JP5309892B2 - 両面鏡面シリコンウェーハの研磨方法 - Google Patents
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Description
研磨工程では、一般に1次研磨、2次研磨、3次研磨、仕上げ研磨などからなる2〜4段階の多段研磨が実施されている。多段研磨では、研磨の段階が進むにつれて、平坦度、ナノトポロジー、表面粗さ、Hazeなどのシリコンウェーハの表面形状についての品質の改善が図られる。
すなわち、(1)デバイス形成プロセスで、実際にデバイスが形成されるのはシリコンウェーハの表面のみである。
(2)一般に、シリコンウェーハの表面粗さやHazeなどを改善するために必要な研磨量は、数μm〜数10μmとわずかである。そのため、片面研磨(裏面基準の表面研磨)のみを採用した場合でも、1次研磨後のウェーハ平坦度、ナノトポロジーはそれほど変化しない。
(3)両面研磨では、シリコンウェーハを保持する保持孔付きのキャリアプレートが使用される。そのため、研磨時にシリコンウェーハが保持孔の形成壁に衝突し、スクラッチ不良が発生するなどして、シリコンウェーハの品質が低下する場合が多い。
(4)両面研磨では複雑な構造の両面研磨装置が使用される。そのため、設備コストが高まるとともに、ウェーハの表裏面を研磨することから、片面研磨の場合より、研磨布などの消耗品に対するランニングコストが増大する。
近年、デバイス形成部門からは、シリコンウェーハに対して、裏面の微小パーティクルの管理が要求されている。これは、ウェーハ表面に形成される電子回路のさらなる微細化に伴い、ウェーハ裏面の微小パーティクルも制御しなければ、ウェーハ表面に対する電子回路の微細化の実現が不可能な状況にまで達しているためである。
また、2次研磨および仕上げ研磨では、上定盤および下定盤の間でシリコンウェーハを保持し、この状態を維持したまま、キャリアプレートに自転をともなわない円運動をさせて両面研磨する。自転しない円運動によれば、キャリアプレート上のすべての点がまったく同じ小円運動をする。これは、一種の揺動運動ともいえる。すなわち、揺動運動の軌跡が円になると考えることもできる。このようなキャリアプレートの運動により、研磨中、シリコンウェーハはウェーハ保持孔内で旋回しながら研磨される。これにより、ウェーハ研磨面の略全域にわたって均一に研磨することができる。例えば、ウェーハ外周部の研磨ダレなども低減可能となる。
シリコンウェーハの露出面とは、ウェーハの表面、裏面、表裏面の何れかである。
研磨剤は、研磨砥粒を含まない。このように、研磨剤として研磨砥粒を含まないものを採用した場合には、研磨砥粒による表面粗さ、Hazeなどのシリコンウェーハの表面形状の低下を防止することができる。
また、研磨剤としては、例えば、pH濃度が9〜11のアルカリ性エッチング液(KOH溶液など)に、平均粒径0.1〜0.02μm程度のシリカ粒子(研磨砥粒)を分散させたコロイド状のものを採用することができる。ただし、研磨砥粒はウェーハの表面粗さなどを低下させるため、その研磨剤への混入は好ましくない。
研磨布としては、不織布にウレタン樹脂を含浸・硬化させた不織布パッド、発泡したウレタンのブロックをスライスした発泡性ウレタンパッドなどを採用することができる。その他、ポリエステルフェルトにポリウレタンが含浸された基材の表面に発泡ポリウレタンを積層し、ポリウレタンの表層部分を除去して発泡層に開口部を形成したスエードパッドでもよい。
変更される研磨条件としては、例えば、研磨布の種類、研磨剤の種類、研磨量、研磨レート、研磨圧、研磨時間、シリコンウェーハの回転速度、研磨布の回転速度、シリコンウェーハの回転方向、研磨布の回転方向などが挙げられる。
両面研磨としては、例えば、サンギヤを有する遊星歯車式の両面研磨を採用することができる。その他、サンギヤが存在しない無サンギヤ式の両面研磨でもよい。
3回連続して行われる3段研磨(両面研磨)は、1台の両面研磨装置のみで行っても、複数台の研磨装置により行ってもよい。
ここでいう「3回連続して」とは、シリコンウェーハに対する例えば機械的、化学的、熱的などの実質的な加工が施される場合をいう。したがって、連続する先の研磨と後の研磨との間に、シリコンウェーハの洗浄工程、検査工程などが介在される場合も含む。
両面研磨の回数は3回である。全ての回においてシリコンウェーハに両面研磨が施される。
無サンギヤ式の両面研磨の場合、必ずしも上定盤および下定盤を同時に回転させなくてもよい。これは、無サンギヤ式の両面研磨が、シリコンウェーハの表裏両面に上定盤および下定盤の各研磨布を押し付け、キャリアプレートを運動させるためである。
また、2次研磨および仕上げ研磨として、サンギヤが組み込まれておらず、上定盤および下定盤の間でキャリアプレートを運動させてウェーハ表裏両面を同時に研磨する無サンギヤ式両面研磨を採用したので、ウェーハ研磨面の略全域にわたって均一に研磨することができる。これにより、ウェーハ外周部の研磨ダレなども低減可能となる。
使用されるシリコンウェーハは、以下の工程により作製される。チョクラルスキー法により直径300mm、初期酸素濃度1.0×1018atoms/cm3、比抵抗が10mΩ・cmのシリコン単結晶インゴットを引き上げる。得られたシリコン単結晶インゴットには、図1のフローシートに示すように、ブロック切断、外径研削、スライス、面取り、エッチング、1次研磨(サンギヤ式両面研磨)、2次研磨(無サンギヤ式両面研磨)、仕上げ研磨(無サンギヤ式両面研磨)が順次施される。
エッチング後のシリコンウェーハWには、サンギヤ式の両面研磨装置を用いた1次両面研磨が施される。
図2および図3において、40はサンギヤ式両面研磨装置で、このサンギヤ式両面研磨装置40は、互いに平行に設けられ、各対向面に研磨布41,41がそれぞれ貼着された上定盤42および下定盤43と、これらの上定盤42、下定盤43間に介在されて、軸線回りに回転自在に設けられた小径なサンギヤ44と、この軸線と同じ軸線を中心に回転自在に設けられた大径なインターナルギヤ45と、それぞれ4枚のシリコンウェーハWを保持するウェーハ保持孔46aを有し、かつ各外縁部に、サンギヤ44およびインターナルギヤ45に噛合される外ギヤ46bが形成された計4枚の円盤形状のキャリアプレート46とを備えている。
サンギヤ式両面研磨装置40には、スピードファム社製の28B両面研磨装置が採用されている。両研磨布41,41には、ロデール・ニッタ社製Suba800が採用されている。シリコンウェーハWの厚さは730μm、キャリアプレート46の厚さは600μmである。
図4および図5において、10は無サンギヤ式両面研磨装置である。具体的には、不二越株式会社製の両面研磨装置(LPD300)が採用されている。
無サンギヤ式両面研磨装置10は、5個のウェーハ保持孔11aがプレート軸線回りに(円周方向に)72度ごとに穿設された平面視して円板形状のガラスエポキシ製のキャリアプレート11と、それぞれのウェーハ保持孔11aに旋回自在に挿入されて保持された直径300mmのシリコンウェーハWを、上下から挟み込むとともに、シリコンウェーハWに対して相対的に移動させることでウェーハ面を研磨する上定盤12および下定盤13とを備えている。キャリアプレート11の厚さ(600μm)は、シリコンウェーハWの厚さ(730μm)よりも若干薄くなっている。
下定盤13は、その出力軸17aを介して、下側回転モータ17により水平面内で回転させられる。このキャリアプレート11は、そのプレート11自体が自転しないように、キャリア円運動機構19によって、そのプレート11の面と平行な面(水平面)内で円運動する。次に、このキャリア円運動機構19を詳細に説明する。
すなわち、連結構造21は、キャリアホルダ20の内周フランジ20aに、ホルダ周方向へ所定角度ごとに突設された多数本のピン23と、キャリアプレート11の外周部のうち、各ピン23と対応する位置に対応する数だけ穿設された長孔形状のピン孔11bとを有している(図6)。
そして、各スプロケット26には、一連にタイミングチェーン27が水平状態で架け渡されている。なお、このタイミングチェーン27をギヤ構造の動力伝達系に変更してもよい。これらの4個のスプロケット26とタイミングチェーン27とは、4個の偏心アーム24が同期して円運動を行うように、4本の回転軸24bを同時に回転させる同期手段を構成している。
図4〜図6に示すように、まず、キャリアプレート11の各ウェーハ保持孔11aにそれぞれ旋回自在にシリコンウェーハWを挿入する。このとき、各ウェーハ裏面は上向きとする。次いで、この状態のまま、上定盤12とともに5rpmで回転中の裏面側の研磨布14を、各ウェーハ裏面に150g/cm2で押し付けるとともに、下定盤13とともに25rpmで回転中の表面側の研磨布15を各ウェーハ表面に150g/cm2で押し付ける。
3次研磨では、2次研磨工程で使用された無サンギヤ式両面研磨装置10が使用される。ただし、両研磨布14,15としては、東レコーテックス社製シーガル7355を使用し、2次研磨と同じ研磨条件でシリコンウェーハWに対して両面研磨が行われる。
このように、シリコンウェーハWの研磨として、毎回の研磨条件を変更して行われる3段階の連続的な研磨を採用し、かつ全ての回の研磨をサンギヤ式両面研磨装置40または無サンギヤ式両面研磨装置10を使用する両面同時研磨としたので、シリコンウェーハWの表面形状の高品質化が図れ、電子回路のさらなる微細化が可能になる。
また、2次研磨工程および3次研磨工程では、両面研磨として無サンギヤ両面研磨を採用したので、ウェーハ研磨面の略全域にわたって均一に研磨することができる。これにより、ウェーハ外周部の研磨ダレなども低減可能となる。
実施例1の条件で得られた直径300mm、初期酸素濃度1.0×1018atoms/cm3、比抵抗が10mΩ・cmのシリコン単結晶インゴットをウェーハ加工し、最終的に表面が鏡面研磨された多数枚のシリコンウェーハ(厚さ730μm)のうち、選出された2枚を、比較例1および試験例1の実験で使用した。
次に、このシリコンウェーハに対して、1次研磨、2次研磨および仕上げ研磨からなる3段研磨を行った。
このうち、1次研磨工程では、実施例1の1次研磨と同じサンギヤ式両面研磨装置40を使用し、実施例1と同じ研磨条件でシリコンウェーハWの両面研磨を行った。
また、2次研磨工程では、研磨装置としてラップマスター社製の片面研磨装置LG704を使用した点を除いては、実施例1の2次研磨工程と同じ条件でシリコンウェーハWの表面のみを研磨した。
さらに、3次研磨工程では、比較例1の2次研磨工程と同じ片面研磨装置を使用した点を除いては、実施例1の3次研磨工程と同じ条件でシリコンウェーハWの表面のみを研磨した。
試験例1では、1次〜仕上げ研磨において、実施例1と同じ装置、同じ条件でシリコンウェーハWの両面研磨を行った。結果を比較例1のものとともに、図7のグラフおよび図8a,図8bに示す。図7のグラフはシリコンウェーハの平坦度(フラットネス)を表し、図8a,図8bはKLA−TENCOR社製SP2で測定したシリコンウェーハの裏面側のLPD(Light Point Defect;最小測定値130nm)の分布を表す。
図7のグラフから明らかなように、比較例1のシリコンウェーハに比べて試験例1のシリコンウェーハの方が、SFQR(Site Front Least−Squares Site Range)が小さかった。また、比較例1では1枚のシリコンウェーハの裏面に130nm以上のLPDが2300個存在していた(図8a)。これに対して、試験例1では1枚のシリコンウェーハの裏面にLPDは1個だけしかないことが判明した(図8b)。
11,46 キャリアプレート、
11a,46a ウェーハ保持孔、
12,42 上定盤、
13,43 下定盤、
14,15,41 研磨布、
40 サンギヤ式両面研磨装置、
W シリコンウェーハ。
Claims (1)
- シリコンウェーハの露出面に研磨布を押し付け、研磨剤を供給しながら、前記シリコンウェーハと前記研磨布とを相対的に摺動させ、前記露出面を研磨する両面鏡面シリコンウェーハの研磨方法であって、
前記シリコンウェーハの露出面の研磨は、研磨条件を変更して1次研磨、2次研磨、仕上げ研磨と連続して行われる3段研磨で、
前記1次研磨が、複数のキャリアプレートにそれぞれ形成された複数のウェーハ保持孔内に複数の前記シリコンウェーハを保持し、研磨砥粒を含まない前記研磨剤を供給しながら、各対向面に研磨布が貼着された上定盤および下定盤を前記複数のシリコンウェーハの表裏両面に押し付け、前記キャリアプレートをサンギヤとインターナルギヤとの間で自転公転させることで、前記複数のシリコンウェーハの表裏両面を同時に研磨するサンギヤ式両面研磨で、
前記2次研磨および仕上げ研磨が、キャリアプレートに形成されたウェーハ保持孔内に前記シリコンウェーハを保持し、研磨砥粒を含まない前記研磨剤を供給しながら、前記研磨布が貼着された上定盤と前記研磨布が貼着された下定盤との間で、前記キャリアプレートの表面と平行な面内でこのキャリアプレートに自転を伴わない円運動を行わせる無サンギヤ式の両面研磨である両面鏡面シリコンウェーハの研磨方法。
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