JP2006160676A - 毛髪化粧料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルコキシシラン(1)、有機酸、水及び界面活性剤を配合してなり、pH2〜5である毛髪化粧料。
上記毛髪化粧料を攪拌混合し、系が透明になったことを確認した後に毛髪に塗布して、一般式(1)で表されるアルコキシシラン(1)の加水分解で生成するシラノール化合物(2)を毛髪に浸透させる毛髪処理方法。
R1 pSi(OR2)4-p (1)
R1 pSi(OH)n(OR2)4-p-n (2)
〔R1及びR2は、C1-C6のアルキル基又はC2-C6のアルケニル基を示し、pは0〜3の整数を示し、nは1以上(4-p)以下の整数を示す。〕
【選択図】なし
Description
で表されるアルコキシシラン、有機酸、水及び界面活性剤を配合してなり、pH2〜5である毛髪化粧料を提供するものである。
で表されるシラノール化合物を毛髪に浸透させる毛髪処理方法を提供するものである。
一般式(1)中のR1及びR2において、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t-ブチル基等が挙げられ、アルケニル基としては、ビニル基、アリル基等が挙げられる。特に、R2としては、加水分解により生じる副生成物の安全性、加水分解反応の反応性等の点から、エチル基が好ましい。
有機酸としては、シュウ酸(pKa=1.04,3.82)、マレイン酸(pKa=1.75,5.83)、アスパラギン酸(pKa=1.93,3.70)、サリチル酸(pKa=2.81)、酒石酸(pKa=2.82,3.96)、フマル酸(pKa=2.85,4.10)、クエン酸(pKa=2.90,4.34)、リンゴ酸(pKa=3.24,4.71)、コハク酸(pKa=4.00,5.24)、蟻酸(pKa=3.55)、乳酸(pKa=3.66)、グルタル酸(pKa=4.13,5.01)、アジピン酸(pKa=4.26,5.03)、酢酸(pKa=4.56)、プロピオン酸(pKa=4.67)等を例示することができるが、pH調整が容易な点から、第1解離指数(pKa1)が1.9〜5.0、特に3.5〜5.0の範囲にある有機酸が好ましい。なかでも、シラノール化合物(2)の重合反応の制御が容易であるグルタル酸、アジピン酸、酢酸及びプロピオン酸が好ましく、特に、臭気が少ないアジピン酸が好ましい。
水は、本発明の毛髪化粧料が二剤式の場合には、第1剤に配合されるアルコキシシラン(1)とは別個に、第2剤に配合され、その含有量は、毛髪を十分に膨潤させ、加水分解で生成するシラノール化合物(2)を毛髪へ十分浸透させる観点から、本発明の毛髪化粧料中の20〜95重量%、特に30〜86重量%が好ましい。
界面活性剤は、本発明の毛髪化粧料が二剤式の場合には、第1剤と第2剤のいずれか少なくとも一方に含有させるが、第2剤に含有させることが好ましい。ただし、第1剤が水分を含有しない場合は第1剤に含有させることもできる。界面活性剤としては、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤のいずれをも使用することができる。
本発明の毛髪化粧料は、アルコキシシラン(1)を加水分解させ、シラノール化合物(2)を生成させる必要性、及びシラノール化合物(2)を毛髪内に浸透させて毛髪内で重合反応をさせるために、重合反応を遅らせる必要がある。このためにpH(20℃)は2〜5に調整されるが、3〜4が好ましい。なお、二剤式の場合には第2剤のpH(20℃)が上記範囲に調整される。
また、シラノール化合物(2)を溶解する目的で、メタノール、エタノール等の炭素数1〜3の低級1級アルコール、グリセリン等の水溶性有機溶剤を使用することもできるが、その量が多すぎると、本発明の毛髪化粧料を毛髪に塗布した際に、毛髪が十分に膨潤せず、シラノール化合物(2)が十分に浸透し難くなる。そのため、水溶性有機溶剤の使用量は、本発明の毛髪化粧料中の35重量%以下、特に20重量%以下とすることが好ましい。なお、これ以外に、アルコキシシラン(1)の加水分解後の毛髪化粧料には、副生物としてのR2OHが含有されることになる。
本発明の毛髪化粧料の形態は、長期間の安定性を確保する点から、アルコキシシラン(1)を含有する第1剤と、有機酸及び水を含有しpH2〜5である第2剤から構成され、界面活性剤を第1剤と第2剤のいずれか少なくとも一方に含有する二剤式が好ましいが、使用直前にアルコキシシラン(1)、有機酸、水及び界面活性剤、並びにその他任意成分を混合し、pHを2〜5とすることによって調製されたものであってもよい。
本発明の毛髪化粧料を用いて毛髪を処理するには、本発明の二剤式毛髪化粧料の第1剤及び第2剤を使用直前に混合後、又はアルコキシシラン(1)、有機酸、水及び界面活性剤、並びにその他任意成分を使用直前に混合後、振とう等の手段により攪拌混合して、目視で混合溶液が透明になったことを確認した後に、得られた混合物を毛髪に塗布するのが好ましい。第1剤と第2剤の混合割合(第1剤/第2剤の重量比)は、好ましくは80/20〜1/99、更に好ましくは60/40〜20/80である。混合直後は白濁の乳化状態ないし一部乳化状態であったのが、そのまま静置又は必要に応じ攪拌を継続するうちに透明となることで、アルコキシシラン(1)が加水分解し、シラノール化合物(2)が生成したことを確認することができる。
300mLナス型フラスコに、イオン交換水74.9gを量り取り、表1に示す各種添加剤(有機酸、無機酸又はアルカリ剤)0.1gを添加し、室温で攪拌して溶解させ、これにメチルトリエトキシシラン25.0gを混合した。この混合物を、40℃恒温水槽中で7cmの半月形テフロン(登録商標)製の攪拌羽根を備えた攪拌棒を用いて200rpmの攪拌速度で攪拌した。当初静置すると2相分離するが、加水分解反応によって生成するメチルシラントリオールは水溶性であるため、反応終了後は透明な均一水溶液(メチルシラントリオール、エタノール、水を含む)となる。なお、添加剤を添加しない場合及びアルカリ剤を用いた場合には、加水分解の終了までに5時間以上を要した。
更に攪拌を続けると、メチルシラントリオールが重合して分子量が増加し、水−エタノール溶液に不溶となるため、溶液が白濁する。この透明溶液が白濁するまでの時間が短いと、メチルシラントリオールが毛髪に十分に浸透せず、毛髪表面近傍で重合してしまうため、毛髪に対する優れたハリ・コシ付与効果が得られない。この加水分解後の透明溶液が白濁するまでの時間を測定し、表1に示した。
メチルトリエトキシシラン25.0重量%、アジピン酸0.8重量%、表2に示す界面活性剤10重量%及びイオン交換水残部からなる毛髪化粧料(pH3.5〜3.8;20℃)を調製した。直ちに、これらの毛髪化粧料30mLを50mLの密閉容器に入れ、攪拌(容器を手で30回振とうする)した後、静置する。5分ごとに観察し、分離が生じている場合には再度攪拌を行った。なお、pH(25℃)は、HORIBA社製pHメーターにて測定した。
また対照として、メチルトリエトキシシラン25.0重量%、アジピン酸0.8重量%及びイオン交換水残部からなり、界面活性剤を含有しない毛髪化粧料も2つ調製し、一方は上記と同様に攪拌操作を行い、他方はマグネティックスターラーにより連続攪拌した。
最初に振とう攪拌してから5分後の混合液の状態を表2に示した。表中の「乳化」とは、目視で溶液全体が均一に白濁している状態を示し、「一部乳化」とは、溶液の上層又は下層の一部が白濁し、残部が透明な状態を示し、「二相分離」とは、透明な液が上下に境界線を伴って分かれている状態を示している。
最初の振とう攪拌後、混合液が均一透明になるまでの時間を表中に示した。
アルコキシシランからなる第1剤と、酸、水、界面活性剤及びpH調整剤(水酸化ナトリウム)を含有する第2剤を混合し、表3に示す毛髪化粧料を調製し、以下に示す評価を行った。この結果を表3に併せて示す。
なお、各毛髪化粧料は、第1剤と第2剤を混合攪拌し、外観が透明になってから毛髪に塗布した。
<毛髪処理方法>
一人の欧米人から採取した化学処理履歴のない毛髪を用いて、5gの毛束を作製した。次いで、この毛束に表3に示す毛髪化粧料10gをむらなく塗布した後、ラップで包み、48℃のオーブン中で1時間静置した。その後、余分な毛髪化粧料をタオルでふき取り、15分間熱風ドライヤーを用いて完全に乾燥し、毛髪内のシラノール化合物を重合した。その後、以下に示す組成のシャンプー及びヘアリンスで処理してから乾燥した。
(重量%)
ポリオキシエチレン(2.5)ラウリルエーテル硫酸
ナトリウム(25重量%水溶液) 62.00
ラウリン酸ジエタノールアミド 2.28
エデト酸二ナトリウム 0.10
安息香酸ナトリウム 0.50
オキシベンゾン 0.03
リン酸(75重量%水溶液) 0.10
ジブチルヒドロキシトルエン 0.01
塩化ナトリウム 0.80
赤色106号 0.00012
香料 0.26
精製水 バランス
(重量%)
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(28重量%水溶液) 3.0
セタノール 3.0
プロピレングリコール 3.0
メチルパラベン 0.1
精製水 バランス
毛髪へのケイ素化合物の収着量評価には「ICP(誘導結合プラズマ)発光分析装置(堀場製作所,JY238ULTRACE)」を用いた。ケイ素化合物の収着量は、灰化/アルカリ溶融/ICP法を用いて測定したケイ素元素の量に基づき、ケイ素元素収着量として求めた。
試料0.1gを白金坩堝に採取し、ヒーターで煙が出なくなるまで炭化後、550℃の電気炉に2時間入れ灰化させる。冷却後、残った灰分上にアルカリ融剤(Na2CO3:H3BO3=5:2)1gを加え、950℃電気炉30分でアルカリ溶融し、冷却後、6N塩酸4mLで溶解して純水で50mLにメスアップしたものを試料溶液とした。吸収波長251.612nm、積分時間3秒で3回測定し、その平均値から、検量線を使用してケイ素元素量を求めた。毛髪へのケイ素元素収着量の計算法は次のとおりである。
曲げ弾性試験には「純曲げ試験機(カトーテック,KES-FB2-S)」を使用し、毛髪の曲げに要する力(曲げ弾性)の測定を行った。
毛髪は、両端をそれぞれ3cm切り落とし、長さが5cm以上の毛髪のみを評価試験に用いた。また、測定に先立ち少なくとも24時間、65%の相対湿度中に置いた。図1に示すように、10mm間隔で並べた長さ51mm、幅15mmの方眼紙2枚に、50本の人毛を貼り付けたものを測定サンプルとした。これを純曲げ試験機に取り付け、曲げ弾性測定を行った。測定条件は、20℃、相対湿度65%、感度:2×1、最大曲げ曲率:2.5cm-1とした。曲げ弾性は、曲率1.0〜2.0cm-1の間の毛髪1本あたりの曲げに必要な力を直線近似したときの直線の勾配から求めた。
10名の専門パネラーにより、「毛髪のハリ・コシ向上感」、及び「毛髪のまとまり感」について、下記基準に従って評価し、その合計値を示した。
(未処理毛と処理毛を比較して、処理毛の方が)
3:明らかにハリ・コシがあると感じる
2:ハリ・コシがあると感じる
1:やや、ハリ・コシがあると感じる
0:どちらともいえない
−1:ハリ・コシがないと感じる
(未処理毛と処理毛を比較して、処理毛の方が)
3:明らかにまとまりがあると感じる
2:まとまりがあると感じる
1:やや、まとまりがあると感じる
0:どちらともいえない
−1:まとまりがないと感じる
Claims (6)
- 次の一般式(1)
R1 pSi(OR2)4-p (1)
〔式中、R1及びR2は、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数2〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基を示し、p個のR1及び(4−p)個のR2は同一でも異なってもよい。pは0〜3の整数を示す。〕
で表されるアルコキシシラン、有機酸、水及び界面活性剤を配合してなり、pH2〜5である毛髪化粧料。 - 有機酸が、第1解離指数(pKa1)が1.9〜5.0の範囲にある有機酸である請求項1記載の毛髪化粧料。
- 界面活性剤が、HLB9〜15の非イオン界面活性剤である請求項1又は2記載の毛髪化粧料。
- 一般式(1)で表されるアルコキシシランを含有する第1剤と、有機酸及び水を含有しpH2〜5である第2剤から構成され、第1剤及び第2剤のいずれか少なくとも一方が、界面活性剤を含有するものである請求項1〜3のいずれかに記載の毛髪化粧料。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の毛髪化粧料を攪拌混合し、毛髪に塗布して、一般式(1)で表されるアルコキシシランの加水分解で生成する次の一般式(2)
R1 pSi(OH)n(OR2)4-p-n (2)
〔式中、R1、R2及びpは前記と同じ意味を示し、nは1以上(4−p)以下の整数を示す。p個のR1及び(4−p−n)個のR2は同一でも異なってもよい。〕
で表されるシラノール化合物を毛髪に浸透させる毛髪処理方法。 - 毛髪化粧料を毛髪に塗布した後、塗布部を加温する、請求項5記載の毛髪処理方法。
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