JP4501624B2 - エアベルト用基布およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、エアベルトを構成するエアベルト用基布の薄地化により優れた収納性を有し、軽量化により乗員への圧迫感、疲労感を軽減し、かつ基布同志の摩擦抵抗によるズレを抑え、一体感に優れたエアベルト用基布およびそれからなるエアベルトならびにその製造方法に関するものである。
近年、各種交通機関、特に自動車の事故が発生した際に、乗員の安全を確保するために、種々のエアバッグやシートベルトが開発され、その有効性が認識され、実用化が進んでいる。また、これらのエアバッグおよびシートベルトを同時に兼ね備えたシートベルト内蔵エアバッグ、つまりエアベルトに関する開発も進められている。
エアベルトは、車両が衝突してから極めて短時間に膨張展開することにより、衝突時に発生する乗員の衝突エネルギーを吸収する仕組みになっている。つまり、現在、広く使用されているシートベルトとそれを補助するエアバッグの役目を融合した仕組みになっている。このエアベルトを膨張展開させるのは、インフレーターと呼ばれるガス発生装置から出る高出力で高温のガスであり、エアベルトを構成するバッグ(本体基布)や縫製糸、カバーが上記のガスに耐えうる構造となっている。その構造として、内蔵されたエアベルト用バッグが膨張した場合、カバーも膨張し、カバーは長手方向には殆ど伸長しないため、エアベルトの長さが短くなり、強く乗員にフィットし、乗員の保護効果を高めるエアベルトが提案されている。しかしながら、このような構造では、乗員を保護するために十分なバッグ容量が必要となり、エアベルト用基布の重量が増し、嵩高くなる問題がある。加えて、エアベルトのように常に乗員の身体に接触するものにおいては、バッグ重量の増加は、乗員への圧迫感や疲労感を増大するばかりではなく、エアベルト用基布同士あるいは基布とカバーとの間のズレが大きくなるとシートベルトとエアベルトの一体感がなくなり、乗員が装着している間、エアベルトへの違和感が増大するなどの問題がある。
例えば、エアベルトの展開時のカバーとの摩擦抵抗を極力小さくなるように、折り畳んだ際の厚さが薄く、表面平滑性に優れたエアベルト用バッグが提案されている(特許文献1参照)。この提案では、前記エアベルト用基布を構成するために、織り糸の繊度および単繊維繊度をある値以下にすることにより上記課題を解決するとしているが、このようなエアベルト用基布では、単に基布厚みが薄くなるということだけで、上記課題である乗員への不快感を軽減することはできない。さらに、この提案では薄地化かつ表面平滑性を向上させるために樹脂が被覆されていない、いわゆるノンコート基布に言及しているため、インフレーター展開時のバッグの膨張展開により、基布からのエア漏れが起こり、乗員を拘束させるのに十分な機能を発揮するものではない。また、この提案ではエアベルト膨張時に速やかにバッグが展開するように、カバーとの摩擦抵抗を極力小さくするとしているが、基布同士の摩擦抵抗が小さくなれば、エアベルト装着中にも乗員の動きにより基布同士がズレを起こし、ベルトの一体感がなく、乗員への不快感を軽減することはできない。
特開平11−348724号公報
そこで本発明の目的は、かかる従来のエアベルト用基布の背景に鑑み、エアベルトを構成するエアベルト用基布の薄地化により優れた収納性を有し、軽量化により乗員への圧迫感、疲労感を軽減し、かつ基布同志の摩擦抵抗によるズレを抑え、一体感に優れたエアベルト用基布とその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記エアベルト用基布を用いてなる、軽量化により乗員への圧迫感と疲労感を軽減することができるエアベルトを提供することにある。
本発明は、かかる課題を解決するために、次の手段を採用する。すなわち、本発明のエアベルト用基布は、単繊維断面形状が扁平断面のマルチフィラメントで構成された織物の少なくとも片面が樹脂で被覆されてなり、経糸方向とヨコ糸方向の静摩擦係数の平均値が1.5〜2.5の範囲内にあることを特徴とするエアベルト用基布である。
本発明のエアベルト用基布の好ましい態様のひとつは、前記のエアベルト用基布の厚みが0.15〜0.25mmの範囲内にあることである
本発明のエアベルト用基布の好ましい態様のひとつは、前記のエアベルト用基布の目付が100〜160g/m2の範囲内にあることである。
本発明のエアベルト用基布の好ましい態様のひとつは、前記のマルチフィラメントを構成する単繊維の扁平率(短軸に対する長軸の長さの比)が2〜4の範囲内にあることである。
本発明のエアベルト用基布は、それを縫製等によってエアベルトに仕立てることができる。
また、本発明のエアベルト用基布の製造方法は、少なくとも製織工程と仕上工程とを備えたエアベルト用基布の製造方法であって、織り糸に単繊維断面形状が扁平断面のマルチフィラメントを用い、該製織工程において経糸張力を30〜200g/本の範囲内にして織物を製織し、該仕上工程において該織物の少なくとも片面にナイフコーティングにて樹脂をコーティングすることを特徴とするエアベルト用基布の製造方法である。
本発明によれば、エアベルトを構成するエアベルト用基布の薄地化により優れた収納性を有し、軽量化により乗員への圧迫感、疲労感を軽減し、かつ基布同志の摩擦抵抗によるズレを抑え、一体感に優れたエアベルト用基布が得られ、エアベルトによる乗員保護システムを普及促進させることができる。
本発明らは、前記課題、つまりエアベルトを構成するエアベルト用基布の薄地化により優れた収納性を有し、軽量化により乗員への圧迫感、疲労感を軽減し、かつ基布同志の摩擦抵抗によるズレを抑え、一体感に優れたエアベルトに供するためのエアベルト用基布について鋭意検討した結果、単繊維断面形状が扁平断面のマルチフィラメントで構成される織物であって、その織物の少なくとも片面が樹脂で被覆されてなるエアベルト用基布が、かかる課題を一挙に解決することを究明したものである。すなわち、その条件として、製織工程において経糸張力を30〜200g/本の範囲内にして織物を製織し、そしてその織物の少なくとも片面に仕上工程においてナイフコーティングにて樹脂をコーティングしてみたところ、かかる要件を満足するエアベルト用基布が得られ、上記課題を解決できることに成功したものである。
本発明で用いられる織物としては、合成繊維固有の収縮率から、ナイロン6・6、ナイロン6、ナイロン12、ナイロン4・6およびナイロン6とナイロン6・6の共重合ナイロン6にポリアルキレングリコール、ジカルボン酸やアミンなどを共重合したポリアミド繊維等から構成される合成繊維織物が好適に用いられる。これらの中でも、繊維素材として、ナイロン6・6とナイロン6が耐衝撃性の面から特に好ましく用いられ、また、ナイロン6・6が耐熱性の面から特に好ましく用いられる。かかる繊維は、原糸の製造工程や加工工程での生産性あるいは特性改善のために通常使用されている各種添加剤を含んでもよい。例えば、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、平滑剤、帯電防止剤、可塑剤、増粘剤、顔料および難燃剤などを繊維に含有させることができる。
本発明で用いられる織物を構成する繊維はマルチフィラメントであり、マルチフィラメントとしては、基布の機械的特性面と収納性面から、その総繊度が150〜350dtexの範囲内にあることが好ましく、さらに、収納性の面から、総繊度が200〜300dtexの範囲内あることが好ましい。また、本発明で用いられるマルチフィラメントは、糸の剛性を低下させることによる収納性面から、本数は好ましくは36〜192本の範囲内であり、単繊維繊度は3〜8dtexの範囲であることが好ましい。
本発明で用いられる織物を構成するマルチフィラメントは、エアベルト用基布の薄地化、収納性かつ基布同士の摩擦抵抗によるズレ抑制の面から、単繊維の断面形状が、扁平断面、特に断面の長軸と短軸との比、即ちアスペクト比が好ましくは2〜4の範囲内の扁平断面形状にすることが重要である。単繊維がこのような扁平断面形状であるマルチフィラメントを用いると、エアベルト用基布の厚みを薄くすることができる上に、収納性を向上させることができる。かかる扁平断面形状の単繊維は、その断面が通常は楕円形であるが、アスペクト比2〜4を満足するならば楕円形以外の扁平断面形状であってもよい。例えば、長方形、菱形および繭型のような左右対称型は勿論、左右非対称型でもよく、あるいは、それらの組み合わせ型の形状のものでもよい。更に、上記を基本型として、突起や凹みあるいは部分的に中空部があるものであってもよい。
織物を構成する経糸と緯糸が、単繊維が扁平断面糸からなるマルチフィラメントであれば、扁平断面糸は丸断面糸に比べ、エアベルト用基布を構成する織り糸が特定の範囲内の張力下により、長手方向に拡がりやすく、その拡がり方により、織物同士の摩擦抵抗値を特定の範囲内に満たすような特殊な構造となりうる。さらに、本発明で採用されるナイフコーティングにより樹脂を塗工することにより、長手方向に拡がった単繊維により織物表面がより平滑になり、丸断面糸の織物に比べ樹脂量を軽減できるばかりでなく、塗工面がより平滑になる。したがって、エアベルト用基布の軽量化を図ることができ、かつ、丸断面糸使いのエアベルト用基布に比べ、より平滑な構造となることから基布同士の摩擦抵抗値を大きくすることができ、織り張力を特定の範囲内にすることにより、摩擦抵抗値も特定の範囲内にすることが可能となる。
このようにして、薄地化により優れた収納性を有し、軽量化により乗員への圧迫感、疲労感を軽減し、かつ基布同志の摩擦抵抗によるズレを抑え、一体感に優れたエアベルト用基布を製造することができる。
本発明で用いられる織物を構成するマルチフィラメントの太さ(総繊度)(単位:デシテックス)と打込み密度(本/2.54cm)から求められるカバーファクター(CF)は、1,500以上であることが好ましく、より好ましくは1,500〜2,100の範囲内である。
ここで、カバーファクター(CF)は、織物構造の緻密さを示す指数で、織物に用いられている経糸および緯糸の総繊度(DwおよびDf)(デシテックス)と織物の経密度および緯密度(NwおよびNf)(本/吋)から、次式により求められる。
CF=(Dw×Nw)1/2+(Df×Nf)1/2
本発明で用いられるマルチフィラメントは、本発明の効果を妨げない範囲で、他種のマルチフィラメントを混繊したものであってもよい。また、本発明で用いられる織物は、経糸と緯糸の両方に当該マルチフィラメントを用いてもよく、また、本発明の効果を妨げない範囲で、他種の糸条を交織してもよい。
本発明のエアベルト用基布は、織物の少なくとも片面が樹脂で被覆されていることが必要である。織物に該樹脂を被覆させることで空気遮断性を持たせ、車輌衝突時にエアベルトが展開したとき、バッグが一定時間膨張し乗員の衝撃をより緩和させることができる。さらには、インフレーターから発生する高温の窒素ガスからエアベルト用基布を構成する織物を守ることができる。
本発明で用いられる樹脂としては、耐熱性、耐寒性および難燃性を有する樹脂が好ましく使用される。このような樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン樹脂およびフッ素樹脂などが挙げられる。中でもシリコーン樹脂が特に好ましく用いられる。シリコーン樹脂としては、ジメチル系シリコーン、メチルビニル系シリコーン、メチルフェニル系シリコーンおよびフロロ系シリコーンが好ましく用いられる。
また、樹脂としては、難燃化合物を含有している樹脂が好ましい。難燃化合物としては、臭素や塩素などのハロゲン化合物、特にハロゲン化シクロアルカン、白金化合物、酸化アンチモン、酸化銅、酸化チタン、燐化合物、チオ尿素系化合物、カーボンおよびセリウムなどを使用することができ、これらの中でもハロゲン化合物、白金化合物、酸化銅、酸化チタンおよびカーボンがより好ましく用いられる。
本発明のエアベルト用基布において、樹脂の付着量は、乗員拘束性および収納性の面から、5〜40g/m2の範囲内であることが好ましい。付着量が5g/m2未満であれば、織物表面を覆う樹脂が均一に塗布できず、基布の通気度が大きくなり、衝突時に乗員を拘束するだけの内圧が保持できなくなる恐れがある。一方、付着量が40g/m2より大きくなると、エアベルト用基布を折り畳んだバッグ容積が大きくなり、シートベルトに内蔵擦るだけの限られたスペースに収納することができないことがある。乗員拘束性および収納性のバランスから、付着量は特に好ましくは10〜30g/m2の範囲内である。
本発明のエアベルト用基布は、基布の厚みが0.15〜0.25mmの範囲内であることが好ましく、基布の厚みがこのような範囲にあると、基布強力と収納性のバランスがとれる。基布の厚みは、より好ましくは0.2〜0.25mmの範囲内である。
基布の厚みが0.15mmより小さいと収納性面では優れているものの、インフレーターからの熱風に耐えるだけの機械的特性が得られないことがある。一方、基布の厚みが0.25mmより大きいとエアベルトを構成するバッグ膨張部が大きくなり、折り畳んだバッグが嵩高くなることでベルト部との厚み差が大きくなり、装着時に乗員への違和感が増大することがある。
また、基布を折り畳んだ後のバッグ容積に相当する収納性試験において、その測定値が1300cm3未満であることが好ましい。その測定値が1300cm3以上の場合は、バッグ容積が大きくなることから、乗員を十分に受け止めるだけの拘束力をもたせるために非常に大きなインフレーター出力が必要となり、エアベルト用基布へのダメージが大きくなり好ましくないばかりでなく、シートベルトに内蔵するだけの限られたスペースに収納することができないことがある。また、シートベルトとの一体感を持たせるという点ではその測定値は1000cm3未満であれば特に好ましい。これらの収納性を上記数値範囲にするためには、本発明で用いられるような基布厚さおよび扁平断面の単繊維からなるマルチフィラメントによる柔軟性が重要となる。
本発明のエアベルト用基布は、経糸方向と緯糸方向の静摩擦係数の平均値が1.5〜2.5の範囲内であることが好ましい。静摩擦係数が1.5未満であると、エアベルト装着時の折り畳まれたバッグ部での基布のズレ量が大きく、乗員が装着している間、エアベルトへの違和感が増大する傾向を示す。一方、静摩擦係数が2.5よりも大きいと、ベルト装着を繰り返すことにより基布同士が擦り合わされ、樹脂が剥がれてしまい、展開時に剥離部分から熱ガスが漏れ、エアベルトの機能面で問題が生じることがある。
本発明のエアベルト基布の目付は、基布の機械的特性面と収納性面から、100〜160g/m2の範囲内にあることが好ましく、さらに機械的特性と収納性のバランスという面も加味し、120〜160g/m2の範囲内にあることが好ましい。目付が100g/m2未満であると、軽量化の面では好ましいが、インフレーターからの高出力、熱風に耐えるだけの機械的特性が得られないことがある。一方、目付が160g/m2より大きいと、エアベルトを構成するバッグ膨張部の重量が大きくなり、エアベルト装着時の乗員への圧迫感、疲労感が増大するばかりか、衝突時のバッグの展開速度が遅くなり、機能面でも問題が生じることがある。
本発明のエアベルト用基布は、衝突時の乗員を拘束する上で、通気度が0.1未満であることが好ましい。さらに、側面衝突等による車の横転に対し、ある一定時間の間基布を膨張させるという点では、通気度はゼロであることが好ましい。
本発明のエアベルト用基布の製造方法は、少なくとも製織工程および仕上工程を備えたものである。製織工程で用いられる織機としては、ウォータージェットルーム、エアージェットルームおよびレピアルームなどが用いられる。特に、生産性を高めるためには高速製織が比較的容易なウォータージェットルームが好ましく用いられる。
本発明では、製織工程において張力コントロールを制御することにより、後工程の樹脂コーティング後の基布表面の平滑化をはかり、かつ仕上工程においてナイフコーティングを実施することにより、樹脂の低塗工化と塗工面の平滑性を図るところに特徴を有する。そのため本発明においては、製織工程における経糸張力を30〜200g/本の範囲内として製織することが重要である。好ましくは、経糸張力を50〜180g/本に制御することにより、製織後の基布中の織り糸が長手方向に配列し、基布表面が平滑になり、樹脂塗工時の付着量が軽減されることから、薄地化し軽量化を図ることができる。経糸張力が30g/本未満であると、織り糸の扁平断面糸が長手方向に配列できないため、織物が厚くなり好ましくないばかりか、通気量を抑えるために樹脂量を多く付着させる必要があり、軽量化の点でも好ましくない。一方、製織張力が200g/本より大きいと、織り糸に与える負荷が大きくなり、強度低下の原因となり、機械的特性面で好ましくない。
また、本発明のエアベルト用基布は、運転席用、助手席用および後部座席用などにも使用することができる。特に、バッグ膨張部がベルト部に比べ、厚み差があるため、バッグ膨張部を巻き取らないタイプのベルトに適用容易な運転席用エアベルトとして使用することが好ましい。
本発明のエアベルト用基布およびエアベルトの特徴は、基布の薄地化により優れた収納性を有し、軽量化により乗員への圧迫感、疲労感を軽減し、かつ基布同志の摩擦抵抗によるズレを抑え、一体感に優れているという点にある。
次に、実施例により、本発明をさらに詳しく説明する。なお、実施例中における各種評価は、下記の方法に従って行った。
厚み:JIS L1096−00に基づき、厚みを測定した。
目付:JIS L1096−00に基づき、目付を測定した。
静摩擦係数:JIS K7125−98に準じて試験速度12000mm/分にて測定した。
引張強力:JIS L1096−00(8.12.1A法)に基づき、織物幅は3cm、引張つかみ間隔15cm、引張速度200mm/minで引っ張ったときの破断強力を測定した。
燃焼性:FMVSS302により測定した。
基布の通気度:流体(空気)を19.6kPaの圧力に調整して流し、そのとき通過する空気流量を測定した。
収納性評価:ASTM D−6478−02に基づき、測定した。
基布同志のズレ評価:JIS K7125−98に準じて試験速度12000mm/分にて測定した静摩擦係数が1.5以上のものを○とし、1.5未満のものを×とした。
基布同志の擦れ評価:JIS K6328(5・3・8 もみ試験)に基づき、樹脂面同志を重ね合わせ評価した結果、樹脂剥離が有るものを×とし、無いものを○とした。
(実施例1)
総繊度280dtex、36フィラメント、強度7.9cN/dtex、伸度23.5%、アスペクト比3.7、無撚りのナイロン6・6繊維の単繊維の扁平率が3.7のマルチフィラメント(糸)を用い、ウォータージェットルームにて、経糸張力を120g/本になるように経糸と緯糸の織密度がともに60本/2.54cmになるように調整し、平組織の織物を得た。次いでこの織物に、粘度12Pa・s(12,000cP)の無溶剤系メチルビニルシリコーン樹脂液を、フローティングナイフコーターにより、コーティングを行った後、190℃の温度で2分間加硫処理を行い、樹脂の付着量が19g/m2となるエアベルト用基布を得た。
このようにして得られたエアベルト用基布の特性を表1に示した。このエアベルト用基布は、機械的特性および収納性に優れ、基布同士のズレが抑えられ、一体感にも優れていた。
(比較例1)
総繊度280dtex、36フィラメント、強度7.9cN/dtex、伸度23.5%、アスペクト比3.7、無撚りのナイロン6・6繊維の単繊維の扁平率が3.7のマルチフィラメント(糸)を用い、ウォータージェットルームにて、経糸張力を120g/本になるように経糸と緯糸の織密度の織密度がともに60本/2.54cmになるように調整し、平組織の織物を得た。このようにして得られたエアベルト用基布の特性を表1に示した。このエアベルト用基布は収納性については問題なかったが、樹脂コート布でないため、通気度が高く、かつ静摩擦係数が小さく基布同士のズレ評価が劣っていた。
(比較例2)
総繊度280dtex、36フィラメント、強度7.9cN/dtex、伸度22.3%、アスペクト比1、無撚りのナイロン6・6繊維の単繊維の扁平率が1の丸断面のマルチフィラメント(糸)を用い、ウォータージェットルームにて、経糸張力を120g/本になるように経糸と緯糸の織密度がともに60本/2.54cmになるように調整し、平組織の織物を得た。次いでこの織物に、粘度12Pa・s(12,000cP)の無溶剤系メチルビニルシリコーン樹脂液を、フローティングナイフコーターにより、コーティングを行った後、190℃の温度で2分間加硫処理を行い、エアベルト用基布を得た。このようにして得られたエアベルト用基布の特性を表1に示した。このエアベルト用基布は、扁平断面フィラメントでないため、収納性と機械的特性については問題なかったが、静摩擦係数が小さく基布同士のズレ評価が劣っていた。
(比較例3)
総繊度280dtex、36フィラメント、強度7.9cN/dtex、伸度23.5%、アスペクト比3.7、無撚りのナイロン6・6繊維の単繊維の扁平率が3.7のマルチフィラメント(糸)を用い、ウォータージェットルームにて、経糸張力を10g/本になるように経糸と緯糸の織密度がともに60本/2.54cmになるように調整し、平組織の織物を得た。次いでこの織物に、粘度12Pa・s(12,000cP)の無溶剤系メチルビニルシリコーン樹脂液を、フローティングナイフコーターにより、コーティングを行った後、190℃の温度で2分間加硫処理を行い、エアベルト用基布を得た。このようにして得られたエアベルト用基布の特性を表1に示した。このエアベルト用基布は収納性と機械的特性については問題なかったが、静摩擦係数が大きく基布同士の擦れ評価が劣っており、エアベルトとして機能するものではなかった。
(実施例2)
総繊度280dtex、36フィラメント、強度7.9cN/dtex、伸度23.5%、アスペクト比3.7、無撚りのナイロン6・6繊維の単繊維の扁平率が3.7のマルチフィラメント(糸)を用い、ウォータージェットルームにて、経糸張力を50g/本になるように経糸と緯糸の織密度がともに46本/2.54cmになるように調整し、平組織の織物を得た。次いでこの織物に、粘度12Pa・s(12,000cP)の無溶剤系メチルビニルシリコーン樹脂液を、フローティングナイフコーターにより、コーティングを行った後、190℃の温度で2分間加硫処理を行い、樹脂の付着量が23g/m2となるエアベルト用基布を得た。このようにして得られたエアベルト用基布の特性を表1に示した。このエアベルト用基布は、機械的特性および収納性に優れ、基布同士のズレが抑えられ、一体感にも優れていた。
(実施例3)
総繊度235dtex、36フィラメント、強度7.9cN/dtex、伸度24.2%、アスペクト比2、無撚りのナイロン6・6繊維の単繊維の扁平率が2のマルチフィラメント(糸)を用い、ウォータージェットルームにて、経糸張力を180g/本になるように経糸と緯糸の織密度がともに55本/2.54cmになるように調整し、平組織の織物を得た。次いでこの織物に、粘度12Pa・s(12,000cP)の無溶剤系メチルビニルシリコーン樹脂液を、フローティングナイフコーターにより、コーティングを行った後、190℃の温度で2分間加硫処理を行い、樹脂の付着量が18g/m2となるエアベルト用基布を得た。このようにして得られたエアベルト用基布の特性を表1に示した。このエアベルト用基布は、機械的特性および収納性に優れ、基布同士のズレが抑えられ、一体感にも優れていた。
(比較例4)
実施例3で得られた織物に、粘度3Pa・s(3,000cP)の水系ウレタン樹脂液(樹脂固形分50%)に浸漬し、マングルにて絞った後、130℃の温度で2分間乾燥し、エアベルト基布を得た。このようにして得られたエアベルト用基布の特性を表1に示した。このエアベルト用基布は、機械的特性および基布同士のズレが抑えられ、一体感に優れていたが、通気度が高く、かつ収納性に劣っていた。
Figure 0004501624
本発明のエアベルト用基布およびエアベルトの特徴は、基布の薄地化により優れた収納性を有し、軽量化により乗員への圧迫感、疲労感を軽減し、かつ基布同志の摩擦抵抗によるズレを抑え、一体感に優れている。そのため、本発明のエアベルト用基布は、運転席用、助手席用および後部座席用などにも好適に使用することができる。

Claims (5)

  1. 単繊維断面形状が扁平断面のマルチフィラメントで構成された織物の少なくとも片面が樹脂で被覆されてなり、経糸方向とヨコ糸方向の静摩擦係数の平均値が1.5〜2.5の範囲内にあることを特徴とするエアベルト用基布。
  2. 厚みが0.15〜0.25mmの範囲内にあることを特徴とする請求項1記載のエアベルト用基布。
  3. 目付が100〜160g/mの範囲内にあることを特徴とする請求項1または2記載のエアベルト用基布。
  4. マルチフィラメントを構成する単繊維の扁平率が2〜4の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のエアベルト用基布。
  5. 少なくとも製織工程と仕上工程とを備えたエアベルト用基布の製造方法であって、織り糸に単繊維断面形状が扁平断面のマルチフィラメントを用い、該製織工程において経糸張力を30〜200g/本の範囲内にして織物を製織し、該仕上工程において該織物の少なくとも片面にナイフコーティングにて樹脂をコーティングすることを特徴とする請求項1〜4記載のエアベルト用基布の製造方法。
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