JP2003171843A - エアバッグ基布およびエアバッグ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】エアバッグ展開時にインフレーターから発生す
る高温のミストによって、バッグに穴があかない防融性
に優れたエアバッグ基布およびエアバッグを提供する。 【解決手段】合成繊維織物からなるエアバッグ基布にお
いて、本文中に規定する方法で測定された防融性試験に
よる試験片の穴あきが２級以上であることを特徴とする
ノンコートエアバッグ基布。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、車両衝突時に乗員
の衝撃を吸収し、その保護を図るエアバッグに関するも
のであり、さらに詳しくは、インフレーターから発生す
る高温のミストによる穴あきが発生しないエアバッグ基
布およびエアバッグに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、各種交通機関、特に自動車の事故
が発生した際に、乗員の安全を確保するために、種々の
エアバッグが開発され、その有効性が認識され、急速に
実用化が進んでいる。特に運転席用エアバッグおよび助
手席用エアバッグは乗用車にはほぼ１００％装着される
ようになってきていることもあり、ハンドルやインスト
ルメントパネルのデザインの多様化により、エアバッグ
は限られたスペース内にコンパクトに収納されることも
望まれている。

【０００３】従来、エアバッグには３００〜１０００ｄ
ｔｅｘのナイロン６・６またはナイロン６フィラメント
糸を用いた平織物に、耐熱性、難燃性、空気遮断性など
の向上のため、クロロプレン、クロルスルホン化オレフ
ィン、シリコーンなどの合成ゴムなどのエラストマー樹
脂を塗布、積層した基布を裁断し、袋体に縫製して作ら
れていた。

【０００４】しかしながら、これらのエラストマー樹脂
を塗布、積層する際、一般にナイフコート、ロールコー
ト、リバースコートなどによるコーティング方式が採用
されているが、フィラメント織物で構成されているエア
バッグ基布に対して、通常、クロロプレンエラストマー
樹脂の場合では、基布表面に９０〜１２０ｇ／ｍ² 塗布
されており、厚みが厚くなり、収納性の面においてもパ
ッケージボリュームが大きくなる問題があった。またク
ロロプレンエラストマー樹脂に比べ、より耐熱性、耐寒
性の優れたシリコーンエラストマー樹脂の場合では、塗
布量が４０〜６０ｇ／ｍ² で軽量化しつつ、収納性コン
パクト性の面でもかなり向上したがまだ不十分であり、
またバッグをパッケージに折り畳んで収納する際に折り
畳みにくいという問題があった。またさらにエラストマ
ーの塗布、積層の工程が繁雑で生産性の面にも問題があ
った。

【０００５】そこで、近年、このような問題点を解消す
るためにノンコート基布を使用しエアバッグが注目され
てきた。その対応技術として、ナイロン６・６、ナイロ
ン６などのポリアミド繊維織物あるいはポリエステル系
繊維織物から構成される高密度ノンコートエアバッグの
検討が進められている。

【０００６】一方、２０００年に米国法規ＦＭＶＳＳ２
０８の改正に伴い、インフレーターのデュアル化が検討
されており、このインフレーターは２段階展開方式にな
ることから、２段階目のガス出力が、従来のインフレー
ターの出力よりも大きくなり、エアバッグ基布に対して
のダメージが大きくなるため、エアバッグを構成する基
布の防融性を高めて欲しいという要求が出てきている。
その点から見ると、例えば特許２９５０９５４号公報に
は総繊度３００〜４００ｄｔｅｘの糸を用いたノンコー
ト基布が開示されているが、この提案により得られるエ
アバッグ基布はバッグ収納性の面でかなり改善される
が、バッグ展開時にインフレーターから発生するミスト
による穴あきが大きく、バッグに穴が空いた場合、その
穴から高温のガスが吹き出し、乗員の顔面に火傷をおこ
す危険性があるだけでなく、バッグが破裂する危険性も
ある。

【０００７】したがって、バッグが展開した際のインフ
レーターから発生するミストによるバッグの穴あき防止
の観点から、最適基布の鋭意検討がなされていないのが
実状である。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、かか
る従来のエアバッグの欠点に鑑み、バッグが展開した際
のインフレーターから発生する高温のミストによって、
バッグに穴があかない防融性に優れたエアバッグ基布お
よびエアバッグを提供せんとするものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために、次のような手段を採用する。すなわ
ち、 （１）合成繊維織物からなるエアバッグ基布において、
本文中に規定する方法で測定された防融性試験による試
験片の穴あきが２級以上であることを特徴とするノンコ
ートエアバッグ基布。 （２）前記織物が単糸の断面形状がアスペクト比１．５
〜６．０の扁平断面である合成繊維マルチフィラメント
糸から構成されていることを特徴とする前記（１）に記
載のノンコートエアバッグ基布。 （３）前記織物が総繊度４００〜７００ｄｔｅｘの合成
繊維マルチフィラメント糸から構成されていることを特
徴とする前記（１）または（２）に記載のノンコートエ
アバッグ基布。 （４）前記織物のカバーファクターが１８００〜２３０
０であることを特徴とする前記（１）〜（３）のいずれ
かに記載のノンコートエアバッグ基布。 （５）前記（１）〜（４）のいずれかに記載のノンコー
トエアバッグ基布で構成されたことを特徴とするエアバ
ッグ。

【００１０】

【発明の実施の形態】本発明は、バッグが展開した際
に、インフレーターから発生する高温のミストによって
バッグに穴が空かない基布について鋭意検討したとこ
ろ、本文中に規定する方法で測定された防融性試験によ
る試験片の穴あきを２級以上にすることにより、上述課
題を達成できることを究明したものである。

【００１１】本発明における合成繊維織物の防融性試験
における試験片の穴あきとエアバッグをインフレーター
を用いて展開させた時のインフレーターから発生する高
温のミストによる穴あきとの相関を調べたところ、防融
性試験における試験片の穴あきが２級以上であれば、バ
ッグ展開時にバッグに穴が空かないことを確認した。な
お、防融性試験の試験方法は以下の方法で実施したもの
である。 （１）タテ５ｃｍ、ヨコ５ｃｍの試験片を３枚採取す
る。 （２）ＮＭ−１型防融試験機（大栄科学精器製作所製）
を用い、表面温度３５０℃に調整する。 （３）試験片をＮＭ−１型防融試験機のコテ先部に静置
し、５秒間放置した後、軽く取り外す。 （４）試験片の穴あきの程度を次の表１に示す判定基準
にしたがって等級区分し、３枚の平均値で表す。

【００１２】

【表１】

【００１３】また、本発明における合成繊維織物として
は、ナイロン６・６、ナイロン６、ナイロン１２、ナイ
ロン４・６およびナイロン６とナイロン６・６の共重
合、ナイロン６にポリアルキレングリコール、ジカルボ
ン酸やアミンなどを共重合したポリアミド繊維、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートな
どのホモポリエステル、ポリエステルの繰り返し単位を
構成する酸成分にイソフタル酸、５−ナトリウムスルホ
イソフタル酸またはアジピン酸などの脂肪族ジカルボン
酸などを共重合したポリエステル繊維、パラフェニレン
テレフタルアミドおよび芳香族エーテルとの共重合に代
表されるアラミド繊維、レーヨン繊維、ポリサルフォン
系繊維、超高分子量ポリエチレン繊維および上記合成繊
維を主体とする海島構造を有する高分子配列体繊維から
構成される合成繊維布帛が用いられる。これらの中でも
ポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維が好
ましく、さらにはナイロン６・６、ナイロン６などのポ
リアミド繊維が耐熱性の面から好ましく、さらに好まし
くは融点の高いナイロン６・６がよい。

【００１４】かかる繊維には、原糸の製造工程や加工工
程での生産性あるいは特性改善のために通常使用されて
いる各種添加剤を含んでもよい。たとえば熱安定剤、酸
化防止剤、光安定剤、平滑剤、帯電防止剤、可塑剤、増
粘剤、顔料、難燃剤などを含有せしめることができる。

【００１５】また、該織物を構成する糸の単糸断面形状
は長軸と短軸との比、すなわちアスペクト比１．５〜
６．０の扁平断面であることが、防融性の観点から好ま
しい。

【００１６】図１は扁平断面糸(４７０ｄｔｅｘ−９６
Ｆ、アスペクト比３．６)を用いた織物断面の繊維の形
状を示すＳＥＭ写真断面図であり、図２は丸断面糸(４
７０ｄｔｅｘ−９６Ｆ、アスペクト比１．０)を用いた
織物断面の繊維の形状を示すＳＥＭ写真断面図である。

【００１７】図１に示す該扁平断面糸を用いた織物は図
２に示すアスペクト比１．０の丸断面糸を用いた織物に
比べて、織物表面に出ている糸の表面積が大きくなるた
め、インフレータから発生する高温のミストが該織物に
接触したときに、該ミストの熱を表面積の大きな糸で吸
収することができ、該織物の穴あきを抑えることができ
る。アスペクト比１．５未満の場合、防融性効果が得ら
れず、一方６．０を越えるとエアバッグ用原糸として必
要な高強度、通常７．０ｃＮ／ｄｔｅｘ以上の高強度糸
を収率良く得ることが困難であり、また扁平断面糸を用
いたことに得られる防融性効果も飽和するため不必要で
ある。

【００１８】扁平断面糸は通常は楕円形であるが、アス
ペクト比１．５〜６．０を満足するならば楕円形以外の
形状であっても良い。例えば、長方形、菱形、繭型のよ
うな左右対称型は勿論、左右非対称型でもよく、あるい
は、それらの組み合わせ型でもよく、さらに上記を基本
型として突起や凹み、あるいは部分的に中空部があって
も良い。

【００１９】また、該織物を構成する糸の総繊度は４０
０〜７００ｄｔｅｘであることが防融性およびバッグ収
納性の面から好ましく、さらに好ましいのは４５０〜６
００ｄｔｅｘである。総繊度が４００ｄｔｅｘ未満であ
るとバッグ収納性の面では良いが、防融性面で問題が生
じる。つまり、該糸の体積が小さいために糸の熱吸収容
量が小さくなるので、エアバッグが展開する際、インフ
レーターからでる高温のミストが該織物に接触したとき
に、該ミストの熱を吸収できず、該糸が溶け、該織物に
穴が空く。一方、逆に総繊度が７００ｄｔｅｘより大き
いと防融性面では良いが、織物が嵩高になり、バッグ収
納性面で問題が生じる。

【００２０】また、布帛の構造としては、平織、綾織、
朱子織およびこれらの変化織、多軸織などの織物が使用
されるが、これらの中でも、特に、機械的特性に優れる
ことから平織物が好ましい。

【００２１】また、織物のカバーファクターは１８００
〜２３００であることが防融性およびバッグ収納性面か
ら好ましい。カバーファクターが１８００より小さいと
バッグ収納性面では好ましいが、防融性が悪化する。ま
た、カバーファクターが２３００より大きいと防融性の
面では好ましいが、織物が硬くなるので柔軟性が悪くな
り、バッグ収納性面で問題が生じる。

【００２２】ここで、カバーファクターとは基布のタテ
糸総繊度をＤ₁（ｄｔｅｘ） 、タテ糸密度をＮ₁（本／
２．５４ｃｍ）とし、ヨコ糸総繊度をＤ₂（ｄｔｅ
ｘ） 、ヨコ糸密度をＮ₂（本／２．５４ｃｍ） とする
と（Ｄ₁×０．９ ）^1/2 ×Ｎ₁ ＋（Ｄ₂×０．９ ）^1/2
×Ｎ₂ で表される。

【００２３】また、製織工程で用いられる織機として
は、ウォータージェットルーム、エアージェットルー
ム、レピアルームなどが用いられる。また、製織条件と
しては、特に扁平断面糸を用いる場合、タテ糸張力を５
０〜２００ｃＮ／本に設定することが好ましい。タテ糸
張力はタテ糸の扁平断面糸の配列に大きく影響を及ぼ
し、５０ｃＮ／本より小さいと図３に示すようにタテ糸
がヨコ糸を押す力が小さくなるので、扁平断面をもつ単
糸が織物水平方向に配列しなくなり、織物表面にでてい
る糸の表面積が小さくなるので、好ましくない。またタ
テ糸張力が２００ｃＮ／本より大きいと、タテ糸の扁平
断面をもつ単糸が織物水平方向へ配列し易くなり、防融
性の面ではよいが、タテ糸方向の織物の柔軟性が損なわ
れることや製織安定性に欠けることから好ましくない。

【００２４】また、本発明のエアバッグ基布は運転席
用、助手席用、後部席用、サイド用、インフレータブル
カーテンなど各種エアバッグに使用することができる。

【００２５】本発明のエアバッグ用基布およびエアバッ
グの特徴は、シリコーン樹脂などでコーティングをしな
いノンコート基布でありながら、防融性に優れ、バッグ
展開時にインフレーターから発生する高温のミストによ
りバッグに穴があかないという点にある。

【００２６】

【実施例】次に実施例により、本発明をさらに詳しく説
明する。

【００２７】なお、実施例中における各種評価は、下記
の方法に従って行なった。 防融性：防融性試験の試験方法は以下の方法で実施した
ものである。 （１）タテ５ｃｍ、ヨコ５ｃｍの試験片を３枚採取す
る。 （２）ＮＭ−１型防融試験機（大栄科学精器製作所製）
を用い、表面温度３５０℃に調整する。 （３）試験片をＮＭ−１型防融試験機のコテ先部に静置
し、５秒間放置した後、軽く取り外す。 （４）試験片の穴あきの程度を次の表２に示す判定基準
にしたがって等級区分し、３枚の平均値で表す。

【００２８】

【表２】

【００２９】バッグ展開性：６０Ｌエアバッグを作成
し、２１０ｋＰａ出力の電気着火式インフレータを用い
て、該エアバッグを展開させた後のバッグのミストによ
る穴あき状態を観察した。なお、６０Ｌエアバッグは以
下の方法で作成したものである。

【００３０】エアバッグ基布から直径７２５ｍｍの円状
布２枚を打ち抜き法にて裁断し、一方の円状布の中央
に、同一布からなる直径２００ｍｍの円状補強布を３枚
積層して、直径１１０ｍｍ、１４５ｍｍ、１７５ｍｍ線
上を上下糸ともナイロン６・６繊維１４００ｄｔｅｘの
マルチフィラメント縫糸で、本縫いによるミシン縫製
し、中心部に直径９０ｍｍの孔を設け、インフレータ取
り付け口とした。さらに中心部よりバイアス方向に、２
５５ｍｍの位置に、相反して、同一布からなる直径７５
ｍｍの円状補強布を１枚当て、直径５０ｍｍ、６０ｍｍ
の線上を、上下糸とも、ナイロン６・６繊維１４００ｄ
ｔｅｘのマルチフィラメント縫糸で、本縫いによるミシ
ン縫製し、直径４０ｍｍの孔を設けたベントホールを２
カ所設置した。

【００３１】次いで、この円状布の補強布側を外にし、
他方の円状布と経軸を４５度ずらして重ね合わせ、直径
７００ｍｍ、７１０ｍｍの円周上を上下糸とも、ナイロ
ン６・６繊維１４００ｄｔｅｘのモノフィラメント縫糸
で、二重環縫いによるミシン縫製した後、袋体を裏返
し、６０Ｌ容量のエアバッグを作成した。

【００３２】実施例１ 総繊度４７０ｄｔｅｘ、９６フィラメント、強度８．３
ｃＮ／ｄｔｅｘ、伸度２２％、アスペクト比３．２のナ
イロン６・６繊維の扁平断面フィラメント糸を用い、ウ
ォータージェットルームにて、タテ糸張力を１２０ｃＮ
／本に設定し、経糸と緯糸の織密度がともに４９本／
２．５４ｃｍになるように調整し、平組織の織物を得
た。次いで該織物をピンテンター式熱処理機にて、織密
度が４９本／２．５４ｃｍを保持するように１６０℃で
３０秒間熱セットし、エアバッグ基布を得た。

【００３３】このようにして、得られたエアバッグ基布
の特性を表３に示した。本発明のエアバッグ基布は、防
融性に優れ、バッグ展開時のインフレータから発生する
高温にミストによるバッグの穴あきもなかった。

【００３４】比較例１ 総繊度４７０ｄｔｅｘ、９６フィラメント、強度８．３
ｃＮ／ｄｔｅｘ、伸度２２％、アスペクト比１．０のナ
イロン６・６繊維の丸断面フィラメント糸を用い、ウォ
ータージェットルームにて、タテ糸張力を４０ｃＮ／本
に設定し、経糸と緯糸の織密度がともに４９本／２．５
４ｃｍになるように調整し、平組織の織物を得た。次い
で該織物をピンテンター式熱処理機にて、織密度が４９
本／２．５４ｃｍを保持するように１６０℃で３０秒間
熱セットし、エアバッグ基布を得た。

【００３５】このようにして、得られたエアバッグ基布
の特性を表３に示した。これからもわかるように、比較
例１のエアバッグ基布は、防融性に劣り、バッグ展開時
にインフレーターから発生する高温のミストによって、
バッグに穴があいた。

【００３６】実施例２ 総繊度が５８０ｄｔｅｘ、１０８フィラメント、強度が
８．４ｃＮ／ｄｔｅｘ、伸度が２２．５％からなるナイ
ロン６・６繊維からなるフィラメント糸を用い、エアー
ジェットルームにてタテ糸張力を１４０ｃＮ／本に設定
し、タテ糸およびヨコ糸の織り密度が４５本／２．５４
ｃｍの平織物を得た。次いで該織物をオープンソーパー
にて８５℃で３０秒間精練し、ノンタッチドライヤーに
て１３０℃で３分間乾燥し、しかる後、ピンテンター式
熱処理機にて、織密度が４６本／２．５４ｃｍを保持す
るように１８０℃で３０秒間熱セットし、エアバッグ基
布を得た。

【００３７】このようにして、得られたエアバッグ基布
の特性を表３に示した。本発明のエアバッグ基布は、防
融性に優れ、バッグ展開時のインフレータから発生する
高温にミストによるバッグの穴あきもなかった。

【００３８】比較例２ 総繊度が５８０ｄｔｅｘ、１０８フィラメント、強度が
８．４ｃＮ／ｄｔｅｘ、伸度が２２．５％からなるナイ
ロン６・６繊維からなるフィラメント糸を用い、エアー
タージェットルームにてタテ糸張力を１４０ｃＮ／本に
設定し、タテ糸およびヨコ糸の織り密度が３９本／２．
５４ｃｍの平織物を得た。次いで該織物をオープンソー
パーにて８５℃で３０秒間精練し、ノンタッチドライヤ
ーにて１３０℃で３分間乾燥し、しかる後、ピンテンタ
ー式熱処理機にて、織密度が３９本／２．５４ｃｍを保
持するように１８０℃で３０秒間熱セットし、エアバッ
グ基布を得た。

【００３９】このようにして、得られたエアバッグ基布
の特性を表３に示した。これからもわかるように、比較
例２のエアバッグ基布は、防融性に劣り、バッグ展開時
にインフレーターから発生する高温のミストによって、
バッグに穴があいた。

【００４０】比較例３ 総繊度が３５０ｄｔｅｘ、７２フィラメント、強度が
８．４ｃＮ／ｄｔｅｘ、伸度が２２．５％からなるナイ
ロン６・６繊維からなるフィラメント糸を用い、エアー
タージェットルームにてタテ糸張力を１４０ｃＮ／本に
設定し、タテ糸およびヨコ糸の織り密度が５８本／２．
５４ｃｍの平織物を得た。次いで該織物をオープンソー
パーにて８５℃で３０秒間精練し、ノンタッチドライヤ
ーにて１３０℃で３分間乾燥し、しかる後、ピンテンタ
ー式熱処理機にて、織密度が５９本／２．５４ｃｍを保
持するように１８０℃で３０秒間熱セットし、エアバッ
グ基布を得た。

【００４１】このようにして、得られたエアバッグ基布
の特性を表３に示した。これからもわかるように、比較
例３のエアバッグ基布は、防融性に劣り、バッグ展開時
にインフレーターから発生する高温のミストによって、
バッグに穴があいた。

【００４２】

【表３】

【００４３】

【発明の効果】本発明によれば、防融性に優れたエアバ
ッグ基布およびエアバッグを提供でき、エアバッグによ
る乗員保護システムを普及促進させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】扁平断面糸(４７０ｄｔｅｘ−９６Ｆ、アスペ
クト比３．６)を用いた織物断面の繊維の形状を示すＳ
ＥＭ写真の断面図である。

【図２】丸断面糸(４７０ｄｔｅｘ−９６Ｆ、アスペク
ト比１．０)を用いた織物断面の繊維の形状を示すＳＥ
Ｍ写真の断面図である。

【図３】扁平断面糸が横に配列する原理を説明した図で
ある。

【符号の説明】

１：タテ糸 ２：ヨコ糸 ３：タテ糸張力 ４：タテ糸がヨコ糸を押す力

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 3D054 CC26 FF18 4L048 AA24 AA34 AA37 AB07 AB11 BA01 BA02 CA00 CA15 DA25 EA01 EB05

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】合成繊維織物からなるエアバッグ基布にお
   いて、本文中に規定する方法で測定された防融性試験に
   よる試験片の穴あきが２級以上であることを特徴とする
   ノンコートエアバッグ基布。
2. 【請求項２】前記織物が単糸の断面形状がアスペクト比
   １．５〜６．０の扁平断面である合成繊維マルチフィラ
   メント糸から構成されていることを特徴とする請求項１
   に記載のノンコートエアバッグ基布。
3. 【請求項３】前記織物が総繊度４００〜７００ｄｔｅｘ
   の合成繊維マルチフィラメント糸から構成されているこ
   とを特徴とする請求項１または２に記載のノンコートエ
   アバッグ基布。
4. 【請求項４】前記織物のカバーファクターが１８００〜
   ２３００であることを特徴とする請求項１〜３のいずれ
   かに記載のノンコートエアバッグ基布。
5. 【請求項５】請求項１〜４のいずれかに記載のノンコー
   トエアバッグ基布で構成されたことを特徴とするエアバ
   ッグ。