JP4571021B2 - 電解コンデンサの駆動用電解液 - Google Patents

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Description

本発明は、電解コンデンサの駆動用電解液(以下、電解液と称す)の改良に関するものである。
アルミニウム電解コンデンサについては、高温下で長期間にわたって無負荷放置された場合でも、漏れ電流が大幅に増大しないことが求められており、このような要求に対応するための電解液としては、従来、エチレングリコールを主成分とする溶媒に、アゼライン酸などの有機カルボン酸またはその塩と、ホウ酸またはその塩とを配合し、さらにリン酸を添加した電解液が提案されている(例えば特許文献1〜3参照)。
特公平7−48459号公報(第1−4頁) 特公平7−48460号公報(第1−3頁) 特公平7−63047号公報(第1−4頁)
しかしながら、リン酸は、その添加量に比例して電解液の耐電圧が低下するという問題点がある一方、添加量が少ないと、短期間はアルミニウム電解コンデンサの漏れ電流の増大を抑制できるが、長期間にわたって漏れ電流の増大を抑制することはできないという問題点がある。
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、高い耐電圧を発揮するとともに、漏れ電流の増大を長期間にわたって抑制することが可能な電解液を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明は、エチレングリコールを主成分とする溶媒に、有機カルボン酸およびホウ酸のうちの少なくとも一方が酸または塩として配合された電解コンデンサの駆動用電解液において、以下の化学式で示されるテルピニルアセテートが配合されていることを特徴とする。
Figure 0004571021
本発明において、前記有機カルボン酸およびホウ酸の双方が酸または塩として配合されている構成を採用してもよい。
本発明において、テルピニルアセテートの配合量は、電解液全体に対して0.10〜5.0重量%であることが好ましい。テルピニルアセテートの配合量が、電解液全体に対して0.10重量%未満のときは、長期間にわたって高い信頼性が求められる用途には不適であり、5.0重量%を超えると、耐電圧が低下するため、過電圧が印加される用途には不適である。従って、テルピニルアセテートの配合量は、電解液全体に対して0.10〜5.0重量%の範囲が好ましい。
本発明において、エチレングリコールに混合する副溶媒としては、水の他、プロピレングリコール等のグリコール類、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン等のラクトン類、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックアミド等のアミド類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、イソブチレンカーボネート等の炭酸類、アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルスルホキシド等のオキシド類、エーテル類、ケトン類、エステル類、スルホラン類等を例示することができる。
また、上記有機カルボン酸として、アゼライン酸の他、ギ酸、酢酸、アクリル酸、プロピオン酸、乳酸、酪酸、吉草酸、グルコン酸、安息香酸、p−ニトロ安息香酸、アントラニル酸、サリチル酸、ゲンチシン酸、没食子酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、シュウ酸、トルトロン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、リンゴ酸、酒石酸、フタル酸、ボロジサリチル酸、クエン酸、ピロメリト酸、ナフトエ酸等が挙げられる。
また、有機カルボン酸の塩として、アンモニウム塩の他、モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノエタノールアミン、イソプロピルアミン、n−プロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジメチルエチルアミン、ナフタレンジアミン、ベンジルアミン等の塩が挙げられる。
本発明を適用した電解液において、テルピニルアセテートの添加による電解液の耐電圧低下は、リン酸より緩慢であるため、5.0重量%までの添加が可能である。
また、テルピニルアセテートは、アルミニウム電解コンデンサを高温下で無負荷状態に放置した場合における漏れ電流の増大を抑制する。その理由としては、テルピニルアセテートは、還元作用を備えており、アルミニウム陽極側で酸化して陽極酸化皮膜に吸着し、陽極酸化皮膜を保護するためと考えられる。それ故、本発明によれば、高い耐電圧を発揮するとともに、漏れ電流の増大を長期間にわたって抑制することが可能な電解液を提供することができる。
以下、実施例に基づき、本発明をより具体的に説明する。まず、表1および表2に示す組成で電解液を調合し、85℃における電解液の火花発生電圧(耐電圧)を測定した。その結果を表1および表2に示す。
また、アルミニウム陽極箔とアルミニウム陰極箔とを電解紙を介して巻回したコンデンサ素子に、表1および表2に示す組成の電解液をそれぞれ含浸し、定格電圧160V/150μF(φ18×25mmL)のアルミニウム電解コンデンサを作製した。次に、定格電圧でエージング処理を行った後、105℃−無負荷放置試験を行い、各時間における漏れ電流を計測した。その結果を表1および表2に示す。
Figure 0004571021
Figure 0004571021
表1および表2より明らかなように、テルピニルアセテートを配合した本発明の実施例1〜22に係る電解液は、リン酸を添加した従来例1に係る電解液より、電解液の耐電圧低下が小さい。
また、本発明の実施例1〜22に係る電解液によれば、アルミニウム電解コンデンサを無負荷放置した場合の漏れ電流の増大が抑制されていることが分かる。
なお、リン酸を3.0重量%添加した電解液(従来例2)を用いた場合には、耐電圧が低下し、エージング処理でショートパンクが5%発生した。これに対して、実施例1〜22に係る電解液を用いた場合、このようなショートパンクは発生しなかった。
ここで、テルピニルアセテートの配合量は、電解液全体に対して0.10重量%未満のとき(実施例1)は、漏れ電流の増大が大きくなる傾向にあり、長期間にわたって高い信頼性が求められる用途には不適である。また、配合量が5.0重量%を超える(実施例8)と、耐電圧が低下するため、過電圧が印加される用途には不適である。従って、テルピニルアセテートの配合量は、電解液全体に対して0.10〜5.0重量%の範囲が好ましい。
なお、本発明によるテルピニルアセテートの効果は、実施例に限定されるものではなく、先に記載した各種化合物を単独または複数溶解した電解液や副溶媒を混合した電解液に用いても実施例と同等の効果があった。また、有機カルボン酸およびホウ酸のうちのいずれか一方が酸または塩として配合された電解液においても、同様の効果があった。

Claims (3)

  1. エチレングリコールを主成分とする溶媒に、有機カルボン酸およびホウ酸のうちの少なくとも一方が酸または塩として配合された電解コンデンサの駆動用電解液において、
    以下の化学式で示されるテルピニルアセテートが配合されていることを特徴とする電解コンデンサの駆動用電解液。
    Figure 0004571021
  2. 請求項1記載の有機カルボン酸およびホウ酸の双方が酸または塩として配合されていることを特徴とする電解コンデンサの駆動用電解液。
  3. 請求項1または請求項2記載のテルピニルアセテートの配合量が、電解液全体に対して0.10〜5.0重量%であることを特徴とする電解コンデンサの駆動用電解液。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003282162A (ja) * 2002-03-22 2003-10-03 Toto Ltd 金属酸化物半導体分散液組成物およびそれを用いた色素増感型光半導体電極

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