JP2006158136A5 - - Google Patents
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Description
本発明は、カメラのレンズ駆動や、CD、DVD等の記録再生装置の情報機器分野で使用されている小型モータに係わるもので、詳しくはそのロータコアに関するものである。
近年、可搬型パーソナルコンピュータ等の情報機器に使用されている、モータへの小型化への要求が高まってきている。例えば、情報機器等に使用されるモータの回転軸がコアに圧入されたロータコアにおいて、小型化に伴い回転軸の曲がり、傷つきによる軸受けの摺動音、軸ずれによる騒音および、回転軸の曲がり、傷によるモータの信頼性の低下が問題視されている。
従来、前記のような情報機器に多く使用されているインナーロータ型モータでは、コアシートが複数枚積層固着されたコアの貫通孔に回転軸が圧入され固定されている。複数枚積層されたコアシートの固着方法としては、コアシートに形成したダボによる接合や、複数のコアシートを積層した後、その表面に粉体塗装等により膜を形成し固定する方法や、レーザー溶接によるコアシートを積層固着する方法が提案されている。コアに回転軸を圧入しないで、コアと回転軸を接合する方法としては、コアに回転軸を挿入しコア端面側で回転軸の周り付近をカシメて固着する方法がある(特許文献1、2、3参照)。
情報機器の小型に対応するためのモータの小型化は、それに使用されるロータコアの小型化を要求することになる。
コアを構成する複数のコアシートは、それぞれ個別加工により貫通孔が形成されている。このため、コアシート外形を基準として複数のコアシートを積層した場合、各コアシートの貫通孔のバラツキ(孔形状及び孔位置)が発生する。このバラツキが、回転軸の圧入の際に回転軸の曲がりや傷の原因となっている。
積層固着されたコアに回転軸を圧入する方法は、従来から用いられているが、モータの小型化により回転軸の径は細くなっており、機械的強度が低下している。このために、従来と同じ圧入しろで積層固着されたコアに回転軸を圧入すると、積層されたコアシート間の貫通孔の位置ずれを押しのける機械的強度がないために、回転軸に変形や傷を生じる。
圧入しろを小さくすることは、回転軸の曲がりを低減させ、表面の傷を押さえることには有効な方法であるが、コアと回転軸の接合強度が不足し、衝撃によりコアが位置ずれを起こしたり、回転方向にコアの位置ずれを抑制するため回り止めが別個必要となるという問題点を有する。
また、回転軸の曲がりや表面の傷付きを回避するため、貫通孔に回転軸を挿入し、積層されたコアをカシメて回転軸と接合させる方法がある。しかし、カシメによりコアと回転軸に十分な接合強度を得ようとすると、カシメ力によりコアシートの変形が回転軸を変形させる。また、コアシートの変形による鉄損の増加によりモータ特性を低下させるという問題点がある。また、コアの積層枚数が増加するとコアの両端面に比べ両端面より内側のコアシートのカシメ力が低下し、コアシートが空転したりずれたりする問題点がある。
本発明はこのような従来の課題を解決するものであり、回転軸の曲がりや傷を抑制したロータコアの製造を可能とし、小型で騒音の少ない信頼性の高いモータ用ロータコア及び小型モータを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明では、複数のコアシートを積層してなるコアに回転軸を圧入したモータ用ロータコアにおいて、該コアの貫通孔は該回転軸と接合する圧入部と該回転軸との間に間隙を形成する隙間部が設けられ、該隙間部には該コアと該回転軸を接合する樹脂膜が形成されたことを特徴とする。
本発明において、複数のコアシートを積層してなるコアの貫通孔の周縁部には、回転軸を圧入した際に接合する圧入部と、隙間を有する隙間部を設けたことにより、コアに回転軸を圧入する際の圧入力を低減できるので回転軸の曲がりや傷つきを抑制できる。更に、コアシートの隙間部は、圧入により変形したコアシート、もしくは回転軸の肉逃げ部として作用するので、回転軸の曲がりやコアシートの変形を防止できる。隙間部に樹脂膜を形成することにより、樹脂膜によるコアと回転軸との接合面積が増え、コアと回転軸が強固に接合される。
本発明において、該コアの該隙間部と該ロータコアの外側面は一体の樹脂膜が形成されていることが好ましい。このように構成することで、ロータコアの外側面を覆う樹脂膜と、ロータコアと回転軸の貫通孔の隙間部に形成する樹脂膜を一回の製膜工程で行うことにより、電磁鋼板をプレスにより所望の形状に打ち抜かれたコアシートの端部によるロータコイルの巻線の皮膜の破損防止用樹脂膜の形成と、ロータコアと回転軸の強固な接続を同時に行うことができ、製造工程を簡略化することができる。また、ロータコアに樹脂膜を形成した後、回転軸を圧入したり、回転軸を挿入してカシメてコアと回転軸を接合する工法の圧入応力やカシメ応力による樹脂膜のクラックや剥がれという不具合を解消できる。
また、本発明において、該隙間部は、整列状態で積層されていることが好ましい。このように構成することで、コアシートの貫通孔に形成された該隙間部に樹脂材料が付着しやすくなり、コアと回転軸の接合面積を大きくすることができるので、強固な接合が可能とである。
また、本発明において、該コアシートにおいて、該隙間部は該回転軸に対して同心円上に等間隔で形成されることが好ましい。このように構成することによって、コアと回転軸の接合に偏りが無く、圧入時の回転軸の曲がり防止と、均一で強固な接合を実現できる。また、コアのティース数の正の整数倍の隙間部を設けると、コアシートを積層するときにシートの表裏に関係なく、ティースの位置のみ合わせて積層すれば、隙間部が整列積層されたコアを形成できるので、不良の発生防止、工程管理の簡略化が可能となる。
また、本発明において、該隙間部と該ロータコアの外周面に形成される該樹脂膜は、絶縁性樹脂膜であることが好ましい。このように構成することで、コアと回転軸の接合と、コアとロータコイルの巻線のショート防止用絶縁膜の形成を同一工程で実施でき、工程を簡略化することができる。絶縁性樹脂膜としては、エポキシ系、ポリイミド系、アクリル系等が用いられる。成膜方法としては、ディッピング、吹き付け、静電塗装(粉体塗装含む)、電着塗装を用いることができる。
また、本発明において、該隙間部と該ロータコアの外周面に形成される該樹脂膜は、ポリイミド系樹脂膜であることが好ましい。このように構成することによって、10μmから40μmでの厚さで電気絶縁性、機械的強度、密着性、耐食性、耐熱性に優れた皮膜を形成できるので、その分巻線の巻き回数を増やすことが可能であり、同じ寸法のモータに対してモータの特性向上が図れる。
また、本発明において、該隙間部と該ロータコアの外周面に形成される該樹脂膜は、電着塗装膜であることが好ましい。このように構成することによって、均一な膜厚で、段差被覆性に優れた薄膜を形成できるので積層により段差を有するコアに良好な絶縁膜を形成することができる。そこで、ロータコアに巻線を多く巻き回することができるので、同じ寸法のモータに対してモータ特性の向上を図れる。
また、本発明においては、電磁鋼板からなるコアシートが複数枚積層されたコアと回転軸が接合されたロータコアに巻線が巻回されたロータコイルと、該ロータコイルに対向するように配置されたステータマグネットとを有し、該ロータコイルに通電した時生じる磁界との電磁相互作用により回転力を得る該ロータコアを搭載した小型モータであることが好ましい。このように構成することにより、回転軸の曲がりや騒音の原因となる傷を大幅に減少できるので摺動音、軸ずれによる騒音、および回転軸の曲がり、傷によるモータの信頼性の低下の問題のない小型モータを提供することが出来る。
本発明において、複数のコアシートを積層してなるコアの貫通孔の周縁部に、回転軸と接合する圧入部と回転軸との間に間隙を形成する隙間部を設けたことにより、コアに回転軸を圧入する際に圧入力が低減することが出来るので回転軸の曲がりや傷つきを抑制できる。かつ、隙間部に樹脂膜が形成されたことにより、コアと回転軸との接合面積が増え、コアと回転軸が強固に接合される。更に、コアシートの隙間部は、圧入により変形したコアシート、もしくは回転軸の肉逃げ部として作用するので、回転軸の曲がりやコアシートの変形を防止できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施の形態に係わるモータの要部断面図である。図2は、本発明第1の実施の形態に係わるモータの回転軸に対して垂直な方向からの図1のA−A’部の断面図である。図3は、積層されたコアに回転軸に圧入し、コアシートの隙間部に樹脂膜を形成して回転軸とコアを接合したロータコアに巻線を巻回してロータ部を形成する1つの過程を示す図である。なお、ロータコアとはコアに回転軸が圧入と隙間部の樹脂膜で接合されたものをいい、ロータコイルとはロータコアに巻線が巻回された状態をいうものとする。
図1においてモータ1は、コアシート12aを積層したコア12にステンレス鋼よりなる回転軸11を圧入したロータコアに巻線13が巻き回され、モータカバー17に設けられた軸受け14とモータホルダー18に設けられた軸受け15により回転可能に支持されている。モータカバー17の内側には永久磁石からなるステータマグネット16が、コア12に対向する位置に固定されている。
ロータ部2を構成する回転軸11は、積層されたコアシート12aからなるコア12に圧入され、かつコアシート12aに形成された回転軸11と接合する圧入部と回転軸11との間に間隙を形成する隙間部に形成された樹脂膜により接合されている。コア12の外側面には樹脂膜が形成されている。コア12には、巻き線13が所定の回数巻回され、ロータコイルが形成されている。回転軸11には、軸受け14,15とコア12の距離を一定にするためにブッシュ23、25やワッシャ24、26が設けられている。本形態において、圧入部と隙間部は周方向に複数箇所に設けられている。
図2は、図1のA−A’の横断面におけるモータの構造を示すものである。電磁鋼板を所定の形状にプレス加工されたコアシート12aには、中央に貫通孔34が形成されている。貫通孔34は、回転軸11を圧入すると接合する圧入部36と、回転軸11の圧入後も回転軸11との間に隙間を形成する隙間部35からなる。コア12に回転軸11を圧入すると、圧入部36は回転軸11と嵌合し接合されるが、隙間部35では回転軸11との間に隙間を生じている。
ステータ部3を構成する永久磁石からなるステータマグネット16は、モータカバー17の内側に固定されている。第1の実施例では、モータカバー17は、小判状の形状であるが、円形、多角形でも構成してもよい。ステータマグネット16は、分割されたマグネットであるが、分極着磁された一体型マグネットで構成してもよい。
モータカバー17には、回転軸11を回転可能に支持する軸受け14が設けられている。軸受け14は、モータカバー17の一部にバーリング加工等により形成した起立部に圧入固定されている。
モータホルダー18には、回転軸11を回転可能に支持する軸受け15とスラスト板25と外部電極20が設けられている。本実施例では、軸受け14、15に含油軸受けを用いている。モータホルダー18には、モータカバー17と係合するために段部が設けられており、段部とモータカバー17の解放端部が係合してモータホルダー18と一体化される。
<ロータ部の形成>
図3の(1)は、コアシート12aと、コア12への回転軸11の圧入前の状態のコアシート12a、およびコアシート12aのB−B部の位置におけるロータコアの断面図である。プレス加工により、所定の形状に電磁鋼板を打ち抜いたコアシート12aは、整列積み上げを用の固定治具(図示せず)を用いて複数枚積層されてコア12を形成する。個別にプレス加工されたコアシート12aは、貫通孔34の孔径や孔位置のバラツキ生じている。この為、整列積み上げ用治具には、このバラツキ量以上のクリアランスが設けられている。整列積み上げされているがコアシート12a間は固着されていない状態で、コア12の貫通孔34に回転軸11を圧入する。回転軸11の中心位置に対して、貫通孔34の中心位置がずれているコアシート12aは、回転軸11の圧入の際の圧入応力により回転軸11の中心位置と貫通孔34の中心位置が一致する方向に移動する。この移動により、回転軸11が受ける不均一な圧入応力が減少される。したがって、個別にプレス加工されたコアシート12aの貫通孔34の孔径や孔位置のバラツキ、積み上げ整列、固着時の位置ずれが累積された状態で、コアシート12aを積層固着して一体化したコア12に対して、回転軸11の曲がりの原因となる不均一な圧入応力を大幅に低減できる。
図3の(1)は、コアシート12aと、コア12への回転軸11の圧入前の状態のコアシート12a、およびコアシート12aのB−B部の位置におけるロータコアの断面図である。プレス加工により、所定の形状に電磁鋼板を打ち抜いたコアシート12aは、整列積み上げを用の固定治具(図示せず)を用いて複数枚積層されてコア12を形成する。個別にプレス加工されたコアシート12aは、貫通孔34の孔径や孔位置のバラツキ生じている。この為、整列積み上げ用治具には、このバラツキ量以上のクリアランスが設けられている。整列積み上げされているがコアシート12a間は固着されていない状態で、コア12の貫通孔34に回転軸11を圧入する。回転軸11の中心位置に対して、貫通孔34の中心位置がずれているコアシート12aは、回転軸11の圧入の際の圧入応力により回転軸11の中心位置と貫通孔34の中心位置が一致する方向に移動する。この移動により、回転軸11が受ける不均一な圧入応力が減少される。したがって、個別にプレス加工されたコアシート12aの貫通孔34の孔径や孔位置のバラツキ、積み上げ整列、固着時の位置ずれが累積された状態で、コアシート12aを積層固着して一体化したコア12に対して、回転軸11の曲がりの原因となる不均一な圧入応力を大幅に低減できる。
圧入時にコアシート12aが移動可能であるため、従来のコアシート12aが積層固着された一体化されたコア12の圧入シロに対して小さくすることができる。圧入シロを小さくすることにより、圧入時に発生する回転軸11の曲がり、傷を少なくすることができる。
圧入シロを小さくすることは、圧入応力を減少させるのに有効であるが、コアシート12aの貫通孔34の孔形状、孔位置のバラツキを小さくしたり、コアシート12aの積層積み上げ精度を上げる必要がある。この為、部品歩留まりの低下や工程管理が煩雑となり、コストの上昇を招くという問題点がある。本実施例においては、貫通孔34に形成した圧入部36と隙間部35の割合を変更することにより、圧入力を調整できる。この為、上記のような問題を生じることがなく、圧入力を調整できるので、回転軸の曲がりや傷を防止、減少することができる。
図3の(2)は、外周部が樹脂膜で被膜されたコアシート12aと、回転軸11が圧入されたコア12の外側面と隙間部35に樹脂膜37aが形成された状態を示す。図3の(1)と同じくコアシート12aの上面図とコアシート12aのB−Bの位置におけるロータコアの側断面図である。側断面図のコア右部分は、図法の関係で樹脂膜37の表示をしていないが、コア12の外側面全体に樹脂膜は形成されている。
回転軸11を圧入したコア12において、回転軸11とコア12の接合力は、少なくとも隙間部35に樹脂膜37aが形成される工程において、コア12若しくはコアシート12aが位置ずれを生じないように設計されている。
回転軸11が圧入されたコア12の隙間部35には、ディップ、吹き付け、静電塗装(粉体塗装含む)、電着塗装により樹脂膜37aが形成される。樹脂膜37aは、コアシート12aと回転軸11の隙間部35に形成されており、回転軸11とコア12を強固に接合する。回転軸11のコア12への圧入による接合と隙間部35の樹脂膜37aの接合により、モータの実使用上十分な接合力を確保できる。また、コア12を構成するすべてのコアシート12aの隙間部35に樹脂膜37aが形成されなくとも、モータ実使用上十分な接合力を確保できる。
コア12の外側面と隙間部35への樹脂膜37、37aの形成は、コア12に回転軸11が圧入された後であれば、同一の樹脂を同一工程で形成しても、同一の樹脂膜を別工程で形成しても、異種の樹脂膜を別工程で形成しても良く、工程の自由度を増すことができるメリットがある。同一工程で同一の樹脂膜37、37aを形成すると、不要部への樹脂膜の形成を防ぐマスキングが1回減らすことができるという工法上のメリットがある。また、コア12に樹脂膜37を形成した後に回転軸11を圧入する工法や、コア12に樹脂膜37を形成した後に回転軸11を挿入してカシメてコア12と回転軸11を接合する工法で発生する圧入応力やカシメ応力による樹脂膜のクラックや剥がれという不具合を解消できる。
本発明において、隙間部35は軸線方向に整列状態で積層されることが好ましい。隙間部35が整列状態であると、隙間部35への樹脂膜37aの形成において、膜材料が隙間部35に進入し易くなり、製膜時間の短縮や接合面積を増加しやすくなるメリットがある。図3の(2)の実施例では、隙間部35はコア12内全てで整列状態で積層されているので連通している。
樹脂膜材料としては、コア12と回転軸11との密着性(接合強度)が高く、均一の膜厚でかつ数十μm程度の薄膜塗装が可能であり、段差被覆性に優れる材料が好ましい。モータは小型化により、コア12の巻き線スペースは減少するため、薄膜形成可能で段差被覆性が高い樹脂材料を使用することにより、巻き線13をより多く巻くことができるので、モータ特性を高くすることができる。
樹脂材料としては、絶縁性を有することが好ましい。絶縁性樹脂であれば、隙間部35への樹脂膜37aの形成と、巻き線13とコア12のショートを防止する絶縁性の樹脂膜37の形成を同一工程で行えるので、工程の簡略化ができる。
絶縁性樹脂膜材料としては、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂等を使用することが出来る。ポリイミド膜、エポキシ膜は均一な薄膜が形成でき、基材との密着性、耐食性、電気絶縁性に優れている。特に、ポリイミド系樹脂は、耐熱性が高く、自動車等の環境温度の高い状態で使用される情報機器においても信頼性が高いので、より好適である。
製膜方法としては、ディッピング、吹き付け、静電塗装(粉体塗装を含む)、電着塗装で製膜することが可能である。均一な薄膜塗装が可能であること、段差被覆性が高いこと、密着性が高いことから、塗布方法としては電着塗装、粉体塗装が適している。特に、電着塗装は、樹脂膜を形成後熱処理を行わなくても密着性、ピンホールの少ない樹脂膜を形成できる。電着塗装によるポリイミド系樹脂は、膜厚10〜15μmで密着性、耐食性、電気絶縁性、耐熱性に優れている。
図3の(3)には、巻き線13がコア12に巻き回され、ブッシュ23、25、ワッシャ24、26が回転軸11に取り付けられたロータ部2が示してある。図3の(2)と同じくコアシート12aのB−Bの位置におけるロータコアの側断面図である。側断面図のコア右部分は、図法の関係で樹脂膜37の表示をしていないが、コア12の外側面全体に樹脂膜は形成されている。
コア12には、樹脂膜37が形成されており、その上からコア12のアーム部32に巻き線13が巻き回されている。モータ1の軸受け14,15とコア12の距離を一定にするためにブッシュ23、25は、回転軸に挿入、もしくは圧入され、所定の位置に配置される。さらにブッシュ23,25の回転軸11の端部側にはワッシャ24、26が挿入、もしくは圧入される。
このように構成されたモータは、回転軸の曲がりや傷が、従来の積層固着されたコア12に回転軸11が圧入されたロータコアや、カシメにより積層固着されたコア12と回転軸11を固着したロータコアに比べて、回転軸の曲がりや騒音の原因となる傷を大幅に減少できるので摺動音、軸ずれによる騒音、および回転軸の曲がり、傷によるモータの信頼性の低下の問題のない小型モータを提供することができる。
(他の実施例)
図4には、本発明の他の実施例であるコアシート12aの貫通孔34を示してある。図4の(1)の実施例では、圧入部36が円弧状である。隙間部35と圧入部36の境界部分にはテーパーが設けられている。境界部のテーパーは、回転軸11を圧入する際に境界部の角により回転軸11に傷が発生するのを防止するためである。
図4には、本発明の他の実施例であるコアシート12aの貫通孔34を示してある。図4の(1)の実施例では、圧入部36が円弧状である。隙間部35と圧入部36の境界部分にはテーパーが設けられている。境界部のテーパーは、回転軸11を圧入する際に境界部の角により回転軸11に傷が発生するのを防止するためである。
図4の(2)の実施例では、貫通孔34は略三角形であり、3辺にそれぞれ圧入部36が設けられる、角部が隙間部35となる。図4の(3)では、貫通孔34は略4角形であり、4辺にそれぞれ圧入部36が設けられ、角部が隙間部35となる。
他の実施例で明らかなように、回転軸11に対して圧入部36は対称に形成されていることが好ましい。これは、各コアシート12aと回転軸11のコアシート12aの面方向における接合力のバラツキを少なくする効果と、回転軸11を圧入する際に回転軸11の中心とコア12の中心のずれを抑制する効果があるためである。
隙間部35の配置は、圧入部36と同様に回転軸に対して対称に形成されていることが好ましい。このように構成することによって、コア12と回転軸11の接合に偏りが無く、圧入時の回転軸の曲がり防止と、均一で強固な接合を実現できる。また、コア12のティース数の正の整数倍の隙間部を設けると、コアシート12aを積層するときにシートの表裏に関係なく、ティースの位置のみ合わせて積層すれば、隙間部35が整列積層されたコア12を形成できるので、不良の発生防止、工程管理の簡略化が可能となる。
隙間部35の大きさは、圧入部36と隙間部35の割合や、回転軸11の径、コア12の長さ(コアシート12aの積層枚数)、隙間部35に形成される樹脂膜37aの樹脂材料や形成方法によって決まる。
例えば、以下の条件で作成されたロータコアは、回転軸11の曲がり、傷が実用上問題なく、かつ隙間部35に樹脂膜37aが形成され、回転軸11とコア12は十分な接合力であることが確認されている。作成したロータコアの条件は、以下のとおりである。隙間部35の形状が図4の(1)で、回転軸11径が1mm、釣り鐘形の隙間部35の開口側端の幅が0.3mm、奥行きが0.3mm、コア12の長さ3.5mm、外径が8mm、コアシート厚みが0.35mm。回転軸11とコア12の圧入シロを5〜20μm、隙間部35に形成する樹脂膜は、電着塗装によるポリイミド系膜(10〜15μm、バラツキ含む)。
以上本発明の実施例を説明してきたが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の主旨の範囲で様々な応用展開が可能である。
以上説明したように本発明に係わるロータコア、モータにおいては、コアシートの貫通孔に圧入部と隙間部を設け、コアシートが積層されたコアに回転軸を圧入し、隙間部には回転軸とコアを接合する樹脂膜が形成されたことにより、回転軸の曲がりと傷を抑制したロータコアを形成できるので、小型で騒音の少ない信頼性の高いモータを提供できる。
11 回転軸
12 コア
12aコアシート
13 巻線
34 貫通孔
35 隙間部
36 圧入部
37 樹脂膜
37a樹脂膜
12 コア
12aコアシート
13 巻線
34 貫通孔
35 隙間部
36 圧入部
37 樹脂膜
37a樹脂膜
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