JP2006159108A - 複合積層体、これを用いたガス分離膜ならびにその製造方法 - Google Patents

複合積層体、これを用いたガス分離膜ならびにその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2006159108A
JP2006159108A JP2004355520A JP2004355520A JP2006159108A JP 2006159108 A JP2006159108 A JP 2006159108A JP 2004355520 A JP2004355520 A JP 2004355520A JP 2004355520 A JP2004355520 A JP 2004355520A JP 2006159108 A JP2006159108 A JP 2006159108A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
porous support
metal
metal glass
hydrogen
sprayed coating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004355520A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaharu Sugiyama
雅治 杉山
Masaki Ohara
正樹 大原
Takanori Igarashi
貴教 五十嵐
Atsuo Mochizuki
淳夫 望月
Hisamichi Kimura
久道 木村
Akihisa Inoue
明久 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tohoku University NUC
Topy Industries Ltd
Original Assignee
Tohoku University NUC
Topy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tohoku University NUC, Topy Industries Ltd filed Critical Tohoku University NUC
Priority to JP2004355520A priority Critical patent/JP2006159108A/ja
Priority to CN201310115990.9A priority patent/CN103320783B/zh
Priority to KR1020067021165A priority patent/KR101247410B1/ko
Priority to EP12162139.5A priority patent/EP2479309B1/en
Priority to ES12162139.5T priority patent/ES2586586T3/es
Priority to CN2005800094489A priority patent/CN1938442B/zh
Priority to ES05726978.9T priority patent/ES2561897T3/es
Priority to PCT/JP2005/005528 priority patent/WO2005093113A1/ja
Priority to US10/599,293 priority patent/US7906219B2/en
Priority to EP05726978.9A priority patent/EP1736564B1/en
Publication of JP2006159108A publication Critical patent/JP2006159108A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Landscapes

  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Hydrogen, Water And Hydrids (AREA)
  • Fuel Cell (AREA)

Abstract

【課題】 ガス分離膜としても十分利用可能な多孔質支持体と金属ガラス薄膜との複合積層体ならびにその簡便な製造方法を提供する。
【解決手段】 多孔質支持体表面に、ピンホールのない金属ガラス溶射被膜が積層されている複合積層体。金属ガラスを多孔質支持体表面に高速フレーム溶射することにより、緻密でピンホールがなく、均一なアモルファス相からなる金属ガラス溶射被膜を多孔質支持体表面に強固かつ直接的に積層することができる。金属ガラスとして、水素などのガス選択透過性を有するものを用いれば、特に封口処理せずとも水素などガス分離膜として十分使用できる。また、本発明においては溶射被膜が均一なアモルファス相として得られるため、結晶質金属に比べて水素脆化が少なく、耐食性や強度にも優れる。また、高速フレーム溶射は大気中で行うことができるので製造が容易である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、多孔質支持体上に金属膜を有する複合積層体、特に混合ガス中から水素ガスなどの特定のガスを選択的に分離するガス分離膜に利用可能な複合積層体ならびにその製造方法に関する。
従来、様々なガス透過膜が検討されているが、最近ではクリーンエネルギーとして水素燃料への関心が高まり、燃料電池開発との関連から特に水素分離膜に対するニーズが高まっている。
水素選択透過性の金属膜を用いた水素分離膜は高純度水素製造に利用されており、その原理は、高圧力の原料ガス(水素を含有する混合ガス)を水素透過性金属膜の片面に接触させ、水素のみを透過させて高純度水素を反対側から得るというものである。PdやPd合金(Pd−Ag合金等)からなるPd系金属膜は、水素選択性が高く水素透過速度が速いため、水素分離膜としてよく用いられる。
しかしながら、Pdは大変高価な貴金属であり、PdやPd合金よりも安価な材料からなる代替製品が求められている。PdやPd合金の代替製品として、例えば特許文献1には、アモルファス結晶構造を有するニオブ合金箔からなる水素分離膜が開示されているが、水素分離は一般に数百度以上の温度域で実施されるため、安定性の点で十分な性能のものは得られていない。
また、水素透過性能を高めるためには、金属膜を薄膜化して水素透過速度を大きくすること、ならびに水素分離膜の両面にかかる圧力差を大きくすることが望ましい。しかし、薄膜化すれば大きな圧力差に耐え得る機械的強度が得られないため、多孔質支持体上に水素透過性金属膜を形成し、金属膜の薄膜化と機械的強度との両立を図ることが行われている。
多孔質支持体上に水素透過性金属膜を形成させる方法として、例えば、特許文献2などには、圧延等の手段で薄膜化したPd系膜を金属多孔質支持体に貼り合わせて水素分離膜とすることが記載されている。
しかしながら、圧延による薄膜化では、一般に圧延ロールと母材である圧延素材板との間に直径数μmの異物が介在することが多く、これを完全に除去することは難しい。このため、圧延時に異物の噛み込みが発生して、厚み方向に貫通した欠陥を生じることがある。また、薄膜は破損しやすく帯電もしやすいため、加工時のハンドリングが難しくなって歩留まりが低下するという問題もある。
また、圧延成型によって合金箔を作製しようとすると、特殊な圧延条件や焼鈍工程の繰り返しが必要となり生産コストは極めて高いものとなる。また、箔を作製する際に焼鈍を繰り返すと、箔中の元素分布が偏析する場合がある。また、このような作業は合金の酸化を防止するために不活性ガス雰囲気中で行われなければならないが、圧延工程や焼鈍工程を不活性ガス雰囲気中で行おうとすると装置が大型化する。
また、特許文献3などには、めっきにより金属多孔体表面にPd系膜を形成することが記載されている。
また、特許文献4などには、蒸着により金属多孔質支持体表面にPd系膜を形成することが記載されている。
しかしながら、メッキや蒸着などでは多孔質支持体表面に直接膜を形成できるが、多孔質体の細孔を完全に塞ぐには非常に時間がかかり生産性が悪い。また、細孔中心部で膜厚が薄くなって耐圧性が不十分であったり、ピンホールを完全になくすことが困難であるなどの問題があった。
また、特許文献5には、減圧プラズマ溶射によりPd系膜を多孔体表面に形成することが記載されている。
減圧プラズマ溶射法では、減圧されたチャンバー内で無酸素雰囲気中で行うため、溶射材料の酸化はなく高純度の被膜が形成できるものの、一般に溶射被膜は気孔が多く、そのままで水素透過分離膜に適用することは困難である。
特開2004−42017号公報 特開平5−76738号公報 特開平5−123548号公報 特開平10−297906号公報 特開平6−91144号公報
本発明は上記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、上記課題を全て解決し、ガス分離膜としても十分利用可能な多孔質支持体と金属薄膜との複合積層体ならびにその簡便な製造方法を提供することにある。
上記課題を達成するために本発明者らが鋭意検討を行った結果、多孔質支持体表面に金属ガラスを溶射することにより、緻密でピンホールのない均一なアモルファス相からなる金属ガラス溶射被膜を多孔質支持体表面に容易に積層できること、そして水素など特定のガスに対して選択的透過性を有する金属ガラスを用いれば、得られた複合積層体を封孔処理せずともガス分離膜として十分に利用可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる複合積層体は、多孔質支持体表面に、ピンホールのない金属ガラス溶射被膜が積層されていることを特徴とする。
本発明の複合積層体において、金属ガラス溶射被膜がガス選択透過性を有することが好適であり、さらには、選択されるガスが水素であることが好適である。
また、金属ガラス溶射被膜の厚みが1〜1000μmであることが好適である。
また、多孔質支持体の細孔経が0.1〜1000μmの範囲であることが好適である。
また、本発明の複合積層体において、形状がチューブ状であることが好適である。
本発明にかかるガス分離膜は、前記何れかに記載の複合積層体を用いる。
また、本発明にかかる複合積層体の製造方法は、多孔質支持体表面に金属ガラスを高速フレーム溶射し、多孔質支持体表面にピンホールのない金属ガラス溶射被膜を積層することを特徴とする。
本発明によれば、金属ガラスを多孔質支持体表面に高速フレーム溶射することにより、緻密でピンホールがなく、均一なアモルファス相からなる金属ガラス溶射被膜を多孔質支持体表面に強固かつ直接的に積層することができる。よって、金属ガラスとして、水素などのガス選択透過性を有するものを用いれば、特に封口処理せずとも水素などガス分離膜として十分使用できる。また、本発明においては溶射被膜が均一なアモルファス相として得られるため、結晶質金属に比べて水素脆化が少なく、耐食性や強度にも優れる。また、高速フレーム溶射は大気中で行うことができるので製造が容易である。
図1に、本発明にかかる複合積層体の一例を示す。図1の複合積層体10においては、多孔質支持体12の片側表面上に金属ガラス溶射被膜14が積層されている。多孔質支持体12は、厚さ方向に貫通した複数の細孔16を有しており、細孔16の一方の開口部は金属ガラス溶射被膜14により完全に塞がれている。なお、細孔は一定の形状や向きに揃っている必要はなく、例えば、セラミックのポーラス材や金属不織布などのように、多孔質支持体を貫通する孔を有していればよい。金属ガラス溶射被膜14は、多孔質支持体12の細孔16の開口部に若干侵入していることがある。金属ガラス溶射被膜14は多孔質支持体12表面に強固に接合している。
金属ガラス溶射被膜14がガス選択透過性を有する場合には、該複合積層体をガス分離膜として利用できる。例えば、水素ガス選択透過性を有する場合、水素を含む混合ガス(原料ガス)が金属ガラス溶射被膜14に接触すると水素ガスのみが金属ガラス溶射被膜14を透過し、次いで多孔質支持体12の細孔16を通過する。この水素ガスを回収することにより高純度の水素ガスを得ることができる。
図2は、チューブ状の複合積層体10の一例を示し、チューブ状の多孔質支持体12の外側表面には水素ガス選択透過性を有する金属ガラス溶射被膜14が積層されている。このような複合積層体では、チューブ内の中空部が、金属ガラス溶射被膜14を透過し、多孔質支持体12を通過してきた高純度水素ガスの流路となる。
分離膜として用いる際の分離条件としては適宜設定可能であるが、例えば、供給される混合ガスの温度を500℃、混合ガス圧を1MPa、透過側の圧力を0.1MPaとすることができる。
多孔質支持体12の材質、構造、形状、サイズなどは様々なものが提案されており、目的に応じて選択することができる。例えば、形状としてはシート状、繊維状、板状、チューブ状などがある。材質としては、炭素鋼、ステンレス、アルミニウムなどの金属やセラミック等の無機材料、あるいは有機高分子材料などがある。金属多孔体は機械的強度、他部材との接合性、耐熱性、コストなどの点で有利なことが多い。
なお、金属性の多孔質支持体を用いた場合、水素分離膜として高温で長期に運転した場合に、溶射被膜と金属製支持体との拡散反応により分離能が低下することがある。このような場合には、多孔質支持体12と溶射被膜14との間に相互拡散を抑制するバリア層を設けることができる。例えば、特許文献2では、CVD法などによりセラミックをバリア層として設けている。
また、溶射被膜14の表面には、水素透過性能等を改善するために、さらにPd膜などを公知の方法により被覆することもできる。
多孔質支持体12の細孔16は、細孔径が0.1〜1000μm、好ましくは1〜100μm、隣接する細孔同士の間隔が2〜50μmの範囲からそれぞれ設定するのがよい。多孔質支持体の細孔径や開口率が大きいほどガスの通気性はよいが、支持体としての機械的強度が不足する。また、細孔径が大きすぎると、細孔を完全に塞ぐために溶射被膜が厚膜になってしまい、ガス透過速度が小さくなってしまうことがある。
なお、図1の多孔質支持体12は、厚さ0.1mmのSUS430からなり、厚み方向に貫通する細孔16の断面形状(開口部形状)は長径50μm、短径10μmの長方形で、隣接する細孔同士の間隔は20μmであるが、これに限定されるものではない。
細孔の形状も特に制限されるものではなく、その開口部の形状は円形、楕円、方形、線形、不定形などが挙げられる。
本発明においては、細孔径や断面形状、あるいは材質の異なる多孔質基材を通気性や機械的強度等を考慮して最良となるように適宜重ね合わせて使用することができる。例えば、溶射被膜に近いほど開口径が小さくなるように複数枚重ねて使用することができる。
次に金属ガラス溶射被膜について説明する。
近年、過冷却液体状態の温度幅が比較的広く、金属融体を0.1〜100K/s程度のゆっくりとした冷却速度で冷却しても、過冷却液体状態を経過してガラス相に凝固する合金が見い出され、これらは金属ガラスあるいはガラス合金(glassy alloy)と呼ばれて、従来のアモルファス合金とは区別されている。金属ガラスは、(1)3元系以上の金属ガラスからなる合金で、且つ(2)広い過冷却温度域を有する合金と定義されており、耐食性、耐摩耗性等に極めて高い性能を有し、より緩慢な冷却によって非晶質固体が得られるなどの特徴を有する。金属ガラス合金はアモルファス金属の一つとして考えられているが、最近ではナノクリスタルの集合体との見方もされている。
金属ガラスは、加熱時に、結晶化前に明瞭なガラス遷移と広い過冷却液体領域を示す。
すなわち、金属ガラスをDSC(示差走査熱量計)を用いてその熱的挙動を調べると、温度上昇にともない、ガラス転移温度(Tg)を開始点としてブロードな広い吸熱温度領域が現れ、結晶化開始温度(Tx)でシャープな発熱ピークに転ずる。そしてさらに加熱すると、融点(Tm)で吸熱ピークが現れる。金属ガラスの種類によって、各温度は異なる。TgとTxの間の温度領域△Tx=Tx−Tgが過冷却液体領域であり、△Txが10〜130Kと非常に大きいことが金属ガラスの一つの特徴である。△Txが大きい程、結晶化に対する過冷却液体状態の安定性が高いことを意味する。
過冷却液体が安定化するための組成に関しては、(1)3成分以上の多元系であること、(2)主要3成分の原子径が互いに12%以上異なっていること、及び(3)主要3成分の混合熱が互いに負の値を有していること、が経験則として知られている(ガラス合金の発展経緯と合金系:機能材料、vol.22,No.6,p.5−9(2002))。
本発明においては、△Tx=Tx−Tg(ただしTxは結晶化開始温度、Tgはガラス遷移温度を示す)の式で表される過冷却液体領域の温度間隔△Tgが20K以上である金属ガラスが好適に用いられる。このような金属ガラスとしては、メタル−メタロイド(半金属)系金属ガラス合金、メタル−メタル系金属ガラス合金、ハード磁性系金属ガラス合金などが挙げられる。
メタル−メタロイド系金属ガラス合金は、ΔTxが35K以上、組成によっては50K以上という大きな温度間隔を有していることが知られている。本発明においては△Txが20K以上、さらには40K以上の金属ガラスであることが好ましい。
一方、Pdの他、Nb、V、Ti、Ta、Zrなどの金属が水素透過性能を有することが知られており、このような金属を中心とする金属ガラスは、水素選択透過性を発揮し得る。例えば、特許文献1に記載された、Nb−Ni−Zr系、Nb−Ni−Zr−Al系、Nb−Ni−Ti−Zr系、Nb−Ni−Ti−Zr−Co系、Nb−Ni−Ti−Zr−Co−Cu系、Nb−Co−Zr系や、Ni−V−(Zr,Ti)系、Co−V−Zr系、Cu−Zr−Ti系などが挙げられる。
もちろん、ガス透過性が特に要求されない用途の場合には、目的に応じた金属ガラスを用いて複合積層体とすることができる。多孔質支持体は軽量化基材として有利であり、これに金属ガラスを被覆すれば金属ガラスの優れた機能性が付与された軽量部材を得ることができる。
このような金属ガラスの一つの例として、例えば、複数の元素(3金属元素以上)から構成され、その主成分が少なくともFe基、Co基、Ni基、Ti基、Zr基、Mg基、Cu基、Pd基のいずれかひとつを30〜80質量%の範囲で含有するものが挙げられる。さらに、VIa族元素(Cr,Mo,W)を10〜40質量%、IVb族元素(C,Si,Ge,Sn)を1〜10質量%の範囲で各グループから少なくとも1種類以上の金属を組み合わせてもよい。また、鉄族元素、およびこれらに目的に応じて、Ca,B,Al,Nb,N,Hf,Ta,Pなどの元素が10%以内の範囲で添加される。これらの条件により、高いガラス形成能を有することになる。
金属ガラス溶射被膜14は、多孔質支持体12表面に金属ガラスを溶射することにより積層される。
金属の溶射被膜では一般に気孔が多く、そのため多孔質の基材上に溶射した場合には、溶射被膜を厚くしても、基材の孔を完全に塞ぐことは難しい。
本発明では、金属ガラス粒子を過冷却状態で多孔質支持体表面に衝突させることにより、多孔質支持体表面に緻密且つ均一なアモルファス相の金属ガラス皮膜を短時間で強固かつ容易に形成することができる。
アモルファス固体状態にある金属ガラスを加熱した場合、Tg以下の温度ではアモルファス固体状態のままであるが、Tg〜Txでは過冷却液体状態、Tx〜Tmでは結晶固体状態、Tm以上では液体となる。
過冷却液体領域では、金属ガラスは粘性流動を示し、粘性が低い。このため、過冷却液体状態にある金属ガラスが多孔質支持体表面に衝突すると、瞬時に薄く潰れて支持体表面に広がり、厚みが非常に薄い良好なスプラットを形成することができる。そして、このようなスプラットの堆積により、気孔が非常に少なくピンホールのない緻密な膜を形成することができる。
溶射被膜と支持体表面とは強固に接合する。また、溶射における衝突時には溶射粒子の一部が多孔質支持体の細孔の開口部付近で内部に若干侵入するので、アンカーとしての役目も果たす。
また、スプラットは過冷却液体状態から冷却されるので、結晶相を生成せず、アモルファス相のみが得られる。すなわち、アモルファス固体状態と過冷却液体状態とは可逆的であるため、過冷却液体状態にある金属ガラスを冷却すれば、冷却速度によらずアモルファス固体状態の金属ガラスを得ることができる。これに対し、過冷却液体状態と結晶固体状態とは不可逆であるため、結晶固体状態の金属ガラスをそのまま室温まで冷却しても、結晶固体状態のままであり、Tm以上で融解して液体状態にある金属ガラスを冷却した場合には、冷却速度によっては結晶相が生成してしまう。
アモルファス金属は結晶質金属に比べて水素脆化が少なく、耐食性や強度にも優れる。金属ガラス被膜中に結晶相が含まれる場合には、このような金属ガラスの優れた性能が損なわれる。
さらに、大気中での溶射の場合、材料を溶融状態で衝突させる従来の溶射方法では、溶射材料の酸化物が皮膜中に含まれてしまい、皮膜の特性に悪影響を及ぼすが、本発明では過冷却液体状態で衝突させるので、大気中で溶射したとしても酸化の影響がほとんどない。
従って、本発明の方法によれば、溶射により、均一な金属ガラスのアモルファス固体相からなり、且つピンホールのない緻密な金属皮膜を多孔質支持体表面に強固かつ容易に得ることができる。
本発明においては、金属ガラス皮膜中の気孔は非常に少ない(気孔率は10容積%以下、好ましくは2容積%以下)。また、気孔径は皮膜の膜厚よりもごく小さく、皮膜を貫通するような連続気孔は存在しない。
金属と基材との接合は一般に圧接、溶接などの方法がとられるが、界面における両者の組織の親和性が密着強度、はがれなどの耐久性に大きな影響を与える。また両者の間には材料特有の熱膨張係数の差が存在するため膨張係数のマッチングが重要である。金属ガラスは、その組織構造から金属に比べ熱膨張係数は低く、柔軟性に富むので、界面形成能にも優れている。
溶射方法としては、大気圧プラズマ溶射、減圧プラズマ溶射、フレーム溶射、高速フレーム溶射(HVOF)、アーク溶射などがあるが、高速フレーム溶射がピンホールのない高密度膜を得る上で特に優れている。
図3は、高速フレーム溶射(HVOF)装置の一例の概略図である。同図に示すように、HVOF装置は溶射ガン30を備え、該溶射ガン30の基部(図中左方)から燃料パイプ32及び酸素パイプ34を介してそれぞれ燃料及び酸素が供給され、溶射ガン30のフレーム端(図中右方)には高速の燃焼炎(ガスフレーム)36が形成される。そして、この溶射ガン30のフレーム端に近接して溶射材料供給パイプ38が設けられ、該パイプ38から溶射材料粉末が搬送ガス(Nガスなど)により圧送供給される。
そして、パイプ38により供給された溶射材料粉末粒子は、ガスフレーム36中で加熱及び加速される。この加速粒子(溶射粒子)40は高速で基材42の表面に衝突し、基材表面で急速に冷却されて凝固し、偏平なスプラットを形成する。このようなスプラットの堆積により、溶射皮膜44が形成される。
燃料としては、灯油、アセチレン、水素、プロパン、プロピレン等を用いることができる。
溶射粉末の粒径は、特に問題のない限り制限されないが、10〜80μm、さらには20〜50μmが好適に使用できる。溶射粒子はミクロンオーダーで大きく、これが衝突により基材表面で薄く潰れて多孔質支持体の細孔を広く覆うことができるため、気相法などに比べ極めて短時間で細孔を完全に塞ぐことができる。
本発明においては、あらかじめ原料を金属ガラスの状態(アモルファス)にする。原料は基本的に粒状あるいは粉体状が好ましいが、これに限定されるものではない。作成方法としてはアトマイズ法、ケミカルアロイング法、メカニカルアロイング法などがあるが、生産性を考慮すればアトマイズ法が好ましい。
このような方法により金属、合金、セラミック、樹脂などの材料表面に金属ガラスを溶射し、緻密な金属ガラスのアモルファス溶射皮膜を形成することができる。特に銅、ステンレスなどの耐熱性、熱容量、熱伝導の高い金属材料には好適に溶射できる。
溶射による積層では、支持体に直接金属膜を形成できるので、金属箔を支持体と接合するための工程は不要である。
また、積層体をチューブ状としたい場合には、チューブ状の多孔質支持体に直接溶射してもよいし、シート状や板状の多孔質支持体に溶射した後、これをチューブ状に成形してもよい。
溶射では、めっきや蒸着などに比べて厚い皮膜(1000μm以上)を得ることも可能であるが、ガス分離膜として使用する場合には、金属ガラス溶射被膜の膜厚は1〜1000μm、さらには20〜200μmであることが好適である。多孔質支持体への溶射では衝突時に溶射粒子が細孔内に侵入するので、基材の温度、金属ガラスの種類や溶射条件などにより、溶射被膜の最表面から細孔内部にかけての膜厚を1〜1000μmの範囲に制御可能である。
なお、金属ガラス溶射皮膜は均一の膜厚に形成してもよいし、必要に応じて傾斜膜とすることもできる。
本発明の一実施例にかかる複合積層体の断面図である。 本発明の一実施例にかかるチューブ状複合積層体の概略図である。 高速フレーム(HVOF)装置の一例の概略図である。
符号の説明
10 複合積層体
12 多孔質支持体
14 金属ガラス溶射被膜
16 細孔
30 溶射ガン
32 燃料パイプ
34 酸素パイプ
36 ガスフレーム
38 溶射材料供給パイプ
40 溶射粒子
42 基材
44 溶射皮膜

Claims (8)

  1. 多孔質支持体表面に、ピンホールのない金属ガラス溶射被膜が積層されていることを特徴とする複合積層体。
  2. 請求項1記載の複合積層体において、金属ガラス溶射被膜がガス選択透過性を有することを特徴とする複合積層体。
  3. 請求項2記載の複合積層体において、選択されるガスが水素であることを特徴とする複合積層体。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の複合積層体において、金属ガラス溶射被膜の厚みが1〜1000μmであることを特徴とする複合積層体。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載の複合積層体において、多孔質支持体の細孔径が0.1〜1000μmの範囲であることを特徴とする複合積層体。
  6. 請求項1〜5の何れかに記載の複合積層体において、形状がチューブ状であることを特徴とする複合積層体。
  7. 請求項2〜6の何れかに記載の複合積層体を用いたガス分離膜。
  8. 多孔質支持体表面に金属ガラスを高速フレーム溶射し、多孔質支持体表面にピンホールのない金属ガラス溶射被膜を積層することを特徴とする複合積層体の製造方法。

JP2004355520A 2004-03-25 2004-12-08 複合積層体、これを用いたガス分離膜ならびにその製造方法 Pending JP2006159108A (ja)

Priority Applications (10)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004355520A JP2006159108A (ja) 2004-12-08 2004-12-08 複合積層体、これを用いたガス分離膜ならびにその製造方法
CN201310115990.9A CN103320783B (zh) 2004-03-25 2005-03-25 金属玻璃叠层体、其制造方法及其应用
KR1020067021165A KR101247410B1 (ko) 2004-03-25 2005-03-25 금속유리 적층체, 그 제조방법 및 그 이용
EP12162139.5A EP2479309B1 (en) 2004-03-25 2005-03-25 Metallic glass laminates, production methods and applications thereof
ES12162139.5T ES2586586T3 (es) 2004-03-25 2005-03-25 Laminados de vidrio metálico, procedimientos de producción y aplicaciones de los mismos
CN2005800094489A CN1938442B (zh) 2004-03-25 2005-03-25 金属玻璃叠层体、其制造方法及其应用
ES05726978.9T ES2561897T3 (es) 2004-03-25 2005-03-25 Producto laminado en vidrio metálico, procedimiento para fabricarlo y utilización del mismo
PCT/JP2005/005528 WO2005093113A1 (ja) 2004-03-25 2005-03-25 金属ガラス積層体、その製造方法及びその利用
US10/599,293 US7906219B2 (en) 2004-03-25 2005-03-25 Metallic glass laminates, production methods and applications thereof
EP05726978.9A EP1736564B1 (en) 2004-03-25 2005-03-25 Metallic glass laminate, process for producing the same and use thereof

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004355520A JP2006159108A (ja) 2004-12-08 2004-12-08 複合積層体、これを用いたガス分離膜ならびにその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006159108A true JP2006159108A (ja) 2006-06-22

Family

ID=36661692

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004355520A Pending JP2006159108A (ja) 2004-03-25 2004-12-08 複合積層体、これを用いたガス分離膜ならびにその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006159108A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007105738A1 (ja) * 2006-03-13 2007-09-20 National Institute For Materials Science 非晶質金属複合材とその製造方法およびそれによる物品
JP2008264775A (ja) * 2007-03-26 2008-11-06 Fukuda Metal Foil & Powder Co Ltd 複合金属ガラス水素分離膜及びその製造方法
WO2011086669A1 (ja) 2010-01-13 2011-07-21 株式会社中山製鋼所 アモルファス皮膜の形成装置および形成方法
JP2017226915A (ja) * 2016-06-17 2017-12-28 吉川工業株式会社 溶射皮膜及び溶射皮膜部材

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003253417A (ja) * 2002-02-19 2003-09-10 Praxair Technol Inc プラズマ溶射酸素輸送膜
JP2006214000A (ja) * 2004-03-25 2006-08-17 Akihisa Inoue 金属ガラス積層体、およびその製造方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003253417A (ja) * 2002-02-19 2003-09-10 Praxair Technol Inc プラズマ溶射酸素輸送膜
JP2006214000A (ja) * 2004-03-25 2006-08-17 Akihisa Inoue 金属ガラス積層体、およびその製造方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007105738A1 (ja) * 2006-03-13 2007-09-20 National Institute For Materials Science 非晶質金属複合材とその製造方法およびそれによる物品
JP2008264775A (ja) * 2007-03-26 2008-11-06 Fukuda Metal Foil & Powder Co Ltd 複合金属ガラス水素分離膜及びその製造方法
WO2011086669A1 (ja) 2010-01-13 2011-07-21 株式会社中山製鋼所 アモルファス皮膜の形成装置および形成方法
CN102791384A (zh) * 2010-01-13 2012-11-21 株式会社中山制钢所 用于形成非晶体涂层膜的装置和方法
US9382604B2 (en) 2010-01-13 2016-07-05 Nakayama Amorphous Co., Ltd. Apparatus and method for forming amorphous coating film
JP2017226915A (ja) * 2016-06-17 2017-12-28 吉川工業株式会社 溶射皮膜及び溶射皮膜部材

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7906219B2 (en) Metallic glass laminates, production methods and applications thereof
JP3946226B2 (ja) 金属ガラス積層体、およびその製造方法
JP4644653B2 (ja) 金属ガラス積層体
EP2091634B1 (en) Method of making a gas separation membrane system using nanoscale metal material
JP4484105B2 (ja) 金属ガラス積層体からなる金型成形体、及びその製造方法
US20100247944A1 (en) Hydrogen-permeable membrane made of a metal composite material
JP4889271B2 (ja) 金属ガラス複合材料およびそれを使用した電子電気機器用部材
CN101027148A (zh) 纳米晶体薄钢板
Souleimanova et al. Pd membranes formed by electroless plating with osmosis: H2 permeation studies
JP4895561B2 (ja) 金属ガラス溶射被膜及びその形成方法
JP2002219341A (ja) 水素選択透過膜支持用基材および水素選択透過部材
JP2006159108A (ja) 複合積層体、これを用いたガス分離膜ならびにその製造方法
JP5170776B2 (ja) 軟磁性体
WO2010100432A2 (en) Sealing technology
JP2007084901A (ja) 金属ガラス薄膜積層体
Xiong et al. Fabrication and characterization of Pd/Nb40Ti30Ni30/Pd/porous nickel support composite membrane for hydrogen separation and purification
JP2011017080A (ja) 薄板金属基材上に金属ガラス溶射被膜層が形成された複合材料及びその製造方法
JP2560256B2 (ja) 細管状水素分離膜の製造方法
JP2005218963A (ja) 水素透過用部材およびその製造方法
KR101689387B1 (ko) 표면에 메탈폼층을 구비한 금속 기재 제조방법 및 이에 의해 제조된 금속 기재
KR101466039B1 (ko) 비정질 형성능을 가지는 금속원소를 포함하는 결정질 합금들의 접합 방법, 스퍼터링 타겟 구조체 및 그 제조방법
WO2010099633A1 (en) Process for producing alloy seal

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060323

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090310

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090508

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100622

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20101026