JP2006155999A - プロトン伝導性電解質膜およびその製造法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 低湿度下において、低温から高温まで使用可能な優れたプロトン伝導性電解質膜とその製造法を提供する。
【解決手段】 スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)と金属−酸素結合を有する無機酸化物(B)を含有するプロトン伝導性電解質膜。スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)を含有する有機溶媒中において金属−酸素結合を有する無機酸化物(B)をゾル−ゲル法により合成する前記プロトン伝導性電解質膜の製造法。
【選択図】 なし
【解決手段】 スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)と金属−酸素結合を有する無機酸化物(B)を含有するプロトン伝導性電解質膜。スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)を含有する有機溶媒中において金属−酸素結合を有する無機酸化物(B)をゾル−ゲル法により合成する前記プロトン伝導性電解質膜の製造法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、プロトン伝導性電解質膜に関するものであり、さらに詳しくは耐熱性に優れ、低温から高温領域において優れた電池性能を示す燃料電池用電解質膜に関する。
近年、燃料電池は、発電効率が高くかつ環境性に優れているため、社会的に大きな課題となっている環境問題やエネルギー問題の解決に貢献できる次世代の発電システムとして注目されている。このような燃料電池は家庭や事業所など固定設備、自動車などの移動設備などにおける使用を目的に本格的に研究開発が行われている。燃料電池は使用する電解質によって分類され、アルカリ電解質型、固体高分子型、リン酸型、溶融炭酸塩型、固体電解質型などに分けられる。固体高分子型燃料電池(PEFC)では、水素と酸素を燃料として使用するものが主流となっており、主な用途は自動車用及び定置型発電用である。また、最近では燃料として水素の代わりにメタノールを用いる直接メタノール型燃料電池が提案され、リチウム二次電池に代わる携帯機器用高容量電池として期待され、活発に研究されている。
固体高分子型燃料電池用電解質膜の重要な機能は、正極触媒電極に供給される燃料(水素、メタノール水溶液等)と負極に供給される酸化剤ガス(酸素など)を物理的に絶縁すること、正極と負極を電気的に絶縁すること、及び正極上で生じるプロトンを負極に伝達することである。これらの機能を満たすためには、ある程度の機械的強度と高いプロトン伝導性が要求される。
固体高分子型燃料電池用電解質膜には、一般的にナフィオン(登録商標)に代表されるスルホン酸基含有パーフルオロカーボン重合体が用いられている。これらの電解質膜はイオン伝導度に優れ、機械的強度も比較的高いものであるが、以下のような改善すべき点がある。すなわち、これらの電解質膜では膜に含まれる水とスルホン酸基により生成したクラスターチャンネルの中で水を介してプロトンが伝導するため、イオン伝導度が電池使用環境の湿度による膜含水率に大きく依存する。フッ素系膜自体が130℃近辺にガラス転移温度(Tg)を有し、それよりも高い温度領域にすると、プロトン伝導に寄与しているイオンチャネル構造が破壊されてしまうため、通常は、室温から80℃程度の比較的低い温度領域で運転が行われている。
燃料電池にとっては、低い温度領域での運転は好ましくなく、運転温度が低いと、発電効率が低くなるばかりでなく、触媒選択が制限されるという問題が生じる。より高い温度領域で運転することが常に追い求められており、より高い温度領域での運転は、次に述べるような作用効果を達成する。
例えば、運転温度が100℃以上になると、発電効率は向上するばかりでなく、廃熱利用も可能となり、効率的にエネルギーを活用できる。さらに、運転温度を140℃まで上昇させることができれば、効率の向上や廃熱利用だけではなく、触媒など材料選択の幅が広がり、安価な燃料電池を実現することができる。しかしながら、例えば燃料電池を自動車へ搭載するとなると、高温に温めるまでの時間が必要となってくる。そのため、低温から高温まで作動可能な燃料電池用電解質膜の開発が求められている。
燃料電池にとっては、低い温度領域での運転は好ましくなく、運転温度が低いと、発電効率が低くなるばかりでなく、触媒選択が制限されるという問題が生じる。より高い温度領域で運転することが常に追い求められており、より高い温度領域での運転は、次に述べるような作用効果を達成する。
例えば、運転温度が100℃以上になると、発電効率は向上するばかりでなく、廃熱利用も可能となり、効率的にエネルギーを活用できる。さらに、運転温度を140℃まで上昇させることができれば、効率の向上や廃熱利用だけではなく、触媒など材料選択の幅が広がり、安価な燃料電池を実現することができる。しかしながら、例えば燃料電池を自動車へ搭載するとなると、高温に温めるまでの時間が必要となってくる。そのため、低温から高温まで作動可能な燃料電池用電解質膜の開発が求められている。
固体高分子型燃料電池の運転温度を上昇させるために、これまで、従来のフッ素系膜の代わりとなる耐熱性の芳香族系高分子材料があるが、フッ素系膜と同様高温における含水率低下に伴うプロトン伝導率が問題となる。一方、プロトン伝導性材料としては、次のような無機材料も提案されている。例えば、南らは、加水分解性シリル化合物中に種々の酸を添加することにより、プロトン伝導性の無機材料を得ている(Solid State Ionics 74(1994)、第105頁)が、これらの無機材料は、高温でも安定的にプロトン伝導性を示すが、薄膜とした場合には割れやすく、取り扱いや電極作製が困難であるという問題がある。こうした問題を克服するために、例えば有機材料と無機材料をハイブリッドすることにより、高温領域で作動可能なプロトン伝導性電解質膜は開発されている(例えば特許文献1)。
以上のように、従来の固体高分子型燃料電池における問題点を改善するために、種々の電解質膜材料についての研究開発が行われてきたにもかかわらず、これまでのところ、高温(例えば100℃以上)で充分な耐久性を有し、低湿度下においても室温から100℃前後の高温まで高いプロトン伝導率を示す機械的性能等を満足した電解質膜は未だ存在しないのが現状であった。
特開平13−307545号公報
本発明の目的は、耐熱性に優れ、低温から高温まで優れた性能を示す燃料電池用電解質膜であるプロトン伝導性電解質とその製造法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、プロトン酸基を有する有機材料へ無機酸化物を均質に分散させた電解質膜を用いることにより、低湿度条件下、室温から95℃において優れたプロトン伝導性電解質膜が得られることを見出し、この知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
(1)本発明は、スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)と金属−酸素結合を有する無機酸化物(B)を含有するプロトン伝導性電解質膜に関する。
(2)スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)と金属−酸素結合を有する無機酸化物(B)は、水素結合により結合している(1)記載のプロトン伝導性電解質膜に関する。
(2)スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)と金属−酸素結合を有する無機酸化物(B)は、水素結合により結合している(1)記載のプロトン伝導性電解質膜に関する。
(3)本発明は、また、金属−酸素結合を有する無機酸化物(B)が、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ケイ素から選ばれる一種以上の無機酸化物である(1)又は(2)記載のプロトン伝導性電解質膜に関する。
(4)本発明は、また、金属−酸素結合を有する無機酸化物(B)がタングストリン酸、タングストケイ酸、またはモリブドリン酸から選ばれる一種以上のヘテロポリ酸であることを特徴とする(1)又は(2)記載のプロトン伝導性電解質膜に関する。
(5)本発明は、また、金属−酸素結合を有する無機酸化物(B)が、硫酸イオンを固定化した金属酸化物である(1)〜(4)いずれか一項に記載のプロトン伝導性電解質膜に関する。
(5)本発明は、また、金属−酸素結合を有する無機酸化物(B)が、硫酸イオンを固定化した金属酸化物である(1)〜(4)いずれか一項に記載のプロトン伝導性電解質膜に関する。
(6)本発明は、また、金属−酸素結合を有する無機酸化物(B)が、リン−酸素−金属結合を有する無機化合物である(1)〜(5)いずれか一項に記載のプロトン伝導性電解質膜に関する。
(7)本発明は、また、金属−酸素結合を有する無機酸化物(B)の粒径が0.5nm〜50μmあることを特徴とする(1)〜(6)いずれか一項に記載のプロトン伝導性電解質膜に関する。
(8)本発明は、また、0.1〜10μmの細孔を含有する(1)〜(7)いずれか一項に記載のプロトン伝導性電解質膜に関する。
(9)本発明は、また、25℃、水中における含水率が20〜50重量%であり、また、40℃、相対湿度60%におけるプロトン伝導率が4×10−3S/cm以上、95℃、相対湿度30%におけるプロトン伝導率が5×10−4S/cm以上である(1)〜(8)いずれか一項に記載のプロトン伝導性電解質膜に関する。
(10)本発明は、スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)を含有する有機溶液中において金属−酸素結合を有する無機酸化物(B)をゾル−ゲル法により合成することを特徴とする(1)〜(9)いずれか一項に記載のプロトン伝導性電解質膜の製造法に関する。
(8)本発明は、また、0.1〜10μmの細孔を含有する(1)〜(7)いずれか一項に記載のプロトン伝導性電解質膜に関する。
(9)本発明は、また、25℃、水中における含水率が20〜50重量%であり、また、40℃、相対湿度60%におけるプロトン伝導率が4×10−3S/cm以上、95℃、相対湿度30%におけるプロトン伝導率が5×10−4S/cm以上である(1)〜(8)いずれか一項に記載のプロトン伝導性電解質膜に関する。
(10)本発明は、スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)を含有する有機溶液中において金属−酸素結合を有する無機酸化物(B)をゾル−ゲル法により合成することを特徴とする(1)〜(9)いずれか一項に記載のプロトン伝導性電解質膜の製造法に関する。
(11)本発明は、また、スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)を含有する有機溶媒とヘテロポリ酸を含有する溶液を混合し、溶媒を除去することにより得られることを特徴とする(1)〜(9)いずれか一項に記載のプロトン伝導性電解質膜の製造法に関する。
(12)本発明は、また、ゾル−ゲル反応を促進させる触媒として無機プロトン酸を用い、金属−酸素結合を有する無機酸化物(B)の前駆体である金属アルコキシドに対して0.0001〜1当量用いることを特徴とする(1)〜(9)いずれか一項に記載のプロトン伝導性電解質膜の製造法に関する。
(13)本発明は、また、金属−酸素結合を有する無機酸化物(B)の前駆体である金属アルコキシドにキレート化する化学改質剤を0.01〜1当量用いることを特徴とする(1)〜(9)いずれか一項に記載のプロトン伝導性電解質膜の製造法に関する。
(12)本発明は、また、ゾル−ゲル反応を促進させる触媒として無機プロトン酸を用い、金属−酸素結合を有する無機酸化物(B)の前駆体である金属アルコキシドに対して0.0001〜1当量用いることを特徴とする(1)〜(9)いずれか一項に記載のプロトン伝導性電解質膜の製造法に関する。
(13)本発明は、また、金属−酸素結合を有する無機酸化物(B)の前駆体である金属アルコキシドにキレート化する化学改質剤を0.01〜1当量用いることを特徴とする(1)〜(9)いずれか一項に記載のプロトン伝導性電解質膜の製造法に関する。
本発明のプロトン伝導性電解質膜は、低湿度条件下においても室温(20℃)から95℃まで良好なプロトン伝導性を示し、更に耐熱性に優れており、定置型用及び自動車用燃料電池に好適である。
本発明は、上記課題を達成するために、スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)と金属−酸素結合を有する無機酸化物(B)とを含む有機無機複合材料を用いてプロトン伝導性電解質膜を得る。有機無機複合材料は単独で膜として用いてもよいが、好ましくは高分子多孔質基材の細孔の中に、無機酸化物(B)単独又はスルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)と併せて充填、固定化、保持した膜として用いられる。
スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)は、プロトン伝導性材料の全重量部(100重量部)に対して、10〜99重量部の範囲で混合することが好ましく、30〜98重量部がより好ましい。30重量部未満であると、薄膜とした場合には割れやすく、取り扱いや電極作製が困難であり、また98重量部を超えると、無機材料添加の効果が得られにくい傾向がある。
スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)のイオン交換容量は0.01〜4.5meq/gであることが好ましく、0.2〜4.0meq/gが好ましく、0.25〜3.5meq/gがより好ましい。
スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)の平均分子量は500以上、1000000以下であることが好ましく、好ましくは、750から500000であり、より好ましくは、1000から300000である。1000000より大きいと加工が困難となる傾向にある。
スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)を合成するために用いるスルホン酸基含有モノマーを製造するために用いられるスルホン化剤としては、特に限定されるものではないが、たとえば、濃硫酸、発煙硫酸、クロロ硫酸、無水硫酸錯体等を好適に使用することができる。スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)を合成するために用いるスルホン酸基含有モノマーの製造は、これらの試薬を用い、化合物構造に応じた反応条件を選定することにより実施することができる。
また、これらのスルホン化剤に加えて、特許第2884189号公報に記載のスルホン化剤、すなわち、1,3,5−トリメチルベンゼン−2−スルホン酸、1,3,5−トリメチルベンゼン−2,4−ジスルホン酸、1,2,4−トリメチルベンゼン−5−スルホン酸、1,2,4−トリメチルベンゼン−3−スルホン酸、1,2,3−トリメチルベンゼン−4−スルホン酸、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン−5−スルホン酸、1,2,3,5−テトラメチルベンゼン−4−スルホン酸、1,2,4,5−テトラメチルベンゼン−3−スルホン酸、1,2,4,5−テトラメチルベンゼン−3,6−ジスルホン酸、1,2,3,4,5−ペンタメチルベンゼン−6−スルホン酸、1,3,5−トリエチルベンゼン−2−スルホン酸、1−エチル−3,5−ジメチルベンゼン−2−スルホン酸、1−エチル−3,5−ジメチルベンゼン−4−スルホン酸、1−エチル−3,4−ジメチルベンゼン−6−スルホン酸、1−エチル−2,5−ジメチルベンゼン−3−スルホン酸、1,2,3,4−テトラエチルベンゼン−5−スルホン酸、1,2,4,5−テトラエチルベンゼン−3−スルホン酸、1,2,3,4,5−ペンタエチルベンゼン−6−スルホン酸、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2−スルホン酸、1−プロピル−3,5−ジメチルベンゼン−4−スルホン酸等を用いることも可能である。
上記のスルホン化剤の中でも、スルホン酸基の両側のオルト位に低級アルキルが置換された化合物、たとえば、1,3,5−トリメチルベンゼン−2−スルホン酸、1,2,4,5−テトラメチルベンゼン−3−スルホン酸、1,2,3,5−テトラメチルベンゼン−4−スルホン酸、1,2,3,4,5−ペンタメチルベンゼン−6−スルホン酸、1,3,5−トリメチルベンゼン−2,4−ジスルホン酸、1,3,5−トルエチルベンゼン−2−スルホン酸、等が特に好ましく、さらには、1,3,5−トリメチルベンゼン−2−スルホン酸が最も好ましい。
スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)のオリゴマー又はポリマーを合成するために用いるスルホン酸基含有モノマーを製造する際は、モノマー原料100重量部に対して、これらのスルホン化剤は、30〜5000重量部の範囲で加えることが好ましく、50〜2000重量部の範囲で加えればさらに好ましい。
スルホン化剤の添加量が30重量部未満の場合には、スルホン化反応が十分に進行しない傾向にあり、スルホン化剤の添加量が5000重量部を超える場合には、反応後のスルホン化剤処理に多くの労力が必要となる傾向にある。
スルホン化剤の添加量が30重量部未満の場合には、スルホン化反応が十分に進行しない傾向にあり、スルホン化剤の添加量が5000重量部を超える場合には、反応後のスルホン化剤処理に多くの労力が必要となる傾向にある。
スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)のオリゴマー、ポリマー又はこれを合成するために用いるスルホン酸基含有モノマーを製造するために用いられる有機溶媒としては、特に限定されるものではなく、スルホン化反応に悪影響を及ぼさないものであれば従来から公知のものを使用することができる。
具体例としては、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類、ニトロメタン、ニトロベンゼン、等のニトロ化合物類、トリメチルベンゼン、トリブチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、ペンタメチルベンゼン等のアルキルベンゼン類、スルホラン等の複素環化合物類、オクタン、デカン、シクロヘキサン等の直鎖、分枝鎖又は環状の脂肪族飽和炭化水素類が挙げられる。
具体例としては、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類、ニトロメタン、ニトロベンゼン、等のニトロ化合物類、トリメチルベンゼン、トリブチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、ペンタメチルベンゼン等のアルキルベンゼン類、スルホラン等の複素環化合物類、オクタン、デカン、シクロヘキサン等の直鎖、分枝鎖又は環状の脂肪族飽和炭化水素類が挙げられる。
これらの溶剤は、一種又は二種以上を混合して使用してもよく、その使用量は、適宜選択されるが、通常はスルホン化剤100重量部に対して100〜2000重量部の範囲にあることが好ましい。
溶剤の量が100重量部未満の場合には、スルホン化反応を均一に進めるのが困難となる傾向にあり、溶剤の量が2000重量部を超える場合には、反応後の溶剤とスルホン化剤との分離、溶剤の回収に多くの労力が必要となる傾向にある。
溶剤の量が100重量部未満の場合には、スルホン化反応を均一に進めるのが困難となる傾向にあり、溶剤の量が2000重量部を超える場合には、反応後の溶剤とスルホン化剤との分離、溶剤の回収に多くの労力が必要となる傾向にある。
スルホン化反応としては、反応温度−20〜150℃の範囲、反応時間0.5〜50時間の範囲で実施できる。
ここで、反応温度が−20℃未満では、スルホン化反応が遅くなり、反応温度が150℃を超えると、特定の芳香族環にのみスルホン酸基を導入することが困難となる傾向にある。
ここで、反応温度が−20℃未満では、スルホン化反応が遅くなり、反応温度が150℃を超えると、特定の芳香族環にのみスルホン酸基を導入することが困難となる傾向にある。
なお、スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)のオリゴマー、ポリマー又はこれを合成するために用いるスルホン酸基含有モノマーの精製方法は、従来から公知の精製方法を好適に使用可能であるが、たとえば、得られたプロトン酸基含有化合物が固体状の場合には濾過後に溶剤で洗浄して乾燥することにより、オイル状の場合には分液することにより、反応溶液に溶解している場合には有機溶媒を蒸発除去することにより、精製することができる。
あるいは、スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)のオリゴマー、ポリマー又はこれを合成するために用いるスルホン酸含有モノマーが含まれる反応液に水を加え、必要に応じてアルカリ成分を加えて溶解し、溶剤相と水相に分離した後に、水相より酸析や塩析等の方法により沈殿化させ、濾過後に溶剤で洗浄して乾燥させることにより精製することもできる。
また、濃硫酸等のスルホン化剤のみで反応を行う場合には、反応液を水中に注ぐことにより化合物を沈殿させて、回収及び精製を行うことも有効である。
スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)のオリゴマー又はポリマーは、触媒存在下溶媒中で反応できる。触媒量は、反応させるモノマーの全モル数に対して、0.1から100倍で使用できる。
スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)のオリゴマー又はポリマーを合成する反応溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホンアミド等の非プロトン極性溶媒や、メタノール、エタノールな等のアルコール系溶媒及びフェノール、クレゾール等のフェノール系溶媒から適切なものを選ぶことができるがこれらに限定されるものではない。
これらの溶媒は、可能な範囲で複数を混合して使用してもよい。溶媒量は、反応させるモノマー及び触媒の総重量に対して0.01〜2倍の範囲で用いることができる。
これらの溶媒は、可能な範囲で複数を混合して使用してもよい。溶媒量は、反応させるモノマー及び触媒の総重量に対して0.01〜2倍の範囲で用いることができる。
反応温度は0〜350℃であり、好ましくは40〜260℃である。反応時間は、2〜500時間で反応を行うことができる。
スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)は一種の組成のみからなる樹脂であってもよいが、組成の異なるスルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)及び/又は別の樹脂を二種以上含有していてもよい。
別の樹脂の種類としては、具体的には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ABS樹脂及びAS樹脂等の汎用樹脂、ポリアセテート(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA:ナイロン)、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリブチレンテレフタレート(PBT)等のエンジニアリングプラスチック、並びにポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリケトン(PK)、ポリイミド(PI)、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート(PCT)、ポリアリレート(PAR)及び各種液晶ポリマー(LCP)等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明で用いられる金属−酸素結合を有する無機酸化物(B)としてはヒドロキシル基が多いほど好ましい。これは以下の理由による。電解質中のプロトンの伝導はあるブレンステッド酸サイトからあるブレンステッド酸サイトへエネルギー障壁を飛び越えておこる。これはプロトンホッピング伝導機構とよばれ、可動プロトンの他に分子状の水が存在することで、水がプロトンホッピングの媒介となりプロトン伝導が促進される。本発明で用いたスルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)はプロトン酸基を有しているが、高温では有機材料の含水率が著しく低下するためにプロトン伝導率が低下してしまう。そのため、高温でも含水率の高い水酸基含有無機化合物(B)をスルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)へ分散させることで、高温下でも含水率の高い電解質膜を得ることができる。これを満たす無機化合物として、特に限定はされないが、例えば酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウムから選ばれる一種以上の金属酸化物である。
また、更に金属−酸素結合を有する無機酸化物(B)は、ブレンステッド酸点を含有していることが好ましい。スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)だけでなく、金属−酸素結合を有する無機酸化物(B)においても可動プロトンを有することで、可動プロトンの密度が大きくなるためである。これを満たす無機化合物として、特に限定はされないが以下のものがある。リン酸化ジルコニア、硫酸根化ジルコニア、リン酸チタニア、硫酸根チタニア、リン酸シリカ、タングステン酸ジルコニア、タングステンチタニア、タングステンシリカなどの固体超強酸や、珪酸ジルコニア、スズ酸ジルコニア、リン酸チタニア、リン酸セリア、アンチモン酸スズ、シリカ−アルミナ、チタニア−アルミナ、チタニア−シリカ、チタニア−ジルコニアなどの複合酸化物などである。
ヘテロポリ酸類として、H2XY12O40 nH2Oで示されるもの(XはP、As、Ge、Siなど、YはMo、W、Vなど、nは1〜100の整数)も用いられる。また、モリブデン酸アンモニウム、タングストリン酸アンモニウム、タングステン酸アンモニウムなども用いられる。ヘテロポリ酸はヒドロキシル基を有していないが、水和物の状態が安定な含水酸化物であるため保水性に優れている。また、強いプロトン酸を多く含有している。また、モルデナイト、プロトン型ZSM-5、Y型ゼオライト、ベータゼオライトなどの多孔質ヒドロキシル基含有固体酸も用いられる。
また、光照射下で酸化チタンを使用してもよい。酸化チタンに紫外光もしくは可視光を照射することで光触媒作用により酸化チタン粒子表面に均一に水が吸着することが知られている。そのため、光照射下で酸化チタンを用いることで、電解質膜の含水率が向上し、高温におけるプロトン伝導の向上に繋がる。
金属−酸素結合を有する無機酸化物(B)は0.5nm〜50μmの粒径にして使用することが好ましい。より好ましくは、1nm〜10μmである。粒径が50μmを超えると無機酸化物(B)が凝集物となり、スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)と相分離を起こしやすい傾向がある。
また、無機酸化物(B)は、電解質膜材料の全重量部(100重量部)に対して1〜90重量部の範囲で混合することが好ましく、より好ましくは5〜70重量部である。2重量部未満であると無機材料添加の効果が得られにくく、70重量部を超えると取り扱いや電極作製が困難となる傾向がある。
<プロトン伝導性電解質膜の製法>
有機物質と無機物を単純に混合した例は公知であるが、本発明の目的である3次元架橋構造体による耐熱性向上と、有機物質による膜の柔軟性付与を両立するためには不充分である。
すなわち、単純な混合の場合には、有機物質で柔軟性を持たせるためには、有機物質の添加量をある程度増やす必要があり、このとき、有機物質がプロトン伝導性を示さないものであったとすれば、有機物質がプロトン伝導性パスを切断しプロトン伝導性が犠牲になる。
有機物質と無機物を単純に混合した例は公知であるが、本発明の目的である3次元架橋構造体による耐熱性向上と、有機物質による膜の柔軟性付与を両立するためには不充分である。
すなわち、単純な混合の場合には、有機物質で柔軟性を持たせるためには、有機物質の添加量をある程度増やす必要があり、このとき、有機物質がプロトン伝導性を示さないものであったとすれば、有機物質がプロトン伝導性パスを切断しプロトン伝導性が犠牲になる。
本発明のプロトン伝導性有機−無機ハイブリッド膜(プロトン伝導性電解質膜)では、スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)のみでプロトン伝導性を示し、無機酸化物(B)を添加することで保水性が向上するため、低湿度においても高いプロトン伝導性を示すことができる。それだけでなく、無機酸化物(B)としてブレンステッド酸性を示す無機物を用いることで、更にプロトン伝導率を高めることが可能となる。
酸素−水素結合を有する無機酸化物(B)は、スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)に含まれるスルホン酸基及び/又はエーテル結合などと水素結合することが可能である。そのため、ハイブリッド膜において、水素結合が存在しないときに比べて無機酸化物(B)の分散性を高くすることができる。保水性の優れる無機酸化物(B)の分散性が高くなることにより膜の保水性の向上につながる。また、無機酸化物(B)がスルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)の架橋材としての役割を果たし、高温でも安定な膜を得ることができる。また、スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)及び無機酸化物(B)はともに親水性基を有するために、ハイブリッド膜作製の際に相溶性に優れているため、各々が均一に分散した膜を作ることが可能となる。
更に、スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)のポリマーの一部、もしくはモノマーやオリゴマーの末端官能基にヒドロキシル基を有するものを用い、シランカップリング剤と反応させてアルコキシシリル基を導入し、このアルコキシシリル基と金属アルコキシドの間でゾル−ゲル反応が進行させることで、スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)と無機酸化物(B)との間に共有結合を形成させることが好ましい。
本発明のプロトン伝導性有機−無機ハイブリッド膜(プロトン伝導性電解質膜)は、例えば、次の(1)〜(6)に述べる方法により作製することができる。
(1)スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)含有の有機溶液中で、金属酸化物の前駆体である金属アルコキシドの加水分解及び脱水縮重合反応、いわゆるゾル−ゲル反応を進行させることにより、高分子溶液中に均一に分散した金属−酸素結合を有する無機酸化物(B)を調製することができる。これを乾燥することで膜厚が20〜200μmに制御したハイブリッド膜を得ることができる。ここでいうゾル−ゲル反応は例えば、「ゾル−ゲル法の科学」(作花済夫著、アグネ承風社)に詳しく述べられている。一般的な方法として、金属アルコキシドを任意の溶媒に溶解し、そこに水と酸を添加することによりアルコキシド基の加水分解と脱水縮重合反応が進行する。その際、反応混合液(ゾル)の粘度が徐々に増加し、溶媒を留去、乾燥すると固体(ゲル)が得られる。流動性がある段階でゾルを所望の形状の固体を得ることができる。金属アルコシキド、溶媒、水、酸触媒から成るゾル溶液とスルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)を溶解した溶液を混合し、この有機溶液中で金属アルコキシドのゾル−ゲル反応を進行させることにより有機−無機ハイブリッド膜を得ることができる。
(2)あらかじめ粒径を制御した無機酸化物(B)を調製し、次いでスルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)を含有した有機溶液中に分散させ、その後スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)の溶媒を除去することにより得られる。
(3)あらかじめ粒径を制御した無機酸化物(B)を調製してからスルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)のモノマーを溶解した有機溶液中に分散させ、次いでスルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)のモノマーを重合させることにより得られる。
(4)あらかじめスルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)からなる膜を用意し、これに金属アルコシキド、溶媒、水、酸触媒から成るゾル溶液を接触して膨潤させた後にゾル−ゲル反応を行うことにより得られる。
(5)スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)のポリマーの一部、もしくはモノマーやオリゴマーの末端官能基にヒドロキシル基を有するものを用い、シランカップリング剤と反応させてアルコキシシリル基を末端に導入する。次いで、この有機材料を含む溶液中でゾル−ゲル反応を進行させることによりスルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)と無機酸化物との間に共有結合を形成させた有機−無機ハイブリッド膜を得ることができる。無機相が有機相と共有結合することにより無機物が均一に分散しやすくなる傾向がある。
(6)スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)とヘテロポリ酸のハイブリッド膜は、スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)を含む有機溶液とヘテロポリ酸を含む溶液とを混合し、その後溶媒を除去することで得られる。ヘテロポリ酸の溶媒としてはヘテロポリ酸が可溶な溶媒であれば特に限定されず、例えば水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどである。
(1)スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)含有の有機溶液中で、金属酸化物の前駆体である金属アルコキシドの加水分解及び脱水縮重合反応、いわゆるゾル−ゲル反応を進行させることにより、高分子溶液中に均一に分散した金属−酸素結合を有する無機酸化物(B)を調製することができる。これを乾燥することで膜厚が20〜200μmに制御したハイブリッド膜を得ることができる。ここでいうゾル−ゲル反応は例えば、「ゾル−ゲル法の科学」(作花済夫著、アグネ承風社)に詳しく述べられている。一般的な方法として、金属アルコキシドを任意の溶媒に溶解し、そこに水と酸を添加することによりアルコキシド基の加水分解と脱水縮重合反応が進行する。その際、反応混合液(ゾル)の粘度が徐々に増加し、溶媒を留去、乾燥すると固体(ゲル)が得られる。流動性がある段階でゾルを所望の形状の固体を得ることができる。金属アルコシキド、溶媒、水、酸触媒から成るゾル溶液とスルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)を溶解した溶液を混合し、この有機溶液中で金属アルコキシドのゾル−ゲル反応を進行させることにより有機−無機ハイブリッド膜を得ることができる。
(2)あらかじめ粒径を制御した無機酸化物(B)を調製し、次いでスルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)を含有した有機溶液中に分散させ、その後スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)の溶媒を除去することにより得られる。
(3)あらかじめ粒径を制御した無機酸化物(B)を調製してからスルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)のモノマーを溶解した有機溶液中に分散させ、次いでスルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)のモノマーを重合させることにより得られる。
(4)あらかじめスルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)からなる膜を用意し、これに金属アルコシキド、溶媒、水、酸触媒から成るゾル溶液を接触して膨潤させた後にゾル−ゲル反応を行うことにより得られる。
(5)スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)のポリマーの一部、もしくはモノマーやオリゴマーの末端官能基にヒドロキシル基を有するものを用い、シランカップリング剤と反応させてアルコキシシリル基を末端に導入する。次いで、この有機材料を含む溶液中でゾル−ゲル反応を進行させることによりスルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)と無機酸化物との間に共有結合を形成させた有機−無機ハイブリッド膜を得ることができる。無機相が有機相と共有結合することにより無機物が均一に分散しやすくなる傾向がある。
(6)スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)とヘテロポリ酸のハイブリッド膜は、スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)を含む有機溶液とヘテロポリ酸を含む溶液とを混合し、その後溶媒を除去することで得られる。ヘテロポリ酸の溶媒としてはヘテロポリ酸が可溶な溶媒であれば特に限定されず、例えば水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどである。
ゾル−ゲル反応における金属アルコキシドの中心金属としてはシリコン、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、イットリウム、リチウム、銅、亜鉛、ホウ素、ガリウム、ゲルマニウム、リン、アンチモン、バナジウム、タンタル、タングステン、ランタンがあるが、シリコン、チタン、ジルコニウム、アルミニウムのアルコキシドが好ましい。
金属アルコキシドのアルコキシドは直鎖状及び分岐鎖状のアルキル基であり、好ましくは炭素数1−24、より好ましくは炭素数1−10である。例えばメチル基、エチル基、プロピル基、プチル基、i−プロピル基、i−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、t-オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、2−ヘキシルデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、シクロヘキシルメチル基、オクチルシクロヘキシル基等である。炭素数が大きいほど金属アルコシキドが安定であり、反応性が悪くなってしまうので、反応条件において好ましいものを選ぶ。
ゾル−ゲル反応に用いる溶媒は、前駆体の重合体を溶解するものであれば特に制限はないが、好ましくはカーボネート化合物(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等)、複素環化合物(3−メチル−2−オキサゾリジノン、N−メチルピロリドン等)、環状エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、鎖状エーテル類(ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等)、多価アルコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等)、ニトリル化合物(アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等)、エステル類(カルボン酸エステル、リン酸エステル、ホスホン酸エステル等)、非プロトン極性物質(ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)、非極性溶媒(トルエン、キシレン等)、塩素系溶媒(メチレンクロリド、エチレンクロリド等)、水等を用いることができる。
中でも、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化合物、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル類等が特に好ましい。
これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。溶媒の量は金属アルコキシドに対して0〜100当量が好ましく、より好ましくは1〜10当量である。溶媒の量が多くなりすぎると金属アルコシキドのゾル−ゲル反応が遅くなる傾向がある。
中でも、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化合物、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル類等が特に好ましい。
これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。溶媒の量は金属アルコキシドに対して0〜100当量が好ましく、より好ましくは1〜10当量である。溶媒の量が多くなりすぎると金属アルコシキドのゾル−ゲル反応が遅くなる傾向がある。
ゾル−ゲル反応における前駆体の反応性を制御する目的で、金属原子にキレート化しうる化学改質剤を用いてもよい。化学改質剤としては、例えばアセト酢酸エステル類(アセト酢酸エチル等)、1,3−ジケトン類(アセチルアセトン等)、アセトアセタミド類(N,N’−ジメチルアミノアセトアセタミド等)等が挙げられる。これら化学改質剤を用いる時は金属アルコキシドに対して0.1〜2当量が好ましく、より好ましくは0.01〜1当量である。2当量を超えると、ゾル−ゲル反応が遅くなる傾向がある。
さらに、加水分解及び脱水縮重合を調節する触媒として酸やアルカリを用いる。アルカリとしては、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、アンモニア等が一般的である。酸触媒としては無機又は有機のプロトン酸を用いることができる。無機プロトン酸としては、塩酸、硫酸、硼酸、硝酸、過塩素酸、テトラフルオロ硼酸、ヘキサフルオロ砒素酸、臭化水素酸等が挙げられる。
有機プロトン酸としては、酢酸、シュウ酸、メタンスルホン酸等が挙げられる。酸の量によりゾルの溶媒への溶解度が変化するため、ゾルが可溶な溶解度になるように調節しなければならず、金属アルコキシドに対して0.0001〜1当量が好ましい。
有機プロトン酸としては、酢酸、シュウ酸、メタンスルホン酸等が挙げられる。酸の量によりゾルの溶媒への溶解度が変化するため、ゾルが可溶な溶解度になるように調節しなければならず、金属アルコキシドに対して0.0001〜1当量が好ましい。
また、金属の硝酸塩、アンモニウム塩、塩化物塩、硫酸塩などを含む溶液を、金属アルコキシドのゾル溶液へ添加し、次いでゾル−ゲル反応を進行させることにより複合酸化物を調製してもよい。塩としては、特には限定されないが、たとえば硝酸アルミニウム、硝酸鉄、オキシ硝酸ジルコニウム、塩化チタン、塩化アルミニウム、オキシ塩化ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、硫酸チタン、硫酸アルミニウムなどである。塩の溶媒としては、塩を溶解するものであれば特に制限はないが、例えばカーボネート化合物(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等)、複素環化合物(3−メチル−2−オキサゾリジノン、N−メチルピロリドン等)、環状エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、鎖状エーテル類(ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等)、多価アルコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン等)、ニトリル化合物(アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等)、エステル類(カルボン酸エステル、リン酸エステル、ホスホン酸エステル等)、非プロトン極性物質(ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)、非極性溶媒(トルエン、キシレン等)、塩素系溶媒(メチレンクロリド、エチレンクロリド等)、水等を用いることができる。
さらに、金属アルコキシドもしくはヘテロポリ酸の溶媒に比誘電率が20以上で、かつ沸点が100℃以上の化合物を単独で用いても、他の溶媒と併用してもよい。この際、比誘電率が20以上の化合物は、適度の界面活性能を有し、有機物質と無機化合物を分散させることができるので好ましい。一方、沸点が100℃以上の化合物は、加熱・硬化反応の後にも膜中に残留し、残留した化合物が水洗などで水に置換され、より膜中の保水性を向上させることができるので好ましい。また、有機物質として比較的分子量の低いもの(例えば分子量100以下)を用いた場合には、残留した化合物は可塑剤の役目を果たし、柔軟な膜を得ることができる。
上記した2つの物性を有する化合物の具体例としては、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、3−メチルスルホラン、ジメチルスルホキサイド、ジメチルホルムアミド、N−メチルオキサゾリジノン等が挙げられる。
上記した2つの物性を有する化合物の具体例としては、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、3−メチルスルホラン、ジメチルスルホキサイド、ジメチルホルムアミド、N−メチルオキサゾリジノン等が挙げられる。
上記で得たハイブリッド材料における無機酸化物(B)はスルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)に比べて保水性に優れているため、80℃以上の温度領域において低湿度下においても保水能力に優れたハイブリッド電解質膜を得ることができる。
本発明で用いたヘテロポリ酸はHnXM12O40・mH2O〔式中、XはP,As,Si又はGeを示す。MはMo又はWを示す。nは2又は3を示す(但し、XがP又はAsの時、n=3であり、XがSi又はGeの時、n=4である)。mは0〜30の整数を示す。〕及び一般式H6Y2M18O62・mH2O〔式中、YはP又はAsを示し、M及びmは上記と同じ。〕で表わされる一種以上の無機化合物であり、好ましくはタングストリン酸、タングストケイ酸、モリブドリン酸である。
ヘテロポリ酸は水に溶けやすく単独では電解質膜として使用するのが困難であるが、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、水酸基、又はエーテル結合などを有する有機物質とハイブリッド化することにより、ヘテロポリ酸と有機物質との間において水素結合が形成される。この相互作用の存在のために、ヘテロポリ酸が溶けにくくなり電解質として使用可能になる。
本発明の電解質膜は、高分子多孔質基材の細孔の中に無機酸化物(B)単独もしくはスルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)とを併せて充填、固定化、保持させて電解質膜とすることが好ましい。多孔質内に保持することで水、メタノール等の電解質溶液の透過及び電解質溶液による膨潤を抑え、かつ機械的強度に優れた電解質膜を得ることができる。更に、寸法安定性、耐熱性、耐薬品性にも優れている。
本発明で使用される多孔質基材の膜厚は、例えば、0.01〜300μm、好ましくは0.01〜200μm、より好ましくは0.1〜100μmであることが適当である。膜厚が0.1μm以上であれば、十分な強度が得られ、取扱い、作業性の面で有利であり、300μm以下であれば、得られる電解質膜の電気抵抗が大きくなりすぎることもないので好適である。また、本発明の多孔質基材は、それ自身にプロトン伝導性を持たせるためのスルホン酸基を導入する必要がないので、スルホン酸基による膜の機械的強度の低下の影響を受けない。したがって、本発明の多孔質基材の膜厚は、例えば、20μm未満としてもよい。
本発明の、多孔質基材に存在し、プロトン伝導性高分子組成物が保持される細孔は、連続孔であることが適当である。ここで「連続孔」とは、多孔質基材の表面及び裏面を貫通している細孔を意味し、このような連続孔にプロトン伝導性高分子組成物を保持することにより、プロトンがこの連続孔を通じて多孔質基材の表面から裏面に移動することが可能となる。従って、本発明の多孔質基材は、電解質によって膨潤することなく、この連続孔を通じてプロトンを移動させることができる。
好適な空孔率は10〜95%である。より好ましくは40〜80%のものが好ましい。
10%未満では、充分なイオン導電率が得られにくい。一方、95%を超えると実用的な薄膜強度を得ることが困難となる傾向がある。破断強度は200kg/cm2以上が好適である。破断強度がこれより小さいと、製膜、電解液の含浸、あるいは製品組立工程における加工処理が難しくなる傾向がある。
10%未満では、充分なイオン導電率が得られにくい。一方、95%を超えると実用的な薄膜強度を得ることが困難となる傾向がある。破断強度は200kg/cm2以上が好適である。破断強度がこれより小さいと、製膜、電解液の含浸、あるいは製品組立工程における加工処理が難しくなる傾向がある。
平均貫通孔径は0.001μm〜100μmが好適である。平均貫通孔径が小さいとイオン伝導性が小さくなり、一方、大きすぎると電解質溶液を固定化し、漏出防止することが困難になる傾向がある。
高分子多孔質基材がフッ素系樹脂である場合、高分子多孔質基材のフッ素系樹脂としては、分子内に炭素−フッ素結合を多数有する公知の熱可塑性樹脂が制限なく使用される。
通常は、ポリオレフィンの水素原子の全て又は大部分、好適にはその水素原子の50モル%以上がフッ素原子によって置換された構造のものが使用される。
特に、その全てがフッ素原子によって置換された構造のものを用いるのが最も好ましい。
本発明では、かかるフッ素樹脂を電解質膜の母材として用いることにより、機械的強度、化学的安定性、耐熱性に極めて優れた高分子電解質膜を得ることが可能になる。
通常は、ポリオレフィンの水素原子の全て又は大部分、好適にはその水素原子の50モル%以上がフッ素原子によって置換された構造のものが使用される。
特に、その全てがフッ素原子によって置換された構造のものを用いるのが最も好ましい。
本発明では、かかるフッ素樹脂を電解質膜の母材として用いることにより、機械的強度、化学的安定性、耐熱性に極めて優れた高分子電解質膜を得ることが可能になる。
好適に使用できるフッ素系樹脂を例示すれば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフロオロエチレン−ペルフロオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)等が挙げられる。
このうち、本発明では、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)が好ましく、特にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が好ましい。
また、これらのフッ素系樹脂の重量平均分子量は、機械的強度の良好さから5万以上が好ましい。
また、これらのフッ素系樹脂製多孔質膜は、更に、ポリテトラフルオロエチレン繊維等などフッ素系樹脂繊維の布状物によるバッキングが施されていても良い。
このうち、本発明では、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)が好ましく、特にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が好ましい。
また、これらのフッ素系樹脂の重量平均分子量は、機械的強度の良好さから5万以上が好ましい。
また、これらのフッ素系樹脂製多孔質膜は、更に、ポリテトラフルオロエチレン繊維等などフッ素系樹脂繊維の布状物によるバッキングが施されていても良い。
これらのフッ素系樹脂製多孔質膜は、フッ素系樹脂フィルムを公知の方法で多孔化したものが使用される。
例えば、特公昭42−13560号公報、特公昭58−25332号公報等に記載された延伸法を用いて多孔化したものが好適に使用される。
例えば、特公昭42−13560号公報、特公昭58−25332号公報等に記載された延伸法を用いて多孔化したものが好適に使用される。
本発明に使用される高分子多孔質基材がフッ素系樹脂の場合、必要に応じて親水化処理しても良い。親水化処理方法は、公知の方法が特に制限なく採用される。
例えば、フッ素系樹脂製多孔膜をコロナ放電やプラズマ放電処置する/ガンマー線や電子線を照射する/アルカリ金属等の還元剤で処理する方法、フッ素系樹脂製多孔膜にアルコール等の親水性有機溶媒を含浸させた後、水で置換する方法、フッ素系界面活性剤の有機溶液を含浸させた後、電子線照射や放射線架橋剤で架橋・固定化する方法、親水性モノマーをグラフト重合或いは含浸させて重合させる方法、親水性ポリマーの水溶液を含浸させた後、電子線照射や架橋剤で架橋・固定化させる方法等が一般的である。
例えば、フッ素系樹脂製多孔膜をコロナ放電やプラズマ放電処置する/ガンマー線や電子線を照射する/アルカリ金属等の還元剤で処理する方法、フッ素系樹脂製多孔膜にアルコール等の親水性有機溶媒を含浸させた後、水で置換する方法、フッ素系界面活性剤の有機溶液を含浸させた後、電子線照射や放射線架橋剤で架橋・固定化する方法、親水性モノマーをグラフト重合或いは含浸させて重合させる方法、親水性ポリマーの水溶液を含浸させた後、電子線照射や架橋剤で架橋・固定化させる方法等が一般的である。
本発明に使用される高分子多孔質基材が炭化水素系樹脂である場合、高分子多孔質基材として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリスルフィド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレン、ポリエーテル、ポリエーテルイミド、ポリエーテルアミド等を用いることができる。
材料としては、熱的安定性の面から例えばポリカーボネート、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリスルフィド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリフェニレン、ポリエーテル、ポリエーテルイミド、ポリエーテルアミドを用いることができるがこれらに限定されない。
材料としては、熱的安定性の面から例えばポリカーボネート、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリスルフィド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリフェニレン、ポリエーテル、ポリエーテルイミド、ポリエーテルアミドを用いることができるがこれらに限定されない。
本発明に使用される高分子多孔質基材は、上記記載のフッ素系樹脂材料又は炭化水素系樹脂を2種類以上使用してもよい。
高分子多孔質基材の細孔の中に無機酸化物(B)単独もしくはスルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)とを併せて充填、固定化、保持するために必要に応じて極性基を有する低分子化合物の存在下で、金属−酸素結合を有する無機酸化物(B)を充填、固定化、保持しても良い。
極性基を有する低分子化合物とはエーテル基、エステル基、カルボン酸基、スルホン酸基、燐酸基、硫酸エステル基、チオール基、アミノ基、アンモニウム基等の極性基を持つ分子量50から5000の化合物をいう。
具体的にはステアリルカルボン酸及びその塩などの長鎖アルキル基をもつカルボン酸及びその塩、スルホン酸及びその塩、リン酸及びその塩、ドデシルアルコールなどの長鎖アルキル基をもつ脂肪族、芳香族、脂環族などのアルコール類、ジオクチルフタレートなどのフタール酸エステル類などである。
極性基を有する低分子化合物とはエーテル基、エステル基、カルボン酸基、スルホン酸基、燐酸基、硫酸エステル基、チオール基、アミノ基、アンモニウム基等の極性基を持つ分子量50から5000の化合物をいう。
具体的にはステアリルカルボン酸及びその塩などの長鎖アルキル基をもつカルボン酸及びその塩、スルホン酸及びその塩、リン酸及びその塩、ドデシルアルコールなどの長鎖アルキル基をもつ脂肪族、芳香族、脂環族などのアルコール類、ジオクチルフタレートなどのフタール酸エステル類などである。
また、高分子多孔質基材の細孔の中に無機酸化物(B)及び/又はスルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)を均一に分散させるために、適切な溶媒としては、カーボネート系溶媒、芳香族ニトリル系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、ラクトン系溶媒、アミド系溶媒、フェノール系溶媒、スルホン系溶媒、スルホキシド系溶媒、リン酸エステル溶媒などから適切なものを選ぶことができるがこれらに限定されるものではない。特に、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、炭酸ビニレン、(メタ)アクリロイルカーボネート、ベンゾニトリル、トルニトリル、メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラハイドロフラン、アセトン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、フェノール、クレゾール等が好ましく用いられる。これらの溶媒は、可能な範囲で複数を混合して使用してもよい。
上記高分子多孔質基材への上記無機酸化物(B)及び/又はスルホン酸基含有ポリエーテルスルホンの含浸方法は、特に限定されるものではなく、例えば(1)及び(2)のようにして含浸、保持できる。
(1)まず細孔中にスルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)を形成するためのモノマー及び/又はオリゴマーを保持する。即ち、スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)を形成するためのモノマー及び/又はオリゴマーをそのまま又は溶媒に溶かした溶液を準備する。ここで、溶媒はモノマー及び/又はオリゴマーが溶解するものであれば特に制限は無く、例えば、トルエン、アセトン、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)及びジメチルアセトアミド(DMAc)等を使用することができる。このモノマー及び/又はオリゴマー、あるいはこれらを含む溶媒溶液を多孔質基材に浸漬し、上記モノマー及び/又はオリゴマーを多孔質基材の細孔中に保持させる。その後、無機酸化物(B)を形成する前駆体のゾル溶液を加え、次いで細孔中においてモノマー及び/又はオリゴマーの重合及び/又はゾル−ゲル反応を進行させる。反応条件は、特に限定はされないが、例えば60〜200℃、好ましくは、80〜150℃で1〜24時間、好ましくは2〜12時間熱処理後、さらに前記温度より高い150〜250℃、好ましくは、160〜200℃の温度に昇温し、さらに8〜64時間、好ましくは、12〜48時間保持する。反応終了後、水洗し、40〜120℃、好ましくは、80〜100℃で0.5〜10時間、好ましくは1〜5時間真空乾燥し、水を除去して有機−無機ハイブリッド材料を充填した多孔質基材を得る。
(2)あらかじめ、スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)及び金属−酸素結合を含む無機酸化物(B)からなるハイブリッド材料を含有する溶液を用意する。多孔質基材をプロトン伝導性高分子組成物の溶媒溶液に浸漬する。これにより、多孔質基材の前記細孔中に前記プロトン伝導性ハイブリッド材料が導入される。得られる溶媒溶液は、プロトン伝導性ハイブリッド材料を、例えば、5〜50重量部、好ましくは、10〜40重量部含むことが適当である。溶媒としては、例えば、トルエン、アセトン、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)及びジメチルアセトアミド(DMAc)等を使用することができる。特に、アセトンを利用することにより、多孔質基材中及び溶媒溶液中の不純物を除去することができるので好ましい。さらに、多孔質基材を浸漬する際に、減圧脱気しながら浸漬することが好ましい。
次いで、前記プロトン伝導性ハイブリッド材料を保持した前記多孔質基材を熱処理する。この熱処理によって、多孔質基材の前記細孔中に前記プロトン伝導性ハイブリッド材料がさらに導入され、かつ、溶媒が除去され、細孔中に前記プロトン伝導性ハイブリッド材料が充填・固定化される。
上記熱処理温度は、例えば、60℃〜200℃、好ましくは、80℃〜180℃の熱処理温度であることが適当である。また、熱処理時間は、少なくとも1時間、例えば、1〜36時間、好ましくは1〜30時間、より好ましくは2時間〜24時間であることが適当である。60℃以上の温度にすることにより、多孔質基材の細孔中にプロトン伝導性ハイブリッド材料をすみやかに導入・固定化することができる。また、1時間以上であれば、プロトン伝導性ハイブリッド材料が細孔中に十分浸透し、36時間以下であれば、多孔質基材が熱分解することもない。
(1)まず細孔中にスルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)を形成するためのモノマー及び/又はオリゴマーを保持する。即ち、スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)を形成するためのモノマー及び/又はオリゴマーをそのまま又は溶媒に溶かした溶液を準備する。ここで、溶媒はモノマー及び/又はオリゴマーが溶解するものであれば特に制限は無く、例えば、トルエン、アセトン、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)及びジメチルアセトアミド(DMAc)等を使用することができる。このモノマー及び/又はオリゴマー、あるいはこれらを含む溶媒溶液を多孔質基材に浸漬し、上記モノマー及び/又はオリゴマーを多孔質基材の細孔中に保持させる。その後、無機酸化物(B)を形成する前駆体のゾル溶液を加え、次いで細孔中においてモノマー及び/又はオリゴマーの重合及び/又はゾル−ゲル反応を進行させる。反応条件は、特に限定はされないが、例えば60〜200℃、好ましくは、80〜150℃で1〜24時間、好ましくは2〜12時間熱処理後、さらに前記温度より高い150〜250℃、好ましくは、160〜200℃の温度に昇温し、さらに8〜64時間、好ましくは、12〜48時間保持する。反応終了後、水洗し、40〜120℃、好ましくは、80〜100℃で0.5〜10時間、好ましくは1〜5時間真空乾燥し、水を除去して有機−無機ハイブリッド材料を充填した多孔質基材を得る。
(2)あらかじめ、スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)及び金属−酸素結合を含む無機酸化物(B)からなるハイブリッド材料を含有する溶液を用意する。多孔質基材をプロトン伝導性高分子組成物の溶媒溶液に浸漬する。これにより、多孔質基材の前記細孔中に前記プロトン伝導性ハイブリッド材料が導入される。得られる溶媒溶液は、プロトン伝導性ハイブリッド材料を、例えば、5〜50重量部、好ましくは、10〜40重量部含むことが適当である。溶媒としては、例えば、トルエン、アセトン、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)及びジメチルアセトアミド(DMAc)等を使用することができる。特に、アセトンを利用することにより、多孔質基材中及び溶媒溶液中の不純物を除去することができるので好ましい。さらに、多孔質基材を浸漬する際に、減圧脱気しながら浸漬することが好ましい。
次いで、前記プロトン伝導性ハイブリッド材料を保持した前記多孔質基材を熱処理する。この熱処理によって、多孔質基材の前記細孔中に前記プロトン伝導性ハイブリッド材料がさらに導入され、かつ、溶媒が除去され、細孔中に前記プロトン伝導性ハイブリッド材料が充填・固定化される。
上記熱処理温度は、例えば、60℃〜200℃、好ましくは、80℃〜180℃の熱処理温度であることが適当である。また、熱処理時間は、少なくとも1時間、例えば、1〜36時間、好ましくは1〜30時間、より好ましくは2時間〜24時間であることが適当である。60℃以上の温度にすることにより、多孔質基材の細孔中にプロトン伝導性ハイブリッド材料をすみやかに導入・固定化することができる。また、1時間以上であれば、プロトン伝導性ハイブリッド材料が細孔中に十分浸透し、36時間以下であれば、多孔質基材が熱分解することもない。
以上のようにして得られた膜状物は、必要に応じてこれを、公知の例えばスルホン化、クロルスルホン化、ホスホニウム化、加水分解等の処理により所望の陽イオン交換基を導入することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[合成例1]
<スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)の合成>
各試薬を105℃、4時間真空乾燥行った後、500mlのセパラブルフラスコにビス(4−クロロ−3−スルホフェニル)スルホン酸ナトリウム塩20.0g(39.3mmol)、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン 11.3g(39.3mmol)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル 15.9g(78.5mmol)並びに炭酸カリウム13.0g(94.3mmol)を入れ、さらに真空乾燥1時間行った。その後すばやく系内を窒素置換し、窒素気流下、NMP 200ml、トルエン150ml加え室温(25℃)で30分間撹拌した。その後、反応温度を160℃として、生成した水をトルエンと共沸し、水を系外に取り出した。この後反応温度を180℃として、50時間反応させた。反応混合物を5重量部塩酸水溶液中に加え、再沈殿させることによりポリマーを析出させた。析出したポリマーを精製水で洗浄し、ろ紙を用い吸引ろ過することにより得た。これを110℃の乾燥機中で8時間乾燥させポリマーAを得た。
[合成例1]
<スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)の合成>
各試薬を105℃、4時間真空乾燥行った後、500mlのセパラブルフラスコにビス(4−クロロ−3−スルホフェニル)スルホン酸ナトリウム塩20.0g(39.3mmol)、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン 11.3g(39.3mmol)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル 15.9g(78.5mmol)並びに炭酸カリウム13.0g(94.3mmol)を入れ、さらに真空乾燥1時間行った。その後すばやく系内を窒素置換し、窒素気流下、NMP 200ml、トルエン150ml加え室温(25℃)で30分間撹拌した。その後、反応温度を160℃として、生成した水をトルエンと共沸し、水を系外に取り出した。この後反応温度を180℃として、50時間反応させた。反応混合物を5重量部塩酸水溶液中に加え、再沈殿させることによりポリマーを析出させた。析出したポリマーを精製水で洗浄し、ろ紙を用い吸引ろ過することにより得た。これを110℃の乾燥機中で8時間乾燥させポリマーAを得た。
[実施例1]
合成例1で合成した0.60gのポリマーAを用い30重量%のN−メチル−ピロリドン溶液を調製した(調製溶液−1)。0.30gのチタンイソプロポキシドにアセチルアセトンを0.11g加えた後、5M硝酸水溶液0.38gを加えた溶液を調製した(調製溶液−2)。調製溶液−1と調製溶液−2を混合後に、100℃にて10分間攪拌した。その後、ガラス板状にコータを用いギャップ100μmにて塗布し、150℃で1時間処理しフイルムを作製した。作製した膜を、精製水300mlを用いて洗浄後、10重量%硫酸水溶液300mlに12時間浸した。次いで1000mlの精製水を用いて洗浄した。作製したフイルムの膜厚は、25μmであった。膜は透明であった。
合成例1で合成した0.60gのポリマーAを用い30重量%のN−メチル−ピロリドン溶液を調製した(調製溶液−1)。0.30gのチタンイソプロポキシドにアセチルアセトンを0.11g加えた後、5M硝酸水溶液0.38gを加えた溶液を調製した(調製溶液−2)。調製溶液−1と調製溶液−2を混合後に、100℃にて10分間攪拌した。その後、ガラス板状にコータを用いギャップ100μmにて塗布し、150℃で1時間処理しフイルムを作製した。作製した膜を、精製水300mlを用いて洗浄後、10重量%硫酸水溶液300mlに12時間浸した。次いで1000mlの精製水を用いて洗浄した。作製したフイルムの膜厚は、25μmであった。膜は透明であった。
[実施例2]
実施例1と同様に作製した膜を0.5M硫酸水溶液200mlに浸し、攪拌しながら80℃で24時間加熱した。その後、膜表面の水溶液をふき取った後、120℃で1時間乾燥した。その後、精製水300mlを用いて洗浄し、10重量%硫酸水溶液300mlに12時間浸した。次いで1000mlの精製水を用いて洗浄した。作製したフイルムの膜厚は、25μmであった。膜は透明であった。
実施例1と同様に作製した膜を0.5M硫酸水溶液200mlに浸し、攪拌しながら80℃で24時間加熱した。その後、膜表面の水溶液をふき取った後、120℃で1時間乾燥した。その後、精製水300mlを用いて洗浄し、10重量%硫酸水溶液300mlに12時間浸した。次いで1000mlの精製水を用いて洗浄した。作製したフイルムの膜厚は、25μmであった。膜は透明であった。
[実施例3]
0.60gのジルコニウムブトキシドをn-ブタノールに溶解した後、アセチルアセトンを0.28g加え、5M硫酸水溶液0.58gを加えた溶液を調製した(調製溶液−3)。実施例1において、調製溶液2の代わりに調製溶液−3を用いた以外は同様に作製した。作製したフイルムの膜厚は、35μmであった。膜は不透明であった。
0.60gのジルコニウムブトキシドをn-ブタノールに溶解した後、アセチルアセトンを0.28g加え、5M硫酸水溶液0.58gを加えた溶液を調製した(調製溶液−3)。実施例1において、調製溶液2の代わりに調製溶液−3を用いた以外は同様に作製した。作製したフイルムの膜厚は、35μmであった。膜は不透明であった。
[実施例4]
実施例3と同様に作製した膜を5Mりん酸水溶液200mlに浸し、攪拌しながら100℃で24時間加熱した。その後、膜表面の水溶液をふき取った後、120℃で1時間乾燥した。その後、精製水300mlを用いて洗浄し、10重量%硫酸水溶液300mlに12時間浸した。次いで1000mlの精製水を用いて洗浄した。作製したフイルムの膜厚は、20μmであった。膜はりん酸処理後透明になった。
実施例3と同様に作製した膜を5Mりん酸水溶液200mlに浸し、攪拌しながら100℃で24時間加熱した。その後、膜表面の水溶液をふき取った後、120℃で1時間乾燥した。その後、精製水300mlを用いて洗浄し、10重量%硫酸水溶液300mlに12時間浸した。次いで1000mlの精製水を用いて洗浄した。作製したフイルムの膜厚は、20μmであった。膜はりん酸処理後透明になった。
[実施例5]
0.30gのテトラエトキシシランをエタノールに溶解した溶液を調製した(調製溶液−4)。また、0.1M塩酸水溶液0.10g及び硝酸アルミニウム・9水和物0.096gを加えた溶液を調製した(調製溶液−5)。実施例1において、調製溶液−2の代わりに調製溶液−4と調製溶液−5の混合溶液を用いた以外は同様に作製した。作製したフイルムの膜厚は、29μmであった。膜は不透明であった。
0.30gのテトラエトキシシランをエタノールに溶解した溶液を調製した(調製溶液−4)。また、0.1M塩酸水溶液0.10g及び硝酸アルミニウム・9水和物0.096gを加えた溶液を調製した(調製溶液−5)。実施例1において、調製溶液−2の代わりに調製溶液−4と調製溶液−5の混合溶液を用いた以外は同様に作製した。作製したフイルムの膜厚は、29μmであった。膜は不透明であった。
[実施例6]
タングストケイ酸0.2gを精製水0.3mlに溶解した溶液を調製した(調製溶液−6)。調製溶液−1と調製溶液−6を混合後、60℃にて30分間攪拌し、ガラス板状にコータを用いギャップ100μmにて塗布し、150℃で1時間処理しフイルムを作製した。作製した膜を精製水300mlを用いて洗浄後、10重量%硫酸水溶液300mlに12時間浸した。次いで1000mlの精製水を用いて洗浄した。作製したフイルムの膜厚は、30μmであった。膜は透明であった。
タングストケイ酸0.2gを精製水0.3mlに溶解した溶液を調製した(調製溶液−6)。調製溶液−1と調製溶液−6を混合後、60℃にて30分間攪拌し、ガラス板状にコータを用いギャップ100μmにて塗布し、150℃で1時間処理しフイルムを作製した。作製した膜を精製水300mlを用いて洗浄後、10重量%硫酸水溶液300mlに12時間浸した。次いで1000mlの精製水を用いて洗浄した。作製したフイルムの膜厚は、30μmであった。膜は透明であった。
[実施例7]
合成例1で合成した0.60gのポリマーAを用い30重量%のN、N−ジメチルホルムアミド溶液を調製した(調製溶液−7)。次いでタングストケイ酸0.3gを精製水0.05mlに溶解した溶液を調製した(調製溶液−8)。調製溶液−7と調製溶液−8を混合後、60℃にて30分間攪拌し、ガラス板状にコータを用いギャップ約100μmにて塗布し、150℃で1時間処理しフイルムを作製した。作製した膜を、精製水300mlを用いて洗浄後、10重量%硫酸水溶液300mlに12時間浸した。次いで1000mlの精製水を用いて洗浄した。次いで1000mlの精製水を用いて洗浄した。作製したフイルムの膜厚は、20μmであった。
合成例1で合成した0.60gのポリマーAを用い30重量%のN、N−ジメチルホルムアミド溶液を調製した(調製溶液−7)。次いでタングストケイ酸0.3gを精製水0.05mlに溶解した溶液を調製した(調製溶液−8)。調製溶液−7と調製溶液−8を混合後、60℃にて30分間攪拌し、ガラス板状にコータを用いギャップ約100μmにて塗布し、150℃で1時間処理しフイルムを作製した。作製した膜を、精製水300mlを用いて洗浄後、10重量%硫酸水溶液300mlに12時間浸した。次いで1000mlの精製水を用いて洗浄した。次いで1000mlの精製水を用いて洗浄した。作製したフイルムの膜厚は、20μmであった。
<測定方法及び評価方法>
(i)プロトン伝導率
自作測定用プローブ(テフロン(登録商標)製)上で、得られた高分子電解質膜からなる短冊状膜試料の表面に白金板(幅:10mm)を押しあて、40℃及び80℃、相対湿度60%及び80%の恒温恒湿機中に試料及びプローブを設置し、白金板間のインピーダンスをSOLARTRON社製、1260FREQUENCY RESPONSE ANALYSERにより測定した。
測定の際には、極間距離を変化させて測定し、極間距離とC−Cプロットから見積もられる抵抗測定値をプロットした勾配から、下記の式により膜と白金線間の接触抵抗をキャンセルした導電率を算出し、当該高分子電解質膜のプロトン伝導率とした。
プロトン伝導率の計算式:
プロトン伝導率[S・cm-1]=1/(膜幅[cm]×膜厚[cm]×抵抗極間勾配[Ω・cm-1])
温度40℃、相対湿度60%、温度80℃、相対湿度60%及び80%、温度95℃、相対湿度30%におけるプロトン伝導率を測定した。
(ii)含水率
25℃、相対湿度100%における膜の含水率は以下のようにして測定した。25℃において精製水に膜を浸し、次いで膜表面の水をキムタオルで拭き取った後、即座に重量(a)を測定した。その後、150℃オーブンにて1時間乾燥を行った後の重量(b)を測定した。下記の式により25℃、相対湿度100%における含水率を算出した。
含水率(%)={(a)-(b)}×100/(b)
(iii)耐熱性試験
電解質膜を空気中、150℃オーブンにて24時間加熱した。加熱後の評価は、目視、及び折り曲げ官能試験を実施した。
○‥‥折り曲げても割れない、柔軟な膜。
×‥‥折り曲げで容易に破断、又は、膜の分解・融解
(i)プロトン伝導率
自作測定用プローブ(テフロン(登録商標)製)上で、得られた高分子電解質膜からなる短冊状膜試料の表面に白金板(幅:10mm)を押しあて、40℃及び80℃、相対湿度60%及び80%の恒温恒湿機中に試料及びプローブを設置し、白金板間のインピーダンスをSOLARTRON社製、1260FREQUENCY RESPONSE ANALYSERにより測定した。
測定の際には、極間距離を変化させて測定し、極間距離とC−Cプロットから見積もられる抵抗測定値をプロットした勾配から、下記の式により膜と白金線間の接触抵抗をキャンセルした導電率を算出し、当該高分子電解質膜のプロトン伝導率とした。
プロトン伝導率の計算式:
プロトン伝導率[S・cm-1]=1/(膜幅[cm]×膜厚[cm]×抵抗極間勾配[Ω・cm-1])
温度40℃、相対湿度60%、温度80℃、相対湿度60%及び80%、温度95℃、相対湿度30%におけるプロトン伝導率を測定した。
(ii)含水率
25℃、相対湿度100%における膜の含水率は以下のようにして測定した。25℃において精製水に膜を浸し、次いで膜表面の水をキムタオルで拭き取った後、即座に重量(a)を測定した。その後、150℃オーブンにて1時間乾燥を行った後の重量(b)を測定した。下記の式により25℃、相対湿度100%における含水率を算出した。
含水率(%)={(a)-(b)}×100/(b)
(iii)耐熱性試験
電解質膜を空気中、150℃オーブンにて24時間加熱した。加熱後の評価は、目視、及び折り曲げ官能試験を実施した。
○‥‥折り曲げても割れない、柔軟な膜。
×‥‥折り曲げで容易に破断、又は、膜の分解・融解
[比較例1]
市販のナフィオン117を用い、抵抗値を測定し得られた値からプロトン伝導率を算出した。
市販のナフィオン117を用い、抵抗値を測定し得られた値からプロトン伝導率を算出した。
[比較例2]
調製溶液−1をガラス板状にコータを用いギャップ100μmにて塗布し、150℃で1時間処理しフィルムを作製した。作製した膜を、精製水300mlを用いて洗浄後、10重量%硫酸水溶液300mlに12時間浸した。次いで1000mlの精製水を用いて洗浄した。作製したフイルムの膜厚は、25μmであった。膜は透明であった。
調製溶液−1をガラス板状にコータを用いギャップ100μmにて塗布し、150℃で1時間処理しフィルムを作製した。作製した膜を、精製水300mlを用いて洗浄後、10重量%硫酸水溶液300mlに12時間浸した。次いで1000mlの精製水を用いて洗浄した。作製したフイルムの膜厚は、25μmであった。膜は透明であった。
プロトン伝導率の結果を表1に示した。
表1に示すように本発明のプロトン伝導性電解質膜は、低湿度条件でのプロトン伝導率が比較例1に比べ高い値を示し低湿度下でも使用可能で特に高温条件下において優れた電解質膜であることが分かった。
表1に示すように本発明のプロトン伝導性電解質膜は、低湿度条件でのプロトン伝導率が比較例1に比べ高い値を示し低湿度下でも使用可能で特に高温条件下において優れた電解質膜であることが分かった。
実施例1で作製した膜の表面及び断面を走査型電子顕微鏡により観察したところ、0.1〜50μmの細孔が無数に存在していることが確認できた。膜を150℃で処理した際に、水やアルコールなどの溶媒が揮発する際に形成され、細孔には水が保持されやすい。そのため、適度な数の細孔が存在することで保水性に優れた膜を得ることができた。
実施例1〜7で作製した膜の表面を走査型電子顕微鏡により観察したところ、無機酸化物粒子の粒径は0.5nm〜50μmであることが分かった。
含水率の測定結果を表1に示した。実施例1〜7はすべて高い含水率を示し、実施例6および7は特に含水率に優れており、この含水率の高さがプロトン伝導率向上の要因の一つである。
強いブレンステッド酸である無機酸化物(B)を添加した実施例2及び5〜7については高いプロトン伝導率を示した。
150℃における耐熱試験の結果を表1に示した。実施例1〜7は150℃で24時間処理後においても、膜の形状に変化は見られなかった。比較例2は軟化温度が250℃付近であるため耐熱性に優れており、耐熱試験後において変化は見られなかった。
フッ素系膜(比較例2)においては95℃におけるプロトン伝導率は高いものの、150℃の耐熱試験においてスルホン酸基の脱離による膜の変質が確認された。また、高温領域(100℃以上)では不可逆的な反応を伴うことが知られている。そのため、フッ素系膜は100℃以上の高温において長時間使用することは不可能である。
Claims (13)
- スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)と金属−酸素結合を有する無機酸化物(B)を含有するプロトン伝導性電解質膜。
- スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)と金属−酸素結合を有する無機酸化物(B)は、水素結合により結合している請求項1記載のプロトン伝導性電解質膜。
- 金属−酸素結合を有する無機酸化物(B)が酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ケイ素から選ばれる一種以上の無機酸化物である請求項1又は2記載のプロトン伝導性電解質膜。
- 金属−酸素結合を有する無機酸化物(B)がタングストリン酸、タングストケイ酸、またはモリブドリン酸から選ばれる一種以上のヘテロポリ酸であることを特徴とする請求項1又は2記載のプロトン伝導性電解質膜。
- 金属−酸素結合を有する無機酸化物(B)が硫酸イオンを固定化した金属酸化物である請求項1〜4いずれか一項に記載のプロトン伝導性電解質膜。
- 金属−酸素結合を有する無機酸化物(B)がリン−酸素−金属結合を有する無機化合物である請求項1〜5いずれか一項に記載のプロトン伝導性電解質膜。
- 金属−酸素結合を有する無機酸化物(B)の粒径が0.5nm〜50μmであることを特徴とする請求項1〜6いずれか一項に記載のプロトン伝導性電解質膜。
- 0.1〜10μmの細孔を含有する請求項1〜7いずれか一項に記載のプロトン伝導性電解質膜。
- 25℃、水中における含水率が20〜50重量%であり、また、40℃、相対湿度60%におけるプロトン伝導率が4×10−3S/cm以上、95℃、相対湿度30%におけるプロトン伝導率が5×10−4S/cm以上である請求項1〜8いずれか一項に記載のプロトン伝導性電解質膜。
- スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)を含有する有機溶媒中において金属−酸素結合を有する無機酸化物(B)をゾル−ゲル法により合成することを特徴とする請求項1〜9いずれか一項に記載のプロトン伝導性電解質膜の製造法。
- スルホン酸基含有ポリエーテルスルホン(A)を含有する有機溶媒とヘテロポリ酸を含有する溶液を混合し、溶媒を除去することにより得られることを特徴とする請求項1〜9いずれか一項に記載のプロトン伝導性電解質膜の製造法。
- ゾル−ゲル反応を促進させる触媒として無機プロトン酸を用い、金属−酸素結合を有する無機酸化物(B)の前駆体である金属アルコキシドに対して0.0001〜1当量用いることを特徴とする請求項1〜9いずれか一項に記載のプロトン伝導性電解質膜の製造法。
- 金属−酸素結合を有する無機酸化物(B)の前駆体である金属アルコキシドにキレート化する化学改質剤を0.01〜1当量用いることを特徴とする請求項1〜9いずれか一項に記載のプロトン伝導性電解質膜の製造法。
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