JP2003183595A - ゲル化特性に優れたゼラチン - Google Patents

ゲル化特性に優れたゼラチン

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JP2003183595A JP2001386760A JP2001386760A JP2003183595A JP 2003183595 A JP2003183595 A JP 2003183595A JP 2001386760 A JP2001386760 A JP 2001386760A JP 2001386760 A JP2001386760 A JP 2001386760A JP 2003183595 A JP2003183595 A JP 2003183595A
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Toru Furukawa
徹 古川
Tetsuya Ishikawa
哲也 石川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 速やかにゲル化するとともに、その後のゲル
強度変化が少ない、新規なゼラチンを提供する。 【解決手段】 本発明に係るゼラチンは、パギイ法(写
真用ゼラチン試験法、第8版、1997年)に基づく高
速液体クロマトグラフ分析における、溶出開始からの時
間が22.4分以降24.4分未満の間に溶出した成分
をβ成分、24.4分以降26.7分未満の間に溶出し
た成分をα成分、26.7分以降に溶出した成分を低分
子量成分としたとき、各成分の前記クロマトグラフ分析
での面積百分率が、 α成分(%)+β成分(%)≧48(%) かつ、 低分子量成分(%)≦23(%) なる関係を有する。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ゲル化特性に優れ
たゼラチンに関する。さらに詳しくは、速やかにゲル化
すると共に、その後のゲル強度変化が少ない、新規なゼ
ラチンに関する。 【0002】 【従来の技術】ゼラチンをゲル化させて得られるゼラチ
ンゼリーは特有の弾力食感を有するため、各種の食品と
して多用されている。食品としての一定強度を有するゼ
ラチンゼリーを作る場合、冷蔵庫などで冷却しても、一
般に最低でも3〜4時間の冷却が必要である。また、短
時間でゲル化させようとしてゼラチン添加量を増加させ
ると、ゲル強度の経時変化が大きくなってしまい、食す
るのに適当な時間を経過してしまうとゼリーが固くなり
すぎて、味立ちの悪いゼリーとなる。さらに、氷水など
によって冷却温度を下げるとゲル化速度は速くなるが、
ゲル強度の経時変化がさらに大きくなってしまい、ゲル
強度の制御が困難となって大量生産に向かないものとな
る。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ゼラチンゼリーを作る
際に、所望の強度に到達するまでの時間を短くすること
ができ、かつ、その後のゲル強度変化が少なくできれ
ば、広い範囲の冷却時間で高品質(食感、味など)のゼ
リーを得ることが出来る。また、ゲル化速度が速けれ
ば、その後のゼリーの二次加工(多層化、トッピング、
デコレーションなど)を速やかに行うことができる。さ
らに、ゼリーの出荷・販売が短時間で可能となるため、
迅速な商品流通が要求されるコンビニエンス業界におい
ては特に好ましいものとなる。 【0004】しかし、そのような特性を有するゼラチン
は従来得られていなかった。そこで、本発明の解決しよ
うとする課題は、速やかにゲル化するとともに、その後
のゲル強度変化が少ない、新規なゼラチンを提供するこ
とにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するため鋭意検討を行った。その結果、ゼラチンの
分子量を、従来にない特定の分布状態を有するように制
御することにより、速やかにゲル化するとともに、その
後のゲル強度変化が少ない新規なゼラチンが得られるこ
とを見出した。すなわち、本発明に係るゼラチンは、パ
ギイ法に基づく高速液体クロマトグラフ分析における、
溶出開始からの時間が22.4分以降24.4分未満の
間に溶出した成分をβ成分、24.4分以降26.7分
未満の間に溶出した成分をα成分、26.7分以降に溶
出した成分を低分子量成分としたとき、各成分の前記ク
ロマトグラフ分析での面積百分率が、 α成分(%)+β成分(%)≧48(%) かつ、 低分子量成分(%)≦23(%) なる関係を有する。 【0006】 【発明の実施の形態】以下、本発明に係るゼラチンに関
する詳細について具体的に説明するが、本発明の範囲は
これらの説明に何ら拘束されることはなく、以下の例示
以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜
実施し得る。ゼラチンは一般にトリプルへリックス構造
を有するコラーゲンへリックス分子の集合体であるコラ
ーゲンを水中で加熱し変性させて得られ、前記コラーゲ
ンへリックス分子に由来するシングルへリックス分子
(α鎖)成分、ダブルへリックス分子(β鎖)成分、ダ
ブルへリックス分子(β鎖)成分よりも高分子量の成
分、シングルへリックス分子(α鎖)成分よりも低分子
量の成分を含有し、これら成分の含有割合に基づく分子
量分布を形成する。 【0007】本発明者は、速やかにゲル化するととも
に、その後のゲル強度変化が少ない、新規なゼラチンを
提供するという課題を解決するために、この分子量分布
に着目した。そして、分子量分布をこれまでにない特定
の分布状態に制御することにより、目的とする新規なゼ
ラチンが得られることを見出したのである。具体的に
は、ゼラチンの分子量分布を、分子量が約10万程度の
シングルへリックス分子(α鎖)成分と分子量が約20
万程度のダブルへリックス分子(β鎖)成分との合計含
有率を一定割合以上となるように制御するとともに、シ
ングルへリックス分子(α鎖)成分より低分子量の成分
の割合を一定割合以下となるように制御することによ
り、速やかにゲル化するとともに、その後のゲル強度変
化が少ない、新規なゼラチンを提供できることを見出し
た。 【0008】すなわち、本発明に係るゼラチンは、トリ
プルへリックス構造を有するコラーゲンへリックス分子
の集合体であるコラーゲンを水中で加熱し変性させて得
られるゼラチンであって、該ゼラチン中の、前記コラー
ゲンへリックス分子に由来するシングルへリックス分子
(α鎖)成分とダブルへリックス分子(β鎖)成分との
合計含有率が48重量%以上であり、かつ、シングルへ
リックス分子(α鎖)成分より低分子量の成分の含有率
が23重量%以下であることを特徴とする。上記シング
ルへリックス分子(α鎖)成分とダブルへリックス分子
(β鎖)成分とは、ゲル化の際、共に絡み合ってヘリッ
クス構造となることによってゼラチンゼリーとして実用
的に求められる一定のゼリー強度を達成し得る成分であ
るが、これらシングルへリックス分子(α鎖)成分とダ
ブルへリックス分子(β鎖)成分との合計含有率は、好
ましくは50重量%以上、より好ましくは51重量%以
上、さらに好ましくは52重量%以上、さらにより好ま
しくは53重量%以上、特に好ましくは54重量%以上
である。 【0009】シングルへリックス分子(α鎖)成分とダ
ブルへリックス分子(β鎖)成分との合計含有率が48
重量%未満の場合には、ゼリー強度が低いゼラチンゼリ
ーとなり実用性に欠け、ゲル化速度も低下してしまうお
それがある。また、一旦ゲル化した後のゲル強度変化
(冷却時間の経過に対するゲル強度の増加分)が大きく
なってしまうおそれがある。シングルへリックス分子
(α鎖)成分より低分子量の成分は、ゼラチンゼリーの
ゲル化の促進に関して積極的に作用するものではなく、
上記α鎖成分とβ鎖成分とのへリックス構造に影響を及
ぼし結果的にゲル化には消極的に作用し得る成分である
が、シングルへリックス分子(α鎖)成分より低分子量
の成分の含有率は、好ましくは22.5重量%以下、よ
り好ましくは22重量%以下、さらに好ましくは21.
5重量%以下、さらにより好ましくは21重量%以下、
特に好ましくは20.5重量%以下である。 【0010】低分子量成分の含有率が23重量%を超え
る場合は、ゲル化速度が著しく低下し、ゼラチンゼリー
が必要以上にべたつき感を有するものとなるおそれがあ
るとともに、一旦ゲル化した後のゲル化速度が大きくな
ってしまうおそれがある。さらに、本発明に係るゼラチ
ンは、パギイ法(写真用ゼラチン試験法、第8版、19
97年)に基づく高速液体クロマトグラフ分析におけ
る、溶出開始からの時間が22.4分以降24.4分未
満の間に溶出した成分をβ成分、24.4分以降26.
7分未満の間に溶出した成分をα成分、26.7分以降
に溶出した成分を低分子量成分としたときの各成分のク
ロマトグラフ分析における面積百分率α成分(%)、β
成分(%)、低分子量成分(%)が、 α成分(%)+β成分(%)≧48(%)、かつ、低分
子量成分(%)≦23(%) なる関係を有する。 【0011】この関係は、ゼラチンの分子量分布を、分
子量が約10万程度のシングルへリックス分子(α鎖)
成分(α成分)と分子量が約20万程度のダブルへリッ
クス分子(β鎖)(β成分)成分との合計含有率を一定
割合以上となるように制御するとともに、シングルへリ
ックス分子(α鎖)成分より低分子量である上記低分子
量成分の割合を一定割合以下となるように制御すること
について、よく知られたパギイ法に基づく分子量分布測
定で得られる数値で表現したものである。パギイ法(P
AGI法)は、ゼラチンメーカーと写真感光材料メーカ
ーとの間に共通の試験法を作る目的で設けられた合同審
議会で制定されている実用的試験法である。 【0012】パギイ法(写真用ゼラチン試験法、第8
版、1997年)に基づく高速液体クロマトグラフ分析
の試験条件の詳細については実施例において後述する。
上記α成分とβ成分とは、ゲル化の際、共に絡み合って
ヘリックス構造となることによってゼラチンゼリーとし
て実用的に求められる一定のゼリー強度を達成し得る成
分であるが、α成分+β成分の面積百分率は、好ましく
は50%以上、より好ましくは51%以上、さらに好ま
しくは52%以上、さらにより好ましくは53%以上、
特に好ましくは54%以上である。α成分+β成分の面
積百分率が48%未満の場合には、ゼリー強度が低いゼ
ラチンゼリーとなり実用性に欠け、ゲル化速度も低下し
てしまうおそれがある。また、一旦ゲル化した後のゲル
強度変化(冷却時間の経過に対するゲル強度の増加分)
が大きくなってしまうおそれがある。 【0013】上記低分子量成分は、ゼラチンゼリーのゲ
ル化の促進に関して積極的に作用するものではなく、上
記α鎖成分とβ鎖成分とのへリックス構造に影響を及ぼ
し結果的にゲル化には消極的に作用し得る成分である
が、低分子量成分の面積百分率は、好ましくは22.5
%以下、より好ましくは22%以下、さらに好ましくは
21.5%以下、さらにより好ましくは21%以下、特
に好ましくは20.5%以下である。低分子量成分の面
積百分率が23%を超えると、ゲル化速度が著しく低下
し、ゼラチンゼリーが必要以上にべたつき感を有するも
のとなるおそれがあるとともに、一旦ゲル化した後のゲ
ル化速度が大きくなってしまうおそれがある。 【0014】また、本発明に係るゼラチンは、上記パギ
イ法に基づく高速液体クロマトグラフ分析における、溶
出開始からの時間が22.4分未満の間に溶出した成分
すなわちγ成分を、クロマトグラフ分析における面積百
分率で29〜52%含むことが好ましく、より好ましく
は30〜52%、さらにより好ましくは31〜52%で
ある。このγ成分の面積百分率が上記範囲内であると、
ゲル化の際、上記α成分とβ成分とが絡み合ってなるヘ
リックス構造が速やかに形成されゲル化速度を増加させ
ることができる。また、29%未満の場合は、上記へリ
ックス構造の形成が速やかに進行せずゲル化速度が低下
するおそれがあり、52%を超える場合は、ゼラチン溶
液としての粘性が高くなりすぎ取扱いが困難となるほ
か、ゼリー強度が低いゼラチンゼリーとなり実用性に欠
け、ゲル化速度も低下してしまう。 【0015】上述した本発明に係るゼラチンは、その特
有の分子量分布形態により、速やかにゲル化するととも
に、その後のゲル強度変化が少ない、新規なゼラチンで
ある。本発明に係るゼラチンは、従来のゼラチンに比べ
て速やかにゲル化することができる。具体的には、下記
実施例において詳述する「ゲル化速度(ゲル強度が10
gに到達するまでに必要な時間)」が、好ましくは2.
5時間以下、より好ましくは2.3時間以下、さらに好
ましくは2.1時間以下、さらにより好ましくは2.0
時間以下、特に好ましくは1.9時間以下である。従来
のゼラチンのゲル化速度は3.0時間程度を超えるもの
が通常であったので、本発明に係るゼラチンはゲル化速
度で約1時間程度以上の速度促進である。この1時間程
度以上のゲル化速度促進の効果は非常に大きく、その後
のゼリーの二次加工(多層化、トッピング、デコレーシ
ョンなど)を速やかに行うことができるとともに、さら
に、ゼリーの出荷・販売が短時間で可能となるため、迅
速な商品流通が要求されるコンビニエンス業界において
は特に好ましいものとなる。 【0016】本発明に係るゼラチンは、さらに、従来の
ゼラチンに比べてゲル化後のゲル強度の経時的変化が少
ない。具体的には、下記実施例において詳述する「ゲル
強度変化比(冷却開始4時間後のゲル強度と16時間後
のゲル強度との比)」が、好ましくは1.8以下、より
好ましくは1.75以下、さらに好ましくは1.7以
下、さらにより好ましくは1.65以下、特に好ましく
は1.6以下である。従来のゼラチンのゲル強度変化比
は1.8を超えるものが通常であるため、本発明に係る
ゼラチンはゲル化後のゲル強度の変化(ゲル強度の増
加)が非常に少ないのである。よって、ゼラチンゼリー
の二次加工や出荷・販売が速やかに行えることに加え、
その後、長時間適度なゲル強度、ひいては長時間高品質
を保つことができる。 【0017】本発明に係るゼラチンの製造方法は特に限
定されないが、好ましくは以下のような方法である。原
料としては、コラーゲンを含む組織を有する、牛骨お
よび豚骨などの骨原料、牛皮および豚皮などの皮原
料、サメなどの魚原料などが一般的に好ましく挙げら
れ、より好ましくは骨原料であり、なかでも牛骨が特
に好ましく、本発明のゼラチンを容易に得ることができ
る。牛骨については、最終的に、構成成分の約75%を
占める無機質を除去したものを原料とすることが好まし
い。 原料として牛骨、豚骨などの骨原料を用いる場合は、
まず原料の粉砕を行い(粉砕工程)、その後、脱脂(脱
脂工程)、脱灰(脱灰工程)をした後、水洗いし、酸処
理(酸処理工程)またはアルカリ処理(アルカリ処理工
程)といった前処理を施し、再度水洗いした後、ゼラチ
ンを抽出(抽出工程)する。詳しくは、牛骨は前処理と
してアルカリ処理および酸処理のいずれを選択して行っ
てもよく、豚骨は前処理として主にアルカリ処理を行
う。 【0018】粉砕工程においては、特に限定されるわけ
ではなく、従来公知の方法を用いればよいが、まず粉砕
前の骨原料(生鮮骨)に混入している木片や鉄片などの
異物を除去しておく。その後、荒粉砕し、合わせて、除
鉄器などにより再度鉄片等を取り除いておくことが好ま
しい。さらに、粉砕機などによって、最終的に20mm
以下になるように粉砕することが好ましく、より好まし
くは15mm以下である。特に、牛骨の場合は、15m
m以下にすることが好ましい。最終的に粉砕した骨の大
きさが、20mmを超える場合は、後の脱脂および脱灰
の処理を十分に行うことができず、アルカリ処理および
酸処理においても均一な処理を行うことができないた
め、品質の良好なゼラチンが得られないおそれがある。 【0019】脱脂工程においては、特に限定されるわけ
ではなく、従来公知の方法を用いればよいが、できるだ
けコラーゲンの劣化を防ぎながら、骨から脂肪分を十分
に除去することが好ましい。脱脂の方法としては、ベン
ゼンまたは塩素化炭化水素などを用いて脂肪分を抽出
し、さらに水蒸気で骨に残留する溶媒を追い出す溶媒法
や、温熱水により処理する湿式脱脂法などが好ましく挙
げられるが、なかでも、湿式脱脂法が、短時間であり処
理環境も穏やかであるためコラーゲンの劣化を低減する
ことができ、より好ましい。湿式脱脂法といえども、熱
を加わるため、潜在的にはコラーゲンの劣化要因を含ん
でいるといえるが、できるだけ低温で短時間の処理で済
む改良方法として、遠心分離操作を湿式脱脂法と組み合
わせた方法が特に好ましく挙げられる。また、湿式脱脂
法の改良法として、生鮮骨を水とともに高速回転する破
砕機に供給し、水の衝撃により物理的に脂肪を流出さ
せ、その後、砕骨を熱水で短時間処理する方法も挙げる
ことができる。 【0020】湿式脱脂法においては、処理温度は、特に
限定されるわけではないが、75〜90℃であることが
好ましく、より好ましくは80〜85℃である。上記処
理温度が、75℃未満の場合は、十分な脱脂が行われな
いおそれがあり、90℃を超える場合は、ゼラチンの品
質低下が顕著となる程度にコラーゲンが劣化するおそれ
がある。脱灰工程においては、特に限定されるわけでは
なく、従来公知の方法を用いればよいが、コラーゲンの
劣化およびロスを抑えつつ、砕骨中の無機質をできるだ
け除去することが好ましい。砕骨中の無機質は、一般
に、リン酸カルシウムを主成分とするものであり、塩酸
で処理し溶出させることが好ましく、上記脱灰工程は酸
漬工程とも称される。 【0021】使用する塩酸の濃度は、特に限定はされな
いが、具体的には、2.5〜4.5重量%であることが
好ましく、より好ましくは3.0〜4.0重量%であ
る。塩酸の濃度が、4.5重量%を超える場合は、ゼラ
チンの品質低下が顕著となる程度にコラーゲンが劣化す
るおそれがあり、2.5重量%未満の場合は、脱灰が十
分になされないおそれがある。脱灰工程(酸漬工程)に
おける温度管理は、特に限定はされないが、具体的に
は、例えば、後述するカウンターフロー方式の酸漬処理
における新鮮な塩酸の温度を、通常、20℃以下に保つ
ことが好ましく、より好ましくは13〜19℃、さらに
より好ましくは14〜18℃である。温度を均一に保つ
ため、ポンプなどによる液循環を行うことが好ましい。
上記温度管理において、20℃を超える場合があると、
ゼラチンの品質低下が顕著となる程度にコラーゲンが劣
化するおそれがある。 【0022】脱灰工程(酸漬工程)の処理期間は、特に
限定はされるわけではなく、砕骨のサイズにも依存する
が、具体的には、3〜8日とすることが好ましく、より
好ましくは4〜7日である。上記処理期間が、8日を超
える場合は、ゼラチンの品質低下が顕著となる程度にコ
ラーゲンが劣化するおそれがあり、3日未満の場合は、
無機質を十分除去できないおそれがある。上記脱灰工程
(酸漬工程)の方法としては、特に限定されるわけでは
ないが、通常、具体的には、一列系4〜8個の耐酸タン
クを用いて、これら耐酸タンクに砕骨を順次仕込み、塩
酸で処理する、カウンターフロー方式の酸漬処理が好ま
しく挙げられる。すなわち、酸漬の終点に近い砕骨入り
タンクに、新鮮な塩酸を供給し、砕骨を仕込んだばかり
のタンクには、最も使い古された塩酸溶液を接触させる
ように、酸を順次移動させる処理方法が好ましい。 【0023】上記脱灰工程(酸漬工程)の後に残るコラ
ーゲンを主成分とする物質は、オセインと称される。上
記脱灰工程後のオセインは、通常、残留している酸を除
くため、水洗機などで水洗いすることが好ましい。その
際、特に限定されるわけではないが、必要に応じて、希
石灰乳などで中和してもよい。脱灰工程および水洗いに
引き続き、いわゆる前処理(酸処理工程、アルカリ処理
工程など)を行うことが好ましい。この前処理を行った
場合、後の抽出工程での抽出温度を低下させることがで
き、結果的に特性値の上昇、不純物含量の低下、高品質
品の収量増化をもたらす。また、この前処理を行わない
場合であっても、例えば、pHなどを調整した水に浸漬
した状態で加熱処理する方法などによって、前処理と同
等もしくはそれ以上の効果を得ることもできる。前処理
としては、その他、酵素処理なども可能である。 【0024】アルカリ処理工程では、原料を、石灰懸濁
液(石灰乳)を満たした容器の中に漬けて処理する(石
灰漬)。詳しくは、原料の膨潤は陽イオンの種類によっ
て異なるがCaイオンは好適であって安価でもあるの
で、消石灰を懸濁させた石灰乳を満たした容器の中に漬
けることが好ましい。アルカリ処理により原料をアルカ
リ性にすることで、組織を膨潤させてルーズにし、コラ
ーゲン鎖を架橋する共有結合の一部を切ることができ、
また、コラーゲンと何らかの形で結合している脂肪、コ
ラーゲン以外の蛋白質およびムコ多糖類などを除去する
ことができる。すなわち、アルカリ処理によって、コラ
ーゲンの繊維構造の安定性を低下させ、かつ、不純物含
有量を低下させることができる。 【0025】アルカリ処理工程においては、アルカリの
カチオン種は、上述のようにCaイオンが好適である
が、特に限定されるわけではなく、例えば、水酸化カル
シウム、または、水酸化カルシウムと水酸化ナトリウム
との併用などを好ましく挙げることができる。アルカリ
処理工程においては、pHは、特に限定されるわけでは
ないが、11.5〜13.5であることが好ましく、よ
り好ましくは12.5〜13.0である。pHが11.
5より小さい場合は、コラーゲン鎖を架橋する結合を十
分に切ることができず、品質の十分なゼラチンを抽出で
きないおそれがあり、13.5より大きい場合は、コラ
ーゲン主鎖のペプチド結合を切断する程度が大きくな
り、原料の物理的な崩壊、アルカリ処理中のゼラチンの
溶出が起こり、次段階である抽出工程において濁度の増
加や収率の低下を引き起こすおそれがある。 【0026】アルカリ処理工程においては、処理温度
は、特に限定されるわけではないが、22℃以下である
ことが好ましく、より好ましくは15〜21℃、さらに
より好ましくは16〜20℃である。処理温度が22℃
を超える場合は、コラーゲン主鎖のペプチド結合を切断
する程度が大きくなり、原料の物理的な崩壊、アルカリ
処理中のゼラチンの溶出が起こり、次段階である抽出工
程において濁度の増加や収率の低下を引き起こすおそれ
がある。アルカリ処理工程においては、処理期間は、特
に限定されるわけではなく、原料の状態とどの程度の品
質を希望するかとによって異なるが、具体的には、例え
ば、30〜100日が好ましく、より好ましくは40〜
80日、さらにより好ましくは50〜70日である。処
理期間が、30日未満の場合は、コラーゲン鎖を架橋す
る結合を十分に切ることができず、品質の十分なゼラチ
ンを抽出できないおそれがあり、100日を超える場合
は、コラーゲン鎖どうしの結合が切れすぎるためゼラチ
ンが劣化するおそれがある。 【0027】アルカリ処理工程においては、必要に応じ
て、石灰懸濁液(石灰乳)の攪拌や交換などを行うこと
が好ましい。上述のようにアルカリ処理を行った後は、
原料の表面や内部にある石灰を除去するため、通常、攪
拌しながら多量の水で洗い、次いで、無機酸で中和した
後、さらに残存する過剰の酸を流水で除去しておくこと
が好ましい。酸処理工程では、原料を、各種酸あるいは
それらの混合液に漬けて処理する(酸漬)。酸処理によ
れば、コラーゲン以外の蛋白質の一部は酸漬中に溶出さ
せて除去するこができ、一部は後述する抽出中に凝固さ
せることによって除去することができる。特に、脂肪
は、この酸処理と抽出時のpHによりその大部分を遊離
脂肪酸として浮上させ除去することができる。上記アル
カリ処理によるコラーゲン鎖の架橋結合の切断は、一部
はこの酸処理によっても可能であるが、他は後述する抽
出中に好ましくなされる。 【0028】酸処理工程においては、使用する酸として
は、特に限定されるわけではないが具体的には、塩酸、
硫酸、亜硫酸、リン酸等あるいはこれらの混合液が好ま
しい。酸処理工程においては、pHは、特に限定される
わけではないが、3.0〜4.5であることが好まし
く、より好ましくは3.5〜4.0である。pHが3.
0より小さい場合は、コラーゲンが劣化し、十分な品質
のゼラチン得られないおそれがあり、4.5より大きい
場合は、十分な収量のゼラチンが得られないおそれがあ
る。 【0029】酸処理工程においては、処理温度は、特に
限定されるわけではないが、30℃以下であることが好
ましく、より好ましくは15〜25℃である。処理温度
が30℃を超える場合は、コラーゲンが劣化し、十分な
品質のゼラチンが得られないおそれがある。酸処理工程
においては、処理期間は、特に限定されるわけではな
く、原料の状態とどの程度の品質を希望するかとによっ
て異なるが、具体的には、例えば、10〜48時間が好
ましく、より好ましくは15〜36時間である。処理期
間が、10時間未満の場合は、コラーゲン鎖どうしの結
合を十分に切ることができないため、品質の十分なゼラ
チンを抽出することができないおそれがあり、48時間
を超える場合は、コラーゲン鎖間の結合が切れすぎるた
め抽出後のゼラチンも劣化するおそれがある。 【0030】上述のように酸処理を行った後は、原料の
表面や内部にある酸を流水で除去しておくことが好まし
い。抽出工程では、上記各種処理を経たコラーゲンを含
む原料を、その状態や前処理の程度から適宜経験的に決
められる温度の温水に浸漬して一定時間その温度に保持
することによりゼラチンの抽出を行う。詳しくは、上記
コラーゲンを含む原料から、上記浸漬および保持するこ
とで、コラーゲンへリックスが種々の長さに分解された
ランダムコイルを、温水中に溶出させることが好まし
い。抽出工程においては、抽出の操作は、特に限定され
るわけではないが、バッチ式で且つ回分的(以下、回分
式に、と称することがある。)に抽出を行うことが、バ
ッチにより異なる分子量分布の抽出液を得ることがで
き、ひいてはバッチにより種々の特性を有するゼラチン
を得ることができるため好ましい。詳しくは、抽出用容
器において一旦一定時間抽出を行った後、抽出液を取り
出し、残った原料に再び温水を加え、抽出するという操
作を繰り返すという回分的な抽出の操作が好ましい。通
常一般的には、この際、最初の抽出(抽出液)を1番抽
出(1番抽出液)と称し、2回目の抽出(抽出液)を2
番抽出(2番抽出液)と称し、以降同様に、順に抽出回
数に応じて称するが、各バッチの条件的定義などは特に
制限されず、後述する各種抽出条件を任意に組み合わせ
ることによって、適宜所望のバッチ条件を設定すること
ができる。すなわち、具体的には、1番抽出を例に挙げ
た場合、一義的にその抽出温度や抽出時間などが決まる
わけではなく、単に、一旦抽出液を取り出すまでの操作
をいうに留まるとし、抽出における各種条件は好ましい
範囲で任意に設定してもよい。 【0031】回分式抽出方法においては、抽出回数は、
特に限定はされないが、具体的には、1〜8回程度でよ
いが、通常一般的には、好ましくは3〜7回である。回
分式抽出方法においては、抽出温度は、特に限定するわ
けではないが、上記前処理を行った場合は、具体的に
は、例えば、1番抽出は50〜80℃であることが好ま
しく、より好ましくは55〜75℃であり、2番抽出は
60〜90℃であることが好ましく、より好ましくは6
5〜85℃であり、それ以降は各バッチにおいては、最
終的に100℃まで徐々に昇温し抽出を行う。各バッチ
において、抽出温度が高すぎると、必要以上にコラーゲ
ン分子や溶出したゼラチンを分解し、最終的に得られる
製品の品質低下を引き起こすおそれがあり、また、抽出
温度は可能な限り低い方が好ましいものの、低すぎる
と、必然的に抽出時間も長時間になり、かえってゼラチ
ンのゼリー強度などの特性を低下させるおそれがある。 【0032】回分式抽出方法においては、抽出時間は、
特に限定するわけではないが、上記前処理を行った場合
は、具体的には、例えば、1番抽出は1〜7時間である
ことが好ましく、より好ましくは2〜6時間であり、2
番抽出は1〜7時間であることが好ましく、より好まし
くは2〜6時間であり、それ以降はバッチ毎に1〜7時
間であることが好ましく、より好ましくは2〜6時間で
ある。抽出時間が長すぎると、必要以上にコラーゲン分
子や溶出したゼラチンを分解して製品品質が悪化したり
(抽出温度が高温の場合)、ゼリー強度などの特性が低
下したり(抽出温度が低温の場合)するおそれがある。 【0033】抽出工程において、上記前処理としてアル
カリ処理を行った場合は、抽出時のpHは、特に限定さ
れるわけではないが、具体的には、中性〜弱酸性を示す
値であることが好ましく、より好ましくは6.0〜7.
5である。また、上記前処理として酸処理を行った場合
は、抽出時のpHは、特に限定されるわけではないが、
具体的には、3.0〜5.0であることが好ましく、よ
り好ましくは3.5〜4.5である。本発明に係るゼラ
チンは、抽出工程において、回分的な抽出により、7回
バッチ抽出操作を行い、その1回目と2回目の抽出液
(1番抽出液と2番抽出液)を主として用いて得ること
が好ましい。 【0034】抽出工程において用いられる装置(抽出用
容器)としては、各抽出後、抽出液が原料を分離して効
率良く取り出されること、および、強い攪拌無しで温度
が均一に保たれるものであればよく、特に限定されるわ
けではない。抽出時の加熱は、直火式加熱、直火間接式
加熱、蒸気式加熱、マイクロ波などの高周波による加熱
などを適宜使用すればよい。 原料として牛皮、豚皮などの皮原料を用いる場合は、
原料を水洗いし、酸処理(酸処理工程)またはアルカリ
処理(アルカリ処理工程)といった前処理を施し、再度
水洗いした後、ゼラチンを抽出(抽出工程)する。詳し
くは、牛皮は、前処理としてアルカリ処理を行うことが
好ましく、豚皮は酸処理を行うことが好ましい。前処理
としては、その他、酵素処理なども好適である。皮原料
を用いる場合は、上記水洗いから前処理を行う前に、脱
毛などの従来公知の必要な処理をしておくことが好まし
い。 【0035】皮原料を用いる場合の、前処理(アルカリ
処理、酸処理など)や、抽出工程については、上記骨原
料の説明での記載内容と同様であることが好ましいが、
適宜、皮原料に好適な従来公知の条件、操作を新たに設
定してもよい。 原料としてサメなどの魚原料を用いる場合は、原料を
水洗いし、脱脂、石灰漬、脱灰、中和して準備し、その
後、ゼラチンの抽出を行う。このような魚原料を用いる
場合のゼラチン抽出までの各操作工程において、上記骨
原料を用いた場合と同様の操作工程については、上記骨
原料の説明での記載内容と同様であることが好ましい
が、適宜、魚原料に好適な従来公知の条件、操作を新た
に設定してもよい。 【0036】上記骨原料、皮原料、魚原料などの
各種コラーゲン原料から、抽出工程を経てゼラチン溶液
を得た後は、従来公知の方法により、精製工程、濃縮工
程、殺菌工程、冷却・形成工程、乾燥工程および製品化
工程などの操作を順に行い、ゼラチンを得ることが好ま
しい。精製工程では、特に限定はされないが、一般的に
は、従来公知の種々の方法でろ過を行い、さらに必要に
応じて、清澄化や脱塩を行うことが好ましい。ろ過の際
のろ材としては、コットンパルプ、ろ紙、ろ布などが用
いられ、種々のろ過機が併用して行う。ろ過は上記抽出
直後に行うことが好ましい。また、2回目のろ過を行う
場合は、一旦ろ過したものを後述する濃縮をし、その後
ろ過することが好ましい。清澄化には、遠心分離で除去
する方法や、ゼラチン溶液中で沈殿を生じさせ浮遊コロ
イドを共沈させる方法などが好ましく挙げられる。脱塩
には、通常、イオン交換樹脂がよく用いられ、これによ
り極めて灰分の少ないゼラチンが得ることができる。 【0037】濃縮工程では、乾燥工程の前になるべく水
分を除去しておくことを目的とし、特に限定はされない
が、多段式、薄膜式などのエネルギー的に効率の良い装
等を使用して行うことが好ましい。濃縮の限度は、主に
粘度に依存し、通常、比較的粘度の低いものは50%程
度まで濃縮することができ、比較的濃度の高いものは3
0%程度まで濃縮することができる。殺菌の方法は特に
限定はされないが、熱交換装置等で、ごく短時間の高温
加熱により行うことが好ましい。冷却・成形工程では、
特に限定はされないが、通常、一定の容器にゾルを流し
込み空冷や水冷によってゼリー化(ゲル化)して適当な
大きさ形状にする方法や、連続的にゲル化してサイコロ
状、短冊状、うどん状あるいは球状などの不定形にする
方法、などがある。 【0038】乾燥工程では、特に限定はされないが、噴
霧乾燥および冷凍乾燥や、ゼラチンのゲルを得た後乾燥
する方法などが挙げられる。なかでも、製品物性、コス
トの面からゲルを得た後乾燥する方法がより好ましい。
板状のゲルを乾燥する場合は、ステンレス製などの金網
にのせ、または通気したトンネル内で乾燥することが好
ましい。破砕したゲルや、サイコロ状、短冊状、うどん
状あるいは球状などの不定形なゲルは、板状よりも表面
積が大きいため、乾燥時間を短くすることができる。不
定形なゲルを乾燥させる場合、特に限定はされないが、
具体的には、従来公知の静置式ドライヤー、ロータリー
ドライヤー、バンドドライヤー、流動層ドライヤーなど
を用いることが好ましい。 【0039】製品化工程では、用途によって、粉体状に
する場合があり、カッティングミル、ハンマーミル、ピ
ンミルなどを用いて粉砕した後、ふるいなどで分級を行
い所望の粒度にすることが好ましい。また、製品化工程
では、バッチ毎の品質均一性を保つため、乾燥後もしく
は粉砕・分級後のゼラチンについて物理性・化学性など
の各種試験を行い、品質管理しておくことが好ましく、
本発明に係るゼラチンについても、常に本発明でいう上
記特徴を有するゼラチンであるかどうか、随時チェック
しておくことが好ましい。本発明に係るゼラチンは、そ
の用途として、特に限定されるわけではないが、具体的
には、例えば、テーブルゼリー、グミゼリー、マシュマ
ロ、ババロア、ムース、ヨーグルト、アイスクリーム、
シャーベットなどのデザート類、および、各種惣菜に用
いられているスープやだしなどのゲル化するため、など
に好ましく用いることができる。 【0040】 【実施例】以下に、実施例により、本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定される
ものではない。なお、以下では、便宜上、「重量部」を
単に「部」と記すことがある。本発明の実施例、比較例
において用いた試験方法、試験条件、評価方法などにつ
いて以下に説明する。 〔パギイ法(写真用ゼラチン試験法、第8版、1997
年)に基づく高速液体クロマトグラフ分析の試験条件〕 パギイ法(写真用ゼラチン試験法、第8版、1997
年)に基づく高速液体クロマトグラフ分析を、下記の条
件で行った。 【0041】カラム:shodex Asahipak
GS620−7G 2本直列 検出器:紫外線吸収検出器(波長230nm) 溶離液:0.05Mリン酸二水素カリウム/0.05M
リン酸水素二ナトリウム水溶液 流速:1.0ml/分 カラム温度:50℃ 検液濃度:0.2%(2%水溶液を溶離液で10倍に希
釈) 検液注入量:100μl 〔粘度〕ゼラチンの粘度を、JIS K 6503(1
996)に従って測定した。 〔ゼリー強度〕ゼラチンのゼリー強度を、JIS K
6503(1996)に従って測定した。 〔pH〕ゼラチンのpHを、JIS K 6503(1
996)に従って測定した。 〔ゲル化条件〕水96.3部にゼラチン1.7部、食塩
2.0部を添加し、室温で30分放置後、60℃で加熱
溶解した。溶解後、35℃まで冷却し、ゼリーカップに
分注した。その後、5℃の空冷式恒温器に保管して冷却
を開始した。 〔ゲル強度、ゲル化速度〕特に断りのない限り、上記ゲ
ル化条件下で冷却を開始し、ゲル強度の経時変化を測定
した。 【0042】ゲル強度が10gに到達するまでに要する
時間(h)をゲル化速度と定義した。例えば、ゲル強度
が10gに到達するまでに1時間を要する場合は、「ゲ
ル化速度=1h」となる。ゲル強度の測定は、レオメー
ターを使用し、直径12.7mmの円筒形アダプターを
ゼリー表面より4mm押し下げるのに要する加重(g)
で表した。一般にこの測定条件でゲル強度が10〜15
gにおいて適度に保型性があり、食べごろのゼリーとな
る。 〔ゲル強度変化比〕特に断りのない限り、上記ゲル化条
件下で冷却を開始し、冷却開始4時間後と16時間後の
ゲル強度を上述の方法で測定し、4時間後に対する16
時間後の比を求め、この値をゲル強度変化比と定義し
た。 【0043】[製造例1]牛骨を原料とし、原料牛骨に
混入している木片や鉄片などの異物を取り除いた後、該
原料牛骨をハンマークラッシャーによって荒粉砕し、荒
粉砕後、再度除鉄器により鉄片等を取り除いておき、さ
らにハンマークラッシャーによって15mm以下に粉砕
した。粉砕後、80℃の温熱水を用いた湿式脱脂法によ
り脱脂した。脱脂後、一系列8個の耐酸タンクを用いた
カウンターフロー方式の酸漬処理により、使用する(新
鮮な)塩酸の濃度3.5重量%、処理温度17℃で、6
日間脱灰処理を行った。 【0044】脱灰後、pH12.5、処理温度19℃に
調整した、消石灰を懸濁させた石灰乳(石灰懸濁液)を
満たした容器に、60日漬けてアルカリ処理した。アル
カリ処理後、回分式抽出方法により抽出回数7回でゼラ
チンの抽出を行った。抽出時はpH6.8とした。上記
7回の抽出のうち、60〜70℃で2時間抽出した1番
抽出液、および、65〜75℃で2時間抽出した2番抽
出液を、それぞれろ過、精製、乾燥し、得られたゼラチ
ンを、(1番抽出液由来のゼラチン):(2番抽出液由
来のゼラチン)=1:1の重量比で混合し、製造例1の
ゼラチン(以下、ゼラチン1と称することがある。)を
得た。 【0045】[製造例2]牛骨を原料とし、原料牛骨に
混入している木片や鉄片などの異物を取り除いた後、該
原料牛骨をハンマークラッシャーによって荒粉砕し、荒
粉砕後、再度除鉄器により鉄片等を取り除いておき、さ
らにハンマークラッシャーによって15mm以下に粉砕
した。粉砕後、80℃の温熱水を用いた湿式脱脂法によ
り脱脂した。脱脂後、一系列8個の耐酸タンクを用いた
カウンターフロー方式の酸漬処理により、使用する(新
鮮な)塩酸の濃度3.5重量%、処理温度17℃で、6
日間脱灰処理を行った。 【0046】脱灰後、pH12.5、処理温度18℃に
調整した、消石灰を懸濁させた石灰乳(石灰懸濁液)を
満たした容器に、62日漬けてアルカリ処理した。アル
カリ処理後、回分式抽出方法により抽出回数6回でゼラ
チンの抽出を行った。抽出時はpH6.8とした。上記
6回の抽出のうち、60〜70℃で2.5時間抽出した
1番抽出液、および、65〜75℃で2.5時間抽出し
た2番抽出液を、それぞれろ過、精製、乾燥し、得られ
たゼラチンを、(1番抽出液由来のゼラチン):(2番
抽出液由来のゼラチン)=3:2の重量比で混合し、製
造例2のゼラチン(以下、ゼラチン2と称することがあ
る。)を得た。 【0047】[実施例1]製造例1で得られたゼラチン
1について、粘度、ゼリー強度、pHを測定した。さら
に、パギイ法(写真用ゼラチン試験法、第8版、199
7年)に基づく高速液体クロマトグラフ分析を行い、溶
出開始からの時間が22.4分以降24.4分未満の間
に溶出した成分をβ成分、24.4分以降26.7分未
満の間に溶出した成分をα成分、26.7分以降に溶出
した成分を低分子量成分としたときの各成分の面積百分
率α成分(%)、β成分(%)、低分子量成分(%)を
求めた。また、上記ゲル化条件下でゲル強度の経時変化
を測定し、ゲル化速度(ゲル強度が10gに到達するま
での時間)およびゲル強度変化比を求めた。さらにこれ
らの結果を表1、2に示した。 【0048】表2から分かるように、ゼラチン1のゲル
化速度は1.8hであり、後述する市販品に比べて約1
時間程度以上の速度促進が見られた。 [実施例2]製造例2で得られたゼラチン2について、
実施例1と同様に、粘度、ゼリー強度、pH、α成分
(%)、β成分(%)、低分子量成分(%)、ゲル化速
度およびゲル強度変化比を求めた。結果を表1、2に示
した。表2から分かるように、ゼラチン2のゲル化速度
は1.9hであり、後述する市販品に比べて約1時間程
度以上の速度促進が見られた。 【0049】[比較例1]市販品1(新田ゼラチン社製
のゼラチン、製品名:#250)について、実施例1と
同様に、粘度、ゼリー強度、pH、α成分(%)、β成
分(%)、低分子量成分(%)、ゲル化速度およびゲル
強度変化比を求めた。結果を表1、2に示した。 [比較例2]市販品2(新田ゼラチン社製のゼラチン、
製品名:ゼラチン21)について、実施例1と同様に、
粘度、ゼリー強度、pH、α成分(%)、β成分
(%)、低分子量成分(%)、ゲル化速度およびゲル強
度変化比を求めた。結果を表1、2に示した。 【0050】[比較例3]市販品3(新田ゼラチン社製
のゼラチン、製品名:ニューシルバー)について、実施
例1と同様に、粘度、ゼリー強度、pH、α成分
(%)、β成分(%)、低分子量成分(%)、ゲル化速
度およびゲル強度変化比を求めた。結果を表1、2に示
した。 【0051】 【表1】 【0052】 【表2】 【0053】次に、ゼラチン1、2および市販品1〜3
について、ゲル強度の経時時間変化を表すグラフを図1
に示した。図1のグラフによれば、市販品1〜3に比べ
て、本発明のゼラチンであるゼラチン1およびゼラチン
2は、ゲル強度10gに達した後、時間を経過するにつ
れて、ゲル強度の増加速度(単位時間あたりのゲル強度
増加量:グラフの傾きの大きさ)が明らかに小さくなっ
ていることが分かる。したがって、本発明のゼラチンで
あるゼラチン1およびゼラチン2は、速やかにゲル化す
るとともに、その後のゲル強度変化が少ないゼラチンで
あるといえる。 【0054】 【発明の効果】本発明によれば、速やかにゲル化すると
ともに、その後のゲル強度変化が少ない、新規なゼラチ
ンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】ゲル化を開始させてからの時間(冷却時間)
(h)とゲル強度(g)とに関するグラフ。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】パギイ法に基づく高速液体クロマトグラフ
    分析における、溶出開始からの時間が22.4分以降2
    4.4分未満の間に溶出した成分をβ成分、24.4分
    以降26.7分未満の間に溶出した成分をα成分、2
    6.7分以降に溶出した成分を低分子量成分としたと
    き、 各成分の前記クロマトグラフ分析での面積百分率が、 α成分(%)+β成分(%)≧48(%) かつ、 低分子量成分(%)≦23(%) なる関係を有する、ゼラチン。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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WO2018159797A1 (ja) * 2017-03-02 2018-09-07 富士フイルム株式会社 細胞塊または細胞構造体の包埋剤、細胞塊または細胞構造体含有組成物およびキット

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