図1は制御・監視信号伝送システム構成図であり、本発明の制御・監視信号伝送システムの構成を示す。
制御・監視信号伝送システムは、図1に示すように、制御部10と、各々が被制御部16及び被制御部16を監視するセンサ部17を含む複数の被制御装置12とからなる。制御部10は、例えばシーケンスコントローラ、プログラマブルコントローラ、コンピュータ等からなる。被制御部16とセンサ部17とを被制御装置12という。被制御部16は、被制御装置12を構成する種々の部品、例えば、アクチュエータ、(ステッピング)モータ、ソレノイド、電磁弁、リレー、サイリスタ、ランプ、受動回路部品、集積回路、能動回路等からなる。センサ部17は、対応する被制御部16に応じて選択され、例えば、リードスイッチ、マイクロスイッチ、押釦スイッチ等からなり、オン、オフの状態(2値信号)を出力する。
制御・監視信号伝送システムは、複数の被制御装置12を含む。複数の被制御装置12は、各々、被制御部16及び被制御部16を監視するセンサ部17を含む。制御・監視信号伝送システムは、複数の被制御装置12に共通のデータ信号線を介して、制御部10の出力ユニット102からの制御信号を被制御部16に伝送し、かつ、センサ部17からの監視信号(センサ信号)を制御部10の入力ユニット101に伝送する。データ信号線の上を伝送される制御信号及び監視信号は、シリアル(直列)信号である。データ信号線は、第1及び第2データ信号線D+及びD−からなる。第1データ信号線D+と第2データ信号線D−とは、後述するように、電源電圧Vxの供給、クロック信号CKの供給、及び、制御信号及び監視信号の双方向の同時の伝送に用いられる。
このような信号伝送のために、図1に示すように、制御・監視信号伝送システムは、親局13と、複数の子局11とを備える。親局13は、制御部10及びデータ信号線に接続される。複数の子局11は、複数の被制御装置12に対応して設けられ、任意の位置でデータ信号線に接続され、また、対応する被制御装置12に接続される。複数の子局11は、各々、子局出力部14と子局入力部15とを備える。子局出力部14と子局入力部15を子局11という。子局出力部14及び子局入力部15は、各々、被制御部16及びセンサ部17に対応する。
本発明の理解のために、図1の制御・監視信号伝送システムにおける以上のような信号伝送の一例を、図2を参照して説明する。
親局13は、、クロックに制御信号を重畳してデータ信号線に出力する。即ち、親局13は、図2(A)に示すように、所定の周期t0 のクロックCKに直列のデータ列(制御信号)の各データの値を重畳した信号を、第1データ信号線D+及び第2データ信号線D−に供給する。即ち、制御信号を重畳したクロックCKは、原則的には、端子13aに出力され、第1データ信号線D+に供給される。第2データ信号線D−の電位は、原則的には、端子13bに出力され、グランドレベル(0V)とされる。
一例として、図2(B)に示すように、この例の親局13は、クロックの1周期毎に、その(前半又は)後半を所定の電源電圧Vxのレベルとし(クロックに電源電圧を重畳し)、その(後半又は)前半を制御部10から入力される並列の制御信号の各データの値に応じて電源電圧の実質的に半分の電圧レベルVx/2又は擬似的なグランドレベル0+とする。例えば、制御信号の値が「0」の場合には、当該クロックの1周期の前半を、レベルVx/2とし(電源電圧を含むクロックCKのままの値を維持し)、「1」の場合には擬似的なグランドレベル0+とする。擬似的なグランドレベル0+とするのは、このレベルに後述する周波数信号を重畳するからである。例えば、Vx=24V、0+=2Vである。これにより、制御信号をデータ信号線に出力する。従って、例えば制御信号の値が「0011」の場合、親局13の出力は、図2(B)のようになる(後述する周波数信号を除いたものとなる)。
一方、親局13は、クロックに重畳された監視信号を検出する。即ち、親局13は、第1及び第2データ信号線D+及びD−の上の信号を取り込んで、これに重畳されている(監視)信号を検出し、電源電圧Vxを含むクロックCKに同期させ(波形整形し)、直列のデータ列(監視信号)の各データの値を出力する。監視信号は、後述するように、周波数信号からなる。
図2(B)に示すように、この例の親局13は、クロックの1周期毎に、データ信号線を伝送される直列のパルス状電圧信号に重畳された周波数信号を検出する。例えば、監視信号の値が「1」の場合には、当該クロックの1周期に、周波数信号が重畳されており、「0」の場合には周波数信号が重畳されていない。これにより、直列の監視信号の各データの値を抽出して、これを並列の監視信号に変換して、制御部10に入力する。従って、例えば監視信号の値が「0101」の場合、親局13での検出出力は、図2(B)のようになる。
この例は、複数の子局11の各々への電源電圧Vxの供給のための電力線P(24Vの電力線及び0Vの電力線)及びローカル電源(子局11及び被制御装置12の電源)を備えていない。後述するように、複数の子局11及び被制御装置12の電源の供給はクロック信号に重畳された電源信号による。この電源信号の電力容量は、複数の子局11の各々が十分に動作しうるものとされる。
複数の子局11は、各々、当該子局11を構成する回路(例えば、LED表示回路)を電気的に駆動するための一定レベルの電源電圧を、データ信号線上の直列のパルス状電圧信号から発生する。即ち、主として、直列のパルス状電圧信号の(後半又は)前半の電源電圧Vxを周知の手段により平滑し安定化することにより、安定化した電源電圧(例えば、5V)を得る。また、複数の子局11は、各々、対応する被制御装置12を電気的に駆動するための電源電圧をも、データ信号線上の直列パルス状電圧信号から発生する。即ち、図示しないが、子局11が被制御装置12にその電源を供給する。
複数の子局11は、各々、クロックに重畳された制御信号を抽出する。即ち、各々の子局11は、第1及び第2データ信号線D+及びD−の上を伝送される信号を取り込み、当該信号から制御信号を抽出し、また、当該信号からパルス信号(クロック)を抽出してこれをカウントし、当該子局11に割り当てられたアドレスと一致するアドレスを抽出する。各々の子局11は、自局アドレスと一致するアドレスを抽出すると、当該時点で抽出している制御信号の値(第1のデータ信号線D+の上を伝送される信号の中の当該時点のデータの値)を、対応する被制御部16に出力する。
図2(B)に示すように、この例の子局11は、クロックの1周期毎に、直列のパルス状電圧信号の(後半又は)前半が電源電圧の実質的に半分の電圧レベルVx/2又は擬似的なグランドレベル0+かを識別する。これにより、制御信号の各データの値を抽出する。例えば、当該クロックの前半がレベルVx/2の場合には、元の制御信号の値として「0」が、0+の場合には、元の制御信号の値として「1」が、各々、抽出される。従って、例えば直列のパルス状電圧信号が図2(B)のような場合、制御信号の値「0011」が抽出される。そして、子局11は、当該各データの値の中の当該子局11に対応するデータを対応する被制御部16に供給する。
複数の子局11は、各々、対応するセンサ部の信号に応じて監視信号をクロックに重畳してデータ信号線に出力する。即ち、各々の子局11は、対応するセンサ部17から入力されたデータの値からなる監視信号を保持し、当該子局11に割り当てられたアドレスと一致するアドレスが抽出されると、保持しているデータの値を、第1及び第2データ信号線D+及びD−の上に出力する。即ち、当該データの値に応じた周波数信号を第1のデータ信号線D+の上に出力する。これにより、周波数信号からなる監視信号は、その時点で、第1のデータ信号線D+の上に出力されている制御信号の値に重畳される。即ち、周波数信号からなる監視信号は、直列のパルス状電圧信号の当該子局11に対応するデータの位置に重畳される。換言すれば、同一アドレスの制御信号の値に、同一アドレスの監視信号の値が重畳される。
図2(B)に示すように、この例の子局11は、対応するセンサ部17の値に応じて周波数信号を形成し、これを監視信号の値として、直列のパルス状電圧信号の所定の位置に重畳する。例えば、監視信号の値が「1」の場合には、当該クロックの1周期に、周波数信号が形成されて重畳され、「0」の場合には周波数信号が形成されず重畳されていない。従って、例えば監視信号の値が「0101」の場合、周波数信号の重畳の結果、第1のデータ信号線D+の上の信号は、図2(B)のようになる。
また、周波数信号の周波数は、図2(B)に示すように、クロックCKより高い周波数とされる。例えば、クロックCKの8倍の周波数とされる。周波数信号の振幅は、擬似的なグランドレベル0+と真のグランドレベル0−(0V)との間に存在する。即ち、振幅は両者の差の実質的に2倍以内である。例えば、0+=2Vであり、従って、0+を中心とした場合の周波数信号の振幅は4V以内である。
以上のように、複数の子局11に分配されるべき制御信号を1個の親局13からシリアル信号(直列のパルス状電圧信号)としてデータ信号線上を伝送するので、当該分配の手段として、周知のアドレスカウント方式が用いられる。即ち、図3に示す1サイクル(cyc)において、子局11に送信(分配)すべき制御信号のデータの総数は、予め知ることができる。そこで、全ての制御信号のデータの各々に、当該サイクルにおいてユニークな1個のアドレスが割り当てられる。子局11は、直列のパルス状電圧信号からクロックCKを抽出してその数をカウントし、自局が受信すべき制御信号のデータに割り当てられた(1又は複数の)アドレスの場合に、その時点の直列のパルス状電圧信号の値を、制御信号として取り込む。
図3に示すように、アドレスのカウントのための最初及び最後を決定するために、各々、スタート信号S及びエンド信号Eが形成される。親局13は、直列のパルス状電圧信号の出力に先立って、スタート信号Sを形成して第1データ信号線D+に出力する。スタート信号Sは、電源電圧Vxのレベルであって、制御信号と識別可能なようにクロックCKの1周期より長い(この例では5t0 の長さ)信号とされる。また、親局13は、直列のパルス状電圧信号から抽出したクロックCKをカウントして、1サイクルが終了する時点でエンド信号Eを第1データ信号線D+に出力する。エンド信号Eは、グランドレベルであって、クロックCKの1周期より長くスタート信号Sより短い(この例では1.5t0 の長さ)信号とされる。
スタート信号Sとエンド信号Eとの間において、データが伝送される。スタート信号Sの期間、データ伝送期間及びエンド信号Eの期間を合わせて、1サイクル(1cyc)が構成される。データ伝送の期間において、子局11(アドレス)の数の制御信号及び監視信号がクロックに重畳されて伝送される。例えば、アドレスが「32」までとすると、データ伝送の期間は32t0 の長さとなる。
以上の説明は、図1の制御・監視信号伝送システムにおける信号伝送の一例である。本発明の制御・監視信号伝送システムは、他の信号伝送を行うものであっても良い。例えば、本発明の制御・監視信号伝送システムは、本発明者が特願平1−140826号、特願2000−199014号、特願2001−67034号、特願2001−400602号等において提案した信号伝送を行うものであっても良い。
以上のような信号伝送を行う制御・監視信号伝送システムにおいて、第1及び第2データ信号線D+及びD−を以下のような構成とし、かつ、伝送2重化部18及びエンド応答部21を設けることにより、本発明の断線検出を行う。
第1及び第2データ信号線D+及びD−は、親局13と複数の子局11との間を接続し、複数の被制御装置12に共通であって、図4に示すように、互いに並列に接続された可動部分52(+)、52(−)及び55(+)、55(−)からなる第1及び第2の伝送系列(A系列、B系列)を含み、前記親局13に対してループを構成する。例えば、A系列は通常伝送線として使用される系列であり、B系列は予備の系列であり、A系列が断線した場合に使用される系列である。
図4は、主として本発明の第1及び第2データ信号線D+及びD−の構成を示し、ある子局11の子局出力部14(又は子局入力部15)に着目した場合における接続関係(のみ)を示す。図4において、記号a〜hは各々接続点を表し、符号51〜57は各々接続点の間の配線(部分配線)を示し、これらの各々について第1及び第2のデータ信号線D+及びD−に関係することを各々(+)及び(−)を付加して表す。例えば、部分配線51(+)は、第1のデータ信号線D+における接続点a(+)と接続点b(+)との間の部分的な配線である。なお、図4においては、制御部10、子局出力部14、子局入力部15、被制御装置12の図示を省略している。
例えば、ロボットの場合、その本体及びアームの固定部22に、親局13、部分配線51(+)、51(−)、56(+)及び56(−)、伝送2重化部18、部分配線57(+)及び57(−)が設けられる。また、アームの先端部23に、1又は複数の子局11(及び図1の被制御装置12)、部分配線53(+)、53(−)、54(+)及び54(−)が設けられる。アームは所定の範囲で自在に動けなければならないので、固定部22と先端部23との間に、アームの可動部(図示せず)が設けられる。
アームの可動部の動きに対応するために、伝送線の対応部分(可動部分)が可動ケーブル24とされる。即ち、第1及び第2のデータ信号線D+及びD−は、可動ケーブル24からなる可動部分を含む(当該可動部分は可動ケーブル24からなる)。換言すれば、固定部22と先端部23との間に、部分配線52(+)、52(−)、55(+)及び55(−)が設けられ、これらは1本の(又は複数本の)可動ケーブル24からなる。
A系列の第1のデータ信号線D+(AD+)は、部分配線51(+)、52(+)及び53(+)からなる。データ信号線AD+において、断線するのは、主として部分配線52(+)である。A系列の第2のデータ信号線D−(AD−)もこれに対応する。データ信号線AD−において、断線するのは、主として部分配線52(−)である。B系列の第1のデータ信号線D+(BD+)は、部分配線57(+)、部分配線56(+)、55(+)及び54(+)からなる。データ信号線BD+において、断線するのは、主として部分配線55(+)である。B系列の第2のデータ信号線D−(BD−)もこれに対応する。データ信号線BD−において、断線するのは、主として部分配線55(−)である。本発明の伝送2重化部18(後述する)が、部分配線57(+)と部分配線56(+)との間及び部分配線57(−)と部分配線56(−)との間に挿入される。伝送線(第1及び第2のデータ信号線D+及びD−)は、4本の信号線AD+、AD−、BD+及びBD−からなる。
本発明においては、A系列は通常伝送線として使用される系列であるので、図3に実線で示すように、通常は、A系列の第1及び第2のデータ信号線AD+及びAD−により信号の伝送が行われる。この後、時刻t1において例えばA系列の第1のデータ信号線AD+が断線した場合、これに代えて、時刻t2からB系列の第1のデータ信号線BD+が用いられる。即ち、第1のデータ信号線D+がA系列(AD+)からB系列(BD+)に切り替わり、かつ、第1のデータ信号線の断線及びA系列のデータ信号線の断線が各々表示される。第2のデータ信号線としては、A系列のデータ信号線AD−がそのまま用いられる。これにより、信号の伝送が維持される。図3に示すように、時刻t1が断線を検出したサイクルcyc1における時刻であるとすると、時刻t2は次サイクルcyc2における時刻であり、時刻t1と時刻t2との間においては、信号の伝送は異常となる。他のデータ信号線AD−、BD+及びBD−が断線した場合も同様である。
A系列の第1及び第2のデータ信号線AD+及びAD−、B系列の第1及び第2のデータ信号線BD+及びBD−の4本の信号線は、例えば1本の可動ケーブル24とされる(図示せず)。即ち、1本の可動ケーブル24の絶縁被覆の内部に、相互に電気的に絶縁された4本の信号線が設けられる。従って、伝送線の可動ケーブル24が断線した場合、その修理(交換)においては、4本の信号線をまとめて交換する。なお、A系列の第1及び第2のデータ信号線AD+及びAD−を1本の可動ケーブル24とし、B系列の第1及び第2のデータ信号線BD+及びBD−を他の1本の可動ケーブル24としても良い。
図5は図1のエンド応答部21の構成及び動作を示す。本発明においては、図1に示すように、エンド応答部21をA系列のデータ信号線とB系列のデータ信号線との間に設け、エンド信号に対する応答信号(エンド応答)を常に形成する。これにより、A系列とB系列とのいずれが断線したかを検出する。
このエンド応答を形成するために、図1に示すように、子局11とは別に、第1及び第2データ信号線D+及びD−に接続するように、エンド応答部(エンド応答ユニット又は回路)21が設けられる。エンド応答部21は、親局13に所定のタイミングでエンド応答を返信する。これにより、親局13が、エンド応答部21からのエンド応答を検出することにより、A系列及びB系列のいずれが断線したかを検出する。エンド応答部21は、複数の子局11の中の1個であって、共通のデータ信号線に設けられた子局11である。なお、エンド応答部21は、複数の子局11のいずれかに設けるようにしても良い。
エンド応答部21は、図5(A)に示すように、第1及び第2データ信号線D+及びD−の上の信号を取り込んで、これに重畳されているエンド信号Eを検出し、エンド応答である電流信号Iisを出力する。即ち、第1データ信号線D+上のエンド信号Eの反転信号がオンディレイタイマTon3に入力される。当該遅延は1t0 とされる。即ち、反転信号の立ち上がりを1t0 だけ遅延させ、立ち下がりは元の信号に同期させる。従って、図5(B)に示すように、オンディレイタイマTon3の出力endはエンド信号Eの1.5t0 に応じて所定の期間(0.5t0 )だけハイレベルとなり、トランジスタTiがオンする。これにより、エンド応答である電流信号IisがRisを通じて形成され、第1及び第2データ信号線D+及びD−に送出される。
図6は図1及び図4の伝送2重化部18の一例のブロック構成図である。伝送2重化部18は、2重化回路19と系列断線検知回路20とからなる。図7及び図8は伝送2重化部18の一例の回路構成図であり、両者を合わせて図6の詳細を示す。また、図9〜図12は伝送2重化部18における波形図であり、特に、図9は伝送線の第1の伝送系列(A系列)の第1データ信号線AD+が断線した場合を示し、図10はA系列の第2データ信号線AD−が断線した場合を示し、図11は伝送線の第2の伝送系列(B系列)の第1データ信号線BD+が断線した場合を示し、図12はB系列の第2データ信号線BD−が断線した場合を示す。
図6に示すように、伝送2重化部18は、伝送線の第2の伝送系列に設けられる。即ち、予備系列であるB系列に設けられる。伝送2重化部18は、第2の伝送系列に設けられ、A系列及びB系列のいずれかの断線を検出し、A系列及びB系列のいずれか一方が断線した場合、その他方により制御信号及び監視信号の伝送を継続して行い、かつ、当該断線した伝送系列を検出する。伝送2重化部18は、更に、専用のDC電源25を備える。専用のDC電源25は、子局11の電源と同様の構成を備え、これにより伝送2重化部18に電源を供給する。
2重化回路19は、A系列及びB系列のいずれかの断線を検出し、A系列及びB系列のいずれか一方が断線した場合、その他方により制御信号及び監視信号の伝送を継続して行う。この例では、伝送2重化部18がB系列に設けられるので、2重化回路19は第1の伝送系列(A系列)の断線を検出した場合、第2の伝送系列(B系列)を用いて信号の伝送を継続する。
2重化回路19は、図6に示すように、D+(断線)検出回路191、D+(断線時)ON回路192、D−(断線)検出回路193、D−(断線時)ON回路194、接続トランジスタTd+及びTd−を備える。D+検出回路191はA系列又はB系列の第1データ信号線D+の断線を検出する。D+ON回路192は、D+検出回路191においてA系列又はB系列の一方の第1データ信号線D+の断線を検出した場合、これに基づいて、他方の伝送系列の第1データ信号線D+をONする。即ち、接続トランジスタTd+をONとし、これを維持する。これにより、他方の伝送系列の第1データ信号線D+を親局13及びデータ信号線に接続する。D−検出回路193はA系列又はB系列の第2データ信号線D−の断線を検出する。D−ON回路194は、D−検出回路193においてA系列又はB系列の一方の第2データ信号線D−の断線を検出した場合、これに基づいて、他方の伝送系列の第2データ信号線D−をONする。即ち、接続トランジスタTd−をONとし、これを維持する。これにより、他方の伝送系列の第2データ信号線D−を親局13及びデータ信号線に接続する。
即ち、2重化回路19において、図6に示すように、第1データ信号線D+が親局13に対して作る伝送ループにおいて、親局13と予備の接続系列(B系列)との間の位置に接続トランジスタTd+を挿入し、これを通常はオフとして当該伝送ループを分離状態とする。また、第2データ信号線D−が親局13に対して作る伝送ループにおいて、親局13と予備の接続系列(B系列)との間の位置に接続トランジスタTd−を挿入し、これを通常はオフとして当該伝送ループを分離状態とする。
このように、接続トランジスタTd+及びTd−を挿入しかつオフとして当該伝送ループを通常分離の状態とすることにより、データ信号線の断線を正確に検出することができる。例えば、前述の特願2000−199014号、特願2001−67034号のような位相の変化する信号を用いる信号伝送においては、接続トランジスタTd+及びTd−を挿入しないと、信号を検出することができない。即ち、親局13から子局11までのインピーダンスがA系列とB系列とで異なるために、A系列を伝送された信号とB系列を伝送された信号との間で伝播時間の差が生じてしまう。このため、親局13及び子局11において信号が打ち消しあって、検出できない。本発明によれば、前述の種々の信号伝送において、その信号伝送の方式を問わず、いずれの場合もデータ信号線の断線を安定かつ正確に検出することができる。
この状態で、D+検出回路191は、第1データ信号線D+の断線を検出するために、図6に示すように、第1データ信号線D+上の点であって親局13と可動ケーブル24(AD+及びBD+)を介して接続される接続点の電位と、第2データ信号線D−上の点であって親局13と可動ケーブル24を介さずに接続される接続点の電位とを比較する。即ち、断線した第1データ信号線D+の伝送ループにおける可動ケーブル24(AD+及びBD+)を含む部分の電位と、断線した第2データ信号線D−の伝送ループにおける可動ケーブル24(AD−及びBD−)を含まない部分の電位とを比較する。可動ケーブル24(AD+及びBD+)が断線していない場合、所定の電位差が検出される。可動ケーブル24(AD+及びBD+)のいずれかが断線している場合、当該電位差は検出されない。
D−検出回路193は、第2データ信号線D−の断線を検出するために、図6に示すように、第2データ信号線D−上の点であって親局13と可動ケーブル24(AD−及びBD−)を介して接続される接続点の電位と、第1データ信号線D+上の点であって親局13と可動ケーブル24を介さずに接続される接続点の電位とを比較する。即ち、断線した第2データ信号線D−の伝送ループにおける可動ケーブル24(AD−及びBD−)を含む部分の電位と、断線した第1データ信号線D+の伝送ループにおける可動ケーブル24(AD+及びBD+)を含まない部分の電位とを比較する。可動ケーブル24(AD−及びBD−)が断線していない場合、所定の電位差が検出される。可動ケーブル24(AD−及びBD−)のいずれかが断線している場合、当該電位差は検出されない。
D+ON回路192は、D+検出回路191において第1データ信号線D+の断線を検出した場合、これに基づいて、第1データ信号線D+の断線(D+断線)を表示する。このために、D+ON回路192は、例えばD+断線表示用のLED(D+)を備える。D−ON回路194は、D−検出回路193において第2データ信号線D−の断線を検出した場合、これに基づいて、第2データ信号線D−の断線(D−断線)を表示する。このために、D−ON回路194は、例えばD−断線表示用のLED(D−)を備える。
系列断線検知回路20は、A系列及びB系列のいずれかの断線を検出し、A系列及びB系列のいずれか一方が断線した場合、当該断線した伝送系列を検出する。この例では、B系列は予備の系列であるが、これも含めてA系列及びB系列の双方のいずれが断線したかを検出する。信号の伝送には支障とならないB系列の断線を検出することにより、残りのA系列の断線に先立って、予め可動ケーブル24を交換し、被制御装置12ひいてはロボット等の装置を連続運転することができる。
図6の系列断線検知回路20は、エンド信号検出回路201、エンドデータ検出回路202、系列断線検出回路203を備える。エンド信号検出回路201は、A系列及びB系列のいずれかの上を伝送される制御信号の中からエンド信号Eを検出する。この例では、第1データ信号線D+上を伝送されるエンド信号Eを検出する。エンドデータ検出回路202は、A系列及びB系列のいずれかの上を伝送される制御信号の中からエンドデータを検出する。この例では、第1データ信号線D+上を伝送されるエンドデータを検出する。系列断線検出回路203は、エンド信号検出回路201及びエンドデータ検出回路202における検出の結果に基づいて、A系列及びB系列のいずれが断線したのかを判別する。
系列断線検出回路203は、当該判別の結果に基づいて、A系列の断線(A系列断線)又はB系列の断線(B系列断線)を表示する。このために、系列断線検出回路203は、例えばA系列断線表示用のLED(A)及びB系列断線表示用のLED(B)を備える。これらの2個のLEDと、D+断線表示用のLED(D+)及びD−断線表示用のLED(D−)とにより、オペレータは、4本の信号線、即ち、A系列又はB系列の第1又は第2のデータ信号線のいずれが断線したのかを知ることができる。
図8の専用のDC電源は、例えば24Vの電源を伝送2重化部18に供給する。これにより、伝送2重化部18が動作する。専用のDC電源を設けることにより、電源を供給する伝送線が断線しても、確実に伝送2重化部18により当該断線を検出することができる。なお、専用のDC電源は、実際は、親局13のための電源(図示せず)であっても良い。また、伝送線を伝送されるクロックに重畳されている電源を抽出して、これを用いても良い。この場合でも、通常は、確実に当該断線を検出することができる。
図7及び図8に示すように、伝送2重化部18は、D+検出回路191及びD−検出回路193において、A系列及びB系列の第1及び第2データ信号線D+及びD−を伝送される信号(信号レベル)の差異に基づいて、断線の箇所が第1及び第2データ信号線D+及びD−のいずれであるかを検出する。また、クロックの複数の周期からなる伝送のサイクルの先頭を定めるスタート信号S又は(及び当該スタート信号Sに先行する)終了を定めるエンド信号Eの伝送期間において、伝送2重化部18は、A系列及びB系列のいずれかの断線を検出する。このために、伝送2重化部18は、エンド応答の検出に先だって(検出のタイミングで)、A系列及びB系列のいずれかを遮断する。
断線の可能性がある(高い)のは、可動ケーブル24の部分である。即ち、4本のデータ信号線AD+、AD−、BD+、BD−のいずれか(における可動部分配線)である。以下、この順に、データ信号線のいずれかが断線した場合における本発明の断線検出について説明する。
第1に、図7及び図8及び図9を参照して、ある伝送サイクル(cyc0)の期間中において、第1の伝送系列(即ち、A系列)の第1データ信号線AD+が断線した場合について説明する。
伝送サイクル(cyc0)が開始されると、最初に、スタート信号S(ハイレベル)が伝送される。これにより、親局13から接続点g(+)を介して与えられる電位と親局13から接続点h(−)を介して与えられる電位との間に電位差があるので、D+検出回路191のトランジスタTs+がオンし、図9に示すように、その出力d+nがハイレベルとなる。一方、第1データ信号線D+上のエンド信号E(ローレベル)が、図8のトランジスタT0において検出され、オンディレイタイマTon1に入力される。当該遅延は1t0 とされる。即ち、トランジスタT0の出力の立ち上がりを1t0 だけ遅延させ、立ち下がりは元の信号に同期させる。従って、スタート信号S及びデータ信号は1t0 より短いので、オンディレイタイマTon1の出力には現われない。即ち、スタート信号S及びデータ信号の伝送時は、図8の出力endはロウレベルである。出力endは、RSフリップフロップFF1に入力され、そのリセット信号Rとして用いられる(他のRSフリップフロップFF2〜5についても同じ)。出力d+nとリセット信号Rとにより、RSフリップフロップFF1からハイレベルが出力され(出力Q)、ANDゲート回路AND1の一方に入力される。
図8の回路及び図9のタイムチャートに示されるように、ゲート回路AND1の他方には、オンディレイタイマTon2の出力bwcが入力される。当該遅延はtdとされる。tdは、図2(A)に示すように、クロックCKの1周期t0 よりも短く1/2t0 よりも長い時間である。従って、図8の出力bwcは、スタート信号Sに基づいて、ハイレベルとなる。このハイレベルの期間中だけゲート回路AND1が開き、RSフリップフロップFF2の出力Qはロウレベルとなり、反転出力Q ̄はハイレベルとなる。RSフリップフロップFF2において、リセット信号Rがセット信号Sよりも優先される(他のRSフリップフロップにおいても同じ)。この反転出力Q ̄のハイレベルにより、D+断線表示用のLED(D+)はオフとなり、消灯の状態にある。
一方、RSフリップフロップFF2の出力Q(のロウレベル)は、図8の接続点kを経由し、図7のD+ON回路192のトランジスタTd+1に入力される。これにより、トランジスタTd+がオフする。従って、第2の伝送系列の第1データ信号線BD+は、第1の伝送系列の第1データ信号線AD+から切り離されている。また、図8のRSフリップフロップFF2の出力Q(のロウレベル)は、ORゲート回路ORを介して、NANDゲート回路NAND1に入力される。ゲート回路NAND1の他方には、エンドデータ検出回路202のRSフリップフロップFF5の出力endaの反転信号が入力される。しかし、出力endaの反転信号の値にかかわらず、データ信号線が断線していない場合、ゲート回路ORの出力はロウレベルである。これにより、A系列断線表示用のLED(A)はオフとなり、消灯の状態にある。
この後、当該伝送サイクル(cyc0)のデータの伝送が開始される。このデータ伝送時においても、図7のトランジスタTd+のオフにより、A系列の第1データ信号線AD+とB系列の第1データ信号線BD+とは相互に切り離されている。また、図6のLED(D+)及びLED(A)はオフ(消灯状態)とされ、第1データ信号線AD+の断線が無い状態を示している。
この後、例えば駆動ストレスにより、当該伝送サイクル(cyc1)において、A系列の第1データ信号線AD+が断線したとする。これにより、親局13から接続点g(+)を介して与えられる電位と親局13から接続点h(−)を介して与えられる電位との間に電位差が無くなるので、図7のトランジスタTs+がオフし、図9に示すように、その出力d+nがロウレベルとなる。この状態は、当該第1データ信号線AD+が保守員により修復(交換)されるまで続く(以下の第2〜第4の場合においても同じ)。即ち、出力d+nがロウレベルとなるが、図8のゲート回路AND1が開かないので、RSフリップフロップFF2の出力状態は変化しない。従って、この時点では、図6のLED(D+)及びLED(A)はオン(点灯状態)とはならず、トランジスタTd+はまだオフなので、当該断線に起因してデータは伝送異常となる。信頼性の失われた制御信号及び監視信号が各々子局11及び親局13へ伝送されるが、伝送データの図13に示すようなデータ照合により、信号伝送の誤動作を防止することができる(以下の第2〜第4のデータ信号線が断線した場合においても同じである)。
この後、エンド信号E(ロウレベル)が伝送される。エンド信号Eのロウレベルにより、当該伝送サイクル(cyc1)が終了する(以下においても同じ)。エンド信号Eのロウレベル(1.5t0 )により、図9に示すように、オンディレイタイマTon1の出力endは一時的(0.5t0 )にハイレベルとなる(以下においても同じ)。一方、第1データ信号線AD+の断線(及びトランジスタTd+のオフ)により、図8の本来流れるはずのエンド応答である電流信号Iisが流れず、エンドデータ検出回路202のトランジスタTiはオフとなる。これと出力endのハイレベルとにより、図9のタイムチャートに示すように、図8のRSフリップフロップFF5の図8及び図9の出力endaがロウレベルに変化する。
この後、直ちに次のスタート信号Sの伝送が開始され、次の伝送サイクル(cyc2)が開始される。しかし、第1データ信号線AD+の断線(及びトランジスタTd+のオフ)により、トランジスタTs+はオンせず、図9に示すように、その出力d+nはロウレベルのままである。
一方、第1データ信号線D+上のスタート信号Sが、図8のトランジスタT0を介して、オンディレイタイマTon2に入力され、図9に示すように、出力bwcはハイレベルとなる。このハイレベルの期間中だけ図8のゲート回路AND1が開く。従って、図9のタイムチャートの出力d+nのロウレベルにより、図8のRSフリップフロップFF2の反転出力Q ̄はロウレベルとなり、D+断線表示用のLED(D+)はオンとなり、点灯の状態となる。
また、図8のRSフリップフロップFF2の出力Qのハイレベルは、図8のインバータ及び2重化回路19の接続点kを介して、図7のトランジスタTd+1に入力される。これにより、トランジスタTd+がオンする。従って、第2の伝送系列の第1データ信号線BD+が、第1の伝送系列の第1データ信号線AD+に接続される。更に、図9のタイムチャートの出力endaのロウレベルにより図8のゲート回路NAND1が開くので、RSフリップフロップFF2の出力Qのハイレベルにより、A系列断線表示用のLED(A)はオンとなり、点灯の状態となる。
このように、本発明においては、図3の断線を検出したサイクル(cyc1)の次サイクル(cyc2)の図9のスタート信号Sの立ち上りから時間tdだけ遅れた図3のタイミング(時刻t2)で、データ信号線の断線がチェックされる。このために、時間tdは、親局13の出力する信号が伝送2重化部18に到達するよりも十分に長くかつスタート信号S(5t0 )よりも十分に短い時間とされる。具体的には、スタート信号Sの約1/20の長さとされる。
そして、本発明においては、前述のデータ信号線の断線のチェックに基づいて、データ信号線がバックアップされる。即ち、断線を検出したサイクルの次サイクルのスタート信号Sに依存して、データ信号線がバックアップされる。
また、本発明においては、A系列とB系列のいずれが断線しているか、及び、第1データ信号線と第2データ信号線のいずれが断線しているかが、別々に検出される。これにより、4本のデータ信号線AD+、AD−、BD+、BD−のいずれが断線しているかを検出し表示する。
この後、当該伝送サイクル(cyc2)のデータの伝送が開始される。このデータ伝送時においても、トランジスタTd+のオンにより、A系列の第1データ信号線AD+とB系列の第1データ信号線BD+とは相互に接続されている。また、LED(D+)及びLED(A)はオン(点灯状態)とされ、A系列の第1データ信号線AD+が断線している状態を示している。この場合、データ信号線AD+(の部分配線52(+))は断線したが、親局13と子局11との間の信号伝送は途切れることなく維持されている。即ち、信号伝送は、データ信号線AD+に代わるB系列の第1データ信号線BD+(部分配線57(+)〜54(+))と、データ信号線AD−(部分配線51(−)〜53(−))とによって、維持されている。
この後、エンド信号E(ロウレベル)が伝送される。これにより、図9に示すように、出力endは一時的にハイレベルとなる。従って、図8のRSフリップフロップFF2の出力Q及び反転出力Q ̄が、一時的にそれまでの信号レベルから反転する。これは、いずれのデータ信号線の断線とも無関係である。これにより、トランジスタTd+が一時的にオフし、A系列の第1データ信号線AD+とB系列の第1データ信号線BD+とは相互に切り離される。また、LED(D+)及びLED(A)は一時的にオフ(消灯状態)とされる。トランジスタTd+の一時的なオフにより、エンド応答が一方の系列から他方の系列へ回り込むことを防止することができる。これにより、前述のようにエンド応答である電流信号Iisの有無を正確に検出することができる(以下の第3の場合においても同じ)。LED(D+)及びLED(A)の一時的なオフにより、これらは厳密には点滅を繰り返すことになるが、オフの時間が短いので、人間の目には点灯状態に見えるため、何ら問題は無い(以下の第2〜第4のデータ信号線が断線した場合においても、同様である)。
第2に、図7及び図8及び図10を参照して、ある伝送サイクル(cyc0)の期間中において、第1の伝送系列(即ち、A系列)の第2データ信号線AD−が断線した場合について説明する。
伝送サイクル(cyc0)が開始され、スタート信号Sが伝送される。これにより、親局13から接続点g(−)を介して与えられる電位と親局13から接続点h(+)を介して与えられる電位との間に電位差があるので、図7のD−検出回路193のトランジスタTs−がオンし、図10に示すように、出力d−nがハイレベルとなる。一方、前述のように、図8のオンディレイタイマTon1の出力endはロウレベルである。出力endは、RSフリップフロップFF3に入力される。出力d−nとリセット信号Rとにより、RSフリップフロップFF3からハイレベルが出力され(出力Q)、ANDゲート回路AND2の一方に入力される。
ゲート回路AND2の他方には、オンディレイタイマTon2の出力bwcがインバータを介して入力される。前述のように、出力bwcは、スタート信号Sに基づいて、ハイレベルとなる。このハイレベルの期間中だけゲート回路AND2が開き、RSフリップフロップFF4の出力Qはロウレベルとなり、反転出力Q ̄はハイレベルとなる。反転出力Q ̄のハイレベルにより、D−断線表示用のLED(D−)はオフとなり、消灯の状態にある。
一方、図8のRSフリップフロップFF4の出力Q(のロウレベル)は、図7のD−ON回路194のトランジスタTd−1に入力される。これにより、トランジスタTd−がオフする。従って、第2の伝送系列の第2データ信号線BD−は、第1の伝送系列の第2データ信号線AD−から切り離されている。また、図8のRSフリップフロップFF4の出力Q(のロウレベル)は、ゲート回路ORを介して、NANDゲート回路NAND2に入力される。ゲート回路NAND2の他方には、RSフリップフロップFF5の出力endaが入力される。しかし、出力endaの反転信号の値にかかわらず、データ信号線が断線していない場合には、ゲート回路ORの出力はロウレベルである。これにより、A系列断線表示用のLED(B)はオフとなり、消灯の状態にある。
この後、当該伝送サイクル(cyc0)のデータの伝送が開始される。このデータ伝送時においても、図7のトランジスタTd−のオフにより、A系列の第2データ信号線AD−とB系列の第2データ信号線BD−とは相互に切り離されている。また、LED(D−)及びLED(A)はオフ(消灯状態)とされ、第2データ信号線AD−の断線が無い状態を示している。
この後、例えば駆動ストレスにより、当該伝送サイクル(cyc1)において、A系列の第2データ信号線AD−が断線する。これにより、図7の親局13から接続点g(−)を介して与えられる電位と親局13から接続点h(+)を介して与えられる電位との間に電位差が無くなるので、トランジスタTs−がオフし、図10に示すように、その出力d−nがロウレベルとなる。しかし、ゲート回路AND2が開かないので、RSフリップフロップFF4の出力状態は変化しない。従って、この時点では、LED(D−)及びLED(A)はオン(点灯状態)とはならず、また、トランジスタTd−のオフにより、当該断線に起因して信号の伝送データは不定となる。
この後、エンド信号E(ロウレベル)が伝送される。一方、第2データ信号線AD−の断線(及びトランジスタTd−のオフ)により、本来流れるはずのエンド応答である電流信号Iisが流れず、図6のエンドデータ検出回路202のトランジスタTiはオフとなる。これと出力endのハイレベルとにより、図10に示すように、RSフリップフロップFF5の出力endaがロウレベルに変化する。
この後、直ちに次のスタート信号Sの伝送が開始され、次の伝送サイクル(cyc2)が開始される。しかし、図7のトランジスタTs−はオンせず、図10に示すように、その出力d−nはロウレベルのままである。
一方、スタート信号Sにより、図10に示すように、出力bwcはハイレベルとなる。このハイレベルの期間中だけ図8のゲート回路AND1が開く。従って、出力d−nのロウレベルにより、図8のRSフリップフロップFF4の反転出力Q ̄はロウレベルとなり、D−断線表示用のLED(D−)はオンとなり、点灯の状態となる。
また、図8のRSフリップフロップFF4の出力Qのハイレベルは、2重化回路19の接続点mを介して図7のトランジスタTd−1に入力される。これにより、トランジスタTd−がオンする。従って、第2の伝送系列の第2データ信号線BD−が、第1の伝送系列の第2データ信号線AD−に接続される。更に、出力endaのロウレベルによりゲート回路NAND1が開くので、RSフリップフロップFF2の出力Qのハイレベルにより、ORゲート及びゲート回路NAND1を介してA系列断線表示用のLED(A)はオンとなり、点灯の状態となる。
この後、当該伝送サイクル(cyc2)のデータの伝送が開始される。このデータ伝送時においても、トランジスタTd−のオンにより、A系列の第2データ信号線AD−とB系列の第2データ信号線BD−とは相互に接続されている。また、LED(D−)及びLED(A)はオン(点灯状態)とされ、A系列の第1データ信号線AD−が断線している状態を示している。この場合、データ信号線AD+(の部分配線52(−))は断線したが、親局13と子局11との間の信号伝送は途切れることなく維持されている。即ち、信号伝送は、図4のデータ信号線AD−に代わるB系列の第2データ信号線BD−(部分配線57(−)〜54(−))と、データ信号線AD+(部分配線51(+)〜53(+))とによって、維持されている。
この後、エンド信号E(ロウレベル)が伝送される。これにより、図10に示すように、出力endは一時的にハイレベルとなる。従って、RSフリップフロップFF4の出力Q及び反転出力Q ̄が、一時的にそれまでの信号レベルから反転する。これは、いずれのデータ信号線の断線とも無関係である。これにより、図7のトランジスタTd−が一時的にオフし、A系列の第2データ信号線AD−とB系列の第2データ信号線BD−とは相互に切り離される。また、LED(D−)及びLED(A)は一時的にオフ(消灯状態)とされる。トランジスタTd−の一時的なオフにより、エンド応答が一方の系列から他方の系列へ回り込むことを防止することができる。これにより、前述のように図5のエンド応答である電流信号Iisの有無を正確に検出することができる(以下の第4の場合においても同じ)。
第3に、図7及び図8及び図11を参照して、ある伝送サイクル(cyc0)の期間中において、第2の伝送系列(即ち、B系列)の第1データ信号線BD+が断線した場合について説明する。
伝送サイクル(cyc0)が開始され、スタート信号Sが伝送される。これにより、図7の親局13から接続点g(+)を介して与えられる電位と親局13から接続点h(−)を介して与えられる電位との間に電位差があるので、D+検出回路191のトランジスタTs+がオンし、図11に示すように、出力d+nがハイレベルとなる。一方、第1データ信号線D+上のエンド信号E(ロウレベル)が、図8のトランジスタT0において検出され、オンディレイタイマTon1に入力される。オンディレイタイマTon1の出力endはロウレベルである。出力d+nとリセット信号Rとにより、RSフリップフロップFF1から出力Qのハイレベルが出力される。
一方、前述のように、オンディレイタイマTon2の出力bwcのハイレベルにより、RSフリップフロップFF2の反転出力Q ̄はハイレベルとなるので、D+断線表示用のLED(D+)はオフとなり、消灯の状態にある。
一方、前述のように、図8のRSフリップフロップFF2の出力Q(のロウレベル)が、インバータを介して、2重化回路19の接続点kを経由し図7のトランジスタTd+1に入力されることにより、トランジスタTd+がオフする。従って、第2の伝送系列の第1データ信号線BD+は、第1の伝送系列の第1データ信号線AD+から切り離されている。また、前述のように、ORゲートを経由したRSフリップフロップFF2の出力Q(のロウレベル)と出力endaとが、ゲート回路NAND2に入力される。データ信号線が断線していない場合には、ゲート回路ORの出力はロウレベルであるので、B系列断線表示用のLED(B)はオフとなり、消灯の状態にある。
この後、当該伝送サイクル(cyc0)のデータの伝送が開始される。このデータ伝送時においても、図7のトランジスタTd+のオフにより、A系列の第1データ信号線AD+とB系列の第1データ信号線BD+とは相互に切り離されている。また、LED(D+)及びLED(B)はオフ(消灯状態)とされ、第1データ信号線BD+の断線が無い状態を示している。
この後、例えば駆動ストレスにより、当該伝送サイクル(cyc1)において、B系列の第1データ信号線BD+が断線する。これにより、親局13から接続点g(+)を介して与えられる電位と親局13から接続点h(−)を介して与えられる電位との間に電位差が無くなるので、トランジスタTs+がオフし、図11に示すように、その出力d+nがロウレベルとなる。しかし、前述のように、この時点では、LED(D+)及びLED(B)はオン(点灯状態)とはならず、また、トランジスタTd+のオフにより、当該断線に起因して信号の伝送も一旦停止される。
この後、エンド信号E(ロウレベル)が伝送される。一方、第1データ信号線BD+の断線(及びトランジスタTd+のオフ)した場合でも、エンド応答である電流信号Iisは、図4から判るように、接続点h(−)を介して与えられるので、図5のトランジスタTiはオンとなる。これにより、図11に示すように、RSフリップフロップFF5の出力endaは、ハイレベルとなり、エンド信号Eの一時的なロウレベルに従って、一時的にロウレベルに変化する。
この後、直ちに次のスタート信号Sの伝送が開始され、次の伝送サイクル(cyc2)が開始される。しかし、第2データ信号線BD+の断線(及びトランジスタTd+のオフ)により、トランジスタTs+はオンせず、図11に示すように、その出力d+nはロウレベルのままである。
一方、前述のように、スタート信号Sにより、図11に示すように、出力bwcはハイレベルとなる。従って、出力d+nのロウレベルにより、RSフリップフロップFF2の反転出力Q ̄はロウレベルとなり、D+断線表示用のLED(D+)はオンとなり、点灯の状態となる。
また、前述のように、図8のRSフリップフロップFF2の出力Qのハイレベルにより、インバータを介して、2重化回路19の接続点kを経由して、トランジスタTd+がオンする。従って、第2の伝送系列の第1データ信号線BD+が、第1の伝送系列の第1データ信号線AD+に接続される。更に、出力endaのハイレベルによりゲート回路NAND2が開くので、RSフリップフロップFF2の出力Qのハイレベルにより、B系列断線表示用のLED(B)はオンとなり、点灯の状態となる。
この後、当該伝送サイクル(cyc2)のデータの伝送が開始される。このデータ伝送時においても、トランジスタTd+のオンにより、A系列の第1データ信号線AD+とB系列の第1データ信号線BD+とは相互に接続されている。また、LED(D+)及びLED(B)はオン(点灯状態)とされ、B系列の第1データ信号線BD+が断線している状態を示している。この場合、データ信号線BD+(の部分配線52(−))は断線したが、親局13と子局11との間の信号伝送は途切れることなく維持されている。即ち、信号伝送は、断線前と同様にA系列のデータ信号線AD+(部分配線51(+)〜53(+))と、データ信号線AD−(部分配線51(−)〜53(−))とによって、維持されている。しかし、次にA系列の第1データ信号線AD+が断線すると、被制御装置12(ロボット)が停止してしまうことを示すことができ、可動ケーブル24の交換を促すことができる。
この後、エンド信号E(ロウレベル)が伝送される。これにより、図11に示すように、出力endは一時的にハイレベルとなる。従って、図8のRSフリップフロップFF2の出力Q及び反転出力Q ̄が、一時的にそれまでの信号レベルから反転する。これは、いずれのデータ信号線の断線とも無関係である。これにより、トランジスタTd+が一時的にオフし、A系列の第1データ信号線AD+とB系列の第1データ信号線BD+とは相互に切り離される。また、LED(D+)及びLED(B)は一時的にオフ(消灯状態)とされる。
第4に、図7及び図8及び図12を参照して、ある伝送サイクル(cyc0)の期間中において、第2の伝送系列(即ち、B系列)の第2データ信号線BD−が断線した場合について説明する。
伝送サイクル(cyc0)が開始され、スタート信号Sが伝送される。これにより、親局13から接続点g(−)を介して与えられる電位と親局13から図7の接続点h(+)を介して与えられる電位との間に電位差があるので、D−検出回路193のトランジスタTs−がオンし、図12に示すように、出力d−nがハイレベルとなる。一方、前述のように、図8のオンディレイタイマTon1の出力endはロウレベルである。出力endは、RSフリップフロップFF3に入力される。出力d−nとリセット信号Rとにより、RSフリップフロップFF3から出力Qのハイレベルが出力される。
一方、前述のように、オンディレイタイマTon2の出力bwcのハイレベルにより、RSフリップフロップFF4の反転出力Q ̄はハイレベルとなるので、D−断線表示用のLED(D−)はオフとなり、消灯の状態にある。
一方、前述のように、RSフリップフロップFF4の出力Q(のロウレベル)がトランジスタTd−1に入力されることにより、トランジスタTd−がオフする。従って、第2の伝送系列の第2データ信号線BD−は、第1の伝送系列の第2データ信号線AD−から切り離されている。また、前述のように、RSフリップフロップFF4の出力Q(のロウレベル)と出力endaの反転信号とが、ゲート回路NAND2に入力される。データ信号線が断線していない場合には、ゲート回路ORの出力はロウレベルであるので、B系列断線表示用のLED(B)はオフとなり、消灯の状態にある。
この後、当該伝送サイクル(cyc0)のデータの伝送が開始される。このデータ伝送時においても、トランジスタTd−のオフにより、A系列の第2データ信号線BD+とB系列の第2データ信号線BD−とは相互に切り離されている。また、LED(D−)及びLED(B)はオフ(消灯状態)とされ、第2データ信号線BD−の断線が無い状態を示している。
この後、例えば駆動ストレスにより、当該伝送サイクル(cyc1)において、B系列の第2データ信号線BD−が断線したとする。これにより、トランジスタTs−がオフし、図12に示すように、その出力d−nがロウレベルとなる。しかし、前述のように、この時点では、LED(D−)及びLED(B)はオン(点灯状態)とはならず、また、トランジスタTd−のオフにより、当該断線に起因して信号の伝送データは不定となる。
この後、エンド信号E(ロウレベル)が伝送される。一方、第1データ信号線BD−の断線(及びトランジスタTd−のオフ)した場合でも、エンド応答である電流信号Iisは、図4から判るように、接続点h(−)を介して与えられるので、図5及び図8のトランジスタTiはオンとなる。これにより、図12に示すように、RSフリップフロップFF5の出力endaは、ハイレベルとなり、エンド信号Eの一時的なロウレベルに従って、一時的にロウレベルに変化する。
この後、直ちに次のスタート信号Sの伝送が開始され、次の伝送サイクル(cyc2)が開始される。しかし、第2データ信号線BD−の断線(及びトランジスタTd−のオフ)により、トランジスタTs−はオンせず、図12に示すように、その出力d−nはロウレベルのままである。
一方、前述のように、スタート信号Sにより、図12に示すように、出力bwcはハイレベルとなる。従って、出力d−nのロウレベルにより、RSフリップフロップFF4の反転出力Q ̄はロウレベルとなり、D−断線表示用のLED(D−)はオンとなり、点灯の状態となる。
また、前述のように、RSフリップフロップFF2の出力Qのハイレベルにより、トランジスタTd−がオンする。従って、第2の伝送系列の第1データ信号線BD−が、第1の伝送系列の第1データ信号線AD+に接続される。更に、出力endaのハイレベルにより、ゲート回路NAND2が開くので、RSフリップフロップFF2の出力Qのハイレベルにより、B系列断線表示用のLED(B)はオンとなり、点灯の状態となる。
この後、当該伝送サイクル(cyc2)のデータの伝送が開始される。このデータ伝送時においても、トランジスタTd−のオンにより、A系列の第2データ信号線AD−とB系列の第2データ信号線BD−とは相互に接続されている。また、LED(D−)及びLED(B)はオン(点灯状態)とされ、B系列の第2データ信号線BD−が断線している状態を示している。この場合、データ信号線BD−(の部分配線55(−))は断線したが、親局13と子局11との間の信号伝送は途切れることなく維持されている。即ち、信号伝送は、断線前と同様にA系列のデータ信号線AD+(部分配線51(+)〜53(+))と、データ信号線AD−(可動部分配線51(−)〜53(−))とによって、維持されている。しかし、次にA系列の第2データ信号線AD−が断線すると、被制御装置12(ロボット)が停止してしまうことを示すことができ、可動ケーブル24の交換を促すことができる。
この後、エンド信号E(ロウレベル)が伝送される。これにより、図12に示すように、出力endは一時的にハイレベルとなる。従って、RSフリップフロップFF4の出力Q及び反転出力Q ̄が、一時的にそれまでの信号レベルから反転する。これは、いずれのデータ信号線の断線とも無関係である。これにより、トランジスタTd−が一時的にオフし、A系列の第1データ信号線AD+とB系列の第1データ信号線BD+とは相互に切り離される。また、LED(D−)及びLED(B)は一時的にオフ(消灯状態)とされる。
以上のように、あるサイクルにおいていずれかのデータ信号線が断線した場合でも、本発明に従って、データ信号線の接続は維持される。このため、親局13と子局11の各々とにおいて、その動作の確実性を保証する必要がある。そこで、図13に示すように、親局13と子局出力部14の各々とに、データ保持回路31及び一致判定回路32が設けられる。
図1の子局出力部14において、データ保持回路31は、当該子局出力部14において抽出された当該子局のアドレスの制御信号であって、あるサイクルcyc2の1個前のサイクルcyc1のデータを保持し出力する。当該データは次のサイクルにおいて次のデータが入力されるまで保持され出力される。一致判定回路32は、当該子局出力部14において抽出された当該子局のアドレスの制御信号であってあるサイクルcyc2のデータと、データ保持回路31からの1個前のサイクルcyc1のデータとを比較し、両者が一致するか否かを判定する。両者が一致した場合のみ、当該データ(制御信号)が当該子局出力部14から対応する被制御部16へ出力され、次の出力まで維持される。これにより、複数の子局11(の子局出力部14)が、各々、当該サイクルcyc2において検出した制御信号が直前のサイクルcyc1において検出した制御信号と同一である場合に、真の(正しく伝送された)制御信号として処理する。
親局13においても、抽出した監視信号の各々のアドレスのデータについて、同様に、データ保持回路31及び一致判定回路32を用いて、直前のサイクルの同一アドレスのデータと比較する。そして、両者が一致した場合のみ、図1の当該データ(監視信号)が親局13から制御部10の入力ユニット101へ入力される。これにより、親局13が、当該サイクルにおいて検出した監視信号が直前のサイクルにおいて検出した監視信号と同一である場合に真の監視信号として処理する。
例えば、図3に示すように、正常なサイクルcyc0の後のあるサイクルcyc1においてA系列の第1データ信号線AD+が断線すると、その時点以降のアドレスの子局出力部14は、当該サイクルcyc1の正しいデータを抽出することができない。従って、直前のサイクルcyc0のデータ(制御信号)と当該サイクルcyc1のデータとが一致しない。なお、当該時点以前のアドレスにおいても一致しない可能性はある。この場合、当該制御信号が被制御部16に出力されないので、返信されるべき監視信号が親局13において得られない。サイクルcyc1のデータは比較のために保持される。
この後、本発明により、B系列の第1データ信号線BD+が接続されて、サイクルcyc2が開始されると、子局14はデータの不一致を検出し、正常な当該サイクルデータを保持する。サイクルcyc3では、正常データであるサイクルcyc3と保持したデータとを比較し、サイクルcyc2のデータと一致する。そこで、当該制御信号が被制御部16に出力され、当該被制御部16は当該制御信号に従って所定の処理(動作)を行う。
以上、本発明をその実施の態様に従って説明したが、本発明は、その主旨の範囲内において、種々の変形が可能である。
例えば、図14(A)に示すように、伝送2重化部18の中にエンド応答部21を設けても良い。なお、図14(A)は主として伝送線の構成を示す。図14(A)において、エンド応答部21は、伝送2重化部18の設けられた伝送系列と同じ伝送系列に設けられる。従って、この例では、伝送線が断線したことは検出することができるが、A系列とB系列のいずれの伝送系列が断線したのかは検出することができない。
また、図14(B)に示すように、伝送2重化部18を親局の内部に設けても良い。なお、図14(B)は主として伝送線の構成を示す。図14(B)において、伝送2重化部18と伝送線との関係は、図1の例と同様である。即ち、この例は、伝送2重化部18を、物理的に親局からの伝送線の出口に設けた例である。
更に、例えば、以上の実施の形態においては、電源電圧を含むクロックに1個(1チャネル)の制御信号及び1個の監視信号を重畳したが、2個の制御信号及び1個の監視信号を重畳するようにしてもよい。即ち、多重化(2重化)した制御信号と(多重化しない)監視信号とを共通のデータ信号線に出力し、同時に双方向に伝送するようにしてもよい。また、2個の制御信号及び2個の監視信号を重畳するようにしてもよい。即ち、多重化(2重化)した制御信号と多重化(2重化)した監視信号とを共通のデータ信号線に出力し、同時に双方向に伝送するようにしてもよい。
また、親局13にエラーチェック回路を設けてもよい。エラーチェック回路は、第1データ信号線D+を監視して、線路の状態(短絡など)をチェックする。エラーチェック回路の構成は、例えば特願平1−140826号に示すような構成とすればよい。
更に、図示はしないが、親局13及び子局11における動作を、各々に設けたCPU(中央演算処理装置)において上述の各処理を実行する当該処理プログラムを実行することにより、実現してもよい。
また、親局13は、図1の例のように子局11からの監視信号を、制御部10(の入力ユニット101)に送出することなく、他の子局11へその制御信号として送信する型の親局13であっても良い。この場合の親局13は、いわば複数の子局11間における信号の送受信を中継する局〈中継局)として働く。従って、この場合、制御部10それ自体が省略され、親局13は制御信号を制御部10(の出力ユニット102)から受信することも無い。
本発明は、以上に述べた制御・監視信号伝送システムに限らず、配線を有する電子装置に広く適用することができる。電子装置の配線とは、例えば、コンピュータ等の電子装置の外部及び内部のケーブル、プリント基板等の各種基板上の配線、各種基板間を接続するフィルム状の配線、半導体装置等の電子部品の外部端子(接続端子)、電子部品の半田付け部分、半導体装置のシリコン基板上の配線等である。本発明によれば、このような電子装置の配線についても、断線を検知し、また、断線しても電子装置が動作し続けるようにすることができる。
図15は、電子装置構成図であり、本発明の電子装置の構成を示し、図1に対応する。この電子装置は、図1と図15との対比から判るように、図1の制御・監視信号伝送システムに類似の構成を備える。即ち、この電子装置は、制御部10に相当する信号形成部510と、親局13に相当する信号送信部513と、子局11に相当する信号受信部511と、被制御装置12に相当する信号処理部512と、データ信号線D+及びD−に相当する信号線S+及びS−と、伝送2重化部18に相当する送信2重化部518と、エンド応答部21に相当するエンド応答部521とを備える。エンド応答部521は、信号受信部511に設けられる。信号受信部511及び信号処理部512は、例えば複数設けられても良い。
一方、この例では、信号形成部510及び信号送信部513と、信号受信部511及び信号処理部512とは、1対1に対応する。即ち、信号形成部510は、出力ユニット102に相当する出力ユニット502のみを備え、入力ユニット101に相当する回路を備えない。信号受信部511は、子局出力部14に相当する信号出力部514のみを備え、子局入力部15に相当する回路を備えない。信号処理部512は、被制御部16に相当し、センサ部17に相当する回路を備えない。
信号送信部513は、信号形成部510が形成した種々の信号(デジタル信号)を、信号線S+及びS−を介して、信号受信部511に送信する。信号受信部511は、信号線S+及びS−を介して、信号送信部513から送信された信号を受信し、信号処理部512へ出力する。
信号線S+及びS−は、電子装置の配線であり、信号送信部513と信号受信部511との間を接続する信号線である。信号線S+及びS−は、極性の異なる信号を送信する第1の信号線S+及び第2の信号線S−からなる。信号線S+及びS−上に供給される信号は、パーソナルコンピュータ等の電子装置における通常のデジタル信号である。このデジタル信号の基準周波数は、例えば数GHzのような極めて高い周波数であってよい。当該信号は、実際には、信号線S+上に送出される。信号線S−は、当該信号の基準信号、例えば接地電位(0V)とされる。
第1及び第2の信号線S+及びS−の各々が、信号送信部513に対してループを構成する。信号線S+及びS−は、前記ループを構成することにより、信号送信部513と信号受信部511との間に第1及び第2の送信系列(即ち、A系列及びB系列)を構成する。即ち、第1及び第2の信号線S+及びS−の各々について、冗長配線が設けられる。通常使用される送信系列は第1の送信系列であり、前述のように、冗長配線は第2の送信系列からなる。
送信2重化部518は、第1及び第2の信号線S+及びS−の各々の第2の送信系列(冗長配線)に挿入された第1及び第2のスイッチ手段SW1及びSW2を備える。第1のスイッチ手段SW1は接続トランジスタTd+からなり、第2のスイッチ手段SW2は接続トランジスタTd−からなる。送信2重化部518は、第1及び第2のスイッチ手段SW1及びSW2をオフとすることにより第1及び第2の信号線S+及びS−の各々のループを分離する。この状態で、送信2重化部518は、第1及び第2の信号線S+及びS−の第1及び第2の送信系列の断線を検出する。この検出の結果、送信2重化部518は、第1及び第2の信号線S+及びS−のいずれかの第1の送信系列(A系列)が断線した場合、これに対応する第1及び第2のスイッチ手段SW1及びSW2のいずれかをオンとすることにより、当該対応する第2の送信系列(B系列)により信号受信部511への信号の供給を継続して行う。
この電子装置は、実際には、複数の信号線(複数の第1及び第2の信号線S+及びS−の対)を備える。送信2重化部518は、複数の信号線の中から選択された少なくとも1つの信号線について設けられる。即ち、配線を冗長化すべき重要な配線について、送信2重化部518が設けられる。
エンド応答部521は、エンド応答部21と同様にして、信号送信部513に所定のタイミングでエンド応答を返信する。このために、当該信号を送出する期間の他に、スタート信号S及びエンド信号Eを送出する期間が必要となる。これらの期間は、信号処理部512の動作と言う点からは、冗長期間となる。例えば、1サイクルにおける信号の送出の数を32個の倍数(例えば、1024個等)とすれば、冗長期間の割合を少なくすることができる。なお、アドレスを区別する必要はない。
信号形成部510と信号処理部512は、当該電子装置の本来の回路である。例えば、信号送信部513、送信2重化部518、信号受信部511は、各々、1個の集積回路(IC)として構成される。接続トランジスタTd+及び接続トランジスタTd−は十分に大きなサイズとすれば良い。この例では、エンド応答部521は信号受信部511に含まれるが、別に形成しても良い。また、信号送信部513と送信2重化部518とを1個の集積回路として構成しても良い。
以上の構成により、本発明の電子装置は、その配線についての断線を検知し、また、断線しても動作し続ける。即ち、本発明の電子装置は、図1の制御・監視信号伝送システムにおける動作と同様の動作により、第1の信号線S+のA系列の断線(SA+の断線)、第1の信号線S+のB系列の断線(SB+の断線)、第2の信号線S−のA系列の断線(SA−の断線)、第2の信号線S−のB系列の断線(SB−の断線)を、各々、区別して検出することができ、また、これを表示することができる。また、本発明の電子装置は、図1の制御・監視信号伝送システムにおける動作と同様の動作により、SA+、SB+、SA−及びSB−のいずれの断線があっても、当該断線の以後も、信号の供給を継続することができる。
このように、本発明の電子装置によれば、その信号線S+及びS−の断線を検知して、断線しても電子装置が動作し続けるようにすることができる。これにより、1回の断線で電子装置が停止することを防止することができ、電子装置の稼働時間外に復旧することができる。