JP2006160654A - 魚ゼラチンの製造方法および魚ゼラチン - Google Patents

魚ゼラチンの製造方法および魚ゼラチン Download PDF

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Abstract

【課題】 魚鱗を原料とする魚ゼラチンを、工業的に生産性良く製造でき、しかも、高品質の魚ゼラチンを提供する。
【解決手段】 魚鱗を原料とするゼラチンの製造方法であって、魚鱗を脱灰処理する脱灰工程(a)と、脱灰工程(a)を終えた魚鱗を酸に漬けて保持する酸漬工程(b)と、酸漬工程(b)を終えた魚鱗に抽出処理を行う抽出工程(c)と、抽出工程(c)で得られた抽出液からメラニンを分離除去するメラニン除去工程(d)と、メラニン除去工程(d)で得られた上澄み液を濾過処理する濾過工程(e)とを含む。その結果、ゼリー強度などの特性に優れたゼラチンが得られる。特に、透明性に優れたゼラチンが得られる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、魚ゼラチンの製造方法および魚ゼラチンに関し、詳しくは、魚を原料にしてゼラチンを製造する方法と、このような製造方法で得られる魚ゼラチンとを対象にしている。
従来、ゼラチンの原料としては、コラーゲン組織を豊富に含有する牛や豚の骨、皮などが一般的であった。
魚の皮や鱗にも、コラーゲン組織が含まれていることが知られており、ゼラチンの原料として利用することが考えられた。魚を原料とすれば、牛などにおけるBSEの問題を心配する必要がなくなる。水産加工において大量に発生する廃棄物である魚の皮や鱗を有効利用できる。
魚を原料にしてゼラチンあるいはコラーゲンを抽出する場合、魚の皮を用いる技術と、魚の鱗を用いる技術とが知られている。
魚の皮から抽出されたコラーゲンやゼラチンは、魚に特有の臭いが残り易いという問題がある。白濁し透明性が劣るものになり易いという問題がある。その理由として、魚の皮には、コラーゲン組織の他に多くの成分や物質が含まれているため、コラーゲン以外の物質が不純物として含まれてしまい、前記した問題が残るのであると考えられる。
魚鱗の場合は、実質的にコラーゲンと灰分とで構成されており、前記した魚臭や白濁が残らず、高品質のゼラチンが得られ易いと考えられる。
特許文献1には、魚鱗原料を粉砕し、脱灰処理を行うことなく、100℃未満の温水で抽出処理を行って、抽出されるゼラチンと、残滓に含まれるカルシウムアパタイトとの両方を製造する技術が提案されている。
特許文献2には、魚鱗を原料にし酵素処理を多段階で行ってコラーゲンを抽出する技術が提案されている。
特開2004−59568号公報 特開2003−327599号公報
従来における、魚鱗を原料とする魚ゼラチンの製造技術では、工業的に生産性良く高品質の魚ゼラチンを製造するのが難しいという問題がある。
特許文献1のように、脱灰処理を行わずに抽出処理を行うと、コラーゲン組織以外の大量の無機物が含まれた状態で抽出処理が行われる。残滓にはカルシウムアパタイトなどが大量に含まれることになる。目的物としてカルシウムアパタイトを得るには適した技術であるが、ゼラチンの抽出効率はあまり良くない。
特許文献2に記載された酵素処理は、高品質のゼラチンが得られやすいが、どうしても、通常のアルカリ処理や酸処理による抽出に比べると、抽出の効率が低くなる。酵素を使用することからも、製造コストが高くなる。
魚鱗を用いて、従来の牛骨などを原料とする酸処理ゼラチンの製造技術をそのまま適用することも考えられた。酸処理ゼラチンの製造技術は、脱灰した原料を、硫酸などの酸溶液に漬けておくことで、コラーゲン以外の蛋白質や脂肪を効率的に除去でき、抽出工程を容易にする。石灰漬けを行うアルカリ処理ゼラチンの製造技術に比べて、短い時間で処理が終わり、生産効率が良いことが知られている。
ところが、酸処理ゼラチンの製造技術で、原料に魚鱗を用いると、抽出工程で得られた抽出液を濾過して精製しようとしたときに、濾過材が直ぐに目詰まりしてしまうという問題が発生した。牛骨からの酸処理ゼラチン製造ではあり得ないほど、濾過材の目詰まりが起こり易い。特に、比較的に小規模の実験室段階での実施では、濾過材の目詰まりはそれほど目立たないが、工業的規模での大量生産や連続生産を行うと、頻繁に濾過材の目詰まりが発生し、その度に生産作業が中断し、濾過材の交換作業が必要になる。ゼラチンの生産効率が極端に低下してしまい、生産コストが増大してしまう。
本発明の課題は、前記した魚鱗を原料とする魚ゼラチンを、工業的に生産性良く製造でき、しかも、高品質の魚ゼラチンを提供することである。
本発明にかかる魚ゼラチンの製造方法は、魚鱗を原料とするゼラチンの製造方法であって、魚鱗を脱灰処理する脱灰工程(a)と、前記脱灰工程(a)を終えた魚鱗を酸に漬けて保持する酸漬工程(b)と、前記酸漬工程(b)を終えた魚鱗に抽出処理を行う抽出工程(c)と、前記抽出工程(c)で得られた抽出液からメラニンを分離除去する工程(d)と、前記メラニン除去工程(d)で得られた上澄み液を濾過処理する濾過工程(e)とを含む。
〔魚鱗〕
コラーゲン組織を含有する魚鱗であれば、魚種や鱗の部位などは特に限定されない。
具体的には、魚種として、イズミダイ、ナイルパーチ、コイ、草魚、アカマツダイ、イトヨリダイ、タラなどが挙げられる。鱗が多く、魚体から分離して回収し易い魚種が取り扱い易い。鱗に含まれるコラーゲン組織が豊富な魚種や、鱗に含まれる不要成分が少ない魚種の鱗が好ましい。
魚鱗は、魚体あるいは皮から分離した状態で使用する。魚鱗は、破砕あるいは粉砕しておいてもよいし、魚体から分離された鱗片のままでもよい。産業的に供給される魚鱗には、皮などの魚体の一部が付着していることがある。
魚鱗に付着した汚れや夾雑物を除去するために、水洗などの洗浄工程を行っておくことが望ましい。水洗工程を複数回繰り返すことで、汚れや夾雑物を十分に除去しておくことが好ましい。脱脂処理を行って脂分を除去しておくこともできる。
〔脱灰工程(a)〕
魚鱗を脱灰処理する。脱灰とは、リン酸カルシウムなどの無機物を除去する処理である。基本的には、通常の牛骨などに対する脱灰処理あるいはオセイン化処理と共通する方法が適用できる。
具体的には、魚鱗を、2.0〜5.0重量%の塩酸水溶液に投入し、1〜10時間、撹拌しながら保持することが有効である。処理時間は、魚鱗の脱灰が十分に行われれば十分である。処理温度は、0〜40℃の範囲に設定できる。
その後、塩酸水溶液を中和したり、魚鱗を取り出したり、取り出した魚鱗を水洗したり、水洗の終わった魚鱗を乾燥させたりすることができる。これらの処理も、通常のゼラチン製造技術における脱灰工程と共通する技術が適用できる。
〔酸漬工程(b)〕
脱灰工程(a)を終えた魚鱗を、酸に漬けて一定の時間保持する。これによって、ゼラチンの抽出温度を下げたり、品質特性を向上させたり、不純物含量を低減したりすることができる。
基本的には、牛骨などから酸処理ゼラチンを製造するときの酸漬技術と共通する技術が適用できる。
具体的には、魚鱗を、5〜10倍量の水に投入し、硫酸などの酸を加えてpH1.0〜3.0に調整し、2〜24時間保持する。処理温度は、10〜30℃に設定できる。
目的の処理が果たされれば、酸漬液から魚鱗を取り出す。その後、水洗を行って、余分の酸などを取り除くことができる。
〔抽出工程(c)〕
酸漬工程(b)を終えた魚鱗を、抽出処理する。
基本的には、牛骨などからゼラチンを製造するときの抽出技術と共通する技術が適用できる。
通常、原料を水や温水に漬けた状態で、撹拌しながら加熱して、原料に含まれる水溶性物質を液中に溶け出させる。いわゆる熱抽出方法が採用できる。この抽出処理によって、ゼラチンが抽出され水中に溶け出す。微細な固体状の不純物も含まれることがある。
熱抽出処理の温度は、魚鱗に含まれるコラーゲンあるいはゼラチン成分が効率的に抽出され、ゼラチンの過剰な分解が生じず、ゼラチン以外の不純物が出来るだけ抽出されないような温度条件が好ましい。具体的には、50〜85℃の範囲で抽出処理を行うことが好ましい。
魚鱗を投入する温水を、70〜90℃に設定しておくことができる。常温あるいはそれ以下の温度の魚鱗を、迅速に抽出温度まで上昇させることができる。但し、温水に魚鱗を投入することで、温水の温度は下がる。下がった温度を上昇させるために、加温を行う。
魚鱗および魚鱗が投入された液体を撹拌することで、魚鱗の加熱を効率的に行い、魚鱗からの抽出効率を高めることができる。
抽出工程を、複数段階で行う多段階抽出が採用できる。複数段階の抽出処理を、段階的に温度を変えて行うことができる。例えば、魚鱗を投入した液を加熱して、40〜90℃へと上昇させつつ、段階的に抽出液を取り出すことができる。温度が異なる抽出段階毎に、特性や品質の異なるゼラチンを含む抽出液が得られる。
〔メラニン除去工程(d)〕
抽出工程(c)で得られた抽出液からメラニンを分離除去する。
メラニンは、色素化合物として知られ、褐色あるいは黒色を呈する。魚鱗材料に豊富に含まれている。抽出工程において、ゼラチンとともに抽出されてくる。メラニンは水に不溶である。抽出液には、メラニンが、単独で含まれていたり、魚鱗の微細物に付着あるいは含有される形態で含まれていたりする。
メラニンを分離除去するためには、基本的に、通常のゼラチン製造などで採用されている特定物質の分離除去技術が適用される。具体的な処理装置や処理手順は、メラニンの特性に対応する適切な処理技術が適用される。例えば、遠心分離処理、粗濾過処理などが挙げられる。
<遠心分離処理>
遠心分離処理は、処理材料に遠心力を作用させて、液体と固体との分離、密度の違う物質の分離を効率的に行うことができる処理技術である。抽出液に遠心分離処理を行うことで、ゼラチン成分を含む抽出液から、メラニンを効率的に分離除去できる。メラニンとともに魚鱗の微細物などの不溶物質も除去できる。但し、遠心力による分離が困難な物質は除去され難いので、次工程である濾過工程も必要である。
遠心分離処理装置としては、通常の食品製造分野や化学品製造分野などで利用されている各種構造の遠心分離機が使用できる。
遠心分離処理の処理条件を、5000〜8000rpm、給液流量3.0〜10.0t/hに設定できる。好ましくは、7000〜8000rpm、給液粒量5.0〜7.0t/hである。遠心分離処理の間、処理液の温度は40〜80℃の範囲に維持しておくことが望ましい。
遠心分離処理では、ゼラチンが溶解されている上澄み液と、メラニンや魚鱗由来の微細物その他の水に溶解しない不純物を含む沈殿物とに分離される。
遠心分離工程を複数回繰り返せば、メラニンを含む不純物の除去がより確実に行える。
〔濾過工程(e)〕
メラニン除去工程(d)で得られた上澄み液を、濾過処理する。
基本的には、通常のゼラチン製造で採用されている濾過技術が適用される。前工程のメラニン除去工程を十分に行っていれば、濾過工程における処理条件には、大きな制限はない。
濾材として、濾紙や濾布などの一般的な材料が使用される。濾過性能や経済性に優れた濾材が好ましい。
濾過処理の温度は、40〜80℃に設定できる。
濾過工程を、濾材を変えて複数回繰り返せば、不純物の除去がより確実に行える。濾材が目詰まりも起こり難くなる。
〔その他の工程〕
上記した工程(a)〜(e)に加えて、通常のゼラチン製造技術で採用されている各種の処理工程を組み合わせることができる。
濾過工程で得られた濾過液を、脱塩処理することができる。脱塩処理は、遠心分離処理などのメラニン分離除去工程および濾過工程では除去し難いイオン性の不純物を効率的に除去することができる。イオン交換樹脂を使用することができる。
濃縮工程、冷却工程、成形工程、乾燥工程、粉砕工程なども、必要に応じて実施される。
〔魚ゼラチン〕
上記した製造技術によって、以下の性状を備えた魚ゼラチンが得られる。
粘度が1.0〜5.0mPa・s、好ましくは2.0〜4.0mPa・sである。
ゼリー強度が100〜400g、好ましくは120〜350gである。
光透過率85〜100%、好ましくは90〜100%である。
色差(b値)1.5〜6.0、好ましくは1.5〜5.0である。
このような魚ゼラチンは、通常の魚ゼラチンあるいは牛骨ゼラチンなどと同様にして、各種用途に利用することができる。具体的には、食品用のほか、化粧品用、写真用などがある。
魚ゼラチンを原料にして、コラーゲンペプチドを製造することもできる。コラーゲンペプチドは、魚ゼラチンを蛋白質分解酵素で分解処理することで得られる。得られたコラーゲンペプチドは、透明性が高く、臭いもないので、飲食品、化粧品、医薬品などに有効に利用できる。
本発明にかかる魚ゼラチンの製造方法は、まず、酸漬工程のあとで抽出工程を行うことによって、短い時間で効率的に高品質のゼラチンが抽出できるようになる。抽出工程のあとで、メラニン除去工程および濾過工程をこの順に行うことで、抽出液に含まれるゼラチン以外の不純物を効率的に除去でき、高純度かつ高品質のゼラチンを得ることができる。
特に、抽出工程のあと直ぐに濾過工程を行うと、メラニンなどによって濾材が目詰まりを起こし易く、工業的な大量生産あるいは連続生産が行い難いが、濾過工程の前にメラニン除去工程を行うことで、濾材の目詰まりを起こすメラニンなどの不純物を効率的に除去できる。メラニンなどが除去された抽出液に対する濾過工程では、目詰まりなどの問題は起こり難い。メラニン除去工程を加えることで、魚鱗由来の魚ゼラチンを、商業的に採算の合う規模あるいはコストで提供することが可能になる。
しかも、このようにして得られた魚ゼラチンは、極めて高品質のゼラチンとなる。特に、着色の原因となるメラニンが十分に除去されるので、着色の少ない透明性に優れたゼラチンを提供できる。
具体的に魚ゼラチンを製造し、その性能を評価した結果を説明する。
〔実施例1〕
新鮮なイズミダイの鱗を、水洗して、汚れや夾雑物を取り除き、乾燥させた。
乾燥した鱗を、8倍量の5.0%塩酸溶液につけ、撹拌しながら5時間かけて、リン酸カルシウムなどの無機物を除去する脱灰工程を行った。処理温度は約25℃であった。その後、水洗を10回繰り返した。
水洗を終えた鱗を、処理槽に溜めた8倍量の冷水に漬け、硫酸を加えて、およそpH2.0になるように調整した。10時間にわたって撹拌しながら酸漬工程を行った。処理温度は約25℃であった。
酸漬処理を終えたあと、処理槽から硫酸溶液を排水し、70〜90℃の温水を張る。原料を撹拌しながら抽出処理を行う。原料との接触で冷却された温水を加熱して、40℃から90℃へと徐々に昇温させた。昇温の過程で、3段階に分けて、抽出液を取り出した。
それぞれの段階で取り出された抽出液を、遠心分離機(ウェストファリアセパレータ社製、SC35−06−177またはSC35−36−177)を用いて、7500rpm、給液(処理)流量5.0〜7.0t/hで遠心分離処理を行った。遠心分離処理時の抽出液温度は、抽出段階によって異なるが、35〜65℃であった。遠心分離処理後の抽出液におけるメラニンの含有量は0.5重量%未満であり、抽出液の濁りは減少した。
遠心分離処理後の抽出液を、濾材として濾紙を用いた濾過装置で、濾過して清澄化した。処理温度は35〜65℃であった。
濾過液を、イオン交換樹脂に通液して不要なイオン性物質を取り除く脱塩処理を行った。その後、pHを5.6に調整し、真空濃縮し、殺菌したあと、常法により乾燥させて、魚ゼラチンを得た。
〔比較例1〕
原料として、イズミダイの皮を使用した。
凍結状態で保存されていたイズミダイの皮を解凍し、皮に対して1倍量の1.0%苛性ソーダで洗浄したあと、水洗を3回繰り返した。
水洗された原料を、1倍量の水に漬け、硫酸を加えてpH2.0に調整し、2時間にわたって浸漬しておく。
浸漬処理が終わると、処理槽から硫酸溶液を排水し、代わりに温水を張って、50〜60℃で抽出処理を行った。抽出は1回だけで終えた。
抽出液に対して、実施例1と同様の、遠心分離処理および濾過処理、脱塩処理、pH調整、濃縮、殺菌、乾燥を行い、魚ゼラチンを得た。
〔比較例2〕
原料として、牛骨を用い、実施例1と同じような処理工程を経て、牛骨ゼラチンを得た。
具体的には、直径0.5〜1.0cm程度に粉砕された牛骨を、5%塩酸溶液に浸漬して、脱灰処理を行った。
その後、3倍量の冷水に漬け、硫酸を加えてpH2.0に調整した状態で、2時間浸漬して酸漬工程を行った。
酸漬けのあと、実施例1と同じような手順および処理条件で、抽出処理を行った。3段階の多段抽出である。
それぞれの段階で取り出された抽出液を、遠心分離処理を行わずに、実施例1と同じ濾過処理を行った。その後の脱塩処理、pH調整、濃縮、殺菌、乾燥についても、実施例1と共通している。
このようにして、酸処理による牛骨ゼラチンが得られた。
〔比較例3〕
実施例1において、抽出工程のあと、遠心分離処理を行わずに、濾過工程から後の処理工程を行った。
濾過工程に供給された抽出液は、色が付いており、メラニンが大量に含まれていることが推定できる。実施例1で濾過工程に供給された抽出液よりも明らかに濃い色を呈していた。濾過工程を開始して15分後に、濾材である濾紙が目詰まりを起こし、それ以上の濾過処理が行えなくなった。
濾材に詰まった物質を分析したところ、黒色を呈するメラニンが大量に含まれていることが判明した。魚鱗微細物も含まれていた。
〔性能測定〕
粘度:JIS−K6503−2001に準じて測定した。
ゼリー強度:JIS−K6503−2001に準じて測定した。
光透過率:10%ゼラチン溶液を調製し、波長570nmの光線に対する光透過率を、分光光度計を用いて測定した。
色差(b値):10%ゼラチン溶液を調製し、色差計(日本電色工業社製、ZE−2000)を用いて、色差(b値)を測定した。b値が大きいほど、強い色(黄色)がついていることを表す。
臭い:10%ゼラチン溶液を調製し、5名のモニターが臭いを嗅いで、5段階で評価した。数値が大きいほど、臭いが強いことを表す。
〔測定結果〕
表1に試験結果を示す。
Figure 2006160654
〔評 価〕
(1) 同じ魚を原料にしても、皮を使った比較例1に比べて、鱗を使った実施例1では、光透過率が高くなり、色差は格段に小さくなっている。透明性に優れた高品質のゼラチンが得られている。魚に特有の臭いも、ほとんど無くなっている。
(2) 実施例1は、原料に牛骨を使った比較例2に比べても、光透過率は高く、色差は格段に小さく、透明性の高いゼラチンである。比較例2では、牛に特有の臭いが少し残っている。
(3) 比較例3のように、遠心分離処理を行わずに濾過処理を行うと、濾材が直ぐに目詰まりを起こして、処理が継続できなくなる。実験室レベルの少量の製造実施であれば、濾材を取り替えて、ゼラチンを得ることはできるが、工業的規模での生産、特に、連続的な自動生産を行うことは、実用的に困難であることが判る。
比較例3で、濾材に目詰まりを起こした物質を分析したところ、メラニンや魚鱗微細物が大量に含まれていることが判明した。メラニンは、魚燐に特有の物質であり、牛骨などには含まれていない。
本発明の製造方法は、牛骨などの家畜原料を使用したときに生じる問題を回避した上で、高品質なゼラチンを効率的かつ経済的に製造することができる。その結果、従来、家畜由来のゼラチンが使用されていた各種食品用途や化粧品用途のゼラチンを、家畜原料を使用しない魚ゼラチンに置き換えることができる。

Claims (7)

  1. 魚鱗を原料とするゼラチンの製造方法であって、
    魚鱗を脱灰処理する脱灰工程(a)と、
    前記脱灰工程(a)を終えた魚鱗を酸に漬けて保持する酸漬工程(b)と、
    前記酸漬工程(b)を終えた魚鱗に抽出処理を行う抽出工程(c)と、
    前記抽出工程(c)で得られた抽出液からメラニンを分離除去する工程(d)と、
    前記メラニン除去工程(d)で得られた上澄み液を濾過処理する濾過工程(e)と
    を含む魚ゼラチンの製造方法。
  2. 前記メラニン除去工程(d)が、メラニン含有量0.5重量%以下の上澄み液を得る
    請求項1に記載の魚ゼラチンの製造方法。
  3. 前記メラニン除去工程(d)が、遠心分離処理である
    請求項1または2に記載の魚ゼラチンの製造方法。
  4. 前記脱灰工程(a)が、前記魚鱗を、2.0〜5.0重量%の塩酸水溶液に投入し、1〜10時間、撹拌しながら保持したあと、中和する
    請求項1〜3の何れかに記載の魚ゼラチンの製造方法。
  5. 前記酸漬工程(b)が、前記魚鱗を、5〜10倍量の水に投入し、酸を加えてpH1.0〜3.0に調整し、2〜24時間保持する
    請求項1〜4の何れかに記載の魚ゼラチンの製造方法。
  6. 前記抽出工程(c)が、前記魚鱗を、70〜90℃の温水に投入したあと、撹拌しながら温度を40〜90℃へと上昇させつつ段階的に抽出液を取り出す
    請求項1〜5の何れかに記載の魚ゼラチンの製造方法。
  7. 魚鱗から抽出されたゼラチンであって、
    粘度1.0〜5.0mPa・s、
    ゼリー強度100〜400g、
    光透過率85〜100%、
    色差(b値)1.5〜6.0
    である魚ゼラチン。
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