマチュアの一部を拡大して示す側面断面図である。 本発明の実施の形態2における電磁クラッチの断面図である。 同電磁クラッチのロータの一部を拡大して示す正面図である。 同電磁クラッチのロータとアマチュアの一部を拡大して示す側面断面図である。 同電磁クラッチのアマチュアの一部を拡大して示す正面図である。 従来の電磁クラッチの断面図である。 起磁力比率に対するアマチュアおよびロータの対向部分の磁極部磁束密度Bの関係を、本発明と従来の場合とを比較して示す特性図である。 起磁力比率に対する吸引力Fの関係を、本発明と従来の場合とを比較して示す特性図である。
符号の説明
1 駆動軸、2 回転体、3 ロータ、4 ヨーク、5 アマチュア、
6 リターンスプリング、7 コイル、h ロータの板厚、k アマチュアの板厚、
直流磁化特性の飽和直線域の始端、D 外径寸法、L 軸方向寸法。

Claims (7)

  1. 負荷を駆動する駆動軸と、この駆動軸に遊嵌された回転体と、上記駆動軸と一体回転するロータと、上記回転体と一体回転するとともに上記ロータに対して離接可能に設けられたアマチュアと、このアマチュアと上記ロータとが対向する磁極部に対して起磁力を与えるコイルと、を備えた電磁クラッチにおいて、
    上記コイルの温度上昇後の最低起磁力における上記ロータとアマチュアとが対向する磁極部での磁極部磁束密度を、直流磁化特性の飽和直線域の始端以上に設定していることを特徴とする電磁クラッチ。
  2. 上記ロータおよびアマチュアで構成される磁極部を4極以上有することを特徴とする請求項1記載の電磁クラッチ。
  3. 上記ロータとアマチュアの少なくとも一方は、上記磁極部において駆動軸の軸線方向に対して柔軟性を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電磁クラッチ。
  4. 上記ロータおよびアマチュアの材料は、飽和磁束密度が1.46テスラ以上であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電磁クラッチ。
  5. 上記ロータおよびアマチュアは、その板厚が0.23mm〜0.65mmに設定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の電磁クラッチ。
  6. 外径寸法がφ22.5mm〜φ36mmに設定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の電磁クラッチ。
  7. 軸方向寸法が22.3mm以下に設定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の電磁クラッチ。
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