JP2006150507A - 平行平面研磨盤 - Google Patents

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淳平 鈴木
Keni Ro
建偉 盧
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Abstract

【目的】 平行平面研磨盤の上定盤の撓みを効果的に矯正できるようにして、薄板材を高精度な平行平面に研磨可能にする。
【構成】 上定盤14を昇降させるシャフト6に吊り板12の中央部を揺動可能に支持し、その吊り板12と上定盤14とを複数本の支柱13によって一体的に連結する。その上定盤14の外周縁部に沿って所定の間隔で突設した複数の回転軸16にそれぞれ軸支した第1プーリ17と、吊り板12の外側面付近に所定の間隔で突設した複数の回転軸18にそれぞれ軸支した第2プーリ19との間にエンドレスのワイヤ20を交互に張架し、そのワイヤ20の張力を調整することによって、上定盤14の撓みを矯正して下定盤28に対して平行平面を維持するようにした。
【選択図】 図1

Description

この発明は、金属、ガラス、水晶、セラミック等の薄板材の表裏両面を平行な平面にするための研削加工、ラッピング加工、ポリッシング加工など(この明細書中ではこれらを総称して「研磨加工」という)を行う平行平面研磨盤に関する。
近年、携帯電話等の移動体通信機器を主とした通信機器や光応用機器などの各種電子機器に組み込まれる機能素子の多くは、シリコン、水晶、サファイアなどの単結晶材料、粉体を焼結したフェライトやセラミックと称される多結晶材料、あるいは光学ガラスや石英ガラスなどの非晶質材料を素材としている。しかし、それらのほとんどは硬くて脆いという性質を有している。さらに、機器の軽薄短小化を図るために、機能素子材料の多くはより小さく、より薄く形成されることが要望されているため、その機械加工は困難なものとなっている。
そこで、実際にそのような材料から薄板材を加工生産する場合には、あらかじめ大きい基板を優れた精度で研磨加工し、その後に個々の素材として分割することによって、加工作業の効率化を図ることができる。その場合の優れた精度とは、材料に割れや欠けや傷が無いことは勿論のこと、特に両面間の平行度と各面の平面度と表面粗さの精度が高いことを指している。
従来、このような高い精度が要求される平行平面の研磨加工には平行平面研磨盤が用いられており、図7は従来使用されている代表的な平行平面研磨盤の要部の斜視図である。この平行平面研磨盤は、基板等の被加工物(ワーク)を保持するキャリアが公転しつつ自転するため遊星歯車方式と称されている。
図7において、平行平面研磨盤100は、円板状の下定盤101と、外周に歯面を有するキャリア102と、図示しない駆動源によって外側駆動軸106Aを介して回転駆動される太陽歯車103、及び図示しない他の駆動源によって回転駆動される内歯歯車104と、外周にキー溝106aを有して図示しない駆動源により回転駆動される内側駆動軸106Bと、この内側駆動軸106のキー溝106aと噛み合うフック107aが取り付けられた円板状の上定盤107とを備えている。外側駆動軸106Aと内側駆動軸106Bは同心状に相対回転自在に嵌合する二重軸である。
この上定盤107は、複数本の支柱108によって吊り板109に一体的に連結され、その吊り板109は、自在継手110を介して図示しないエアシリンダによって昇降されるシャフト111に揺動可能に取り付けられている。そして、被加工物である基板等のワーク105がキャリア102に形成されたワーク保持孔102aに装填されるようになっている。
この平行平面研磨盤100を使用して研磨作業を行うには、まずエアシリンダの圧力を調整してシャフト111を上昇させることにより、自在継手110を介して、吊り板109および支柱108と一体の上定盤107を振り子状に吊り上げ、下定盤101との間を開放させる。そして、下定盤101の上に複数枚のキャリア102を太陽歯車103と内歯歯車104とに噛み合わせて円周上に均等に配置し、その各キャリア102に形成された複数のワーク保持孔102aにそれぞれ十分な隙間を持たせて収容するようにワーク105を装填する。
その後、エアシリンダの圧力を調整してシャフト111を下降させ、キャリア102に装填されているワーク105に適切な荷重を与えながら上定盤107を押し当てる。このとき、上定盤107に取り付けられているフック107aを内側駆動軸106Bのキー溝106aに位置を合わせて、その内側駆動軸106Bと上定盤107とを連結させる。なお、上定盤107は自在継手110によって揺動可能に支持されているため、座りのよい状態で各ワーク105に対して均一な密着度で押し当てられることになる。
そして、ワーク105を両面研磨する時には、上定盤107に穿設された砥粒供給孔(図示せず)から水や油などの液体に懸濁させた砥粒(遊離砥粒という)を供給しながら、太陽歯車103と内歯歯車104と駆動軸106を回転させることにより、キャリア102が自転しつつ公転し、固定された下定盤101と回転する上定盤107とに挟持されたワーク105の両面が研磨される。なお、この加工における研磨とは、固定砥粒による研削も含め、遊離砥粒によるラッピング、ポリッシング等の砥粒加工を総称したものを意味する。
しかし、このような従来の平行平面研磨盤100を用いて大きく薄い基板のようなワーク105を研磨しようとすると、次のような問題が生じる。
つまり、下定盤101と上定番107の平面をワーク105に転写する研磨加工では、上下定盤101,107の平面度が優れていることが必須要件であるが、加工前のワーク装填時にシャフト111を上昇させて上定盤107を宙に吊り下げた状態では、図8に示すように上定盤107は支柱108の支持点から離れた外周縁部においてその自重により大きく撓む。そして、加工時にそのまま上定盤107を下降させてワーク105上に押し当てても、その撓みが戻り切らずに各ワーク105に対して偏った接触状態となってしまい、そのまま上下定盤101,107を相対回転させて研磨加工すると、ワーク105の平行平面が得られないばかりか、傷や欠けや割れを誘発してしまう恐れがある。
そこで、例えば特許文献1には、上記のような平行平面研磨盤において、吊り板と上定番を支柱によって連結せずに、両者の間に無端ワイヤによる吊り下げ機構を同心円状に複数組配置して上定盤を吊り下げ、その各無端ワイヤによる吊り下げ機構の内周側と外周側の間で吊り下げ張力に差を持たせることによって、上定盤の半径方向の撓みを矯正する提案がなされている。
特開2004−216492号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示されている技術では、上定盤の撓みに対して自重によって自然に矯正させるだけでしかなく、矯正のために上定盤に与える力が小さいため矯正効果が低かった。また、上定盤を無端ワイヤだけで吊り下げる不安定な構造となっているため、上定盤の開閉作業時に他の部材と頻繁に接触して損傷させてしまう恐れもある。また加工時においても、ワークの上面に対して上定盤の自重以外に荷重がかけられないため、研磨性能を最適にするように荷重を調整することはできなかった。
また、図7に示した従来の平行平面研磨盤においては、上定盤107がシャフト111に吊り下げられた際には、図8に示すように自在継手110を中心にして上定盤107が大きく傾く場合があり、そのままワーク105上に降ろした場合には、一点が最初にワーク105に接触してから水平になるようにズレ動き、ワークを破損させてしまうことがある。また、加工時においても傾きが戻りきらず、その結果研磨加工における平行平面精度を低下させてしまうこともある。
さらに、このような従来の平行平面研磨盤においては、上定盤107に穿設された砥粒供給孔から供給された遊離砥粒がワーク105に対して均一に行き渡るように、下定盤101と上定盤107の研磨面には切り屑を排出するための溝が例えば格子状に形成されている。しかし、下定盤101に形成された溝には研磨の進行に伴って砥粒や切り屑が堆積して目詰まりが起こりやすく、ワークの加工精度の低下と割れや欠けの増大を招く原因となるため、頻繁に溝を掃除しなければならないといったメンテナンス性にも問題があった。
この発明は、平行平面研磨盤におけるこれらの問題に鑑みてなされたものであり、先ず第一に上定盤の撓みを効果的に矯正できるようにして薄板材を高精度な平行平面に研磨可能にすることを目的とする。さらに、上定盤の傾きを補正して常に下定盤と平行に支持できるようにすることも目的とする。
また、上定盤および下定盤の研磨面に形成された溝が遊離砥粒による目詰まりを起すのを防ぎ、メンテナンス性を向上させることも目的とする。
この発明は、下定盤と上定盤とに挟持された被加工物を相対的に揺動又は回転させ、上記被加工物の両面を同時に研磨する平行平面研磨盤において、上記の目的を達成するため、上記上定盤を昇降させる昇降軸に中央部が揺動可能に支持された吊り板と、その吊り板と上記上定盤とを一体的に連結する複数本の支柱とを備えており、上記上定盤の外周縁部に沿って所定の間隔で突設した複数の回転軸にそれぞれ軸支された第1のプーリと、上記吊り板の外側面付近に所定の間隔で突設した複数の回転軸にそれぞれ軸支された第2のプーリと、上記各第1のプーリと上記各第2のプーリとの間に交互に張架された無端索条とを設けたものである。
また、その無端索条の張力を調整する張力調整部材を設けると便利である。
さらに上記平行平面研磨盤は、上記吊り板を、上記昇降軸の下端部に自在継手によって上記昇降軸に対して相対回転および揺動可能に支持するとよい。
また、上記上定盤上に円周方向に均等な間隔を置いて複数の第1の留め具を、上記昇降軸の周囲に間隔を置いて上記第1の留具と対をなすように複数の第2の留め具をそれぞれ設け、上記対をなす第1の留め具と第2の留め具との間に、それぞれ長さの調整が可能な索条又はバーを掛け渡すとよい。
さらにまた、上記昇降軸の外周にラジアル軸受を回転可能でその昇降軸の軸線方向には相対移動不能に設け、そのラジアル軸受の外周に上記複数の第2の留具を設けるとよい。
また、上記上定盤に、上記下定盤との間隙に砥粒を供給する砥粒供給孔を備え、その上定盤と上記下定盤の対向する研磨面に切り屑を排出するための多数の溝を形成し、上記下定盤に、上記上定盤との間隙に流体を噴出させる流体噴出孔を設けるとよい。
この発明による平行平面研磨盤は、先ず第一に、吊り板と上定盤との間隔を複数の支柱で固定しており、上定盤の外周縁部と吊り板の外側面付近との間に張架した無端索条の張力を調整することによって上定盤の撓みを効果的に矯正することができ、薄板材を高精度な平行平面に研磨することができる。
さらに、揺動可能に連結している昇降軸と上定盤との間で、円周方向に均等に掛け渡した複数の索条又はバーの長さを調整することによって、昇降軸に対する上定盤の傾きを任意に補正することができ、そのため上記上定盤を常に下定盤と平行に支持することができる。
また、下定盤に設けた流体噴出孔から流体を噴出させることにより、上定盤および下定盤に形成した溝に入り込んだ砥粒を強制的に流通させることができるため、砥粒による溝の目詰まりを起すのを防ぎ、メンテナンス性を向上させることもできる。
以下、この発明の好ましい実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。
図2は、この発明による平行平面研磨盤の第1実施形態の要部の側面図であって、一部を断面で示した図である。図1は、その平行平面研磨盤の上定盤周辺の斜視図であって上定盤の一部を切り欠いて示した図である。
この平行平面研磨盤1は概略的に、図2に示す本体部2(下方部分は図示を省略)と、その本体部2の上面に立設したポスト部3と、そのポスト部3の上部側面から水平に設置したアーム部4と、そのアーム部4の先端から鉛直方向に設置したシリンダ部5と、そのシリンダ部5に挿通して昇降可能に設置されたシャフト(昇降軸)6と、そのシャフト6の下端に設けた上方組立体7と、その上方組立体7の下方に位置して本体部2の上面から突出するように設けた内側駆動軸8Bと、その内側駆動軸8Bの周囲で本体部2の内部に設けた研磨室9とを備えている。
アーム部4の下面には、後述する環状受皿へ砥粒(水や油などの液体に懸濁させた遊離砥粒)を吐出する砥粒供給ノズル10が設けられている。また、シリンダ部5の内部には図示しないエアシリンダを備えており、そこに供給する空気圧を制御することで、シャフト6とそれに連結する上方組立体7を昇降させることができるようになっている。
次に、上方組立体7の構成について図1も参照して詳しく説明すると、上方組立体7はシャフト6の下端に設置されて自在継手として機能する球面ベアリング11と、その球面ベアリング11のアウタレースに設置された円板状の吊り板12と、その吊り板12の下方で複数の支柱13によって一体に連結された円板状の上定盤14とを備えている。そして球面ベアリング11の機能により、上方組立体7は全体がシャフト6に対してどの方向にも揺動可能に連結している。
吊り板12は上定盤14よりも外径が小さく、吊り板12の外周側面は図2に示す軸線C上の上方に頂点が位置する円錐形状(テーパ形状)の傾斜側面12aに形成されている。その吊り板12の傾斜側面12aの傾きは、吊り板12と上定盤14の半径の差に対する支柱13の高さの比から得られる傾きとなっている。
また、上定盤14上の外周縁部に沿って複数のプーリ台15が設置されており、それぞれの外周側面には吊り板12の傾斜側面12aと同じ傾きの傾斜面15aが形成されている。そして、これらの傾斜面15aに垂直に回転軸16が突設されており、それぞれ第1プーリ17を軸支している。また、それらと同じ数だけ吊り板12の傾斜側面12aにも垂直に回転軸18が突設されており、それぞれ第2プーリ19を軸支している。これらの第1プーリ17と第2プーリ19との間には、無端索条であるループ状のワイヤ20が交互に張架されている。このワイヤ20の張架については後にさらに詳述する。
吊り板12の上方には環状受皿21が同心上に設置されており、この環状受皿21の底面には複数の流出孔22が穿設されている。また、その流出孔22と同じ数だけ上定盤14を貫通して下面に開口するように砥粒供給孔23が穿設されており、流出孔22と砥粒供給孔23とが供給管24を介して連通している。
上定盤14の中央には内側駆動軸8Bより径の大きい挿脱孔25が貫通形成されており、上定盤14の上面にこの挿脱孔25の内周面から突出するようにフック26が設置されている。そして、内側駆動軸8Bは、本体部2の内部に備えた図示しない駆動源によって回転駆動されるようになっており、図示の状態からシャフト6を下降させて、内側駆動軸8Bに形成したキー溝27に上定盤14上のフック26を嵌合させて上方組立体7と連結させることによって、上方組立体7全体を回転駆動できるようになっている。
次に、研磨室9の構成について詳しく説明する。まず、上定盤14の下面に対向するように円板状の下定盤28が設置されており、その下定盤28上において、内側駆動軸8Bと同心状に相対回転自在に嵌合する外側駆動軸8Aの周囲に均等な間隔を置いて複数のキャリア29が載置されている。これらキャリア29は上方から見て平歯車の形状に形成されており、それぞれの平板部分には3つのワーク保持孔30が穿設されている。外側駆動軸8Aの上端部には太陽歯車31が固着されており、各キャリア29の外周の歯面と噛み合っている。外側駆動軸8Aと内側駆動軸8Bは、それぞれ本体部2の内部に備えた図示しないギヤ機構を介して個別の駆動源によって、同じ回転方向に異なる回転速度で回転駆動される。また、外側駆動軸8Aと内側駆動軸8Bと同心状に各キャリア29の外側に、キャリア29の外周の歯面と噛み合う内歯歯車32が設けられており、図示しない他の駆動源によって太陽歯車31と逆方向に回転駆動される。
なお、図2においては、図示を簡略化して見やすくする便宜上、支柱13、フック26及びキー溝27については1つずつ、プーリ台15、第1プーリ17、第2プーリ19、砥粒供給孔23及びキャリア29については2つずつしか示していないが、実際の構成ではそれより多く設置するものとなっている。それらの具体的な設置数は、平行平面研磨盤の規模にもよるが、この実施形態では支柱13、フック26及びキー溝27がそれぞれ3つずつ、キャリア29が4つ、プーリ台15、第1プーリ17、第2プーリ19及び砥粒供給孔23が6つずつ設けられ、それぞれがシャフト6の軸線Cを中心とした円周方向に均等な間隔を置いて設置されている。
図1においては、必要部分を明瞭に示す便宜上、環状受皿21及び供給管24に関係する部位は省略している。この図1に明示するように、上定盤14の第1プーリ17と吊り板12の第2プーリ19はそれぞれ6つずつ円周方向に均等な間隔を置いて設置されており、また第1プーリ17と第2プーリ19は円周方向に互いに30度ずつずれた角度で配置されている。そしてループ状のワイヤ20は、第1プーリ17と第2プーリ19との間に交互に張架されて上方組立体7を一周している。
また、図示するように、ループ状のワイヤ20の一部分は分断されており、各端部には互いに逆方向に雄ネジが切られたロッドネジ20aが結合され、それぞれが両端で互いに逆方向に雌ネジが切られたターンバックル39にネジ結合して連結されている。これにより、ターンバックル39を回転することによって、ワイヤ20のループ長を伸縮させてワイヤ20に付加する張力を調整することができる。
そして、この平行平面研磨盤1に研磨動作させる際には、図1に示すように、各キャリア29のワーク保持孔30に被加工物である円形平板状のワーク40を装填し、シャフト6を下降させて上定盤14の下面をワーク40の上面に押し当てた状態にする。このときの下定盤28と上定盤14のそれぞれワーク40に接触している面、つまり下定盤28の上面と上定盤14の下面はそれぞれワーク40に対してラッピングを行う下定盤研磨面41と、上定盤研磨面42として機能し、下定盤研磨面41には図示するように複数の溝43が格子状に形成されている。なお、図示していないが、上定盤研磨面42にも同様の溝が形成されている。
次に、このように構成された平行平面研磨盤1の動作について説明する。
まず、図示しないエアシリンダへの供給空気圧を制御してシャフト6を上昇させることにより、図2に示すように球面ベアリング11を介して吊り板12及び支柱13と一体の上定盤14を振り子状に吊り上げ、下定盤28との間を開放させる。そして、各キャリア29のワーク保持孔30にワーク40を装填した後、エアシリンダの空気圧を制御してシャフト6を下降させ、キャリア29に装填されているワーク40に適切な荷重を与えながら上定盤研磨面42を押し当てる。このとき、上定盤14に取り付けられているフック26を駆動軸8のキー溝27に位置を合わせて、駆動軸8と上定盤14とを連結する。なお、上定盤14は球面ベアリング11によって揺動可能に支持されているため、座りのよい状態で各ワーク40に対して均一な密着度で押し当てられることになる。
そして、ワーク40を両面研磨するには、図示しない各駆動源によって太陽歯車31(外側駆動軸8A)と内歯歯車32とを回転駆動させて、キャリア29が自転しつつ公転するよう回転移動させる。またこの回転駆動時に、他の駆動源によって回転される内側駆動軸8Bに連結される上方組立体7も独自に回転する。そのため、環状受皿21は常に砥粒供給するノズル10の下方を通過し、砥粒供給ノズル10から吐出される砥粒を受けることになる。そして、環状受皿21に貯留された砥粒は、環状受皿21の流出孔22と供給管24を介して砥粒供給孔23からワーク40や下定盤研磨面41に供給できるようになっている(図2参照)。
このようにして、砥粒に包まれながらキャリア29とともに回転移動するワーク40は、固定された下定盤28と回転する上定盤14とに挟持されながら、その両面が研磨(ラッピング)されることになる。ワーク40の両面を研磨した砥粒は、溝43を通過して下定盤28の脇から本体部2内へ下降して排出される。このようにして、大きく薄い基板のようなワーク40に対し、高い平行平面度で両面研磨することができる。
なお、この遊星歯車方式による両面研磨時では、一般に太陽歯車31と内歯歯車32とを相互に逆方向に回転させることによって、キャリア29に自転と公転を同時に与えるようになっているが、太陽歯車31と内歯歯車32のそれぞれの駆動源とのギア連結を切り換えて、相互に同じ方向に同じ速度で回転させてキャリア29に公転だけ与えるようにしてもよいし、またどちらか一方の回転を止めたり、相互に回転速度を異ならせたり、いろいろなバリエーションで研磨を行うことも可能である。また同様に駆動源と内側駆動軸8Bとの間のギヤ連結を切り換えることによって、上方組立体7を回転駆動させる方向や速度を任意に切り換えることもでき、それによっても両面研磨のバリエーションを多様化させることができる。
そして、この実施形態の平行平面研磨盤1においては、図3に模式的に示すように、上定盤14の中央部付近において吊り板12との間を複数の支柱13で固定するとともに、上定盤14の外周縁部と吊り板12の外側面付近との間に張架したワイヤ20に張力を付加することによって、上定盤14の外周縁部を強制的に吊り上げることができ、それによって上定盤14の撓みを効果的に矯正して高い平面度を保持することができる。
また、1本のループ状のワイヤ20を上定盤14の第1プーリ17と吊り板12の第2プーリ19の間で円周方向に均等かつ交互に張架しているので、ワイヤ20の張力は円周方向で均等に分散されることになり、上定盤14の外周縁部を円周方向に均等な力で吊り上げることができるため、それによっても高い平面度が得られるようになっている。
なお、ワイヤ20の張力を調整する手段は、上記のターンバックル39に限らず、図4に示すように吊り板12上の外周縁部で、ある一組の隣り合う第2プーリ19の間に、ワイヤ寄せ部材33を設置するようにしてもよい。このワイヤ寄せ部材33は、2枚の連結板35間に、両脇に位置する2つの第2プーリ19の間隔より狭い間隔で2本の係止軸34を固設しており、その連結板35の中央に結合したロッドネジ36を吊り板12の傾斜側面上に溶接で固定したブッシュ37に貫通させ、ナット38を螺着したものである。
そして、隣り合う2本のワイヤ20を2本の係止軸34の間に挟み込み、2本のワイヤ20を寄せることによってワイヤ20に張力を付加する。そして、ナット38を締め込んだり緩めたりすることによって係止軸34の位置を上下に移動させ、ワイヤ20の寄せ量を増減して張力を調整することができる。
また、ワイヤ20の張力を調整するには、この平行平面研磨盤自体に張力調整部材を設けていなくても、隣り合うワイヤ20同士を引き寄せてクリップで留めたり、ワイヤ20自体の長さを調整するなど種々の方法を適用できる。また、各プーリ17、19に張架させる無端索条として、ワイヤ20の他にも例えばロープ、紐、鎖なども利用できる。また、上定盤14の撓みを防止するために、吊り板12を厚く小径に形成してその剛性を強くすることも有効である。
次に、この発明の第2実施形態の平行平面研磨盤について説明する。
図5は、その第2実施形態の平行平面研磨盤51の要部の側面図であって一部を断面で示した図である。この図5において図1及び図2と対応する部分には同一の符号を付してあり、それらの説明は省略する。この第2実施形態のにおいて、図1及び図2に示した第1実施形態と異なる点は、主に上方組立体7に調整バーを設けた点と、下定盤研磨面41に流体噴出孔を設けた点であり、以下にそれらの相違点についてのみ説明する。
まず、シャフト6の胴部にはフランジが形成されており、このフランジによってシャフト6の軸線方向下方に対し相対移動不能にラジアル軸受52が設けられている。このラジアル軸受52のアウタレース側面には第1留め具であるアイボルト53が複数設置されており、またそれらと同じ数だけ上定盤上に第2留め具であるアイボルト54が設置されている。
そして、そのアイボルト53,54の間には、吊り板12を貫通して調整バー55が掛け渡されている。この調整バー55中央部で2分されており、その各端部には互いに逆方向の雄ネジが切られ、それぞれ両端に互いに逆方向に雌ネジが切られたターンバックル56にネジ結合して連結されている。これにより、ターンバックル56を回転することによって、調整バー55の全長を伸縮自在に調整することができる。なお、図示を省略しているが、この実施形態においてアイボルト53,54及び調整バー55は軸線Cに対する同心円上に均等な間隔で3組設けられている。
また、下定盤研磨面41に格子状に形成された溝43の直交点のうちの複数箇所には流体噴出孔57が形成されており、これらは図示しない流体源に接続されて上定盤14との間の間隙に砥粒を噴出するようになっている。
また、この実施形態においては、吊り板12の傾斜側面12aと同じ角度で上定盤14の外周側面にも傾斜側面14aを形成し、そこに垂直に回転軸16を突設して第1プーリ17を軸支させている。このように構成しても、図2に示した第1実施形態と同様にワイヤ20を用いた上定盤14の外周縁部の吊り上げを行うことができる。また、傾斜側面12a,14aの形状は円錐曲面に限ることなく、多角錐形状に形成して各傾斜平面を適切な角度で配置するようにしても同様なプーリの設置が得られる。
この実施形態によれば、図6に示すように、揺動可能に連結しているシャフト6と上定盤14との間で、円周方向に均等に掛け渡した複数の調整バー55の長さを調整することによって、シャフト6に対する上定盤14の傾きを任意に補正することができ、常に下定盤28と平行に支持させることができる。このことによっても、ワーク40の両面研磨において高い平面度が得られる。
なお、下定盤28の配置が水平に保持されている場合には、吊り板12上に水準器などを設けて水平度を確認できるようにすることによって、容易に上下定盤14,28の平行度を調整することができる。また、この実施形態では、3本設けた調整バー55が全て長さを調整できるようにしているが、複数の調整バー55のうちの1本だけは長さ調整機能がなくても上定盤14の傾きの補正を行うことができる。また、調整バー55の代わりに全長を調整可能なロープやワイヤなどの索条を用いることも可能である。
また、この実施形態の平行平面研磨盤51の構成によれば、下定盤28に設けた流体噴出孔55から上定盤14との間隙に砥粒を噴出させることにより、上定盤14および下定盤28に形成した溝43内を正圧に保ち、入り込んだ砥粒を強制的に流通、排出させることができるため、砥粒による溝43の目詰まりを防ぎ、メンテナンス性を向上させることができる。なお、そのような遊離砥粒を噴出させる以外にも、この流体噴出孔55から単なる液体や気体などの流体を適切な圧力で噴出させても、目詰まり防止に大きな効果を得ることができる。
なお、上記各実施形態では、上定盤を下から連結する駆動軸で回転駆動する形式の平行平面研磨盤を示したが、それに限らず、上方のシャフト6を回転させて回転駆動力を得る形式のものにこの発明を適用してもよい。その場合には、回転するシャフトと吊り板を連結する自在継手には円周方向に相対移動不能な構成のものを使用しなければならず、また調整バーの上端もシャフトに対して円周方向に相対移動不能に係止することが望ましい。
また、上記実施形態では、例として遊星歯車方式の平行平面研磨盤(ホフマン型ラップ盤)を示したが、その他にもいわゆるオスカー型ラップ盤やラップマスター型ラップ盤などにこの発明を適用しても、目詰まり防止などの各効果を得ることができる。その他種々の変更が可能である。
この発明は、水晶やシリコンやサファイアなどの単結晶のほか、粉体を焼成したフェライトやセラミックス、非晶質の光学ガラスや石英ガラスなどの硬くて脆い材料から成る電子部品、通信機部品、光学部品などで高精度な平行平面度が要求される部品の表裏両面に研削加工、ラッピング加工、ポリッシング加工を行う平行平面研磨盤に利用できる。
そして、薄板材を高精度な平行平面に研磨可能にすることができ、また上定盤の傾きを補正して常に下定盤と平行に支持でき、さらにメンテナンス性を向上させることができる。
この発明による平行平面研磨盤の第1実施形態の上定盤周辺の斜視図であって上定盤の一部を切り欠いて示す図である。 同じく要部の側面図であって一部を断面で示す図である。 同じく要部断面模式図である。 張力を付加する手段の変形例であるワイヤ寄せ部材付近の図である。 この発明による平行平面研磨盤の第2実施形態の要部の側面図であって一部を断面で示す図である。 同じく要部断面模式図である。 従来の平行平面研磨盤の上定盤周辺の斜視図であって上定盤の一部を切り欠いて示す図である。 同じく要部断面模式図である。
符号の説明
1,51:平行平面研磨盤 2:本体部 3:ポスト部 4:アーム部
5:シリンダ部 6:シャフト(昇降軸) 7:上方組立体 8A:外側駆動軸
8B:内側駆動軸 9:研磨室 10:砥粒供給ノズル 11:球面ベアリング(自在継手) 12:吊り板 12a:傾斜側面 13:支柱 14:上定盤
14a:傾斜側面 15:プーリ台 15a:傾斜面 16:回転軸
17:第1プーリ 18:回転軸 19:第2プーリ 20:ワイヤ
20a:ロッドネジ 21:環状受皿 22:流出孔 23:砥粒供給孔
24:供給管 25:挿脱孔 26:フック 27:キー溝 28:下定盤
29:キャリア 30:ワーク保持孔 31:太陽歯車 32:内歯歯車
33:ワイヤ寄せ部材 34:係止軸 35:連結板 36:ロッドネジ
37:ブッシュ 38:ナット 39:ターンバックル
40:ワーク(被加工物) 41:下定盤研磨面 42:上定盤研磨面
43:溝 52:ラジアル軸受 53:アイボルト(第1留め具)
54:アイボルト(第2留め具) 55:調整バー 56:ターンバックル
57:流体噴出孔

Claims (6)

  1. 下定盤と上定盤とに挟持された被加工物を相対的に揺動又は回転させ、前記被加工物の両面を同時に研磨する平行平面研磨盤において、
    前記上定盤を昇降させる昇降軸に中央部が揺動可能に支持された吊り板と、該吊り板と前記上定盤とを一体的に連結する複数本の支柱とを備えており、
    前記上定盤の外周縁部に沿って所定の間隔で突設した複数の回転軸にそれぞれ軸支された第1のプーリと、
    前記吊り板の外側面付近に所定の間隔で突設した複数の回転軸にそれぞれ軸支された第2のプーリと、
    前記各第1のプーリと前記各第2のプーリとの間に交互に張架された無端索条とを設けたことを特徴とする平行平面研磨盤。
  2. 請求項1記載の平行平面研磨盤において、前記無端索条の張力を調整する張力調整部材を設けたことを特徴とする平行平面研磨盤。
  3. 請求項1又は2記載の平行平面研磨盤において、
    前記吊り板が、前記昇降軸の下端部に自在継手によって前記昇降軸に対して相対回転および揺動可能に支持されていることを特徴とする平行平面研磨盤。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の平行平面研磨盤において、
    前記上定盤上に円周方向に均等な間隔を置いて複数の第1の留め具を、前記昇降軸の周囲に間隔を置いて前記第1の留具と対をなすように複数の第2の留め具をそれぞれ設け、
    前記対をなす第1の留め具と第2の留め具との間に、それぞれ長さの調整が可能な索条又はバーを掛け渡したことを特徴とする平行平面研磨盤。
  5. 前記請求項4記載の平行平面研磨盤において、
    前記昇降軸の外周にラジアル軸受を回転可能で該昇降軸の軸線方向には相対移動不能に設け、該ラジアル軸受の外周に前記複数の第2の留具を設けたことを特徴とする平行平面研磨盤。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の平行平面研磨盤において、
    前記上定盤に、前記下定盤との間隙に砥粒を供給する砥粒供給孔を備え、該上定盤と前記下定盤の対向する研磨面には切り屑を排出するための多数の溝が形成されており、
    前記下定盤に、前記上定盤との間隙に流体を噴出させる流体噴出孔を設けたことを特徴とする平行平面研磨盤。
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