JP2006156709A - アルミニウム電解コンデンサの駆動用電解液 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、アルミニウム電解コンデンサの駆動用電解液(以下、電解液と称す)に関するものである。
従来、中高圧用アルミニウム電解コンデンサの電解液には、エチレングリコールを主溶媒とし、高級二塩基酸またはそのアンモニウム塩と、ホウ酸またはそのアンモニウム塩とを配合し、さらに、電解液の耐電圧を上昇させるためにマンニトール、ソルビトール等の多価アルコールを添加した電解液が用いられている(例えば、特許文献1〜3参照)。
近年の電解コンデンサの小形化に伴い、電解コンデンサの陽極箔にはエッチング倍率の高いものが使用されるようになり、比抵抗の低い電解液が要求されている。
特公平7−48459号公報(第1−4頁)
特公平7−48460号公報(第1−3頁)
特公平7−63047号公報(第1−4頁)
しかしながら、従来の電解液で低比抵抗のものを得るには、電解質の濃度を高くするか、水を多量に添加しなければならないため、以下の問題点がある。まず、電解質の濃度を高めた場合には電解質の析出や耐電圧低下などを起こす。また、水を多量に添加した場合、電解コンデンサの高温無負荷時の漏れ電流が増大するため、105℃での使用が困難であるなど、信頼性が低下する。
上記問題点に鑑みて、本発明の課題は、比抵抗が低く、かつ、高温下での安定性にも優れたアルミニウム電解コンデンサの駆動用電解液を提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決するため各種検討した結果、見出されたものであり、電解液にジノルマルブトキシアルミニウムモノエチルアセトアセテートを添加して高温下での電極箔と水との水和反応を抑制することにより、比抵抗を下げても、高温無負荷での信頼性に優れた電解液を提供するものである。
すなわち、本発明を適用したアルミニウム電解コンデンサの駆動用電解液では、エチレングリコールと水とを混合した溶媒に、少なくとも、高級二塩基酸またはその塩と、以下の化学式で表されるジノルマルブトキシアルミニウムモノエチルアセトアセテートとを配合したことを特徴とする。
本発明において、ジノルマルブトキシアルミニウムモノエチルアセトアセテートの配合量は、電解液全体に対して0.1〜1.0wt%であることが好ましい。0.1wt%未満では、漏れ電流の増大を抑える効果が小さく、1.0wt%を超えると比抵抗が高くなる傾向にある。
また、水の配合量は、電解液全体に対して2.0〜10.0wt%であることが好ましい。2.0wt%未満では比抵抗がやや高く、10.0wt%を超えると、高温無負荷試験において漏れ電流の増大やばらつきが大きくなる傾向にある。
本発明において、上記高級二塩基酸としては、アゼライン酸、セバシン酸、1,6−デカンジカルボン酸、5,6−デカンジカルボン酸、7−ビニルヘキサデセン−1,16−ジカルボン酸等を例示することができる。
高級二塩基酸の塩としては、アンモニウム塩の他、メチルアミン、エチルアミン、t−ブチルアミン等の一級アミン塩、ジメチルアミン、エチルメチルアミン、ジエチルアミン等のニ級アミン塩、トリメチルアミン、ジエチルメチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエチルアミン等の三級アミン塩、テトラメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム等の四級アンモニウム塩等を例示することができる。
なお、上記の電解液には、漏れ電流の低減、耐電圧向上、ガス吸収等の目的で種々の添加剤を加えることができる。添加剤の例として、リン酸化合物、ホウ酸化合物、多価アルコール類、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールのランダム共重合体及びブロック共重合体に代表される高分子化合物、ニトロ化合物等が挙げられる。
本発明に係る電解液において、ジノルマルブトキシアルミニウムモノエチルアセトアセテートは、エチレングリコールと水との混合溶媒に容易に溶解し、水を含有しても高温下での安定性に優れている。このため、電解コンデンサの損失低減などの特性改善、および信頼性向上を図ることができる。
本発明を適用したアルミニウム電解コンデンサの駆動用電解液は、エチレングリコールと水とを混合した溶媒に、少なくとも、高級二塩基酸またはその塩と、上記の化学式で表されるジノルマルブトキシアルミニウムモノエチルアセトアセテートとを配合したものであり、後述するように、比抵抗を低減しても、高温下での安定性に優れている。ここで、ジノルマルブトキシアルミニウムモノエチルアセトアセテートの配合量は、電解液全体に対して0.1〜1.0wt%であることが好ましい。また、水の配合量は、電解液全体に対して2.0〜10.0wt%であることが好ましい。
本発明に係る電解液において、ジノルマルブトキシアルミニウムモノエチルアセトアセテートが電極箔表面に吸着する。このため、水の配合量を増やしても105℃の高温下での水と電極箔との水和反応を抑制できるので、高温無負荷時の漏れ電流増大を抑制することができる。
また、水の配合量を増やして比抵抗を低減できるため、電解質の配合量を増やす必要がないので、耐電圧を低下させることもない。
また、水の配合量を増やして比抵抗を低減できるため、電解質の配合量を増やす必要がないので、耐電圧を低下させることもない。
以下、実施例に基づき本発明をより具体的に説明する。まず、表1、2に示す組成で電解液を調合した後、30℃における比抵抗を測定した。その結果を表1、2に示す。
次に、表1、2に示す電解液を使用して、定格400V−22μF(φ16×25mmL)のアルミニウム電解コンデンサを各10個作製し、tanδ、漏れ電流等の初期特性測定後、高温無負荷試験(105℃、3000時間放置)を行ったので、その結果を表3に示す。
表1、2、3から分かるように、ジノルマルブトキシアルミニウムモノエチルアセトアセテートを添加しなかった従来例1〜3と比較して、本発明の実施例1〜12に係る電解液を用いたアルミニウム電解コンデンサは、電解液の比抵抗が低い分、損失(tanδ)が低く、かつ、高温無負荷試験においても漏れ電流の増大が小さいなど、優れた特性を示している。
本発明に係る電解液において、ジノルマルブトキシアルミニウムモノエチルアセトアセテートの添加量は、電解液全体に対して0.1wt%未満では、漏れ電流の増大を抑える効果が小さい(実施例2参照)。また、実施例6、7を比較すれば分かるように、1.0wt%を超えると比抵抗が高くなる傾向にある。
従って、ジノルマルブトキシアルミニウムモノエチルアセトアセテートの添加量は、電解液全体に対して0.1〜1.0wt%の範囲が好ましい。
従って、ジノルマルブトキシアルミニウムモノエチルアセトアセテートの添加量は、電解液全体に対して0.1〜1.0wt%の範囲が好ましい。
また、本発明に係る電解液において、水の配合量は、電解液全体に対して2.0wt%未満では比抵抗がやや高い(実施例8参照)。また、10.0wt%を超えると、高温無負荷試験において漏れ電流が増大する傾向にあり(実施例9参照)、特性値のばらつきも大きくなる傾向にあった。それ故、水の配合量は、電解液全体に対して2.0〜10.0wt%であることが好ましい。
なお、ジノルマルブトキシアルミニウムモノエチルアセトアセテートを配合した効果は、上記実施例に限定されるものではなく、先に記載した各種化合物などを単独または複数配合した電解液に用いても実施例と同等の効果があった。
Claims (3)
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JP2004345211A JP2006156709A (ja) | 2004-11-30 | 2004-11-30 | アルミニウム電解コンデンサの駆動用電解液 |
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Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH05243095A (ja) * | 1992-03-02 | 1993-09-21 | Nichicon Corp | 電解コンデンサの電解液 |
JPH06176974A (ja) * | 1992-12-02 | 1994-06-24 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 電解コンデンサ駆動用電解液およびそれを用いた電解コンデンサ |
JPH06196093A (ja) * | 1992-12-25 | 1994-07-15 | Hokuriku Toryo Kk | ガス放電パネル用蛍光体層の製造方法 |
JP2000318305A (ja) * | 1999-05-17 | 2000-11-21 | Minolta Co Ltd | 記録シート |
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2004
- 2004-11-30 JP JP2004345211A patent/JP2006156709A/ja active Pending
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