JP2006148603A - 振動子の製造方法、振動子および電子機器 - Google Patents

振動子の製造方法、振動子および電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】所望の特性を有する振動子を簡易な製造工程でかつ安価に製造することができる振動子の製造方法、この製造方法を用いて製造された振動子、および、かかる振動子を備える電子機器を提供すること。
【解決手段】所定のパターンをなす可動部322と、可動部322を振動可能に支持するための支持部23とを有し、可動部322を駆動することにより振動する振動子の製造方法であって、加工用基板5の表面に、光硬化性樹脂を主材料として構成された樹脂層6を形成する工程と、加工用基板5にエッチングを施して、可動部322を形成する工程と、選択的な光照射により未硬化状態となった樹脂層6の部分を除去して、支持部23を形成する工程とを有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、振動子の製造方法、振動子および電子機器に関するものである。
ある振動電流の周波数に同調して機械的に振動する振動子は、携帯電話等の通信機器用のバンドパスフィルター、基準クロック、振動式センサ等に応用されている。
このような振動子としては、シリコン基板上に、半導体製造プロセスを利用したマイクロマシニング技術により、振動を発生するための構造(可動部を有する構造)を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
例えば、特許文献1にかかる振動子は、開口部を有するガラス基板に、互いに微小空隙を隔てて対向する固定電極および可動電極がパターンニングされたシリコン基板が接合されている。固定電極および可動電極は、それぞれ、前記ガラス基板の前記開口部以外の部位(支持部)に接合されており、可動電極は、前記ガラス基板との接合部位から延び、前記ガラス基板の前記開口部の底面に対し間隔を隔てて対向して浮動する部分(可動部)を有している。
このような振動子は、シリコン基板を支持するガラス基板が絶縁性を有しているので、可動電極と固定電極との間が絶縁されており、これらの間に電圧を印加することにより、可動電極を駆動するようになっている。また、シリコン基板がガラス基板単独で支持されているので、シリコン基板と、ガラス基板のシリコン基板と反対側との間で寄生容量が大きくなるのを防止して、かかる振動子から比較的大きな出力電流を得ることができる。
このような振動子の製造方法にあっては、ガラス基板に開口部を形成する一方で、シリコン基板を前記ガラス基板とは別の基板に支持した状態でエッチングにより前記可動電極および前記固定電極に対応する形状にパターンニングして、前記固定電極および前記可動電極とを形成する。その後、前記シリコン基板を前記別の基板から前記ガラス基板の前記開口部側に転写・接合して、振動子を得る。
しかし、特許文献1にかかる振動子の製造方法では、ガラス基板に凹部を形成するに際して、ガラス基板に高アスペクト比の凹部を形成することが難しく、可動電極の浮動部分(可動部)の駆動に必要な空間を所望のものとすることができない場合がある。その結果、所望の特性の振動子を得ることができない場合がある。
また、ガラス基板とシリコン基板とを強固に接合するために、陽極接合を用いると、シリコン基板が比較的高温にさらされるため、ガラス基板やシリコン基板に変形等の悪影響を及ぼすおそれがある。したがって、この点でも、所望の特性の振動子を得ることができない場合がある。
さらに、シリコン基板を前記ガラス基板とは別の基板に支持した状態で前記パターンニングした後に、前記シリコン基板を前記別の基板から前記ガラス基板に転写するため、振動子の製造工程が複雑化し、その結果、振動子のコストアップを招いてしまう。
特開平10−163505号公報(図1、第23段落〜第24段落)
本発明の目的は、所望の特性を有する振動子を簡易な製造工程でかつ安価に製造することができる振動子の製造方法、この製造方法を用いて製造された振動子、および、かかる振動子を備える電子機器を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の振動子の製造方法は、所定のパターンをなす可動部と、該可動部を振動可能に支持するための支持部とを有し、前記可動部を駆動することにより振動する振動子の製造方法であって、
加工用基板の表面に、光硬化性樹脂を主材料として構成された樹脂層を形成する工程と、
前記加工用基板にエッチングを施して、前記可動部を形成する工程と、
選択的な光照射により未硬化状態となった前記樹脂層の部分を除去して、前記支持部を形成する工程とを有することを特徴とする。
これにより、支持部を形成するに際して、樹脂層の一部を除去するだけで比較的簡単に、可動部の駆動に必要な空間を高アスペクト比で形成することができる。また、樹脂層の厚さによって前記空間のアスペクト比を任意に設定することができる。
また、振動子の製造過程において、加工用基板を高温にさらすことなく、樹脂層と加工用基板とを比較的強固に接合することができるので、可動部の変形等を防止することができる。
さらに、加工用基板を支持するための基板を別途要することなく、樹脂層に支持した状態で加工用基板にパターンニングを施すため、振動子の製造工程を簡略化し、その結果、安価に振動子を製造することができる。
したがって、本発明では、所望の特性を有する振動子を簡易な製造工程でかつ安価に製造することができる。
本発明の振動子の製造方法では、前記光硬化性樹脂はポジ型の光硬化性樹脂であり、前記光照射は、前記可動部を形成する工程の後に行うことが好ましい。
これにより、加工用基板が樹脂層により強固に接合した状態で、加工用基板に対し安定的にパターンニングを施すことができるので、より優れた寸法精度で可動部を形成することができる。特に、本発明では、可動部を形成した後に支持部を形成するので、樹脂層が支持用基板と加工用基板との間に介在した状態であっても、樹脂層に開口部を形成することができる。
本発明の振動子の製造方法では、前記光硬化性樹脂はネガ型の光硬化性樹脂であり、前記光照射は、前記可動部を形成する工程の前に行うことが好ましい。
これにより、加工用基板が樹脂層により強固に接合した状態で、加工用基板に対し安定的にパターンニングを施すことができるので、より優れた寸法精度で可動部を形成することができる。特に、本発明では、可動部を形成した後に支持部を形成するので、樹脂層が支持用基板と加工用基板との間に介在した状態であっても、樹脂層に開口部を形成することができる。
本発明の振動子の製造方法では、前記可動部を形成する工程に先立ち、または、前記支持部を形成する工程に先立ち、前記樹脂層の前記加工用基板と反対側に、前記樹脂層よりも剛性の高い支持用基板を接合する工程を有することが好ましい。
これにより、支持用基板により樹脂層が補強されるので、樹脂層により加工用基板をより確実に支持することができる。その結果、加工用基板が樹脂層により強固に接合した状態で、加工用基板に対し安定的にパターンニングを施すことができるので、より優れた寸法精度で可動部を形成することができる。
本発明の振動子の製造方法では、前記支持用基板は、光透過性を有していることが好ましい。
これにより、樹脂層が支持用基板と加工用基板との間に介在した状態であっても、第2の工程において、樹脂層に対し光照射を行うことができる。また、得られる振動子において、可動部の動作を樹脂層側から視覚的に確認して、可動部の動作不良を比較的簡単に発見することができる。
本発明の振動子の製造方法では、前記支持用基板は、ガラスを主材料として構成されていることが好ましい。
これにより、加工用基板と支持用基板との間に生じる寄生容量を低減することができる。
本発明の振動子の製造方法は、所定のパターンをなす可動部と、該可動部を振動可能に支持するための支持部とを有し、前記可動部を駆動することにより振動する振動子の製造方法であって、
加工用基板の表面に、光硬化性樹脂を主材料として構成された樹脂層を形成する工程と、
選択的な光照射により未硬化状態となった前記樹脂層の部分を除去して、前記支持部を形成する工程と、
前記加工用基板にエッチングを施して、前記可動部を形成する工程とを有することを特徴とする振動子の製造方法。
これにより、支持部を形成するに際して、樹脂層の一部を除去するだけで比較的簡単に、可動部の駆動に必要な空間を高アスペクト比で形成することができる。また、樹脂層の厚さによって前記空間のアスペクト比を任意に設定することができる。
また、振動子の製造過程において、加工用基板を高温にさらすことなく、樹脂層と加工用基板とを比較的強固に接合することができるので、可動部の変形等を防止することができる。
さらに、加工用基板を支持するための基板を別途要することなく、樹脂層に支持した状態で加工用基板にパターンニングを施すため、振動子の製造工程を簡略化し、その結果、安価に振動子を製造することができる。
したがって、本発明では、所望の特性を有する振動子を簡易な製造工程でかつ安価に製造することができる。
本発明の振動子の製造方法では、前記光硬化性樹脂は、絶縁性を有していることが好ましい。
これにより、可動部と、該可動部に対して分離した加工用基板の部分との間を絶縁して、これらの間に電圧を印加することにより、可動部を駆動することができる。
本発明の振動子の製造方法では、前記光硬化性樹脂は、光透過性を有していることが好ましい。
これにより、得られる振動子において、可動部の動作を樹脂層側から視覚的に確認して、可動部の動作不良を比較的簡単に発見することができる。また、樹脂層内に生じる気泡の発生を視覚的に確認して、樹脂層と加工用基板との接合部における接合不良を比較的簡単に発見することができる。
本発明の振動子の製造方法では、前記光硬化性樹脂は、前記加工用基板に対する接着性を有していることが好ましい。
これにより、接着剤等を用いることなく、樹脂層と加工用基板とをより容易に接合することができる。
本発明の振動子の製造方法では、前記光硬化性樹脂は、エポキシ系樹脂であることが好ましい。
このような材料は、厚塗りが可能であるため、可動部を駆動するための空間を高アスペクト比で形成することができる。
本発明の振動子の製造方法では、前記加工用基板は、シリコンを主材料として構成されていることが好ましい。
これにより、可動部をより簡単に高精度に形成することができるとともに、可動部の駆動特性をより優れたものとすることができる。
本発明の振動子の製造方法では、前記可動部を形成する工程において、前記エッチングはドライエッチングであることが好ましい。
これにより、異方性エッチングを行って、可動部をより高い寸法精度で形成することができる。特に、ドライエッチングの中でも反応性イオンエッチングを好適に使用することができる。
本発明の振動子の製造方法では、前記加工用基板の平均厚さは、0.2〜100μmであることが好ましい。
これにより、加工用基板の各部において、オーバーエッチングが生じるのをより確実に防止するとともに、エッチングレートが極端に低下することなく安定的にエッチングを行うことができる。
本発明の振動子の製造方法では、前記可動部を形成する工程の前に、前記樹脂層の表面に、電極を形成することが好ましい。
これにより、電極を形成するに際して、電極を構成する材料が加工用基板の可動部等の不本意な部分に残存するのを防止することができる。
本発明の振動子は、本発明の振動子の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、安価で、所望の特性を有する振動子を得ることができる。
本発明の振動子では、マイクロレゾネータであることが好ましい。
これにより、安価で、所望の特性を有するマイクロレゾネータを得ることができる。
本発明の電子機器は、本発明の振動子を備えることを特徴とする。
これにより、所望の特性を有する電子機器を得ることができる。
以下、本発明の振動子の製造方法、振動子および電子機器を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
以下では、本発明の振動子をマイクロレゾネータに適用した場合を、一例として説明する。
本発明の振動子の製造方法の説明に先立ち、かかる製造方法を用いて製造された振動子、すなわち本発明の振動子を説明する。
(振動子)
図1は、本発明の振動子をマイクロレゾネータに適用した場合の実施形態を示す平面図、図2は、図1におけるA−A線断面図、図3は、図1におけるB−B線断面図、図4は、図1に示すマイクロレゾネータに備えられた樹脂層の形状を示す図、図5は、図1に示すマイクロレゾネータの駆動状態を示す模式図である。なお、以下の説明では、図2、3中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図1〜図3に示すマイクロレゾネータ1は、光硬化性樹脂を主材料とする第1の基板2の上側に、振動系を有する第2の基板3が接合されているとともに、第1の基板2の下側に、第1の基板2の補強のための支持用基板4が接合されている。
第1の基板2は、図4に示すような形状をなす開口部21を有している。言い換えすれば、図4に示すように、開口部21を除く領域に、第1の基板2は、T字と四角形とを合わせたような平面視形状をなす1対の支持部22と、この1対の支持部22の間で1対の支持部22の対向方向に平行に延びる平面視形状をなす1対の支持部23と、これらを囲む枠部24とを有している。そして、支持部22、23の上端部は、第2の基板3に接合されている。
このような第1の基板2に接合されている第2の基板3は、前述した第1の基板2の支持部22の上端部に接合された固定電極31と、第1の基板2の支持部23の上端部に接合された可動電極32とを有している。
1対の固定電極31は、それぞれ、第1の基板2の支持部22上で第1の基板2に固定された固定部311と、固定部311からほぼ平行に延びて櫛歯形状をなす複数の電極指312とを有している。
各固定部311上には、導電性薄膜によって構成された電極313が設けられ、この電極313は、電極指312と電気的に接続されている。この1対の電極313は、それぞれ、固定電極31と可動電極32の間に電圧を印加するための駆動電極である。
一方、可動電極32は、第1の基板2の支持部23上で第1の基板2に固定された固定部321と、固定部321から延び第1の基板2の開口部21上で浮動する可動部322とを有している。
固定部321は、接地されていて、可動部322とほぼ同電位となっている。
可動部322は、前述した複数の電極指312と互いに噛み合うようにほぼ平行に延びて櫛歯形状をなす複数の電極指323と、電極指323を振動可能に固定部321に連結する梁部324とを有している。
マイクロレゾネータ1では、これらの電極指312、323の幅、間隔、厚さ等を調整することにより、共振周波数等の特性を所望のものに設定することができる。
このようなマイクロレゾネータ1は、例えば共振子として用いることができる。
この場合、1対の固定電極31のうちの一方の固定電極31と可動電極32との間と、他方の固定電極31と可動電極32との間とで位相が180°ずれるように交番電圧を1対の電極313を介して印加する。すると、図5に示すように、一方の固定電極31と可動電極32との間と、他方の固定電極31と可動電極32との間とに交互に静電引力が発生して、可動電極32の電極指323が固定電極31の電極指312に対し接離するように往復動(振動)する。
このように振動する電極指323の周波数(振動周波数)は、電極指323の合計質量と、梁部324のバネ定数で決まる変位に対する復元力とによって決まる。
そして、この周波数が可動部322固有の共振周波数になると、可動部4が大きく振動する。
(振動子の製造方法)
次に、前述したマイクロレゾネータ1の製造方法の一例を説明する。
図6〜図8は、マイクロレゾネータ1の製造方法を説明するための図(断面図)である。なお、図6〜図8は、図1中のA−A線断面に対応する図である。また、以下の説明では、図6〜図8中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
このマイクロレゾネータ1の製造方法は、[1]第2の基板3を形成するための加工用基板の表面に、第1の基板2を形成するための樹脂層を形成する工程と、[2]電極313を形成する工程と、[3]前記加工用基板に可動部322を形成する工程と、[4]前記樹脂層に開口部21を形成する第3の工程とを有している。
以下、各工程を順次説明する。
[1]
まず、前述した加工用基板5の表面に樹脂層6を形成する。
本実施形態では、支持用基板4と、前述した第2の基板3を形成するための加工用基板5とで挟むようにして、光硬化性樹脂を主材料とする樹脂層6を形成する。
後述する第2の工程に先立ち、樹脂層6の加工用基板5と反対側に、樹脂層6よりも剛性の高い支持用基板4を接合すると、支持用基板4により樹脂層6が補強されるので、樹脂層6により加工用基板5をより確実に支持することができる。
また、支持用基板4は、光透過性を有している。これにより、樹脂層6が支持用基板4と加工用基板5との間に介在した状態であっても、後述する第2の工程において、樹脂層6に対し光照射を行うことができる。また、樹脂層6が光透過性を有している場合には、得られるマイクロレゾネータ1において、可動部322の動作を樹脂層6側から視覚的に確認して、可動部322の動作不良を比較的簡単に発見することができる。また、樹脂層322内に生じる気泡の発生を視覚的に確認して、樹脂層6と加工用基板5との接合部における接合不良を比較的簡単に発見することができる。
したがって、支持用基板4の構成材料は、前述したような剛性を有するものであれば、特に限定されず、各種有機材料および各種無機材料を用いることができるが、特に絶縁性を有しているものが好ましい。中でも、支持用基板4は、ガラスを主材料として構成されているのが好ましい。これにより、加工用基板5と支持用基板4との間に生じる寄生容量を低減することができる。
加工用基板5の構成材料、すなわち第2の基板3の構成材料としては、振動系を構成することができるものであれば、特に限定されないが、Siを主材料とするものが好ましい。これにより、加工用基板を、所定のパターンに容易に加工することができる。
加工用基板5の平均厚さ、すなわち第2の基板3の厚さは、特に限定されないが、0.2〜100μm程度であるのが好ましく、20〜60μm程度であるのがより好ましい。加工用基板5の厚さが薄過ぎると、加工用基板5の構成材料等によっては、マイクロレゾネータ1において、印加電圧に対する可動部322の変位量を十分に大きくするのが困難になるおそれがあり、一方、加工用基板5の厚さを前記上限値を超えて大きくしても、それ以上の効果の増大が期待できないばかりでなく、エッチングを深く垂直に行うことが難しくなる傾向を示す。
樹脂層6を構成する光硬化性樹脂としては、例えば、ポリオルガノシロキサン等のシリコーン系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル(不飽和ポリエステル)樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。
このように樹脂層6の構成材料として樹脂を使用しているので、後述する第2の工程において、容易に第1の基板2を作製することができる。
また、樹脂層6を構成する光硬化性樹脂は、絶縁性を有しているのが好ましい。これにより、可動部322と、固定電極31、すなわち可動部322に対して分離した第2の基板3の部分との間を絶縁して、これらの間に電圧を印加することにより、可動部322を駆動することができる。
また、樹脂層6を構成する光硬化性樹脂は、光透過性を有しているのが好ましい。これにより、支持用基板4が光透過性を有している場合には、得られるマイクロレゾネータ1において、可動部322の動作を樹脂層6側から視覚的に確認して、可動部322の動作不良を比較的簡単に発見することができる。また、樹脂層322内に生じる気泡の発生を視覚的に確認して、樹脂層6と加工用基板5との接合部における接合不良を比較的簡単に発見することができる。
また、樹脂層6を構成する光硬化性樹脂は、第2の基板3に対する接着性を有しているのが好ましい。これにより、接着剤等を用いることなく、第1の基板2と第2の基板3とをより容易に接合することができる。
本実施形態では、光硬化性樹脂としてポジ型の光硬化性樹脂を用いている。なお、光硬化性樹脂としてネガ型の光硬化性樹脂を用いることもできる。この場合、後述する第2の工程において用いるマスク7に代えて、開口部21に対応する形状をなすマスクを用いる。
[2]
次に、図6(a)に示すように、加工用基板5の表面に、電極313を形成する。
電極313の構成材料としては、特に限定されるものではなく、公知の電極材料を用いることができる。具体的に、電極313の構成材料としては、例えば、Cr、Al 、Ta、Mo、Nb、Cu、Ag、Au、Pd、In、Ni、Nd、Coまたはこれらを含む合金のような金属材料およびそれらの酸化物、導電性有機材料等を用いることができる。
電極313を金属材料で構成する場合、これら電極313は次のようにして形成することができる。
まず、加工用基板5の表面に一様に金属膜(金属層)を形成する。
金属膜の形成方法としては、例えば、プラズマCVD、熱CVD、レーザーCVDのような化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング(低温スパッタリング)、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、電解メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、溶射法、ゾル・ゲル法、MOD法、金属箔の接合等のうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
この金属膜上に、レジスト材料を塗布した後に硬化させ、電極313の形状に対応する形状のレジスト層を形成する。このレジスト層をマスクとして用いて、金属膜の不要部分を除去する。
金属膜の除去方法としては、例えば、プラズマエッチング、リアクティブイオンエッチング、ビームエッチング、光アシストエッチング等の物理的エッチング法、ウェットエッチング等の化学的エッチング法等のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
その後、レジスト層を除去することにより、電極313が得られる。
なお、電極313は、加工用基板5上に、例えば、導電性粒子や、導電性有機材料を含む導電性材料を塗布(供給)して塗膜を形成した後、必要に応じて、この塗膜に対して後処理(例えば加熱、赤外線の照射、超音波の付与等)を施すことにより形成することもできる。
導電性粒子を含む導電性材料としては、金属微粒子を分散させた溶液、導電性粒子を含むポリマー混合物等が挙げられる。
また、導電性有機材料を含む導電性材料としては、導電性有機材料の溶液または分散液が挙げられる。
加工用基板5上に導電性材料を塗布(供給)する方法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法のような塗布法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット法、マイクロコンタクトプリンティング法のような印刷法等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
[3]
−3A−
図6(b)に示すように、加工用基板5上(加工用基板5の樹脂層6と反対側)に、例えばフォトリソグラフィ法等を用いて、固定電極31および可動電極32に対応した形状をなすマスク11を形成する。
マスク11としては、レジスト材料で構成されるマスク(レジストマスク)に代えて、例えばAl等の金属材料で構成されるマスク(メタルマスク)を用いることもできる。
−3B−
次に、形成されたマスク11を介して、加工用基板5に対してエッチングを施す。これにより、図6(c)に示すように、加工用基板5に、固定電極31および可動電極32の形状がパターンニングされ、第2の基板3が形成される。
このエッチングには、例えば、反応性イオンエッチング、プラズマエッチング、ビームエッチング、光アシストエッチングのようなドライエッチング、ウェットエッチング等のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、ドライエッチング、特に、反応性イオンエッチングを用いるのが好適である。
ドライエッチング(特に、反応性イオンエッチング)を用いることにより、加工用基板83に対して異方性の高いエッチングを行うことができ、基板5のパターニングを寸法精度よく行うことができる。
−3C−
次に、図7(a)に示すように、マスク11を除去する。
このマスク11の除去方法としては、例えば、マスク11がレジスト材料で構成される場合には、レジスト剥離液による剥離、マスク11がAlのような金属材料で構成される場合には、リン酸溶液のようなメタル剥離液による剥離等を用いることができる。
[4]
−4A−
次に、図7(b)に示すように、支持用基板4上(支持用基板4の樹脂層6と反対側)に、例えばフォトリソグラフィ法等を用いて、支持部22、23および枠部24に対応した形状をなすマスク7を形成する。
マスク7としては、レジスト材料で構成されるマスク(レジストマスク)に代えて、例えばAl等の金属材料で構成されるマスク(メタルマスク)を用いることもできる。
−4B−
次に、マスク7および支持用基板4を介して、樹脂層6に光照射して支持部22、23および枠部24に対応する部分を硬化させ、その残部である未硬化部分を除去することにより、図7(c)に示すように、開口部21を形成する。
このように本工程では、可動部322を形成した後に、樹脂層6に開口部21を形成するので、樹脂層6が支持用基板5と加工用基板4との間に介在した状態であっても、前記未硬化部分を取り除いて、樹脂層6に開口部を形成することができる。
本実施形態では、樹脂層6を構成する光硬化性樹脂がポジ型の光硬化性樹脂であり、可動部322を形成した後に、樹脂層6に対し光照射するので、加工用基板5が樹脂層6により強固に接合した状態で、加工用基板5に対し安定的にパターンニングを施すことができる。その結果、より優れた寸法精度で可動部322を形成することができる。
なお、樹脂層6を構成する光硬化性樹脂がネガ型の光硬化性樹脂である場合には、前記光照射の後に、可動部322を形成するのが好ましい。これにより、加工用基板5が樹脂層6により強固に接合した状態で、加工用基板5に対し安定的にパターンニングを施すことができるので、より優れた寸法精度で可動部322を形成することができる。
−4C−
次に、マスク7を除去して、図8に示すように、マイクロレゾネータ1を得る。
以上のような工程を経て、本実施形態のマイクロレゾネータ1が製造される。
このように、本発明の振動子の製造方法を適用したマイクロレゾネータ1の製造方法では、樹脂層6の一部を除去して開口部21を形成するため、可動部322の駆動に必要な空間として、高アスペクト比の開口部21を比較的簡単に形成することができる。
また、かかる製造過程において、加工用基板5、すなわち第2の基板3を高温にさらすことなく、第1の基板2と第2の基板3とを接合することができるので、可動部322の変形等を防止することができる。
さらに、加工用基板5を支持するための基板を別途要することなく、樹脂層6に支持した状態で加工用基板5にパターンニングを施すため、マイクロレゾネータ(振動子)の製造工程を簡略化し、その結果、安価に振動子を製造することができる。
前述したようなことから、所望の特性を有するマイクロレゾネータ1を簡易な製造工程でかつ安価に製造することができる。
また、SOI基板を用いてマイクロレゾネータを製造する場合のようなHF溶液による犠牲層エッチングが不要となるので、電極313の構成材料を選択するに際して、HF溶液に対する耐性を考慮する必要がなくなる。したがって、電極313の構成材料を、広い範囲の導電性材料から選択することができる。これにより、マイクロレゾネータ1の低コスト化を図ることができる。
さらに、第1の基板2の構成材料である樹脂として絶縁性を有するものを選択することにより、各固定部311、321における寄生容量を小さく抑えることができ、電流利用効率を向上させることができる。
上述したようなマイクロレゾネータ1は、後述するような各種の電子機器に適用することができる。
ここで、このような電子機器(本発明の振動子を備える電子機器)について、図9〜図11に基づき、詳細に説明する。
図9は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピュータ1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このようなパーソナルコンピュータ1100には、例えば、基準クロック、計時用クロック、無線機器の発振回路、フィルタ等として機能するマイクロレゾネータ1や、アンテナ1101が内蔵されている。
図10は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
この図において、携帯電話機1200は、アンテナ1201、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部が配置されている。
このような携帯電話機1200には、例えば、搬送波、検波用の発振回路、フィルタ、マイコン用クロック、計時用クロック等として機能するマイクロレゾネータ1が内蔵されている。
図11は、本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、表示部が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成となっており、表示部は、被写体を電子画像として表示するファインダとして機能する。
また、ケース1302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッタボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリ1308に転送・格納される。
また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示されるように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニタ1430が、データ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピュータ1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、メモリ1308に格納された撮像信号が、テレビモニタ1430や、パーソナルコンピュータ1440に出力される構成になっている。
このようなディジタルスチルカメラ1300には、例えば、マイクロコンピュータ用クロック、計時用クロック等として機能するマイクロレゾネータ1が内蔵されている。
なお、本発明の電子機器は、図9のパーソナルコンピュータ(モバイル型パーソナルコンピュータ)、図10の携帯電話機、図11のディジタルスチルカメラの他にも、例えば、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンタ)、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニタ、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレータ等に適用することができる。
以上、本発明の振動子の製造方法、振動子および電子機器について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の振動子は、マイクロレゾネータへの適用に限定されず、例えばMEMS応用のセンサ(圧力、加速度、角速度、姿勢)等に適用することができる。
また、本発明の製造方法は、前述したような振動子の製造への適用に限定されるものではなく、各種形状の構造体の形成に適用可能である。
また、本発明の製造方法は、必要に応じて、任意の目的の工程を追加することもできる。
また、前述した実施形態では、支持用基板4を備えるものについて説明したが、第1の基板2、すなわち樹脂層6が比較的高い剛性を有している場合などには、支持用基板4を省略することができる。この場合、振動子の製造工程において、可動部322の形成前に、開口部21を形成することができる。また、製造工程を簡略化できるので、得られる振動子をより低コスト化することができる。
本発明の振動子の第1実施形態を示す平面図である。 図1中のA−A線断面図である。 図1中のB−B線断面図である。 図1に示す振動子に備えられた樹脂層の形状を説明するための図である。 図1に示す振動子の動作を説明するための図である。 図1に示す振動子の製造方法を説明するための図である。 図1に示す振動子の製造方法を説明するための図である。 図1に示す振動子の製造方法を説明するための図である。 本発明の電子機器(ノート型パーソナルコンピュータ)である。 本発明の電子機器(携帯電話機)である。 本発明の電子機器(ディジタルスチルカメラ)である。
符号の説明
1……マイクロレゾネータ 2……第1の基板 21……開口部 22、23……支持部 24……枠部 3……第2の基板 31……固定電極 311……固定部 312……電極指 313……電極 32……可動電極 321……固定部 322……可動部 323……電極指 324……梁部 4……支持用基板 5……加工用基板 6……樹脂層 7……マスク 83……加工用基板 11……マスク 1100……パーソナルコンピュータ 1101……アンテナ 1102……キーボード 1104……本体部 1106……表示ユニット 1200……携帯電話機 1201……アンテナ 1202……操作ボタン 1204……受話口 1206……送話口 1300……ディジタルスチルカメラ 1302……ケース(ボディー) 1304……受光ユニット 1306……シャッタボタン 1308……メモリ 1312……ビデオ信号出力端子 1314……データ通信用の入出力端子 1430……テレビモニタ 1440……パーソナルコンピュータ

Claims (18)

  1. 所定のパターンをなす可動部と、該可動部を振動可能に支持するための支持部とを有し、前記可動部を駆動することにより振動する振動子の製造方法であって、
    加工用基板の表面に、光硬化性樹脂を主材料として構成された樹脂層を形成する工程と、
    前記加工用基板にエッチングを施して、前記可動部を形成する工程と、
    選択的な光照射により未硬化状態となった前記樹脂層の部分を除去して、前記支持部を形成する工程とを有することを特徴とする振動子の製造方法。
  2. 前記光硬化性樹脂はポジ型の光硬化性樹脂であり、前記光照射は、前記可動部を形成する工程の後に行う請求項1に記載の振動子の製造方法。
  3. 前記光硬化性樹脂はネガ型の光硬化性樹脂であり、前記光照射は、前記可動部を形成する工程の前に行う請求項1に記載の振動子の製造方法。
  4. 前記可動部を形成する工程に先立ち、または、前記支持部を形成する工程に先立ち、前記樹脂層の前記加工用基板と反対側に、前記樹脂層よりも剛性の高い支持用基板を接合する工程を有する請求項1ないし3のいずれかに記載の振動子の製造方法。
  5. 前記支持用基板は、光透過性を有している請求項4に記載の振動子の製造方法。
  6. 前記支持用基板は、ガラスを主材料として構成されている請求項5に記載の振動子の製造方法。
  7. 所定のパターンをなす可動部と、該可動部を振動可能に支持するための支持部とを有し、前記可動部を駆動することにより振動する振動子の製造方法であって、
    加工用基板の表面に、光硬化性樹脂を主材料として構成された樹脂層を形成する工程と、
    選択的な光照射により未硬化状態となった前記樹脂層の部分を除去して、前記支持部を形成する工程と、
    前記加工用基板にエッチングを施して、前記可動部を形成する工程とを有することを特徴とする振動子の製造方法。
  8. 前記光硬化性樹脂は、絶縁性を有している請求項1ないし7のいずれかに記載の振動子の製造方法。
  9. 前記光硬化性樹脂は、光透過性を有している請求項1ないし8のいずれかに記載の振動子の製造方法。
  10. 前記光硬化性樹脂は、前記加工用基板に対する接着性を有している請求項1ないし9のいずれかに記載の振動子の製造方法。
  11. 前記光硬化性樹脂は、エポキシ系樹脂である請求項1ないし10のいずれかに記載の振動子の製造方法。
  12. 前記加工用基板は、シリコンを主材料として構成されている請求項1ないし11のいずれかに記載の振動子の製造方法。
  13. 前記可動部を形成する工程において、前記エッチングはドライエッチングである請求項1ないし12のいずれかに記載の振動子の製造方法。
  14. 前記加工用基板の平均厚さは、0.2〜100μmである請求項1ないし13のいずれかに記載の振動子の製造方法。
  15. 前記可動部を形成する工程の前に、前記樹脂層の表面に、電極を形成する請求項1ないし14のいずれかに記載の振動子の製造方法。
  16. 請求項1ないし15のいずれかに記載の振動子の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする振動子。
  17. 振動子は、マイクロレゾネータである請求項16に記載の振動子。
  18. 請求項16または17に記載の振動子を備えることを特徴とする電子機器。
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JP2014107710A (ja) * 2012-11-28 2014-06-09 Seiko Epson Corp 振動子および電子機器

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