JP2007200933A - 窒化物系半導体素子の製造方法 - Google Patents

窒化物系半導体素子の製造方法 Download PDF

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雅之 園部
Ichiyo Tsutsumi
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範和 伊藤
Tetsuya Fujiwara
徹也 藤原
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Abstract

【課題】InGaN活性層中のInの偏析を防止し、結晶性を向上させる窒化物系半導体素子の製造方法を提供する。
【解決手段】量子井戸構造を有する活性層を備える窒化物系半導体素子の製造方法であって、基板101上に、n型半導体層102を形成する工程と、n型半導体層102上に、N2ガス及びNH3ガスを導入しつつ、井戸層103aを形成する工程と、井戸層103a形成後に、N2ガス及びNH3ガスの0.01〜1%の体積割合のH2ガスを導入する工程と、井戸層103a上に、N2ガス及びNH3ガスを導入しつつ、障壁層103bを形成する工程とを含む。
【選択図】図3

Description

本発明は、窒化物系半導体素子の製造方法に関する。
青色〜緑色、又は、赤色、白色の光を発する発光ダイオード、半導体レーザ素子等の半導体発光素子として、窒化ガリウム半導体発光素子がある。GaN系半導体素子の製造の際には、GaNからなる基板の製造が困難であるため、サファイア、SiC、Si等からなる基板上にGaN系半導体層をエピタキシャル成長させている。
例えば、サファイア基板の(0001)面上にMOCVD(有機金属気相成長法)を用いて、GaN低温バッファ層、n−GaNコンタクト層、n−AlGaNクラッド層、n−GaN光ガイド層、InGaN多重量子井戸(MQW)活性層等が順に形成され、活性層上には、p−AlGaN層、p−GaNコンタクト層等が順に形成される(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−77416号公報
しかしながら、緑色LEDに用いられるInGaN活性層のように、In組成の高い活性層を結晶成長させる場合、Inが偏析し、本来は透明の膜であるにもかかわらず、黒色化してしまう問題があった。このため、素子の結晶性を悪化させる要因ともなっていた。
そこで、本発明は、上記の課題に鑑み、InGaN活性層中のInの偏析を防止し、結晶性を向上させる窒化物系半導体素子の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、量子井戸構造を有する活性層を備える窒化物系半導体素子の製造方法であって、(a)基板上に、少なくとも1層以上の窒化物系半導体層を形成する工程と、(b)窒化物系半導体層上に、N2ガス及びNH3ガスを導入しつつ、井戸層を形成する工程と、(c)井戸層形成後に、前記N2ガス及びNH3ガスの0.01〜1%の体積割合のH2ガスを導入する工程と、(d)井戸層上に、N2ガス及びNH3ガスを導入しつつ、障壁層を形成する工程とを含む窒化物系半導体素子の製造方法であることを要旨とする。
本発明の特徴に係る窒化物系半導体素子の製造方法によると、H2ガスを導入することにより、Inの偏析を飛ばすことができ、結晶性を向上させることができる。
又、本発明の特徴に係る窒化物系半導体素子の製造方法のH2ガスを導入する工程において、50〜200℃昇温することが好ましい。
本発明によると、InGaN活性層中のInの偏析を防止し、結晶性を向上させる窒化物系半導体素子の製造方法を提供することができる。
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
(窒化物系発光ダイオード素子)
図1及び図2は、本発明の実施の形態に係る窒化物系発光ダイオード素子の断面図である。又、本実施形態における活性層は、高In組成であり、例えば、InxGa1-xN(0.25(緑)<x<0.4(黄〜赤))である。
窒化物系発光ダイオード素子は、図1に示すように、サファイア基板101上に、バッファ層、下地層、n型コンタクト層等から構成されるn型半導体層102が形成され、n型半導体層102上に、多重量子井戸構造を有する活性層103が形成され、活性層103上に、AlGaN層104、GaN層105等p型半導体層が形成される。
活性層103は、図2に示すように、InGaNからなる井戸層103aとInGaNからなる障壁層103bとを交互に積層した多重量井戸(MQW)構造を有する。
(窒化物系発光ダイオード素子の製造方法)
次に、本実施形態に係る窒化物系発光ダイオード素子の製造方法について、説明する。図3は、本発明の実施の形態に係る窒化物系発光ダイオード素子の製造方法を説明するための断面図である。
まず、図3(a)に示すように、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法を用いて、サファイア基板101上に、n型半導体層102を形成する。
まず、サファイア基板101にバッファ層を成膜する前に通常、H2だけを流して1200℃の処理(サーマルクリーニング)を行う。
次に、例えば、サファイア基板101を約400〜700℃の温度に保持した状態で、NH3及びTMG(トリメチルガリウム)からなる原料ガスを用いて、サファイア基板101の(0001)面上に、アンドープの非単結晶のGaNからなるバッファ層を成長させる。
次に、サファイア基板101を約900〜1200℃(例えば、1050℃)の成長温度に保持した状態で、NH3及びTMGからなる原料ガスを用いて、バッファ層上に、アンドープの単結晶のGaNからなる下地層を成長させる。
次に、サファイア基板101を約900〜1200℃(例えば、1050℃)の成長温度に保持した状態で、NH3及びTMGからなる原料ガスと、SiH4からなるドーパントガスとを用いて、下地層上に、Siがドープされた単結晶のGaNからなるn型コンタクト層を成長させる。
このように、n型半導体層102は、バッファ層、下地層、n型コンタクト層等から構成される。
次に、サファイア基板101を約700〜800℃(例えば、760℃)の成長温度に保持した状態で、N2からなるキャリアガスを導入しつつ、NH3、TMGあるいはTMI(トリメチルインジウム)からなる原料ガスを用いて、n型半導体層102上に、アンドープの単結晶のInGaNからなる井戸層103aを成長させる。このとき、N2及びNH3ガスの流量は、合計で20〜50l/minである。
次に、井戸層103a形成後に、N2及びNH3ガスの0.01〜1%の体積割合のH2ガスを導入する。このとき、井戸層103aを成長させていた温度から、50〜200℃昇温すること好ましい。
次に、図3(b)に示すように、N2からなるキャリアガスを導入しつつ、NH3、TMGあるいはTMI(トリメチルインジウム)からなる原料ガスを用いて、井戸層103a上に、アンドープの単結晶のInGaNからなる障壁層103bを成長させる。このとき、障壁層103bは、井戸層の成長温度と同じ温度で成長させても良く、あるいは、50〜200℃昇温させたそのままの温度で成長させても良い。
このように、井戸層103aと障壁層103bとを交互に成長させ、例えば、3つの井戸層及び3つの障壁層を有するMQW構造の活性層103を成長させる。又、活性層103の厚みは、約0.05〜0.2μmであることが好ましい。
次に、サファイア基板101を約900〜1200℃(例えば、1010℃)の成長温度に保持した状態で、H2及びN2からなるキャリアガスと、NH3、TMG及びTMAからなる原料ガスと、CP2Mgからなるドーパントガスとを用いて、活性層103上に、Mgがドープされた単結晶のAlGaNからなるp型AlGaN層104を成長させる。
次に、サファイア基板101を約900〜1200℃(例えば、1010℃)の成長温度に保持した状態で、H2及びN2からなるキャリアガスと、NH3及びTMGからなる原料ガスと、CP2Mgからなるドーパントガスとを用いて、p型AlGaN層104上に、p型GaN層105を成長させる。
この後、例えば、Ag、Pt、Au、Pd、Ni等からなるp型電極を、真空蒸着法により順次形成する。
(作用及び効果)
従来、緑色LEDなどのInGaN活性層のように、In組成の高いLEDを結晶成長させる場合、本来は透明の膜であるにもかかわらず、黒色化しやすい。本発明者らは、この黒色化の原因を調査したところ、InGaNからなる井戸層103a表面に発生したIn偏析であることを見出した。更に、これらのIn偏析を減少させるためには、キャリアガスとしてH2を導入することが有効であることを見出した。
図4に、InGaNからなる井戸層の表面を、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて撮影した写真を示す。図4(a)は、従来の、井戸層形成後にH2ガスを導入しない状態の表面であり、図4(b)は、本発明による、井戸層形成後にH2ガスを導入した状態の表面である。図4(b)は、井戸層形成時に導入したN2ガス及びNH3ガスの0.5%の体積割合のH2ガスを導入したものである。
このように、図4(b)では、図4(a)と比較して、欠陥である黒いピット状の穴が小さくなっていることが分かる。従って、本実施形態に係る窒化物系半導体素子の製造方法によると、H2ガスがInの偏析を飛ばすことにより、結晶性を向上させることができる。
又、H2ガスを導入する際に、50〜200℃昇温すると、H2ガスが活性化し、より確実にInの偏析を飛ばすことができる。
(その他の実施形態)
本発明は上記の実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
例えば、本発明の実施の形態では、主として、窒化物半導体素子層の活性層から放出される光を利用する発光ダイオードの製造方法について例示したが、本発明はこれに限らず、半導体レーザやこれら発光素子からの放出光を励起光とする蛍光体とを組み合わせた発光素子の製造にも利用可能である。又、窒化物系半導体素子層を有するHEMT(High Electron Mobility Transistor)などの電子デバイス、SAW(Surface Acoustic Wave)デバイス、受光素子への応用が可能である。
又、本発明の実施の形態では、MOCVD法を用いて、窒化物半導体各層を結晶成長させる説明したが、本発明はこれに限らず、HVPE法やガスソースMBE法などを用いて、窒化物半導体各層を結晶成長させてもよい。又、窒化物系化合物半導体の結晶構造として、ウルツ鉱型であっても閃亜鉛鉱型構造であってもよい。又、成長の面方位は、(0001)に限るものではなく、(11−20)や(1−100)でもよい。
又、本発明の実施の形態では、GaN、AlGaN、InGaN及びAlNなどからなる層を含む窒化物系半導体素子層を用いたが、本発明はこれに限らず、GaN、AlGaN、InGaN及びAlNからなる層以外の層を含む窒化物系半導体素子層を用いてもよい。又、半導体素子層の形状は、メサ構造、リッジ構造などの電流狭窄造を有するものでもよい。
又、本発明の実施の形態では、窒化物系半導体素子層の成長用基板として、サファイア基板を用いたが、本発明はこれに限らず、窒化物系半導体の成長の可能な基板、例えば、Si、SiC、GaAs、MgO、ZnO、スピネル、そしてGaN等が使用可能である。
又、本発明の実施の形態では、井戸層の層数が3層である場合を説明しているが、井戸層の数はこれに限られるわけではない。井戸層は1層でも2層でもよく、4層以上でも構わない。
又、本発明の実施の形態では、n型半導体層上に活性層、p型半導体層を積層したが、p型半導体層上に活性層、n型半導体層を積層しても構わない。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。従って、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
本発明の実施の形態に係る窒化物系半導体素子の断面図である。 図1の活性層を拡大した断面図である。 本発明の実施の形態に係る窒化物系半導体素子の製造方法を説明するための断面図である。 (a)は、従来の井戸層の表面AF像であり、(b)は、本発明の実施の形態に係る窒化物系半導体素子の井戸層の表面AFM像である。
符号の説明
101…基板
102…n型半導体層
103…活性層
104…AlGaN層
105…GaN層

Claims (2)

  1. 量子井戸構造を有する活性層を備える窒化物系半導体素子の製造方法であって、
    基板上に、少なくとも1層以上の窒化物系半導体層を形成する工程と、
    前記窒化物系半導体層上に、N2ガス及びNH3ガスを導入しつつ、井戸層を形成する工程と、
    前記井戸層形成後に、前記N2ガス及びNH3ガスの0.01〜1%の体積割合のH2ガスを導入する工程と、
    前記井戸層上に、N2ガス及びNH3ガスを導入しつつ、障壁層を形成する工程と
    を含むことを特徴とする窒化物系半導体素子の製造方法。
  2. 前記H2ガスを導入する工程において、50〜200℃昇温することを特徴とする請求項1に記載の窒化物系半導体素子の製造方法。
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