JP4636485B2 - ラップ盤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウェーハの上下面をラッピングするラップ盤及びラッピング方法に係り、特に、ラップ定盤の吊り上げ機構、および、砥粒の温度制御に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常スライスされたウェーハは、厚さが必ずしも一定でなく、また、表面に凹凸があるため、これを取り除くべくラッピングが行なわれる。図8は従来の一般的なラップ盤50の構造を示す概略図である。同図に基づいて一般的な半導体ウェーハのラッピング工程について説明する。
【0003】
ラッピング工程に用いるラップ盤50は、上方から見た場合に円環状をなす上定盤57と下定盤58を、図8に示すように互いの研磨面を対向させた状態で平行に保持し、その間にキャリア60を配置している。キャリア60は略円板状をなし、板面にウェーハ30を収容する複数の貫通した収容穴を有する。そして、収容穴にウェーハ30を収容した状態でキャリア60を上定盤57と下定盤58に対して相対回転させると共に、砥粒を混合した研磨液を上下定盤57,58とウェーハ30の間に供給することにより、ウェーハ30と上定盤57及び下定盤58が相対的にすべりあい、ウェーハ30の表面が削り取られて研磨される。
【0004】
そしてラッピング工程の終了時にはキャリア60の回転を緩やかに停止させる。その際、ウェーハ30に研磨中と同様の大きな荷重がかかっている場合には、ウェーハ30と上定盤57、下定盤58の間に大きな摩擦力が発生しているため、キャリア60の回転がこの摩擦力により突然停止することがある。これを防止するために、上定盤57に固定している吊りボルト56を引き上げることにより、上定盤57からウェーハ30にかかる荷重を例えば加工時の934kgから87kgまで緩やかに低下させながら、キャリア60の回転を緩やかに停止させる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の一般的なラップ盤50ではウェーハ研磨中において、ウェーハ30と上定盤57、下定盤58との摩擦熱により、上定盤57と下定盤58が図9のように上下方向に反ってしまい、研磨されたウェーハ30の平坦度が低下するという問題があった。
【0006】
すなわち、研磨されるウェーハ30の平坦度を向上させるために、上定盤57はその全面において平均的な圧力をウェーハ30に加える必要がある。そのためには、上定盤57の自重によりウェーハ30に荷重を加えることが最適であり、上定盤57を例えば1285kg程度の重さを有するように形成する。従って、上定盤57は相当な厚さを有することになるが、上定盤57が相当な厚さを有すると、ウェーハ研磨中において、上定盤57の下面である研磨面で発生した摩擦熱が上定盤57の上方へ十分に伝わらなくなる。
【0007】
例えば上定盤57の研磨面が38℃であるのに対し、上定盤57の上面が25℃というように、上定盤57の上下面で温度の不均一が生ずる。その結果、上定盤57は上面よりも研磨面が大きく熱膨張し、図9のように上定盤57は内周縁部および外周縁部が上方向へ反った形状になる。また、下定盤58もある程度の厚さを有するため、同様に、図9のように内周縁部および外周縁部が下方向へ反った形状になる。
【0008】
前述のようように、ウェーハ研磨中においては、上定盤57は熱変形により内周縁部および外周縁部が上方向へ反った形状となっている。ところが、ラップ盤50の停止時においては、図10に示すように上定盤57の内周縁部および外周縁部が下方向に撓む。すなわち、上定盤57からウェーハ30にかかっている荷重を低下させるべく上定盤57を吊りボルト56により上方向に強く引き上げる際に、上定盤57は大きな自重を有するため、内周縁部および外周縁部に下方向への変形が発生する。
【0009】
この上定盤57の内周縁部および外周縁部の撓みによりラップ盤50の停止時にウェーハ30に痕がつき、ウェーハ30の品質を低下させてしまうという問題があった。
【0010】
本出願に係る発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、上定盤と下定盤の熱膨張による反りの影響を防止し、ラップ盤停止時のラップ荷重を従来よりも大きくすることを可能にすると共に、荷重による上定盤の撓み量を低減させることにより、ラップドウェーハの平坦度及び形状を向上させることができるラップ盤を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本出願に係る第1の発明は、上定盤と下定盤との間に被加工物を介在して、前記被加工物をラッピング加工するラップ盤において、前記上定盤の中心から外周までの半径方向に少なくとも2点で前記上定盤を吊り上げることを特徴とするラップ盤である。
である。
【0012】
また、本出願に係る第2の発明は、上定盤と下定盤との間に被加工物を介在して、前記被加工物をラッピング加工するラップ盤において、前記上定盤の撓み部分を削り取ったことを特徴とするラップ盤である。
【0013】
更に、本出願に係る第3の発明は、前記削り取った部分は前記上定盤の内周縁部、及び、外周縁部であることを特徴とする上記第2の発明に記載のラップ盤である。
【0014】
また、本出願に係る第4の発明は、上定盤と下定盤との間に被加工物を介在して、研磨液を流入させながら前記被加工物をラッピング加工するラップ盤において、研磨液の温度を制御することができる研磨液供給回路を有することを特徴とするラップ盤である。
【0015】
更に、本出願に係る第5の発明は、前記研磨液供給回路は、研磨液を蓄える研磨液タンクと、上定盤または下定盤の被加工物接触面と被加工物非接触面の温度を検出する温度検出手段と、前記研磨液の温度を調節する温度調節手段と、を具備し、
前記温度調節手段は、前記被加工物研磨中において、前記温度検出手段の出力に応じて前記研磨液の温度を制御するように構成されていることを特徴とする上記第4の発明に記載のラップ盤である。
【0016】
また、本出願に係る第6の発明は、上定盤と下定盤との間に被加工物を介在して、研磨液を流入させながら被加工物をラッピング加工するラッピング方法において、前記研磨液の温度を制御することを特徴とするラッピング方法である。
【0017】
更に、本出願に係る第7の発明は、上定盤と下定盤との間にラッピングキャリアを配置し、該ラッピングキャリアに設けた穴に被加工物を収容して、研磨液を流入させながら被加工物をラッピング加工するラッピング方法において、
前記ラッピングキャリアの替わりに、前記ラッピングキャリアと同様な外周形状を有する修正キャリアを配置して、少なくとも前記上定盤の形状を修正する工程を含むことを特徴とするラッピング方法である。
【0018】
また、本出願に係る第8の発明は、少なくとも前記上定盤の形状を修正することにより、ラッピング停止時におけるラップ荷重を、形状の修正を行わない場合に比して上昇させたことを特徴とする上記第7の発明に記載のラッピング方法である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図7を用いて説明する。
図1は本発明にかかわるラップ盤1の概略構造を示す縦断面図であり、図2はラップ盤1の上定盤吊り上げ機構の一部断面図である。また、図3はフォース18の平面図であり、図4はラップ盤1の上定盤の平面図である。
【0020】
図1に示すように、下方に向けて垂直に配置された主シリンダ11のロッド11aの下端にサブシリンダ12を直列に連結している。主シリンダ11のロッド11aはサブシリンダ12に連結され、主シリンダ11とサブシリンダ12はそれぞれ独立に伸縮動作可能である。主シリンダ11は、ウェーハ30に対するラッピングが終了した時点で、新たにラッピングすべきウェーハと交換するために、サブシリンダ12と主シリンダ11を上下動させ、上定盤19の上下動作を制御する。
【0021】
一方、サブシリンダ12は上定盤19からウェーハ30にかかる荷重をコントロールする働きを有し、常に上定盤19を持ち上げる方向に力を印加する。サブシリンダ12のロッド12aの下端には、外径1100〜1400mm程度の、下面を平坦面とする円板形状をした吊り上げプレート13を固定している。図2及び図4に示すように、この吊り上げプレート13は、中心から放射状に配置された12個の貫通穴15cを外周近傍にそれぞれ30°の間隔をあけて有し、その貫通穴15cの上に座金15bを載置して、その座金15b及び貫通穴15cを通して上方からボルト15aをねじ込んで吊りシャフト14を固定している。
【0022】
吊りシャフト14は、大小異なる直径を有する円柱部材を直列に連結した形状をなし、下端に雄ねじを有するクロム−モリブデン鋼製のシャフト等を使用する。図2に示すように、この吊りシャフト14の下端は、上定盤19に設けた雌ねじに螺合して上定盤19を支える。さらに吊りシャフト14はその腹部中央に、SUS304により作られた直方体状のフォース18を備える。図2及び図3に示すように、フォース18は、縦(x)50mm横(y)300mm奥行き(z)50mmの直方体状をなし、ほぼ中間部に垂直方向に貫通する吊りシャフト14との係合部18bを備える。
【0023】
フォース18は、ほぼ中間部で側面から中心近辺まで直方体形状に切り取られて、本体部材とブロック部材18aに分けられ、両部材の接触部分に吊りシャフト14の直径と同じ直径を有する円形貫通穴状の係合部18bを形成している。この係合部18bに吊りシャフト14を挿入し、2本の固定ねじ22によりブロック部材18aを本体部材に固定することにより、吊りシャフト14の直径段差部にフォース18が固定される。フォース18を吊りシャフト14に固定する構造はこれだけに限られるものではなく、吊りシャフト14に螺合させた2個のナットによってフォース18を上下から挟んで固定する構造にしてもよい。フォース18は、吊りシャフト14に対応してラップ盤1全体で12個設けられ、長手方向(y)が吊り上げプレート13の中心に対して放射状に配置されるように設けられている。
【0024】
図3に示すように、このフォース18のy方向の両端から32mmの部分を中心にして、幅が18mmでフォース18の長手方向に幅の約2倍の長さを有する長穴21をそれぞれ設けている。長穴21はフォース18を縦方向に貫通し、この長穴21の上には座金16を配置して、その座金16と長穴21を通して上方から吊りボルト17を挿通させている。吊りボルト17としては、クロム−モリブデン鋼製の全ねじ六角ボルト等を使用する。
【0025】
一方、この吊りボルト17の下端を、上定盤19に穿設された雌ねじ19aにねじ込み、ロックナットで固定する。尚、吊りボルト17は上定盤19との結合部を1μm程度引き上げる程度の締め付け力により固定する。締め付け過ぎると、上定盤19の変形が大きくなり、また、締め付けが弱いと、フォース18の撓みにより上定盤19を吊り上げたときの上定盤19の周縁部の下方への撓みを十分に防ぐことができない。
【0026】
長穴21の短軸方向(z軸方向)の穴径は吊りボルト17の直径よりも大きく、吊りボルト17の頭部の直径よりも小さい穴径とし、フォース18に対して吊りボルト17が下方向(x軸マイナス方向)に通り抜けることはないが、上方向(x軸プラス方向)には自由に動くように構成する。このように構成することにより、上定盤19が熱膨張により反った場合であっても、その熱膨張による上下方向(x軸方向)の歪を逃がすことができるようにする一方、この吊りボルト17により上定盤19を吊り上げることを可能にしている。また、吊りボルト17は長穴21内を長手方向(y軸方向)にも移動可能であるため、上定盤19の熱膨張による径方向(y軸方向)の歪を逃がすこともできる
【0027】
上定盤19は外径1800mm、内径700mmの下面を平坦面とする厚肉の円筒形状をしており、重量は1285kgである。ラッピング効率を高めるためには、研磨砥粒の分布を均一にすることが重要であるため、上定盤19の材質には球状黒鉛が均一に分散している球状黒鉛鋳鉄を用い、黒鉛を砥粒の保持サイトとして機能させている。
【0028】
一方、図1に示すように、下定盤の半径方向に幅100mm、周方向に長さ500mm程度の大きさのアルミで作られた下定盤受け32を、ブラケット23上に固定する。下定盤受け32は、周方向に放射状に12個配設しており、この下定盤受け32により下定盤31を上定盤19と平行に保持する。この下定盤31の材質は上定盤19と同様の理由から球状黒鉛鋳鉄であり、外径は1800mmである。
【0029】
図5はラップ盤1のキャリア回転機構を模式的に示した概略図である。図5に示すように、上定盤19と下定盤31の間には直径650mm、厚さ700〜750μm程度のキャリア41を、下定盤31の中心に設けられたサンギヤ45を中心として5つ等間隔に配置する。各キャリア41はSK5工具鋼またはSUS等によりつくられ、板面に直径200mmのウェーハ30を収容する直径201mmの円形の収容穴42を7個ずつ有する。
【0030】
この7個の収容穴42のうち1個はキャリア41の中心に設けており、残りの6個は、その周りを取り囲むようにそれぞれ60°の間隔をあけて放射状に設けている。キャリア41の外周にはプラネットギヤ43を設けており、下定盤31の中心に設けられたサンギヤ45と噛合っている。このサンギヤ45は不図示の駆動手段により、上定盤19及び下定盤31と独立して回転運動することを可能としている。
【0031】
また、下定盤31の周囲には、上定盤19と下定盤31外周部と一定の間隙を設けてインターナルギヤ44が配置され、キャリア41のプラネットギヤ43と噛合っている。このインターナルギヤ44は、サンギヤ45と同心円状の内周面を備え、この内周面にギヤ部を設けている。このインターナルギヤ44は不図示の駆動手段により、上定盤19及び下定盤31と独立して回転運動することを可能としている。
【0032】
次に、上記した構成を有するラップ盤1によって、ウェーハ30をラッピングする方法について以下に説明する。
不図示の回転機構によってサンギヤ45およびインターナルギヤ44の少なくとも何れか一方を回転させると、両ギヤによってキャリア41に回転駆動が与えられる。キャリア41はサンギヤ45を中心に遊星歯車運動を行い、自転および公転する。キャリア41の自転と公転の方向および回転速度はサンギヤ45およびインターナルギヤ44の回転数の比によって決まる。また、キャリア41に設けられた収容穴42はウェーハ30の直径よりも大きいため、キャリア41の運動に合わせてこの収容穴42の中でウェーハ30が自由に自転する。
【0033】
一方、上定盤19及び下定盤31は不図示の駆動手段によって、互いに反対方向に回転するように駆動させる。これらの動作によりウェーハ30と上定盤19,下定盤31が相対的にすべりあい、砥粒を混合した研磨液を供給することにより、ウェーハ30の表面を研磨することができる。この研磨により、ウェーハ30の上下面はそれぞれ35μm程度研磨され、厚さが850μmあったウェーハ30は、厚さが780μmとなる。なお、この研磨後のウェーハ30の厚さ(780μm)は、キャリア41の厚さ(750μm)よりも厚い。
【0034】
図6は研磨液供給回路を模式的に示した概念図である。図6に示すように上定盤19の中心上方には研磨液供給回路34に接続された研磨液供給ノズル33が配設され、この研磨液供給ノズル33からウェーハ30と上定盤19及び下定盤31の間に、水性または油性の研磨液が供給される。この研磨液としては、ラップスラリと呼ばれる、例えばアルミナ・ジルコニウム等の平均粒径11〜12μm程度の遊離砥粒と界面活性剤を含む水などの液体を混合した水溶性の研磨液などを用いることができる。この研磨液供給回路34は研磨液の温度を制御することができる機構を有しており、砥粒の温度管理を可能としている。
【0035】
具体的には、図6に示すように、研磨液供給回路34は温度センサ35と、研磨液タンク36と、アンプ37と、熱交換器38と、温度調節器39から形成される。研磨液タンク36は研磨液を搬送するパイプにより温度調節器39を有する熱交換器38と接続している。
【0036】
一方、温度センサ35は伝送回路により上定盤19と下定盤31のウェーハ接触面側(研磨面)及びウェーハ非接触面側に接続されている。この温度センサ35は伝送回路によりアンプ37と接続されており、アンプ37は伝送回路により温度調節器39に接続されている。
【0037】
研磨液タンク36には、ラッピングの際に上定盤19と下定盤31に供給される研磨液が貯蔵されている。このタンク36内の研磨液は、温度調節器39を備えた熱交換器38に供給され、所定温度に加熱又は冷却された後に、研磨液供給ノズル33に搬送され、ラッピング時に研磨液供給ノズル33より上定盤19と下定盤31に供給される。
【0038】
研磨中に温度センサ35によって検出された上定盤19と下定盤31のウェーハ接触面側(研磨面)とウェーハ非接触面側の温度差情報は、逐次或いは所定時間間隔毎に、アンプ37を介して温度調節器39に伝送される。アンプ37からの情報が、ウェーハ接触面側の温度がウェーハ非接触面側の温度よりも高いことを示すものである場合は、温度調節器39は、研磨液の温度を下げるように熱交換器38を制御する。
【0039】
すると、温度の下がった研磨液が上定盤19と下定盤31に供給され、上定盤19と下定盤31のウェーハ接触面側(研磨面)を冷却させる。このとき、研磨液によって冷却された上定盤19と下定盤31は、熱収縮によって反りが解消される。
【0040】
一方、アンプ37からの情報が、ウェーハ接触面側の温度がウェーハ非接触面側の温度よりも低いことを示すものである場合は、温度調節器39は、研磨液の温度を上げるように熱交換器38を制御する。
【0041】
このように、温度センサ35により検出された上定盤19と下定盤31の温度変化を、研磨液の温度にフィードバックさせて、上定盤19と下定盤31の熱膨張をコントロールすることにより、上定盤19と下定盤31の形状を好適な状態に維持しながらラッピングを行うことができる。そのため、ラップドウェーハの平坦度を向上させると共に、ウェーハ表面形状を向上させることが可能となる。
【0042】
ラッピング工程終了時においては、キャリア41の回転を緩やかに停止させ、ラップ盤1を停止させる。そのとき、ウェーハ30に、研磨中と同様の大きな荷重がかかっていると、大きな摩擦力がウェーハ30と上定盤19,下定盤31との間に発生しているため、この摩擦力によりキャリア41が突然停止することがある。そのため、キャリア41の回転数を30秒間かけて45rpmから緩やかに0rpmまで低下させると共に、ウェーハ30にかかる荷重を30秒間かけて緩やかに低下させる。
【0043】
このとき、上定盤19からウェーハ30にかかっている荷重を低下させるべく上定盤19を強く上方向に引き上げると、上定盤19の内周縁部および外周縁部が極度に下方に撓み、この撓みによりウェーハ30に痕がついてしまうことがあった。
【0044】
一方、上定盤19を上方向に引き上げる力を弱くした場合には、上定盤19の内周縁部および外周縁部における撓みは小さくなるが、この撓み部分に接するウェーハ30にかかる荷重が大きくなる。そのため、ウェーハ30に局所的に大きな荷重が加わり、結局ウェーハ30に傷がついてしまうという問題があり、単純に上定盤19を上方向に引き上げる力を弱くすることはできなかった。
【0045】
そこで、本発明では、図7の点線部分に示す上定盤19の内周縁部および外周縁部の撓み部分20を削り取ることにより、ウェーハ30に局所的に大きな荷重が加わらないように上定盤19の形状を整えている。
【0046】
具体的には、まず通常のラッピングキャリア41を取り外し、ラッピングキャリア41と同形状を有する球状黒鉛鋳鉄でつくられた厚さが50mmの修正キャリアに置き換える。次に、図7における点線部分を研磨するために、低温度において、上定盤19を上方向に強い力で引き上げた状態で修正キャリアにより空ラッピングを行うことにより、上定盤19を研磨し上定盤19の形状を整える。
【0047】
このように低温度、かつ、上定盤19を上方向に強い力で引き上げた状態では、前述の熱膨張による上方向への反りが発生せず、上定盤19は内周縁部および外周縁部が極度に下方に撓んだ状態となるため、図7の点線部分に示す上定盤19の内周縁部および外周縁部の撓み部分20を効果的に削り取ることができる。
【0048】
ただし、ウェーハ30のラッピングを繰り返すことにより、上定盤19の中間部は磨耗し、図7の点線部分に示すように上定盤19の内周縁部および外周縁部に撓み部分20が発生するため、定期的に上定盤19の内周縁部および外周縁部の撓み部分20を削り取ることが必要である。
【0049】
これにより、上定盤19の撓みによってウェーハ30に局所的に大きな荷重が加わることを防止でき、ウェーハ30に傷をつける心配が無くなるため、キャリア41の回転数を緩やかに低下させる際に、上定盤19を上方向に引き上げる力を弱くすることが可能となった。その結果、上定盤19を引き上げることにより発生する周縁部における撓みを小さくすることができ、ウェーハ30への痕を低減させることができるようになった。
【0050】
従来、ウェーハ研磨中の引き上げ荷重351kgから、キャリア41停止時において引き上げ荷重を1198kgまで上昇させていたが、本実施例においてはキャリア41停止時において引き上げ荷重を1135kgとしている。従って、上定盤19の重量が1285kgであるため、キャリア41停止時のウェーハ30にかかる荷重は従来87kgであったのに対し、本実施例では150kgとなる。
【0051】
上記実施の形態においては、図1に示すように、1本の吊りシャフト14及び2本の吊りボルト17の合計3本の吊り部材により上定盤19を吊っている場合について説明しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、2本の吊りボルトにより上定盤19を吊ることも可能であり、または4本以上の吊りボルトを用いてもよい。
【0052】
また、上記実施の形態においては、吊り上げプレート13に吊りシャフト14を固定するための貫通穴15cを、それぞれ30°の間隔をあけて放射状に12箇所設けている場合について説明しているが、この貫通穴15cは例えば3箇所でも36箇所でも良く、また同心円状に2つの円が描かれるように設けることもできる。尚、貫通穴15cの個数、及び、配設位置は特に制約されるものではないが、少なくとも3箇所に、等間隔に設けることが望ましい。
【0053】
更に、上記実施の形態においては、キャリア41にはウェーハ30を収容する7個の収容穴42を設けているが、それ以上設けることも可能であり、それ以下、例えば1個のみ収容穴42を設けることも可能である。上記実施の形態においては収容穴42をウェーハ30の直径よりも大きい円形としているが、収容穴42をウェーハ30の直径と同一とすることも可能である。その場合には、ウェーハ30はキャリア41の収容穴42内で自転することなく、収容穴42に固定された状態でキャリア41とともに強制回転させられる。また、収容穴42は円形に限られず楕円形など別の形状とすることも可能である。
【0054】
本発明の適用は両面研磨方式のラップ盤に限られるものではなく、片面研磨方式のラップ盤にも適用可能である。また、上記のラップ盤においては、上定盤19および下定盤31が逆回転する例について説明したが、上定盤19および下定盤31を互いに同一方向に回転させてもよく、上下定盤19,31は回転させずにキャリア41のみを回転させてもよい。
【0055】
更に、ウェーハの材質及び大きさに関しては、本発明を実施するにあたり何ら制限は無く、現在製造されている口径のシリコン、GaAs、GaP、InP等の半導体ウェーハは勿論のこと、将来製造可能となる非常に大きなウェーハに対しても本発明を適用することができる。
【0056】
このように本願発明は、上記実施例に限定されるものではなく、ラップ盤1を構成する上定盤19と下定盤31の構造や、吊り上げプレート13の支持方法、キャリア41の駆動方法などに関し、発明の要旨の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0057】
[実施データ]
ラップ盤1の停止時のラップ荷重を従来と同様の87kgにした場合と、上定盤19の形状を修正しラップ盤1停止時のラップ荷重を150kgにした場合の効果について、以下に具体的に説明する。
【0058】
ラッピングされたウェーハ30から所定寸法の4角形を複数サンプリングし、各サンプルについて、ウェーハ30裏面を基準としてウェーハ30表面の最高点から最低点までの距離を算出し、ウェーハ30の平坦度(TTV:Total Thickness Variation)を求めた。
【0059】
その結果、キャリア41停止時、上定盤19の内周縁部および外周縁部の撓み部分に接しない位置にあるウェーハ30の平坦度(TTV)は、停止時荷重を87kgとした場合、1.43μmであった。これに対して、上定盤19の形状を修正しラップ盤1停止時のラップ荷重を150kgとしてラッピングしたウェーハ30の平坦度TTVは1.23μmであった。ウェーハ30の平坦度(TTV)の結果からは、0.2μmの平坦度の向上が見られた。
【0060】
一方、キャリア41停止時、上定盤19の内周縁部および外周縁部の撓み部分に接する位置にあるウェーハ30の平坦度(TTV)は停止時荷重を87kgとした場合、1.5μmであった。これに対して、上定盤19の形状を修正しラップ盤1停止時のラップ荷重を150kgとしてラッピングしたウェーハ30の平坦度(TTV)は1.3μmであった。従って、従来、上定盤19の撓みにより痕がついていた位置にあるウェーハ30についても、ウェーハ30の平坦度(TTV)の結果において、0.2μmの平坦度の向上が見られた。
【0061】
なお、上述した実施データの他に、キャリア41停止時荷重を100kgとした場合、および125kgとした場合のラッピング試験を実施し、ウェーハ30の平坦度(TTV)を測定した。その結果を、キャリア41停止時荷重を87kgとした場合、および150kgとした場合を含めて表1に示す。
【表1】
Figure 0004636485
【0062】
【発明の効果】
本発明のラップ盤によれば、上定盤と下定盤の熱膨張による反りを防止し、ラップドウェーハの平坦度を高くすることが可能となる。
【0063】
また、本発明のラップ盤によれば、ラップ盤停止時における上定盤の引き上げ荷重を小さくできるため、上定盤の撓みを小さくすることができ、ウェーハに上定盤の撓みによる痕がつかず、ウェーハの品質を向上させることができる。
【0064】
更に、本発明のラップ盤によれば、ラップ盤を停止させる際に3本の吊りボルトにより上定盤を上方向に引き上げるため、上定盤にはほとんど撓みが発生しない。そのためウェーハに上定盤の撓みによる痕がつかず、ウェーハの品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明のラップ盤の概略構造を示す縦断面図である。
【図2】本願発明におけるラップ盤の上定盤吊り上げ機構を示した一部断面図である。
【図3】本願発明のラップ盤に用いられるフォースを示した平面図である。
【図4】本願発明おけるラップ盤の上定盤吊り上げ機構を示した平面図である。
【図5】本願発明におけるラッピングキャリアの回転機構を示す平面図である。
【図6】本願発明の研磨液供給回路を模式的に示した概念図である。
【図7】本願発明におけるラップ盤の上定盤の修正部分を示した側面図である。
【図8】従来技術のラップ盤の概略構造を示す縦断面図である。
【図9】従来技術のラップ盤のウェーハ研磨中における上定盤及び下定盤の状態を示した縦断面図である。
【図10】従来技術のラップ盤において上定盤を持ち上げた状態を示した縦断面図である。
【符号の説明】
1…ラップ盤
11…主シリンダ 11a…ロッド
12…サブシリンダ 12a…ロッド
13…吊り上げプレート
14…吊りシャフト
15a…ボルト 15b…座金 15c…貫通穴
16…座金
17…吊りボルト
18…フォース 18a…ブロック部材 18b…係合部
19…上定盤 19a…雌ねじ
20…撓み部分
21…長穴
22…固定ねじ
23…ブラケット
30…ウェーハ
31…下定盤
32…下定盤受け
33…研磨液供給ノズル
34…研磨液供給回路
35…温度センサ
36…研磨液タンク
37…アンプ
38…熱交換器
39…温度調節器
41…キャリア
42…収容穴
43…プラネットギヤ
44…インターナルギヤ
45…サンギヤ
50…ラップ盤
56…吊りボルト
57…上定盤
58…下定盤
60…キャリア。

Claims (2)

  1. 内周縁部と外周縁部とを吊りボルトによりフォ−スで連結された円環状の上定盤と下定盤との間にラッピングキャリアを配置し、該ラッピングキャリアに設けた穴に被加工物を収容して、研磨液を流入させながら被加工物をラッピング加工する工程と、
    前記ラッピングキャリアの替わりに、前記ラッピングキャリアと同様な外周形状を有する修正キャリアを配置して、前記上定盤の内周縁部及び外周縁部を下方に撓ませた状態でラッピングを行い、前記上定盤の内周縁部及び外周縁部を削り取って形状を修正する工程を含むことを特徴とするラッピング方法。
  2. ラッピング加工工程の停止時におけるラップ荷重を前記上定盤の自重より低減させたことを特徴とする請求項に記載のラッピング方法。
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