JPWO2007015462A1 - 高効率増幅器 - Google Patents
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Abstract
入力信号のレベルが小さい場合に、キャリア増幅器3の出力側のインピーダンス基準点11から出力側を見たインピーダンスが2R+α(Rは負荷抵抗、αは正)となるように、位相線路21の電気長と位相線路23の電気長が設定され、位相線路22の電気長が位相線路21の電気長と位相線路23の電気長との差に設定される。
Description
この発明は放送用及び通信用に使用される高効率増幅器に関するものである。
放送用及び通信用のRF増幅器は、RF信号を高い効率で線形に増幅することが望まれている。しかしながら、一般に増幅器では効率を高くすることと線形性を高くすることは両立しない。増幅器の効率は入力信号の電力レベルの増加と共に高くなり、増幅器が飽和を迎えた辺りで最大効率を迎える特性を示す。近年、放送及び移動体通信等で使用されるPAPR(Peak to Average Power Ratio)の大きい変調波を入力信号として使用した場合には、飽和点近くの動作点では増幅器の飽和による信号波形のクリッピングが発生するため線形性は大きく劣化する。
このため、一般に放送用及び通信用のRF増幅器では飽和点から出力バックオフを大きくとった動作レベルにおいて使用され、飽和点からの出力バックオフを大きくとった動作レベルでの高効率化が重要となる。これに対し、飽和点からの出力バックオフを大きくとった動作レベルで効率を高める有力な手法としてドハティ増幅器が報告されている。
例えば、図14は非特許文献1に示された従来の高効率増幅器としてのドハティ増幅器の構成と各部の電気長、入力信号のレベルが小さい場合の各部から見たインピーダンスを示す図である。図14に示すドハティ増幅器は、入力端子1、入力分配回路2、A級又はAB級バイアスされたキャリア増幅器3、オフセット位相線路4、90°位相線路5、位相線路6、B級又はC級バイアスされたピーク増幅器7、オフセット位相線路8、90°位相線路9及び出力端子10を備えている。
また、図14には、キャリア増幅器3の出力側のインピーダンス基準点11、ピーク増幅器7の出力側のインピーダンス基準点12、入力分配回路2により分配された経路の出力合成点13が図示されている。ここで、キャリア増幅器3の出力側のインピーダンス基準点11は、キャリア増幅器3の出力側で負荷側を見た負荷インピーダンスが最大になる点であり、ピーク増幅器7の出力側のインピーダンス基準点12は、ピーク増幅器7の出力側でオフセット位相線路8の出力側を見たインピーダンスが最大になる点である。
また、図15は上記非特許文献1に示された従来の高効率増幅器としてのドハティ増幅器の構成と各部の電気長、入力信号のレベルが大きい場合の各部から見たインピーダンスを示す図であり、図14と同符号は同一のものである。
キャリア増幅器3に接続されたオフセット位相線路4は、キャリア増幅器3の出力側のインピーダンス基準点11からキャリア増幅器3の出力側を見た出力インピーダンスが最大になるような電気長θcを有する。同様に、ピーク増幅器7に接続されたオフセット位相線路8は、ピーク増幅器7の出力側のインピーダンス基準点12からピーク増幅器7の出力側を見た出力インピーダンスが最大になるような電気長θpを有する。また、90°位相線路5及び90°位相線路9の電気長は90°で、位相線路6の電気長は90+θc−θpである。
入力端子1から入力したRF信号は、入力側分配回路2によってキャリア増幅器3側の経路とピーク増幅器7側の経路の2つに分配される。キャリア増幅器3側の経路では、入力側分配回路3からのRF信号がキャリア増幅器3に入力され、キャリア増幅器3からのRF信号は、オフセット位相線路4及び90°位相線路5を経て出力合成点13に出力される。また、ピーク増幅器7側の経路では、入力側分配回路2からのRF信号が位相線路6を経てピーク増幅器7に入力され、ピーク増幅器7からのRF信号はオフセット位相線路8を経て出力合成点13に出力される。出力合成点13では、キャリア増幅器3からのRF信号とピーク増幅器7からのRF出力信号が合成されて出力される。
図14において、入力信号のレベルが小さい場合には、B級又はC級バイアスされたピーク増幅器7はオフ状態、即ちRF信号を増幅しない状態となり、オフセット位相線路8の作用により、ピーク増幅器7の出力側のインピーダンス基準点12から見たピーク増幅器7の出力インピーダンスは理想的には無限大(open)となる。従来のドハティ増幅器では、インピーダンス基準点12と出力合成点13は直結されて同一点と見なせるために、出力合成点13からピーク増幅器7側を見た出力インピーダンスは理想的には無限大(open)となる。
このとき、出力合成点13から90°位相線路9を見た負荷インピーダンスをR/2(Rはドハティ増幅器の負荷抵抗)とし、90°位相線路5の特性インピーダンスをRとすると、90°位相線路5によるインピーダンス変換作用によって、キャリア増幅器3の出力側のインピーダンス基準点11から出力側を見た負荷インピーダンスは2Rとなり、キャリア増幅器3からのRF信号のみが出力合成点13から出力される。
一方、図15において、入力信号のレベルが大きい場合には、B級又はC級バイアスされたピーク増幅器7はオン状態、即ちRF信号を増幅する状態となるため、出力合成点13ではキャリア増幅器3及びピーク増幅器7からのRF信号が合成されて出力される。このとき、キャリア増幅器3の出力側のインピーダンス基準点11及びピーク増幅器7の出力側のインピーダンス基準点12から出力側を見た負荷インピーダンスは共にRとなる。
ここで、予めドハティ増幅器では、負荷インピーダンスが2Rのときにキャリア増幅器3では飽和電力は小さいが効率が高くなるように設計し、負荷インピーダンスがRのときにキャリア増幅器3及びピーク増幅器7では飽和電力が大きくなるように設計しておくと、入力信号のレベルが小さい場合には、キャリア増幅器3が高効率動作し、入力信号のレベルが大きい場合には、キャリア増幅器3及びピーク増幅器7は飽和電力が大きくなるように動作させることが可能となる。
以上2つの作用により、即ち、入力信号のレベルに応じてピーク増幅器7の出力がキャリア増幅器3と合成されるという作用、及び入力信号のレベルに応じてキャリア増幅器3及びピーク増幅器7から出力側を見た負荷インピーダンスが変化するという作用により、飽和からの出力バックオフが大きい状態において高効率な動作を実現することが可能となる。
図16はドハティ増幅器の出力電力に対する効率特性を示している。理想的なドハティ増幅器では、図16に示すように、ドハティ増幅器としての飽和点aと出力バックオフ6dBの点bの2箇所において、効率最大点を迎えることが可能となる。図16において、bは入力信号のレベルが小さい場合に、キャリア増幅器3のみが動作したときの1回目の効率最大点であり、aは入力信号のレベルが大きい場合に、キャリア増幅器3及びピーク増幅器7が動作したときの2回目の効率最大点である。
Youngoo Yang,Jeonghyeon Cha,Bumjae Shin,Bumman Kim,"A Fully Matched N-Way Doherty Amplifier With Optimized Linearity",IEEE Trans.Microwave Theory Tech.,vol.3,pp.986-993,Mar.2003.
従来の高効率増幅器としてのドハティ増幅器では、キャリア増幅器3の出力側に90°位相線路5を使用することで、キャリア増幅器3の出力側のインピーダンス基準点11から出力側を見た負荷インピーダンスが小信号時には2R、大信号時にはRとなるような変換を実現している。このため、理想的なドハティ増幅器では、ドハティ増幅器としての飽和点と出力バックオフ6dBの点の2箇所において、効率最大点を迎えることが可能であるが、これは逆に言うと、原理的に従来のドハティ増幅器では、出力バックオフが6dBよりも大きい動作レベルで、効率最大点を迎えることが不可能であるということを意味しており、出力バックオフが6dBよりも大きい小信号領域での高効率化に限界があるという課題があった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、出力バックオフが6dBよりも大きい小信号動作レベルにおいて効率を向上させることができる高効率増幅器を得ることを目的とする。
この発明に係る高効率増幅器は、入力信号を第1及び第2の経路に分配する入力分配回路と、上記第1の経路に接続されたキャリア増幅器と、上記第2の経路に接続されたピーク増幅器と、上記第1及び第2の経路の出力合成点に接続されたインピーダンス変換回路と、上記キャリア増幅器の出力側のインピーダンス基準点と上記出力合成点の間に接続された第1の位相線路と、上記入力分配回路と上記ピーク増幅器の間に接続された第2の位相線路と、上記ピーク増幅器の出力側のインピーダンス基準点と上記出力合成点の間に接続された第3の位相線路とを備え、上記入力信号のレベルが小さい場合に、上記キャリア増幅器の出力側のインピーダンス基準点から出力側を見たインピーダンスが2R+α(Rは負荷抵抗、αは正)となるように、上記第1の位相線路の電気長と上記第3の位相線路の電気長が設定され、上記第2の位相線路の電気長が上記第1の位相線路の電気長と上記第3の位相線路の電気長との差に設定されるものである。
この発明により、効率を最大にする出力バックオフを6dBより大きくすることができ、出力バックオフが6dBよりも大きい小信号動作レベルにおいて効率を向上させることができるという効果が得られる。
以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための最良の形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による高効率増幅器の構成と各部の電気長と、入力信号のレベルが小さい場合の各部から見たインピーダンスを示す図である。図1に示す高効率増幅器は、入力端子1、入力分配回路2、A級又はAB級バイアスされたキャリア増幅器3、オフセット位相線路4、位相線路21、位相線路22、B級又はC級バイアスされたピーク増幅器7、オフセット位相線路8、位相線路23、90°位相線路(インピーダンス変換回路)9及び出力端子10を備えている。また、図1には、従来の図14と同様に、キャリア増幅器3の出力側のインピーダンス基準点11、ピーク増幅器7の出力側のインピーダンス基準点12、入力分配回路2により分配された経路の出力合成点13が図示されている。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による高効率増幅器の構成と各部の電気長と、入力信号のレベルが小さい場合の各部から見たインピーダンスを示す図である。図1に示す高効率増幅器は、入力端子1、入力分配回路2、A級又はAB級バイアスされたキャリア増幅器3、オフセット位相線路4、位相線路21、位相線路22、B級又はC級バイアスされたピーク増幅器7、オフセット位相線路8、位相線路23、90°位相線路(インピーダンス変換回路)9及び出力端子10を備えている。また、図1には、従来の図14と同様に、キャリア増幅器3の出力側のインピーダンス基準点11、ピーク増幅器7の出力側のインピーダンス基準点12、入力分配回路2により分配された経路の出力合成点13が図示されている。
図1に示す高効率増幅器は、従来の図14に示すドハティ増幅器の90°位相線路5を位相線路21に置き換え、位相線路6を位相線路22に置き換え、ピーク増幅器7の出力側のインピーダンス基準点12と出力合成点13の間に位相線路23を追加したものであり、その他の構成は図14に示すものと同じである。オフセット位相線路4の電気長をθc、オフセット位相線路8の電気長をθp、位相線路21の電気長をθ1、位相線路22の電気長をθ3、位相線路23の電気長をθ2とする。
即ち、図1に示す高効率増幅器では、キャリア増幅器3の出力側のインピーダンス基準点11と出力合成点13の間に電気長θ1の位相線路21を接続し、入力分配回路2とピーク増幅器7の間に電気長θ3の位相線路22を接続し、ピーク増幅器7の出力側のインピーダンス基準点12と出力合成点13の間に電気長θ2の位相線路23を接続していることが特徴である。
図1において、出力合成点13から90°位相線路9を見たインピーダンスをR1=R/2(Rは高効率増幅器の負荷抵抗)とし、位相線路21のインピーダンスをRとすると、入力信号のレベルが小さい場合に、効率を最大にする出力バックオフを6dBより大きくするために、キャリア増幅器3の出力側のインピーダンス基準点11から出力側を見たインピーダンスがR2=2R+α(αは正)となるように、位相線路21の電気長θ1と位相線路23の電気長θ2を設定する。
位相線路21は次の式(1)に示す電気長θ1[deg]を有する位相線路で、キャリア増幅器3の出力側のインピーダンス基準点11と出力合成点13の間に接続される。
ここで、Z0は位相線路21,23の特性インピーダンスを示す。
さらに、位相線路22は次の式(3)に示す電気長θ3[deg]を有する位相線路であり、入力分配回路3とピーク増幅器7の間に接続される。
θ3=θ1−θ2+θc−θp (3)
θ3=θ1−θ2+θc−θp (3)
次に動作について説明する。
図1の入力信号のレベルが小さい場合は、B級又はC級バイアスされたピーク増幅器7はオフ状態、即ちRF信号を増幅しない状態となり、キャリア増幅器3からのRF信号のみが出力合成点13に出力される。このように、入力信号のレベルが小さい場合には、ピーク増幅器7がオフ状態となるため、ピーク増幅器7の出力側のインピーダンス基準点12から見たピーク増幅器7の出力インピーダンスは、理想的には無限大(open)となり、また、位相線路23の電気長θ2は90°未満となるため、電気長θ2を有する位相線路23は容量性の開放スタブとして作用する。
図1の入力信号のレベルが小さい場合は、B級又はC級バイアスされたピーク増幅器7はオフ状態、即ちRF信号を増幅しない状態となり、キャリア増幅器3からのRF信号のみが出力合成点13に出力される。このように、入力信号のレベルが小さい場合には、ピーク増幅器7がオフ状態となるため、ピーク増幅器7の出力側のインピーダンス基準点12から見たピーク増幅器7の出力インピーダンスは、理想的には無限大(open)となり、また、位相線路23の電気長θ2は90°未満となるため、電気長θ2を有する位相線路23は容量性の開放スタブとして作用する。
従って、出力合成点13から位相線路23を見たインピーダンスは、抵抗成分がR/2よりも小さく、容量性リアクタンスを有するインピーダンスZ1に変換される。さらに、電気長θ1を有する位相線路21によるインピーダンス変換作用により、キャリア増幅器3の出力側のインピーダンス基準点11から出力側を見た負荷インピーダンスは2Rよりも大きい実数抵抗2R+αに変換される。
図2は高効率増幅器の負荷変調の軌跡をスミスチャート上に描いた図である。従来型のドハティ増幅器では、図2の点線に示すように、負荷変調の軌跡はR/2〜2Rとなっているのに対し、この実施の形態1の高効率増幅器では、図2の実線に示すように、負荷変調の軌跡はZ1〜2R+αとなっている。
図3はこの発明の実施の形態1による高効率増幅器の構成と各部の電気長と、入力信号のレベルが大きい場合の各部から見たインピーダンスを示す図であり、図1と同符号は同一のものである。図3において、入力信号のレベルが大きい場合には、B級又はC級バイアスされたピーク増幅器7はオン状態、即ちRF信号を増幅する状態となるため、出力合成点13ではキャリア増幅器3及びピーク増幅器7からのRF信号が合成されて出力される。このとき、キャリア増幅器3の出力側のインピーダンス基準点11及びピーク増幅器7の出力側のインピーダンス基準点12から出力側を見た負荷インピーダンスは共にRとなる。
ここで、予め高効率増幅器では、負荷インピーダンスが2R+αのときに、キャリア増幅器3では飽和電力は小さいが効率が高くなるように設計し、負荷インピーダンスがRのときに、キャリア増幅器3及びピーク増幅器7では飽和電力が大きくなるように設計しておくと、入力信号のレベルが小さい場合には、キャリア増幅器3が高効率動作し、入力信号のレベルが大きい場合には、キャリア増幅器3及びピーク増幅器7は飽和電力が大きくなるように動作させることが可能となる。
以上2つの作用により、即ち、入力信号のレベルに応じてピーク増幅器7の出力がキャリア増幅器3の出力に合成されるという効果、及び入力信号のレベルに応じてキャリア増幅器3及びピーク増幅器7から出力側を見た負荷インピーダンスが変化するという作用により、この実施の形態1では、飽和点からの出力バックオフが大きい状態において高効率な動作を実現することが可能となる。
図4は高効率増幅器の出力電力に対する効率特性を示す図である。ここでは、従来のドハティ増幅器とこの実施の形態1の高効率増幅器とを比較している。また、この実施の形態1では、入力信号のレベルが小信号から大信号に推移したときに、キャリア増幅器3の出力側のインピーダンス基準点11から出力側を見たインピーダンスが、実数抵抗2R+α(αは正)からRへと推移するため、図4に示すように、ドハティ増幅器としての飽和点aに加えて、出力バックオフ6dBの点bよりも大きい出力バックオフ(6+β)dB(βは正)の点cにおいて効率最大点を迎えることが可能となる。
よって、この実施の形態1では、入力信号のレベルが小さい場合に、キャリア増幅器3の出力側のインピーダンス基準点11から出力側を見たインピーダンスを、従来型のドハティ増幅器のインピーダンス2Rよりも大きくできるため、その分、1回目の効率最大点を従来のドハティ増幅器の出力バックオフ6dBの点bよりも出力バックオフの大きい小信号レベルの点cに設定することが可能となる。つまり、この実施の形態1では、出力バックオフが6dBよりも大きい小信号動作レベルでの高効率化がより効果的となり、高効率化を図ることができる。
この実施の形態1では、従来のドハティ増幅器と同様に、キャリア増幅器3の出力側にオフセット位相線路4を接続し、ピーク増幅器7の出力側にオフセット位相線路8を接続しているが、オフセット位相線路4及びオフセット位相線路8を削除しても良く、その場合に、上記式(3)は次の式(4)となる。
θ3=θ1−θ2 (4)
θ3=θ1−θ2 (4)
このように、この実施の形態1では、入力分配回路2は入力信号を2つの経路(第1及び第2の経路)に分配し、一方の経路にキャリア増幅器3を接続し、他方の経路にピーク増幅器7を接続し、2つの経路の出力合成点13に90°位相線路(インピーダンス変換回路)9を接続し、キャリア増幅器3の出力側のインピーダンス基準点11と出力合成点13の間に位相線路(第1の位相線路)21を接続し、入力分配回路2とピーク増幅器7の間に位相線路(第2の位相線路)22を接続し、ピーク増幅器7の出力側のインピーダンス基準点12と出力合成点13の間に位相線路(第3の位相線路)23を接続し、入力信号のレベルが小さい場合に、キャリア増幅器3の出力側のインピーダンス基準点11から出力側を見たインピーダンスが2R+αとなるように、位相線路21の電気長θ1と位相線路23の電気長θ2を設定し、位相線路22の電気長θ3を位相線路21の電気長θ1と位相線路23の電気長θ2との差に設定する。
以上のように、この実施の形態1によれば、キャリア増幅器3の出力側のインピーダンス基準点11と出力合成点13の間に電気長θ1の位相線路21を接続し、入力分配回路2とピーク増幅器7の間に電気長θ3の位相線路22を接続し、ピーク増幅器7の出力側のインピーダンス基準点12と出力合成点13の間に電気長θ2の位相線路23を接続し、入力信号レベルが小さい場合に、キャリア増幅器3の出力側のインピーダンス基準点11から出力側を見たインピーダンスが2R+αとなるように、位相線路21の電気長θ1と位相線路23の電気長θ2を設定し、位相線路22の電気長θ3を位相線路21の電気長θ1と位相線路23の電気長θ2との差に設定することにより、効率を最大にする出力バックオフを6dBより大きくすることができ、出力バックオフが6dBよりも大きい小信号動作レベルにおいて効率を向上させることができるという効果が得られる。
実施の形態2.
図5はこの発明の実施の形態2による高効率増幅器の構成と各部の電気長と、入力信号のレベルが小さい場合の各部から見たインピーダンスを示す図である。図5に示す高効率増幅器は、上記実施の形態1の図1に示す高効率増幅器に位相線路(第4の位相線路)24を追加したものであり、その他の構成は図1と同じである。
また、図6はこの発明の実施の形態2による高効率増幅器の構成と各部の電気長と、入力信号のレベルが大きい場合の各部から見たインピーダンスを示す図である。図6に示す高効率増幅器は、上記実施の形態1の図3に示す高効率増幅器に位相線路24を追加したものであり、その他の構成は図3と同じである。
図5はこの発明の実施の形態2による高効率増幅器の構成と各部の電気長と、入力信号のレベルが小さい場合の各部から見たインピーダンスを示す図である。図5に示す高効率増幅器は、上記実施の形態1の図1に示す高効率増幅器に位相線路(第4の位相線路)24を追加したものであり、その他の構成は図1と同じである。
また、図6はこの発明の実施の形態2による高効率増幅器の構成と各部の電気長と、入力信号のレベルが大きい場合の各部から見たインピーダンスを示す図である。図6に示す高効率増幅器は、上記実施の形態1の図3に示す高効率増幅器に位相線路24を追加したものであり、その他の構成は図3と同じである。
位相線路24は次の式(5)に示す電気長Δθ[deg]を有する位相線路であり、入力分配回路3とピーク増幅器6の間に接続される。
Δθ=θCA−θPA (5)
ここで、θCAはキャリア増幅器3の電気長であり、θPAはピーク増幅器7の電気長である。
Δθ=θCA−θPA (5)
ここで、θCAはキャリア増幅器3の電気長であり、θPAはピーク増幅器7の電気長である。
次に動作について説明する。
図6において、入力信号のレベルが大きい場合には、B級又はC級バイアスされたピーク増幅器7はオン状態、即ちRF信号を増幅する状態となるため、出力合成点13ではキャリア増幅器3及びピーク増幅器7からのRF信号が合成されて出力される。
図6において、入力信号のレベルが大きい場合には、B級又はC級バイアスされたピーク増幅器7はオン状態、即ちRF信号を増幅する状態となるため、出力合成点13ではキャリア増幅器3及びピーク増幅器7からのRF信号が合成されて出力される。
このとき、この実施の形態2では、A級又はAB級バイアスされたキャリア増幅器3の電気長θCAとB級又はC級バイアスされたピーク増幅器7の電気長θCAとの差Δθが、ピーク増幅器7の入力側に接続された位相線路24により補正されるので、キャリア増幅器3とピーク増幅器7からのRF信号が出力合成点13において同位相で合成することが可能となる。このため、入力信号レベルが大きい領域でのRF信号の合成効率が向上する。
図7は高効率増幅器の出力電力に対する効率特性を示している。ここでは、従来のドハティ増幅器と上記実施の形態1の高効率増幅器とこの実施の形態2の高効率増幅器とを比較している。図7に示すように、この実施の形態2では、上記実施の形態1と比較して、入力信号のレベルが大きい領域でのRF信号の合成効率が向上し、結果として増幅器の高効率化を図ることが可能となる。
その他の動作については上記実施の形態1と同じである。
その他の動作については上記実施の形態1と同じである。
この実施の形態2では、従来のドハティ増幅器と同様に、キャリア増幅器3の出力側にオフセット位相線路4を接続し、ピーク増幅器7の出力側にオフセット位相線路8を接続しているが、オフセット位相線路4及びオフセット位相線路8を削除しても良い。
以上のように、この実施の形態2によれば、上記実施の形態1と同様の効果が得られると共に、ピーク増幅器7の入力側に接続された位相線路24により、キャリア増幅器3の電気長θCAとピーク増幅器7の電気長θCAとの差を補正することにより、さらに効率を向上させることができるという効果が得られる。
実施の形態3.
図8はこの発明の実施の形態3による高効率増幅器の構成と各部の電気長と、入力信号のレベルが小さい場合の各部から見たインピーダンスを示す図である。図8に示す高効率増幅器は、上記実施の形態1の図1に示す高効率増幅器における90°位相回路9の出力側に、特性インピーダンスRを有するアイソレータ31を追加したものであり、その他の構成は図1と同じである。
図8はこの発明の実施の形態3による高効率増幅器の構成と各部の電気長と、入力信号のレベルが小さい場合の各部から見たインピーダンスを示す図である。図8に示す高効率増幅器は、上記実施の形態1の図1に示す高効率増幅器における90°位相回路9の出力側に、特性インピーダンスRを有するアイソレータ31を追加したものであり、その他の構成は図1と同じである。
次に動作について説明する。
図8において、90°位相回路9の出力側に接続された特性インピーダンスRを有するアイソレータ31により、出力合成点13から見た負荷インピーダンスがR/2に確定される。このため、高効率増幅器は出力端子10以降の回路状態によらず、安定的に高効率率な動作をすることが可能になる。
図8において、90°位相回路9の出力側に接続された特性インピーダンスRを有するアイソレータ31により、出力合成点13から見た負荷インピーダンスがR/2に確定される。このため、高効率増幅器は出力端子10以降の回路状態によらず、安定的に高効率率な動作をすることが可能になる。
図9はアイソレータ31の周波数特性を示す図である。アイソレータ31は、図9に示すように、RF信号の周波数f0に対して、RF信号の高調波、例えば2倍の周波数2f0を使用帯域外とする周波数特性を持っており、高調波の発生を抑圧することができる。
この実施の形態3では、従来のドハティ増幅器と同様に、キャリア増幅器3の出力側にオフセット位相線路4を接続し、ピーク増幅器7の出力側にオフセット位相線路8を接続しているが、オフセット位相線路4及びオフセット位相線路8を削除しても良い。
以上のように、この実施の形態3によれば、上記実施の形態1と同様の効果が得られると共に、90°位相回路9の出力側に特性インピーダンスRを有するアイソレータ31を接続することにより、安定的に高効率率な動作をすることができ、高調波の発生を抑圧することができるという効果が得られる。
実施の形態4.
図10はこの発明の実施の形態4による高効率増幅器におけるキャリア増幅器3及びピーク増幅器7の内部構成を示すブロック図である。図10に示すキャリア増幅器3及びピーク増幅器7は、入力端子41、基本波整合回路42、電源端子43、バイアス回路44、トランジスタ(増幅素子)45、位相線路(第5の位相線路)46、電源端子47、コンデンサ48、90°位相線路49、基本波整合回路50及び出力端子51を備えている。
図10はこの発明の実施の形態4による高効率増幅器におけるキャリア増幅器3及びピーク増幅器7の内部構成を示すブロック図である。図10に示すキャリア増幅器3及びピーク増幅器7は、入力端子41、基本波整合回路42、電源端子43、バイアス回路44、トランジスタ(増幅素子)45、位相線路(第5の位相線路)46、電源端子47、コンデンサ48、90°位相線路49、基本波整合回路50及び出力端子51を備えている。
次に動作について説明する。
図10において、トランジスタ45の入力側には、電源端子43からのバイアス電圧がバイアス回路44を介して供給される。また、コンデンサ48及び90°位相線路49により、トランジスタ45の出力側のバイアス回路を構成し、電源端子47からのバイアス電圧は、位相線路49及び位相線路46を介して、トランジスタ45の出力側に供給される。入力端子41から入力されたRF信号は、基本波整合回路42を介してトランジスタ45で増幅され、位相線路46及び基本波整合回路50を介して出力端子51より出力される。
図10において、トランジスタ45の入力側には、電源端子43からのバイアス電圧がバイアス回路44を介して供給される。また、コンデンサ48及び90°位相線路49により、トランジスタ45の出力側のバイアス回路を構成し、電源端子47からのバイアス電圧は、位相線路49及び位相線路46を介して、トランジスタ45の出力側に供給される。入力端子41から入力されたRF信号は、基本波整合回路42を介してトランジスタ45で増幅され、位相線路46及び基本波整合回路50を介して出力端子51より出力される。
コンデンサ48はRF信号の周波数f0で、十分に小さいインピーダンスとなるような容量を有するものとし、90°位相線路49と電源端子47の間にRF信号の周波数f0で短絡点を形成している。90°位相線路49はRF信号の周波数f0で電気長が90°の長さの短絡スタブとすると、RF信号の2倍の周波数2f0では電気長が180°の長さとなり、位相線路46と90°位相線路49の間にRF信号の2倍の周波数2f0における短絡点が形成される。
位相線路46の電気長θ0の長さを変えると、トランジスタ45から見た2倍の周波数2f0における短絡点までの距離が変わるため、トランジスタ45から出力側を見た2倍の周波数2f0におけるインピーダンスZL(2f0)が変化する。一般に増幅器の効率は2倍の周波数におけるインピーダンスに対する依存性があるため、位相線路46の電気長θ0を最適化することにより、RF信号の2倍の周波数2f0の高調波の発生を抑圧し、キャリア増幅器3及びピーク増幅器7の効率を最大化することが可能である。
図11は位相線路46の電気長θ0に対するキャリア増幅器3及びピーク増幅器7の効率特性を示す図であり、位相線路46の電気長θ0を最適の値θOPTにすることにより、RF信号の2倍の周波数2f0の高調波の発生を抑圧し、キャリア増幅器3及びピーク増幅器7の効率Emaxを得ることができる。
このように、キャリア増幅器3及びピーク増幅器7の効率を最大化することで、高効率増幅器全体としての効率を最大化することができ、出力バックオフが大きい小信号レベルにおいても効率を向上させることが可能となる。
以上のように、この実施の形態4によれば、上記実施の形態1と同様の効果が得られると共に、キャリア増幅器3及びピーク増幅器7のトランジスタ45のバイアス電圧を、RF信号の周波数f0で電気長が90°の長さの短絡スタブとなる90°位相線路49と位相線路46を介して供給し、位相線路46の電気長θ0を、RF信号の2倍の周波数2f0の高調波を削減し、キャリア増幅器3及びピーク増幅器7の効率を最大化する値に設定することにより、出力バックオフが大きい小信号レベルにおいても効率を向上させることができるという効果が得られる。
実施の形態5.
図12はこの発明の実施の形態5による高効率増幅器の構成と各部の電気長を示す図である。図12に示す高効率増幅器は、上記実施の形態1の図1に示す高効率増幅器において、キャリア増幅器3に接続されたゲート電圧発生回路61及びドレイン電圧発生回路62、ピーク増幅器7に接続されたゲート電圧発生回路63及びドレイン電圧発生回路64を追加したものであり、その他の構成は図1と同じである。
図12はこの発明の実施の形態5による高効率増幅器の構成と各部の電気長を示す図である。図12に示す高効率増幅器は、上記実施の形態1の図1に示す高効率増幅器において、キャリア増幅器3に接続されたゲート電圧発生回路61及びドレイン電圧発生回路62、ピーク増幅器7に接続されたゲート電圧発生回路63及びドレイン電圧発生回路64を追加したものであり、その他の構成は図1と同じである。
図12において、キャリア増幅器3及びピーク増幅器7では、同じバイアス電圧を供給した場合に同じ飽和電力を有するトランジスタ(図示せず)を使用しているものとする。また、ドレイン電圧発生回路62がキャリア増幅器3のトランジスタに供給するバイアス電圧Vd1は、ドレイン電圧発生回路64がピーク増幅器7のトランジスタに供給するバイアス電圧Vd2よりも小さく設定されている。そのため、キャリア増幅器3の飽和電力はピーク増幅器7の飽和電力よりも小さくなり、上記実施の形態1よりも大きな出力バックオフ点で効率最大点を迎えることが可能となる。
図13は高効率増幅器の出力電力に対する効率特性を示す図である。ここでは、上記実施の形態1の高効率増幅器とこの実施の形態5の高効率増幅器とを比較している。図13に示すように、ドハティ増幅器としての飽和点aに加えて、出力バックオフ(6+β)dBの点cよりも大きい出力バックオフ(6+β+γ)dB(β,γは正)の点dにおいて効率最大点を迎えることが可能となる。
以上のように、この実施の形態5によれば、キャリア増幅器3のトランジスタのドレインに供給するバイアス電圧Vd1を、ピーク増幅器7のトランジスタのドレインに供給するバイアス電圧Vd2よりも小さく設定することにより、上記実施の形態1よりも、効率を最大にする出力バックオフを6dBより大きくすることができ、出力バックオフが6dBよりも大きい小信号動作レベルにおいて効率をさらに向上させることができるという効果が得られる。
以上のように、この発明に係る高効率増幅器は、例えば効率を最大にする出力バックオフを6dBより大きくし、出力バックオフが6dBよりも大きい小信号動作レベルにおいて効率を向上させるものに適している。
Claims (5)
- 入力信号を第1及び第2の経路に分配する入力分配回路と、
上記第1の経路に接続されたキャリア増幅器と、
上記第2の経路に接続されたピーク増幅器と、
上記第1及び第2の経路の出力合成点に接続されたインピーダンス変換回路と、
上記キャリア増幅器の出力側のインピーダンス基準点と上記出力合成点の間に接続された第1の位相線路と、
上記入力分配回路と上記ピーク増幅器の間に接続された第2の位相線路と、
上記ピーク増幅器の出力側のインピーダンス基準点と上記出力合成点の間に接続された第3の位相線路とを備え、
上記入力信号のレベルが小さい場合に、上記キャリア増幅器の出力側のインピーダンス基準点から出力側を見たインピーダンスが2R+α(Rは負荷抵抗、αは正)となるように、上記第1の位相線路の電気長と上記第3の位相線路の電気長が設定され、上記第2の位相線路の電気長が上記第1の位相線路の電気長と上記第3の位相線路の電気長との差に設定されることを特徴とする高効率増幅器。 - 上記入力分配回路と上記キャリア増幅器の間に接続された第4の位相線路を備え、
上記第4の位相線路の電気長が上記キャリア増幅器の電気長と上記ピーク増幅器の電気長との差に設定されることを特徴とする請求項1記載の高効率増幅器。 - 上記インピーダンス変換回路の出力に接続され特性インピーダンスRを有するアイソレータを備えたことを特徴とする請求項1記載の高効率増幅器。
- 上記キャリア増幅器及び上記ピーク増幅器は、内部の増幅素子のバイアス電圧が、上記入力信号の周波数で電気長が90°の長さの短絡スタブとなる90°位相線路と第5の位相線路を介して供給され、
上記第5の位相線路の電気長が、上記入力信号の2倍の周波数の高調波の発生を抑圧し、効率を最大にする値に設定されることを特徴とする請求項1記載の高効率増幅器。 - 上記キャリア増幅器の内部の増幅素子の出力側に供給されるバイアス電圧が、上記ピーク増幅器の内部の増幅素子の出力側に供給されるバイアス電圧よりも小さく設定されることを特徴とする請求項1記載の高効率増幅器。
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