JP2006157900A - 増幅器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】AB級で動作するキャリア増幅回路4と、BまたはC級で動作するピーク増幅回路5と、キャリア増幅回路4からインピーダンス変換器64を経由して増幅回路5の出力を合成する合成点62を有する。伝送線路の長さを0〜λ/2の範囲で最適化して設定する事により、増幅素子52が動作しない時の増幅素子42から見たインピーダンスを、ほぼ最大出力が得られる時のインピーダンスから、任意の値へ遷移させることができる。また、キャリア増幅回路4とピーク増幅回路5のそれぞれをプッシュプル構成にしてもよい。
【選択図】図6
Description
入力端子1から入った信号は、分配器2で分配される。
分配された一方の信号は、キャリア増幅回路4に入力される。キャリア増幅回路4は、入力整合回路41で増幅素子42の入力側と整合を取る入力整合回路41と、増幅素子42と、増幅素子42の出力側と整合を取る出力整合回路43から構成されている。キャリア増幅回路4の出力は、λ/4変成器61でインピーダンス変換される。
分配されたもう一方の信号は、移相器3で位相を90度遅らされ、ピーク増幅回路5に入力される。ピーク増幅回路5は、キャリア増幅回路4と同様に、入力整合回路51と、増幅素子52と、出力整合回路53から構成されている。
λ/4変成器61及びピーク増幅回路5の出力はノード(合成点)62において合成される。合成された信号は、出力負荷Z0に整合するため、λ/4変成器7でインピーダンス変換される。λ/4変成器61とノード62とを合わせて、ドハチィ合成部6と呼ぶ。
λ/4変成器7の出力は出力端子8を介して出力負荷9に接続される。
入力端子1からの入力が更に増加すると、増幅素子52も飽和し始めるが、増幅素子42、52ともに飽和しているのでこのときも効率は良い。
図2の横軸はバックオフであり、増幅素子42、52の両方が飽和する最小の入力端子1への入力レベル、即ちコンプレッションポイントを0dBとし、入力レベルがコンプレッションポイントに対しどれだけ余裕があるかを示す数値である。
入力レベルが区間Aにあるときは、基本的にキャリア増幅回路4のみ動作する。バックオフが6dBになる付近でキャリア増幅回路4は飽和し始め、効率はB級増幅器の最大効率付近まで達する。ドハチィ増幅器の最大出力をP0でとすると、このときキャリア増幅回路4の出力は約P0/4である。
バックオフが6dB以下の区間Bでは、入力レベルが増加するに従い、キャリア増幅回路4の出力は約P0/4からP0/2へ増加し、ピーク増幅回路5の出力はほぼ0からP0/2へ増加する。このときキャリア増幅回路4及びピーク増幅回路5の出力電力の和は、入力端子1への入力電力に対し、区間Aのときと同じ比例定数で比例する。ピーク増幅回路5が動作し始めると効率は一旦低下するが、ピーク増幅回路5も飽和し始めるコンプレッション点で再びピークを迎える。コンプレッション点において、キャリア増幅回路4とキャリア増幅回路5の出力は等しくなる。
一般に、CDMA信号やマルチキャリア信号は高いピークファクタ、すなわちピーク電力と平均電力の比を有するが、通常の増幅器では7〜12dBのピークファクタに対応できるように、コンプレッション点からその分を下げた点を動作点としている。
Z7=Z2 2/Z0
となる。
出力整合回路43からλ/4変成器61をみたインピーダンスZ4は、A領域においては出力整合回路53の出力インピーダンスが実質的に無限大となるために上記と同様に求まり、C領域においては負荷を等しく分担するため、λ/4変成器61の負荷インピーダンス(ノード62での増幅回路4の寄与分)と整合回路53の負荷インピーダンスがそれぞれ2Z7となるので、
すなわち、Z4は入力信号レベルの小さいとき(A領域)のインピーダンス値に対し、入力信号レベルが大きいとき(C領域)には半分になり、別の言い方をすれば2倍の負荷変動を起こす。例えば、Z7=25Ω、Z1=50Ωとすると、Z4は100〜50Ωの間で変化する。従って増幅素子42の負荷インピーダンスも変動している。
また、マーチャンドバランを改良したものが知られる(例えば非特許文献1及び2参照。)。
また、バランやハイブリッドを用いてトランジスタを180度の位相差で駆動し、プッシュプル動作させる増幅器が知られる(例えば特許文献2、非特許文献3及び4参照。)。
出力整合回路43は、増幅素子42の負荷インピーダンスをλ/4変成器61の入力インピーダンスZ4に変換する。出力整合回路43は、例えば集中定数回路で構成すると、スミスチャート上では等レジスタンス円や等コンダクタンス円に沿ってインピーダンスを変換する。変換の仕方は任意であるので、図3では簡略化して破線で示してある。
入力レベルの増加に伴い、Z4がZ0Z1 2/Z2 2すなわちZ4(A)からZ0Z1 2/2Z2 2すなわちZ4(C)に減少するので、C領域で最大出力が得られるようにZ4(C)をZAに整合させると、Z4(A)はZBに整合される。しかし、等電力線内であればどのようなインピーダンスでも0.5Pmが得られるので、ZBよりもZCに整合されたほうが効率はよい。つまり増幅素子42の負荷インピーダンスが入力レベルの増加とともににZCからZAに推移するように整合されたときに、増幅素子42は最も効率よく動作する。
しかし、外側から内側に移動するZ4を、内側から外側に移動するインピーダンスに変換すること、つまり図3の破線がクロスするような整合を行うことは、通常の整合回路では困難な場合がある。そのため、従来のドハチィ増幅器では、出力整合回路43はZBとZAの間を移動するような整合を行うことしかできず、増幅器の性能が良くならないという問題があった。
しかしながら、前記先願の増幅器をより高出力にするために、同一増幅器を複数合成して構成した場合、増幅素子のばらつきなどでおのおののインピーダンス変成器や各増幅素子のゲート電圧の調整が極めて複雑になるという問題がある。
図10は、先願の増幅器を複数使用した構成例である。分配器72で分配された信号を増幅器10−1、10−2でそれぞれ増幅し、合成器73で合成して高出力化を図っている。各ブロックは後述の図6と同じなので、対応する符号を付して説明は省く。信号の合成を行うために、増幅器10−1、10−2は、インピーダンス変換機64−1、64−2の長さ、および各増幅素子のゲート電圧49−1、59−1、49−2、59−2を調整して、各増幅回路のレベルや位相を一致させる必要がある。無線基地局用の増幅器に供する場合、温度補償や複数のキャリア周波数への対応は必須となるが、温度補償情報や周波数補正情報などを記憶するメモリを参照して制御する方法では、パラメータが多すぎて制御が難しくなってしまった。
前記複数の増幅回路の内、増幅素子をAB級で用いる第1の増幅回路と、
前記複数の増幅回路の内、増幅素子をBまたはC級で用いる第2の増幅回路と、
前記第1及び第2の増幅回路の出力を任意の電気長の伝送線路からなるインピーダンス変換器を介して接続する合成点と、を有する増幅器。
前記増幅器の出力の変化に対し、第1の増幅回路の負荷インピーダンスが前記増幅器の性能が最高になる値に沿って変化するように電気長が設定され、
前記増幅器のコンプレッションポイント付近ではインピーダンス変換作用をほとんど持たないように特性インピーダンスが設定されることを特徴とする前段落記載の増幅器。
前記分配器の出力をAB級で増幅して前記第1の増幅回路に出力する第1のプリアンプと、
前記分配器の出力をAB級またはB級またはC級で増幅して前記第2の増幅回路に出力する第2のプリアンプと、を備えたことを特徴とする増幅器。
前記第1のインピーダンス変換器の電気長は、第2の増幅回路が動作しないレベルにおける前記第1の増幅回路の効率が、電気長がλ/4の場合よりも向上するように設定され、
前記第1及び第2の増幅回路は、それぞれの負荷インピーダンスが前記特性インピーダンスに略等しいときに、それぞれほぼ最大出力が得られるように整合されていることを特徴とする増幅器。
1は、増幅器への入力信号が入力される入力端子である。
2は、入力端子1に入力された信号を分配する分配器である。分配器2は、例えば配線板上に形成されたT分岐ライン、あるいは3dBカプラ等である。
移相器31は、原理的にはインピーダンス変換器64に相当する遅延を発生する伝送線路である。移相器31は合成を同相で行うためのものであり、キャリア増幅回路4,ピーク増幅回路5の位相差も吸収しなければならないので、インピーダンス変換器64の遅延と異なることもある。
41は、分配器2で分配された信号のインピーダンスを、後段の増幅素子42の入力インピーダンスに変換する、入力整合回路である。
42は、信号を増幅する増幅素子である。増幅素子42はAB級にバイアスされる。
43は、インピーダンス変換器64とともに増幅素子42の負荷インピーダンスをA領域においてはZAを中心としてほぼ円上のインピーダンスに整合し、C領域においてはZAに整合する出力整合回路である。
51は、分配器2で分配された信号のインピーダンスを、後段の増幅素子52の入力インピーダンスに変換する、入力整合回路である。
52は、信号を増幅する増幅素子である。増幅素子52はB級またはC級にバイアスされる。増幅素子42及び52は通常、LD−MOS(Lateral Double-diffused MOS)、GaAs−FET、HEMT、HBT等の半導体デバイスである。
53は、増幅素子52の負荷インピーダンスをノード62でC領域においてはZ5(=2Z7)に変換し、A領域においては実質的に無限大に変換する出力整合回路である。入力整合回路41、51及び出力整合回路43、53は、集中定数回路、分布定数回路、或いはそれらの組み合わせのいずれで構成されても良い。また出力整合回路43、53は、実装上避けられないストレーキャパシタンスやインダクタンス等を含んでも良い。
62は、出力整合回路43及び53からの出力信号をインピーダンス変換器64を介して結合するノード(合成点)である。インピーダンス変換器64は、図4のようにその電気長が0λの時には、配線板上で単に接続される構造となる。
64は、長さl=0〜λ/2或いはそれ以上の電気長を有する伝送線路からなるインピーダンス変換器であり、その特性インピーダンスZ1は2Z7=2Z2 2/Z0に等しい。
7は、ノード62から見たインピーダンスZ7を出力負荷Z0に変換するλ/4変成器である。λ/4変成器7は、その特性インピーダンスZ2に相当する線幅、及びλ/4に相当する長さを有する導体パターンとして配線板上に形成させても良い。λ/4変成器を用いることにより比較的広い周波数範囲で整合が取れるが、整合さえ取れればλ/4変成器以外の整合手段を用いても良い。
A領域において、出力整合回路53の出力インピーダンスが無限大となるので、Z9は、点aで示される長さl=0またはλ/2のときはZ7となり、点bで示されるl=λ/4のときはZ1 2/Z7となる。そしてlを0〜λ/2の範囲で動かすと、Z9は、Z1を中心とする円上を右回りに変化する。
このZ1を中心とする円上のインピーダンスは、出力整合回路43によりZAを中心とするほぼ円上に写像される。点a、b、cと点a‘、b’、c‘はそれぞれ対応しており、lを変化されれば、インピーダンスを点a‘、b’、c‘と可変できることを示している。従って、点c‘が性能の最も優れる位置になるように、長さlを設定すればよい。
長さlの最適値は例えば試行(試作)により決定する。試行はキャリア増幅回路単体でもよいが、増幅器全体を対象とし、増幅器全体の性能が最高になるように行った方がよい。
また実施例中の説明ではインピーダンス変換器64の長さlを0〜λ/2としたが、増幅素子が大きく出力整合回路43,53の間の長さがλ/2以下に出来ない場合も実装上ありえるので更に長くしても問題はない。また、Z1は2Z7と完全に一致する必要は無く、最適化によっては若干ずれることもある。
また、以上の説明で用いたA級乃至C級という表現は、単にバイアスの深さ(導通角の大きさ)を表したものであり、出力整合回路の構成に依存するその他の動作級(例えばF級)への応用を妨げるものではなく、偶数次の高調波を短絡するスタブ等は適宜設けてよい。
33は、インピーダンス変換器65と同じ位相回転(遅延)を発生する移相器である。移相器33は、増幅回路4,5の位相量が大きく異なる場合キャリア増幅回4の経路上に入れる場合もある。要するにインピーダンス変換器64の影響やキャリヤ増幅回路4とぷーク増幅回路5の位相が異なったときの位相調整回路である。
4−1から4−lは、l個(0<l<n)のキャリア増幅回路であり、図6のキャリア増幅回路4と同等である。
5−1から5−mは、m個(m=n−l)のピーク増幅回路であり、図6のピーク増幅回路5と同等である。4−1から4−lや5−1から5−mは、実施例1のインピーダンス変換器65や移相器33を備えてもよい。つまり特に図示しないが、キャリア増幅回路4−1〜4−lとピーク増幅回路5−1から5−mの出力はノードにおいて同相で合成されるように位相が調整されるものとする。
71は、ノードのインピーダンスを出力負荷Z0に変換するインピーダンス変換器である。インピーダンス変換器71は、例えばλ/4変成器である。
1は、増幅器への入力信号が入力される入力端子である。
72は、入力端子1に入力された信号を分配する分配器である。分配器72は、例えば配線板上に形成されたT分岐ライン、あるいはカプラ等であるが、分配比は1:1に限らず不等分配しても良い。
移相器33は、原理的にはインピーダンス変換器66−1、66−2に相当する遅延を発生する伝送線路である。移相器33はノード62における合成を同相で行うためのものであり、キャリア増幅回路40,ピーク増幅回路50、インピーダンス変換器67−1、67−2の位相差も吸収しなければならないので、インピーダンス変換器66−1、66−2の遅延と異なることもある。又キャリア増幅回路40側に入れる場合もある。
バラン22−1は、分配器72により分配された信号を不平衡/平衡変換する。つまりグラウンドに対し180度位相の異なる2つの信号に分配される。
入力整合回路41−1、41−2は、バラン22−1で変換された平衡信号の各極の信号を、増幅素子42−1、42−2の入力インピーダンスにそれぞれ変換する。
増幅素子42−1,42−2は、AB級にバイアスされ、入力整合回路41−1、41−2を介して入力された信号をそれぞれ増幅する。増幅素子42−1,42−2は、特許文献2同様に同一パッケージに収容されても良い。
出力整合回路43−1、43−2は、増幅素子42−1、42−2の負荷インピーダンスを、C領域においては各増幅素子の最大出力負荷インピーダンスZAに整合し、A領域においてはZAを中心とする略円上の既定のインピーダンスする出力整合回路である。なお出力整合回路43−1、43−2により、ZAは、純抵抗あるいはほぼ純抵抗のZ7に変換される。
インピーダンス変換器66−1、66−2は、Z7に等しい特性インピーダンスを有し、出力整合回路43−1、43−2側のインピーダンスをバラン側のインピーダンスに変換する。具体的には、A領域においてはZ7を中心とする略円上の既定のインピーダンスを約Z7/2に変換し、C領域においてはZ7をZ7に変換する。
バラン23−1は、インピーダンス変換器66−1および66−2からの信号を平衡/不平衡変換し、ノード62へ出力する。インピーダンスはA領域からC領域の間で変化するものの、インピーダンスの変換比はほぼ1:1を保ついわゆる強制バラン(理想バラン)であるとする。このようなバランは、非特許文献5のように磁気結合が支配的なトランスを用いて実現できる。
キャリア増幅回路40はプッシュプル方式であるので、入力整合回路41−1と41−2、増幅素子42−1と42−2、出力整合回路43−1と43−2、インピーダンス変換器66−1と66−2は原理上は全く対称な構成である。従って以下ではその一方のみ説明する。
出力整合回路53−1は、増幅素子52−1が最大出力を発揮する時の負荷インピーダンスを、インピーダンス変換器67−1に対してZ7に変換する。従って増幅素子52−1は、最大出力に出力整合回路53−1と最良の整合を得る。
インピーダンス変換器67−1は、ノード62よりピーク増幅回路50を見たインピーダンスZ21をA領域において高く見せるものである。インピーダンス変換器67−1は、Z7に等しい特性インピーダンスを有し、長さl=0〜λ/2或いはそれ以上の電気長を有する伝送線路である。長さlは、Z21を出来るだけ大きくし、かつピーク増幅回路50の性能を損なわないような長さに設定される。
ピーク増幅器50が動作しないA領域では、キャリア増幅器40の負荷は前述の他の実施例同様にZ7である。1:1バランを想定しているので平衡モードに変換されてもインピーダンスはZ7である。ただし、Z7の中点の電位は常にゼロなので、Z7は2つに分割することができ、出力整合回路43−1の負荷92−1はZ7/2となる。
ピーク増幅器50が動作してキャリア増幅器40とピーク増幅器50が同じレベルを出力するC領域では、キャリア増幅器40の負荷は2Z7となる。したがって負荷92−1はZ7となる。
負荷92−1がZ7の時、インピーダンス変換器66−1は単なる伝送線路となるのでその長さとは独立に、増幅素子42−1の負荷インピーダンスが最大出力を得られるZAになるように出力整合回路43−1を構成すればよい。
負荷92−1がZ7/2の時、増幅素子42−1の負荷インピーダンスは、インピーダンス変換器66−1の長さを0からλ/2に変えることでZAを中心とする略円周上で性能のよくなる点に整合させればよい。
つまり、ピーク増幅回路50が動作すると負荷変動を起こすので、キャリア増幅回路40の増幅素子動作はピーク増幅回路50が動作しないときは高効率な負荷インピーダンスに、ピーク増幅器50が飽和まで動作すれば最大出力が得られる負荷インピーダンスに動かすことが可能となる。
なお、キャリア増幅回路40およびピーク増幅回路50が両方動作するB領域では負荷92−1はZ7/2からZ7の間であるので、増幅素子42−1の負荷インピーダンスはA領域のインピーダンスからC領域のZAの間にある。すなわちA、B、C領域の順にレベルが増加すると、負荷インピーダンスはZAに向かって動くことになる。
負荷92−2側も同様であるので説明は省く。
例えばλ/4同軸線路の特性インピーダンスが2Z7の場合、終端インピーダンス92がZ7(A領域)から2Z7(C領域)へ変わると平衡インピーダンス93は4Z7(A領域)から2Z7(C領域)へ変わる。すなわち増幅素子42−1等にとっては2Z7(A領域)からZ7(C領域)へ変わることとなり、先ほどの場合と比べて逆となっている。つまりバランがλ/4変成器として動作するので、インピーダンス変換器等の長さをλ/4短くすれば同等になる。いずれにしても0からλ/2の範囲で適切に設定すれば問題はない。シュペルトップバラン、マーチャンドバランなどλ/4線路を有するバランは大体、終端インピーダンス92と平衡インピーダンス93の関係は1:1ではなく反比例に近くなる。
なお、λ/4同軸線路のインピーダンスを2Z7以外の値にしても負荷92が倍になればバランスインピーダンスは半分になることは同じであり、最大出力整合インピーダンスやインピーダンス変換器の特性インピーダンスが変わっても全体的な考え方は変わらない。
インピーダンス変換器68は、実施例2のインピーダンス変換器64に相当し、キャリア増幅回路400の出力をノード62に接続する。
インピーダンス変換器69は、実施例2のインピーダンス変換器65に相当し、ピーク増幅回路500の出力をノード62に接続する。
ノード62は、インピーダンス変換器68および69の各出力同士を合成する。
バラン用λ/4同軸線路、及びインピーダンス変換器68,69の不平衡モードの特性インピーダンスは、全て同じ2Z7である。従って、図15(a)は図15(b)と等価である。つまり同軸線681は、バラン23−1の線路長とインピーダンス変換器68の線路長の和に等しい線路長を有する、接合部のない、連続的に一体の同軸線である。また同軸線691も同様に、バラン23−2の線路長とインピーダンス変換器69の線路長の和に等しい線路長を有する1つの同軸線である。
特にインピーダンス変換器68の長さを調整するために同軸線を採用した場合、バラン23−1と共通にした同軸線681の方が部品点数が削減でき調整も容易である。
またバランの一種には、VSWRが中心周波数の両側で最小になるW字状の特性を示すものがあるので、バランとインピーダンス変換器の種類の組み合わせを適切に選択することで、それらの周波数特性を打ち消し合わせて平坦化することもできる場合がある。
温度補償には、増幅器の中の減衰器の減衰量を変える方法と、それほど大きな変動でないのでゲート電圧を変える方法がある。そのために、温度を検出するサーミスタや半導体などを備える。また、検出した温度と、減衰量或いはゲート電圧とを対応付けるテーブル、近似式などを記憶するメモリを有する制御手段を備える。
また、広帯域でその内の一部を使用する場合、その周波数において周波数特性等が良くなるようにゲート電圧や減衰量を設定できるよう、メモリは温度及び周波数の関数としてテーブルなどを記憶しても良い。
ゲート電圧を制御する場合は、使用する増幅素子の1つ以上のゲート電圧を対象とする。
減衰量を制御する場合は、キャリア増幅回路400やピーク増幅回路500に各々又は片方にプリアンプと同様に挿入された減衰器を対象とする。
更には、特願2005−170535のように、周波数特性補正用の回路(図示せず)をキャリア増幅回路400やピーク増幅回路500に各々又は片方に挿入する事により周波数特性の少ない増幅器を得ることもできる。
2、21 分配器
3、31、33 移相器
4、40、400 キャリア増幅回路
41、41−1、41−2 入力整合回路
42、42−1、42−2 増幅素子
43、43−1、43−2 出力整合回路
5、50、500 ピーク増幅回路
51 入力整合回路
52 増幅素子
53 出力整合回路
6 ドハチィ合成部
61 λ/4変成器
62 ノード
64、65、66−1、66−2、67−1、67−2、68、69 インピーダンス変換器(伝送線路)
7 λ/4変成器
8 出力端子
9 出力負荷
10−1、10−2 増幅器
22−1、22−2、23−1、23−2、72、73 バラン
Claims (6)
- 複数の増幅回路の出力を合成して出力とする増幅器において、
前記複数の増幅回路の内、増幅素子をAB級で用いる第1の増幅回路と、
前記複数の増幅回路の内、増幅素子をBまたはC級で用いる第2の増幅回路と、
前記第1及び第2の増幅回路の出力を任意の電気長の伝送線路からなる第1のインピーダンス変換器を介して接続する合成点と、を有する増幅器。 - 前記第2の増幅回路の備える増幅素子と前記合成点は、出力整合回路と、伝送線路からなる第2のインピーダンス変換器を介して接続されることを特徴とする請求項1記載の増幅器。
- 前記増幅器への入力信号を複数に分配する分配器と、
前記分配器の出力をAB級で増幅して前記第1の増幅回路に出力する第1のプリアンプと、
前記分配器の出力をAB級またはB級またはC級で増幅して前記第2の増幅回路に出力する第2のプリアンプと、を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の増幅器。 - 前記第1及び第2のインピーダンス変換器は、前記合成点のインピーダンスの略2倍の特性インピーダンスを有し、
前記第1のインピーダンス変換器の電気長は、第2の増幅回路が動作しないレベルにおける前記第1の増幅回路の効率が、電気長がλ/4の場合よりも向上するように設定され、
前記第1及び第2の増幅回路は、それぞれの負荷インピーダンスが前記特性インピーダンスに略等しいときに、それぞれほぼ最大出力が得られるように整合されていることを特徴とする請求項2記載の増幅器。 - 前記第1及び第2の増幅回路は、それぞれプッシュプル方式で構成されていることを特徴とする請求項1乃至4記載の増幅器。
- 前記第1及び第2の増幅回路は、出力信号を平衡−不平衡変換する同軸線路からなる第1及び第2のバランを備え、第1及び第2のバランは、前記第1及び第2のインピーダンス変換器とそれぞれ連続的に一体に構成されていることを特徴とする請求項5記載の増幅器。
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