JP2006156707A - 電解コンデンサの駆動用電解液 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、電解コンデンサの駆動用電解液(以下、電解液と称す)に関するものである。さらに詳しくは、電解コンデンサの損失(tanδ)を安定化させるための組成に関するものである。
従来、アルミニウム電解コンデンサの電解液には、エチレングリコ−ルを主成分とする溶媒に、カルボン酸や硼酸またはそれらのアンモニウム塩を溶解し、さらに電極箔の耐水性を向上させるオルトリン酸等の添加剤により、信頼性試験などにおけるtanδ増加を抑制した電解液が使用されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特公平7−48459号公報(第1−4頁)
特公平7−48460号公報(第1−3頁)
特公平7−63047号公報(第1−4頁)
しかしながら、オルトリン酸は強酸であるため電極箔に対しての作用が大きいので、多量の添加は大きな耐電圧降下をもたらす。このため、オルトリン酸は、信頼性試験などにおける損失(tanδ)増加を確実に防止するのに十分な量を配合することができないという問題点がある。
以上の問題点に鑑みて、耐電圧を低下させることなく、tanδ変化を抑えることのできる電解コンデンサの駆動用電解液を提供することにある。
本発明は、上記の課題を解決するために各種検討した結果、見出されたものであり、酸化防止剤として効果を有するm−ニトロ−p−トルイジンが電極箔の耐水性を向上させることにより、tanδ変化率を安定化させようとするものである。
すなわち、本発明の電解コンデンサの駆動用電解液は、エチレングリコ−ルを主成分とする溶媒に、少なくとも、カルボン酸またはその塩と、ホウ酸またはそのアンモニウム塩と、以下の化学式で示されるm−ニトロ−p−トルイジンとを配合したことを特徴とする。
本発明において、m−ニトロ−p−トルイジンの配合量は、0.10〜5.0重量%であることが好ましい。0.10重量%未満ではtanδ変化を安定化させる効果が小さく、5.0重量%を超えると、比抵抗が高くなる傾向にある。
本発明において、上記カルボキシル基を有する酸としては、アゼライン酸の他、ギ酸、酢酸、アクリル酸、プロピオン酸、乳酸、酪酸、吉草酸、グルコン酸、安息香酸、p−ニトロ安息香酸、アントラニル酸、サリチル酸、ゲンチシン酸、没食子酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、シュウ酸、トルトロン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、リンゴ酸、酒石酸、フタル酸、ボロジサリチル酸、クエン酸、ピロメリト酸、ナフトエ酸等が挙げられる。
また、上記カルボキシル基を有する酸の塩として、アンモニウム塩の他、モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノエタノ−ルアミン、イソプロピルアミン、n−プロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジエタノ−ルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノ−ルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジメチルエチルアミン、ナフタレンジアミン、ベンジルアミン等の塩が挙げられる。
エチレングリコ−ルに混合する副溶媒としては、水の他、プロピレングリコ−ル等のグリコ−ル類、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン等のラクトン類、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックアミド等のアミド類、エチレンカ−ボネ−ト、プロピレンカ−ボネ−ト、イソブチレンカ−ボネ−ト等の炭酸類、アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルスルホキシド等のオキシド類、エ−テル類、ケトン類、エステル類等を例示することができる。
本発明の電解コンデンサの駆動用電解液において、m−ニトロ−p−トルイジンは電極箔への作用が緩慢である。このため、耐電圧低下がほとんど無いので、多量に溶解させることができるので、m−ニトロ−p−トルイジンの電極箔の保護効果を最大限発揮させることができる。
それ故、本発明の電解液を用いた電解コンデンサにおいては、長期間にわたってtanδ変化を抑えることができる。
それ故、本発明の電解液を用いた電解コンデンサにおいては、長期間にわたってtanδ変化を抑えることができる。
本発明の電解コンデンサの駆動用電解液は、エチレングリコ−ルを主成分とする溶媒に、少なくとも、アゼライン酸やアジピン酸などのカルボン酸またはその塩と、ホウ酸またはそのアンモニウム塩と、以下の化学式で示されるm−ニトロ−p−トルイジンとを配合したものであり、後述するように、耐電圧低下がほとんど無く、かつ、長期間にわたってtanδ変化を抑える。
ここで、m−ニトロ−p−トルイジンの配合量は、0.10〜5.0重量%であることが好ましい。
ここで、m−ニトロ−p−トルイジンの配合量は、0.10〜5.0重量%であることが好ましい。
以下、実施例に基づき本発明を適用したアルミニウム電解コンデンサの駆動用電解液をより具体的に説明する。まず、表1に示す組成で電解液を調合し、30℃における比抵抗を測定するとともに、これらの電解液を用いてアルミニウム電解コンデンサ(250WV−68μF:φ16x25L)を製作し、105℃−7000時間までの信頼性試験を行った。その結果を表1に示す。
なお、表1において、「*1」は、アルミニウム電解コンデンサの製造工程で行うエージング時にショートパンクが発生したことを表し、「*2」は、高温印加試験中にショートパンクが発生したことを表している。また、「作動」とは防爆弁が作用したことを表している。
なお、表1において、「*1」は、アルミニウム電解コンデンサの製造工程で行うエージング時にショートパンクが発生したことを表し、「*2」は、高温印加試験中にショートパンクが発生したことを表している。また、「作動」とは防爆弁が作用したことを表している。
表1より分かるように、m−ニトロ−p−トルイジンを配合した実施例に係る電解液を用いたアルミニウム電解コンデンサは、o−リン酸を溶解させた従来例より多量に溶解させた場合においても信頼性試験においてショ−トパンクが発生していない。
また、m−ニトロ−p−トルイジンはo−リン酸よりも多量に溶解させることができるため、電極箔の耐水性を向上させる効果が大きいので、実施例に係る電解液を用いたアルミニウム電解コンデンサは、長期間にわたってtanδ変化が抑制されている。
さらに、m−ニトロ−p−トルイジンの配合量は、0.05重量%ではtanδ変化を安定化させる効果が小さく(実施例1を参照)、7.0重量%では比抵抗が高くなりすぎる(実施例12を参照)。従って、m−ニトロ−p−トルイジンの配合量は、電解液全体に対して0.10〜5.0重量%の範囲が好ましい。
なお、m−ニトロ−p−トルイジンを溶解させた効果は、実施例に限定されるものではなく、先に記載した各種化合物を単独または複数溶解した電解液に用いても実施例と同等の効果があった。
Claims (2)
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JP2004345209A JP2006156707A (ja) | 2004-11-30 | 2004-11-30 | 電解コンデンサの駆動用電解液 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014524159A (ja) * | 2012-08-06 | 2014-09-18 | シェンズェン カプチェム テクノロジー カンパニー リミテッド | アルミニウム電解コンデンサ電解液及びアルミニウム電解コンデンサ |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH0370116A (ja) * | 1989-08-09 | 1991-03-26 | Rubikon Kk | 電解コンデンサ駆動用電解液 |
JPH03109710A (ja) * | 1989-09-25 | 1991-05-09 | Elna Co Ltd | 電解コンデンサ駆動用電解液 |
JP2003068584A (ja) * | 2001-08-29 | 2003-03-07 | Nichicon Corp | 電解コンデンサの駆動用電解液 |
JP2003197479A (ja) * | 2001-12-28 | 2003-07-11 | Rubycon Corp | 電解コンデンサおよび電解コンデンサ駆動用電解液 |
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2004
- 2004-11-30 JP JP2004345209A patent/JP2006156707A/ja active Pending
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