JP2006161212A - エアベルト用基布およびその製造方法 - Google Patents

エアベルト用基布およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
エアベルトとして十分な装着性を満足し、内圧保持性と難燃性に優れたエアベルト用基布とその製造方法を提供する。
【解決手段】
極細繊維からなるマルチフィラメントで構成された織物の少なくとも片面が樹脂で被覆された基布であって、FMVSS302による燃焼速度が80mm/min以下であることを特徴とするエアベルト用基布であり、このようなエアベルト用基布は、固有粘度1.0以上のポリエチレンテレフタレートと難燃剤を含む島成分ポリマーと海成分ポリマーとを溶融複合吐出し、延伸倍率4.0以上で延伸して海島繊維からなるマルチフィラメントを得る工程、得られたマルチフィラメントを平織りにて製織した後、脱海処理する工程、および脱海処理した織物に難燃剤を含むシリコーン樹脂を塗布する工程により得ることができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、車両衝突時に車両乗員を保護するために、シートベルトの一部をバッグとし、ガス発生装置によって該バッグを膨張させるようにしたエアベルトのバッグ部を構成するためのエアベルト基布、およびその製造方法に関するものである。
各種交通機関、特に自動車用安全部材としては、主にシートベルトおよびエアバッグが一般的に用いられている。
シートベルトに関しては、乗員を座席に安全拘束する装置として信頼度が高く、現在では装備が法制化されており、運転席と助手席の乗員に着用が義務づけられている。しかしながら、シートベルトは、車両衝突時に乗員に大きな負荷がかかるため、それに代わり、車輌衝突時に乗員にかかる衝撃を著しく低減させる安全部材としてエアベルトが提案されている。
エアベルトは、帯状に折り畳まれたバッグと該バッグを包んでいるカバーを備えており、車輌衝突時にガス供給装置が作動し、該バッグが膨張する構造のものが一般的である。乗員への安全性向上のため、様々なタイプのエアベルトが提案されている。例えば、幅方向には柔軟に伸縮するが、長手方向には殆ど伸長しないニットカバーを有することにより、膨張時にエアベルトの長さが短くなり、エアベルトが乗員に強くフィットするタイプのエアベルトが提案されている(特許文献1参照)。
エアベルトの装着方法はシートベルトと同様であり、運転時は常に身体と接しているため、装着性が悪いと乗員の疲労感に繋がり、運転の支障にも繋がる。特にエアベルトの厚さ、重量感は装着性の悪化に繋がり、改善課題となっている。
かかる課題の一つである、エアベルトの薄地化を実現するために、該バッグを構成するエアベルト用基布を、単繊維繊度が3.5d以下で、かつ総繊度が210〜315dのマルチフィラメントで構成し、その基布厚さを0.20〜0.25mm程度の極薄基布とする提案がなされている(特許文献1参照)。
しかしながら、厚さ0.20〜0.25mm程度の基布を数回折り返して畳み、実際にバッグにすると、基布を折り返すためにエアベルトとして十分な薄地化が達成できず、さらなる改善が必要であった。
そのため、折りたたみ性に優れた基布として極細繊維を使用した高強度極細繊維構造物も提案されている(特許文献2参照)。この提案は、カバーファクターを上げることにより低通気性を有することができるという提案であるが、実施例1〜4に示されているように通気性は高々0.7〜0.9cc/sec/cm程度であり、エアベルトに適用するには、なお高速展開性と内圧保持性を満たすことができず、またエアベルトに好ましい基布の製造方法も確立していなかった。また、極細繊維使い基布に単に樹脂を付着させたとしても、自動車部品にて重要とされる難燃性を満足する基布が得られていないばかりか、基布の柔軟性まで損なわしてしまうのが現状である。このような環境から、極細繊維を使用した薄地基布に樹脂コーティングを施した基布をエアベルト用基布に用いた具体的な提案はなかった。
特開平11−348724公報 特開平7−258940公報
本発明の目的は、かかる背景技術から、エアベルトとして十分な装着性を満足し、内圧保持性と難燃性に優れたエアベルト用基布とその製造方法を提供することにある。
本発明は、かかる課題を解決するために、次の手段を採用する。すなわち、本発明のエアベルト用基布は、極細繊維からなるマルチフィラメントで構成された織物の少なくとも片面が樹脂で被覆された基布であって、FMVSS302による燃焼速度が80mm/min以下であることを特徴とするエアベルト用基布である。
本発明のエアベルト用基布の好ましい態様によれば、上記のエアベルト用基布のFMVSS302による燃焼速度は、好ましくは50mm/min以下である。
本発明のエアベルト用基布の好ましい態様によれば、上記の樹脂は難燃剤を含有するシリコーン樹脂である。
本発明のエアベルト用基布の好ましい態様によれば、上記の樹脂の付着量は好ましくは10〜40g/mの範囲内である。
また、本発明のエアベルト用基布の製造方法は、少なくとも次の工程を順次経由することを特徴とするエアベルト用基布の製造方法である。
・第1工程:固有粘度1.0以上のポリエチレンテレフタレートと難燃剤を含む島成分ポリマーと海成分ポリマーとを溶融複合吐出し、延伸倍率4.0以上で延伸して海島繊維からなるマルチフィラメントを得る工程。
・第2工程:得られたマルチフィラメントを平織りにて製織した後、脱海処理する工程。
・第3工程:脱海処理した織物にシリコーン樹脂を塗布する工程。
また、本発明のエアベルト用基布の製造方法は、少なくとも次の工程を順次経由することを特徴とするエアベルト用基布の製造方法である。
・第1工程:固有粘度1.0以上のポリエチレンテレフタレートを含む島成分ポリマーと海成分ポリマーとを溶融複合吐出し、延伸倍率4.0以上で延伸して海島繊維からなるマルチフィラメントを得る工程。
・第2工程:得られたマルチフィラメントを平織りにて製織した後、脱海処理する工程。
・第3工程:脱海処理した織物に難燃剤とシリコーン樹脂を塗布する工程。
本発明のエアベルト用基布の製造方法の好ましい態様によれば、上記の第3工程におけ
る塗布を少なくとも2回実施することである。
本発明によれば、エアベルトとして必要な内圧保持性と難燃性に優れ、さらには装着性に優れたエアベルト用基布が得られる。具体的に、本発明によれば、織物に樹脂を被覆させることで空気遮断性を持たせ、車輌衝突時にエアベルトが展開したとき、バッグが一定時間膨張し乗員の衝撃をより緩和させることができ、さらには、インフレーターから発生する高温の窒素ガスからエアベルト用基布を構成する織物を守ることができる。
本発明のエアベルト用基布とその製造方法に関する最良の形態について説明する。
本発明のエアベルト用基布は、エアベルトとして十分な装着性を満足し、内圧保持性と難燃性に優れたエアベルト用基布であり、極細繊維からなるマルチフィラメントで構成された織物の少なくとも片面が樹脂で被覆された基布であって、FMVSS302による燃焼速度が80mm/minin以下であることを特徴とするものである。
エアベルトは、背景技術で述べたとおり、帯状に折り畳まれたバッグと該バッグを包んでいるカバーを備えており、車輌衝突時にガス供給装置が作動し、該バッグが膨張する構造が一般的である。
本発明のエアベルト用基布は、ここでいうバッグを構成するための基布であるが、数回折り畳んでカバー内に収納し、車両衝突により、乗員をできるだけ速く拘束する必要があるため、エアベルト用基布からのエア漏れを防ぐことが重要となる。そのため、本発明のエアベルト用基布は、織物の少なくとも片面が樹脂で被覆されており、通気度を実質的にゼロにすることがことが好ましい。
本発明のエアベルト用基布では、このように織物の少なくとも片面が樹脂で被覆されていることが必要である。織物に樹脂を被覆させることで空気遮断性を持たせ、車輌衝突時にエアベルトが展開したとき、バッグが一定時間膨張し乗員の衝撃をより緩和させることができる。さらには、インフレーターから発生する高温の窒素ガスからエアベルト用基布を構成する織物を守ることができる。
本発明で用いられる樹脂としては、耐熱性、耐寒性および難燃性を有する樹脂が好ましく使用される。このような樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン樹脂およびフッ素樹脂などが挙げられる。中でもシリコーン樹脂が、耐熱性、耐寒性、難燃性向上、かつベース基布である織物の機械的特性保持の面から特に好ましく用いられる。
シリコーン樹脂としては、ジメチル系シリコーン、メチルビニル系シリコーン、メチルフェニル系シリコーンおよびフロロ系シリコーンが好ましく用いられる。
また、樹脂としては、難燃化合物を含有している樹脂が好ましく用いられる。難燃化合物としては、臭素や塩素などのハロゲン化合物、特にハロゲン化シクロアルカン、白金化合物、酸化アンチモン、酸化銅、酸化チタン、燐化合物、チオ尿素系化合物、カーボンおよびセリウムなどを使用することができ、これらの中でもハロゲン化合物、白金化合物、酸化銅、酸化チタンおよびカーボンがコスト優位性の面からより好ましく用いられる。
本発明のエアベルト用基布において、樹脂の付着量は、乗員拘束性および収納性の面から、10〜40g/mの範囲内であることが好ましい。付着量が10g/m未満であれば、織物表面を覆う樹脂を均一に塗布することが難しく、基布の通気度が大きくなり、衝突時に乗員を拘束するだけの内圧が保持できなくなる恐れがある。一方、樹脂の付着量が40g/mより大きくなると、エアベルト用基布を折り畳んだ際バッグ容積が大きくなり、シートベルトに内蔵擦るだけの限られたスペースに収納することができないことがある。乗員拘束性および収納性のバランスから、樹脂の付着量は特に好ましくは15〜30g/mの範囲内である。
本発明のエアベルト用基布は、FMVSS302による燃焼速度が80mm/min以下でり、好ましくは50mm/min以下である。燃焼速度が80mm/minを超えると、車両衝突時のバッグ展開において、高温ガスによりエアベルト用基布が燃焼し、正常にバッグが展開しない危険性がある。
このようなエアベルト用基布の難燃性を満足させるための一手段として、極細繊維を構成するポリマーに難燃剤を含有させることができる。難燃剤は、例えば、エステル結合可能な官能基を有するリン化合物が挙げられる。リン化合物として、具体的には、メチル(2−カルボキシエチル)ホスフィン酸(以下MCEPAという)、メチル(4−カルボキシブチル)ホスフィン酸、フェニル(2−カルボキシエチル)ホスフィン酸(以下PCEPAという)、フェニル(4−カルボキシブチル)ホスフィン酸、フェニル{2−(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)エチル}ホスフィン酸、フェニル{2−(メトキシカルボニル)エチル}ホスフィン酸、フェニル{2−(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)エチル}ホスフィン酸メチル、フェニル{2−(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)エチル}ホスフィン酸フェニル、フェニル{2−(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)エチル}ホスフィン酸(2−ヒドロキシエチル)等を挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
本発明において用いられるリン化合物は、得られるポリエステルに対しリン原子換算として好ましくは500〜50,000ppm、より好ましくは1,000〜30,000ppm含有するように添加される。500ppm以上とすることにより十分な難燃性能が発現する。また、50,000ppm以下であるとポリエステル本来の物性的性質の低下がなく、また、ポリエステル繊維を製造する際の操業性低下もない。
また、エアベルト用基布の難燃性を満足させるための一手段として、シリコーン樹脂等の樹脂の中に、上記の難燃化合物を含有しても良く、さらに好適には樹脂を少なくとも2回以上塗布することが好ましい。
難燃剤の含有量は、燃焼速度を80mm/min以下にし、エアベルトが展開した際に十分な内圧保持性能を満足するという点で、5〜40重量%の範囲であることが好ましい。樹脂の性能を十分維持するという点では、含有量はより好ましくは10〜30重量%である。
本発明において、エアベルト用基布の燃焼速度を80mm/min以下にするには、極細繊維が難燃剤を含有すること、または/およびシリコーン樹脂等の樹脂の中に難燃化合物を含有することが重要である。本発明のエアベルト用基布は、基布自身が非常に薄く、軽量であるため、樹脂付着前の織物は燃焼しやすい。そのため、自動車安全部品として難燃性を満足するため樹脂を付着させる必要があるが、上記難燃剤あるいは難燃化合物を含有させることにより、燃焼速度80mm/min以下の難燃性を満足させることができる。
本発明のエアベルト用基布は、その厚みが0.15〜0.25mmの範囲内であることが好ましく、厚みがこのような範囲内にあると、エアベルトの装着性を満足することができる。エアベルト用基布の厚みは、より好ましくは0.15〜0.20mmの範囲内である。
エアベルト用基布の厚みが0.15mmより小さいと収納性面では優れているものの、インフレーターからの熱風に耐えるだけの機械的特性が得られないことがある。一方、基布の厚みが0.25mmより大きいとエアベルトを構成するバッグ膨張部が大きくなり、折り畳んだバッグが嵩高くなることでベルト部との厚み差が大きくなり、装着時に乗員への違和感が増大し、十分な装着性を満足することができない。
このようなエアベルト用基布の薄地化を満足させるためには、織物を構成する繊維として、単繊維繊度が0.05〜0.5dtexの範囲内の極細繊維を用いることにより、樹脂コート後の厚みが0.15〜0.25mmの範囲内にあるエアベルト用基布を製造することが可能である。
本発明のエアベルト用基布の目付は、エアベルト用基布の機械的特性面と収納性面から、100〜160g/mの範囲内にあることが好ましく、さらに機械的特性と収納性のバランスという面も加味し、120〜160g/mの範囲内にあることが好ましい。目付が100g/m未満であると、軽量化の面では好ましいが、インフレーターからの高出力、熱風に耐えるだけの機械的特性が得られないことがある。一方、目付が160g/mより大きいと、エアベルトを構成するバッグ膨張部の重量が大きくなり、エアベルト装着時の乗員への圧迫感、疲労感が増大するばかりか、衝突時のバッグの展開速度が遅くなり、機能面でも問題が生じることがある。
本発明のエアベルト用基布は、衝突時の乗員をすばやく拘束し、側面衝突等による車の横転に対し、ある一定時間の間基布を膨張させるという点で、通気度が実質的にゼロであることが好ましい。
次に、本発明のエアベルト用基布の製造方法について工程別に説明する。まず、第1工程として固有粘度1.0以上のポリエチレンテレフタレートと難燃剤を含む島成分ポリマーと海成分ポリマーとを、溶融複合吐出し、延伸倍率4.0以上で延伸し、マルチフィラメントを得る。
島成分ポリマーとしては、最終的に極細繊維を構成できれば特に制限することはなく、公知の合成繊維用ポリマーが適用可能であるが、複合紡糸法の極細繊維合成の容易さや、得られた基布の寸法安定性や機械的特性の面からポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートに代表されるポリエステルであることが好ましい。また、島成分ポリマーとしてはポリエステル以外に、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリテトラメチレンアジパミド、ポリカプラミドに代表されるポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、芳香族ポリアミドおよび芳香族ポリエステルなどが挙げられる。
島成分ポリマーの固有粘度は1.0以上であることが好ましい。固有粘度が1.0より小さいとエアベルト用基布としての強度が得られないばかりか、十分な耐熱性や寸法安定性も得られないことがある。
海成分ポリマーとしては、例えば、溶剤で溶解させるタイプとしてはポリスチレンが挙げられ、水で溶解もしくは水溶液で分解させるタイプとしては5ソディウムイソフタル酸を共重合させたポリエステル挙げられ、その他の公知の水溶性ポリマーなどが挙げられる。
島成分ポリマーと海成分ポリマーの海島成分複合糸は、延伸倍率4.0以上で延伸することが好ましく、さらに好ましくは延伸倍率は5.0〜6.0の範囲内である。延伸倍率が4.0未満では、島成分ポリマーの配向が十分に行われず、エアベルト用基布として必要な強度が得られないため好ましくない。また、延伸倍率が6.0以上では、製糸性が悪くなり好ましくない。以上の点から海島成分複合糸の延伸倍率は5.0〜6.0の範囲内にあることが好ましい。
本発明で用いられる織物を構成する繊維はマルチフィラメントであり、マルチフィラメントとしては、織物の機械的特性面と柔軟性面から、その総繊度が100〜350dtexの範囲内にあることが好ましく、さらに、柔軟性の面から、総繊度が150〜250dtexの範囲内あることが好ましい。また、本発明で用いられるマルチフィラメントは、糸条の剛性を低下させることによる柔軟性面から、本数は好ましくは200〜3500本の範囲内であり、単繊維繊度は0.1〜0.5dtexの範囲であることが好ましい。
第2工程として、第1工程で得られたマルチフィラメントを、平織りにて製織した後、脱海処理する。得られた海島成分複合糸であるマルチフィラメントの製織方法としては、薄さの面から平織りが好ましい。
本発明で用いられる織物を構成する織密度は、織物の機械的特性面と柔軟性面から、その経糸および緯糸方向にて40〜100本/2.54cmの範囲内にあることが好ましく、さらに、柔軟性の面から、60〜80本/2.54cmの範囲内あることが好ましい。
また、脱海処理方法としては、海成分ポリマーの特性に合わせて脱海用の溶媒等を選択すればよいが、例えば、水による 海成分ポリマーの溶出、酸性溶液やアルカリ性溶液などの各種水溶液による海成分ポリマーの分解、また、有機溶剤による海成分ポリマーの溶解などの処理が用いられる。
第3工程として、脱海処理した織物の少なくとも片面に、フローティングナイフコート等により、難燃剤を含有するシリコーン樹脂等をコートする。樹脂のコーティング方法は特に限定する必要はないが、樹脂の低塗工化と塗工面の平滑性を図り、樹脂の塗布後におけるエアベルト用基布の薄さの点で有利なフローティングナイフコートが好ましい。
樹脂コーティングは織物の両面に行ってもよいが、片面だけ樹脂を塗布することでエアベルト用基布として必要な低通気性と内圧保持性を満足できるので、樹脂コーティングは片面だけ行うことでも良い。
エアベルト用基布の難燃性と柔軟性を満足するためには、樹脂の塗布を少なくとも2回以上実施することが好ましい。極細繊維使いの織物は、織物を構成する繊維径が非常に小さいため、繊維同士の隙間が非常に微細な孔を形成しており、1回目の塗工にて微細孔を通して樹脂が基布内部へ入り込みやすくなる。そのため、FMVSS302に対応した燃焼試験において、エアベルト用基布表面の平滑性が低く、燃焼速度が大きくなるため難燃性において十分でないことがある。そこで、樹脂を2回以上塗布することにより、エアベルト用基布表面の平滑性が高くなり、難燃性が向上する。さらに、1回目の塗布において、エアベルト用基布内部に浸透した樹脂によりエアベルト用基布の柔軟性が増し、樹脂とベース織物との接着性も向上する。一方、1回目の塗布にてエアベルト用基布表面の平滑性を高く保ち、難燃性を向上させるため、たとえば高粘度の樹脂にて被覆すると、エアベルト用基布の柔軟性が損なわれるばかりか、塗布量が大きくなり、嵩高くなってしまい、収納性が悪化することがある。
本発明のエアベルト用基布の製造方法において、上記の第2工程で得られた脱海処理後の織物を、第3工程の前に140℃〜190℃の温度範囲内で熱セットすることが好ましい。脱海処理後の織物はシワが多いため、熱セットすることにより品位が改善するためである。また、熱セット方法は、ピンテンターで織物の両端を固定し、熱風乾燥する方法が好ましい。
熱セット温度は、140℃未満では十分に熱セットされずシワが残ってしまうことがある。また、熱セット温度が190℃以上では、熱セット後の基布が硬くなってしまうことがある。
本発明のエアベルト用基布が好適である最大の理由は、極細繊維使い織物に樹脂コートすることにより、極細繊維基布がもつ柔軟性を損なわずして、エアベルト用基布の通気度を実質的にゼロにし、難燃性向上を発見したことによるものである。
次に、実施例により、本発明のエアベルト用基布とその製造方法についてさらに詳しく説明する。なお、実施例中における各種評価は、下記の方法に従って行った。
・ 目付および厚み
JIS 1096(2002年)により測定した。
・ 引張強力および破断伸度
JIS 1096(2002年)の8.12.1項のストリップ法により測定
した。
(3)燃焼性
FMVSS302(1991年)に基づき測定した。ここでFMVSSは、米国にて規定されている測定方法である。
(4)通気度
流体(空気)を19.6kPaの圧力に調整して流し、そのとき通過する空気流量を測定した。
(実施例1)
島成分ポリマーとして、固有粘度(IV)1.23のポリエチレンテレフタレー(PET)を用い、海成分用ポリマーとして、5−ナトリウムスルホイソフタル酸を5.0%モル共重合したポリエチレンテレフタレート(固有粘度IV=0.55)(Co−PET)を用い、通常の海島型複合紡糸法により、2成分溶融複合紡糸を行ない、海島繊維からなるマルチフィラメントを得た。該複合紡糸の紡糸口金は60ホール、1本の複合繊維中の島数は16、海島比は28:72とした。得られたマルチフィラメントの総繊度は280dtexで単繊維繊度は4.67dtex、強度は6.7cN/dtexであった。次に、得られたマルチフィラメントをウォータージェットルームで平織りにて、経糸密度66本/2.54cm、緯糸密度62本/2.54cmで製織した。得られた生機の目付は147g/mであり、厚みは0.23mmであった。
次いで、この生機を弛緩状態にて1%硫酸沸騰水溶液で60分間処理した後、90℃の温度の水酸化ナトリウム水溶液中を通過させ、海成分ポリマーの5−ナトリウムスルホイソフタル酸共重合ポリエステル)を除去した。次いで、海成分ポリマーを除去した織物に、常法により乾燥、熱セットを施した。得られた織物を構成するマルチフィラメントの総繊度は202dtexで、フィラメント数は960であった。
次いで、この織物に、ニッカファイノン(登録商標)−207S(日華化学製)のハロゲン系難燃剤を15重量%混在させた粘度11Pa・s(11,000cP)の無溶剤系メチルビニルシリコーン樹脂液を、フローティングナイフコーターにより、塗布した後、190℃の温度で2分間加硫処理を行い、塗布量16g/mのシリコーン樹脂被覆布を得た。このシリコーン樹脂被覆布に対し、同様の無溶剤系メチルビニルシリコーン樹脂液を塗布し、経糸密度76本/2.54cm、緯糸密度61本/2.54cm、目付148g/m、塗布量24g/mのシリコーン樹脂被覆布1を得た。シリコーン樹脂被覆布1の燃焼速度は、経糸方向27mm/min、緯糸方向26mm/min、厚みは0.19mm、通気度は0.0L/cm/secであった。結果を表1に示す。
(実施例2)
島成分用ポリマーとして、(2−(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)エチル)メチルホスフィン酸をリン元素換算で0.5wt%共重合させたポリエチレンテレフタレート(固有粘度IV=1.10)(リン系化合物共重合PET)を用い、海成分用ポリマーとして、5−ナトリウムスルホイソフタル酸を5.0%モル共重合したポリエチレンテレフタレート(固有粘度IV=0.55)(Co−PET)を用い、通常の海島型複合紡糸法により、海島繊維からなるマルチフィラメントを得た。該複合紡糸の紡糸口金は60ホール、1本の複合繊維中の島数は16、海島比は28:72とした。得られたマルチフィラメントの総繊度は280dtexで単繊維繊度は4.67dtex、強度は6.5cN/dtexであった。
次に、得られたマルチフィラメントをウォータージェットルームで平織りにて、経糸密度68本/2.54cm、緯糸密度65本/2.54cmで製織した。得られた生機の目付は150g/m、厚みは0.19mmであった。次いで、この生機を弛緩状態にて1%硫酸沸騰水溶液で60分間処理した後、90℃の温度の水酸化ナトリウム水溶液中を通過させ、海成分ポリマーの5−ナトリウムスルホイソフタル酸共重合ポリエステル)を除去した。次いで、得られた織物に、常法による乾燥・熱セットを施した。得られた織物を構成するマルチフィラメントの総繊度は202dtexで、フィラメント数は960であった。次いでこの織物に、粘度12Pa・s(12,000cP)の無溶剤系メチルビニルシリコーン樹脂液を、フローティングナイフコーターにより、塗布し後、190℃の温度で2分間加硫処理を行い、経糸密度78本/2.54cm、緯糸密度64本/2.54cm、目付151g/m、塗工量20g/mのシリコーン樹脂被覆布2を得た。シリコーン樹脂被覆布2の燃焼速度は経糸方向15mm/min、緯糸方向13mm/min、厚みは0.19mm、通気度は0.0L/cm/secであった。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1と同じ織物に、粘度12Pa・s(12,000cP)の無溶剤系メチルビニルシリコーン樹脂液を、フローティングナイフコーターにより、塗布した後、190℃の温度で2分間加硫処理を行い、経糸密度76本/2.54cm、緯糸密度61本/2.54cm、目付142g/m、塗工量18g/mのシリコーン樹脂被覆布3を得た。シリコーン樹脂被覆布3の燃焼速度は経糸方向114mm/min、緯糸方向115mm/min、厚みは0.19mm、通気度は0.02L/cm/secとなり、難燃性、通気性共に悪くエアベルト用基布としては不適であった。結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例2と同じ織物にシリコーン樹脂被覆を行わず、ノンコート布4を得た。ノンコート布4の燃焼速度は経糸方向、緯糸方向ともに自己消化性であり、厚みは0.18mmであったが、通気度は0.2L/cm/secとなり、通気性が悪くエアベルト用基布としては不適であった。結果を表1に示す。
Figure 2006161212
表1のとおり、実施例1と2のエアベルト用基布は、エアベルトとしての柔軟性、難燃性および通気度ゼロによる内圧保持性を十分に満たすものであった。
本発明によれば、エアベルトとして必要な内圧保持性と難燃性に優れ、さらには装着性に優れたエアベルト用基布を提供することができ有用である。

Claims (8)

  1. 極細繊維からなるマルチフィラメントで構成された織物の少なくとも片面が樹脂で被覆された基布であって、FMVSS302による燃焼速度が80mm/min以下であることを特徴とするエアベルト用基布。
  2. FMVSS302による燃焼速度が50mm/min以下であることを特徴とする請求項1記載のエアベルト用基布。
  3. 極細繊維が難燃剤を含有するマルチフィラメントであることを特徴とする請求項1または2記載のエアベルト用基布。
  4. 樹脂が、難燃剤を含有するシリコーン樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエアベルト用基布。
  5. 樹脂の付着量が10〜40g/mの範囲内にあることを特徴とする請求項1項1〜3のいずれかに記載のエアベルト用基布。
  6. 少なくとも次の工程を順次経由することを特徴とするエアベルト用基布の製造方法。
    ・第1工程:固有粘度1.0以上のポリエチレンテレフタレートと難燃剤を含む島成分ポリマーと海成分ポリマーとを溶融複合吐出し、延伸倍率4.0以上で延伸して海島繊維からなるマルチフィラメントを得る工程。
    ・第2工程:得られたマルチフィラメントを平織りにて製織した後、脱海処理する工程。
    ・第3工程:脱海処理した織物にシリコーン樹脂を塗布する工程。
  7. 少なくとも次の工程を順次経由することを特徴とするエアベルト用基布の製造方法。
    ・第1工程:固有粘度1.0以上のポリエチレンテレフタレートを含む島成分ポリマーと海成分ポリマーとを溶融複合吐出し、延伸倍率4.0以上で延伸して海島繊維からなるマルチフィラメントを得る工程。
    ・第2工程:得られたマルチフィラメントを平織りにて製織した後、脱海処理する工程。
    ・第3工程:脱海処理した織物に難燃剤を含むシリコーン樹脂を塗布する工程。
  8. 第3工程におけるコートを少なくとも2回実施することを特徴とする請求項6または7記載のエアベルト用基布の製造方法。
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