JP2006160640A - 抗菌ペプチド及びその利用 - Google Patents

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Abstract

【課題】 天然に存在しない人為的に設計された抗菌ペプチド及び該ペプチドを主成分とする抗菌剤を提供すること。
【解決手段】 本発明によって提供される抗菌剤は、少なくとも1種の細菌に対して抗菌性を有する抗菌ペプチドを主成分とする抗菌剤であり、該抗菌ペプチドとして、以下のアミノ酸配列:(a)KVQIINKK;(b)SVQIVYKP;(c)QVEVKSEK;(d)KKVAVVRT;(e)KKVAIIRT;(f)KKPTSAK;のうちのいずれかのアミノ酸配列から選択される少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列または該配列に部分的な改変が施された配列を1単位又は2単位以上有しており、該1単位又は2単位以上の配列に含まれるアミノ酸残基の総数がペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数の30%以上である抗菌ペプチドを含有する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、天然には存在しない形態の独立したペプチド鎖から成る抗菌性を有するオリゴペプチド又はポリペプチド(以下これらを総称して「抗菌ペプチド」という。)及びその利用、特にそのような抗菌ペプチドを主成分とする抗菌剤(組成物)に関する。
抗菌ペプチドは一般に幅広い抗菌スペクトルを有し、薬剤耐性菌が出現し難いと考えられていることから、ヒト及び動物の細菌感染性疾患の予防や治療、或いは、食材等の物品に抗菌性を付与する目的での利用が期待されている。これまでに多くの抗菌ペプチドが種々の動植物から単離されている(特許文献1〜7)。また、抗菌性との関連性が全く論じられなかった既知のアミノ酸配列を利用して設計・合成された抗菌ペプチドが報告されている(特許文献8)。
特開2000−63400号公報 特開2001−186887号公報 国際公開第WO98/51794号パンフレット 国際公開第WO99/26971号パンフレット 国際公開第WO00/09553号パンフレット 国際公開第WO00/59527号パンフレット 国際公開第WO01/09175号パンフレット 国際公開第WO03/91429号パンフレット ブルース・L・グード、スチュワート・C・ファインスタイン (Bruce L. Goode and Stuart C. Feinstein)、ジャーナル・オブ・セルバイオロジー (The Journal of Cell Biology)、124巻、1994年、pp.769−782 ブルース・L・グード、ポール・E・デニス、デュラル・パンダ、モンテ・J・ラデク、ハーブ・P・ミラー、リスリー・ウィルソン、スチュワート・C・ファインスタイン (Bruce L. Goode, Paul E. Denis, Dulal Panda, Monte J. Radeke, Herb P. Miller, Leslie Wilson and Stuart C. Feinstein)、モレキュラー・バイオロジー・オブ・ザ・セル(Molecular Biology of the Cell)、8巻、1997年、pp.353−365 M.フォンベルゲン、P.フリードホフ、J.ビエルナット、J.ヘベルレ、E.−M.マンデルコウ、E.マンデルコウ(M. von Bergen, P. Friedhoff, J. Biernat, J. Heberle, E.-M. Mandelkow and E. Mandelkow)、PNAS、97巻10号、2000年、pp.5129−5134
本発明は、上記公報に記載されるような従前の抗菌ペプチド含有抗菌剤の開発アプローチによらず、自然界において抗菌ペプチドとして存在し機能しているペプチドとは異なる人為的に設計されたアミノ酸配列から成る新たな抗菌ペプチド及び該ペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供することを目的とする。また、そのような非天然型抗菌ペプチドを主成分とする抗菌剤(薬学上の組成物)の提供を目的とする。
本発明によって提供される抗菌ペプチドは、自然界において抗菌ペプチドとして存在するポリペプチドとは異なるポリペプチドに含まれるアミノ酸配列を利用して創出された抗菌ペプチドである。
本発明者は、微小管(詳しくはチューブリン)に結合するタンパク質(MAP;microtubule-associated proteins)の一種であるタウタンパク質(τprotein)のアミノ酸配列に着目した(非特許文献1,2,3参照)。そして、タウタンパク質又は他のMAPと微小管(チューブリン)との結合に関与するとみられる領域(ドメイン若しくはモチーフ)のアミノ酸配列の一部配列を含むペプチドが細菌等の微生物に対して高い抗菌性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
ここで開示されるいくつかの抗菌ペプチドは、少なくとも1種の細菌に対して抗菌性を有する天然に存在しない人為的に合成された抗菌ペプチドであって、タウタンパク質又は他のMAPを構成するアミノ酸配列であって、該タンパク質と微小管との結合に関与する領域のアミノ酸配列から選択される少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列または該配列に部分的な改変が施された配列(例えば、該配列のうち1若しくは複数のアミノ酸残基が同類置換された配列)を1単位又は2単位以上有するペプチドである。好ましくは、該1単位又は2単位以上の配列に含まれるアミノ酸残基の総数がペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数の30%以上であることを特徴とする。
ここで開示される好適ないくつかの抗菌ペプチドは、少なくとも1種の細菌に対して抗菌性を有する天然に存在しない人為的に合成された抗菌ペプチドであり、以下のアミノ酸配列:
(a)KVQIINKK(配列番号1);
(b)SVQIVYKP(配列番号2);
(c)QVEVKSEK(配列番号3);
(d)KKVAVVRT(配列番号4);
(e)KKVAIIRT(配列番号5);
(f)KKPTSAK(配列番号6);
のうちのいずれかのアミノ酸配列から選択される、少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列または該配列に部分的な改変が施された配列(例えば、該配列のうち1若しくは複数のアミノ酸残基が同類置換された配列)を1単位又は2単位以上有する。好ましくは、ここで開示される抗菌ペプチドは、該1単位又は2単位以上の配列に含まれるアミノ酸残基の総数がペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数の30%以上である。
本明細書において「天然に存在しない人為的に合成された抗菌ペプチド」とは、そのペプチド鎖がそれのみで独立して自然界に存在するものではなく、人為的な化学合成或いは生合成(即ち遺伝子工学に基づく生産)によって製造されるペプチド断片をいう。
本明細書において「抗菌ペプチド」とは、少なくとも一種の細菌に対して抗菌活性を示す複数のペプチド結合を有するアミノ酸ポリマーを指す用語であり、ペプチド鎖に含まれるアミノ酸残基の数によって限定されない。アミノ酸残基数が10程度までのオリゴペプチド或いはそれ以上のアミノ酸残基から成るポリペプチドも本明細書における抗菌ペプチドに包含される。
本明細書において「アミノ酸残基」とは、特に言及する場合を除いて、ペプチド鎖のN末端アミノ酸及びC末端アミノ酸を包含する用語である。
本明細書において所定のアミノ酸配列に対して「部分的な改変が施された配列(改変アミノ酸配列)」とは、当該所定のアミノ酸配列が有する抗菌性を損なうことなく、1個または複数個のアミノ酸残基が置換、欠失及び/又は付加(挿入)されて形成されたアミノ酸配列をいう。例えば、1個または複数個(典型的には2個または3個)のアミノ酸残基が保守的に置換したいわゆる同類置換(conservative amino acid replacement)によって生じた配列(例えば塩基性アミノ酸残基が別の塩基性アミノ酸残基に置換した配列)、或いは、所定のアミノ酸配列に1個又は複数個(一般には2〜3個程度)のアミノ酸残基が付加(挿入)された配列等は、本明細書でいう「部分的な改変が施された配列(改変アミノ酸配列)」に包含される典型例である。
本発明者は、微小管との結合に関与する領域に存在するアミノ酸配列であって、人為的に合成可能な比較的短いペプチド鎖において抗菌性を発揮し得るアミノ酸配列となり得るアミノ酸配列を含むいくつかの領域を特定した。上記(a)〜(f)に示すアミノ酸配列はその典型例である。
(a)(b)及び(c)のアミノ酸配列は、タウタンパク質のC末端側に存在する4つのリピートドメイン(N末端側からR1、R2、R3、R4)間にそれぞれ存在する計3つのインターリピートドメインに含まれる配列である。即ち、配列番号1に示す(a)アミノ酸配列は、R1とR2の間に存在するインターリピートドメイン(IR/R1−R2)のN末端側の8アミノ酸残基から成る配列である。配列番号2に示す(b)アミノ酸配列は、R2とR3の間に存在するインターリピートドメイン(IR/R2−R3)のN末端側の8アミノ酸残基から成る配列である。配列番号3に示す(c)アミノ酸配列は、R3とR4の間に存在するインターリピートドメイン(IR/R3−R4)のN末端側の8アミノ酸残基から成る配列である(非特許文献1参照)。本発明は、これらインターリピートドメインに含まれるアミノ酸配列から選択される少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列を1単位又は2単位以上含む抗菌ペプチドを提供する。
一方、配列番号4に示す(d)アミノ酸配列は、タウタンパク質のプロリンリッチ領域に存在し、微小管との結合に関与するとみられている配列であり、具体的にはラットのタウタンパク質における第215位リジン残基から第222位スレオニン残基までの8アミノ酸残基から成る配列である(非特許文献2参照)。また、配列番号5に示す(e)アミノ酸配列は、マウスの微小管結合タンパク質「MAP2」の一部配列であって上記(d)配列と相同な関係にある8アミノ酸残基から成る配列である(非特許文献2参照)。また、配列番号6に示す(f)アミノ酸配列は、ヒトの微小管結合タンパク質「MAP4」の一部配列であって上記(d)配列と相同な関係にある7アミノ酸残基から成る配列である(非特許文献2参照)。本発明は、タウタンパク質のプロリンリッチ領域に含まれる特定のアミノ酸配列および他のMAP中における該配列とホモロジーのある配列から選択される少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列を1単位又は2単位以上含む抗菌ペプチドを提供する。
従って、本発明は他の側面として、少なくとも1種の細菌に対して抗菌性を有する抗菌ペプチドを主成分とする抗菌剤であって、上記(a)〜(f)のうちのいずれかのアミノ酸配列から選択される、少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列または該配列に部分的な改変が施された配列(例えば、該配列のうち1若しくは複数のアミノ酸残基が同類置換された配列)を1単位又は2単位以上有しており、該1単位又は2単位以上の配列に含まれるアミノ酸残基の総数がペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数の30%以上である抗菌ペプチドを含有する抗菌剤(典型的には医療分野又は衛生分野において使用し得る組成物)を提供する。ここで開示される抗菌剤は、典型的には、少なくとも一つの抗菌ペプチドと薬学的に許容され得る担体とを含む。
本発明により提供される抗菌剤は、ここで開示される上記少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列または該配列に部分的な改変が施された配列(以下「タウ関連配列」と総称する。)を含む抗菌ペプチドを含有することによって、少なくとも一種の細菌(グラム陰性細菌及び/又はグラム陽性細菌)或いは真菌に対して高い抗菌活性を発揮し得る。
ここで開示される好ましいいくつかの抗菌ペプチドは、少なくとも1種の細菌に対して抗菌性を有する天然に存在しない人為的に合成された抗菌ペプチドであって、上記(a)〜(f)のうちのいずれかのアミノ酸配列から選択される、少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列または該配列に部分的な改変が施された配列(例えば、該配列のうち1若しくは複数のアミノ酸残基が同類置換された配列)が2単位又は3単位以上相互に近接して配置されており、該2単位又は3単位以上の配列に含まれるアミノ酸残基の総数はペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数の30%以上であることを特徴とする。これらタウ関連配列が2単位又は3単位以上相互に隣接してタンデムに存在する抗菌ペプチドが特に好ましい。
かかる構成の抗菌ペプチドは、少なくとも一種の細菌(グラム陰性細菌及び/又はグラム陽性細菌)、或いは真菌に対して特に高い抗菌活性を発揮し得る。
従って、本発明は他の側面として、そのような抗菌ペプチド即ちタウ関連配列が2単位又は3単位以上相互に近接して配置されている(好ましくは上記タンデムに存在する)抗菌ペプチドを含有する抗菌剤を提供する。
また、ここで開示される好ましい他のいくつかの抗菌ペプチドは、少なくとも1種の細菌に対して抗菌性を有する天然に存在しない人為的に合成された抗菌ペプチドであって、上記(a)〜(f)のうちのいずれかのアミノ酸配列から選択される、少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列または該配列に部分的な改変が施された配列(例えば、該配列のうち1若しくは複数のアミノ酸残基が同類置換された配列)を1単位又は2単位以上有しており、該1単位又は2単位以上の配列に含まれるアミノ酸残基の総数はペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数の30%以上であり、核移行性配列(NLS)を構成するアミノ酸配列または該配列に部分的な改変が施された配列を更に有することを特徴とする。
種々の生物種やウイルスから単離される核移行性配列(NLS即ちnuclear localization signal sequence)は、本来、細胞内で核に移行する種々のポリペプチド中に存在する部分的な配列である。本発明者は独立した形態のNLSそれ自体が細菌等に対して抗菌性を有することを既に見出している(特許文献8参照)。
上記構成の本発明の抗菌ペプチドは、主要構成要素として核移行性配列(NLS)を構成するアミノ酸配列または該配列に部分的な改変が施された配列(以下「NLS関連配列」と総称する。)とタウ関連配列とを有することによって、特に高い抗菌活性を有し得る。また、グラム陰性細菌及び/又はグラム陽性細菌に対して幅広い抗菌スペクトルを有し得る。
従って、本発明は他の側面として、そのような抗菌ペプチド即ちタウ関連配列を1単位又は2単位以上有するとともにNLS関連配列を更に有する抗菌ペプチドを含有する抗菌剤を提供する。
また、ここで開示される好ましい他のいくつかの抗菌ペプチドは、少なくとも1種の細菌に対して抗菌性を有する天然に存在しない人為的に合成された抗菌ペプチドであって、上記(a)〜(f)のうちのいずれかのアミノ酸配列から選択される、少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列または該配列に部分的な改変が施された配列(例えば、該配列のうち1若しくは複数のアミノ酸残基が同類置換された配列)を1単位又は2単位以上有しており、該1単位又は2単位以上の配列に含まれるアミノ酸残基の総数はペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数の30%以上であり、ラミニン結合部位(LBS)を構成するアミノ酸配列から選択される少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列または該配列に部分的な改変が施された配列を更に有することを特徴とする。
本発明者は、非コラーゲン性糖タンパク質であるラミニンに対する受容体(レセプター)として機能するタンパク質中のラミニン結合部位(LBS)として知られている部分のアミノ酸配列の一部とタウ関連配列とを合わせて設計したペプチド鎖が種々の微生物に対して高い抗菌活性を発揮し得ることを見出した。ここでラミニン結合部位というときは、特に言及している場合を除き、特定の生物起源、特定のアミノ酸配列に限定されず、ラミニンレセプターのラミニン結合部位を構成するアミノ酸配列として知られているアミノ酸配列によって特定されるもの全般を指す。
上記構成の本発明の抗菌ペプチドは、主要構成要素としてLBSを構成するアミノ酸配列(即ちLBSを構成するものとして知られているアミノ酸配列)のうちから選択される少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列または該配列に部分的な改変が施された配列(以下「LBS関連配列」と総称する。)を包含することによって、グラム陰性細菌及び/又はグラム陽性細菌或いは真菌に対して高い抗菌活性を発揮し得る。
従って、本発明は他の側面として、そのような抗菌ペプチド即ちタウ関連配列を1単位又は2単位以上有するとともにLBS関連配列を更に有する抗菌ペプチドを含有する抗菌剤を提供する。
ここで開示される抗菌ペプチドとして特に好ましいものは、ペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数が30以下(より好ましくは20以下)であることを特徴とする。このような鎖長の短いペプチドは、化学合成が容易であり、容易に所望する性能の抗菌ペプチドを提供することができる。かかる構成の抗菌ペプチドの好適例として、後述する配列番号25〜36のいずれかに示されるアミノ酸配列または該配列に部分的な改変が施された配列(例えば、該配列のうち1若しくは複数のアミノ酸残基が同類置換された配列)を含み、ペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数が30以下である抗菌ペプチドが挙げられる。
これら配列を含む抗菌ペプチド(典型的にはこれら配列のみから成るペプチド)は、細菌、特に黄色ブドウ球菌のようなグラム陽性細菌に対して高い抗菌活性を発揮し得る。
従って、本発明はそのような抗菌ペプチド即ちタウ関連配列を1単位又は2単位以上有し且つ全アミノ酸残基数が30以下である抗菌ペプチドを含有する抗菌剤を提供する。例えば、配列番号23〜36のいずれかに示されるアミノ酸配列または該配列に部分的な改変が施された配列(例えば、該配列のうち1若しくは複数のアミノ酸残基が同類置換された配列)を含み、ペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数が30以下である抗菌ペプチド(例えば配列番号23〜36のいずれかに示されるアミノ酸配列のみから成るペプチド)を含有する抗菌剤が好適に提供される。
抗菌剤に含有させる抗菌ペプチドとしては、少なくとも一つのアミノ酸残基がアミド化されているものが好ましい。アミノ酸残基(典型的にはペプチド鎖のC末端アミノ酸残基)のカルボキシル基のアミド化により、抗菌ペプチドの構造安定性(例えばプロテアーゼ耐性)を向上させ得る。
また、本発明は、ここで開示される少なくとも1種の細菌に対して抗菌性を有する天然に存在しない抗菌ペプチドの製造方法を提供する。
即ち、本発明によって提供される一つの抗菌ペプチド製造方法は、(1).上記(a)〜(f)のうちのいずれかのアミノ酸配列から選択される、少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列及び/又は該配列に部分的な改変が施された配列(例えば、該配列のうち1若しくは複数のアミノ酸残基が同類置換された配列)を決定すること、(2).前記決定した配列が2単位又は3単位以上相互に近接して配置され、該2単位又は3単位以上相互に近接して配置された部分の配列に含まれるアミノ酸残基の総数がペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数の30%以上となるようなペプチド鎖を設計すること、および、(3).前記設計したペプチド鎖を合成することを包含する。特に(2)において、前記決定した配列が2単位又は3単位以上相互に隣接してタンデムに存在するようにペプチド鎖を設計することが好ましい。また、前記ペプチド鎖の設計において、全アミノ酸残基数が30以下となるように該ペプチド鎖を設計することが好ましい。
また、本発明によって提供される他の一つの抗菌ペプチド製造方法は、(1).上記(a)〜(f)のうちのいずれかのアミノ酸配列から選択される、少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列及び/又は該配列に部分的な改変が施された配列(例えば、該配列のうち1若しくは複数のアミノ酸残基が同類置換された配列)を決定すること、(2).前記決定した配列を1単位又は2単位以上有し、該1単位又は2単位以上のアミノ酸配列に含まれるアミノ酸残基の総数が全アミノ酸残基数の30%以上となり、核移行性配列(NLS)を構成するアミノ酸配列及び/又は該配列に部分的な改変が施された配列を更に有するペプチド鎖を設計すること、および、(3).前記設計したペプチド鎖を合成することを包含する。NLS関連配列を2単位又は3単位以上含有するペプチド鎖を設計してもよい。また、前記ペプチド鎖の設計において、全アミノ酸残基数が30以下となるように該ペプチド鎖を設計することが好ましい。
また、本発明によって提供される他の一つの抗菌ペプチド製造方法は、(1).上記(a)〜(f)のうちのいずれかのアミノ酸配列から選択される、少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列及び/又は該配列に部分的な改変が施された配列(例えば、該配列のうち1若しくは複数のアミノ酸残基が同類置換された配列)を決定すること、(2).前記決定した配列を1単位又は2単位以上有し、該1単位又は2単位以上のアミノ酸配列に含まれるアミノ酸残基の総数が全アミノ酸残基数の30%以上となり、ラミニン結合部位(LBS)を構成するアミノ酸配列から選択される少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列及び/又は該配列に部分的な改変が施された配列を更に有するペプチド鎖を設計すること、および、(3).前記設計したペプチド鎖を合成することを包含する。LBS関連配列を2単位又は3単位以上含有するペプチド鎖を設計してもよい。また、前記ペプチド鎖の設計において、全アミノ酸残基数が30以下となるように該ペプチド鎖を設計することが好ましい。
また、本発明は、ここで開示されるいずれかの抗菌ペプチドをコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含む、天然に存在しない人為的に設計されたポリヌクレオチド(例えばそれら配列により実質的に構成されるポリヌクレオチド)を提供する。
本明細書において「ポリヌクレオチド」とは、複数のヌクレオチドがリン酸ジエステル結合で結ばれたポリマー(核酸)を指す用語であり、ヌクレオチドの数によって限定されない。種々の長さのDNAフラグメント及びRNAフラグメントが本明細書におけるポリヌクレオチドに包含される。また、「天然に存在しない人為的に設計されたポリヌクレオチド」とは、そのヌクレオチド鎖(全長)がそれ単独で自然界に存在するものではなく、化学合成或いは生合成(即ち遺伝子工学に基づく生産)によって人為的に合成されたポリヌクレオチドをいう。
好ましいポリヌクレオチドとして、配列番号1〜36のいずれかに示されるアミノ酸配列(または該配列において部分的な改変が施されて成る改変配列)をコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含み、ペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数が30以下であるペプチドをコードするポリヌクレオチド(例えばそれらヌクレオチド配列により実質的に構成されるポリヌクレオチド)が挙げられる。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えば抗菌ペプチドの一次構造(アミノ酸配列)や鎖長)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えばペプチド合成技法、ポリヌクレオチド合成技法、ペプチドを成分とする抗菌剤(薬剤組成物)の調製法に関するような一般的事項)は、有機化学、生化学、遺伝子工学、タンパク質工学、分子生物学、薬学、医学、衛生学等の分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。なお、以下の説明では、場合に応じてアミノ酸をIUPAC-IUBガイドラインで示されたアミノ酸に関する命名法に準拠した1文字表記(但し配列表では3文字表記)で表す。
本明細書において開示される抗菌ペプチドは、天然に存在しない人為的に設計されたペプチドであり、タウ関連配列を有する比較的短いポリペプチドまたはオリゴペプチドである。即ち、本発明の抗菌ペプチドは、ペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数の30%以上が1単位又は2単位以上のタウ関連配列で構成されるペプチドである。ここでタウ関連配列について1単位(unit)とは、タウ関連配列を構成する一つの配列部分(領域若しくはモチーフ)を指す。従って、あるペプチド鎖にタウ関連配列が2単位含まれるというときは、それらが同種であるか異種であるかを問わず相互に独立してタウ関連配列と認められる配列が当該ペプチド鎖中に二つ存在することを意味する。1単位又は2単位のタウ関連配列から構成されるペプチドはここで開示される抗菌ペプチドの典型例であり、抗菌剤の主成分たる抗菌ペプチドとして好適である(後述する実施例参照)。
全体のアミノ酸配列に対するタウ関連配列の占める割合(即ちペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数に占めるタウ関連配列部分を構成するアミノ酸残基数の個数%)は、30%以上であれば特に限定はないが、NLS関連配列或いはLBS関連配列を含まない場合にはかかる割合は50%以上が好ましく、70%以上が更に好ましく、80%以上が特に好ましい。例えば、タウ関連配列がタンデムに2単位(又は3単位以上)配置して成るペプチドは特に好ましい例である。
なお、本発明の抗菌ペプチドとしては、全てのアミノ酸残基がL型アミノ酸であるものが好ましいが、抗菌活性を失わない限りにおいて、アミノ酸残基の一部又は全部がD型アミノ酸に置換されているものであってもよい。
ここで開示される抗菌ペプチドの鎖長(即ち総アミノ酸残基数)は、タウ関連配列(又はNLS関連配列又はLBS関連配列)の長さに応じて異なり得るので特に限定されないが、全アミノ酸残基数が100以下(典型的には50以下)であることが適当であり、30以下であることが好ましく、20以下であることが特に好ましい。例えば、10〜20個程度のアミノ酸残基で構成されるものは高い抗菌活性を奏し得ると共に合成が容易であり利用し易い。
なお、ペプチドのコンホメーション(立体構造)については、使用する環境下で抗菌性を発揮する限りにおいて、特に限定されるものではないが、免疫原(抗原)になり難いという観点から直鎖状又はへリックス状のものが好ましい。このような形状のペプチドはエピトープを構成し難い。かかる観点から、抗菌剤に適用する抗菌ペプチドとしては、直鎖状であり比較的低分子量(典型的にはアミノ酸残基数:10〜30、例えばアミノ酸残基数:10〜20)のものが好適である。
本発明の抗菌ペプチドを設計するためのタウ関連配列としては、上記(a)〜(f)のうちのいずれかのアミノ酸配列をそのまま採用してもよいし、或いはいずれかのアミノ酸配列から選択される少なくとも6個(より好ましくは少なくとも7個)の連続するアミノ酸配列を採用してもよい。(a)KVQIINKK(配列番号1)、(b)SVQIVYKP(配列番号2)または(d)KKVAVVRT(配列番号4)のアミノ酸配列から選択される少なくとも6個(より好ましくは少なくとも7個)の連続するアミノ酸配列の採用が好ましい。或いはこれらアミノ酸配列に若干の改変を施した配列(例えば1若しくは複数(典型的には2、3個程度)のアミノ酸残基の置換、欠失及び/又は付加)を採用して抗菌ペプチド(ペプチド鎖)を容易に設計することができる。好適な改変配列としては、例えば1若しくは複数のアミノ酸残基が同類置換された配列が挙げられる。
2単位又は3単位以上のタウ関連配列を含むペプチド鎖を設計する場合、好ましくは、これら2単位以上又は3単位以上のタウ関連配列がペプチド鎖中で相互に近接して配置されるように設計する。特に好ましくはこれらタウ関連配列が2単位又は3単位以上相互に隣接してタンデムに配置されるように設計する。この場合、隣接する一方のタウ関連配列のC末端アミノ酸と他方のタウ関連配列のN末端アミノ酸とが直接結合した形態(後述する実施例参照)が好ましい。しかし、隣接する二つのタウ関連配列の間にリンカーとして1〜数個のアミノ酸残基が介在してもよい(後述する実施例参照)。
本発明の好適な抗菌ペプチドとして、タウ関連配列(又はタウ関連配列及びLBS関連配列)に加えてNLS関連配列を含むものが挙げられる。
NLS関連配列としては、従来、各種の生物やウイルスから発見されたネイティブなNLSのいずれかを選択し、その配列のまま利用することができる。アミノ酸残基数が比較的少ないNLS(例えばアミノ酸残基数が15以下のNLS)が好ましい。具体例として配列番号7〜配列番号13にそれぞれ示されるNLSが挙げられる。これらのうちの1種類或いは2種類以上をNLS関連配列として1単位又は2単位以上含むペプチドが好ましい。2単位又は3単位以上のNLS関連配列を含むペプチド鎖を設計する場合、これら2単位以上又は3単位以上のNLS関連配列がペプチド鎖中で相互に近接して配置されるように設計することができる。これら配列が2単位又は3単位以上相互に隣接してタンデムに配置されるように設計することが好ましい。
NLSとしては塩基性アミノ酸残基の含有率が高いものが特に好ましい。例えば、40%以上(更に好ましくは50%以上)のアミノ酸残基が塩基性アミノ酸残基(リジン及び/又はアルギニン)であるものが好適である。それらのうちの1種類又は2種類以上のNLSを1単位又は2単位以上含むペプチドが好ましい。また、ネイティブないずれかのNLSに若干の改変を施した配列(例えば1若しくは複数(典型的には2、3個程度)のアミノ酸残基の置換、欠失及び/又は付加)を採用してペプチド鎖を設計することができる。好適な改変配列としては、例えば1若しくは複数のアミノ酸残基が同類置換された配列が挙げられる。1若しくは複数(典型的には2、3個程度)の非塩基性アミノ酸残基を塩基性アミノ酸残基に置換して成る改変配列(NLS関連配列)も好適である。
本発明の好適な抗菌ペプチドとして、タウ関連配列(又はタウ関連配列及びNLS関連配列)に加えてLBS関連配列を含むものが挙げられる。
LBS関連配列としては、従来、各種の生物(真核生物又は原核生物)から発見され、ラミニン結合部位を構成する配列として知られているネイティブなLBSのいずれかから選択される少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列をそのまま利用することができる。具体例として配列番号14〜配列番号22にそれぞれ示されるLBSが挙げられる。これらのうちの1種類或いは2種類以上をLBS関連配列として1単位又は2単位以上含むペプチドが好ましい。2単位又は3単位以上のLBS関連配列を含むペプチド鎖を設計する場合、これら2単位以上又は3単位以上のLBS関連配列がペプチド鎖中で相互に近接して配置されるように設計することができる。これら配列が2単位又は3単位以上相互に隣接してタンデムに配置されるように設計することが好ましい。
また、ネイティブないずれかのLBSに若干の改変を施した配列(例えば1若しくは複数(典型的には2、3個程度)のアミノ酸残基の置換、欠失及び/又は付加)を採用してペプチド鎖を設計することができる。好適な改変配列としては、例えば1若しくは複数(例えば1〜3個)のアミノ酸残基が同類置換された配列が挙げられる。
本発明の抗菌ペプチドは、抗菌性を失わない限りにおいて、タウ関連配列、NLS関連配列、LBS関連配列のいずれでもない部分配列を含み得る。特に限定するものではないが、かかる部分配列としてはペプチド鎖におけるタウ関連配列部分、NLS関連配列部分及びLBS関連配列部分の3次元形状(典型的には直鎖形状)を維持し得る配列が好ましい。
ここで開示される抗菌ペプチドとして好ましいものに、全アミノ酸残基数が100以下(特に好ましくは30以下)であり、1単位又は2単位以上のタウ関連配列と、1単位又は2単位以上のNLS関連配列及び/又は1単位又は2単位以上のLBS関連配列と、によりペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基の70個数%以上、更に好ましくは80個数%以上が占められるものが挙げられる。あるいはこれら配列と該配列間に介在するリンカー部分(好ましくは1〜数個のアミノ酸残基から成る)とから構成されているものも好適である。
配列番号25〜36に示す抗菌ペプチドは、ここで開示される抗菌ペプチドの好適な具体例であるが、好適なペプチドがこれらアミノ酸配列のものに限定されることを意味しない。例えば、配列番号25〜36に示すいずれかのアミノ酸配列のうち1若しくは複数のアミノ酸残基を同類置換して成る改変アミノ酸配列もまた本発明の抗菌ペプチドとして好ましい。
ここで開示される抗菌ペプチドのうちペプチド鎖の比較的短いものは、一般的な化学合成法に準じて容易に製造することができる。例えば、従来公知の固相合成法又は液相合成法のいずれを採用してもよい。アミノ基の保護基としてBoc(t-butyloxycarbonyl)或いはFmoc(9-fluorenylmethoxycarbonyl)を適用した固相合成法が好適である。
ここで開示される抗菌ペプチドは、市販のペプチド合成機(例えば、PerSeptive Biosystems社、Applied Biosystems社等から入手可能である。)を用いた固相合成法により、所望するアミノ酸配列、修飾(C末端アミド化等)部分を有するペプチド鎖を合成することができる。
或いは、遺伝子工学的手法に基づいて抗菌ペプチドを生合成してもよい。このアプローチは、ペプチド鎖の比較的長いポリペプチドを製造する場合に好適である。即ち、所望する抗菌ペプチドのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列(ATG開始コドンを含む。)のDNAを合成する。そして、このDNAと該アミノ酸配列を宿主細胞内で発現させるための種々の調節エレメント(プロモーター、リボゾーム結合部位、ターミネーター、エンハンサー、発現レベルを制御する種々のシスエレメントを包含する。)とから成る発現用遺伝子構築物を有する組換えベクターを、宿主細胞に応じて構築する。
一般的な技法によって、この組換えベクターを所定の宿主細胞(例えばイースト、昆虫細胞、植物細胞、動物(哺乳類)細胞)に導入し、所定の条件で当該宿主細胞又は該細胞を含む組織や個体を培養する。このことにより、目的とするポリペプチドを細胞内で発現、生産させることができる。そして、宿主細胞(分泌された場合は培地中)からポリペプチドを単離し、精製することによって、目的の抗菌ペプチドを得ることができる。一般的な技法によって、この組換えベクターを所定の宿主細胞(例えばイースト、昆虫細胞、植物細胞、哺乳類細胞)に導入し、所定の条件で当該宿主細胞又は該細胞を含む組織や個体を培養する。このことにより、目的とするポリペプチドを細胞内で発現、生産させることができる。そして、宿主細胞(分泌された場合は培地中)からポリペプチドを単離し、精製することによって、目的の抗菌ペプチドを得ることができる。
なお、組換えベクターの構築方法及び構築した組換えベクターの宿主細胞への導入方法等は、当該分野で従来から行われている方法をそのまま採用すればよく、かかる方法自体は特に本発明を特徴付けるものではないため、詳細な説明は省略する。
例えば、宿主細胞内で効率よく大量に生産させるために融合タンパク質発現システムを利用することができる。即ち、目的の抗菌ペプチドのアミノ酸配列をコードする遺伝子(DNA)を化学合成し、該合成遺伝子を適当な融合タンパク質発現用ベクター(例えばノバジェン社から提供されているpETシリーズおよびアマシャムバイオサイエンス社から提供されているpGEXシリーズのようなGST(Glutathione S-transferase)融合タンパク質発現用ベクター)の好適なサイトに導入する。そして該ベクターにより宿主細胞(典型的には大腸菌)を形質転換する。得られた形質転換体を培養して目的の融合タンパク質を調製する。次いで、該タンパク質を抽出及び精製する。次いで、得られた精製融合タンパク質を所定の酵素(プロテアーゼ)で切断し、遊離した目的のペプチド断片(設計した抗菌ペプチド)をアフィニティクロマトグラフィー等の方法によって回収する。このような従来公知の融合タンパク質発現システム(例えばアマシャムバイオサイエンス社により提供されるGST/Hisシステムを利用し得る。)を用いることによって、本発明の抗菌ペプチドを製造することができる。
或いは、無細胞タンパク質合成システム用の鋳型DNA(即ち抗菌ペプチドのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む合成遺伝子断片)を構築し、ペプチド合成に必要な種々の化合物(ATP、RNAポリメラーゼ、アミノ酸類等)を使用し、いわゆる無細胞タンパク質合成システムを採用して目的のポリペプチドをインビトロ合成することができる。無細胞タンパク質合成システムについては、例えばShimizuらの論文(Shimizu et al., Nature Biotechnology, 19, 751-755(2001))、Madinらの論文(Madin et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 97(2), 559-564(2000))が参考になる。これら論文に記載された技術に基づいて、本願出願時点において既に多くの企業がポリペプチドの受託生産を行っており、また、無細胞タンパク質合成用キット(例えば、日本の東洋紡績(株)から入手可能なPROTEIOS(商標)Wheat germ cell-free protein synthesis kit)が市販されている。
従って、上述のようにして、利用するアミノ酸配列をひとたび決定し、ペプチド鎖を設計しさえすれば、そのアミノ酸配列に従って無細胞タンパク質合成システムによって目的の抗菌ペプチドを容易に合成・生産することができる。例えば、日本の(株)ポストゲノム研究所のピュアシステム(登録商標)に基づいて本発明の抗菌ペプチドを容易に生産することができる。
ここで開示される抗菌ペプチドをコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含む一本鎖又は二本鎖のポリヌクレオチドは、従来公知の方法によって容易に製造(合成)することができる。即ち、設計したアミノ酸配列を構成する各アミノ酸残基に対応するコドンを選択することによって、抗菌ペプチドのアミノ酸配列に対応するヌクレオチド配列が容易に決定され、提供される。そして、ひとたびヌクレオチド配列が決定されれば、DNA合成機等を利用して、所望するヌクレオチド配列に対応するポリヌクレオチド(一本鎖)を容易に得ることができる。さらに得られた一本鎖DNAを鋳型として用い、種々の酵素的合成手段(典型的にはPCR)を採用して目的の二本鎖DNAを得ることができる。
本発明によって提供されるポリヌクレオチドは、DNAの形態であってもよく、RNA(mRNA等)の形態であってもよい。DNAは、二本鎖又は一本鎖で提供され得る。一本鎖で提供される場合は、コード鎖(センス鎖)であってもよく、それと相補的な配列の非コード鎖(アンチセンス鎖)であってもよい。
本発明によって提供されるポリヌクレオチドは、上述のように、種々の宿主細胞中で又は無細胞タンパク質合成システムにて、抗菌ペプチド生産のための組換え遺伝子(発現カセット)を構築するための材料として使用することができる。
本発明によると、新規なアミノ酸配列の抗菌ペプチドをコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを提供し得る。例えば、配列番号27又は28に示すような、タウ関連配列をタンデムに2単位(又は3単位以上)含むアミノ酸配列から成るペプチドが本発明によって提供され、そのようなペプチドをコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド(例えば配列番号27又は28のペプチドをコードするポリヌクレオチド)が提供される。
また、例えば、ペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数が100以下(例えば50以下、好ましくは30以下、特に好ましくは20以下)であって、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、又は配列番号36で示されるアミノ酸配列或いは該配列の1若しくは複数(例えば2〜3個)のアミノ酸残基が同類アミノ酸置換されたような改変配列を含むアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含む(又はそれら配列から実質的に構成された)天然に存在しない人為的に設計されたポリヌクレオチドが提供される。
また、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、又は配列番号36で示されるアミノ酸配列或いは該配列の1若しくは複数(例えば2〜3個)のアミノ酸残基が同類アミノ酸置換されたような改変配列から実質的に構成される抗菌ペプチドをコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含む(又はそれら配列から実質的に構成された)天然に存在しない人為的に設計されたポリヌクレオチドが提供される。
本発明の抗菌ペプチドは少なくとも一種の細菌に対して高い抗菌活性を有し、好ましいものでは更に比較的広い抗菌スペクトルを有しており、抗菌剤の主成分として好適に用いられる。例えば、細菌感染症の治療、創傷面の消毒、眼病予防、口腔内洗浄(うがい)、食品の防腐や鮮度保持、脱臭、家具や衛生機器表面の殺菌又は静菌等の目的に用いられ得る。
抗菌ペプチドの他、抗菌剤に含まれる担体又は副次的成分(典型的には用途に応じて薬学的に許容され得るもの)としては、抗菌剤の用途や形態に応じて適宜異なり得るが、水、種々の有機溶媒、種々の緩衝液その他充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、表面活性剤、賦形剤、色素、香料等が挙げられる。
抗菌剤の形態に関して特に限定はない。例えば、内用剤若しくは外用剤の典型的な形態として、軟膏、液剤、懸濁剤、乳剤、エアロゾル、泡沫剤、顆粒剤、粉末剤、錠剤、カプセルが挙げられる。また、注射等に用いるため、使用直前に生理食塩水又は適当な緩衝液(例えばPBS)等に溶解して薬液を調製するための凍結乾燥物、造粒物とすることもできる。抗菌剤に含まれる担体は、抗菌剤の形態に応じて異なり得る。
なお、抗菌ペプチド(主成分)及び種々の担体(副成分)を材料にして種々の形態の薬剤(組成物)を調製するプロセス自体は従来公知の方法に準じればよく、かかる製剤方法自体は本発明を特徴付けるものでもないため詳細な説明は省略する。処方に関する詳細な情報源として、例えばComprehensive Medicinal Chemistry, Corwin Hansch監修,Pergamon Press刊(1990)が挙げられる。
本発明によって提供される抗菌剤は、その形態及び目的に応じた方法や用量で使用することができる。
ここで開示されるタウ関連配列を含む抗菌ペプチドは、比較的高い濃度のカチオン、塩類(例えば塩化ナトリウム)或いは血清のような有機物が存在する系においても高い抗菌活性を維持し得る。従って、ここで開示される抗菌剤は、カチオン、塩類や血清等が存在する系(場)での使用に特に好適である。例えば、本発明によって提供される抗菌剤は、液剤として、静脈内、筋肉内、皮下、皮内若しくは腹腔内への注射或いは灌腸によって患者に投与することができる。
或いは、錠剤等の固体形態のものは経口投与することができる。また、衛生陶器表面の消毒(殺菌)や食品の防腐目的に使用する場合は、比較的多量(例えば1〜100mg/ml)の抗菌ペプチドを含有する液剤を対象物の表面に直接スプレーするか、或いは、当該液剤で濡れた布や紙で対象物の表面を拭くとよい。これらは例示にすぎず、従来のペプチド系抗生物質やペプチドを構成成分とする農薬、医薬部外品等と同じ形態、使用方法を適用することができる。
例えば、放射線治療を受けているガン患者やエイズ患者にとって、細菌感染症の予防及び治療は重大な関心事である。ここで開示される抗菌ペプチドは、感染症の原因たる細菌(例えば黄色ブドウ球菌のようなグラム陽性細菌)に対して高い抗菌作用を示し得る。このため、本発明の抗菌ペプチドは、抗菌剤の主成分として有用である。
また、本発明の抗菌ペプチドをコードするポリヌクレオチドは、いわゆる遺伝子治療に使用する素材として用い得る。例えば、抗菌ペプチドをコードする遺伝子(典型的にはDNAセグメント、或いはRNAセグメント)を適当なベクターに組み込み、目的とする部位に導入することにより、常時、生体(細胞)内で本発明に係る抗菌ペプチドを発現させることが可能である。従って、本発明の抗菌ペプチドをコードするポリヌクレオチド(DNAセグメント、RNAセグメント等)は、上述した患者等に対し、細菌感染を予防し又は治療する薬剤として有用である。
再生医療の分野において、皮膚、骨、各種の臓器の培養時の細菌感染を防止することは重要である。ここで開示される抗菌ペプチドは、哺乳動物細胞及び組織に対する毒性が極めて低く、細菌に選択的に抗菌作用を示し得る。このため、培養臓器等の細菌感染を防止する薬剤として極めて有用である。例えば、後述する実施例に示すように、適当な濃度で本発明の抗菌ペプチド単独又は当該ペプチドを主成分の一つとする抗菌剤を培養液中に添加することにより、培養中の臓器等の細菌感染を防止することができる。
また、培養細胞や培養組織に対して、本発明の抗菌ペプチドをコードするポリヌクレオチドを遺伝子治療に使用する素材として用いることができる。例えば、本発明の抗菌ペプチドをコードする遺伝子(典型的にはDNAセグメント又はRNAセグメント)を適当なベクターに組み込み、目的とする培養組織に導入することにより、常時或いは所望する時期に培養組織(細胞)内で本発明に係る抗菌ペプチドを発現させることが可能である。従って、本発明によって提供される本発明の抗菌ペプチドをコードするポリヌクレオチド(DNAセグメント、RNAセグメント等)は、培養組織の細菌感染を防止する薬剤として有用である。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<実施例1:ペプチド合成>
計15種類のペプチド(サンプル1〜14、比較サンプル1)を後述するペプチド合成機を用いて製造した。表1には、これら合成ペプチドのアミノ酸配列を列挙している。
Figure 2006160640
表1に示すように、サンプル1〜14は、いずれもタウ関連配列(表1においてアンダーラインが付された部分)を有している。
サンプル1のペプチド(配列番号23)は、上記(d)のアミノ酸配列から選択された7アミノ酸残基から成るタウ関連配列(KKVAVVR)で構成されたペプチドである。
サンプル2のペプチド(配列番号24)は、上記(a)のアミノ酸配列(8アミノ酸残基)から成るタウ関連配列(KVQIINKK)で構成されたペプチドである。
サンプル3のペプチド(配列番号25)は、上記(b)のアミノ酸配列から選択された6アミノ酸残基から成るタウ関連配列(VQIVYK)と、該配列のN末端側に配置された7アミノ酸残基から成るNLS関連配列(LKRKLQR:配列番号13)とから構成されたペプチドである。
サンプル4のペプチド(配列番号26)は、上記(a)のアミノ酸配列から選択された6アミノ酸残基から成るタウ関連配列(VQIINK)と、該配列のN末端側に配置された7アミノ酸残基から成るNLS関連配列(LKRKLQR:配列番号13)とから構成されたペプチドである。
サンプル5のペプチド(配列番号27)は、上記(d)のアミノ酸配列から選択された7アミノ酸残基から成るタウ関連配列(KKVAVVR)が2単位タンデムに配列して構成されたペプチドである。
サンプル6のペプチド(配列番号28)は、上記(a)のアミノ酸配列から成るタウ関連配列(KVQIINKK)が2単位タンデムに配列して構成されたペプチドである。
サンプル7のペプチド(配列番号29)は、上記(d)のアミノ酸配列から選択された7アミノ酸残基から成るタウ関連配列(KKVAVVR)と、該配列のN末端側に配置された7アミノ酸残基から成るNLS関連配列(即ち配列番号7に示すPKKKRKVのN末端プロリン残基をアルギニン残基に置換した改変NLS:RKKKRKV)とから構成されたペプチドである。
サンプル8のペプチド(配列番号30)は、上記(d)のアミノ酸配列から成るタウ関連配列(KKVAVVRT)が2単位タンデムに配列して構成されたペプチドである。
サンプル9のペプチド(配列番号31)は、上記(a)のアミノ酸配列から成るタウ関連配列(KVQIINKK)と、該配列のN末端側に配置された7アミノ酸残基から成るNLS関連配列(即ち上記改変NLS:RKKKRKV)とから構成されたペプチドである。
サンプル10のペプチド(配列番号32)は、上記(d)のアミノ酸配列から成るタウ関連配列(KKVAVVRT)と、該配列のN末端側に配置された7アミノ酸残基から成るNLS関連配列(即ち上記改変NLS:RKKKRKV)とから構成されたペプチドである。
サンプル11のペプチド(配列番号33)は、上記(a)のアミノ酸配列から成るタウ関連配列(KVQIINKK)と、該配列のC末端側に配置された5アミノ酸残基から成るリンカー配列部分(LDVSN)及び該リンカー部分のC末端側に配置された6アミノ酸残基から成るLBS関連配列(LMWWLL:配列番号15)とから構成されたペプチドである。なお、かかるリンカー部分のうち、N末端側の「LD」は、実際のタウタンパク質中でも上記(a)アミノ酸配列のC末端側に続く2アミノ酸残基である。即ち、これら10アミノ酸残基から成る配列(KVQIINKKLD)は、タウタンパク質のR1とR2の間に存在するインターリピートドメイン(IR/R1−R2)のN末端側の10アミノ酸残基から成る配列に等しい。
サンプル12のペプチド(配列番号34)は、上記(a)のアミノ酸配列から成るタウ関連配列(KVQIINKK)と、該配列のC末端側に配置された6アミノ酸残基から成るLBS関連配列(LMWWLL:配列番号15)とから構成されたペプチドである。
サンプル13のペプチド(配列番号35)は、上記(a)のアミノ酸配列から成るタウ関連配列(KVQIINKK)と、該配列のN末端側に配置された9アミノ酸残基から成るNLS関連配列(PPRKKRTVV:配列番号10)とから構成されたペプチドである。
サンプル14のペプチド(配列番号36)は、上記(b)のアミノ酸配列から選択された6アミノ酸残基から成るタウ関連配列(VQIVYK)が2単位タンデムに配列して構成されたペプチドである。
他方、比較サンプル1のペプチド(LPPLERLTLD:配列番号37)は、タウ関連配列を有しておらず、全く無関係な10アミノ酸残基から構成された合成ペプチドである。
なお、いずれのサンプルも、C末端アミノ酸のカルボキシル基(−COOH)はアミド化(−CONH)されている。
上述した各ペプチド(何れも20アミノ酸残基以下)は、市販のペプチド合成機(PEPTIDE SYNTHESIZER 9050、PerSeptive Biosystems社製品)を用いて固相合成法(Fmoc法)により合成した。なお、縮合剤としてHATU(Applied Biosystems社製品)を使用し、固相合成法に用いた樹脂及びアミノ酸はNOVA biochem社から購入した。アミノ酸配列のC末端をアミド化する場合には、固相担体として「Rink Amide resin (100〜200 mesh)」 を使用した。
而して、上記ペプチド合成機の合成プログラムに準じて脱保護基反応及び縮合反応を反復して樹脂に結合するFmoc−アミノ酸からペプチド鎖を伸長していき、目的の鎖長の合成ペプチドを得た。具体的には、20%ピペリジン/ジメチルホルムアミド(DMF)(ペプチド合成用グレード、関東化学(株)製品)によって、アミノ酸のアミノ保護基であるFmocを切断除去し、DMFで洗浄し、Fmoc−アミノ酸(-OH)各4eqを反応させ、DMFで洗浄する操作を反復した。そして、ペプチド鎖の伸長反応が全て終了した後、20%ピペリジン/DMFによりFmoc基を切断し、DMF、メタノールの順で上記反応物を洗浄した。
固相合成後、合成したペプチド鎖を樹脂と共に遠沈管に移し、エタンジオール1.8mL、m-クレゾール0.6mL、チオアニソール3.6mL及びトリフルオロ酢酸24mLを加え、室温で2時間撹拌した。その後、ペプチド鎖に結合していた樹脂を濾過して除去した。
次いで、濾液に冷却エタノールを加え、氷冷水で冷却してペプチド沈澱物を得た。その後、遠心分離(2500rpmで5分間)によって上澄みを廃棄した。沈殿物に冷ジエチルエーテルを新たに加えて十分に撹拌した後、上記と同じ条件で遠心分離を行った。この撹拌と遠心分離の処理を計3回反復して行った。
得られたペプチド沈殿物を真空乾燥し、高速液体クロマトグラフ(Waters 600:Waters社製品)を用いて精製を行った。
具体的には、プレカラム(日本ウォーターズ(株)製品、Guard-Pak Delta-pak C18 A300)及びC18逆相カラム(日本ウォーターズ(株)製品、XTerra(登録商標)カラム、MS C18、5μm、4.6×150mm)を使用し、0.1%トリフルオロ酢酸水溶液と0.1%トリフルオロ酢酸アセトニトリル溶液との混合液を溶離液に用いた。即ち、溶離液に含まれる上記トリフルオロ酢酸アセトニトリル溶液の分量を経時的に増大させつつ(容積比で10%から80%への濃度勾配を設ける)、1.5mL/分の流速で上記カラムを用いて30〜40分間の分離精製を行った。なお、逆相カラムから溶離したペプチドは紫外線検出器(490E Detector:Waters社製品)を用いて波長:220nmで検出され、記録チャート上にピークとして示される。
また、溶離した各ペプチドの分子量をPerSeptive Biosystems社製のVoyager DE RP(商標)を用いてMALDI-TOF/MS(Matrix-Assisted Laser Desorption Time of Flight Mass Spectrometry:マトリックス支援レーザーイオン化−飛行時間型−質量分析)に基づいて決定した。その結果、目的のペプチドが合成・精製されていることが確認された。
<実施例2:合成ペプチドの抗菌活性(1)>
本発明に係る抗菌ペプチド(サンプル1〜14)及び比較サンプル1のペプチドについて、グラム陰性細菌(大腸菌:E. coli)及びグラム陽性細菌(黄色ブドウ球菌:S. aureus)に対する抗菌活性(最小阻止濃度:MIC)を96穴(well)マイクロプレートを用いた液体培地希釈法により求めた。
即ち、先ず、滅菌蒸留水で最高試験濃度の40倍の濃度の薬剤(合成ペプチド)溶液を調製し、次いでペプチド濃度が200、100、50、25、12.5、6.25、3.13、1.56、及び0.78μMとなる液体肉汁培地(DIFCO社製品「NUTRIENT BROTH Dehydrated」)をそれぞれ作製した。そして、作製した上記各濃度のペプチド含有液体肉汁培地を96穴マイクロプレートに100μLずつ充填した。
一方、37℃で18時間培養した寒天平板(DIFCO社製品「ミューラーヒントン寒天(Mueller Hinton Agar)」)上の被験菌体をループで掻き取り、滅菌生理食塩水に懸濁した。2×107cells/mL相当に調整した菌液5μLを上記マイクロプレートの各ウェルに充填されている上記各濃度のペプチド含有液体肉汁培地にそれぞれ接種した(試験菌数:約1×106cells/mL)。接種後、37℃の恒温器内で培養を開始し、24時間後の濁度により菌発生の有無を調べた。その計測時における菌による濁度の増加が認められない最小薬剤濃度(ポリペプチド濃度)を本実施例におけるMIC(単位:μM)と定めた。結果を表2に示す。
Figure 2006160640
表2に示す結果から明らかなように、タウ関連配列を有する抗菌ペプチド(サンプル1〜14)は、いずれも良好な抗菌活性を示した。これらのうち、タウ関連配列を2単位タンデムに有するペプチド(サンプル5,6,8,14)、タウ関連配列とともにNLS関連配列を有するペプチド(サンプル3,4,7,9,10,13)、並びにタウ関連配列とともにLBS関連配列を有するペプチド(サンプル11,12)は、グラム陽性細菌(黄色ブドウ球菌)に対して特に高い抗菌活性を示した。
一方、10アミノ酸残基から成る比較対照のペプチド(比較サンプル1)については抗菌活性が認められなかった。
<実施例3:合成ペプチドの抗菌活性(2)>
次に、高濃度のカチオン存在下、更には血清存在下におけるグラム陽性細菌(S. aureus)に対する抗菌活性(MIC)を実施例2と同様の手法により調べた。但し、供試ペプチドは上記サンプル9のみとした。
即ち、先ず、滅菌蒸留水で最高試験濃度の40倍の濃度の薬剤(サンプル9の合成ペプチド)溶液を調製し、ペプチド濃度が50、25、12.5、6.25、3.13、1.56及び0.78μMとなる高濃度カチオン含有MHB培地(即ち、DIFCO社製品「ミューラーヒントンブロス(Mueller Hinton Broth)」の含有カチオンを以下のように調整した培地:CaCl2・2H2O3.68gを精製水100mLに溶解(10mg・Ca2+/mL)した後、その500μLをミューラーヒントンブロス100mLに添加し、且つ、MgCl2・6H2O8.36gを精製水100mLに溶解(10mg・Mg2+/mL)した後、その250μLを該ミューラーヒントンブロス100mLに添加したもの)をそれぞれ作製した。
また、上記高濃度カチオン含有MHB培地に更に体積比で培地全体の10%となるようにウマ血清(日本バイオテスト社製品の濾過滅菌したもの)を添加した培地(以下「高濃度カチオン含有MHB血清培地」という。)を作製した。かかる高濃度カチオン含有MHB血清培地についても、ペプチド濃度が50、25、12.5、6.25、3.13、1.56及び0.78μMとなるものを作製した。
次いで、上記各濃度のペプチドを含有した高濃度カチオン含有MHB培地および高濃度カチオン含有MHB血清培地を96穴マイクロプレートに100μLずつ充填し、実施例2と同様の手法でMICを求めた。対照としてペプチド濃度が50、25、12.5、6.25、3.13、1.56及び0.78μMとなる市販のMHB培地を使用した。
表3に示す結果から明らかなように、本発明に係るペプチドは、高濃度のカチオン存在下(本実施例では高濃度のカルシウム及びマグネシウムを含む)及び血清存在下であっても高い抗菌活性を維持し得ることが確かめられた。従って、本発明の抗菌ペプチドは、血清のような種々の有機物や1種類又は2種類以上のカチオン(または塩類)が比較的大量に存在する系(例えば血液中)での用途にも好適である。
Figure 2006160640
<実施例4:合成ペプチドの溶血活性>
上記実施例1で合成した二種のペプチド(サンプル9及びサンプル10)について溶血活性試験を行い、これらペプチドが動物細胞(赤血球)に及ぼす影響の指標とした。
本実施例に係る溶血活性試験は、次のとおり行った。即ち、サンプルペプチドをPBS(pH7.4)に溶解し、次いでペプチド濃度が400、200、100、50、25、12.5、6.25、3.13、1.56、及び0.78μMとなる10段階の2倍希釈系列(サンプル溶液)を作製した。ここで、溶血0%のコントロールとしてPBSを使用した。また、溶血100%のコントロールとして0.1%トリトンX−100含有PBSを使用した。そして、これらサンプル溶液に対して体積比(v/v)で1%となるように緬羊脱繊維血液(ヒツジ)の赤血球を加えた。添加後、37℃で1時間インキュベートし、その後氷冷により溶血反応を停止させた。次いで、4℃で3000rpmの遠心分離を4分間行った。
遠心分離後の各上清を96穴マイクロプレートに入れ、波長540nmにおける吸光度を測定した。かかる測定結果に基づき、溶血率(%)を次の計算式:
{(Aexp−A0)/A100}×100
より求めた。ここでAexpはサンプル溶液上清の吸光度であり、A0は溶血0%コントロール上清の吸光度であり、A100は溶血100%コントロール上清の吸光度である。結果を表4に示す。尚、溶血率が負の値(%)を示す場合にはこれを溶血率0%とみなす。
表4に示す結果から明らかなように、本発明に係るペプチド(ここではサンプル9及びサンプル10)の溶血活性は著しく低く、哺乳動物細胞に対しての適用が好ましい抗菌ペプチド(抗菌剤)であることが確認された。
Figure 2006160640
<実施例5:顆粒剤の調製>
サンプル9のペプチド50mgと結晶化セルロース50mg及び乳糖400mgとを混合した後、エタノールと水の混合液1mLを加え混練した。この混練物を常法に従って造粒し、抗菌ペプチドを主成分とする顆粒剤(顆粒状抗菌剤)を得た。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
<配列表フリーテキスト>
配列番号23 末端にアミド基を含む、設計された抗菌ペプチド。
配列番号24 末端にアミド基を含む、設計された抗菌ペプチド。
配列番号25 末端にアミド基を含む、設計された抗菌ペプチド。
配列番号26 末端にアミド基を含む、設計された抗菌ペプチド。
配列番号27 末端にアミド基を含む、設計された抗菌ペプチド。
配列番号28 末端にアミド基を含む、設計された抗菌ペプチド。
配列番号29 末端にアミド基を含む、設計された抗菌ペプチド。
配列番号30 末端にアミド基を含む、設計された抗菌ペプチド。
配列番号31 末端にアミド基を含む、設計された抗菌ペプチド。
配列番号32 末端にアミド基を含む、設計された抗菌ペプチド。
配列番号33 末端にアミド基を含む、設計された抗菌ペプチド。
配列番号34 末端にアミド基を含む、設計された抗菌ペプチド。
配列番号35 末端にアミド基を含む、設計された抗菌ペプチド。
配列番号36 末端にアミド基を含む、設計された抗菌ペプチド。
配列番号37 末端にアミド基を含む、設計されたペプチド。

Claims (16)

  1. 少なくとも1種の細菌に対して抗菌性を有する抗菌ペプチドを主成分とする抗菌剤であって、以下のアミノ酸配列:
    (a)KVQIINKK;
    (b)SVQIVYKP;
    (c)QVEVKSEK;
    (d)KKVAVVRT;
    (e)KKVAIIRT;
    (f)KKPTSAK;
    のうちのいずれかのアミノ酸配列から選択される少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列または該配列に部分的な改変が施された配列を1単位又は2単位以上有しており、該1単位又は2単位以上の配列に含まれるアミノ酸残基の総数がペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数の30%以上である抗菌ペプチドを含有する抗菌剤。
  2. 前記少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列または該配列に部分的な改変が施された配列が2単位又は3単位以上相互に近接して配置されている、請求項1に記載の抗菌剤。
  3. 前記少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列または該配列に部分的な改変が施された配列を1単位又は2単位以上有する抗菌ペプチドは、核移行性配列(NLS)を構成するアミノ酸配列または該配列に部分的な改変が施された配列を更に有する、請求項1又は2に記載の抗菌剤。
  4. 前記少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列または該配列に部分的な改変が施された配列を1単位又は2単位以上有する抗菌ペプチドは、ラミニン結合部位(LBS)を構成するアミノ酸配列から選択される少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列または該配列に部分的な改変が施された配列を更に有する、請求項1又は2に記載の抗菌剤。
  5. 前記少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列または該配列に部分的な改変が施された配列を1単位又は2単位以上有する抗菌ペプチドの全アミノ酸残基数が30以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の抗菌剤。
  6. 少なくとも1種の細菌に対して抗菌性を有する抗菌ペプチドを主成分とする抗菌剤であって、
    前記抗菌ペプチドとして、配列番号23〜36のいずれかに示されるアミノ酸配列または該配列に部分的な改変が施された配列を含み、ペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数が30以下である抗菌ペプチドを含有する、抗菌剤。
  7. 少なくとも1種の細菌に対して抗菌性を有する天然に存在しない人為的に合成された抗菌ペプチドであって、
    以下のアミノ酸配列:
    (a)KVQIINKK;
    (b)SVQIVYKP;
    (c)QVEVKSEK;
    (d)KKVAVVRT;
    (e)KKVAIIRT;
    (f)KKPTSAK;
    のうちのいずれかのアミノ酸配列から選択される、少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列または該配列に部分的な改変が施された配列が2単位又は3単位以上相互に近接して配置されており、
    該2単位又は3単位以上の配列に含まれるアミノ酸残基の総数はペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数の30%以上である、抗菌ペプチド。
  8. 少なくとも1種の細菌に対して抗菌性を有する天然に存在しない人為的に合成された抗菌ペプチドであって、
    以下のアミノ酸配列:
    (a)KVQIINKK;
    (b)SVQIVYKP;
    (c)QVEVKSEK;
    (d)KKVAVVRT;
    (e)KKVAIIRT;
    (f)KKPTSAK;
    のうちのいずれかのアミノ酸配列から選択される、少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列または該配列に部分的な改変が施された配列を1単位又は2単位以上有しており、
    該1単位又は2単位以上の配列に含まれるアミノ酸残基の総数はペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数の30%以上であり、
    核移行性配列(NLS)を構成するアミノ酸配列または該配列に部分的な改変が施された配列を更に有する、抗菌ペプチド。
  9. 少なくとも1種の細菌に対して抗菌性を有する天然に存在しない人為的に合成された抗菌ペプチドであって、
    以下のアミノ酸配列:
    (a)KVQIINKK;
    (b)SVQIVYKP;
    (c)QVEVKSEK;
    (d)KKVAVVRT;
    (e)KKVAIIRT;
    (f)KKPTSAK;
    のうちのいずれかのアミノ酸配列から選択される、少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列または該配列に部分的な改変が施された配列を1単位又は2単位以上有しており、
    該1単位又は2単位以上の配列に含まれるアミノ酸残基の総数はペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数の30%以上であり、
    ラミニン結合部位(LBS)を構成するアミノ酸配列から選択される少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列または該配列に部分的な改変が施された配列を更に有する、抗菌ペプチド。
  10. ペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数が30以下である、請求項7〜9のいずれかに記載の抗菌ペプチド。
  11. 少なくとも1種の細菌に対して抗菌性を有する天然に存在しない人為的に合成された抗菌ペプチドであって、
    配列番号25〜36のいずれかに示されるアミノ酸配列または該配列に部分的な改変が施された配列を含み、ペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数が30以下である、抗菌ペプチド。
  12. 請求項7〜11のいずれかに記載の抗菌ペプチドをコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含む、天然に存在しない人為的に設計されたポリヌクレオチド。
  13. 少なくとも1種の細菌に対して抗菌性を有する天然に存在しない抗菌ペプチドの製造方法であって、
    (1)以下のアミノ酸配列:
    (a)KVQIINKK;
    (b)SVQIVYKP;
    (c)QVEVKSEK;
    (d)KKVAVVRT;
    (e)KKVAIIRT;
    (f)KKPTSAK;
    のうちのいずれかのアミノ酸配列から選択される、少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列及び/又は該配列に部分的な改変が施された配列を決定すること、
    (2)前記決定した配列が2単位又は3単位以上相互に近接して配置され、該2単位又は3単位以上相互に近接して配置された部分の配列に含まれるアミノ酸残基の総数がペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数の30%以上となるようなペプチド鎖を設計すること、および
    (3)前記設計したペプチド鎖を合成すること、
    を包含する方法。
  14. 少なくとも1種の細菌に対して抗菌性を有する天然に存在しない人為的に合成された抗菌ペプチドの製造方法であって、
    (1)以下のアミノ酸配列:
    (a)KVQIINKK;
    (b)SVQIVYKP;
    (c)QVEVKSEK;
    (d)KKVAVVRT;
    (e)KKVAIIRT;
    (f)KKPTSAK;
    のうちのいずれかのアミノ酸配列から選択される、少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列及び/又は該配列に部分的な改変が施された配列を決定すること、
    (2)前記決定した配列を1単位又は2単位以上有し、該1単位又は2単位以上のアミノ酸配列に含まれるアミノ酸残基の総数が全アミノ酸残基数の30%以上となり、核移行性配列(NLS)を構成するアミノ酸配列及び/又は該配列に部分的な改変が施された配列を更に有するペプチド鎖を設計すること、および
    (3)前記設計したペプチド鎖を合成すること、
    を包含する方法。
  15. 少なくとも1種の細菌に対して抗菌性を有する天然に存在しない人為的に合成された抗菌ペプチドの製造方法であって、
    (1)以下のアミノ酸配列:
    (a)KVQIINKK;
    (b)SVQIVYKP;
    (c)QVEVKSEK;
    (d)KKVAVVRT;
    (e)KKVAIIRT;
    (f)KKPTSAK;
    のうちのいずれかのアミノ酸配列から選択される、少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列及び/又は該配列に部分的な改変が施された配列を決定すること、
    (2)前記決定した配列を1単位又は2単位以上有し、該1単位又は2単位以上のアミノ酸配列に含まれるアミノ酸残基の総数が全アミノ酸残基数の30%以上となり、ラミニン結合部位(LBS)を構成するアミノ酸配列から選択される少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列及び/又は該配列に部分的な改変が施された配列を更に有するペプチド鎖を設計すること、および
    (3)前記設計したペプチド鎖を合成すること、
    を包含する方法。
  16. 前記ペプチド鎖として、全アミノ酸残基数が30以下であるペプチド鎖を設計する、請求項13〜15のいずれかに記載の方法。
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