次に好ましい実施形態を挙げて本発明を詳細に説明する。
本発明のトナーを重合方法で製造する際に用いられる重合性単量としては、スチレンモノマーと、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体が用いられる。該ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体或いは多官能性重合性単量体を使用することが出来る。
単官能性重合性単量体としては、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンの如きスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートの如きアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートの如きメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルの如きビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンの如きビニルケトンが挙げられる。
多官能性重合性単量体としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングルコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレー卜、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテル等を挙げられる。
本発明においては、スチレンモノマーと、上記した単官能性重合性単量体を単独或いは、2種以上組み合わせて、又は、上記した単官能性重合性単量体と多官能性重合性単量体を組み合わせて使用する。多官能性重合性単量体は架橋剤として使用することも可能である。
上記した重合性単量体の重合の際に用いられる重合開始剤としては、油溶性開始剤及び/又は水溶性開始剤が用いられる。例えば、油溶性開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルの如きアゾ化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、デカノニルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、プロピオニルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイドの如きをパーオキサイド系開始剤が挙げられる。
水溶性開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチロアミジン)塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミノジノプロパン)塩酸塩、アゾビス(イソブチルアミジン)塩酸塩、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルスルホン酸ナトリウム、硫酸第一鉄又は過酸化水素が挙げられる。
本発明においては、重合性単量体の重合度を制御する為に、連鎖移動剤、重合禁止剤等を更に添加し用いることも可能である。
本発明のトナー製造方法として懸濁重合を利用する場合には、用いる分散剤として例えば無機系酸化物として、リン酸三カルシウム,リン酸マグネシウム,リン酸アルミニウム,リン酸亜鉛,炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム,水酸化カルシウム,水酸化マグネシウム,水酸化アルミニウム,メタケイ酸カルシウム,硫酸カルシウム,硫酸バリウム,ベントナイト,シリカ,アルミナ,磁性体,フェライト等が挙げられる。有機化合物としては、ポリビニルアルコール,ゼラチン,メチルセルロース,メチルヒドロキシプロピルセルロース,エチルセルロース,カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩,デンプン等を水相に分散させて使用できる。これら分散剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2〜10.0質量部を使用することが好ましい。
これら分散剤は、市販のものをそのまま用いても良いが、細かい均一な粒度を有する分散粒子を得るために、分散媒中にて高速撹拌下にて該無機化合物を生成させることもできる。例えば、リン酸三カルシウムの場合、高速撹拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合することで懸濁重合法に好ましい分散剤を得ることができる。
また、これら分散剤の微細化の為に、0.001〜0.1質量部の界面活性剤を併用してもよい。具体的には市販のノニオン,アニオン,カチオン型の界面活性剤が利用でき、例えば、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム,テトラデシル硫酸ナトリウム,ペンダデシル硫酸ナトリウム,オクチル硫酸ナトリウム,オレイン酸ナトリウム,ラウリル酸ナトリウム,ステアリン酸カリウム,オレイン酸カルシウム等が挙げられる。
本発明で用いられる着色剤としては、公知のものを使用することができる。
例えば、黒色顔料としては、カーボンブラック、アニリンブラック、非磁性フェライト、マグネタイト等が挙げられる。
黄色顔料としては、黄色酸化鉄、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザーイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ等が挙げられる。
橙色顔料としては、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダンスレンブリリアントオレンジGK等が挙げられる。
赤色顔料としては、ベンガラ、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドC、レーキッドD、ブリリアントカーミン6B、ブリラントカーミン3B、エオキシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ等が挙げられる。
青色顔料としては、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBG等が挙げられる。
紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等が挙げられる。
緑色顔料としては、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等が挙げられる。
白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等が挙げられる。
これらの着色剤は、単独又は混合して、更には固溶体の状態で用いることができる。
本発明で使用する着色剤は、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透明性、トナー中への分散性の点から選択される。該着色剤の添加量は、樹脂100質量部に対して1〜20質量部用いるのが良い。黒色着色剤としては磁性体を用いた場合には、他の着色剤と異なり、樹脂100質量部に対し30〜150質量部で用いるのが良い。
本発明の静電荷像現像用トナーを透光性カラートナーとして用いる場合の着色剤としては、以下に示す様な、シアン着色剤、マゼンタ着色剤及びイエロー着色剤を使用することができる。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66等が特に好適に利用できる。
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254が特に好ましい。
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、168、180等が好適に用いられる。
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。着色剤は、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透明性、トナー中への分散性の点から選択される。該着色剤の添加量は、樹脂又はモノマー100質量部に対し1〜20質量部添加して用いられる。
本発明においては、重合法を用いてトナー粒子を製造する為に、着色剤の持つ重合阻害性や水相移行性に注意を払う必要がある。必要により、重合阻害のない物質による着色剤の表面の疎水化処理を施して表面改質をおこなっても良い。特に、染料やカーボンブラックは、重合阻害性を有しているものが多いので使用の際に注意を要する。
染料を処理する好ましい方法として、予めこれらの染料の存在下に重合性単量体を重合せしめる方法が挙げられる。得られた着色重合体を重合性単量体組成物に添加する。カーボンブラックについては、上記染料と同様の処理の他、カーボンブラックの表面官能基と反応する物質(例えば、オルガノシロキサン等)で処理を行ってもよい。
本発明で使用される重合開始剤として例えば、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド等の過酸化物系重合開始剤が用いられる。該重合開始剤の添加量は、目的とする重合度により変化するが一般的には単量体に対し0.5〜20質量%添加され用いられる。重合開始剤の種類は、重合法により若干異なるが、十時間半減期温度を参考に、単独又は混合し利用される。
重合度を制御するため公知の架橋剤,連鎖移動剤,重合禁止剤等を更に添加し用いることも可能である。
負荷電制御用としては、カルボキシ基を含有する化合物(例えばアルキルサリチル酸金属キレート等)、金属錯塩染料、脂肪酸石鹸、ナフテン酸金属塩等があげられ、特にアルミ、亜鉛またはジルコニアが配位するアルキルサリチル酸は白色結晶の粉末であることからフルカラー用トナーとして好適に使用される。
離型剤(オフセット防止剤)としては、脂肪族系炭化水素、脂肪族金属塩類、高級脂肪酸類、脂肪酸エステル類もしくはその部分ケン化物、シリコーンオイル、各種ワックス等があげられる。中でも、重量平均分子量が1000〜10000程度の脂肪族系炭化水素が好ましい。具体的には、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、パラフィンワックス、炭素原子数4以上のオレフィン単位からなる低分子量のオレフィン重合体等の1種または2種以上の組み合わせが適当である。
離型剤は、結着樹脂100質量部に対して0.1〜15質量部の割合で使用される。本発明のトナーは、懸濁重合法において、モノマーに溶解させて重合させる。このようにして得られるトナーは中心部分に離型剤の層を形成する。
極性基を有する樹脂の添加量は、トナー粒子中の結着樹脂100質量部に対して、好ましくは1〜20質量部、より好ましくは2.5〜15質量部の範囲である。1質量部未満では、トナー粒子の上層としての機能が低下し、20質量部を超えると、トナー粒子に形成される上層が過剰になり、トナーの帯電安定性が低下しやすい。
極性基を有する樹脂の中でも、ポリエステル樹脂又はその誘導体が好ましい。代表的なポリエステル樹脂の組成は以下の通りである。
ポリエステル系樹脂のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、水素化ビスフェノールA、又は下記式(I)で表されるビスフェノール誘導体、又、下記(II)で示されるジオール類等が挙げられる。
(式中、Rはエチレン又はプロピレン基であり、x及びyはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2〜10である。)
本発明のトナーの粒径は、3〜35μmであることが好ましく、5〜25μmであることがより好ましい。本発明のトナーの表面には、表面処理剤(流動化剤)をまぶして、流動性や帯電性を向上させることもできる。表面処理剤としては、無機微粒子やフッ素樹脂粒子等の、従来公知の種々の材料を使用でき、特に、疎水性または親水性のシリカ微粒子を含むシリカ系表面処理剤、例えば超微粒子状無水シリカやコロイダルシリカ等が好適に使用される。
本発明のトナーの製造方法においては、重合性単量体組成物を重合して、着色重合体粒子を生成させた後、洗浄し、得られた着色重合体粒子を含むスラリーを脱水し、得られた湿潤着色重合体粒子を乾燥原料として用いるが、湿潤着色重合体粒子を乾燥原料として用いる場合、このような乾燥前の湿潤着色重合体粒子は、粉体としての流動性の点から含水率40%以下であることが好ましい。また、さらには30%以下がより好ましい。ここでいう「含水率」とは、湿量基準含水率、すなわち、全質量(乾燥トナー質量と水分質量との和)に対する水分質量の比率をいい、105℃における加熱減量法によって求めた値を用いた。
このような含水率を有するトナー粒子は、通常の固液分離手段(例えば、濾過)により容易に得られるが、このような含水率を得るために予備的に乾燥を行っても良い。
本発明においては、このような被乾燥物を熱気流中で粉粒状に分散させ、高速熱気流と並流に送りながら瞬間的に乾燥する装置としては、例えば、図1に示すようなループタイプの乾燥管2を有する気流乾燥機等が挙げられるが、特に制限されるものではない。
図1に示す熱気流乾燥機は、熱風発生器1において所定の温度に加熱した圧縮空気は気流分散部3で超音速で吐出され、スラリーまたは湿潤粒子供給装置6から供給された被乾燥物を、分散し、ループ型の気流乾燥管2中で瞬時(0.5〜10秒)に乾燥される。気流抜き出し口4は、ループ型の気流乾燥管の内側にすることにより、乾燥品と未乾燥品をコアンダ効果により分級し、乾燥品はサイクロン5により気流と分離され、取出し口7より系外に出すことができる。
また、上記乾燥管2から出た粒子中の粗粒を別途分級機で分級して被乾燥物供給装置6に返し、一定の粒度範囲の粒子のみをサイクロン5に供給して所望のトナー粒子を得ることにより分級と乾燥を連続して行うこともできる。尚、気流乾燥機の乾燥管の形式は、上記のループタイプの他、直管式、滞留時間増加のために中胴を拡大したもの、粒子に渦流運動を与えて水平管底部に堆積するのを防ぐ型式など各種の形の乾燥管を用いることができるが、図1に示すようなループタイプの乾燥管を有する気流乾燥機が最も好ましい。
本発明において、熱気流による乾燥は、40〜150℃、好ましくは60〜120℃に加熱した圧縮空気を用いるのが好ましい。加熱温度が40℃より低いと乾燥効率が低下し、150℃より高いとトナーの融着を起こすため好ましくない。
本発明において好ましく用いられるこのような被乾燥物(湿潤粒子)を高速熱気流中で粉粒状に分散させ、熱気流と並流に送りながら瞬間的に乾燥する装置としては、具体的にはフラッシュジェットドライヤー(セイシン企業社製)やフラッシュドライヤー(ホソカワミクロン社製)などがあげられる。
また、本発明において好ましく用いられるこのような被乾燥物(湿潤粒子)を浮遊懸濁させて流動層を形成させて乾燥させる装置としては、流動層乾燥機(大川原製作所社製)や振動流動層乾燥機(中央化工機社製)などが挙げられる。
本発明のトナーの製造方法においては、上記のようにして、熱風を用いた乾燥をして、着色重合体粒子の含水率が0.1%以上1.0%未満の範囲となるようにした後、この一次乾燥が終了した着色重合体粒子にアルキルサリチル酸の金属化合物を添加し、これらを撹拌しながら、未反応の重合性単量体の残存量を200ppm以下になるまで減圧乾燥を行う。
本発明において使用するアルキルサリチル酸の金属化合物は、最終的にトナーの表面を被覆し、転写効率の向上に供するが、その一次粒径は、0.2μm以下と小さく、一次乾燥が終了した着色重合体粒子に対して流動性の付与または、凝集抑制の効果がある。したがって、このようなアルキルサリチル酸の金属化合を着色重合体粒子に添加した後、これらを撹拌しつつ減圧乾燥を行うことにより、減圧式の乾燥機内で、着色重合体粒子は、粒子同士の付着・凝集、さらには粒子と装置との付着を生じることなく循環し、さらに乾燥機の外壁から、均一に効率よく、熱を受けるため、トナー粒子中に残存している未反応の重合性単量体の残存量を200ppm以下にすることができる。また同時に、アルキルサリチル酸の金属化合に含まれる不純物であるアルキルサリチル酸を昇華させ減少させることができる。
更に、上記乾燥終了後、乾燥着色重合体粒子を減圧式乾燥機から取出す際に、流動性が良く、装置内への付着がないため、良好に取出すことができる。
本発明のトナーの製造方法に用いる、実質的に水系分散媒体を除去した後に用いる撹拌機構を備えた減圧式乾燥機は、真空(=減圧)乾燥の状態で着色重合体粒子を乾燥できる装置であれば、特に制限なく用いることが可能である。本発明においては、例えば、図2及び図3に模式側面図を示すような態様の撹拌減圧式乾燥機が好ましく用いられる。以下これらについて説明する。
図2に示した減圧乾燥装置は、逆円錐形状の容器32の上部に配置した駆動装置33に駆動アーム34を介して連結したスクリュー式の撹拌部材35が回転しながら容器32の内周面に沿って旋回するように構成され、容器32内の処理原料を下方から上方に持ち上げながら撹拌と分散を繰り返し付与するもので、容器32内全体にわたって効率よく撹拌混合させることができる。容器32の上部には原料供給口36と排気口37が、下方には製品の取出し口38が取出し用バルブ39を連結させて設けられている。原料供給口36には気密な蓋16が取付けられ、排気口37にはバッグフィルタ10が接続されている。
また、容器32の周囲にはジャケット11が付設されており、ジャケット11には蒸気供給口12と冷却水供給口13および排出口14がもうけられており、蒸気供給口12には図には省略してあるが蒸気発生用ボイラーが接続され、冷却水供給口13には冷却水ポンプ16が接続されている。
また、容器32の蒸気注入口17が容器32の上方と下方位置二か所に設けられており、下方側の供給量を多くして注入時に原料の撹拌効果を得るようにしており、いずれもアキュムレータ18を介して蒸気発生用ボイラー19に接続されている。このアキュムレータ18は容器32内に飽和または過熱蒸気をすばやく送り込むためのものであり、容器32内の原料の加熱を短時間で終了させるためには不可欠のものである。容器32は、真空ポンプ28により排気口37からバッグフィルタ10、コールドトラップ20を介して減圧を行えるようになっている。
バッグフィルタ10内は、仕切り板21によって上下二つの室に区画されており、下方側には筒状のろ布22が吊下げられ、上方側にはコールドトラップ20に接続される排気口23とろ布22の中心上方位置に洗浄用ノズル24が配設され、コンプレッサ25からの高圧空気を間欠的に噴射してろ布22を逆洗浄するようになっている。また、ろ過器26と洗浄用ノズル24との間にはアキュムレータ27を付設している。このアキュムレータ27にはコンプレッサ25側の高圧空気の供給量不足を補い、圧力変動の少ない安定した状態で一定量の高圧空気を洗浄用ノズル24に送り込むと共に、ろ過器26を通過する空気の流量および通過速度をほぼ一定に保たせて、ろ過器26によるろ過効果を安定させるものである。
また、ガス供給は、ガス供給口30から供給され、装置内部下部のトナー粒子のブロッキングを抑制し、かつ効率よく粒子表面から付着水分あるいは残留重合性単量体等を蒸発させるためのキャリアガスとして働く。したがって、ガス供給を行うことが、効率向上の面から好ましい。
バッグフィルタ10から排気される加湿空気はコールドトラップ20に送り込まれて凝縮され、水分等はドレンとして排出され、空気は真空ポンプ28より排気される。また、コールドトラップ20には冷却水を送り込むためのポンプ29が接統される。
上記容器32内に導入するガスの種類は特に制限されるものではなく、窒素等の不活性ガスや空気を用いる。
また、図3における減圧乾燥装置は、逆円錐形状の容器32の上部に配置した駆動装置33に二重螺旋構造をしたリボン翼40が回転するように構成され、容器32内の処理原料を下方から上方に持ち上げながら撹拌と分散を繰り返し付与するもので、容器32全体にわたって効率よく撹拌混合させることができる。その他の部分は図2の減圧乾燥装置と共通であるので説明は省略する。
本発明に好ましく用いられる実質的に水系分散媒体を除去した後に用いる撹拌減圧式乾燥機として、具体的にはナウターミキサー(ホソカワミクロン社製)、リボコーン(大川原製作所社製)、SVミキサー(神鋼パンテック社製)などが挙げられる。
本発明のトナーの製造方法において、上記したような撹拌減圧式乾燥機で乾燥させる際に、着色重合体粒子に添加するアルキルサリチル酸の金属化合物は、低結晶性または非晶性であるアルキルサリチル酸の金属錯塩または金属錯体または金属錯塩と金属錯体の混合物であることが好ましい。
アルキルサリチル酸の金属錯塩または金属錯体が低結晶性または非晶性であると、最終的にトナー表面を均一に被覆することが可能となり、トナー表面を被覆したアルキルサリチル酸の金属錯塩または金属錯体が転写時に起こるトナー電荷のリーク(トナーあるいは感光体と転写材間において発生する放電等によりトナーの帯電量が減少する、あるいは逆極性に帯電してしまう現象)を防ぎ、且つ、感光体とトナーの摩擦によりトナーの帯電量が上がり、転写材との静電的付着力が大きくなるために転写効率が向上すると考えている。アルキルサリチル酸の金属錯塩または金属錯体または金属錯塩と金属錯体の混合物が結晶性物質である場合、結晶であるために硬く、トナーを被覆するのではなく、結晶はトナーに埋め込まれてしまう。また、添加量を増やしても不均一に埋め込まれてしまい、トナー全体を均一に覆うことは出来ない。更に結晶が大きい場合はトナーに埋め込むことも不可能となってしまう。そのため、トナー電荷のリークを防ぐことが出来ず、転写材上に転写したトナーが感光体上に戻ってしまう「再転写」と呼ばれる現象を防ぐことは出来ない。
さらに、本発明のトナーの製造方法において、上記したような撹拌減圧式乾燥機で乾燥させる際に、着色重合体粒子に添加するアルキルサリチル酸の金属化合物は、特に中心金属がアルミニウムまたはジルコニウム化合物であると再転写の防止効果が大きく、且つ転写効率が高い。これはオキシカルボン酸のアルミニウムあるいはジルコニウム化合物であるとトナーの帯電性が向上し、大きな帯電量が得られると共に、トナーの被覆性が良好であるためであると考えている。
また、アルキルサリチル酸の金属化合物の一次粒径が0.2μmより大きい場合には、トナーの流動性を向上させる効果が少なくなるため、0.2μm以下のものが好ましく、一次粒子に解砕処理をしたものがより好ましい。
本発明に用いられるトナーは、高画質化のためより微小な潜像ドットを忠実に現像するために、トナーもより微小粒径の、具体的にはコールターカウンターにより測定された重量平均径が4μm〜8μmで個数変動係数が35%以下のトナーが最も好ましい。重量平均径が4μm未満のトナーにおいては、転写効率の悪さから感光体や中間転写体上に転写残トナーが多く発生し、カブリ,転写不良に基づく画像の不均一ムラの原因となる。また、トナーの重量平均径が8μmを超える場合には、部材への融着が起きやすく、トナーの個数変動係数が35%を超えると更にその傾向が強まり問題となる。
本発明に係るトナーに用いられる低軟化点物質としては、ASTM D3418−8に準拠し測定された主体極大ピーク値が、40〜90℃を示す化合物が好ましい。極大ピークが40℃未満であると低軟化点物質の自己凝集力が弱くなり、結果として耐高温オフセット性が弱くなりフルカラートナーには好ましくない。一方極大ピークが90℃を超えると定着温度が高くなり、定着画像表面を適度に平滑化せしめることが困難となり混色性の点から好ましくない。更に直接重合方法によりトナーを得る場合においては、水系で造粒,重合を行うため極大ピーク値の温度が高いと、主に造粒中に低軟化点物質が析出してきて懸濁系を阻害するため好ましくない。
上記の極大ピーク値の温度の測定には、例えばパーキンエルマー社製DSC−7を用いる。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。サンプルは、アルミニウム製パンを用い対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/分で測定を行う。
具体的にはパラフィンワックス,ポリオレフィンワックス,フィッシャートロピッシュワックス,アミドワックス,高級脂肪酸,エステルワックス及びこれらの誘導体又はこれらのグラフト/ブロック化合物等が利用できる。好ましくは下記一般構造式で示す炭素数が10以上の長鎖エステル部分を1個以上有するエステルワックスが、OHPの透明性を阻害せずに耐高温オフセット性に効果を有するので本発明においては特に好ましい。本発明に好ましい具体的なエステルワックスの代表的化合物の構造式を以下に一般構造式1),一般構造式2)及び一般構造式3)として示す。
(式中、a及びbは0〜4の整数を示し、a+bは4であり、R
1及びR
2は炭素数が1〜40の有機基を示し、且つR
1とR
2との炭素数差が10以上である基を示し、n及びmは0〜15の整数を示し、nとmが同時に0になることはない。)
(式中、a及びbは0〜4の整数を示し、a+bは4であり、R
1は炭素数が1〜40の有機基を示し、n及びmは0〜15の整数を示し、nとmが同時に0になることはない。)
(式中、a及びbは0〜3の整数を示し、a+bは3以下であり、R
1及びR
2は炭素数が1〜40の有機基を示し、且つR
1とR
2との炭素数差が10以上である基を示し、R
3は炭素数が1以上の有機基を示し、n及びmは0〜15の整数を示し、nとmが同時に0になることはない。)
本発明で好ましく用いられるエステルワックスは、硬度0.5〜5.0を有するものが好ましい。エステルワックスの硬度は、直径20mmφで厚さが5mmの円筒形状のサンプルを作製した後、例えば島津製作所製ダイナミック超微小硬度計(DUH−200)を用いビッカース硬度を測定した値である。測定条件は、0.5gの荷重で負荷速度が9.67mm/秒の条件で10μm変位させた後15秒間保持し、得られた打痕形状を測定しビッカース硬度を求める。硬度が0.5未満の低軟化点物質では定着器の圧力依存性及びプロセススピード依存性が大きくなり、耐高温オフセット効果の発現が不十分となりやすく、他方5.0を超える場合ではトナーの保存安定性に乏しく、離型剤自身の自己凝集力も小さいため同様に耐高温オフセットが不十分となりやすい。具体的化合物としては、下記化合物が挙げられる。
近年フルカラー両面画像の必要性も増してきており、両面画像を形成せしめる際においては、最初に表面に形成された転写紙上のトナー像が次に裏面に画像を形成する時にも定着器の加熱部を再度通過する可能性があり、よりトナーの耐高温オフセット性を十分に考慮する必要がある。その為に本発明においては、多量の低軟化点物質の添加が望ましい。具体的には、低軟化点物質をトナー中に5〜40質量%添加することが好ましい。5質量%未満の添加では、十分な耐高温オフセット性を示さず、更に両面画像の定着時において裏面の画像がオフセット現象を示す傾向がある。また40質量%を超える場合は、造粒時にトナー粒子同士の合一が起きやすく、粒度分布の広いものが生成しやすく、本発明には不適当であった。
本発明のトナー粒子を製造する方法としては、特公昭36−10231号公報、特開昭59−53856号公報、特開昭59−61842号公報に述べられている懸濁重合方法を用いて直接トナーを生成する方法を用いトナーを製造することが可能である。
本発明においては、一旦得られた重合粒子に更に単量体を吸着せしめた後、重合開始剤を用い重合せしめる所謂シード重合方法も本発明に好適に利用することができる。
また、本発明において、定着性の観点から多量の低軟化点物質をトナーに含有せしめることを考えると、必然的に低軟化点物質を外殻樹脂中に内包化せしめる必要がある。低軟化点物質を内包化せしめる具体的方法としては、水系媒体中での材料の極性を主要単量体より低軟化点物質の方を小さく設定し、更に少量の極性の大きな樹脂又は単量体を添加せしめることで低軟化点物質を外殻樹脂で被覆した所謂コア−シェル構造を有するトナーを得ることができる。トナーの粒度分布制御や粒径の制御は、難水溶性の無機塩や保護コロイド作用をする分散安定剤の種類や添加量を変える方法や機械的装置条件、例えばローターの周速,パス回数,撹拌羽根形状等の撹拌条件や容器形状又は、水溶液中での固形分濃度等を制御することにより所定の本発明のトナーを得ることができる。
本発明においてトナーの断層面を測定する具体的方法としては、常温硬化性のエポキシ樹脂中にトナーを十分分散させた後、温度40℃の雰囲気中で2日間硬化させ、得られた硬化物を四三酸化ルテニウム、必要により四三酸化オスミウムを併用し染色を施した後、ダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用い薄片状のサンプルを切り出し透過電子顕微鏡(TEM)を用いトナーの断層形態を測定した。本発明においては、用いる低軟化点物質と外殻を構成する樹脂との若干の結晶化度の違いを利用して材料間のコントラストを付けるため、四三酸化ルテニウム染色法を用いることが好ましい。代表的な一例を図4に示す。明らかに低軟化点物質が外殻樹脂で内包化されていることが観測された。
本発明のトナー製造方法においては、以下の如き製造方法によって具体的にトナーを製造することが可能である。
即ち、重合性単量体中に低軟化点物質からなる離型剤,着色剤,荷電制御剤,重合開始剤その他の添加剤を加え、ホモジナイザー,超音波分散機等によって均一に溶解又は分散せしめた単量体系を、分散安定剤を含有する水相中に通常の撹拌機またはクリアミキサー、ホモミキサー、ホモジナイザー等により分散せしめる。好ましくは単量体液滴が所望のトナー粒子のサイズを有するように撹拌速度,時間を調整し、造粒する。その後は分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。重合温度は40℃以上、一般的には50〜90℃の温度に設定して重合を行うのが良い。また、重合反応後半に昇温しても良く、更に、トナー定着時の臭いの原因等となる未反応の重合性単量体、副生成物等を除去するために反応後半、又は、反応終了後に一部水系媒体を留去しても良い。懸濁重合法においては、通常単量体系100質量部に対して水300〜3000質量部を分散媒として使用するのが好ましい。
反応終了後、生成した着色重合体粒子(トナー粒子)を洗浄・濾過により回収し、湿潤状態の着色重合体粒子を、先に説明した本発明の乾燥方法によって乾燥して、アルキルサリチル酸の金属化合物をトナー表面に被覆したトナーを得る。
本発明においては、上記のようにして得られる乾燥したアルキルサリチル酸の金属化合物をトナー表面に被覆したトナー粒子は、更に機械的衝撃力を付与し、トナー粒子へのアルキルサリチル酸の金属化合物の付着状態を調整することが好ましい。即ち、ヘンシェルミキサーの如き乾式混合機により、機械的衝撃力を付与してトナー粒子への外添剤の付着状態を調整することが好ましい。より具体的には、ヘンシェルミキサーの高速回転羽根の周速及び、処理時間を調整して、トナー粒子への外添剤の付着状態を調整する。
またこのとき、必要に応じ、さらに流動性付与剤、帯電性付与剤、研磨剤等の外添剤を加え、同時に処理または、さらに追加して処理することが好ましい。
トナーとキャリアとを混合して二成分系現像剤を調製する場合、その混合比率は現像剤中のトナー濃度として、2質量%〜15質量%、好ましくは4質量%〜13質量%にすると良好な結果が得られる。トナー濃度が2質量%未満の場合には、画像濃度が低くなりやすく、15質量%を超える場合にはカブリや機内飛散を生じやすく、現像剤の耐用寿命も低下しやすい。
本発明によるトナーとキャリアを使用する現像方法としては、例えば図5に示すような現像手段を用い現像を行うことができる。具体的には交番電界を印加しつつ、磁気ブラシが潜像担持体、例えば、感光ドラム501に接触している状態で現像を行うことが好ましい。現像剤担持体(現像スリーブ)511と感光ドラム501の距離(S−D間距離)Bは100〜1000μmであることがキャリア付着防止及びドット再現性の向上において良好である。100μmより狭いと現像剤の供給が不十分になりやすく、画像濃度が低くなり、1000μmを超えると磁極S1からの磁力線が広がり磁気ブラシの密度が低くなり、ドット再現性に劣ったり、磁性コートキャリアを拘束する力が弱まりキャリア付着が生じやすくなる。
交番電界のピーク間の電圧は300〜3000Vが好ましく、周波数は500〜10000Hz、好ましくは1000〜7000Hzであり、それぞれプロセスにより適宜選択して用いることができる。この場合、波形としては三角波、矩形波、正弦波、あるいはDuty比を変えた波形、断続的な交番重畳電界等種々選択して用いることができる。印加電圧が300Vより低いと十分な画像濃度が得られにくく、また非画像部のカブリトナーを良好に回収することができない場合がある。また、5000Vを超える場合には磁気ブラシを介して、潜像を乱してしまい、画質低下を招く場合がある。
良好に帯電したトナーを有する二成分系現像剤を使用することで、カブリ取り電圧(Vback)を低くすることができ、感光体の一次帯電を低めることができるために感光体寿命を長寿命化できる。Vbackは、現像システムにもよるが200V以下、より好ましくは150V以下が良い。
コントラスト電位としては、十分画像濃度が出るように100V〜400Vが好ましく用いられる。
周波数が500Hzより低いと、プロセススピードにも関係するが、静電荷像担持体に接触したトナーが現像スリーブに戻される際に、十分な振動が与えられずカブリが生じやすくなる。10000Hzを超えると、電界に対してトナーが追随できず画質低下を招きやすい。
本発明の現像方法で重要なことは、十分な画像濃度を出し、ドット再現性に優れ、かつキャリア付着のない現像を行うために現像スリーブ511上の磁気ブラシの感光ドラム501との接触幅(現像ニップC)を好ましくは3〜8mmにすることである。現像ニップCが3mmより狭いと十分な画像濃度とドット再現性を良好に満足することが困難であり、8mmより広いと、現像剤のパッキングが起き機械の動作を止めてしまったり、またキャリア付着を十分に抑えることが困難になる。現像ニップの調整方法としては、現像剤規制部材515と現像スリーブ11との距離Aを調整したり、現像スリーブ511と感光ドラム501との距離Bを調整することでニップ幅を適宜調整する。
本発明の画像形成方法は、特に色再現性を重視するようなフルカラー画像の出力において、マゼンタ用、シアン用及びイエロー用の3個以上の現像器が使用され、本発明の現像剤および現像方法を用い、特にデジタル潜像を形成した現像システムと組み合わせることで、磁気ブラシの影響がなく、潜像を乱さないためにドット潜像に対して忠実に現像することが可能となる。転写工程においても微粉カットした粒度分布のシャープなトナーを用いることで高転写率が達成でき、したがって、ハーフトーン部、ベタ部共に高画質を達成できる。
さらに初期の高画質化と併せて、本発明の二成分系現像剤を用いることで現像器内での現像剤にかかるシェアが小さく、多数枚の複写においても画質低下のない本発明の効果が十分に発揮できる。
より引き締まった画像を得るためには、好ましくは、マゼンタ用、シアン用、イエロー用、ブラック用の現像器を有し、ブラックの現像が最後に行われることで引き締まった画像を呈することができる。
添付図面を参照しながら本発明の画像形成方法について説明する。
図5において、マグネットローラ521の有する磁力によって、搬送スリーブ522の表面に磁性粒子523よりなる磁気ブラシを形成し、この磁気ブラシを静電荷像担持体(感光ドラム)501の表面に接触させ、感光ドラム501を帯電する。搬送スリーブ522には、図示されないバイアス印加手段により帯電バイアスが印加されている。帯電された感光ドラム501に、図示されない露光装置によりレーザー光524を照射することにより、デジタルな静電荷像を形成する。感光ドラム501上に形成された静電荷像は、マグネットローラ512を内包しており、図示されないバイアス印加装置によって現像バイアスを印加されている現像スリーブ511に担持された現像剤519中のトナー519aによって、現像される。
現像装置504は、隔壁517により現像剤室R1、撹拌室R2に区画され、それぞれ現像剤搬送スクリュー513、514が設置されている。撹拌室R2の上方には、補給用トナー518を収容したトナー貯蔵室R3が設置され、貯蔵室R3の下部には補給口520が設けられている。
現像剤搬送スクリュー513は回転することによって、現像剤室R1内の現像剤を撹拌しながら現像スリーブ511の長手方向に沿って一方向に搬送する。隔壁517には図の手前側と奥側に図示しない開口が設けられており、スクリュー513によって現像剤室R1の一方に搬送された現像剤は、その一方側の隔壁517の開口を通って撹拌室R2に送り込まれ、現像剤搬送スクリュー514に受け渡される。スクリュー514の回転方向はスクリュー513と逆で、撹拌室R2内の現像剤、現像剤室R1から受け渡された現像剤及びトナー貯蔵室R3から補給されたトナーを撹拌、混合しながら、スクリュー513とは逆方向に撹拌室R2内を搬送し、隔壁517の他方の開口を通って現像剤室R1に送り込む。
感光ドラム1上に形成された静電荷像を現像するには、現像剤室R1内の現像剤519がマグネットローラ512の磁力により汲み上げられ、現像スリーブ511の表面に担持される。現像スリーブ511上に担持された現像剤は、現像スリーブ511の回転にともない規制ブレード515に搬送され、そこで適正な層厚の現像剤薄層に規制された後、現像スリーブ511と感光ドラム501とが対向した現像領域に至る。マグネットローラ512の現像領域に対応した部位には、磁極(現像極)N1が位置されており、現像極N1が現像領域に現像磁界を形成し、この現像磁界により現像剤が穂立ちして、現像領域に現像剤の磁気ブラシが生成される。そして磁気ブラシが感光ドラム501に接触し、反転現像法により、磁気ブラシに付着しているトナーおよび現像スリーブ511の表面に付着しているトナーが、感光ドラム501上の静電荷像の領域に転移して付着し、静電荷像が現像されトナー像が形成される。
現像領域を通過した現像剤は、現像スリーブ511の回転にともない現像装置504内に戻され、磁極S1、S2間の反撥磁界により現像スリーブ511から剥ぎ取られ、現像剤室R1および撹拌室R2内に落下して回収される。
上記の現像により現像装置504内の現像剤519のT/C比(トナーとキャリアの混合比、すなわち現像剤中のトナー濃度)が減ったら、トナー貯蔵室R3からトナー518を現像で消費された量に見あった量で撹拌室R2に補給し、現像剤519のT/Cが所定量に保たれる。その容器504内の現像剤519のT/C比の検知には、コイルのインダクタンスを利用して現像剤の透磁率の変化を測定するトナー濃度検知センサーを使用する。該トナー濃度検知センサーは、図示されないコイルを内部に有している。
現像スリーブ511の下方に配置され、現像スリーブ511上の現像剤519の層厚を規制する規制ブレード515は、アルミニウム又はSUS316の如き非磁性材料で作製される非磁性ブレード515である。その端部と現像スリーブ511面との距離は300〜1000μm、好ましくは400〜900μmである。この距離が300μmより小さいと、磁性キャリアがこの間に詰まり現像剤層にムラを生じやすいと共に、良好な現像を行うのに必要な現像剤を塗布しにくく、濃度の薄いムラの多い現像画像が形成されやすい。現像剤中に混在している不用粒子による不均一塗布(いわゆるブレードづまり)を防止するためにはこの距離は400μm以上が好ましい。1000μmより大きいと現像スリーブ511上へ塗布される現像剤量が増加し所定の現像剤層厚の規制が行いにくく、感光ドラム501への磁性キャリア粒子の付着が多くなると共に現像剤の循環、規制ブレード515による現像規制が弱まりトナーのトリボが低下しカブリやすくなる。
この磁性キャリア粒子層は、現像スリーブ511が矢印方向に回転駆動されても磁気力,重力に基づく拘束力と現像スリーブ511の移動方向への搬送力との釣合いによってスリーブ表面から離れるに従って動きが遅くなる。重力の影響により落下するものもある。
従って磁極NとNの配設位置と磁性キャリア粒子の流動性及び磁気特性を適宜選択することにより、磁性キャリア粒子層はスリーブに近いほど磁極N1方向に搬送し移動層を形成する。この磁性キャリア粒子の移動により、現像スリーブ511の回転に伴って現像領域へ現像剤は搬送され現像に供される。
また、現像されたトナー画像は、搬送されてくる転写材(記録材)525上へ、バイアス印加手段526により転写バイアス印加されている転写手段である転写ブレード527により転写され、転写材上に転写されたトナー画像は、図示されていない定着装置により転写材に定着される。転写工程において、転写材に転写されずに感光ドラム501上に残った転写残トナーは、帯電工程において、帯電を調整され、現像時に回収される。
図6は、本発明の画像形成方法をフルカラー画像形成装置に適用した概略図を示す。
フルカラー画像形成装置本体には、第1画像形成ユニットPa、第2画像形成ユニットPb、第3画像形成ユニットPc及び第4画像形成ユニットPdが併設され、各々異なった色の画像が潜像形成、現像、転写のプロセスを経て転写材上に形成される。
画像形成装置に併設される各画像形成ユニットの構成について第1の画像形成ユニットPaを例に挙げて説明する。
第1の画像形成ユニットPaは、静電荷像担持体としての直径30mmの電子写真感光体ドラム761aを具備し、この感光体ドラム761aは矢印a方向へ回転移動される。762aは帯電手段としての一次帯電器であり、直径16mmのスリーブの表面に形成された磁気ブラシが感光ドラム761aの表面に接触するように配置されている。767aは、一次帯電器762aにより表面が均一に帯電されている感光体ドラム761aに静電荷像を形成するためのレーザー光であり、図示されていない露光装置により照射される。763aは、感光体ドラム761a上に担持されている静電荷像を現像してカラートナー画像を形成するための現像手段としての現像装置でありカラートナーを保持している。764aは感光体ドラム761aの表面に形成されたカラートナー画像をベルト状の転写材担持体768によって搬送されて来る転写材(記録材)の表面に転写するための転写手段としての転写ブレードであり、この転写ブレード764aは、転写材担持体768の裏面に当接して転写バイアスを印加し得るものである。
第1の画像形成ユニットPaは、一次帯電器762aによって感光体ドラム761aを均一に一次帯電した後、露光装置767aにより感光体に静電荷像を形成し、現像装置763aで静電荷像をカラートナーを用いて現像し、この現像されたトナー画像を第1の転写部(感光体と転写材の当接位置)で転写材を担持搬送するベルト状の転写材担持体768の裏面側に当接する転写ブレード764aから転写バイアスを印加することによって転写材の表面に転写する。
現像によりトナーが消費され、T/C比が低下すると、その低下をコイルのインダクタンスを利用して現像剤の透磁率の変化を測定するトナー濃度検知センサー785で検知し、消費されたトナー量に応じて補給用トナー765を補給する。なお、トナー濃度検知センサー785は図示されないコイルを内部に有している。
本画像形成装置は、第1の画像形成ユニットPaと同様の構成で、現像装置に保有されるカラートナーの色の異なる第2の画像形成ユニットPb、第3の画像形成ユニットPc、第4の画像形成ユニットPdの4つの画像形成ユニットを併設するものである。例えば、第1の画像形成ユニットPaにイエロートナー、第2の画像形成ユニットPbにマゼンタトナー、第3の画像形成ユニットPcにシアントナー、及び第4の画像形成ユニットPdにブラックトナーをそれぞれ用い、各画像形成ユニットの転写部で各カラートナーの転写材上への転写が順次行なわれる。この工程で、レジストレーションを合わせつつ、同一転写材上に一回の転写材の移動で各カラートナーは重ね合わせられ、終了すると分離帯電器769によって転写材担持体768上から転写材が分離され、搬送ベルトの如き搬送手段によって定着器770に送られ、ただ一回の定着によって最終のフルカラー画像が得られる。
定着器770は、一対の直径40mmの定着ローラ771と直径30mmの加圧ローラ772を有し、定着ローラ771は、内部に加熱手段775及び776を有している。
転写材上に転写された未定着のカラートナー画像は、この定着器770の定着ローラ771と加圧ローラ772との圧接部を通過することにより、熱及び圧力の作用により転写材上に定着される。
図6において、転写材担持体768は、無端のベルト状部材であり、このベルト状部材は、780の駆動ローラによって矢印e方向に移動するものである。779は、転写ベルトクリーニング装置であり、781はベルト従動ローラであり、782は、ベルト除電器である。783は転写材ホルダー内の転写材を転写材担持体768に搬送するための一対のレジストローラである。
転写手段としては、転写材担持体の裏面側に当接する転写ブレードに代えてローラ状の転写ローラの如き転写材担持体の裏面側に当接して転写バイアスを直接印加可能な接触転写手段を用いることが可能である。
さらに、上記の接触転写手段に代えて一般的に用いられている転写材担持体の裏面側に非接触で配置されているコロナ帯電器から転写バイアスを印加して転写を行う非接触の転写手段を用いることも可能である。
しかしながら、転写バイアス印加時のオゾンの発生量を制御できる点で接触転写手段を用いることが、より好ましい。
本発明の画像形成方法においては、潜像担持体に形成された静電荷像を現像したトナー像を中間転写体を介して記録材に転写することも可能である。
すなわち、この画像形成方法は、静電荷像担持体に形成された静電荷像を現像することによって形成したトナー像を中間転写体に転写する工程及び中間転写体に転写されたトナー像を記録材に転写する工程を有するものである。
図7を参照しながら、中間転写体を用いた画像形成方法の一例を具体的に説明する。
図7に示す装置システムにおいて、シアン現像器854−1、マゼンタ現像器854−2、イエロー現像器854−3、ブラック現像器854−4に、それぞれシアントナーを有するシアン現像剤、マゼンタトナーを有するマゼンタ現像剤、イエロートナーを有するイエロー現像剤及びブラックトナーを有するブラック現像剤が導入されている。レーザー光の如き潜像形成手段853によって潜像保持体としての感光体851上に静電潜像が形成される。磁気ブラシ現像方式、非磁性一成分現像方式又は磁性ジャンピング現像方式の如き現像方式によって、感光体851に形成された静電荷像をこれらの現像剤によって現像し、各色トナー像が感光体851に形成される。感光体851は導電性基体851b及び導電性基体851b上に形成されたアモルファスセレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛、有機光導電体、アモルファスシリコンの如き光導電絶縁物質層851aを持つ感光ドラムもしくは感光ベルトである。感光体851は図示しない駆動装置によって矢印方向に回転する。感光体851としては、アモルファスシリコン感光層又は有機系感光層を有する感光体が好ましく用いられる。
有機感光層としては、感光層が電荷発生物質及び電荷輸送性能を有する物質を同一層に含有する単一層型でもよく、又は、電荷輸送層を電荷発生層を成分とする機能分離型感光層であっても良い。導電性基体上に電荷発生層、次いで電荷輸送層の順で積層されている構造の積層型感光層は好ましい例の一つである。
有機感光層の結着樹脂はポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂がクリーニング性が良く、クリーニング不良、感光体へのトナーの融着、外添剤のフィルミングが起こりにくい。
帯電工程では、コロナ帯電器を用いる感光体851とは非接触タイプの方式と、ローラの如き接触帯電部材を用いる接触タイプの方式があり、いずれのものも用いられる。効率的な均一帯電、シンプル化、低オゾン発生化のために図7に示す如く接触方式のものが好ましく用いられる。
一次帯電部材としての帯電ローラ852は、中心の芯金852bとその外周を形成した導電性弾性層852aとを基本構成とするものである。帯電ローラ852は、感光体851面に押圧力をもって圧接され、感光体851の回転に伴い従動回転する。
帯電ローラを用いた時の好ましいプロセス条件としては、ローラの当接圧が5〜500g/cmで、直流電圧に交流電圧を重畳したものを用いたときには、交流電圧=0.5〜5kVpp、交流周波数=50Hz〜5kHz、直流電圧=±0.2〜±5kVである。
この他の接触帯電部材としては、帯電ブレードを用いる方法や、導電性ブラシを用いる方法がある。これらの接触帯電部材は、高電圧が不必要になったり、オゾンの発生が低減するといった効果がある。
接触帯電部材としての帯電ローラ及び帯電ブレードの材質としては、導電性ゴムが好ましく、その表面に離型性被膜を設けても良い。離型性被膜としては、ナイロン系樹脂、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)、フッ素アクリル樹脂が適用可能である。
感光体上のトナー像は、電圧(例えば、±0.1〜±5kV)が印加されている中間転写体855に転写される。中間転写体855は、パイプ状の導電性芯金855bと、その外周面に形成した中抵抗の弾性体層855aからなる。芯金855bは、プラスチックの表面に導電層(例えば導電性メッキ)を設けたものでも良い。
中抵抗の弾性体層855aは、シリコーンゴム、フッ素樹脂ゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、EPDM(エチレンプロピレンジエンの3元共重合体)などの弾性材料に、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化スズ、炭化ケイ素の如き導電性付与材を配合分散して電気抵抗値(体積抵抗率)を105〜1011Ω・cmの中抵抗に調整した、ソリッドあるいは発泡肉質の層である。
中間転写体855は、感光体851に対して並行に軸受けさせて感光体851の下面部に接触させて配設してあり、感光体851と同じ周速度で矢印の反時計方向に回転する。
感光体851の面に形成担持された第1色のトナー像が、感光体851と中間転写体855とが接する転写ニップ部を通過する過程で中間転写体855に対する印加転写バイアスで転写ニップ域に形成された電界によって、中間転写体855の外面に対して順次に中間転写されていく。
中間転写体855に転写されなかった感光体851上の転写残トナーは、感光体用クリーニング部材858によってクリーニングされ感光体用クリーニング容器859に回収される。
中間転写体855に対して並行に軸受けさせて中間転写体855の下面部に接触させて転写手段が配設され、転写手段857は例えば転写ローラ又は転写ベルトであり、中間転写体855と同じ周速度で矢印の時計方向に回転する。転写手段857は直接中間転写体855と接触するように配設されていても良く、またベルト等が中間転写体855と転写手段857との間に接触するように配置されても良い。
転写ローラの場合、中心の芯金857bとその外周を形成した導電性弾性層857aとを基本構成とするものである。
中間転写体及び転写ローラとしては、一般的な材料を用いることが可能である。中間転写体の弾性層の体積固有抵抗値よりも転写ローラの弾性層の体積固有抵抗値をより小さく設定することで転写ローラへの印加電圧が軽減でき、転写材上に良好なトナー像を形成できると共に転写材の中間転写体への巻き付きを防止することができる。特に中間転写体の弾性層の体積固有抵抗値が転写ローラの弾性層の体積固有抵抗値より10倍以上であることが特に好ましい。
中間転写体及び転写ローラの硬度は、JIS K−6301に準拠し測定される。本発明に用いられる中間転写体は、10〜40度の範囲に属する弾性層から構成されることが好ましく、一方、転写ローラの弾性層の硬度は、中間転写体の弾性層の硬度より硬く41〜80度の値を有するものが中間転写体への転写材の巻き付きを防止する上で好ましい。中間転写体と転写ローラの硬度が逆になると、転写ローラ側に凹部が形成され、中間転写体への転写材の巻き付きが発生しやすい。
転写手段857は中間転写体855と等速度或は周速度に差をつけて回転させる。転写材856は中間転写体855と転写手段857との間に搬送されると同時に、転写手段857にトナーが有する摩擦電荷と逆極性のバイアスを転写バイアス手段から印加することによって中間転写体855上のトナー像が転写材856の表面側に転写される。
転写材856に転写されなかった中間転写体上の転写残トナーは、中間転写体用クリーニング部材860によってクリーニングされ中間転写体用クリーニング容器862に回収される。転写材856に転写されたトナー像は、加熱定着装置861により転写材856に定着される。
転写ローラの材質しては、帯電ローラと同様のものを用いることができ、好ましい転写プロセス条件としては、ローラの当接圧が2.94〜490N/m(3〜500g/cm)(より好ましくは19.6〜294N/m)で、直流電圧=±0.2〜±10kVである。
当接圧力としての線圧が2.94N/m未満であると、転写材の搬送ずれや転写不良の発生が起こりやすくなるため好ましくない。
例えば転写ローラ857の導電性弾性層857bはポリウレタンゴム、EPDM(エチレンプロピレンジエン三元重合体)の如き弾性材料に、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化スズ、炭化硅素の如き導電性付与剤を配合分散して電気抵抗値(体積抵抗率)を106〜1010Ω・cmの中抵抗に調整した、ソリッドあるいは発泡肉質の層である。
以下に、本発明で用いた各種の測定方法を列挙する。
<トナーの粒度分布の測定>
また、トナーの粒度分布は種々の方法によって測定できるが、本発明においてはコールターカウンターを用いて行った。
測定装置としてはコールターカウンターTA−II型(コールター社製)を用い、個数平均分布、体積平均分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びCX−1パーソナルコンピューター(キヤノン製)を接続して電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。
測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜5ml加え、さらに測定試料を2〜20mg加える。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記コールターカウンターTA−II型により、アパチャーとして100μmアパチャーを用いて、個数を基準として2〜40μmの粒子の粒度分布を測定して、それから各種値を求める。
<トナー粒子中に残存する重合性単量体の残存量の測定>
トナー粒子中に残存する重合性単量体及び有機溶媒の残存量の定量は、トナー0.2gをTHF4mlに溶解したものを用い、それぞれガスクロマトグラフィーにて以下の条件で内部標準法により測定した。
G.C.条件
測定装置:島津GC−15A(キャピラリー付き)
キャリア:N2、2kg/cm2 50ml/分
split比1:60、線速度30mm/sec
カラム:ULBON HR−1 50m×0.25mm
試料量:2μl
標示物質:トルエン
<トナーの摩擦帯電量の測定>
トナー1.6gと磁性キャリア18.4gを50ccのポリエチレン製の容器に入れ、各環境下に開放状態で一日放置する。高温高湿環境下では、試料が結露しないように、放置後に密封し2時間さらに放置した後に装置する。ターブラミキサーで60秒混合し、この混合粉体(現像剤)を底部に625メッシュの導電性スクリーンを装着した金属製の容器に入れ、吸引機で吸引し、吸引前後の重量差と容器に接続されたコンデンサーに蓄積された電位から摩擦帯電量を求める。この際、吸引圧を250mmHgとする。この方法によって、摩擦帯電量を下記式を用いて算出する。
Q(mC/kg)=(C×V)×(W1−W2)-1
(式中、W1は吸引前の重量であり、W2は吸引後の重量であり、Cはコンデンサーの容量、及びVはコンデンサーに蓄積された電位である。)
また、耐久時の現像剤のトナーの摩擦帯電量は、現像スリーブ上の現像剤を1gサンプリングし、混合撹拌することなく上記測定装置を使用して測定を行った。
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
<実施例1>
まず、イオン交換水710質量部に0.1モル/リツトル−Na3PO4水溶液450質量部を投入し60℃に加温した後、クリアミキサー(エム・テクニック社製)を用いて3,500回転/分にて撹拌した。これに1.0モル/リットル−CaCl2水溶液68質量部を添加し、Ca3(PO4)2を含む水系媒体を得た。
一方、分散質としては、まず、下記処方のうち、C.I.ピグメントレッド122、ジアルキルサリチル酸アルミニウム化合物とスチレン単量体100質量部をアトライター(三井三池化工機製)を用い3時間分散し、着色剤分散液を得た。次に、着色剤分散液に下記処方の残りすべてを添加し、60℃に加温し30分間溶解混合した。これに、重合開始剤である2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)8質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
・スチレン単量体 165質量部
・n−ブチルアクリレート 35質量部
・C.I.ピグメントレッド122 15質量部
・飽和ポリエステル 15質量部
・ジアルキルサリチル酸アルミニウム化合物 2質量部
・化合物(1) 25質量部
(DSCにおけるピーク温度59.4℃,ビッカース硬度1.5)
上記重合性単量体組成物を前記水系分散媒中に投入し、回転数を維持しつつ15分間造粒した。その後、高速撹拌機からプロペラ撹拌羽根に撹拌機を変え、内温を60℃に昇温させ50回転/分で重合を5時間継続させた後、内温を80℃に昇温させ8時間重合を継続させた。重合終了後、スラリーを冷却し、希塩酸を添加し、Ca3(PO4)2を溶解させた後、濾過、水洗を行い、含水率20%の湿潤着色重合体粒子を得た。
得られた湿潤着色重合体粒子を解砕後、連続瞬間気流乾燥機(フラッシュドライヤーFJD−4:セイシン企業社製)を用いて乾燥を行った。乾燥条件として、90℃の空気を線速度16.5m/秒で吹き込み、湿潤着色重合体粒子を20kg/hrで連続的に供給した。このような一次の乾燥が終了した後の着色重合体粒子の含水率を測定したところ、0.1%であった。また、この時点で着色重合体粒子に残留している重合性単量体の量、すなわち、着色重合体粒子の含有量は、620ppmであった。着色重合体粒子の凝集によるダマの発生はなく、目開き149μmの篩いの通過率は96%であった。ここでいう通過率とは以下の式によって求めた値である。
次に、取り出した一次乾燥着色重合体粒子30kgと非晶性のジアルキルサリチル酸のアルミニウム錯体45gを、容量100リットルのナウター型の減圧乾燥機(NXV−1型:ホソカワミクロン社製)に投入し、撹拌しながら減圧乾燥を行った。乾燥条件として、ジャケット加熱温度50℃、真空度2〜5kPa、下部より窒素ガスを5.0Nリットル/minで供給し3時間乾燥を行った。乾燥終了後、取出口からの乾燥着色重合体粒子の排出は良好で、全量を容易に取出すことができた。また、乾燥機内の壁面、撹拌翼に付着はほとんどなかった。取出した着色重合体粒子に残留している重合性単量体の含有量は、25ppmであった。また、目開き149μmの篩いの通過率は96%であった。
この着色重合体粒子(トナー粒子)の表面は、アルキルサリチル酸の金属化合物によって被覆されていた。
また、着色重合体粒子の重量平均粒径は6.5μmであった。その着色重合体粒子について、透過型電子顕微鏡を用いた着色重合体粒子の断層写真の模式図を図4に示したが、低軟化点物質である化合物(1)が外殻樹脂で覆われた構造を示していた。
次に、得られた着色重合体粒子をヘンシェルミキサー(三井三池化工機製)にて5分間撹拌した後、この得られた着色重合体粒子100質量部に対し、平均粒径0.005μmの疎水性シリカ1.5質量部を添加してさらにヘンシェルミキサーで混合し、本実施例のトナーとした。
このトナーを用いて、中間転写体を備えたキヤノン製カラーレーザージェットプリンターカラーレーザージョット−2030改造機を用いて23℃/65%RHの環境下で画出し試験を行ったところ、5,000枚耐久においても、初期と耐久後の画像濃度に変化がなく、中抜けのない高画質の画像が得られた。また、下記の方法により求めた転写効率は、98%であった。
[転写効率]
10cm2のベタ画像を感光体上に形成し、感光体上のトナーの量(W1)と、転写後の紙上のトナーの量(W2)を用い、両者の比:W2/W1×100(%)より算出した。
また、有機半導体である感光体に、トナー融着、メモリーゴーストのような問題を生じなかった。また、OHPシートヘの画像形成を行ったところ、透明性の良好な画像が得られた。
また、30℃/80%RHの環境下で同様な画出し試験を行ったところ、同様な結果が得られた。さらに、30℃/80%RHの環境下で途中7日間放置した後、同様な画出し試験を行ったところ、画像濃度の変化もなく中抜けのない高画質の画像が得られた。
<実施例2>
実施例1で得た連続瞬間気流乾燥機で乾燥した一次乾燥して得られた着色重合体粒子20kgと非晶性のジアルキルサリチル酸のアルミニウム錯体30gを、容量50リットルのリボコーン減圧乾燥機(RD−50型:大川原製作所社製)に投入し、撹拌しながら、ジャケット加熱温度50℃、真空度0.7〜2kPaで減圧乾燥を2時間行った。乾燥終了後、取出口からの着色重合体粒子の排出は良好で、全量を容易に取出すことができた。また、乾燥機内の壁面、撹拌翼に付着はほとんどなかった。取出したトナー粒子に残留している重合性単量体の含有量は、38ppmであった。また、目開き149μmの篩いの通過率は95%であった。この着色重合体粒子(トナー粒子)の表面は、アルキルサリチル酸の金属化合物によって被覆されていた。
得られた着色重合体粒子をヘンシェルミキサーにて5分間撹拌した後、この得られた着色重合体粒子100質量部に対し、平均粒径0.005μmの疎水性シリカ1.5質量部を添加してさらにヘンシェルミキサーで混合しトナーとした。
さらに、このトナーを用いて、実施例1と同様の画出し評価を行ったところ、実施例1と同様に良好な画像が得られた。尚、23℃/65%RHの環境下での転写効率は、97%であった。
<比較例1>
実施例1で得た連続瞬間気流乾燥機で乾燥した一次乾燥着色重合体粒子30kgを、非晶性のジアルキルサリチル酸のアルミニウム錯体を添加せず実施例1と同じ減圧乾燥機(NXV−1型)を用い、ジャケット加熱温度50℃、真空度2〜5kPaで3時間撹拌しながら減圧乾燥を行った。この時の着色重合体粒子に残留している重合性単量体の含有量は、230ppmであった。更に、2時間同様に撹拌しながら減圧乾燥を行った。乾燥終了後、取出口からの乾燥着色重合体粒字の排出を行ったところ、乾燥機内の壁面、撹拌翼に付着があり、約3kgが、乾燥機内に残り、払い出し作業が必要であった。取出した着色重合体粒子に残留している重合性単量体の含有量は、40ppmであった。また、目開き149μmの篩いの通過率は94%であった。
最初に取出された着色重合体粒子100質量部に対し、非晶性のジアルキルサリチル酸のアルミニウム錯体0.1質量部を添加してヘンシェルミキサーで5分間撹拌した後、平均粒径0.005μmの疎水性シリカ1.5質量部を添加してさらにヘンシェルミキサーで混合しトナーとした。
さらに実施例1と同様の画出し評価を行ったところ、実施例1と同様に良好な画像が得られた。転写効率は、96%であった。しかし、30℃/80%RHの環境下で途中7日間放置した後、同様な画出し試験を行ったところ、7日間放置した直後に、画像濃度の一時的上昇がみられた。
また、減圧乾燥終了後、乾燥機内に付着し残った着色重合体粒子のみを、同様にトナーとして、同様の画出し評価を行ったところ、30℃/80%RHの環境下で画像濃度の低下がみられた。
<比較例2>
比較例1で最初に取出された着色重合体粒子100質量部に対し、非晶性のジアルキルサリチル酸のアルミニウム錯体を添加せず、平均粒径0.005μmの疎水性シリカ1.5質量部を添加してヘンシェルミキサーで混合しトナーとした。
さらに実施例1と同様の画出し評価を行ったところ、画像濃度が低く、中抜けした画像となった。尚、転写効率は65%と低い値であった。
<比較例3>
実施例1で得られた連続瞬間気流乾燥機で乾燥した一次乾燥着色重合体粒子(含水率0.1%、着色重合体粒子に残留している重合性単量体の量620ppm)を、減圧乾燥せずに、比較例1と同様に着色重合体粒子100質量部に対し、非晶性のジアルキルサリチル酸のアルミニウム錯体0.1質量部を添加してヘンシェルミキサーで5分間撹拌した後、平均粒径0.005μmの疎水性シリカ1.5質量部を添加してさらにヘンシェルミキサーで混合しトナーとした。
さらに実施例1と同様の画出し試験を行ったところ、500枚程度から転写不良によるベタ部白抜けが発生し、2,000枚程度から画像濃度の低下がみられ、さらに、30℃/80%RHの環境下1,500枚程度で感光体へのトナー融着による画像欠陥が発生した。
<比較例4>
実施例1で得た含水率20%の湿潤着色重合体粒子約30kgを解砕後、容量100リットルのナウター型の減圧乾燥機(NXV−1型)を用いて撹拌しながら減圧乾燥を行った。乾燥条件として、ジャケット加熱温度50℃、真空度2〜5kPaで6時間乾燥を行った。この時点でトナー粒子の含水率を測定したところ0.3%であり、着色重合体粒子のに残留している重合性単量体の含有量は、340ppmであった。また、目開き149μmの篩いの通過率は77%であった。また、乾燥着色重合体粒子排出後、乾燥機内には、約4kgの付着があり、その一部は、撹拌翼及び装置壁面に融着を起こしていた。
得られた着色重合体粒子を解砕し、以下比較例1と同様の操作を行いトナーとした。
さらに実施例1と同様の画出し試験の結果、1,000枚程度で転写不良によるベタ部白抜けが発生し、4,000枚程度から画像濃度の低下がみられ、さらに、30℃/80%RHの環境下3,000枚程度で感光体へのトナー融着による画像欠陥が発生した。
<実施例3>
まず、実施例1と同じ水系分散媒を用意した。
一方、分散質系とし下、下記処方のうち、グラフト化カーボンブラック、結晶性ジアルキルサリチル酸の亜鉛錯塩とスチレン単量体100質量部をアトライターを用い3時間分散し、着色剤分散液を得た。次に、着色剤分散液に下記処方の残りすべてを添加し、60℃に加温し30分間溶解混合した。これに、重合開始剤である2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
・スチレン単量体 170質量部
・2−エチルヘキシルアクリレート 30質量部
・グラフト化カーボンブラック 20質量部
・飽和ポリエステル20質量部
・結晶性ジアルキルサリチル酸の亜鉛錯塩 3質量部
・化合物(1) 30質量部
上記で得た重合性単量体組成物を、前記水系分散媒中に投入し、回転数を維持しつつ12分問造粒した。その後、高速撹拌機からプロペラ撹拌羽根に撹拌機を変え、内温を60℃に昇温させ50回転/分で重合を6時間継続させた後、内温を80℃に昇温させ8時間重合を継続させた。重合終了後、スラリーを冷却し、希塩酸を添加し、Ca3(PO4)2を溶解させた後、濾過、水洗を行い、含水率18%の湿潤着色重合体粒子を得た。
次に、得た含水率18%の湿潤着色重合体粒子を解砕後、実施例1と同様に、連続瞬間気流乾燥機(フラッシュドライヤーFJD−4)を用いて乾燥を行った。乾燥条件として、90℃の空気を線速度16.5m/秒で吹き込み、湿潤着色重合体粒子を35kg/hrで連続的に供給した。含水率を測定したところ、0.1%であった。また、この時点で着色重合体粒子に残留している重合性単量体の量、すなわち、着色重合体粒子の含有量は、600ppmであった。着色重合体凝集によるダマの発生もなく、目開き149μmの篩いの通過率は96%であった。
次に、取り出した一次乾燥着色重合体粒子30kgと非晶性のジアルキルサリチル酸のジルコニウム錯体3gを、容量100リットルのナウター型の減圧乾燥機(NXV−1型:ホソカワミクロン社製)に投入し、撹拌しながら減圧乾燥を行った。乾燥条件として、ジャケット加熱温度50℃、真空度2〜5kPa、下部より窒素ガスを5.0Nリットル/minで供給し3時間乾燥を行った。乾燥終了後、取出口からの乾燥着色重合体粒子の排出はほぼ良好で、全量を容易に取出すことができた。また、乾燥機内の壁面、撹拌翼に付着は微少であった。取出した着色重合体粒子に残留している重合性単量体の含有量は、45ppmであった。また、目開き149μmの篩いの通過率は93%であった。また、着色重合体粒子の重量平均粒径は7.3μmであった。その着色重合体粒子の断層写真の模式図を図4に示す。低軟化点物質である化合物(1)が外殻樹虚で覆われた構造を示していた。この着色重合体粒子(トナー粒子)の表面は、アルキルサリチル酸の金属化合物によって被覆されていた。
得られた着色重合体粒子をヘンシェルミキサーにて5分間撹拌した後、この得られた着色重合体粒子100質量部に対し、平均粒径0.005μmの疎水性シリカ0.8質量部を添加してさらにヘンシェルミキサーで混合しトナーとした。
さらに、このトナーを用いて、実施例1と同様の画出し評価を行ったところ、実施例1と同様に良好な画像が得られた。尚、23℃/65%RHの環境下での転写効率は、95%であった。
<比較例5>
実施例3で得た連続瞬間気流乾燥機で乾燥した一次乾燥着色重合体粒子30kgを、非晶性のジアルキルサリチル酸のジルコニウム錯体を添加せず、実施例3と同じ減圧乾燥機(RD−50型)を用い、ジャケット加熱温度50℃、真空度0.7〜2kPa、で減圧乾燥を4時間行った。乾燥終了後、取出口からの乾燥トナー粒子の排出を行ったところ、乾燥機内の壁面、撹拌翼に付着があり、約3kgが、乾燥機内に残り、払い出し作業が必要であった。取出したトナー粒子に残留している重合性単量体の含有量は、80ppmであった。また、目開き149μmの篩いの通過率は87%であった。
最初に取出された着色重合体粒子100質量部に対し、非晶牲のジアルキルサリチル酸のジルコニウム錯体0.01質量部を添加してヘンシェルミキサーで5分間撹拌した後、平均粒径0.005μmの疎水性シリカ0.8質量部を添加してさらにヘンシェルミキサーで混合しトナーとした。
さらに実施例1と同様の画出し評価を行ったところ、実施例1と同様に良好な画像が得られた。転写効率は、94%であった。しかし、30℃/80%RHの環境下で途中7日間放置した後、同様な画出し試験を行ったところ、7日間放置した直後に、画像濃度の一時的上昇がみられた。
<実施例4>
まず、実施例1と同じ水系分散媒を用意した。
一方、分散質系として、下記処方のうち、グラフト化カーボンブラック、結晶性ジアルキルサリチル酸の亜鉛錯塩とスチレン単量体100質量部をアトライターを用い3時間分散し、着色剤分散液を得た。次に、着色剤分散液に下記処方の残りすべてを添加し、60℃に加温し30分間溶解混合した。これに、重合開始剤である2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
・スチレン単量体 170質量部
・2−エチルヘキシルアクリレート 30質量部
・グラフト化カーボンブラック 20質量部
・飽和ポリエステル 20質量部
・非結晶性のジアルキルサリチル酸のアルミニウム錯体 0.5質量部
・化合物(1) 30質量部
上記で得た重合性単量体組成物を、前記水系分散媒中に投入し、回転数を維持しつつ15分間造粒した。その後、高速撹拌機からプロペラ撹拌羽根に撹拌機を変え、内温を60℃に昇温させ50回転/分で重合を6時間継続させた後、内温を80℃に昇温させ6時間重合を継続させた。重合終了後、スラリーを冷却し、希塩酸を添加し、Ca3(PO4)2を溶解させた後、濾過、水洗を行い、含水率22%の湿潤着色重合体粒子を得た。
次に、含水率22%の湿潤着色重合体粒子約40kgを解砕後、流動層乾燥機(FBS−5型:大川原製作所社製)を用いて乾燥を行った。乾燥条件として、50℃の空気を線速度0.4m/秒で吹き込み、2時間後に着色重合体粒子を取り出し含水率を測定したところ、0.3%であった。また、この時点で着色重合体粒子に残留している重合性単量体含有量は、750ppmであったが、トナー凝集によるダマの発生はなく、目開き149μmの筋いの通過率は96%であった。
次に、取り出した一次乾燥着色重合体粒子30kgと非晶性のジアルキルサリチル酸のアルミニウム錯体120gを、容量100リットルのナウター型の減圧乾燥機(NXV−1型:ホソカワミクロン社製)に投入し、撹拌しながら減圧乾燥を行った。乾燥条件として、ジャケット加熱温度50℃、真空度2〜5kPa、下部より窒素ガスを5.0Nリットル/minで供給し3時間乾燥を行った。乾燥終了後、取出口からの乾燥着色重合体粒子の排出は良好で、全量を容易に取出すことができた。また、乾燥機内の壁面、撹拌翼に付着はほとんどなかった。取出した着色重合体粒子に残留している重合性単量体の含有量は、28ppmであった。また、目開き149μmの篩いの通過率は96%であった。この着色重合体粒子(トナー粒子)の表面は、アルキルサリチル酸の金属化合物によって被覆されていた。
また、着色重合体粒子の重量平均粒径は6.8μmであった。
得られた着色重合体粒子をヘンシェルミキサーにて5分間撹拌した後、この得られた着色重合体粒子100質量部に対し、平均粒径0.005μmの疎水性シリカ1.2質量部を添加してさらにヘンシェルミキサーで混合しトナーとした。
さらに、このトナーを用いて、実施例1と同様の画出し評価を行ったところ、実施例1と同様に良好な画像が得られた。尚、23℃/65%RHの環境下での転写効率は、98%であった。
<比較例6>
実施例4で得た含水率22%の含水トナーを得られた湿潤着色重合体粒子約40kgを解砕後、流動層乾燥機(FBS−5型:大川原製作所社製)を用いて乾燥を行った。乾燥条件として、50℃の空気を線速度0.4m/秒で吹き込み、4時間後に着色重合体粒子を取り出し含水率を測定したところ、0.1%であった。また、着色重合体粒子に残留している重合性単量体含有量は、180ppmであったが、着色重合体粒子の凝集によるダマの発生があり、目開き149μmの篩いの通過率は85%であった。また、乾燥機内壁部には、着色重合体粒子の付着層がみられた。この着色重合体粒子の付着層を取り出し含水率を測定したところ、0.1%であったが、トナー粒子に残留している重合性単量体の含有量は、320ppmであった。
得られた着色重合体粒子粒子100質量部に対し、前記平均粒径0.005μmの疎水性シリカ1.2質量部を添加してヘンシェルミキサーで混合しトナーとした。
さらに実施例1と同様の画出し試験を行ったところ、耐久1,500枚程度から転写不良によるベタ部白抜けが発生し、さらに、30℃/80%RHの環境下4,500枚程度で感光体へのトナー融着による画像欠陥が発生した。