JP2006152962A - エンジンの空燃比制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】三元触媒を備える排気系が、エンジンのシリンダヘッドに設けられる排気ポートに接続され、排ガス中の酸素濃度に応じて空燃比がリッチおよびリーンのいずれの状態にあるかを検出する酸素センサが、その検出値を空燃比制御に反映させるべく三元触媒よりも上流側で排気系に取付けられるエンジンの空燃比制御装置において、安価な酸素センサを用いて排ガス中のNOX を効果的に除去する。
【解決手段】酸素センサ33が、排気系26の一部を構成して排気ポート25に接続される排気管27に、排気ポート25の直径の10倍以内の距離を排気ポート25との間にあけるようにして取付けられる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、三元触媒を備える排気系が、エンジンのシリンダヘッドに設けられる排気ポートに接続され、排ガス中の酸素濃度に応じて空燃比がリッチおよびリーンのいずれの状態にあるかを検出する酸素センサが、その検出値を空燃比制御に反映させるべく、前記三元触媒よりも上流側で前記排気系に取付けられるエンジンの空燃比制御装置に関する。
三元触媒よりも上流側で排気管に取付けられる酸素センサによって空燃比を制御するようにしたものが、たとえば特許文献1および特許文献2で既に知られている。
特開昭59−74360号公報 特開2000−335467号公報
上記特許文献1で開示された多気筒エンジンでは、排気系のうちエンジンから離隔した排気集合管部に酸素センサが取付けられ、上記特許文献2で開示された単気筒エンジンでは、メンテナンス性やセンサ保護の観点からエンジン本体とは干渉しない空きスペースで排気管に取付けられており、いずれのものでも、酸素センサはエンジン本体の排気ポートからは離れた位置に配設されている。
ところで酸素センサは、排ガス中の酸素濃度に応じて空燃比がリッチおよびリーンのいずれの状態にあるかを検出するものであり、酸素センサから出力される電圧は、図7で示すように、空燃比がリッチおよびリーンのいずれの状態にあるかに応じて変化する。この酸素センサの出力電圧を用いた空燃比制御は、図8で示すように、酸素センサの出力とは反対側に燃料供給制御量の補正項を変化させるものであり、それにより空燃比を理論空燃比付近に収束させている。
一方、三元触媒による排ガス中のNOX 浄化率は、リッチ側の空燃比で高くなるものであり、特に、エンジンの高負荷領域では、前記浄化率が高くなる領域がよりリッチ側にシフトするものであるので、空燃比がリッチおよびリーンのいずれの状態にあるかを検出する酸素センサを用いた上記従来の空燃比制御では、排ガス中のNOX 浄化率を高めることができなかった。このような課題は、リニア空燃比センサを用いることで解決可能であるが、リニア空燃比センサは高価であり、コストの増大につながってしまう。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、安価な酸素センサを用いて排ガス中のNOX を効果的に除去し得るようにしたエンジンの空燃比制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、三元触媒を備える排気系が、エンジンのシリンダヘッドに設けられる排気ポートに接続され、排ガス中の酸素濃度に応じて空燃比がリッチおよびリーンのいずれの状態にあるかを検出する酸素センサが、その検出値を空燃比制御に反映させるべく、前記三元触媒よりも上流側で前記排気系に取付けられるエンジンの空燃比制御装置において、前記酸素センサが、前記排気系の一部を構成して前記排気ポートに接続される排気管に、前記排気ポートの直径の10倍以内の距離を前記排気ポートとの間にあけるようにして取付けられることを特徴とする。
また請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加えて、前記エンジンが搭載される自動二輪車の車体フレームは、前輪を軸支するフロントフォークを操向可能に支承するヘッドパイプと、前記エンジンの前方に配置されて前記ヘッドパイプから後下がりに延びるダウンチューブとを備え、前記酸素センサが前記ダウンチューブの近傍で前記排気管に取りつけられることを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、排気ポートの直径の10倍以内の距離を排気ポートとの間にあけるようにして酸素センサが排気管に取付けられるので、酸素センサが排気ポートに近い位置に配置されることになる。而して排気系を流通する排ガス中の残酸素量は、排気ポートから離れるにつれて次第に減少し、排気ポートからの距離が該排気ポートの直径の10倍となる位置付近から下流側では前記残酸素量がほぼ一定になることを本願の発明者が確認しており、本発明に従って酸素センサの排気管への取付け位置を上述のように設定することにより、酸素センサの出力がリーン側にシフトすることになり、その酸素センサの出力を用いた空燃比制御により、リッチ側にシフトした空燃比で燃焼した排ガスが三元触媒を流通することになるので、排ガス中のNOX を効果的に除去することができ、しかも排気ポートに近い位置に酸素センサが配設されることによって空燃比制御の応答性を向上せしめることができる。
また請求項2記載の発明によれば、酸素センサに連なるセンサコードの取りまわしを、ダウンチューブに沿ってレイアウトすることができ、センサコードの保護が容易となるとともに配線が容易となる。
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
図1は本発明を適用した自動二輪車の側面図、図2はエンジンの側面図、図3は消音器の縦断側面図、図4はエンジンの低負荷領域で三元触媒を流過した後の排ガス中のCO、HCおよびNOX の濃度を空燃比の変化に応じて示すグラフ、図5はエンジンの高負荷領域で三元触媒を流過した後の排ガス中のCO、HCおよびNOX の濃度を空燃比の変化に応じて示すグラフ、図6は排気系を流通する排ガス中の残酸素量の変化を示す図、図7は酸素センサの出力特性を示す図、図8は酸素センサの出力による燃料供給制御量の補正項の変化を示す図である。
先ず図1において、この自動二輪車の車体フレームFは、前輪WFを軸支するとともに操向ハンドル6が連結されるフロントフォーク5を操向可能に支承するヘッドパイプ7と、該ヘッドパイプ7から後下がりに延びるメインフレーム8と、該メインフレーム8よりも急傾斜で前記ヘッドパイプ7から後下がりに延びるとともに後部がほぼ水平に延びるダウンチューブ9とを備え、メインフレーム8およびダウンチューブ9の後部間を連結するピボットプレート10に、支軸14を介してリヤフォーク15の前部が上下揺動可能に支承され、該リヤフォークの15の後部に後輪WRが軸支される。
また車体フレームFの上部にはリヤクッションユニット16の上部が連結され、このリヤクッションユニット16の下部は、リンク機構17を介して前記リヤフォーク15の中間部に連結される。
車体フレームFには、単気筒のエンジンEおよび変速機Mから成るパワーユニットPが搭載されており、該パワーユニットPから出力される動力すなわち変速機Mの出力軸18から出力される動力は、チェーン式伝動手段19を介して後輪WRに伝達される。
図2を併せて参照して、前記エンジンEが備えるシリンダヘッド20の後部側面に設けられる吸気ポート21に連なる吸気系22は、燃料噴射弁23が付設されたスロットルボディ24を含む。また前記シリンダヘッド20の前部側面に設けられる排気ポート25に連なる排気系26は、前記排気ポート25に上流端が接続される排気管27と、三元触媒28を内蔵して後輪WRの右側方に配置される消音器30と、前記排気管27の下流端および前記消音器30の上流端間を接続する接続管29とを備える。
排気管27は、シリンダヘッド20の前部側面に設けられた排気ポート25からパワーユニットPの下方を通って後方に延出されるようにして彎曲形成され、後輪WRの右側に配置される消音器30に設けられるブラケット31が、支持部材32を介して車体フレームFに支持される。
図3において、消音器30のケーシング34は、後輪WRの右側で後上がりに延びる円筒状のケーシング主体35と、前方に向かうにつれて小径となるテーパ状に形成されてケーシング主体35の前端部に接合されるコーン部材36と、前記ケーシング主体35の後端に接合される蓋部材37とを備え、前記ブラケット31はケーシング主体35の上部外面に設けられる。
コーン部材36内には、三元触媒28を収容した円筒状の触媒ケース38が配置されており、この触媒ケース38の前端部はコーン部材36の前端部に嵌合される。また触媒ケース38の中間部は支持筒39でスライド可能に支持されるものであり、支持筒39は、コーン部材36の中間部内面に固着されるテーパ状の支持ステー40と、コーン部材36の後部内面に外周が固着される円板状の支持板41で固定的に支持される。しかも前記接続管29の下流端部が触媒ケース38の前端部に嵌合されており、排気管27から接続管29を経て下流側に流れる排ガスは三元触媒28を流過するようにして触媒ケース38に導入される。
前記触媒ケース38の後端部には、前記支持板41を貫通してケーシング34内を前後に延びる導管42の前端部が接合されており、この導管42の後端は、蓋部材37の近傍に配置される。しかも複数の透孔43,43…が設けられた有底円筒状のキャップ44が導管40の後端部に嵌合、固着される。
前記ケーシング主体35の内面には、その前後方向に間隔をあけて前方から順に第1,第2および第3隔壁板45,46,47が固着されており、それらの隔壁板45,46,47を貫通する前記導管42は各隔壁板45〜47でスライド可能に支持される。而してケーシング34内は、前記支持板41と、第1、第2および第3隔壁板45〜47と、蓋部材37とにより、前方側から順に第1、第2、第3および第4膨張室48,49,50,51に区画される。
導管42の後端部は、第4膨張室51内に配置されており、三元触媒28を流過して導管42内を後方に流れる排ガスは、複数の透孔43,43…から第4膨張室51に流入する。しかも第3隔壁板47には、多数の小径連通孔52,52…が設けられており、第4膨張室51に流入した排ガスは、それらの小径連通孔52,52…を通過して第3膨張室50に導かれる。
第1および第2隔壁板45,46には、両端を第1および第3膨張室48,50に開口する第1連絡管53が設けられ、第1隔壁板45には、両端を第1および第2膨張室48,49に開口する第2連絡管54が設けられる。したがって第3膨張室50に導入された排ガスは、第1連絡管53を経て第1膨張室48に導かれ、さらに第2連絡管54を経て第2膨張室49に導かれる。
第2隔壁板46には、前端を第2膨張室48に開口せしめるとともに第3隔壁板47を貫通する排出管55の前端部が固定されており、この排出管55の後端部は、ケーシング34における後端の蓋部材37に支持されて後方に開口する。しかも第4膨張室51内で排出管55の一部は外管部材56で覆われており、外管部材56および排出管55間の環状部には吸音材57が充填され、外管部材56に対応する部分で排出管55の管壁には多数の小孔(図示せず)が設けられる。
再び図1および図2に注目して、排気系26において三元触媒28すなわち消音器30よりも上流側には、図7で示すように排ガス中の酸素濃度に応じて空燃比がリッチおよびリーンのいずれの状態にあるかに応じて出力電圧を変化させる酸素センサ33が、その検出値を空燃比制御に反映させるべく取付けられるものであり、排気系26において三元触媒28よりも上流側の排気管27に、車体フレームFにおけるダウンチューブ9の近傍に位置するようにして前記酸素センサ33が取付けられる。しかも酸素センサ33に連なるセンサコード59は、その一部をダウンチューブ9に沿わせるようにして乗車用シート60の下方に延出され、乗車用シート60の下方に形成される空間に配設された制御ユニット(図示せず)に接続される。
ところで、図4および図5で示すように、三元触媒28による排ガス中のCO、HCの浄化率は空燃比(A/F)がリーン側になるにつれて高くなるのに対して、排ガス中のNOX 浄化率は空燃比(A/F)がリッチ側になるにつれて高くなるものであり、特に図5で示すように、エンジンEの高負荷領域では、NOX 浄化率が高くなる領域がよりリッチ側にシフトする。
ここで、排気系26を流通する排ガス中の残酸素量は、図4で示すように、排気ポート25から離れるにつれて次第に減少し、排気ポート25からの距離が該排気ポート25の直径Dの10倍となる位置付近から下流側では前記残酸素量がほぼ一定になるものであり、空燃比がリッチおよびリーンのいずれの状態にあるかを検出する酸素センサ33を、前記残酸素量が一定となる領域に配設すると、酸素センサ33の出力電圧を用いた空燃比制御は、図8で示すように、酸素センサ33の出力とは反対側に燃料噴射弁23からの燃料噴射制御量の補正項を変化させるものであり、空燃比を理論空燃比付近に収束させるものであるので、排ガス中のNOX 浄化率を高めることができない。
そこで、本発明によれば、酸素センサ33は、排気ポート25の直径Dの10倍以内の距離Lを排気ポート25との間にあけるようにして排気管27に取付けられ、酸素センサ33は、残酸素量が多い側すなわちリーン側の電圧を出力することになる。
次にこの実施例の作用について説明すると、エンジンEのシリンダヘッド20における排気ポート25の直径Dの10倍以内の距離Lを排気ポート25との間にあけるようにして酸素センサ33が排気管27に取付けられるので、酸素センサ33は排気ポート25に近い位置に配置されることになる。
而して排気系25を流通する排ガス中の残酸素量は、排気ポート25から離れるにつれて次第に減少し、排気ポート25からの距離が該排気ポート25の直径Dの10倍となる位置付近から下流側では前記残酸素量がほぼ一定になるので、酸素センサ33の排気管27への取付け位置を上述のように設定すると、酸素センサ33の出力がリーン側にシフトすることになり、その酸素センサ33の出力を用いた空燃比制御により、図5の矢印で示すようにリッチ側にシフトした空燃比で燃焼した排ガスが三元触媒28を流通することになる。
したがって高価なリニア空燃比センサを用いることなく、排ガス中の酸素濃度に応じて空燃比がリッチおよびリーンのいずれの状態にあるかを検出する従来からの安価な酸素センサ33を用いて、排ガス中のNOX を三元触媒28で効果的に除去することができ、しかも排気ポート25に近い位置に酸素センサ33が配設されることによって空燃比制御の応答性を向上せしめることができる。
また車体フレームFにおけるダウンチューブ9の近傍に位置するようにして前記酸素センサ33が排気管27に取りつけられるので、酸素センサ33に連なるセンサコード59の取りまわしを、ダウンチューブ9に沿ってレイアウトすることができ、センサコード59の保護が容易となるとともに配線が容易となる。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
たとえば上記実施例では単気筒のエンジンEに本発明を適用した場合について説明したが、本発明は、多気筒のエンジンにも適用可能である。
自動二輪車の側面図である。 エンジンの側面図である。 消音器の縦側面図である。 エンジンの低負荷領域で三元触媒を流過した後の排ガス中のCO、HCおよびNOX の濃度を空燃比の変化に応じて示すグラフである。 エンジンの高負荷領域で三元触媒を流過した後の排ガス中のCO、HCおよびNOX の濃度を空燃比の変化に応じて示すグラフである。 排気系を流通する排ガス中の残酸素量の変化を示す図である。 酸素センサの出力特性を示す図である。 酸素センサの出力による燃料供給制御量の補正項の変化を示す図である。
符号の説明
5・・・フロントフォーク
7・・・ヘッドパイプ
9・・・ダウンチューブ
20・・・シリンダヘッド
25・・・排気ポート
26・・・排気系
27・・・排気管
28・・・三元触媒
33・・・酸素センサ
E・・・エンジン
F・・・車体フレーム
WF・・・前輪

Claims (2)

  1. 三元触媒(28)を備える排気系(26)が、エンジン(E)のシリンダヘッド(20)に設けられる排気ポート(25)に接続され、排ガス中の酸素濃度に応じて空燃比がリッチおよびリーンのいずれの状態にあるかを検出する酸素センサ(33)が、その検出値を空燃比制御に反映させるべく、前記三元触媒(28)よりも上流側で前記排気系(26)に取付けられるエンジンの空燃比制御装置において、前記酸素センサ(33)が、前記排気系(26)の一部を構成して前記排気ポート(25)に接続される排気管(27)に、前記排気ポート(25)の直径の10倍以内の距離を前記排気ポート(25)との間にあけるようにして取付けられることを特徴とするエンジンの空燃比制御装置。
  2. 前記エンジン(E)が搭載される自動二輪車の車体フレーム(F)は、前輪(WF)を軸支するフロントフォーク(5)を操向可能に支承するヘッドパイプ(7)と、該ヘッドパイプ(7)から後下がりに延びるダウンチューブ(9)とを備え、前記酸素センサ(33)が前記ダウンチューブ(9)の近傍で前記排気管(27)に取りつけられることを特徴とする請求項1記載のエンジンの空燃比制御装置。
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