JP2004087521A - 片面鏡面ウェーハおよびその製造方法 - Google Patents

片面鏡面ウェーハおよびその製造方法 Download PDF

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伝田 正
Keiji Hatano
畑野 桂司
Kazunari Takaishi
高石 和成
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Abstract

【課題】両面研磨ウェーハの利点を有しながら、表裏両面を容易に判別でき、ウェーハ保持板のウェーハ保持面からウェーハを容易に剥がせる片面鏡面ウェーハおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】シリコンウェーハWの表面が鏡面で、その裏面の粗さを鏡面と同じ程度まで高めた片面鏡面ウェーハとしたので、ウェーハ裏面に対しての有機物およびパーティクルなどの付着、金属汚染が発生しにくく、ウェーハ表面の平坦度が高く、しかもウェーハ表裏両面の判別が容易で、例えばデバイス工程に配備された真空チャック板のチャック面からウェーハを容易に剥がすことができる。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は片面鏡面ウェーハおよびその製造方法、詳しくは裏面の粗さを鏡面と同じ程度まで小さくした片面鏡面ウェーハおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
シリコンウェーハの種類として、片面が鏡面仕上げされた片面鏡面ウェーハが知られている。
片面鏡面ウェーハの製造方法は、単結晶シリコンインゴットをスライスしてシリコンウェーハを作製し、その後、このウェーハに対して面取り、ラッピング、酸エッチングなどの各工程が順次なされ、それからウェーハ表面を鏡面化する研磨が施される。この研磨は、片面研磨用の研磨装置により行われる。すなわち、研磨布が展張された研磨定盤と、研磨定盤に対向配置された研磨ヘッドと、研磨ヘッドに取り付けられ、シリコンウェーハが貼着されるキャリアプレートとを備え、スラリーを供給しながら、回転中のウェーハ表面を研磨布の研磨作用面に押し付け、その表面を研磨する。
片面鏡面ウェーハの裏面は、エッチング処理されたままのエッチング面である。このようなエッチング面には、高い密度で微細な凹凸が存在する。そのため、有機物およびパーティクルなどが付着しやすい。また、金属汚染も発生しやすい。
【0003】
そこで、これを解消する技術として、両面が鏡面仕上げされた両面研磨ウェーハが知られている。
両面研磨ウェーハの製造方法は、中心部にサンギヤが配置され、外周部にインターナルギヤが配置された遊星歯車構造の両面研磨装置を用いる。両面研磨装置は、キャリアプレートに複数形成されたウェーハ保持孔の内部にシリコンウェーハを挿入・保持し、研磨砥粒を含むスラリーを供給しながら、それぞれの対向面に研磨布が貼着された上定盤および下定盤を各ウェーハの表裏両面に押し付け、キャリアプレートをサンギヤとインターナルギヤとの間で自転公転させ、各ウェーハの表裏両面を同時に研磨する。
シリコンウェーハの表面だけでなく裏面も研磨されているので、ウェーハ裏面に有機物およびパーティクルなどが付着しにくく、金属汚染も発生しにくい。また、研磨後にキャリアプレートからシリコンウェーハを剥がす必要がないので、ワックス貼着されたシリコンウェーハの剥離時の表面あれが発生せず、ウェーハ表面の平坦度が高まる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の両面研磨ウェーハにあっては、その表裏両面が同じ高水準の鏡面に仕上げられていた。そのため、デバイス工程でデバイスが形成されるウェーハ表面と、例えば真空チャック板に真空吸着されるウェーハ裏面との判別が困難であった。
また、真空吸着によるウェーハ保持を採用した場合、デバイスの形成後に両面研磨ウェーハを真空チャック板から剥がそうとしても、真空チャックされるウェーハ裏面が鏡面である。そのため、このシリコンウェーハが真空チャック板に張り付き、剥がし難くかった。
【0005】
そこで、発明者は、鋭意研究の結果、片面鏡面ウェーハの裏面の粗さを鏡面と同じ程度まで小さくすれば、両面研磨ウェーハの利点を有しながら、ウェーハ表裏両面を容易に判別することができ、しかもウェーハ保持板のウェーハ保持面からウェーハを容易に剥がせることを知見し、この発明を完成させた。
【0006】
【発明の目的】
この発明は、ウェーハ裏面に対しての有機物およびパーティクルなどの付着、金属汚染が発生しにくく、ウェーハ表面の平坦度が高く、しかもウェーハ表裏両面の判別が容易で、ウェーハ保持板のウェーハ保持面からウェーハを容易に剥がすことができる片面鏡面ウェーハおよびその製造方法を提供することを、その目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、表面が鏡面で、裏面の粗さがRaで500〜5000オングストロームである片面鏡面ウェーハである。
半導体ウェーハとしては、例えばシリコンウェーハ、ガリウム砒素ウェーハなどを採用することができる。
研磨後の半導体ウェーハは、デバイス形成面となるウェーハ表面が鏡面で、裏面はこのウェーハ表面と同一ではないが、同じ程度の粗さとなる。
ウェーハの裏面の好ましい粗さは、Raで1000〜3000オングストロームである。500オングストローム未満では両面研磨ウェーハと同じになるので、表裏の判別が困難になる。また、5000オングストロームを超えると、片面鏡面ウェーハと同じになるので、有機物およびパーティクルなどが付着しやすくなる。粗さの測定には、株式会社チャップマンMP−2000を用いる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、表面が鏡面で、裏面においてエッチピットの占める割合が5〜90%である片面鏡面ウェーハである。
ウェーハの裏面においてエッチピットが占める好ましい割合は20〜70%である。5%未満では、両面研磨ウェーハと同じになるので、表裏の判別が困難になる。90%を超えると、片面鏡面ウェーハと同じになるので、有機物およびパーティクルなどが付着しやすくなる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記エッチピットの大きさが、3〜50μmである請求項2に記載の片面鏡面ウェーハである。
好ましいエッチピットの大きさは10〜20μmである。3μm未満では、両面研磨ウェーハと同じになるので、表裏の判別が困難になる。50μmを超えると、片面鏡面ウェーハと同じになるので、有機物およびパーティクルなどが付着しやすくなる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、表面が鏡面で、裏面の光沢度が表面の光沢度の50%以上で100%未満である片面鏡面ウェーハである。
好ましい光沢度は60〜90%である。50%未満では、片面鏡面ウェーハと同じになるので、有機物およびパーティクルなどが付着しやすくなる。100%であると、両面研磨ウェーハと同じになるので、表裏の判別が困難になる。光沢度の測定には、日本電色製測定器を用いる。
【0011】
請求項5に記載の発明は、ナノトポグラフィが10mm角の範囲で50nm以下である片面鏡面ウェーハである。
好ましいナノトポグラフィは、30nm以下である。50nmを超えると酸化膜の膜厚にムラが生じる。ナノトポグラフィの測定には、ウェーハ検査装置(ADE社製 WIS−CR83 SQM)を用いる。
【0012】
請求項6に記載の発明は、SBIRで0.2μm以下である片面鏡面ウェーハである。
SBIRの好ましい値は0.15μm以下である。0.2μmを超えるとステッパ露光工程で焦点不良が生じやすい。SBIRの測定には、ADE 9600などを用いる。条件はFQA194mm、サイトサイズ20×20mm、オフセット0×0mmである。
【0013】
請求項7に記載の発明は、キャリアプレートに形成されたウェーハ保持孔内に、表面が研削面で裏面がエッチング面である半導体ウェーハを保持し、研磨剤を供給しながら、それぞれ研磨布が貼着された上定盤および下定盤の間で、前記キャリアプレートの表面と平行な面内でこのキャリアプレートに自転を伴わない円運動をさせる片面鏡面ウェーハの製造方法である。
キャリアプレートに形成されるウェーハ保持孔の個数は、1個(枚葉式)でも複数個(バッチ式)でもよい。ウェーハ保持孔の大きさは、研磨される半導体ウェーハの大きさに応じて、任意に変更される。
【0014】
半導体ウェーハは、その表面が研削面で、その裏面がエッチング面である。このような表裏両面の加工処理が異なる半導体ウェーハの製造方法としては、例えば半導体ウェーハのエッチング後、この半導体ウェーハの表面を研削する方法などが挙げられる。
エッチングには、各種の酸性エッチング液または各種のアルカリ性エッチング液を採用することができる。酸性エッチング液としては、例えばHF/HNO系の混酸を採用することができる。また、アルカリ性エッチング液としては、例えばKOH、NaOHなどを採用することができる。エッチング量は、ウェーハ片面で5〜20μm程度、ウェーハ表裏両面を合わせて10〜40μm程度である。
【0015】
半導体ウェーハの表面研削は、研削精度が異なる複数の段階別の表面研削を施してもよい。例えば粗い1次表面研削と、仕上げ表面研削との組み合わせでもよい。さらに、1次表面研削と仕上げ表面研削との間に2次研削を行ったり、3次研削以上の表面研削を行ってもよい。少なくとも仕上げ時に低ダメージの表面研削を行った方が好ましい。もちろん、仕上げ表面研削だけでもよい。
表面研削に使用される研削砥石は限定されない。例えば、レジノイド研削砥石を採用することができる。ただし、この仕上げ表面研削工程では、ウェーハ表面があれにくく、しかも非ダメージ面でも研削することができる高番手の研削砥石(例えば#2000のレジノイド研削砥石)が好ましい。表面研削時の研削量は7〜8μm程度、加工後のダメージは約2μmである。
【0016】
研磨剤の種類は限定されない。例えば、焼成シリカやコロイダルシリカ(研磨砥粒)、アミン(加工促進剤)および有機高分子(ヘイズ抑制剤)などを混合したものを採用することができる。コロイダルシリカとは、珪酸粒子の疑集が起こらないで一次粒子のまま水中に分散した透明もしくは不透明な乳白色のコロイド液として提供される。その他、遊離砥粒を含まないアルカリ液のみでもよい。
研磨剤の供給量は、キャリアプレートの大きさにより異なる。例えば、1.0〜2.0リットル/分である。研磨剤の半導体ウェーハへの供給は、半導体ウェーハの鏡面側に行うことができる。
上定盤および下定盤の回転速度は限定されない。例えば、同じ速度で回転させてもよいし、異なる速度で回転させてもよい。また、それらの回転方向も限定されない。すなわち、同じ方向に回転させてもよいし、互いに反対方向へ回転させてもよい。
上定盤および下定盤の半導体ウェーハに対しての押圧力は限定されない。例えば、150〜250g/cmである。
また、ウェーハ表裏両面の研磨量および研磨速度も限定されない。このウェーハ表面とウェーハ裏面との研磨速度の違いは、ウェーハ表裏両面の粗さに大きな影響を及ぼす。
【0017】
これらの上定盤および下定盤に展張される研磨布の種類および材質は限定されない。例えば、硬質発泡ウレタンフォームパッド、不織布にウレタン樹脂を含浸・硬化させた不織布パッドが挙げられる。その他、不織布からなる基布の上にウレタン樹脂を発泡させたパッドなども挙げられる。
ここでいう自転を伴わない円運動とは、キャリアプレートが上定盤および下定盤の軸線から所定距離だけ偏心した状態を常に保持して旋回するような円運動をいう。この自転を伴わない円運動によって、キャリアプレート上の全ての点は、同じ大きさの小円の軌跡を描くことになる。
このような無サンギヤ式の両面研磨装置は、遊星歯車式のもののようにサンギヤが存在しないので、例えば300mmウェーハなどの大口径ウェーハ用として適している。
【0018】
請求項8に記載の発明は、キャリアプレートに形成されたウェーハ保持孔内に半導体ウェーハを保持し、研磨剤を供給しながら、それぞれ研磨布が貼着された上定盤および下定盤の間で、前記キャリアプレートの表面と平行な面内でこのキャリアプレートに自転を伴わない円運動をさせ、研磨条件を異ならせることで半導体ウェーハの表面を鏡面とし、半導体ウェーハの裏面を粗面とする無サンギヤ式両面研磨工程と、キャリアプレートに形成されたウェーハ保持孔内に半導体ウェーハを保持し、研磨剤を供給しながら、各対向面に研磨布が貼着された上定盤および下定盤を半導体ウェーハの表裏両面に押し付け、前記キャリアプレートをサンギヤとインターナルギヤとの間で自転公転させることで、半導体ウェーハの表裏両面を同時に研磨するサンギヤ式両面研磨工程とを備え、前記無サンギヤ式両面研磨後に、前記サンギヤ式両面研磨を行う片面鏡面ウェーハの製造方法である。
【0019】
無サンギヤ式両面研磨時における半導体ウェーハの表面と裏面との研磨条件は、例えば、(1) 上定盤の研磨布および下定盤の研磨布のうちのいずれか一方に、他方とは研磨時における半導体ウェーハの沈み込み量が異なる研磨布を用いる。(2) 一方の研磨布を、他方の研磨布とは異なる硬度とする。(3) 一方の研磨布を、他方の研磨布とは異なる密度にする。(4) 一方の研磨布を、他方の研磨布とは異なる圧縮率とする。(5) 一方の研磨布を、他方の研磨布とは異なる圧縮弾性率とする。(6) 上定盤および下定盤のうちのいずれか一方の回転速度を、他方とは異なる回転速度とする。
【0020】
(1) 研磨時における上定盤用の研磨布における半導体ウェーハの沈み込み量と、下定盤用の研磨布における半導体ウェーハの沈み込み量とは限定されない。
この半導体ウェーハの沈み込み量を異ならせる方法は限定されない。例えば、互いに硬度が異なる材質の研磨布、互いに密度が異なる材質の研磨布、互いに圧縮率が違う材質の研磨布、または、互いに圧縮弾性率が違う材質の研磨布などを採用することができる。また、例えば同じ材質の研磨布において、硬度、密度、圧縮率、圧縮弾性率を異ならせてもよい。このように硬度、密度、圧縮率または圧縮弾性率が異なる研磨布を使用して、ウェーハ表裏両面を研磨するようにすれば、ウェーハ表面とウェーハ裏面との粗さが異なり、半導体ウェーハの表裏両面が別々の光沢度に研磨される。ここで「光沢度が異なる」とは、鏡面仕上げされるウェーハ表面がウェーハ裏面に比べて高光沢度であることを意味する。光沢度の測定は公知の測定器(例えば日本電色社製測定器)を用いて行うことができる。
【0021】
(2) これらの研磨布の各硬度は限定されない。例えば、50〜100゜(Asker硬度計)のものが使用される。
一方の研磨布と他方の研磨布との硬度比も限定されない。例えば、1:1.05〜1:1.60のものが使用される。
(3) これらの研磨布の各密度は限定されない。例えば、0.30〜0.80g/cmのものが使用される。
一方の研磨布と他方の研磨布との密度比も限定されない。例えば、1:1.1〜1:2.0のものが使用される。
(4) それぞれの研磨布の圧縮率は限定されない。例えば、1.0〜8.0%の範囲のものが使用される。
これらの研磨布の圧縮率の比率も限定されない。例えば、1:1.2〜1:8.0のものが使用される。
【0022】
(5) それぞれの研磨布の圧縮弾性率は限定されない。例えば、60〜90%の範囲のものが使用される。
一方の研磨布の圧縮弾性率と他方のそれとの比率も限定されない。例えば、1:1.1〜1:1.5のものが使用される。
(6) 上定盤および下定盤の回転速度は限定されない。例えば、低速で回転させられる側の定盤の回転速度を5〜15rpmの範囲内で変化させ、高速で回転させられる側の定盤の回転速度を20〜30rpmで変化させる。このときの上定盤および下定盤の回転速度比も限定されない。例えば、1:4から1:5までとする。なお、一方の定盤を回転させずに、半導体ウェーハの片面だけを研磨するようにしてもよい。
【0023】
請求項9に記載の発明は、キャリアプレートに形成されたウェーハ保持孔内に半導体ウェーハを保持し、研磨剤を供給しながら、それぞれ研磨布が貼着された上定盤および下定盤の間で、前記キャリアプレートの表面と平行な面内でこのキャリアプレートに自転を伴わない円運動をさせ、研磨条件を異ならせることで半導体ウェーハの表面を鏡面とし、半導体ウェーハの裏面を粗面とする無サンギヤ式両面研磨工程と、キャリアプレートに形成されたウェーハ保持孔内に半導体ウェーハを保持し、研磨剤を供給しながら、各対向面に研磨布が貼着された上定盤および下定盤を半導体ウェーハの表裏両面に押し付け、前記キャリアプレートをサンギヤとインターナルギヤとの間で自転公転させることで、半導体ウェーハの表裏両面を同時に研磨するサンギヤ式両面研磨工程とを備え、前記サンギヤ式両面研磨後に、前記無サンギヤ式両面研磨を行う片面鏡面ウェーハの製造方法である。
【0024】
【作用】
請求項1〜請求項6の片面鏡面ウェーハによれば、ウェーハの表面が鏡面で、その裏面の粗さを鏡面と同じ程度まで小さくした片面鏡面ウェーハとしたので、ウェーハ裏面に対しての有機物およびパーティクルなどの付着、金属汚染が発生しにくく、ウェーハ表面の平坦度が高く、しかもウェーハ表裏両面の判別が容易で、ウェーハ保持板のウェーハ保持面からウェーハを容易に剥がすことができる。
【0025】
また、請求項7〜請求項9の片面鏡面ウェーハの製造方法によれば、研磨剤を供給しながら、表面研磨用の研磨布および裏面研磨用の研磨布と、半導体ウェーハとをそれぞれ相対的に回転させ、これらの研磨布を半導体ウェーハの表裏両面に所定の研磨圧力で押圧して研磨する。このとき、例えば半導体ウェーハとして、表面が研削面で裏面がエッチング面であるものを採用し、キャリアプレートに自転を伴わない円運動をさせる無サンギヤ式両面研磨を施せば、裏面の粗さを鏡面と同じ程度まで小さくした片面鏡面ウェーハを製造することができる。その他、ウェーハ表裏両面の研磨条件を異ならせた無サンギヤ式両面研磨後、キャリアプレートを自転させて表裏両面を同時に研磨するサンギヤ式両面研磨を施してもこの片面鏡面ウェーハを製造することができる。さらには、これとは反対に、サンギヤ式両面研磨後、無サンギヤ式両面研磨を施した場合でも片面鏡面ウェーハを製造することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施例を図面を参照して説明する。図1〜図5はこの発明の第1の実施例を説明する図である。
この第1の実施例の片面鏡面ウェーハは、裏面の粗さを表面の鏡面と同じ程度まで小さくした単結晶シリコン製のウェーハである。
【0027】
以下、この片面鏡面ウェーハの製造方法を説明する。
図1〜図5において、10は第1の実施例に係る半導体ウェーハの片面鏡面ウェーハの製造方法が適用されるサンギヤを有しない両面研磨装置(以下、無サンギヤ式両面研磨装置という)である。この無サンギヤ式両面研磨装置10は、5個のウェーハ保持孔11aがプレート軸線回りに(円周方向に)72度ごとに穿設された平面視して円板形状のガラスエポキシ製のキャリアプレート11と、それぞれのウェーハ保持孔11aに旋回自在に挿入されて保持された直径300mmのシリコンウェーハWを、上下から挟み込むとともに、シリコンウェーハWに対して相対的に移動させることでウェーハ面を研磨する上定盤12および下定盤13とを備えている。キャリアプレート11の厚さ(600μm)は、シリコンウェーハWの厚さ(730μm)よりも若干薄い。このシリコンウェーハWは、デバイス形成面(鏡面)となる表面がRaで300オングストロームの研削面で、裏面が粗さがRaで5000オングストロームのエッチング面である。ウェーハ表面の粗さと、ウェーハ裏面の粗さとの比は1:15である。
【0028】
このシリコンウェーハWの製造方法にあっては、まず、ブロック切断されたインゴットからシリコンウェーハWをスライスする。次の面取り工程では、このシリコンウェーハWの外周部に、#600〜#2000のメタルダイヤ砥石により粗い面取り加工を施す。続くラップ工程では、ラップ盤によりそのシリコンウェーハWの表裏両面をラッピング加工する。ラップ量は、ウェーハ表裏両面を合わせて60〜120μmである。その後、シリコンウェーハWを、常温〜50℃の所定のエッチング液(混酸またはアルカリ+混酸)に所定時間だけ浸漬し、そのラップ加工での歪み、面取り工程での歪みなどを除去する。エッチ後の表裏両面はSBIRで0.5μm程度である。エッチング量は、例えば両面で40μm程度である。
【0029】
次に、このシリコンウェーハWの表面を研削砥石により研削する。研削には、#600〜#4000のレジノイド研削砥石を搭載した研削装置により研削する。このときの研削量は5〜15μmである。研削後のウェーハ表面の平坦度はSBIRで0.4μm程度、加工ダメージは5μm程度である。次に、シリコンウェーハWを洗浄し、研削によってウェーハ表裏両面に付着した研削砥粒を除去する。続くPCR(Polishing Corner Rounding)工程では、シリコンウェーハWの表裏両面がチャックに吸着され、ウェーハ外周部にPCR加工が施される。PCR加工では、面取り面が研磨布により鏡面仕上げされる。
【0030】
図1および図2に示すように、このように表裏両面に異なる加工が施されたシリコンウェーハWを、無サンギヤ式両面研磨装置10を用いて両面研磨する。ここでは、上定盤12の下面および下定盤13の上面に、ウェーハ表面を鏡面化するための不織布にウレタン樹脂を含浸・硬化させた軟質の不織布パッド(ロデール社製Suba600)の研磨布15,15が貼着されている。この研磨布15の硬度は80゜(Asker)、圧縮率は3.5%、圧縮弾性率は75.0%であって、厚さは1270μmとなっている。
上定盤12は、上方に延びた回転軸12aを介して、上側回転モータ16により水平面内で回転駆動される。また、この上定盤12は軸線方向へ進退させる昇降装置18により垂直方向に昇降させられる。この昇降装置18は、シリコンウェーハWをキャリアプレート11に給排する際などに使用される。なお、上定盤12および下定盤13のシリコンウェーハWの表裏両面に対する押圧は、上定盤12および下定盤13に組み込まれた図示しないエアバック方式などの加圧手段により行われる。
下定盤13は、その出力軸17aを介して、下側回転モータ17により水平面内で回転させられる。このキャリアプレート11は、そのプレート11自体が自転しないように、キャリア円運動機構19によって、そのプレート11の面と平行な面(水平面)内で円運動する。次に、このキャリア円運動機構19を詳細に説明する。
【0031】
図1〜図5に示すように、このキャリア円運動機構19は、キャリアプレート11を外方から保持する環状のキャリアホルダ20を有している。これらの部材11,20は、連結構造21を介して連結されている。ここでいう連結構造21とは、キャリアプレート11を、そのキャリアプレート11が自転せず、しかもこのプレート11の熱膨張時の伸びを吸収できるようにキャリアホルダ20に連結させる手段である。
すなわち、この連結構造21は、図4に示すように、キャリアホルダ20の内周フランジ20aに、ホルダ周方向へ所定角度ごとに突設された多数本のピン23と、各対応するピン23を、キャリアプレート11の外周部に各ピン23と対応する位置に対応する数だけ穿設された長孔形状のピン孔11bとを有している。
【0032】
これらのピン孔11bは、ピン23を介してキャリアホルダ20に連結されたキャリアプレート11が、その半径方向へ若干移動できるように、その孔長さ方向をプレート半径方向と合致させている。それぞれのピン孔11bにピン23を遊挿させてキャリアプレート11をキャリアホルダ20に装着することで、研磨時のキャリアプレート11の熱膨張による伸びが吸収される。なお、各ピン23の元部は、この部分の外周面に刻設された外ねじを介して、上記内周フランジ20aに形成されたねじ孔にねじ込まれている。また、各ピン23の元部の外ねじの直上部には、キャリアプレート11が載置されるフランジ23aが周設されている。したがって、ピン23のねじ込み量を調整することで、フランジ23aに載置されたキャリアプレート11の高さ位置が調整可能となる。
【0033】
このキャリアホルダ20の外周部には、90度ごとに外方へ突出した4個の軸受部20bが配設されている。各軸受部20bには、小径円板形状の偏心アーム24の上面の偏心位置に突設された偏心軸24aが挿着されている。また、これら4個の偏心アーム24の各下面の中心部には、回転軸24bが垂設されている。これらの回転軸24bは、環状の装置基体25に90度ごとに合計4個配設された軸受部25aに、それぞれ先端部を下方へ突出させた状態で挿着されている。各回転軸24bの下方に突出した先端部には、それぞれスプロケット26が固着されている。そして、各スプロケット26には、一連にタイミングチェーン27が水平状態で架け渡されている。なお、このタイミングチェーン27をギヤ構造の動力伝達系に変更してもよい。これらの4個のスプロケット26とタイミングチェーン27とは、4個の偏心アーム24が同期して円運動を行うように、4本の回転軸24bを同時に回転させる同期手段を構成している。
【0034】
また、これらの4本の回転軸24bのうち、1本の回転軸24bは他の3本の回転軸よりさらに長尺に形成されており、その先端部がスプロケット26より下方に突出されている。この部分に動力伝達用のギヤ28が固着されている。このギヤ28は、例えばギヤドモータなどの円運動用モータ29の上方へ延びる出力軸に固着された大径な駆動用のギヤ30に噛合されている。なお、このようにタイミングチェーン27により同期させなくても、例えば4個の偏心アーム24のそれぞれに円運動用モータ29を配設させ、各偏心アーム24を個別に回転させてもよい。ただし、各モータ29の回転は同期させる必要がある。
【0035】
したがって、円運動用モータ29の出力軸を回転させると、その回転力は、ギヤ28,30および長尺な回転軸24bに固着されたスプロケット26を介してタイミングチェーン27に伝達され、このタイミングチェーン27が周転することで、他の3個のスプロケット26を介して、4個の偏心アーム24が同期し、回転軸24bを中心に水平面内で回転する。これにより、それぞれの偏心軸24aに一括して連結されたキャリアホルダ20、ひいてはこのホルダ20に保持されたキャリアプレート11が、このプレート11に平行な水平面内で、自転をともなわない円運動を行う。すなわち、キャリアプレート11は上定盤12および下定盤13の軸線aから距離Lだけ偏心した状態を保って旋回する。この距離Lは、偏心軸24aと回転軸24bとの距離に等しい。このような自転をともなわない円運動により、キャリアプレート11上の全ての点は、同じ大きさの小円の軌跡を描く。
また、図5にはこの無サンギヤ式両面研磨装置10におけるスラリー供給孔の位置を示す。例えば上定盤12に形成される複数のスラリー供給孔は、これらシリコンウェーハWの中心位置に配置されている。すなわち、スラリー供給孔(SL)は、上定盤12の中心部、すなわちキャリアプレート11の中心部に位置している。スラリー(研磨液)としては、平均粒度0.05μmの研磨砥粒を含むコロイダルシリカが採用されている。
【0036】
次に、この無サンギヤ式両面研磨装置10を用いたシリコンウェーハWの研磨方法を説明する。
まず、図1および図2に示すように、キャリアプレート11の各ウェーハ保持孔11aにそれぞれ旋回自在にシリコンウェーハWを挿入する。このとき、各ウェーハ裏面は上向きとする。次いで、この状態のまま、各ウェーハ裏面に裏面用の研磨布15を200g/cmで押し付けるとともに、各ウェーハ表面に表面用の研磨布15を200g/cmで押し付ける。
その後、これらの両パッド15,15をウェーハ表裏両面に押し付けたまま、上定盤12側からスラリーを2000ml/分で供給しながら、円運動用モータ29によりタイミングチェーン27を周転させる。これにより、各偏心アーム24が水平面内で同期回転し、各偏心軸24aに一括して連結されたキャリアホルダ20およびキャリアプレート11が、このプレート11表面に平行な水平面内で、自転をともなわない円運動を24rpmで行う。研磨時間は20分間である。その結果、各シリコンウェーハWは、対応するウェーハ保持孔11a内において水平面内で旋回しながら、それぞれのウェーハ表裏両面が両面研磨される(図2および図3)。このとき、ウェーハ表裏両面の研磨量は10μmである。
【0037】
このように、研磨されるシリコンウェーハWとして、平坦度0.4μm(SBIR)の研削面で、裏面がエッチング面となったウェーハを採用し、これを上定盤12および下定盤13に貼着された同じ不織布パッドの研磨布15,15によって両面研磨したので、裏面の粗さを表面の鏡面と同じ程度まで小さくした片面鏡面ウェーハを製造することができる。
こうして得られた片面鏡面ウェーハは、表面が鏡面で、裏面の粗さがRaで3000オングストローム程度のウェーハである。また、このウェーハの裏面は、エッチピットの占める割合が70%程度、エッチピットの大きさは10〜30μm、日本電色社製測定器を利用した測定でのウェーハ裏面の光沢度がウェーハ表面の光沢度(330%)の95%程度、ウェーハ検査装置(ADE社製 WIS−CR83 SQM)を利用した測定で、ナノトポグラフィが10mm角の範囲で40nm程度、SBIRで0.2μm程度のものとなる。
また、このような無サンギヤ式両面研磨装置10を採用したので、両面研磨時には、キャリアプレート11に対して自転をともなわない円運動をさせてウェーハ表裏両面を同時に研磨する。このようなキャリアプレート11の特殊な運動によりシリコンウェーハWを両面研磨するようにしたので、ウェーハ表裏両面の略全域において均一に研磨することができる。
【0038】
なお、この第1の実施例の両面研磨装置10は、キャリアプレート11を円運動させなくても、上側回転モータ16により上定盤12を5rpmで回転させるとともに、下側回転モータ17により下定盤13を25rpmで回転させるだけで、各シリコンウェーハWを両面研磨することができる。
この場合、各シリコンウェーハWがウェーハ保持孔11aの中で旋回自在に挿入・保持されているので、この研磨中、各シリコンウェーハWは回転速度が速い側の定盤の回転方向へ連れ回り(自転)する。このようにシリコンウェーハWを自転させることで、上定盤12および下定盤13による研磨ではウェーハ外周へ向かうほど周速度が大きくなるという影響をなくすことができる。その結果、ウェーハ表裏両面のそれぞれの面全域を均一に研磨することができる。
このように、上定盤12と下定盤13とに回転速度の差をつけるようにして両面研磨をしても、無サンギヤ式両面研磨装置10を用いて、裏面の粗さを表面の鏡面と同じ程度まで小さくした片面鏡面ウェーハを得ることができる。
【0039】
次に、図1および図6〜図8に基づき、この発明の第2の実施例に係る片面鏡面ウェーハの製造方法を説明する。
この第2の実施例の片面鏡面ウェーハの製造方法は、表裏両面がエッチングされたエッチドウェーハに対して、表裏両面で研磨条件を異ならせた無サンギヤ式両面研磨装置10(図1)による両面研磨を施し、その後、ウェーハ表面の研磨条件とウェーハ裏面の研磨条件とを同一にして、前記サンギヤ式両面研磨装置40(図7)によりウェーハの表裏両面を研磨したものである。このような研磨方法でも、第1の実施例と同じように、裏面の粗さを表面の鏡面と同じ程度まで小さくした片面鏡面ウェーハを製造することができる。
【0040】
以下、この第2の実施例の片面鏡面ウェーハの製造方法を具体的に説明する。図1および図6に示す無サンギヤ式両面研磨装置10の上定盤12の下面には、ウェーハ裏面を梨地面に研磨する硬質の発泡ウレタンフォームパッド14が展張されている。また、下定盤13の上面には、ウェーハ表面を鏡面化する軟質の不織布パッド15が展張されている。硬質発泡ウレタンフォームパッド14(ロデール社製MHS15A)の硬度は85゜(Asker硬度計)、密度は0.53g/cm、圧縮率は3.0%、その厚さは1000μmである。一方、軟質不織布パッド15(ロデール社製Suba600)の場合には、前記したようにその硬度は80゜(Asker)、圧縮率は3.5%、圧縮弾性率は75.0%であって、厚さは1270μmとなっている。このように、上定盤12側の硬質発泡ウレタンフォームパッド14の方が硬いので、所定の研磨圧でのウェーハ両面研磨時に、シリコンウェーハWがパッドの内部に沈み込みにくく、反対に軟質不織布パッド15の方が軟らかいので、ウェーハ両面研磨時に、シリコンウェーハWがパッドの内部に沈み込みやすい。
【0041】
なお、これらの硬質発泡ウレタンフォームパッド14と軟質不織布パッド15との密度、圧縮率および圧縮弾性率の各関係においても、同じように硬質発泡ウレタンフォームパッド14の方が、高密度で、高圧縮率、低圧縮弾性率であって、いずれもシリコンウェーハWがパッドの内部に沈み込みやすい条件となっている。
このことは、図6を参照しても明らかである。すなわち、硬質発泡ウレタンフォームパッド14側の沈み込み量d1に比べて、軟質不織布パッド15の沈み込み量d2の方が大きくなっている。
なお、両パッド14,15に関して、研磨砥粒を含むスラリーの保持力について言及すると、当然、軟らかい軟質不織布パッド15の方が、硬い硬質発泡ウレタンフォームパッド14と比較してスラリーの保持力は大きくなる。スラリーの保持力が大きいほど、研磨砥粒がパッド面に多量に付着して、研磨速度は大きくなる。
【0042】
また、この第2の実施例では、無サンギヤ式両面研磨装置10だけでなく、図7および図8に示すサンギヤ式両面研磨装置40も使用される。
このサンギヤ式両面研磨装置40は、互いに平行に設けられ、各対向面に研磨布41,41がそれぞれ貼着された上定盤42および下定盤43と、これらの上定盤42、下定盤43間に介在されて、軸線回りに回転自在に設けられた小径なサンギヤ44と、この軸線と同じ軸線を中心に回転自在に設けられた大径なインターナルギヤ45と、それぞれ4枚のシリコンウェーハWを保持するウェーハ保持孔46aを有し、かつ各外縁部に、サンギヤ44およびインターナルギヤ45に噛合される外ギヤ46bが形成された計4枚の円盤形状のキャリアプレート46とを備えている。
両研磨布41,41としては、例えばウェーハ表面を鏡面化する軟質の不織布パッドが採用されている(ロデール社製Suba600)。
【0043】
次に、この第2の実施例の片面鏡面ウェーハの製造方法を説明する。
まず、第1の実施例と同じ無サンギヤ式両面研磨装置10により、シリコンウェーハWの表裏両面を同時に研磨する(1次研磨)。具体的には、図1および図6に示すように、キャリアプレート11の各ウェーハ保持孔11aにそれぞれ旋回自在にシリコンウェーハWを挿入する。このとき、各ウェーハ裏面は上向きとする。次いで、この状態のまま、各ウェーハ裏面に裏面用研磨布14を200g/cmで押し付けるとともに、各ウェーハ表面に表面用研磨布15を200g/cmで押し付ける。
その後、これらの両パッド14,15をウェーハ表裏両面に押し付けたまま、上定盤12側からスラリーを2000ml/分で供給しながら、円運動用モータ29によりタイミングチェーン27を周転させる。これにより、各偏心アーム24が水平面内で同期回転し、各偏心軸24aに一括して連結されたキャリアホルダ20およびキャリアプレート11が、このプレート11表面に平行な水平面内で、自転をともなわない円運動を24rpmで行う。研磨時間は20分である。その結果、各シリコンウェーハWは、対応するウェーハ保持孔11aに収納された状態で水平面内で旋回しながら、それぞれのウェーハ表裏両面が両面研磨される。このとき、ウェーハ表面の研磨量は約8μm、平坦度は0.2μm(SBIR)である。一方、ウェーハ裏面の研磨量は0.5〜4μmである。
【0044】
この両面研磨時、上定盤12の硬質発泡ウレタンフォームパッド14は、下定盤13の軟質不織布パッド15よりもシリコンウェーハWの沈み込み量が小さい。そのため、第1の実施例のように、上定盤12および下定盤13に、同じ材質、同じ種類の研磨布15,15を貼着し、シリコンウェーハWとして表面が研削面で裏面がエッチング面の特別なウェーハを採用しなくても、この第2の実施例では、表裏両面が同じエッチング面であるシリコンウェーハWを使用して、表面より裏面の方が粗いシリコンウェーハWを得ることができる。
【0045】
次に、図7および図8に示すサンギヤ式両面研磨装置40を使用し、無サンギヤ式両面研磨後のシリコンウェーハWを仕上げ研磨する。具体的には、キャリアプレート46の各ウェーハ保持孔46aにそれぞれ旋回自在にシリコンウェーハWを挿入する。このとき、各ウェーハ裏面は上向きとする。次いで、この状態のまま、各ウェーハ表裏両面に研磨布41,41をそれぞれ200g/cm2 で押し付ける。また、上定盤42と下定盤43との間で、スラリーを2000ml/分で供給しながらキャリアプレート46を自転および公転させ、各ウェーハ保持孔46aに保持された4枚のシリコンウェーハWの表裏両面を、上下1対の研磨布41,41に押圧しながら一括して両面研磨する。このようにしても、裏面の粗さを表面の鏡面と同じ程度まで小さくした片面鏡面ウェーハを製造することができる。
なお、このサンギヤ式両面研磨装置40による両面研磨を先に施し、その後、無サンギヤ式両面研磨装置10による両面研磨を後に施しても、同様の片面鏡面ウェーハを製造することができる。
その他の構成、作用および効果は、第1の実施例と同じであるので、説明を省略する。
【0046】
【発明の効果】
請求項1〜請求項6の片面鏡面ウェーハによれば、このように裏面の粗さを鏡面(表面)と同じ程度、具体的には裏面の粗さがRaで500〜5000オングストローム、裏面におけるエッチピットの占める割合が5〜90%、裏面のエッチピットの大きさが3〜50μm、裏面の光沢度が表面の光沢度の50%以上100%未満、裏面のナノトポグラフィが10mm角の範囲で20〜50nm、SBIRで0.2μm以下まで小さくしたので、ウェーハ裏面に対しての有機物およびパーティクルなどの付着、金属汚染が発生しにくく、ウェーハ表面の平坦度が高く、しかもウェーハ表裏両面の判別が容易で、ウェーハ保持板のウェーハ保持面からウェーハを容易に剥がすことができる。
【0047】
また、請求項7〜請求項9の片面鏡面ウェーハの製造方法によれば、表面が研削面で裏面がエッチング面である半導体ウェーハを無サンギヤ式両面研磨装置を用いて両面研磨することで、裏面の粗さを鏡面と同じ程度まで小さくした片面鏡面ウェーハを製造することができる。その他、表裏両面で研磨条件を異ならせた無サンギヤ式両面研磨後に、ウェーハ表裏両面の研磨条件が同じサンギヤ式両面研磨を施すか、このウェーハ表裏両面が同じ研磨条件のサンギヤ式両面研磨後に、このウェーハ表裏両面が異なる研磨条件の無サンギヤ式両面研磨を施しても同様の片面鏡面ウェーハを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施例に係る片面鏡面ウェーハの製造方法に用いられる無サンギヤ式両面研磨装置の全体斜視図である。
【図2】この発明の第1の実施例に係る片面鏡面ウェーハの製造方法に用いられる無サンギヤ式両面研磨装置の使用中の縦断面図である。
【図3】この発明の第1の実施例に係る片面鏡面ウェーハの製造方法に用いられる無サンギヤ式両面研磨装置の概略平面図である。
【図4】この発明の第1の実施例に係るキャリアプレートに運動力を伝達する運動力伝達系の要部拡大断面図である。
【図5】この発明の第1の実施例に係る研磨液供給孔の位置を示す断面図および平面図である。
【図6】この発明の第2の実施例に係る片面鏡面ウェーハの製造方法における研磨中の状態を示すその断面図である。
【図7】この発明の第2の実施例に係る片面鏡面ウェーハ製造方法に用いられるサンギヤ式両面研磨装置の使用状態を示す一部に断面図を含んだ斜視図である。
【図8】この発明の第2の実施例に係る片面鏡面ウェーハの製造方法に用いられるサンギヤ式両面研磨装置の使用状態におけるキャリアプレート外周部の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
10 無サンギヤ式両面研磨装置、
11,46 キャリアプレート、
11a,46a ウェーハ保持孔、
12,42 上定盤、
13,43 下定盤、
14,15,41 研磨布、
40 サンギヤ式両面研磨装置、
44 サンギヤ、
45 インターナルギヤ、
W シリコンウェーハ(半導体ウェーハ)。

Claims (9)

  1. 表面が鏡面で、裏面の粗さがRaで500〜5000オングストロームである片面鏡面ウェーハ。
  2. 表面が鏡面で、裏面においてエッチピットの占める割合が5〜90%である片面鏡面ウェーハ。
  3. 前記エッチピットの大きさが、3〜50μmである請求項2に記載の片面鏡面ウェーハ。
  4. 表面が鏡面で、裏面の光沢度が表面の光沢度の50%以上で100%未満である片面鏡面ウェーハ。
  5. ナノトポグラフィが10mm角の範囲で50nm以下である請求項1〜請求項4のうち、何れか1項に記載の片面鏡面ウェーハ。
  6. SBIRで0.2μm以下である請求項1〜請求項4のうち、何れか1項に記載の片面鏡面ウェーハ。
  7. キャリアプレートに形成されたウェーハ保持孔内に、表面が研削面で裏面がエッチング面である半導体ウェーハを保持し、研磨剤を供給しながら、それぞれ研磨布が貼着された上定盤および下定盤の間で、前記キャリアプレートの表面と平行な面内でこのキャリアプレートに自転を伴わない円運動をさせる片面鏡面ウェーハの製造方法。
  8. キャリアプレートに形成されたウェーハ保持孔内に半導体ウェーハを保持し、研磨剤を供給しながら、それぞれ研磨布が貼着された上定盤および下定盤の間で、前記キャリアプレートの表面と平行な面内でこのキャリアプレートに自転を伴わない円運動をさせ、研磨条件を異ならせることで半導体ウェーハの表面を鏡面とし、半導体ウェーハの裏面を粗面とする無サンギヤ式両面研磨工程と、
    キャリアプレートに形成されたウェーハ保持孔内に半導体ウェーハを保持し、研磨剤を供給しながら、各対向面に研磨布が貼着された上定盤および下定盤を半導体ウェーハの表裏両面に押し付け、前記キャリアプレートをサンギヤとインターナルギヤとの間で自転公転させることで、半導体ウェーハの表裏両面を同時に研磨するサンギヤ式両面研磨工程とを備え、
    前記無サンギヤ式両面研磨後に、前記サンギヤ式両面研磨を行う片面鏡面ウェーハの製造方法。
  9. キャリアプレートに形成されたウェーハ保持孔内に半導体ウェーハを保持し、研磨剤を供給しながら、それぞれ研磨布が貼着された上定盤および下定盤の間で、前記キャリアプレートの表面と平行な面内でこのキャリアプレートに自転を伴わない円運動をさせ、研磨条件を異ならせることで半導体ウェーハの表面を鏡面とし、半導体ウェーハの裏面を粗面とする無サンギヤ式両面研磨工程と、
    キャリアプレートに形成されたウェーハ保持孔内に半導体ウェーハを保持し、研磨剤を供給しながら、各対向面に研磨布が貼着された上定盤および下定盤を半導体ウェーハの表裏両面に押し付け、前記キャリアプレートをサンギヤとインターナルギヤとの間で自転公転させることで、半導体ウェーハの表裏両面を同時に研磨するサンギヤ式両面研磨工程とを備え、
    前記サンギヤ式両面研磨後に、前記無サンギヤ式両面研磨を行う片面鏡面ウェーハの製造方法。
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