JP2006149299A - パン類の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 中種の混捏工程において活性乳酸菌を添加して製造するにあたり、中種及びパン生地の醗酵の遅延・不足を解消し、中種の醗酵及びパン生地のホイロを促進させ、焼成後には、乳酸菌を添加したことによる良好な風味を有するとともに、クラストは黄金色で、張りがあって良好で、製造後数日間経過しても老化臭が出ないパンを製造することができるようにする。
【解決手段】 乳酸菌を使用して中種法でパン類生地を作成してパン類を製造する方法において、中種の混捏工程において活性乳酸菌とともに、麦芽糖及び果糖のうち一つ又は両者を添加する。活性乳酸菌の添加は、活性乳酸菌を含有する乳酸菌醗酵物,乳酸菌醗酵液,乳酸菌醗酵物の乾燥粉末及び乳酸菌醗酵液の乾燥粉末のうちのいずれか一つ又は二つ以上の組み合わせを用いて行ない、麦芽糖及び果糖のうちのいずれか一つ又は両者を、パン類生地を構成する小麦粉に対して0.1〜2質量%添加する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、乳酸菌を使用して中種法でパン類生地を作成してパン類を製造する方法に係り、具体的には、中種の混捏工程において活性乳酸菌とともに、麦芽糖及び果糖のうちのいずれか一つ又は両者を添加するパン類の製造方法に関する。
従来から、中種法でパン類生地を作成してパン類を製造する方法において、中種の混捏工程において活性乳酸菌を添加する方法は知られていた(例えば、特許文献1及び2等に記載)。
また、中種法で食パンを製造する方法において、中種の混捏工程においてグルコース、砂糖及び/又は果糖を添加する方法も知られていた(例えば、特許文献3等に記載)。
特公昭63−63170号公報 特公昭59−15604号公報 特開平8−47364号公報
ところで、中種の混捏工程において活性乳酸菌を添加するという前記従来の技術においては、中種の混捏工程において活性乳酸菌を添加しない通常の中種法と比べて、同じ中種醗酵時間では中種の終点温度が若干低くて、中種醗酵が終了した中種は若干若くできあがり、又ホイロ時間も数分間(具体的には3〜5分間程度)長くする必要性が認められた。これは、中種に添加した活性乳酸菌により中種及びパン生地中にあるイースト資化性又は醗酵性の糖類(イーストが醗酵するときに栄養素となりその活動を促進させる糖類)が消費され、イーストの栄養素が不足してイーストの醗酵が抑制されたためであると推測された。
そこで、中種の混捏工程において活性乳酸菌を添加するという従来の技術と、活性乳酸菌を添加しない通常の中種法とで、両者の中種醗酵工程中のガス発生量を経時的に測定してグラフ化し、ガス発生パターンを比較検討した。結果を、図9に示す。この結果から、従来技術は、中種醗酵工程の後半においてガス発生量がより少なくなる傾向が認められた。これは、乳酸菌に多く見られる麦芽糖資化性により、中種醗酵工程の後半においてはイーストが醗酵するときに栄養素となる、小麦澱粉が分解して生成された麦芽糖が不足してきたためであると推測された。
なお、前記中種にグルコース等の糖類を添加する従来の技術は、中種に酸化剤としてL−アスコルビン酸を添加することによって生じるパン生地がしまり過ぎてしまうという現象を緩和することを目的としており、本発明とは異なる技術である。
本発明は上記の問題点に鑑みて為されたもので、中種の混捏工程において活性乳酸菌を添加して製造するにあたり、中種及びパン生地の醗酵の遅延・不足を解消したパン類の製造方法を提供することを目的とする。
このような目的を達成するための本発明のパン類の製造方法は、乳酸菌を使用して中種法でパン類生地を作成してパン類を製造する方法において、中種の混捏工程において活性乳酸菌とともに、麦芽糖及び果糖のうちいずれか一つ又は両者を添加する構成としている。
糖類を麦芽糖と果糖に限定して添加する理由は以下の通りである。中種醗酵において、酵母は、ブドウ糖,ショ糖,麦芽糖の順に資化する。このような順序となるのは、酵母が資化し易い、又は、栄養価が高い順に資化していくからである。一般に、栄養価は分子量が多いほうが高いが、資化し易いのは、単糖類であり、2糖類以上の物は資化されにくい。
一方、中種醗酵において、乳酸菌は、活性(糖類を資化する)を示すのが遅く、中種醗酵の後期頃から活性を示す。この時期は、酵母が麦芽糖を資化する時期で、両者が麦芽糖を奪い合うために麦芽糖が不足するが、本発明では、麦芽糖を添加するので、不足した麦芽糖を補うことができる。例えば、麦芽糖の代わりにブドウ糖を添加した場合には、酵母が中種醗酵の初期にこの添加したブドウ糖を資化してしまい、結局、中種醗酵の後期の糖類は不足してしまう。麦芽糖は酵母によって資化されにくいため、これを予め添加しておいても、添加した麦芽糖は中種醗酵の後期まで残存することになる。同じ理由で、果糖も利用可能になる。その他の糖類ではこのような効果は得られないと考えられる。
これにより、中種の混捏工程において活性乳酸菌とともに麦芽糖及び果糖のうちのいずれか一つ又は両者を添加したので、従来技術の欠点である中種の醗酵及びパン生地のホイロの遅延・不足を解消して中種の醗酵及びパン生地のホイロを促進することができ、この結果、焼成後には、乳酸菌を添加したことによる良好な風味を有するとともに、クラストは黄金色で、張りがあって良好な、しかも、製造後数日間経過しても老化臭が出ないパンを製造することができ、又、香ばしい風味を有するトーストにすることができるようになる。
そして、必要に応じ、前記活性乳酸菌の添加は、該活性乳酸菌を含有する乳酸菌醗酵物,乳酸菌醗酵液,乳酸菌醗酵物の乾燥粉末及び乳酸菌醗酵液の乾燥粉末のうちのいずれか一つ又は二つ以上の組み合わせを添加して行なう構成としている。この形態により添加が容易に行われ、生地中に活性乳酸菌を分散させやすくなる。
この場合、前記乳酸菌醗酵液は、乳酸菌醗酵液の原液であることが望ましく、より有効である。
また、必要に応じ、前記活性乳酸菌を含有する乳酸菌醗酵物,乳酸菌醗酵液,乳酸菌醗酵物の乾燥粉末及び乳酸菌醗酵液の乾燥粉末は、各々、活性乳酸菌を1×10〜1×1010CFU/ml含有する構成としている。この分量で、活性乳酸菌をより有効に機能させることができる。
また、必要に応じ、前記乳酸菌醗酵物の乾燥粉末及び乳酸菌醗酵液の乾燥粉末のうちいずれか一つ又は両者を、パン類生地を構成する小麦粉に対して0.005〜1.5質量%添加する構成としている。
更に、必要に応じ前記乳酸菌醗酵液が原液であるときは、該原液をパン類生地を構成する小麦粉に対して0.05〜3質量%添加する構成としている。
この分量で、活性乳酸菌をより有効に機能させることができる。
そしてまた、必要に応じ、前記麦芽糖及び果糖のうちのいずれか一つ又は両者を、パン類生地を構成する小麦粉に対して0.1〜2質量%添加する構成としている。こうすることにより、不足した麦芽糖あるいは果糖をより有効に補うことができ、中種醗酵の後期の糖類の不足を解消して、中種の醗酵及びパン生地のホイロをより一層促進することができる。
本発明のパン類の製造方法によれば、中種の混捏工程において活性乳酸菌とともに麦芽糖及び果糖のうちのいずれか一つ又は両者を添加したので、従来技術の欠点である中種の醗酵及びパン生地のホイロの遅延・不足を解消して中種の醗酵及びパン生地のホイロを促進することができる。この結果、焼成後には、乳酸菌を添加したことによる良好な風味を有するとともに、クラストは黄金色で、張りがあって良好な、しかも、製造後数日間経過しても老化臭が出ないパンを製造することができ、又、香ばしい風味を有するトーストにすることができる。
以下、本発明の実施の形態に係るパン類の製造方法について詳細に説明する。
本発明の実施の形態に係るパン類の製造方法は、乳酸菌を使用して中種法でパン類生地を作成してパン類を製造する方法であり、中種の混捏工程において活性乳酸菌とともに、麦芽糖及び果糖のうち一つ又は両者を添加する。
詳しくは、活性乳酸菌は、本発明の目的・効果を妨げるものでなければ、いずれのものも用いることができる。好適には、グルコース等の糖類から多量の乳酸を生成する菌で、ラクトバチルス属、ロイコノストック属、ストレプトコッカス属、ペディオコッカス属等に属するものである。具体的には、例えば、ラクトバチルス・プランタラム、ラクトバチルス・アシドフィラス、ラクトバチルス・ヘルベティカス、ラクトバチルス・ブレビス、ラクトバチルス・ブルガリカス、ラクトバチルス・サンフランシスコ、ラクトバチルス・イタリカス、ラクトバチルス・ヒルガルディ、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・ファーメンタム、ラクトバチルス・デルブルッキー、ラクトバチルス・ライヒマニ、ラクトバチルス・パストリアヌス、ラクトバチルス・ブヒネリ、ラクトバチルス・フルクティボランス、ラクトバチルス・ルテリ、ラクトバチルス・パラアリメンタリウス、ロイコノストック・オイアノス、ロイコノストック・デキストラニクム、ロイコノストック・クレモリス、ストレプトコッカス・サーモフィラス、ストレプトコッカス・クレモリス、ストレプトコッカス・ラクティス、ストレプトコッカス・ジアセチラクチス、ストレプトコッカス・サリバリウス、ストレプトコッカス・フェカリス、ペディオコッカス・ペントサシウス、ペディオコッカス・ハロフイラス、ペディオコッカス・アシディラクティシ、エンテロコッカス・フェカリス、テトラゲノコッカス・ハロフィラス、ラクトコッカス・ラクティス等があげられる。これらの乳酸菌を単独で、又は複数種を組み合わせて使用することができる。
また、乳酸菌は、乳酸のみを生成するホモ醗酵型と、乳酸及び酢酸を生成するヘテロ醗酵型がある。本発明では、酢酸と比較して刺激臭の少ない有機酸である乳酸のみを生成するラクトバチルス・プランタラム等のホモ醗酵型の乳酸菌を用いることがパン類の風味向上の上で望ましい。
本発明において中種の混捏工程における活性乳酸菌の添加は、乳酸菌を培地にて培養して、遠心分離、沈殿堆積、その他の方法により集菌したものそれ自体を添加することができるのはもちろん、活性乳酸菌を含有する乳酸菌醗酵物,乳酸菌醗酵液,乳酸菌醗酵物の乾燥粉末及び乳酸菌醗酵液の乾燥粉末のうちのいずれか一つ又は二つ以上の組み合わせを添加して行なうことができる。即ち、乳酸菌を乳酸菌醗酵物,乳酸菌醗酵液,これらの乾燥粉末の形態等として含有したものを用いることもでき、また、形態の異なるものを複数組み合わせて用いることもできる。
乳酸菌醗酵液とは、上掲の乳酸菌を水、穀粉、必要に応じて脱脂粉乳やホエー等の乳原料、糖類その他の乳酸菌の栄養素等を混合した培地に接種して培養させた培養液を濃縮も希釈もしないそのままのもの(原液)か、又は濃縮し、若しくは希釈したものである。この場合に、該培養液に一部前記培地成分が混入していても、除去されていてもかまわない。また、該培養液に前記乳原料、その他の原料を添加してもよい。
乳酸菌醗酵液の原液は、パン類生地に添加するときには、パン類生地を構成する小麦粉に対して0.05〜3質量%添加することが望ましく、0.1〜1質量%添加することがより望ましい。
乳酸菌醗酵液の濃縮液又は希釈液を用いる場合は、濃縮又は希釈の程度に応じて、乳酸菌醗酵液の原液をパン類生地に添加するときの菌数と同等となるように、該濃縮液又は希釈液のパン類生地への添加量を増減させれば良い。
乳酸菌醗酵物とは、乳酸菌醗酵液に穀粉を混合して、生地状物としたものである。また、該生地状物に前記乳原料、その他の原料を添加してもよい。
乳酸菌醗酵物はパン類生地を構成する小麦粉に対して0.1〜6質量%添加することが望ましい。
乳酸菌醗酵物の乾燥粉末又は乳酸菌醗酵液の乾燥粉末は、上掲の乳酸菌醗酵物又は乳酸菌醗酵液をそのまま、又は必要に応じてデキストリン、ゼラチン、澱粉、脱脂粉乳、乳糖等の保護物質を加えて、真空、凍結等の乾燥手段により乾燥して粉末化したものである。
このようにして得た乾燥粉末をパン類生地に添加する場合には、パン類生地を構成する小麦粉に対して0.005〜1.5質量%添加することが望ましい。
活性乳酸菌を含有する乳酸菌醗酵物,乳酸菌醗酵液,乳酸菌醗酵物の乾燥粉末及び乳酸菌醗酵液の乾燥粉末は、各々、活性乳酸菌を1×10〜1×1010CFU/ml含有することが望ましく、1×10〜1×10CFU/ml含有していることがより望ましい。
また、本発明における中種法は、常法通りでよく、例えば、少なくとも、パン生地を構成する小麦粉の50〜100質量%の小麦粉と水、イースト等を予め混合して、中種醗酵させて中種醗酵の完了した中種を作成し、該中種に残りの小麦粉、糖類、塩、油脂、水等を加えて本捏ねをしてフロアタイム後に分割、成形、ホイロ、焼成する方法等を用いることができる。
中種の醗酵時間は、常法の温度・湿度条件において、3時間40分間〜5時間とすることが望ましく、4時間〜4時間30分とすることがより一層望ましい。
そして、中種の混捏工程において、前記活性乳酸菌とともに、麦芽糖及び果糖のうちのどちらか一つ又は両者を添加する構成を採用するものであるが、麦芽糖だけを添加することが望ましい。また、該麦芽糖、果糖又はこれらの組み合わせの添加量は、パン類生地を構成する小麦粉に対して0.1〜2質量%とするのが望ましい。
以下、本発明の実施例について説明する。
「実施例1」
図1乃至図3に示す配合及び工程により、山型食パンを作成した。乳酸菌醗酵液の原液は、小麦粉100質量%、水100質量%等からなる培地に、乳酸菌として、ラクトバチルス・プランタラムを接種して27℃で44時間培養した培養液を濃縮も希釈もしないでそのまま(原液)使用した。該乳酸菌醗酵液の原液中のラクトバチルス・プランタラムの菌数は、1×10CFU/mlであった。
上記配合及び工程により作成した中種の醗酵及びパン生地のホイロは、遅延又は不足することなく良好であった。また、得られた山型食パンは乳酸菌を添加したことによる良好な風味を有し、クラストは黄金色で、張りがあって良好なものであった。しかも、該山型食パンをトーストすると、香ばしい風味のトーストとなった。また、該山型食パンは、製造後数日経ても老化臭が出なかった。
「実施例2」
実施例1の中種に配合する乳酸菌醗酵液の原液に代えて、乳酸菌醗酵液凍結乾燥粉末(乳酸菌は、ラクトバチルス・プランタラム。菌数1×10CFU/ml。)を0.01質量%添加するようにして、それ以外は、実施例1と同様の配合及び工程により、山型食パンを作成した。
このようにして作成した中種の醗酵及びパン生地のホイロは、遅延又は不足することなく良好であった。また、得られた山型食パンは乳酸菌を添加したことによる良好な風味を有し、クラストは黄金色で、張りがあって良好なものであった。しかも、該山型食パンをトーストすると、香ばしい風味のトーストとなった。また、該山型食パンは、製造後数日経ても老化臭が出なかった。
「実施例3」
実施例1の中種に配合する乳酸菌醗酵液の原液に代えて、乳酸菌醗酵液濃縮物(乳酸菌は、ラクトバチルス・プランタラム。菌数1×10CFU/ml。)を0.04質量%添加するようにして、それ以外は、実施例1と同様の配合及び工程により、山型食パンを作成した。
このようにして作成した中種の醗酵及びパン生地のホイロは、遅延又は不足することなく良好であった。また、得られた山型食パンは乳酸菌を添加したことによる良好な風味を有し、クラストは黄金色で、張りがあって良好なものであった。しかも、該山型食パンをトーストすると、香ばしい風味のトーストとなった。また、該山型食パンは、製造後数日経ても老化臭が出なかった。
「実施例4」
実施例1の中種に配合する麦芽糖に代えて、果糖を0.5質量%添加するようにして、それ以外は、実施例1と同様の配合及び工程により、山型食パンを作成した。
このようにして作成した中種の醗酵及びパン生地のホイロは、遅延又は不足することなく良好であった。また、得られた山型食パンは乳酸菌を添加したことによる良好な風味を有し、クラストは黄金色で、張りがあって良好なものであった。しかも、該山型食パンをトーストすると、香ばしい風味のトーストとなった。また、該山型食パンは、製造後数日経ても老化臭が出なかった。
実験例
次に、実験例について説明する。
「実験例1」
上記の実施例1を用い、また比較例1として実施例1で中種に配合する麦芽糖を添加しないようにし、それ以外は実施例1と同様の配合及び工程としたものを用意し、これらについて、山型食パンを作成した。
実施例1、比較例1の中種をそれぞれ50gとり、アトー社製ファーモグラフにより中種醗酵におけるガス発生量を経時的に測定し(該測定は、中種醗酵の開始時から10分間経過毎に、該10分間毎のガス発生量について行った。)、グラフ化して両者のガス発生パターンを比較した。結果を図4及び図5に示す。また、得られた山型食パンの評価を行った。結果を図6に示す。
この結果から、実施例1は中種醗酵開始から10分後には、既に比較例1(乳酸菌添加・麦芽糖無添加)に比べてガス発生量が多くなる傾向が見られ、中種醗酵の最終期までこの傾向が持続することがわかった。これは、中種に麦芽糖を添加することにより、中種醗酵開始からイースト醗酵を促進するとともに、中種醗酵の最終期まで、乳酸菌が麦芽糖を資化したのにもかかわらず、イーストが資化する麦芽糖が中種中に十分に残存していることによるものであると推測された。
実施例1の山型食パンは、乳酸菌を添加したことによる良好な風味を有し、クラストは黄金色で、張りがあって良好なものであった。しかも、該山型食パンをトーストすると、香ばしい風味のトーストとなった。また、該山型食パンは、製造後数日経ても老化臭が出なかった。
一方、比較例1の山型食パンは、中種由来のアルコール臭が残存しており、クラストはくすんだ色で、張りが弱かった。
「実験例2」
上記の実施例1を用い、また比較例2として実施例1で中種に配合する乳酸菌醗酵液の原液及び麦芽糖を添加しないようにして、それ以外は実施例1と同様の配合及び工程としたものを用意し、これらについて山型食パンを作成した。
実施例1、比較例2の中種をそれぞれ50gとり、アトー社製ファーモグラフにより、中種醗酵におけるガス発生量を経時的に測定し(該測定は、中種醗酵の開始時から10分間経過毎に、該10分間毎のガス発生量について行った。)、グラフ化して両者のガス発生パターンを比較した。結果を図7に示す。また、得られた山型食パンの評価を行った。結果を図8に示す。
この結果から、実施例1は中種醗酵の中期から後期にかけて、比較例2(乳酸菌・麦芽糖ともに無添加)に比べてガス発生量が若干少なくなる傾向が見られるが、中種醗酵の最終期の30〜40分間でガス発生量が増加し、比較例2のガス発生量を上回ることがわかった。これは、中種に麦芽糖を添加することにより、中種醗酵の最終期まで、乳酸菌が麦芽糖を資化したのにもかかわらず、イーストが資化する麦芽糖が中種中に十分に残存していることによるものであると推測された。従って、本発明は常法の中種醗酵条件であれば、3時間40分以上中種醗酵させることが望ましい。
また、実施例1の山型食パンは、乳酸菌を添加したことによる良好な風味を有し、クラストは黄金色で、張りがあって良好なものであった。しかも、該山型食パンをトーストすると、香ばしい風味のトーストとなった。また、該山型食パンは、製造後数日経ても老化臭が出なかった。
一方、比較例2の山型食パンは、中種由来のアルコール臭が強かった。該山型食パンをトーストすると、香ばしさに欠けるトーストとなった。該山型食パンは、製造後数日間経過すると老化臭が強くするようになった。
本発明の実施例1の中種配合を示す表図である。 本発明の実施例1の本捏配合を示す表図である。 本発明の実施例1に係る山形食パンの製造工程及びその条件を示す表図である。 実験例に係り、本発明の実施例1と比較例1との中種醗酵工程中のガス発生量を経時的に測定した結果を示すグラフ図である。 実験例に係り、本発明の実施例1と比較例1との中種醗酵工程中のガス発生量を経時的に測定した結果を示す表図である。 実験例に係り、本発明の実施例1と比較例1に係る山型食パンの評価結果を示す表図である。 実験例に係り、本発明の実施例1と比較例2との中種醗酵工程中のガス発生量を経時的に測定した結果を示すグラフ図である。 実験例に係り、本発明の実施例1と比較例2に係る山型食パンの評価結果を示す表図である。 活性乳酸菌を添加する従来の技術と、活性乳酸菌を添加しない通常の中種法とで、両者の中種醗酵工程中のガス発生量を経時的に測定した結果を示すグラフ図である。

Claims (7)

  1. 乳酸菌を使用して中種法でパン類生地を作成してパン類を製造する方法において、中種の混捏工程において活性乳酸菌とともに、麦芽糖及び果糖のうちいずれか一つ又は両者を添加することを特徴とするパン類の製造方法。
  2. 前記活性乳酸菌の添加は、該活性乳酸菌を含有する乳酸菌醗酵物,乳酸菌醗酵液,乳酸菌醗酵物の乾燥粉末及び乳酸菌醗酵液の乾燥粉末のうちのいずれか一つ又は二つ以上の組み合わせを添加して行なうことを特徴とする請求項1に記載のパン類の製造方法。
  3. 前記活性乳酸菌を含有する乳酸菌醗酵物,乳酸菌醗酵液,乳酸菌醗酵物の乾燥粉末及び乳酸菌醗酵液の乾燥粉末は、各々、活性乳酸菌を1×10〜1×1010CFU/ml含有することを特徴とする請求項2に記載のパン類の製造方法。
  4. 前記乳酸菌醗酵液は、乳酸菌醗酵液の原液であることを特徴とする請求項2又は3に記載のパン類の製造方法。
  5. 前記乳酸菌醗酵物の乾燥粉末及び乳酸菌醗酵液の乾燥粉末のうちいずれか一つ又は両者を、パン類生地を構成する小麦粉に対して0.005〜1.5質量%添加することを特徴とする請求項2又は3に記載のパン類の製造方法。
  6. 前記乳酸菌醗酵液は原液であり、該原液をパン類生地を構成する小麦粉に対して0.05〜3質量%添加することを特徴とする請求項4に記載のパン類の製造方法。
  7. 前記麦芽糖及び果糖のうちのいずれか一つ又は両者を、パン類生地を構成する小麦粉に対して0.1〜2質量%添加することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のパン類の製造方法。
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