JP2006153638A - ガスセンサの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 成形物中の固体電解質体用成形体が、触媒作用を有し、白金系元素を主成分とする未焼成電極の影響を受けることなく均質に第一バインダを除去することができ、さらに、固体電解質体にクラック等を有することのないガスセンサの製造方法を提供する。
【解決手段】 固体電解質体の材料である固体電解質と第一バインダとが含有された2つの固体電解質体用成形物に未焼成電極を設け、さらに、固体電解質の熱収縮率と異なる材料と第二バインダとが含有された拡散律速体用成形物を介して、この2つの前記固体電解質体用成形物を積層し、素子成形物を作成し、この素子成形物を不活性雰囲気下で加熱して固体電解質体用成形物中の第一バインダの分解を開始させ、その後、固体電解質体用成形物中の第一バインダの分解が開始する温度よりも高い所定温度で大気雰囲気に切り替えて加熱を継続する。
【選択図】 図2

Description

この発明はガスセンサの製造方法に関する。
従来、板状の固体電解質体の表裏面に触媒作用を有する白金系元素(例えばPt)を主成分とする金属材料からなる一対の電極を形成した2つのセルと、この2つのセルの間に形成される測定室と、測定室と外部とを遮蔽する絶縁体と、測定室と外部とを連通し、ガス拡散律速を行う拡散律速体とを有するガスセンサが知られている。この種のガスセンサは酸素センサ等に使用され、酸素センサの場合には、一方のセルを酸素ポンプセル、他方のセルを酸素濃淡検出セルとして使用している。(特許文献1参照)
このガスセンサは、次のように製造している。まず、固体電解質体の材料である固体電解質と第一バインダとが含有され、焼成後には固体電解質体となる2つの固体電解質体成形物に、焼成後には電極となるとなる金属ペースト(未焼成電極に相当)、例えば白金ペーストをそれぞれ厚膜印刷する。そして、この2つの固体電解質体成形物を焼成後に絶縁体となる絶縁体用成形物、及び、固体電解質とは熱収縮率が異なる材料と第二バインダとが含有され、焼成後に拡散律速体となる拡散律速体用成形物を介して積層させることにより素子成形物を形成する。次いで、この素子成形物を空気中で一体焼成することにより、ガスセンサを製造している。
特開2002−228361号公報
ところで、一般的に上記素子成形物を焼成する前には、例えば、その素子成形物を空気中で最高加熱温度450℃に到達するまで毎時20℃で昇温し、その後に1時間保持するという方法で、固体電解質体成形物中の第一バインダ、または、拡散律速体成形物中の第二バインダをそれぞれ除去する脱バインダ工程が行われている。
しかしながら、この脱バインダ工程を空気中で行うと、未焼成電極中のPtが触媒作用を有するが故に未焼成電極周辺における第一バインダの酸化分解が選択的に促進される傾向にある。よって、固体電解質体用成形物のうち未焼成電極周辺の部分が他の部分よりも優先的に第一バインダが除去されることにより、焼成後の固体電解質体にゆがみが発生することがあった。その結果、電極の断裂、または電極周辺における固体電解質体にクラック等が発生することがある。
そこで、上記問題を解決するために脱バインダ工程の際に昇温速度を極端に遅くして固体電解質体用成形物中の第一バインダをムラなく酸化分解させることが考えられるが、そうすると、ガスセンサの生産性が低下するという別の新たな問題が発生する。
そこで、本発明者等が検討の結果、脱バインダ工程時には素子成形物を実質的に不活性雰囲気下で加熱することで、触媒作用が働くことなく、未焼成電極周辺における第一バインダの除去の助長が抑制されることが分かった。これにより、均一に第一バインダの除去が行われ、その結果として固体電解質体にゆがみが生じにくくなり、ひいては電極の断裂、電極周辺における固体電解質体のクラックの発生が抑制できる。
なお、不活性雰囲気としては、酸化雰囲気ではなく、また固体電解質体と反応するガス雰囲気でなければ特に制限がなく、固体電解質体の種類に応じて不活性雰囲気が選択され、通常は窒素雰囲気、及びアルゴン等の希ガス雰囲気が選択される。ここで「実質的に不活性雰囲気」とは、この発明の目的を阻害しない限り、酸素等の活性なガスの存在を許容することを意味し、通常、そのような酸素の許容含有量は多くとも1%である。
しかしながら、不活性雰囲気下で素子成形物の脱バインダ工程を行うと、その後の焼成工程を経た素子の拡散律速体の内部又は拡散律速体とこれを挟み込む固体電解質体との境界にて積層間クラックが生じることがある。これは、発明者等の検討によると、以下のような理由だと考えられている。
つまり、上述したような2つの固体電解質体用成形物が絶縁体用成形物、及び、拡散律速体用成形物を介して積層された状態で脱バインダ工程を行うと、固体電解質体用成形物と拡散律速体用成形物との熱収縮率の違いにより、脱バインダ工程後の素子成形物の脱バインダ体には応力が発生する。
このとき、従来では脱バインダ工程を空気中で行うと、脱バインダ後の固体電解質体用成形物の脱バインダ体及び拡散律速体用成形物の脱バインダ体は、それぞれ含有する第一バインダ、第二バインダが除去され多孔質体となる。この多孔質体は、上記応力を逃がすことができるため、従来の素子は、積層間クラック等が生じることを抑制できると考えられている。
一方、脱バインダ工程を不活性雰囲気下で行うと、第一バインダ及び第二バインダの一部は除去されずに炭化し、脱バインダ工程後の固体電解質体用成形物の脱バインダ体中及び拡散律速体用成形物の脱バインダ体中に残留することとなる。すると、それぞれの脱バインダ体には、上記応力が残留しやすい状態となり、積層間クラックが生じると考えられるのである。
そこで、この発明の目的は、素子成形物中の固体電解質体用成形物が、触媒作用を有する白金系元素を主成分とする未焼成電極の影響を受けることなく均質に第一バインダを除去することができるとともに、拡散律速体の内部または拡散律速体と固体電解質体との境界にクラック等が発生することを抑制するガスセンサの製造方法を提供する。
発明者等の更なる検討の結果、板状の固体電解質体に、触媒作用を有し、白金族元素を主成分とする一対の電極が設けられた2つのセルと、該2つのセルの間に形成され、一対の電極のそれぞれ一方が配置される測定室と、上記2つのセルの間に形成され、前記測定室と外部とを遮蔽する絶縁体と、前記測定室と外部とを連通し、ガス拡散律速を行う多孔質の拡散律速体と、を備えるガスセンサの製造方法において、
前記固体電解質体の材料である固体電解質と第一バインダとが含有され、焼成後に前記固体電解質体となる2つの固体電解質体用成形物に、それぞれ、焼成後に前記電極となる未焼成電極を設け、
さらに、焼成後に前記絶縁体となる絶縁体用成形物、及び、前記固体電解質の熱収縮率と異なる材料と第二バインダとが含有され、焼成後に拡散律速体となる拡散律速体用成形物を介して2つの前記固体電解質体用成形物を積層させて素子成形物を作成し、
この素子成形物を不活性雰囲気下で加熱して前記固体電解質体用成形物中の第一バインダの分解を開始させ、その後、前記固体電解質体用成形物中の第一バインダの分解が開始する温度よりも高い所定温度で大気雰囲気に切り替えて加熱を継続することを特徴とする。
このように、脱バインダ工程中に不活性雰囲気から大気雰囲気に切り替えて加熱を継続すると、固体電解質用成形物中及び拡散律速体用成形物中で炭化した第一バインダ、第二バインダが、その後の大気雰囲気での脱バインダ工程にてそれぞれ除去される。よって、脱バインダ工程後の固体電解質体用形成物の脱バインダ体及び拡散律速体用成形物の脱バインダ体は多孔質体となる。すると、焼成後の拡散律速体の内部、又は拡散律速体と固体電解質体との境界にてクラックが生じることを抑制することができる。
なお、固体電解質体用成形体内の第一バインダの分解が開始する温度(以後、分解開始温度とも言う)よりも高い所定温度で不活性雰囲気から大気雰囲気で切り替える。分解開始温度以前の温度で不活性雰囲気から大気雰囲気で切り替えると、触媒作用が働き、未焼成電極周辺における固体電解質体用成形物の第一バインダが優先的に酸化分解され除去されることにより、固体電解質体用成形物のゆがみが発生する虞がある。
また、「分解開始温度よりも高い所定温度」は、高温にすればするほど、上記効果をより得ることができ、脱バインダ工程時に、固体電解質体用成形物中の第一バインダが60〜90%分解する温度で不活性雰囲気から大気雰囲気に切り替えることが最も好ましい。但し、固体電解質体用成形物中の第一バインダが約90%分解する温度以上で切り替えてもこれ以上の効果は得られにくく、脱バインダ工程の時間が増加し、ガスセンサの生産性が低下することがある。
一方、不活性雰囲気で固体電解質体用成形物内の第一バインダの分解を開始させればよく、したがって分解開始温度以前の加熱温度下では不活性雰囲気である必要はない。つまり脱バインダ工程のために加熱を開始する以前に不活性雰囲気としておき、次いで脱バインダ工程のために加熱を開始しても良いし、大気雰囲気の状態で脱バインダ工程のために加熱を開始し、分解開始温度以前に不活性雰囲気とし、その後、第一バインダの分解が開始されてもよい。
さらに、本発明のガスセンサの製造方法は、大気雰囲気に切り替えて加熱を継続した際における最高加熱温度が、300〜800℃の範囲内に設定されることが良い。最高加熱温度が前記範囲内にあると、固体電解質体用成形体に存在する第一バインダの少なくとも70質量%が除去されることができる。換言すると、この発明の方法においては、脱バインダ工程後における第一バインダの量は、多くとも30質量%が許容される。これは、脱バインダ工程後に得られる固体電解質体用成形物の脱バインダ体中に残留するバインダの残留量が30質量%を越えると、固体電解質体用成形物の脱バインダ体を本焼結した場合に、固体電解質にクラックの発生及び形状変形等の起こる虞がある。つまり、脱バインダ工程にて70質量%以上の第一バインダを除去することにより、良好な焼結構造体を得ることができる。
さらに、本発明のガスセンサの製造方法は、第一バインダまたは第二バインダが有機系バインダを含んで成ることが良い。この有機系バインダを含むことで所定の固体電解質体用成形物及び拡散律速体用成形物を成形することができる。この有機系バインダとしては、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、アセチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリビニルエーテル等を挙げることができる。また、第一バインダ及び第二バインダが可塑剤を含んでなることが良い。この可塑剤としては、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、脂肪酸エステル、流動パラフィンを上げることができる。この中で、特にポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール及びポリビニルブチラール等が好ましい。
さらに、この第一バインダは、固体電解質体中の含有量が、その主体となる固体電解質を100重量部としたときの少なくとも10質量部であることが良く、好ましくは10〜20質量部である。第一バインダの含有割合が前記範囲内にあると、特に焼結に供される固体電解質体用成形物の形状を良好な状態に保持することができる。
さらに、この第二バインダは、拡散律速体中の含有量が、その主体となる固体電解質と熱収縮率の異なる材料を100重量部としたときの少なくとも10質量部であることが良く、好ましくは12〜25質量部である。第二バインダの含有割合が前記範囲内にあると、特に焼結に供される拡散律速体用成形物の形状を良好な状態に保持することができる。
この発明におけるガスセンサ1の実施形態を図1及び図2に示す。実施形態のガスセンサ1は、例えば、自動車の排気系に取り付けられ、空燃比を広範囲にわたって検出できる全領域空燃比センサである。図1はガスセンサ1の構造を示す横断面図であり、図2は図1に示すガスセンサ1に取り付けられたガスセンサ素子100を分解した状態を示す分解斜視図である。
図1に示すように、ガスセンサ1は、排気ガス中の酸素濃度を検出するガスセンサ素子100、ガスセンサ素子100に積層されるセラミックヒータ2、ガスセンサ素子100などを内部に保持する主体金具3、主体金具3の先端部に装着されるプロテクタ4等を有している。なお、本実施形態において、図1に示すガスセンサ素子100の軸に沿う方向のうち、測定ガス(排気ガス)に晒される側(図中の下側)を「先端側」とし、これと反対方向(図中の上側)に向かう側を「後端側」として説明する。
ガスセンサ素子100は、後述するように、長板状に形成された複数のグリーンシートなどを積層して構成され、軸線方向に延びるようにして配置されている。また、このガスセンサ素子100に貼り合わせ層(図示せず)を介してセラミックヒータ2が積層されている。このセラミックヒータ2は、軸線方向に延びるように配置されており、複数のアルミナグリーンシートの内部にPtを主体とする発熱抵抗体を備える。また、このセラミックヒータ2は、後述するヒータ用リード線11、12を介して通電されることにより、発熱抵抗体が発熱してガスセンサ素子100を早期に活性させる。
さらに、ガスセンサ素子100の後端側には、支持碍管19が接着されている。この支持碍管19は、ガスセンサ素子100の軸線方向と平行に延設され、その延設された軸線方向と直交する方向の断面が略コ字形状を有する部材である。なお、支持碍管19の凹面側がガスセンサ素子100の側面側に向けて接着されている。この支持碍管19の材質には、後述するシール部材65を構成するガラス成分の熱膨張率に近い材質、具体的には、アルミナが使用される。この支持碍管19は、ジルコニアを主体とするガスセンサ素子100とシール部材65との熱膨張差によるガスセンサ素子100へのクラックの発生を抑制するために設けられている。
次に、主体金具3はSUS430製で、ガスセンサ1を内燃機関の排気管に取り付けるための雄ねじ部31と、排気管の取り付け部への取り付け時に取り付け工具をあてがう六角部32を有している。また、主体金具3には、径方向内側に向かって突出する金具側段部33が設けられており、この金具側段部33にパッキン5を介してガスセンサ素子100と絶縁を図るためのアルミナ製の円筒部材6が支持される。具体的には、円筒部材6の径方向外側に向かって突出する突出部61が金具側段部33に支持される。一方、突出部の後端側における主体金具3の内面と円筒部材6の外面との間には、滑石からなる充填部材34が配設され、さらにこの充填部材34の後端側にスリーブ35が主体金具3に内挿された状態で配置される。
また、円筒部材6の内部には、アルミナ製のホルダ62と、ホルダ62とガスセンサ素子100及びセラミックヒータ2を固定するための接着部材63とが先端側から順に配置されている。さらに、円筒部材6とガスセンサ素子100及びセラミックヒータ2との間に充填される滑石粉末からなる第2充填部材64と、その後端側において、センサ素子100及びセラミックヒータ2を取り囲むように配置されるガラスからなるシール部材65を有する。なお、本実施形態の第2充填部材64は、ガラス成分を12wt%含有する活性混合粉末を溶融、固化させたものである。また、本実施形態のシール部材65は、結晶化ガラス粉末(シリカ、ホウ酸亜鉛マグネシウム系ガラス)を溶融、固化することで形成されている。
さらに、主体金具3の後端側内側には、SUS304製の内筒部材7の先端側が挿入されている。この内筒部材7は、先端側の拡径した開口端部71を主体金具の後端側内部に挿入した状態で、主体金具3の金具側後端部36を内側先端方向に加締めることで、主体金具3に固定されている。なお、ガスセンサ1においては、主体金具3の金具側後端部36を加締めることを通じて、充填部材34がスリーブ35を介して圧縮充填される構造になっている。また、内筒部材7は、円筒部材6の後端部を保護している。さらに、内容部材7は、後端側に配置されるセパレータ9を先端側から支持している。
内筒部材7は、軸線方向における略中間位置に内筒段付き部74が形成されており、内筒段付き部74よりも先端側が内筒先端側胴部72として形成され、内筒段付き部74よりも後端側が内筒後端側胴部73として形成される。内筒後端側胴部73は内筒先端側胴部72よりも縮径されている。
外筒部材8は、SUS304製で筒状に形成されており、先端側に内筒部材7に対して後端側から同軸状に連結される外筒先端側部81、後端側に後述するセパレータ9を内部に保持する外筒後端側部82、外筒先端側部81と外筒後端側部82を繋ぐ外筒段部83が形成される。この外筒後端側部82は外筒先端側部81よりも縮径されており、その内径は、後述するセパレータ9の外径よりも若干大きく形成されている。
この外筒部材8と内筒部材7とは、外筒先端側部81が内筒先端側胴部72に対し外側から重なりを生じるように配置されており、その重なり部の少なくとも一部が周方向の内側に向けて加締められることで、連結加締め部10が形成されている。
一方、主体金具3の先端側外周には、ガスセンサ素子100の主体金具3の先端から突出する先端部を覆うと共に、複数のガス取り入れ孔を有する金属製のプロテクタ4が溶接によって取り付けられている。このプロテクタ4は、二重構造からなり、外側には、一様な外径を有する有底円筒状の外側プロテクタ41、内側には、後端部の外径が先端部の外径よりも大きく形成された有底円筒状の内側プロテクタ42が配置されている。尚、内側プロテクタ42の底部の外面は、外側プロテクタ41の底部の内面にスポット溶接されており、外側プロテクタ41と内側プロテクタ42とは、一体化されている。
また、外筒部材8の外筒後端側部82の内部には、セパレータ9が挿入配置されている。このセパレータ9には、ヒータ用リード線11、12と素子用リード線13、14、15とを挿入するためのセパレータリード線挿通孔91が先端側から後端側にかけて貫通するように形成されている。
また、セパレータリード線挿入孔91内にヒータ用リード線11、12および素子用リード線13、14、15と、後述するガスセンサ素子100の外部端子120、121、140及びセラミックヒータ2の外部端子と接続する接続端子16とを接続する接続部材17が収容され保護されている。なお、これらヒータ用リード線11、12および素子用リード線13、14、15は、外部において、図示しないコネクタに接続される。このコネクタを介してECU等の外部機器と各リード線11、12、13、14、15とは電気信号の入出力が行われことになる。また、各リード線11、12、13、14、15は詳細に図示しないが、導線を樹脂からなる絶縁皮膜にて被覆した構造を有している。
さらに、セパレータ9の後端側には、外筒部材8の後端側の開口部を閉塞するための略円柱状のゴムキャップ18が配設されている。このゴムキャップ18は、外筒部材8の外筒後端側部82の内側に装着された状態で、外筒部材8の外周を径方向内側に向かって加締めることにより、外筒部材8に固着される。また、ごムキャップ18にも、ヒータ用リード線11、12と素子用リード線13、14、15とを挿入するための挿通孔が先端側から後端側にかけて貫通するように形成されている。
次に、本発明の主要部であるガスセンサ素子100について詳細に説明する。ガスセンサ素子100は、図2に示されるように、酸素ポンプセル101と酸素濃度検出セル102とを備える。酸素ポンプセル101は、第1固体電解質体110と、その第1固体電解質体110の両面に形成されたポンピング電極111、112と、このポンピング電極111、112から第1固体電解質体110の長手方向に沿って延びる導体リード部113、114から形成されている。
そして、導体リード部113の端末は、外部回路接続用の外部端子120に接続される。また、図2に示されるように、導体リード部114の端末は、第1固体電解質体110を貫通するスルーホール115を介して、外部端子121に接続される為の信号取り出し用端子116と接続される。
一方、酸素濃度検出セル102は、第2固体電解質体130と、その第2固体電解質130の両面に形成された測定電極131及び基準電極132と、この測定電極131及び基準電極132から第2固体電解質体130の長手方向に沿って延びる導体リード部133、134から形成されている。
そして、図2に示されるように、導体リード部133の端末は、外部端子120に接続される。また、導体リード部134の端末は、外部端子140に接続される。
第1固体電解質体110、第2固体電解質体130は、ジルコニア(ZrO)に安定化剤としてイットリア(Y)又はカルシア(CaO)を添加してなる部分安定化ジルコニア焼結体から構成されている。
ポンピング電極111、112、導体リード部113、導体リード部114、信号取り出し端子116、測定電極131、基準電極132、導体リード部133及び導体リード部134は、白金族元素で形成することができる。これらを形成する好適な白金族元素としては、Pt、Rh、Pd等を挙げることができ、これらはその一種単独を使用することもできるし、又二種以上を併用することもできる。
もっとも、ポンピング電極111、112、導体リード部113、導体リード部114、信号取り出し端子116、測定電極131、基準電極132、導体リード部133及び導体リード部134は、耐熱性及び耐酸化性を考慮するとPtを主体にして形成するのがより一層好ましい。さらに、ポンピング電極111、112、導体リード部113、導体リード部114、信号取り出し端子116、測定電極131、基準電極132、導体リード部133及び導体リード部134は、主体となる白金族元素の他にセラミック成分を含有するのが、好ましい。このセラミック成分は、第1固体電解質体110の主体と成る成分と同様の成分であることが、固着という観点から、好ましい。
そして、上記酸素ポンプセル101と酸素濃度検出セル102との間に、絶縁層150が形成されている。この絶縁層150には、ポンピング電極111及び測定電極131に対応する位置にガス検出室151が形成されている。このガス検出室151は、絶縁層150の幅方向で外部と連通しており、該連通部分には、外部とガス検出室151との間のガス拡散を所定の律速条件下で実現する拡散律速体152が配置されている。
この絶縁層150は、絶縁性を有するセラミック焼結体であれば特に限定されなく、例えば、アルミナやムライト等の酸化物系セラミックを挙げることができる。
拡散律速体152は、アルミナからなる多孔質体であり、拡散律速体152によって検出ガスがガス検出室151への流入する際の律速が行われる。また、拡散律速体152には、リン酸カルシウム等が充填され、検出ガス中に含まれるリン等によって拡散律速体152が目詰まりすることを抑制する。
また、第1固体電解質体110の表面には、ポンピング電極112を挟み込むようにして、ポンピング電極112自身を被毒から防御するための多孔質状の電極保護層160が形成されている。また、導体リード部114を挟み込むようにして、第1固体電解質体110を保護するための絶縁保護層161が形成される。一方、第2固体電解質体130の表面には、基準電極132を挟み込むようにして、ガスセンサ素子100の強度を保つための基体170が形成される。
この基体170は、第1固体電解質体110、第2固体電解質体130と同様に、ジルコニア(ZrO)に安定化剤としてイットリア(Y)又はカルシア(CaO)を添加してなる部分安定化ジルコニア焼結体から構成されている。
以上に詳述したガスセンサ素子100において、第1固体電解質体110及び第2固体電解質体130それぞれが、本発明における固体電解質体の一例であり、ガス検出室151が本発明における測定室の一例であり、拡散律速体152が本発明における拡散律速体の一例であり、ポンピング電極111、112、導体リード部113、導体リード部114、信号取り出し端子116、測定電極131、基準電極132、導体リード部133及び導体リード部134それぞれが本発明における電極の一例である。
次に、上記構成のガスセンサ素子100の製造方法について説明する。まず第1固体電解質体110及び第2固体電解質体130となる第1固体電解質体用成形物及び第2固体電解質体用成形物を形成する。ジルコニアと第一バインダとを共に混錬した生素地を用い、所定個の第1固体電解質体110及び第2固体電解質体130を切り出すことができる大きさの第1固体電解質体成形物及び第2固体電解質体成形物を形成する。
なお、第一バインダとしては、有機系のバインダを挙げることができる。この有機系のバインダとしては、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、アセチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリビニルエーテル等を挙げることができる。この中で、特にポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール及びポリビニルブチラール等が好ましい。また、さらに可塑剤を入れても良く、可塑剤としては、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、脂肪酸エステル、流動パラフィンを上げることができる。
また、第1固体電解質体成形物及び第2固体電解質体成形物における第一バインダの含有量は、それぞれ第1固体電解質体または第2固体電解質体の材料である固体電解質100質量部に対して少なくとも10質量部であり、好ましくは10〜20質量部である。第一バインダの含有割合が前記範囲内にあると、特に焼結に供される第1固体電解質体または第2固体電解質体の形状を良好な状態に保持することが容易である。
さらに、第1固体電解質体成形物及び第2固体電解質体成形物は、この発明の目的を阻害しない限り、それぞれの材料である固体電解質及び第一バインダのほかに、焼結調整剤を含有することができる。この焼結調整剤としては、例えば、MgO、Al2O3、B2O3、CaCO3、SiO2等を挙げることができる。また、この第1固体電解質体成形物及び第2固体電解質体成形物は、この発明の目的を阻害しない限り、他の添加剤例えば分散剤、アルコール類、油脂等を含有することができる。
なお、第1固体電解質体成形物及び第2固体電解質体成形物は、其々の材料である固体電解質と第一バインダとを含有しさえすれば各種の製法で形成されてもよく、通常は、固体電解質と第一バインダと必要に応じて添加される焼結調整剤及び各種の添加剤とからスラリーを形成し、得られるスラリーを用いてシート形状に成形することにより得ることができる。
なお、固体電解質の平均粒径としては通常、大きくても5μmであり、好ましくは0.4〜3μmである。粒子の平均粒径が前記範囲内にあると、シートの形状の第1固体電解質体成形物及び第2固体電解質体成形物に良好に形成することができ、しかも後述するガスセンサ素子成形物を脱バインダしても第1固体電解質体成形物及び第2固体電解質体成形物の脱バインダによる容積収縮を低く抑制することができ、換言すると、形状変形を小さくすることができる。製造されたスラリーを用いてシート形状の第1固体電解質体成形物及び第2固体電解質体成形物を製造するには、ドクターブレード法、機械プレス成形法、静水圧成形法、鋳込み成形法、押出し成形法、及び射出成形法等を採用することができる。
そして、上記で作製した第1固体電解質体成形物に酸素ポンプセル101所定個分のスルーホール115となる貫通孔を形成した。ついで、第1固体電解質体成形物の表面に、Ptを主体とする導電ペーストを所定のパターンに印刷し、乾燥させて、ポンピング電極111、112、導体リード部113、リード電極114、信号取り出し端子116となる未焼成電極を形成する。また、スルーホール15となる貫通孔の内壁面に対して導電ペーストを施した。これにより、酸素ポンプセル101を所定個切り出すことができる大きさの酸素ポンプセル用成形物を得た。なお、未焼成電極の形成は、第1固体電解質体用成形物の表面に、例えばスクリーン印刷等により、行うことができる。
一方、上記で作製した第2固体電解質体成形物の表面に、Ptを主体とする導電ペーストを所定のパターンに印刷し、乾燥させて、測定電極131、基準電極132、導体リード部133、リード電極134となる未焼成電極を形成する。これにより、酸素濃度検出セル102を所定個切り出すことができる大きさの酸素濃度検出セル用成形物を得た。なお、上記と同様に、未焼成電極の形成は、第2固体電解質体用成形物の表面に、例えばスクリーン印刷等により、行うことができる。
また、上記第1固体電解質体成形物または第2固体電解質体成形物と同様にして、ジルコニアとアルミナとバインダとを共に混錬した生素地を用い、所定個の基体170を切り出すことができる大きさの基体用成形物を形成する。なお、このバインダは、上記第一バインダと同じ物であっても良いし、異なるものであっても良い。
その後、基準電極132となる未焼成電極、及び外部端子140を挟み込むようにして基体用成形物に酸素濃度検出セル用成形物を積層し、減圧圧着する。一方、酸素濃度検出セル用成形物に形成された測定電極131となる未焼成電極上に、焼成後にできる空間がガス検出室151となるように、カーボン等の昇華材料を主体とするペーストを印刷し、乾燥させて所定形状のガス検出室用成形物を所定個形成する。また、焼成後にガス測定室151と外部とを連通するための拡散律速体152となるように、アルミナと第二バインダとを含有するペーストを印刷し、乾燥させて所定形状の拡散律速体用成形物を所定個形成する。
この拡散律速体用成形物を形成する材料は、上記第1固体電解質体成形物及び第2固体電解質体成形物と熱収縮率が異なる。また、第二バインダとしては、有機系のバインダを挙げることができる。この有機系のバインダとしては、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、アセチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリビニルエーテル等を挙げることができる。この中で、特にポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール及びポリビニルブチラール等が好ましい。また、さらに可塑剤を入れても良く、可塑剤としては、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、脂肪酸エステル、流動パラフィンを上げることができる。なお、この第二バインダは、上記した第一バインダと同材料であっても良いし、異なる材料であっても良い。
また、拡散律速体用成形物における第二バインダの含有量は、それぞれアルミナ100質量部に対して少なくとも10質量部であり、好ましくは12〜25質量部である。第二バインダの含有割合が前記範囲内にあると、特に焼結に供される拡散律速体の形状を良好な状態に保持することが容易である。
そして、所定個のガス検出室用成形物及び拡散律速体用成形物にマスキングし、残部の酸素濃度検出セル用成形物上にアルミナを主体とするペーストを印刷し、乾燥して絶縁体用成形物を形成した。
その後、絶縁体用成形物上に酸素ポンプセル用成形物を、ポンピング電極111及び外部端子120、121を挟み込むようにして積層し、減圧圧着した。さらに、所定のアルミナ粉末とブチラール樹脂及びジブチルフタレートからなるバインダを混合したペーストを印刷し、電極保護層160となる電極保護層用成形物を形成した。また、絶縁体用成形物と同じペーストであるアルミナを主体とするペーストを印刷し、絶縁保護層161となる絶縁保護層用成形物を所定個形成した。これにより、所定個切り出すことができるガスセンサ素子用成形物を得る。これを公知の手法により1個ずつに切断し、所定個のガスセンサ素子用成形物を作成した。なお、ガスセンサ素子用成形物に切断する方法には、特に制限はなく、型で打ち抜く方法、ブレードで切断する方法等の方法を採用することができる。「ガスセンサ素子用成形物」が本発明の素子成形物に想到する。
そして、得られたガスセンサ素子用成形物は、次に脱バインダ工程となる。この脱バインダ工程では、まず不活性雰囲気下で加熱することで、第一バインダ、第二バインダが分解され始める。この時、触媒作用が働くことなく、未焼成電極周辺における第一バインダの除去の助長が抑制されることが分かった。これにより、均一に第一バインダの除去が行われ、その結果として第1固体電解質体110及び第2固体電解質体130にゆがみが生じにくくなり、ひいては電極の断裂、電極周辺における固体電解質体のクラックの発生が抑制できる。
その後、第1固体電解質体成形物中及び第2固体電解質体成形物中の第一バインダの分解が開始する温度よりも高い所定温度で大気雰囲気に切り替えて脱バインダ工程を継続する。これにより、不活性雰囲気に第1固体電解質用成形体中、第2固体電解質用成形体中及び拡散律速体用成形体中で炭化した第一バインダ、第二バインダが、大気雰囲気で脱バインダ工程を行うことでそれぞれ除去され、脱バインダ工程後の固体電解質体用形成物の脱バインダ体及び拡散律速体用成形物の脱バインダ体は多孔質体となる。すると、焼成後の拡散律速体152の内部、又は拡散律速体152と第1固体電解質体110及び第2固体電解質体との境界にてクラックが生じることを抑制することができる。
なお、脱バインダ工程は、第一バインダ、第二バインダの除去が行われる温度範囲よりも高い最高温度、例えば300℃〜800℃にまでガスセンサ素子成形物を昇温して加熱していくことにより行われる。その際の昇温速度としては通常、5〜20℃/時間、好ましくは10〜15℃/時間である。昇温速度が前記範囲内にあると、クラックや金属部材の断裂等を発生させることなく、ガスセンサ素子成形物の脱バインダ体を得ることができる。その理由は定かではないが、上記昇温速度で脱バインダすると、成形物全体に均一な温度上昇が生じ、これによって熱によるガスセンサ素子成形物の収縮が均一に発生し、又、第一バインダ、第二バインダも均一に熱分解されるものと推定される。
脱バインダ工程を行う最高加熱温度での継続時間は通常、0.5〜10時間、好ましくは1〜4時間保持する。
脱バインダ工程は、ガスセンサ素子成形物を内部に配置したまま加熱する電気炉、遠赤外線ヒータ、ラジアントチューブ等の単独炉、及び、仮焼成形物を内部で移動させながら加熱する例えばローラハースキルン又はプッシャー炉等で行われる。
かくして得られたガスセンサ素子用成形物の脱バインダ体は、脱バインダ工程を行った未焼成電極の近傍及びその他の部位において、第1固体電解質体及び第2固体電解質体のバインダ除去が均一に行われ、また体積収縮を起こしているとしても均一な体積収縮となっている。また、脱バインダ工程後の第1固体電解質体、第2固体電解質体及び拡散律速体は多孔質体となる。
次いで、このようにして得られた脱バインダ体は、本焼結される。本焼結は、酸素含有ガス雰囲気で行うことができる。本焼結における雰囲気が、酸素含有ガス雰囲気であっても、ガスセンサ素子成形物の脱バインダ体中には第一バインダ、第二バインダが許容量範囲でしか残留せず、脱バインダ工程により第一バインダ、第二バインダが熱分解して生じたところの、ガスセンサ素子成形物の脱バインダ体中に残留する若干の炭化物が酸素含有ガス雰囲気中の酸素により燃焼するので、本焼結により特に悪影響を受けることがない。
本焼結に際する最高加熱温度は、通常1400〜1600℃、好ましくは1420〜1550℃である。また、本焼結に要する時間は、通常最高加熱温度の領域で0.5〜10時間、好ましくは1〜6時間である。
そして、本焼結を完結することにより、酸素ポンプセル101と酸素濃度検出セル102とを積層するガスセンサ素子100を得ることができる。このとき、第1固体電解質体110及び第2固体電解質酸素ポンプセル101と拡散律速体152との熱収縮率の違いによる応力をそれぞれが吸収し、拡散律速体152の内部又は拡散律速体152と第1固体電解質体110又は第2固体電解質体130との境界にてクラックが生じることを抑制することができる。
そして、ガスセンサ素子100にセラミックヒータ2を公知の手法により固着した。そして、ガスセンサ素子100の後端側に突出する外部端子120、121、140及びセラミックヒータ13の後端側に突出する外部端子と電極端子16とをそれぞれ接続した。その後、このガスセンサ素子100の先端側をホルダ62に挿入し、接着部材63にてホルダ62とガスセンサ素子100とを固着する。そして、このガスセンサ素子100付きホルダ62を円筒部材6の内部に挿入し、ホルダ62の後端側に充填部材64、シール部材65を順次充填し、円筒部材8とガスセンサ素子100とを固着した。そして、この円筒部材6を主体金具3に係合し、さらに内筒部材7の先端開口部71を主体金具3に挿入して加締める。その後、セパレータ9及びセパレータ挿通孔91に配置された接続部材17を保持した外筒部材8を内筒部材7に挿入し、重なり部を加締めることで、連結加締め部100を形成し、ガスセンサ1を作成した。なお、電極端子16と接続端子17は、外筒部材8が内筒部材7に挿入される際に、接続している。
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は実施形態に限定されることはなく、この発明の目的を達成することのできる範囲で、様々に設計変更することができる。
実施形態のガスセンサ素子用成形物を作製した。まず、第1固体電解質体成形物、第2固体電解質体成形物としてジルコニア(ZrO)粉末97質量%と、焼結調整剤としてシリカ(SiO)粉末及びアルミナ(Al)粉末合計3質量%とを配合し原料粉末を調整する。次に、この原料粉末100質量部に対し、ポリビニルブチラール(PVB)11質量部、ジブチルフタレート(DBP)6質量部、メチルエチルケトン(MEK)9質量部及びトルエン13質量部とを湿式混合分散し、溶解泥漿を得た。
この溶解泥漿を、ドクターブレード装置を使用したシート成形法により、厚さ0.4mmのシート状物に成形して第1固体電解質体用成形物及び第2固体電解質体用成形物を得た。
そして、この第1固体電解質体用成形物及び第2固体電解質体用成形物を140mm×140mmに切断し、第1固体電解質体用成形物にポンピング電極111、112、導体リード部113、リード電極114、信号取り出し端子116となる未焼成電極を、99wt%の白金及びジルコニアが含有された白金ペーストを用いて印刷し、酸素ポンプセル用成形物を得た。さらに、第2固体電解質体用成形物に、測定電極130、基準電極132、導体リード部133、リード電極134となる未焼成電極を、99wt%の白金及びジルコニアが含有された白金ペーストを用いて印刷し、酸素濃度検出セル用成形物を得た。
さらに、この酸素濃度検出セル用成形物に、ガス検出室用成形物、拡散律速体用成形物、絶縁体用成形物を印刷する。なお、ガス検出室用成形物は、カーボンのペーストである。また、拡散律速体用成形物は、アルミナ100wt%のペーストである。さらに、絶縁体用成形物は、アルミナ97wt%とシリカ、カルシア、マグネシア合計3wt%のペーストである。
そして、上記ガス検出室用成形物、拡散律速体用成形物、絶縁体用成形物が形成された酸素濃度検出セル用成形物に酸素ポンプセル用成形物を積層し、150MPaで加圧して、圧着、切断し、40個のガスセンサ素子用成形物を得た。
(実施例)
このガスセンサ素子用成形物を電気炉に400個挿入し、脱バインダ工程を行った。昇温速度は10℃/時間であった。そして、ガスセンサ素子用成形物を最高加熱温度が400℃になるまで昇温加熱した。400℃に達してからその温度で4時間維持し、その後に常温になるまで放冷し、電気炉からガスセンサ素子用成形物の脱バインダ体を取り出した。
この際、まず窒素雰囲気でガスセンサ素子用成形物が250℃に達するまでは、脱バインダ工程を行い、ガスセンサ素子用成形物が250℃に達したときに、大気雰囲気に切り替えてさらに脱バインダを行った。そして、得られたガスセンサ素子用成形物の脱バインダ体を、さらに電気炉にて最高加熱温度が1450〜1470℃になるまで昇温加熱し、さらにその温度で1時間かけて本焼結を行うことによりガスセンサ素子100を得た。
この400個のガスセンサ素子100を切断して、それぞれの断面を研磨して蛍光探傷液にて電極周辺のクラックの有無を検査したところ、電極周辺の部位でクラックの発生が認められたガスセンサ素子100はなかった。また、多孔質体152内部、あるいは多孔質体152と第1固体電解質体110との境界周辺、又は第2固体電解質130との境界周辺を蛍光探傷液にてクラックの有無を検査したところ、上記部位でクラックの発生が認められたガスセンサ素子100はなかった。
(比較例1)
実施例と同様にして得られた400個のガスセンサ素子成形物100を空気中で電気炉により脱バインダ工程を行った。脱バインダ工程に際する昇温速度、400℃に達してからその温度に維持した時間は、実施例と同様であった。
さらに、上記操作に従って、400個のガスセンサ素子用成形物の脱バインダ体を実施例と同様に、電気炉にて1450〜1470℃に1時間かけて本焼結を行って、ガスセンサ素子100を得た。
この400個のガスセンサ素子100を切断して、それぞれの断面を研磨して蛍光探傷液にて電極周辺のクラックの有無を検査したところ、電極周辺の部位でクラックの発生が認められたガスセンサ素子100の個数は、10個(不良品発生率:2.5%)であった。また、多孔質体152内部、あるいは多孔質体152と第1固体電解質体110との境界周辺、又は第2固体電解質130との境界周辺を蛍光探傷液にてクラックの有無を検査したところ、上記部位でクラックの発生が認められたガスセンサ素子100はなかった。
(比較例2)
実施例と同様にして得られた400個のガスセンサ素子成形物100を窒素雰囲気中で電気炉により脱バインダ工程を行った。脱バインダ工程に際する昇温速度、400℃に達してからその温度に維持した時間は、実施例と同様であった。
さらに、上記操作に従って、400個のガスセンサ素子用成形物の脱バインダ体を実施例と同様に、電気炉にて1450〜1470℃に1時間かけて本焼結を行って、ガスセンサ素子100を得た。
この400個のガスセンサ素子100を切断して、それぞれの断面を研磨して蛍光探傷液にて電極周辺のクラックの有無を検査したところ、電極周辺の部位でクラックの発生が認められたガスセンサ素子100はなかった。また、多孔質体152内部、あるいは多孔質体152と第1固体電解質体110との境界周辺、又は第2固体電解質130との境界周辺を蛍光探傷液にてクラックの有無を検査したところ、上記部位でクラックの発生が認められたガスセンサ素子100の個数は、350個(不良品発生率:87.5%)であった。
この発明の方法により製造するガスセンサ1の断面図である。 ガスセンサ1に取り付けられたガスセンサ素子100を分解した状態を示す分解斜視図である。
符号の説明
1・・・ガスセンサ
2・・・セラミックヒータ
3・・・主体金具
4・・・プロテクタ
6・・・円筒部材
7・・・内筒部材
8・・・外筒部材
100・・・ガスセンサ素子
101・・・酸素ポンプセル
102・・・酸素濃淡検出セル
110・・・第1固体電解質体
130・・・第2固体電解質体
150・・・絶縁層
151・・・ガス測定室
152・・・拡散律速体

Claims (5)

  1. 板状の固体電解質体に、触媒作用を有し、白金族元素を主成分とする一対の電極が設けられた2つのセルと、
    該2つのセルの間に形成され、一対の電極のそれぞれ一方が配置される測定室と、
    上記2つのセルの間に形成され、前記測定室と外部とを遮蔽する絶縁体と、
    前記測定室と外部とを連通し、ガス拡散律速を行う多孔質の拡散律速体と、
    を備えるガスセンサの製造方法において、
    前記固体電解質体の材料である固体電解質と第一バインダとが含有され、焼成後に前記固体電解質体となる2つの固体電解質体用成形物に、それぞれ、焼成後に前記電極となる未焼成電極を設け、
    さらに、焼成後に前記絶縁体となる絶縁体用成形物、及び、前記固体電解質の熱収縮率と異なる材料と第二バインダとが含有され、焼成後に拡散律速体となる拡散律速体用成形物を介して2つの前記固体電解質体用成形物を積層させて素子成形物を作成し、
    この素子成形物を不活性雰囲気下で加熱して前記固体電解質体用成形物中の第一バインダの分解を開始させ、その後、前記固体電解質体用成形物中の第一バインダの分解が開始する温度よりも高い所定温度で大気雰囲気に切り替えて加熱を継続することを特徴とするガスセンサの製造方法。
  2. 前記大気雰囲気に切り替えて加熱を継続した際における最高加熱温度は、300〜800℃の範囲内に設定されることを特徴とする請求項1に記載のガスセンサの製造方法。
  3. 前記第一バインダ及び前記第二バインダが有機系バインダを含んで成る請求項1又は2に記載のガスセンサの製造方法。
  4. 前記第一バインダは、その固体電解質体用成形物中の含有量が、固体電解質を100重量部としたときの少なくとも10質量部である請求項1〜3の何れか一項に記載のガスセンサの製造方法。
  5. 前記第二バインダは、その拡散律速体用成形物中の含有量が、前記固体電解質の熱膨張率と異なる材料を100重量部としたときの少なくとも10質量部である請求項1〜4の何れか一項に記載のガスセンサの製造方法。
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