JP2007129112A - 電解コンデンサの駆動用電解液 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、電解コンデンサの駆動用電解液(以下、電解液と称す)の改良に関するものである。
従来、電解コンデンサでは、エチレングリコールを主成分とする溶媒にカルボン酸やホウ酸、またはそれらのアンモニウム塩を配合し、さらに電極箔と電解液中の水分との反応を抑えることを目的にオルトリン酸や多価アルコール等の添加剤を配合した電解液が用いられている(例えば特許文献1〜3参照)。
特公平7−48459号公報(第1−4頁)
特公平7−48460号公報(第1−3頁)
特公平7−63047号公報(第1−4頁)
しかしながら、オルトリン酸は強酸であるため、電極箔に対する作用が強過ぎ、多量の添加は電解液の耐電圧を低下させる。従って、オルトリン酸は、電解液にごく僅かしか配合できないため、電極箔と電解液中の水分との反応を長期間にわたって十分に抑制することができないという問題がある。
以上の問題に鑑みて、本発明の課題は、高い耐電圧を確保でき、かつ、電極箔と電解液中の水分との反応を長期間にわたって抑制することによりtanδの上昇を抑えることのできる電解液を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するために各種検討した結果見出されたものであり、リン酸トリクレシルは、電解液に添加した際の電極箔への作用がオルトリン酸より緩慢であり、電解液の耐電圧が大きく低下しないという知見を得た。
従って、電極箔と電解液中の水分との反応を長期間にわたって抑制するのに十分な量を配合できるので、信頼性試験におけるtanδの上昇を抑えることができる。
すなわち、本発明では、エチレングリコールを主成分とする溶媒に、有機カルボン酸およびホウ酸のうちの少なくとも一方が酸または塩として配合された電解コンデンサの駆動用電解液において、さらに、以下の化学式で示されるリン酸トリクレシルが配合されていることを特徴とする。
従って、電極箔と電解液中の水分との反応を長期間にわたって抑制するのに十分な量を配合できるので、信頼性試験におけるtanδの上昇を抑えることができる。
すなわち、本発明では、エチレングリコールを主成分とする溶媒に、有機カルボン酸およびホウ酸のうちの少なくとも一方が酸または塩として配合された電解コンデンサの駆動用電解液において、さらに、以下の化学式で示されるリン酸トリクレシルが配合されていることを特徴とする。
本発明において、比抵抗が低く、かつ、耐電圧の高い電解液を構成する場合には、有機カルボン酸およびホウ酸の双方が酸または塩として配合されていることが好ましい。
本発明において、リン酸トリクレシルの配合量は、電解液全体に対して0.1〜5.0重量%であることが好ましい。リン酸トリクレシルの配合量が、電解液全体に対して0.1重量%未満のときは、長期間にわたって高い信頼性が求められる用途には不適であり、5.0重量%を超えると、電解液の比抵抗が上昇するため、リン酸トリクレシルの配合量は、電解液全体に対して0.1〜5.0重量%の範囲が好ましい。
本発明において、上記有機カルボン酸としては、アゼライン酸の他、ギ酸、酢酸、アクリル酸、プロピオン酸、乳酸、酪酸、吉草酸、グルコン酸、安息香酸、p−ニトロ安息香酸、アントラニル酸、サリチル酸、ゲンチシン酸、没食子酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、シュウ酸、トルトロン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、リンゴ酸、酒石酸、フタル酸、ボロジサリチル酸、クエン酸、ピロメリト酸、ナフトエ酸等が挙げられる。
また、有機カルボン酸やホウ酸の塩として、アンモニウム塩の他、モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノエタノールアミン、イソプロピルアミン、n−プロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジメチルエチルアミン、ナフタレンジアミン、ベンジルアミン等の塩が挙げられる。
本発明において、エチレングリコールに混合する副溶媒としては、水の他、プロピレングリコール等のグリコール類、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン等のラクトン類、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックアミド等のアミド類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、イソブチレンカーボネート等の炭酸類、アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルスルホキシド等のオキシド類、エーテル類、ケトン類、エステル類、スルホラン類等を例示することができる。
本発明を適用した電解液において、リン酸トリクレシルは、電解液に添加した際の電解液の耐電圧低下がリン酸より緩慢であるため、例えば、5.0重量%までの添加が可能である。すなわち、リン酸トリクレシルは、電極箔と電解液中の水分との反応を長期間にわたって抑制するのに十分な量を配合できるので、信頼性試験におけるtanδの上昇を抑えることができる。
本発明に係る電解液では、エチレングリコールを主成分とする溶媒に、有機カルボン酸およびホウ酸のうちの少なくとも一方が酸または塩として配合され、さらに、リン酸トリクレシルが配合されていることを特徴とする。ここで、有機カルボン酸およびホウ酸の双方が酸または塩として配合される場合もある。また、リン酸トリクレシルの配合量は、例えば、0.1〜5.0重量%である。
このような電解液においては、リン酸トリクレシルを添加した際の電解液の耐電圧低下がリン酸より緩慢であるため、例えば、5.0重量%まで添加しても、定格電圧の高い電解コンデンサに使用できる。すなわち、リン酸トリクレシルは、電極箔と電解液中の水分との反応を長期間にわたって抑制するのに十分な量を配合できるので、信頼性試験におけるtanδの上昇を抑えることができる。
以下、実施例に基づき、本発明をより具体的に説明する。まず、表1に示す組成で電解液を調合し、30℃における比抵抗を測定した。その結果を表1に示す。
また、陽極箔と陰極箔とを電解紙を介して巻回したコンデンサ素子に、表1に示す組成の電解液をそれぞれ含浸し、定格電圧250V/68μF(φ16×25mmL)の電解コンデンサを各20個作製した。次に、定格電圧でエージング処理を行った後、105℃−7000時間、定格電圧印加試験を行い、各時間におけるtanδを計測した。その結果を表1に示す。
表1に示すように、オルトリン酸を0.5重量%、1.0重量%添加した電解液(従来例4、5)を用いた場合には、エージング中または定格電圧印加試験中にショートパンクが発生したのに対して、実施例1〜13に係る電解液を用いた場合、このようなショートパンクは発生しなかった。
ここで、リン酸トリクレシルの配合量は、電解液全体に対して0.1重量%未満のときは(例えば、配合量が0.05重量%の実施例1)、信頼性試験中のtanδの増加が大きい傾向にあり、長期間にわたって高い信頼性が求められる用途には不適である。また、リン酸トリクレシルの配合量が5.0重量%を超えると(例えば、配合量が7.0%の実施例11)、電解液の比抵抗が高く、初期のtanδが高い傾向にある。従って、リン酸トリクレシルの配合量は、電解液全体に対して0.1〜5.0重量%の範囲が好ましい。
なお、本発明によるリン酸トリクレシルの効果は、実施例に限定されるものではなく、先に記載した各種化合物を単独または複数溶解した電解液や、副溶媒を混合した電解液に用いても実施例と同等の効果があった。また、有機カルボン酸およびホウ酸のうちのいずれか一方が酸または塩として配合された電解液においても、同様の効果があった。
Claims (3)
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JP2005321644A JP2007129112A (ja) | 2005-11-05 | 2005-11-05 | 電解コンデンサの駆動用電解液 |
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Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH11297573A (ja) * | 1998-04-13 | 1999-10-29 | Sanyo Chem Ind Ltd | 電解液およびそれを用いた電気化学素子 |
JP2004349273A (ja) * | 2003-04-11 | 2004-12-09 | Bridgestone Corp | 非水電解液及びそれを備えた電気二重層キャパシタ |
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2005
- 2005-11-05 JP JP2005321644A patent/JP2007129112A/ja active Pending
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