JP2009054691A - 電解コンデンサの駆動用電解液 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐電圧を低下させることなく、漏れ電流の増大を長期間にわたって低く抑えることのできる電解コンデンサの駆動用電解液を提供する。
【解決手段】電解コンデンサにおいて、駆動用電解液は、エチレングリコールを主成分とする溶媒に、アゼライン酸、アジピン酸等の有機カルボン酸またはアンモニウム塩、ジメチルアミン塩等の塩と、ホウ酸またはそのアンモニウム塩と、3−イソクロマノンとを配合する。3−イソクロマノンの配合量は電解液全体に対して0.5〜3.0重量%である。
【選択図】なし
【解決手段】電解コンデンサにおいて、駆動用電解液は、エチレングリコールを主成分とする溶媒に、アゼライン酸、アジピン酸等の有機カルボン酸またはアンモニウム塩、ジメチルアミン塩等の塩と、ホウ酸またはそのアンモニウム塩と、3−イソクロマノンとを配合する。3−イソクロマノンの配合量は電解液全体に対して0.5〜3.0重量%である。
【選択図】なし
Description
本発明は、電解コンデンサの駆動用電解液(以下、電解液と称す)に関するものである。
従来、アルミニウム電解コンデンサの漏れ電流の増大を抑制する電解液として、エチレングリコールを主成分とする溶媒に、アゼライン酸と、ホウ酸またはそのアンモニウム塩とを溶解した電解液にリン酸を添加した電解液が提案されている(例えば特許文献1〜3参照)。
特公平7−48459号公報(第1−4頁)
特公平7−48460号公報(第1−3頁)
特公平7−63047号公報(第1−4頁)
近年、電子機器の小形化に伴いアルミニウム電解コンデンサの使用環境が厳しくなり、高温でも長期間にわたって初期の電気特性を維持することが求められている。しかしながら、従来、アルミニウム電解コンデンサの漏れ電流の増大を抑制するために電解液に添加されているリン酸は、その添加量に比例して電解液の耐電圧が低下するという問題がある。また、リン酸の配合量が少ないと、アルミニウム電解コンデンサの漏れ電流の増大を短期間しか抑制することができないという問題点もある。
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、耐電圧を低下させることなく、漏れ電流の増大を長期間にわたって低く抑えることのできる電解液を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するために各種検討した結果見出されたものであり、3−イソクロマノンに還元作用があることに着目し、3−イソクロマノンが酸化されて陽極酸化皮膜に吸着し、陽極酸化皮膜を保護することにより、アルミニウム電解コンデンサの漏れ電流上昇を抑制できることを見出し、電解液に適用したものである。
すなわち、本発明に係る電解液では、エチレングリコールを主成分とする溶媒に、少なくとも以下の化学式で示される3−イソクロマノンとが配合されていることを特徴とする。
本発明において、3−イソクロマノンの配合量が、電解液全体に対して0.5〜3.0重量%であることが好ましい。
本発明には、有機カルボン酸またはその塩、ホウ酸またはそのアンモニウム塩、その他耐洗浄向上のためにニトロ化合物、耐電圧向上のための多価アルコールや高分子化合物等公知の溶液を用いることができる。
有機カルボン酸としては、アゼライン酸の他、ギ酸、酢酸、アクリル酸、プロピオン酸、乳酸、酪酸、吉草酸、グルコン酸、安息香酸、p−ニトロ安息香酸、アントラニル酸、サリチル酸、ゲンチシン酸、没食子酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、シュウ酸、トルトロン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、リンゴ酸、酒石酸、フタル酸、ボロジサリチル酸、クエン酸、ピロメリト酸、ナフトエ酸等が挙げられる。
有機カルボン酸の塩としては、アンモニウム塩の他、モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノエタノールアミン、イソプロピルアミン、n−プロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジメチルエチルアミン、ナフタレンジアミン、ベンジルアミン等の塩が挙げられる。
本発明において、エチレングリコールに混合する副溶媒としては、水の他、プロピレングリコール等のグリコール類、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン等のラクトン類、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックアミド等のアミド類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、イソブチレンカーボネート等の炭酸類、アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルスルホキシド等のオキシド類、エーテル類、ケトン類、エステル類、スルホラン類等を例示することができる。
本発明に係る電解液で用いた3−イソクロマノンは、電解液に添加した場合の耐電圧低下がリン酸より緩慢であるため、例えば、3.0重量%までの配合が可能となる。従って、電解コンデンサにおいて、耐電圧を低下させることなく、漏れ電流の増大を長期間にわたって低く抑えることができる。
本発明に係る電解液では、エチレングリコールを主成分とする溶媒に、少なくとも、有機カルボン酸またはその塩と、ホウ酸またはそのアンモニウム塩と、3−イソクロマノンとが配合されていることを特徴とする。ここで、3−イソクロマノンの配合量は、電解液全体に対して0.1〜5.0重量%であることが好ましく、さらに、0.5〜3.0重量%であることが好ましい。
[実施例]
以下、実施例に基づき本発明をより具体的に説明する。表1、2に示す組成で電解液を調合し、85℃における電解液の火花発生電圧(耐電圧)を測定した。そして、陽極箔と陰極箔とを電解紙を介して巻回したコンデンサ素子に電解液を含浸し、定格電圧160V/150μF(φ18×25mmL)の電解コンデンサを作製し、定格電圧でエージング処理を行った。次に、105℃にて無負荷放置試験を行い、漏れ電流を測定した。その結果を表1、2に示す。
以下、実施例に基づき本発明をより具体的に説明する。表1、2に示す組成で電解液を調合し、85℃における電解液の火花発生電圧(耐電圧)を測定した。そして、陽極箔と陰極箔とを電解紙を介して巻回したコンデンサ素子に電解液を含浸し、定格電圧160V/150μF(φ18×25mmL)の電解コンデンサを作製し、定格電圧でエージング処理を行った。次に、105℃にて無負荷放置試験を行い、漏れ電流を測定した。その結果を表1、2に示す。
表1、2に示す結果から分かるように、3−イソクロマノンを配合した本発明の実施例1〜19では、リン酸を添加した従来例1に比較して、電解液の耐電圧低下を抑制しながら、電解コンデンサの無負荷放置試験における漏れ電流の増大を抑制することができる。なお、リン酸を3.0重量%添加した従来例2では、電解液の耐電圧が低下したうえ、エージング処理中にショートパンクが5%発生したが、実施例1〜19ではショートパンクは発生しなかった。
ここで、3−イソクロマノンの配合量は、0.1重量%では長時間の信頼性保証を求められる用途には不適であり(実施例1)、4.0重量%以上では耐電圧が低下する傾向にあり、過電圧が印加される用途に不適である(実施例6)。従って、本発明に係る電解液における3−イソクロマノンの配合量は、電解液全体に対して0.5〜3.0重量%の範囲が好ましい。
なお、本発明による3−イソクロマノンの効果は、上記の実施例に限定されるものではなく、先に記載した各種化合物を単独または複数配合した電解液や、水以外の副溶媒を混合した電解液に用いても実施例と同等の効果があった。
また、本実施例として有機カルボン酸、ホウ酸とともに、アンモニア水、ジエチルアミン水、トリエチルアミン水を混合しているが、有機カルボン酸のアンモニウム塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ホウ酸アンモニウム塩を用いても同等である。
Claims (2)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007218277A JP2009054691A (ja) | 2007-08-24 | 2007-08-24 | 電解コンデンサの駆動用電解液 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007218277A JP2009054691A (ja) | 2007-08-24 | 2007-08-24 | 電解コンデンサの駆動用電解液 |
Publications (1)
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JP2009054691A true JP2009054691A (ja) | 2009-03-12 |
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ID=40505531
Family Applications (1)
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JP2007218277A Pending JP2009054691A (ja) | 2007-08-24 | 2007-08-24 | 電解コンデンサの駆動用電解液 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009054691A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012084568A (ja) * | 2010-10-06 | 2012-04-26 | Nippon Chemicon Corp | アルミニウム電解コンデンサ用電解液及びアルミニウム電解コンデンサ |
-
2007
- 2007-08-24 JP JP2007218277A patent/JP2009054691A/ja active Pending
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JP2012084568A (ja) * | 2010-10-06 | 2012-04-26 | Nippon Chemicon Corp | アルミニウム電解コンデンサ用電解液及びアルミニウム電解コンデンサ |
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