JP2006156891A - 窒化物半導体発光素子および窒化物半導体発光素子の製造方法 - Google Patents

窒化物半導体発光素子および窒化物半導体発光素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 発光強度を向上させた窒化物半導体発光素子とその製造方法とを提供する。
【解決手段】 半導体基板上に形成された、p型窒化物半導体層と、量子井戸構造を含む活性層と、n型窒化物半導体層と、を含み、活性層は、互いに組成の異なる、第1の窒化物半導体層と、第2の窒化物半導体層と、第3の窒化物半導体層と、を含んでいる窒化物半導体発光素子とその窒化物半導体発光素子の製造方法である。
【選択図】 図1

Description

本発明は窒化物半導体発光素子と窒化物半導体発光素子の製造方法に関し、特に発光強度を向上させた窒化物半導体発光素子とその製造方法に関する。
窒化物半導体結晶を用いた半導体レーザや発光ダイオードなどの窒化物半導体発光素子において、たとえば緑色の光を発光する発光層として機能する図3の模式的断面図に示す活性層106は、Inx1Ga1-x1N(0<x1<1)の式で表わされる窒化物半導体結晶からなる井戸層2と、この井戸層よりもInの含有比率が低いInx3Ga1-x3N(0≦x3≦0.2、x1>x3)の式で表わされる窒化物半導体結晶からなる障壁層4の2層からなる積層体を複数含んでおり、井戸層2と障壁層4の気相成長温度は同一である。
たとえば、特許文献1においては、井戸層として厚さ3nmのIn0.4Ga0.6N層と、障壁層として厚さ6nmのIn0.2Ga0.8N層の2層からなる積層体を複数含む窒化物半導体発光素子が開示されており、井戸層と障壁層の気相成長温度はともに800℃である。
特開平9−153642号公報
しかしながら、互いに組成の異なるInx1Ga1-x1N(0<x1<1)の式で表わされる窒化物半導体結晶からなる井戸層と、Inx3Ga1-x3N(0≦x3≦0.2、x1>x3)の式で表わされる窒化物半導体結晶からなる障壁層とを積層する場合、InとGaの蒸気圧の違いから、高品質な窒化物半導体結晶を得るためには、障壁層の気相成長温度を井戸層の気相成長温度よりも高くすることが好ましい。
それにもかかわらず障壁層の気相成長温度を井戸層の気相成長温度よりも高くすることができないのは、井戸層の気相成長温度から障壁層の気相成長温度への切り替え時の昇温中および障壁層の気相成長中に、井戸層中のInが蒸発してしまい、結果として窒化物半導体発光素子の発光強度の低下を招いてしまうためである。
上記の事情に鑑みて、本発明の目的は、発光強度を向上させた窒化物半導体発光素子とその製造方法とを提供することにある。
本発明は、半導体基板上に形成された、p型窒化物半導体層と、量子井戸構造を含む活性層と、n型窒化物半導体層と、を含み、活性層は、互いに組成の異なる、第1の窒化物半導体層と、第2の窒化物半導体層と、第3の窒化物半導体層と、を含んでいる窒化物半導体発光素子である。
ここで、本発明の窒化物半導体発光素子においては、第1の窒化物半導体層と接して第1の窒化物半導体層上に第2の窒化物半導体層が形成され、第2の窒化物半導体層と接して第2の窒化物半導体層上に第3の窒化物半導体層が形成され得る。
また、本発明の窒化物半導体発光素子において、第1の窒化物半導体層はInx1Ga1-x1N(0<x1<1)の式で表わされる窒化物半導体結晶からなり、第2の窒化物半導体層はAlx2Ga1-x2-y2Iny2N(0<x2<1、0≦y2<1、x2+y2≦1)の式で表わされる窒化物半導体結晶からなり、第3の窒化物半導体層はInx3Ga1-x3N(0≦x3≦0.2)の式で表わされる窒化物半導体結晶からなっており、第1の窒化物半導体層中のInの含有比率を示すx1が第3の窒化物半導体層中のInの含有比率を示すx3よりも大きくてもよい。
また、本発明の窒化物半導体発光素子においては、第2の窒化物半導体層の厚さが4nm以下であることが好ましい。
さらに、本発明は、上記のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子を製造する方法であって、活性層中の第1の窒化物半導体層および第3の窒化物半導体層はいずれも気相成長により形成され、第3の窒化物半導体層の気相成長温度が第1の窒化物半導体層の気相成長温度よりも50℃以上高い窒化物半導体発光素子の製造方法である。
本発明によれば、井戸層中のInの蒸発を抑制しながら井戸層の気相成長温度よりも高い温度で障壁層を形成することができるため、高品質の井戸層および障壁層を形成することができる。したがって、本発明によれば、発光強度を向上させた窒化物半導体発光素子とその製造方法とを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本願の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
図1の模式的断面図に、本発明の窒化物半導体発光素子の活性層の好ましい一例を示す。本発明の窒化物半導体発光素子の活性層106は、Inx1Ga1-x1N(0<x1<1)の式で表わされる窒化物半導体結晶からなる井戸層2と、Alx2Ga1-x2-y2Iny2N(0<x2<1、0≦y2<1)の式で表わされる窒化物半導体結晶からなる中間層3と、井戸層2よりもInの含有率が低いInx3Ga1-x3N(0≦x3≦0.2、x1>x3)の式で表わされる窒化物半導体結晶からなる障壁層4とを含んでいる。ここで、中間層3は気相成長により井戸層2上に形成されており、障壁層4は気相成長により中間層3上に形成されている。そして、中間層3と井戸層2とは接しており、障壁層4と中間層3とは接している。
このように、井戸層2と障壁層4との間にAlx2Ga1-x2-y2Iny2N(0<x2<1、0≦y2<1、x2+y2≦1)の式で表わされる窒化物半導体結晶からなる中間層3を設置することによって、井戸層2よりもInの含有比率の低い障壁層4の気相成長温度を井戸層2の気相成長温度よりも高くした場合でも、障壁層4の気相成長温度への切り替え時の昇温中および障壁層4の気相成長中において、井戸層2中のInの蒸発を中間層3によって抑制することができる。これにより、井戸層2中のInの蒸発を抑制しながら、より高温で障壁層4を気相成長することができるため、井戸層2および障壁層4の結晶性を向上させることができ、結果として活性層から出射される光の発光強度を向上させることができる。
このとき、Alx2Ga1-x2-y2Iny2N(0<x2<1、0≦y2<1)の式で表わされる窒化物半導体結晶からなる中間層3を井戸層2中のInの蒸発をより効率的に抑制するためには、中間層3の厚さを4mm以下とすることが好ましい。また、井戸層2中のInの蒸発をより効率的に抑制する観点からは、中間層3の気相成長温度を井戸層2の気相成長温度以下とすることが好ましい。また、活性層から出射される光の発光強度をより向上させる観点からは、障壁層4の気相成長温度が井戸層2の気相成長温度よりも50℃以上高いことが好ましい。
また、上記のInx1Ga1-x1N(0<x1<1)の式において、x1は井戸層2を構成する窒化物半導体結晶中のInの含有比率を示している。したがって、井戸層2を構成する窒化物半導体結晶としては、InとGaとNとからなる窒化物半導体結晶が用いられる。
また、上記のAlx2Ga1-x2-y2Iny2N(0<x2<1、0≦y2<1、x2+y2≦1)の式において、x2は中間層3を構成する窒化物半導体結晶中のAlの含有比率を示し、y2は中間層3を構成する窒化物半導体結晶中のInの含有比率を示している。したがって、中間層3を構成する窒化物半導体結晶としては、Alを含む窒化物半導体結晶が用いられ、Gaおよび/またはInは中間層3を構成する窒化物半導体結晶中に含まれていても含まれていなくてもよい。
また、上記のInx3Ga1-x3N(0≦x3≦0.2、x1>x3)の式において、x3は障壁層4を構成する窒化物半導体結晶中のInの含有比率を示している。したがって、障壁層4を構成する窒化物半導体結晶としては、InとGaとNとからなる窒化物半導体結晶またはGaとNとからなる窒化物半導体結晶が用いられる。
また、本発明において、窒化物半導体結晶の成長方法としては、種々の気相成長法を用いることができる。たとえば、有機金属気相結晶成長(Metal Organic Chemical Vapor Deposition;MOCVD)法、ハイドライド気相結晶成長(Hydride Vapor Phase Epitaxy;HVPE)法、分子線エピタキシ(Molecular Beam Epitaxy;MBE)法などを用いることができる。
MOCVD法において、In源としてはたとえばトリメチルインジウム(TMI)またはトリエチルインジウム(TEI)などを用いることができ、Ga源としてはたとえばトリメチルガリウム(TMG)またはトリエチルガリウム(TEG)などを用いることができ、Al源としてはたとえばトリメチルアルミニウム(TMA)またはトリエチルアルミニウム(TEA)などを用いることができる。また、窒素源としては、たとえばアンモニアまたはトリメチルアミンなどを用いることができる。
なお、本明細書において、Inはインジウムを示し、Gaはガリウムを示し、Alはアルミニウムを示し、Nは窒素を示す。
(実施例1)
図2に、実施例1における窒化物半導体発光素子の模式的な断面図を示す。この窒化物半導体発光素子は、以下のようにして作製された。まず、サファイア基板101を反応炉内に設置し、サファイア基板101上に厚さ30nmのGaNバッファ層102、厚さ1μmのGaN層103および厚さ4μmのn型GaN層104を順次、MOCVD法を用いて気相成長させた。
次に、n型GaN層104上に、井戸層として厚さ3nmのIn0.2Ga0.8N層、中間層として厚さ1nmのAl0.1Ga0.9N層、障壁層として厚さ18nmのGaN層をこの順序で気相成長させた3層の積層体を5つ重ねた活性層106を形成した。ここで、各層の気相成長温度(反応炉内のサファイア基板の温度)は、井戸層および中間層が700℃、障壁層が800℃に設定された。
次いで、活性層106上に、厚さ30nmのp型Al0.1Ga0.9N層107、厚さ70nmのp型GaN層108をMOCVD法を用いて順次気相成長させた。そして、複数の窒化物半導体層が積層されたサファイア基板101を反応炉内から取り出した後、p型GaN層108上に厚さ10nmのPd層からなるp側透光性電極109、厚さ200nmのAu層からなるp側パット電極110を順次形成した。ここで、p側透光性電極109およびp側パット電極110は真空蒸着法により形成した。
続いて、活性層106、p型Al0.1Ga0.9N層107、p型GaN層108、p側透光性電極109およびp側パット電極110の一部をエッチングにより除去して、n型GaN層104の表面の一部を露出させた。そして、このn型GaN層104の露出面上に真空蒸着法により厚さ150nmのNi層からなるn側電極105を形成した。
このようにして作製された窒化物半導体発光素子の活性層から出射した光の発光波長および発光強度を測定した。その結果を表1に示す。ここで、発光波長は分光器により測定され、発光強度は全光束積分球により測定された。
なお、表1における発光波長の欄の数値は、後述する比較例1の窒化物半導体発光素子の発光波長との差で表わされており、発光波長の欄の数値において「−」が付されている数値は比較例1の発光波長よりも短波長であったことを示している。また、表1において発光強度は、後述する比較例1の窒化物半導体発光素子の発光強度を100としたときの相対値で表わされている。
(実施例2)
活性層中のAl0.1Ga0.9N層からなる中間層の厚さを2nmとしたこと以外は実施例1と同様にして窒化物半導体発光素子を作製した。そして、実施例2において作製した窒化物半導体発光素子の活性層から出射した光の発光波長および発光強度を実施例1と同様にして測定した。その結果を表1に示す。
(比較例1)
活性層として、厚さ3nmのIn0.2Ga0.8N層からなる井戸層と、厚さ18nmのGaN層からなる障壁層とをこの順序で気相成長させた2層の積層体を5つ重ねた活性層を形成し、井戸層および中間層の気相成長温度をともに700℃に設定したこと以外は実施例1と同様にして、窒化物半導体発光素子を作製した。
そして、比較例1において作製した窒化物半導体発光素子の活性層から出射した光の発光波長および発光強度を実施例1と同様にして測定した。その結果を表1に示す。
(比較例2)
井戸層の気相成長温度を700℃、中間層の気相成長温度を800℃に設定したこと以外は比較例1と同様にして、窒化物半導体発光素子を作製した。
そして、比較例2において作製した窒化物半導体発光素子の活性層から出射した光の発光波長および発光強度を実施例1と同様にして測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2006156891
表1からわかるように、In0.2Ga0.8N層からなる井戸層とGaN層からなる障壁層との間にAl0.1Ga0.9N層からなる中間層が形成された実施例1および実施例2の窒化物半導体発光素子は、Al0.1Ga0.9N層からなる中間層を有しない比較例1および比較例2の窒化物半導体発光素子よりも発光強度が向上していた。
また、表1からわかるように、障壁層の気相成長温度が井戸層の気相成長温度よりも高く設定された比較例2の窒化物半導体発光素子の発光波長は、障壁層と井戸層の気相成長温度が同一に設定された比較例1の窒化物半導体発光素子の発光波長に比べて40nm短波長になっていた。しかし、厚さ1nmの中間層が形成された実施例1の窒化物半導体発光素子の発光波長は比較例1の窒化物半導体発光素子の発光波長に比べて10nmしか短波長になっておらず、実施例1よりも中間層が厚い実施例2の窒化物半導体発光素子の発光波長は比較例1の窒化物半導体発光素子の発光波長と同一であった。
上記の結果は、井戸層と障壁層との間に中間層を形成することによって、障壁層を高温で気相成長させた場合でも井戸層中のInの蒸発を抑制できたことを示している。
また、表1からもわかるように、中間層の厚さが2nmである実施例2の窒化物半導体発光素子の方が中間層の厚さが1nmである実施例1の窒化物半導体発光素子よりも発光強度が向上しており、実施例2の窒化物半導体発光素子の発光強度は比較例1の1.5倍であった。
なお、上記においては、発光ダイオード構造を例に挙げて説明したが、本発明は半導体レーザ構造にも適用可能である。
また、上記においては、活性層の量子井戸構造として複数の井戸層を含む多重量子井戸(Multi Quantum Well;MQW)構造の場合について説明したが、本発明の活性層の量子井戸構造は単一の井戸層を含む単一量子井戸(Single Quantum Well;SQW)構造であってもよい。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明によれば発光強度を向上させた半導体レーザや発光ダイオードなどの窒化物半導体発光素子を提供することができる。
本発明の窒化物半導体発光素子の活性層の好ましい一例の模式的な断面図である。 本発明の実施例1における窒化物半導体発光素子の模式的な断面図である。 従来の窒化物半導体発光素子の活性層の一例の模式的な断面図である。
符号の説明
2 井戸層、3 中間層、4 障壁層、101 サファイア基板、102 GaNバッファ層、103 GaN層、104 n型GaN層、105 n側電極、106 活性層、107 p型Al0.1Ga0.9N層、108 p型GaN層、109 p側透光性電極、110 p側パット電極。

Claims (5)

  1. 半導体基板上に形成された、p型窒化物半導体層と、量子井戸構造を含む活性層と、n型窒化物半導体層と、を含み、前記活性層は、互いに組成の異なる、第1の窒化物半導体層と、第2の窒化物半導体層と、第3の窒化物半導体層と、を含んでいることを特徴とする、窒化物半導体発光素子。
  2. 前記第1の窒化物半導体層に接して前記第1の窒化物半導体層上に第2の窒化物半導体層が形成されており、前記第2の窒化物半導体層と接して前記第2の窒化物半導体層上に第3の窒化物半導体層が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
  3. 前記第1の窒化物半導体層はInx1Ga1-x1N(0<x1<1)の式で表わされる窒化物半導体結晶からなり、前記第2の窒化物半導体層はAlx2Ga1-x2-y2Iny2N(0<x2<1、0≦y2<1、x2+y2≦1)の式で表わされる窒化物半導体結晶からなり、前記第3の窒化物半導体層はInx3Ga1-x3N(0≦x3≦0.2)の式で表わされる窒化物半導体結晶からなっており、前記第1の窒化物半導体層中のInの含有比率を示すx1は前記第3の窒化物半導体層中のInの含有比率を示すx3よりも大きいことを特徴とする、請求項1または2に記載の窒化物半導体発光素子。
  4. 前記第2の窒化物半導体層の厚さが4nm以下であることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子を製造する方法であって、前記活性層中の前記第1の窒化物半導体層および前記第3の窒化物半導体層はいずれも気相成長により形成され、前記第3の窒化物半導体層の気相成長温度が前記第1の窒化物半導体層の気相成長温度よりも50℃以上高いことを特徴とする、窒化物半導体発光素子の製造方法。
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