JP2006150744A - 液体吐出ヘッドおよびその製造方法と、液体吐出ヘッドを有する記録装置 - Google Patents

液体吐出ヘッドおよびその製造方法と、液体吐出ヘッドを有する記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 半導体基板を含む液体吐出ヘッドを高精度に形成する。
【解決手段】 シリコン基板7に半導体を作り込み、第1の配線層を形成して一部を犠牲層とする。シリコン酸化膜(層間絶縁膜)13を形成し、発熱抵抗体14と第2の配線層15を形成してヒーター3を作る。犠牲層上では第2の配線層15を除去し発熱抵抗体14のみを残す。保護用のシリコン窒化膜16と耐キャビテーション用のタンタル膜17を形成してパターニングする。この半導体基板1に樹脂基板2を積層し、犠牲層を除去し供給口5を形成する。供給口5内のメンブレン膜のシリコン酸化膜13をウェットエッチングで除去する。発熱抵抗体14がエッチングストッパー層となり、シリコン窒化膜16は損傷しない。メンブレン膜の残りの部分である発熱抵抗体14とシリコン窒化膜16をドライエッチングで除去し、樹脂基板2に流路4と吐出口6を形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は液体吐出ヘッドおよびその製造方法と、その液体吐出ヘッドを有する記録装置に関し、特に、半導体基板を用いて形成されている液体吐出ヘッドおよびその製造方法と、その液体吐出ヘッドを有する記録装置に関する。
従来、プリンタなどに用いられる液体吐出ヘッド、特に、流路を形成する基板の板面を実質的に垂直に貫通する吐出口からインクを吐出させる、いわゆるサイドシューター型の液体吐出ヘッド(インクジェットヘッド)においては、シリコン基板をベースとする半導体基板を用い、基板内に構成された半導体を吐出エネルギー発生素子(例えばヒーター)やその駆動回路として利用するとともに、半導体製造方法として一般に普及している加工技術を応用して、この液体吐出ヘッドの流路や吐出口の微細な形状を精度よく形成することが行われている。
具体的には、例えば、シリコン基板の一方の主面(表側の面)に、所望の印字密度(例えば600dpi)を達成し得る間隔で並ぶように、多数のヒーターが作り込まれ、このヒーターを囲む流路がそれぞれ形成される。通常、吐出すべき液体(インク)を各流路に供給するために、シリコン基板の他方の主面(裏側の面)から一方の主面(表側の面)へ貫通する、インクの供給口となるスルーホールが形成される。このように、半導体基板を貫通するスルーホールを形成する方法としては、例えば有機アルカリ溶液であるTMAH(Tetra Methyl Ammonium Hydroxide)等を用いた異方性エッチングが用いられている。
液体吐出ヘッドにおいては、インクを吐出した後に直ちに流路内にインクが補充されないと、記録速度が著しく遅くなってしまう。このインク補充速度をできるだけ速くするためには、スルーホールからヒーターまでの距離を短く、かつ精度良く形成しなければならない。スルーホールとヒーターの間の距離の精度を決める要因の一つとして、半導体基板の表面におけるスルーホールの開口部分の加工精度が挙げられる。スルーホールの加工精度を向上させるために、半導体基板の表面に犠牲層を設けておき、この犠牲層を除去した後の凹部を利用してスルーホールを形成する技術が存在し、さらに、近年では、半導体製造方法の配線形成工程において配線層と同時に犠牲層を形成する技術が提案されている(特許文献1参照)。
この従来の方法によると、インクの供給口となるスルーホールを、TMAH等のエッチング液を用いた異方性エッチングで形成する際に、半導体基板の表面に位置するいわゆるメンブレン膜がエッチングストッパーとして作用し、TMAHによるエッチングの直後は、半導体基板の表面にこのメンブレン膜が残る。
具体的には、図7(a)に示すように、シリコン基板31をベースとする半導体基板32に、公知の半導体製造方法によって、インクを発泡させるためのヒーター33と、図示しないドライバーおよび周辺素子を作り込む際に、犠牲層34と共に形成される、アルミニウム等からなる第1の配線層(図示せず)と、その上層に形成される第2の配線層35との間に形成される層間絶縁膜であるシリコン酸化膜36(プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって形成されるP−SiO)と、半導体基板の保護膜として形成されるシリコン窒化膜37(プラズマCVD法によって形成されるP−SiN)とが積層される。その後、公知の方法によって、半導体基板32の表側の面に樹脂基板38を積層する。そして、図7(b)に示すように、犠牲層34を除去し、シリコン基板31をエッチングしてスルーホール(供給口39)を形成する際に、シリコン酸化膜36およびシリコン窒化膜37は、TMAHによってエッチングされずに残ってメンブレン状になる。
シリコン酸化膜36とシリコン窒化膜37からなるメンブレン膜は、スルーホール(供給口39)を形成するためのTMAHによるエッチングに続く工程において除去される。具体的には、フッ化水素酸溶液(フッ酸)によるウェットエッチングでシリコン酸化膜36を除去し、続いて、フッ素系のガスを用いたドライエッチングでシリコン窒化膜37を除去する。その後、公知の方法によって、半導体基板32の表側の面の樹脂基板38をパターニングして、インクの流路40および吐出口(ノズル)41を形成する工程と、図示しないインクタンクを実装する工程を行って、液体吐出ヘッドを形成する。
特開平10−181032号公報
上述の方法では、シリコン酸化膜36とシリコン窒化膜37からなるメンブレン膜を除去する工程の第1段階であるフッ酸によるウェットエッチングの際に、図7(c)に示すように、メンブレン膜の一部からフッ酸が上層に浸み出してしまい、樹脂基板38がフッ酸によってエッチングされるおそれがある。図7(c)には破損部42が示されている。その結果、図8に示すように流路40の形状が乱れ、記録特性の劣化の原因となるおそれがある。この不良は、メンブレン膜を構成するシリコン酸化膜36やシリコン窒化膜37の完成状態の膜厚が、想定されていた膜厚よりも薄くなってしまったとき、あるいは、フッ酸のエッチングレートが想定されていた速度よりも速いときに生じやすい。
メンブレン膜は、犠牲層34(図7(a)参照)の上と、フィールド酸化膜43を形成するLOCOS(local oxidation of silicon)工程によって生じる段差や、犠牲層34をシリコン基板31上に直接形成する必要があるために層間絶縁膜44を開口することによって生じるコンタクト段差などの段差部分45の上に構成される。通常、段差部分45におけるメンブレン膜のステップカバレッジ形状により、この段差部分45のエッチングレートは、犠牲層34の上の平坦部分のエッチングレートに比べて速くなる。従って、段差部分45のステップカバレッジ形状が、想定されていた以上に悪いものであれば、前記した不良はさらに引き起こされ易くなる。
フッ酸によるウェットエッチングは、メンブレン膜のうちの下層であるシリコン酸化膜36をエッチングするように設計されているが、前記した理由により段差部分45のシリコン酸化膜36のエッチングレートは平坦部分のエッチングレートに対して1.5〜2倍の速度であるため、平坦部分のシリコン酸化膜36が全てエッチングされるようにウェットエッチング時間を設定すると、段差部分45ではシリコン酸化膜36のエッチングが短時間で完了し、その上層に存在するシリコン窒化膜37がフッ酸にさらされる時間が平坦部分よりも長くなる。段差部分45においてシリコン窒化膜37がフッ酸にさらされる時間が長くなると、ついにはシリコン窒化膜37もフッ酸によるウェットエッチングによってエッチングされてしまい、シリコン酸化膜36とシリコン窒化膜37により構成されるメンブレン膜からフッ酸が上層に浸み出てしまう。メンブレン膜がフッ酸によるウェットエッチングによって部分的にエッチングされてしまうと、樹脂基板38がフッ酸によりエッチングされてしまう(図7(c)参照)。樹脂基板38の浸食が激しいため(破損部42)、インクの流路40および吐出口41を破壊してしまう(図8参照)。
従来、このような不良に対しては、メンブレン膜を構成するシリコン酸化膜36の、最終的に残る膜厚の公差を所定の膜厚の±9%以内に設定し、また、ウェットエッチングの時間を、平坦部分のオーバーエッチング量が計算上で最悪の場合にも10%以下となるように処理条件を設定することによって対処している。それでもなお、前記したような不良が、液体吐出ヘッドの製造歩留まりを下げる要因の一つとして問題となっている。
そこで本発明の目的は、処理条件を特に精緻に設定する必要がなく、流路および吐出口を精度よく形成することができる液体吐出ヘッドおよびその製造方法と、それを有する記録装置を提供することにある。
本発明は、半導体基板上に樹脂基板が配されており、半導体基板と樹脂基板との間に形成されている流路と、半導体基板に作り込まれ流路内の液体を加熱するためのヒーターと、樹脂基板を貫通して流路に連通する液体吐出用のノズルと、半導体基板を貫通して流路に連通する液体供給用の供給口とを有する液体吐出ヘッドにおいて、供給口の、流路との接続部分である貫通口の内周部では、半導体基板の上面に配されたシリコン窒化膜と、シリコン窒化膜の下に位置する層間絶縁膜をなすシリコン酸化膜と、シリコン窒化膜とシリコン酸化膜の間に、シリコン酸化膜に対して、シリコン酸化膜を除去するためのエッチング時のエッチングレートが低いエッチングストッパー層とが配されていることを特徴とする。
本発明によれば、従来に比べて工程を追加することも、処理条件をさほど厳しくすることもなく、高精度の流路を有する液体吐出ヘッドが得られる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1に示す本実施形態の液体吐出ヘッドは、半導体基板1上に樹脂基板2が積層され、半導体基板1内に複数のヒーター3が作り込まれ、半導体基板1と樹脂基板2の間に流路4が形成されている。そして、各流路4の内部に各ヒーター3がそれぞれ位置している。さらに、各流路4に連通する、半導体基板1を貫通する供給口5と、各流路4のそれぞれに対応して設けられている、樹脂基板2を貫通する複数の吐出口6が設けられている。
半導体基板1は、シリコン基板(シリコンウエハー)7の一方の主面(表側の面)側に、詳述しないが、公知の方法によって拡散層やゲート電極が形成されてMOSトランジスタが構成されている。そして、フィールド酸化膜10と、リンガラスからなる第1の層間絶縁膜12が形成されている。MOSトランジスタへの電気接続のための第1の金属配線層(図示せず)と、発熱抵抗体(ヒーター材)14および第2の金属配線層15が、シリコン酸化膜13からなる第2の層間絶縁膜を介して積層されている。さらに、保護膜となるシリコン窒化膜16と耐キャビテーション用のタンタル膜17が形成されている。一方、樹脂基板2はノズル材19からなるものであり、半導体基板1との間に流路4を形成するとともに、吐出口6が設けられている。
この液体吐出ヘッドにおいては、発熱抵抗体14が、吐出エネルギーを発生するためのヒーター4として機能する部分のみならず、LOCOS工程によって生じる段差や、層間絶縁膜13を開口することによって生じるコンタクト段差などの段差部分にも形成されている。この発熱抵抗体14は、フッ酸によるウェットエッチング時にエッチングストッパー層として機能し、完成状態の液体吐出ヘッドにおいては、供給口5の、流路4との接続部分である貫通口5aの内壁面に、層間絶縁膜(シリコン酸化膜)13とシリコン窒化膜16の間に挟まれた状態で端面が露出している。
次に、本実施形態の液体吐出ヘッドの製造方法について、詳細に説明する。
まず、図2(a)に示すように、P型のシリコン基板7、具体的には、結晶方位が<1,0,0>で厚さが625μmのシリコンウエハーを用意し、その表面を酸化して、厚さ10〜50nmのシリコン酸化膜8を形成する。次に、図2(b)に示すように、シリコン酸化膜8上に減圧CVD法によって、厚さ100〜300nmのシリコン窒化膜9を堆積させる。そして、図2(c)に示すように、シリコン窒化膜9を所望の形状にパターニングし、シリコン基板7の裏面側にもシリコン窒化膜9が堆積している場合にはそれをエッチングによって除去する。次に、図2(d)に示すように、シリコン熱酸化によってシリコン酸化膜8を部分的に厚くして厚さ6000〜12000Åのフィールド酸化膜(シリコン酸化膜)10を形成する。これはいわゆるLOCOS工程であり、パターニングされたシリコン窒化膜9の下(アクティブ領域)に位置するシリコン酸化膜8は成長せず厚くならず、シリコン窒化膜9の存在しない位置(フィールド領域)のシリコン酸化膜8のみが成長して厚くなってフィールド酸化膜10となる。それから、シリコン窒化膜9をエッチングにより除去する。
その後、詳述しないが、従来から公知である半導体製造方法を利用して、アクティブ領域に拡散層やゲート電極を形成して、この液体吐出ヘッドの駆動回路を構成するMOSトランジスタを形成する。
続いて、図3(a)に示すように、MOSトランジスタの電気接続を確保するための、アルミニウム等からなる第1の配線層(不図示)と、リンガラスからなる第1の層間絶縁膜12を形成する。第1の配線層の一部は、特許文献1に記載されている方法と同様に、犠牲層11として機能させてもよい。この犠牲層11は、供給口5となるスルーホールをシリコン基板7に精度良く形成できるようにするためのものである。
その後、図3(b)に示すように、シリコン酸化膜13からなる第2の層間絶縁膜を形成してパターニングし、さらに、図3(c)に示すように、発熱抵抗体(ヒーター材)14と第2の配線層15を形成する。そして、図3(d)に示すように、第2の配線層15をパターニングして部分的に除去する。この点について詳しく説明すると、後述する吐出口6と対向する、吐出エネルギーを発生するためのヒーター領域や、トランジスタ配線領域のみならず、犠牲層11の直上の領域にも、発熱抵抗体14と第2の配線層15を形成する。そして、ヒーター領域において、第2の配線層15を適宜にパターニングすることによって、ヒーター3を形成する。また、犠牲層11の直上の領域においては、第2の配線層15を除去して発熱抵抗体14のみを残す。
次に、図3(e)に示すように、半導体の保護膜となる、厚さ250〜800nm程度のシリコン窒化膜16をプラズマCVD法により形成し、その上に、図3(f)に示すように、耐キャビテーション膜となる、厚さ50〜600nm程度のタンタル膜17をスパッタ法により形成して所望のパターンに加工する。その後、図示しないが、シリコン窒化膜16をパターニングして、電極の取り出しを行なう。
なお、平面図である図4に示すように、犠牲層11の外側で、さらに犠牲層11をシリコン7基板7上に直接積層させるために設けられている第1の層間絶縁膜12の開口部12aの外側まで、発熱抵抗体14が形成されているのが望ましい。図4にはアクティブ領域Aが図示されている。
このようにして半導体基板1を形成した後、図5(a)に示すように、吐出口6および流路4を形成するためのノズル型材18およびノズル材19からなる樹脂基板2を、半導体基板1上に積層する。そして、エッチング液としてTMAH水溶液を用い、エッチング温度は80〜90℃、エッチング時間は15〜20時間(シリコン基板7の厚さが約625μmの場合)で、シリコン基板7の裏面側(他方の主面側)から異方性エッチングを行って、図5(b)に示すように、シリコン基板7を貫通する供給口5を形成する。このとき、犠牲層11もエッチングされる。なお、このエッチング工程においては、シリコン基板7の裏面側に配設された樹脂材20a,20bがマスクとして働き、さらに犠牲層11が供給口5を形成する基準となって、高精度の供給口5が形成できる。樹脂材20bはその後に除去される。
次に、図5(c)に示すように、供給口5内に存在する、いわゆるメンブレン膜のうち犠牲層11に接していたシリコン酸化膜(第2の層間絶縁膜)13と、供給口5内にはみ出している余分なフィールド酸化膜10とを、バッファードフッ酸を用いたウェットエッチングにより同時に除去する。この工程を、便宜上、メンブレン膜を除去する第1のメンブレン膜エッチング工程と呼ぶ。この工程においては、供給口5が実質的なエッチングマスクとして作用する。そして、厚さ約1000nmのシリコン酸化膜(第2の層間絶縁膜)13が存在し、厚さ約700nmの余分なフィールド酸化膜10が存在する場合には、バッファードフッ酸によるエッチング時間は従来通り約10分とする。なお、前記した通り発熱抵抗体14がエッチングストッパー層として機能するのでウェットエッチング時間を長めに設定することができる。そこで、シリコン酸化膜(第2の層間絶縁膜)13が残らないように完全にエッチングしてしまうようにエッチング時間を設定することも可能である。具体的には、ウェットエッチングのエッチング時間を、従来同様の10分間ではなく、例えば13分間に設定することも可能である。
このようなウェットエッチングを行う場合、図5(c)に示す段差部分Bのエッチングレートは、その他の平坦部分のバッファードフッ酸によるエッチングレートに比較して約1.5倍である。従って、段差部分Bにおいては、その他の平坦部分に比べて早くシリコン酸化膜(第2の層間絶縁膜)13が除去されてしまい、その上層の発熱抵抗体14(ヒーター材、例えばTaSiN)が、バッファードフッ酸にさらされることになる。前記したエッチング条件の場合には、発熱抵抗体14が3分以上バッファードフッ酸にさらされる。しかし、発熱抵抗体14(TaSiN)のバッファードフッ酸に対するエッチングレートは、シリコン酸化膜のエッチングレートに比べて100分の1以下であるため、発熱抵抗体14はバッファードフッ酸に3分強さらされても殆どエッチングされない。このように発熱抵抗体14がエッチングストッパー層として作用するため、平坦部分のシリコン酸化膜(第2の層間絶縁膜)13が十分に除去できるだけウェットエッチングを行っても、段差部分Bにおいてシリコン窒化膜16まで損傷することはない。すなわち、従来技術で問題となっていたメンブレン膜の破損に伴う不良は発生しない。
その後に、図6に示すように、メンブレン膜の残りの部分である発熱抵抗体14およびシリコン窒化膜16を、フッ素系または酸素系のガスを用いたドライエッチングにより除去する。この工程を、便宜上、メンブレン膜を除去する第2のメンブレン膜エッチング工程と呼ぶ。この工程でも、供給口5が実質的なエッチングマスクとして作用する。こうして、吐出口5の、流路4との接続部分である貫通口5aが精度よく形成される。
さらにその後に、樹脂基板2のうち有機樹脂からなるノズル型材18を溶媒を用いて除去して、ノズル材19にインクの流路4を形成し、さらに、ノズル材19に各流路4に連通する吐出口6を形成する。このようにして、半導体基板1を用いた液体吐出ヘッド(インクジェットヘッド)が完成する。
以上説明した本実施形態の方法により製造された液体吐出ヘッドは、供給口5から吐出口6へ至る流路4が精度よく形成されている。従来は、供給口5の、流路4との接続部分である貫通口5aを形成するために、いわゆるメンブレン膜の下層に位置するシリコン酸化膜(第2の層間絶縁膜)13をウェットエッチングする際に、平坦部分と段差部分のエッチングレートの差に起因して、段差部分で早々にシリコン酸化膜13が除去された後もエッチングが続行されて、メンブレン膜の上層に位置するシリコン窒化膜16まで侵食されてメンブレン膜が破損し、その結果、流路形成部材であるノズル型材18まで侵食されてしまうという問題があった。しかし、本実施形態では、メンブレン膜の下層に位置するシリコン酸化膜(第2の層間絶縁膜)13と、上層に位置するシリコン窒化膜16との間に、例えばTaSiNからなる発熱抵抗体14が存在し、この発熱抵抗体14がエッチングストッパー層として作用するため、シリコン酸化膜(第2の層間絶縁膜)13をウェットエッチングする際に、段差部分Bでシリコン窒化膜16まで侵食されてメンブレン膜が破損することがなく、その結果、流路形成部材となるノズル型材18が侵食されることがない。従って、後工程で所定の流路形成が行われて、流路4が精度よく形成できる。エッチングストップ膜としてヒーター材を用いたが、層間絶縁膜に対して、エッチング選択比をとることが可能な材料をそれ専用に設けることも可能である。しかしながら、ヒーター材をそのまま用いる方が余分な工程が増えることがないため好ましい。
なお、犠牲層11の上において、シリコン酸化膜(第2の層間絶縁膜)13とシリコン窒化膜16の間には発熱抵抗体14のみを介在させ、アルミニウムからなる第2配線層15は予め除去しておくのは、メンブレン膜を除去するためにエッチングを行う対象となる膜の数が増えると工程が煩雑になるからである。エッチングストッパー層として有効である発熱抵抗体14のみがメンブレン膜中に存在しさえすれば、前記したように流路4を精度よく形成するという目的は達せられる。
このように、本発明によると、半導体基板1を有する液体吐出ヘッドにおいて、従来技術に比べてほとんど工程を追加することなくメンブレン膜の構成を変更することによって、メンブレン膜を除去するエッチング時にメンブレン膜が破れてノズル材の形状不良を引き起こすおそれを回避できる。すなわち、フッ酸によるシリコン酸化膜13のエッチングにおけるエッチングストッパー層としての役割を担う発熱抵抗体14を、メンブレン膜のシリコン酸化膜13とシリコン窒化膜16の間に配置している。この発熱抵抗体14は、Ta−Si−N系の材料またはTa−N系の材料であるとよい。
これによって、メンブレン膜除去時のフッ酸エッチング時間を長くし(例えば600秒から780秒にする)、シリコン酸化膜13の膜厚公差を緩和する(例えば±9%から±15%以上にする)ことができ、半導体基板1を有する液体吐出ヘッドの歩留まりを向上させて、製造コストの低減が可能になる。その上、前記した通り、流路4の形状不良による吐出不良や吐出速度の低下を防ぎ、記録品位および記録速度など液体吐出ヘッドの性能を向上することができる。
本発明による半導体基板を有する液体吐出ヘッドの要部拡大断面図である。 図1に示す液体吐出ヘッドの前半の製造工程を示す拡大断面図である。 図1に示す液体吐出ヘッドの、図2に続く製造工程を示す拡大断面図である。 図1に示す液体吐出ヘッドの半導体基板の平面図である。 図1に示す液体吐出ヘッドの、図3に続く製造工程を示す拡大断面図である。 図1に示す液体吐出ヘッドの、図5に続く製造工程を示す拡大断面図である。 従来の半導体基板を有する液体吐出ヘッドの製造工程を示す拡大断面図である。 従来の半導体基板を有する液体吐出ヘッドの要部拡大断面図である。
符号の説明
1 半導体基板
2 樹脂基板
3 ヒーター
4 流路
5 供給口
5a 貫通口
6 吐出口
7 シリコン基板(シリコンウエハー)
10 フィールド酸化膜
11 犠牲層
12 第1の層間絶縁膜
12a 開口部
13 シリコン酸化膜(第2の層間絶縁膜)
14 発熱抵抗体(ヒーター材)
15 第2の金属配線層
16 シリコン窒化膜
17 タンタル膜
18 ノズル型材
19 ノズル材
20a,20b 樹脂材
A アクティブ領域
B 段差部分

Claims (8)

  1. 半導体基板上に樹脂基板が配されており、前記半導体基板と前記樹脂基板との間に形成されている流路と、前記半導体基板に作り込まれ前記流路内の液体を加熱するためのヒーターと、前記樹脂基板を貫通して前記流路に連通する液体吐出用のノズルと、前記半導体基板を貫通して前記流路に連通する液体供給用の供給口とを有する液体吐出ヘッドにおいて、
    前記供給口の、前記流路との接続部分である貫通口の内周部では、前記半導体基板の上面に配されたシリコン窒化膜と、該シリコン窒化膜の下に位置する層間絶縁膜をなすシリコン酸化膜と、前記シリコン窒化膜と前記シリコン酸化膜の間に、前記シリコン酸化膜に対して、該シリコン酸化膜を除去するためのエッチング時のエッチングレートが低いエッチングストッパー層とが配されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 前記エッチングストッパー層は、前記ヒーターを構成する発熱抵抗体である、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 前記発熱抵抗体はTa−Si−N系の材料またはTa−N系の材料からなる、請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドを有することを特徴とする記録装置。
  5. 半導体基板上に樹脂基板が配されており、前記半導体基板と前記樹脂基板との間に形成されている流路と、前記半導体基板に作り込まれ前記流路内の液体を加熱するためのヒーターと、前記樹脂基板を貫通して前記流路に連通する液体吐出用のノズルと、前記半導体基板を貫通して前記流路に連通する液体供給用の供給口とを有する液体吐出ヘッドの製造方法において、
    前記供給口の、前記流路との接続部分である貫通口を形成するために、前記半導体基板の上部に位置するメンブレン膜を除去する工程と、前記メンブレン膜の除去後に前記樹脂基板をパターニングして前記流路を形成する工程とを含み、
    前記メンブレン膜は、前記半導体基板の下層部側から、層間絶縁膜をなすシリコン酸化膜と、前記シリコン酸化膜を除去するためのエッチングを停止させるエッチングストッパー層と、シリコン窒化膜とを順番に配する工程を含むことを特徴とする、液体吐出ヘッドの製造方法。
  6. 前記メンブレン膜を除去する工程は、前記エッチングストッパー層に対するエッチングレートの低いエッチング剤を前記供給口から供給して前記シリコン酸化膜を下層側からエッチングし、前記シリコン酸化膜を除去して前記エッチング剤が前記エッチングストッパー層に接触するとエッチングが実質的に停止する第1のメンブレン膜エッチング工程と、第1のメンブレン膜エッチング工程とは異なるエッチング工程により、前記シリコン酸化膜が除去されて露出している前記エッチングストッパー層と前記シリコン窒化膜を除去する第2のメンブレン膜エッチング工程とを含む、請求項5に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  7. 前記メンブレン膜は、前記貫通口を形成するための犠牲層の上に位置し、
    前記エッチングストッパー層を、前記犠牲層のパターンと、半導体のアクティブ領域のパターンとを覆うように形成する、請求項5または6に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  8. 発熱抵抗体を用いて前記エッチングストッパー層を形成するとともに、前記ヒーターを形成する、請求項5〜7のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
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