以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、各層や各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各層や各部材の尺度を実際とは異ならせしめている。
<第1実施形態>
本実施形態に係る振動デバイスの一例としての水晶振動子1000について説明する。水晶振動子1000は、外部から印加される所定の交流電圧によって、所定の周波数で発振する振動デバイスである。
[水晶振動子]
まず、第1実施形態に係る振動デバイスとしての水晶振動子1000の概略構成について説明する。図1は、第1実施形態に係る振動デバイスとしての水晶振動子1000の概略図であり、図1(a)は平面図、図1(b)は図1(a)中のA−A断面図である。
水晶振動子1000は、振動片1100、パッケージ1200、第1接合部材1301、第2接合部材1302、リッド1210などから構成されている。なお、説明の便宜上、図1(a)ではリッド1210の図示を省略している。また、以下の説明では、図1(b)中の上側を「上」、下側を「下」として説明する。また、図1(b)中の各部材の上側にある面を上面、下側にある面を下面として説明する。
[振動片]
振動片1100は、圧電単結晶の一種である水晶で構成された水晶基板1110と、励振電極1121,1122、引出電極1123,1124、および接続電極1125,1126と、により構成されている。振動片1100は、励振電極1121,1122に所定の交流電圧が印加されることによって所定の共振周波数で振動する。
水晶基板1110は、表裏の関係にある上面1111および下面1112と、第1辺1115と、を有している。水晶基板1110の上面1111には、励振電極1121、および引出電極1123が形成されている。水晶基板1110の下面1112には、励振電極1122、引出電極1124、および接続電極1125,1126が形成されている。また、接続電極1125,1126は、水晶基板1110の下面1112の第1辺1115側に、第1方向1405に並んで配置されている。引出電極1123は、励振電極1121から上面1111と下面1112とをつなぐ側面を経由して接続電極1125まで延出されており、励振電極1121と接続電極1125とを電気的に接続している。引出電極1124は、励振電極1122から接続電極1126まで延出されており、励振電極1122と接続電極1126とを電気的に接続している。
励振電極1121,1122は、平面視で、すなわち上から見て、矩形状をしており、略重なるように配置され、励振電極1121の中心と、励振電極1122の中心と、が略重なるように配置されている。また、水晶基板1110には、励振電極1121,1122で挟まれた振動領域1113を有している。ここで、励振電極1121,1122の中心とは、励振電極1121,1122のそれぞれを、上から見た形状の重心(図心)である。
本実施形態では、励振電極1121の中心と励振電極1122の中心とが、略重なるように配置されているが、これに限らず、上から見て、励振電極1121と励振電極1122とが重なり、振動領域1113を有していればよい。なお、励振電極1121,1122は、矩形状以外にも、円形状、楕円形状、三角形状等の多角形形状等でもよいし、多角形形状の角部を丸めた形状でもよい。
励振電極1121,1122、引出電極1123,1124、および接続電極1125,1126は、蒸着やスパッタ、めっき等の方法や、金属部材を含むペースト(溶剤)を塗布した後に金属以外の溶剤成分を揮発させる方法等によって形成される。また、励振電極1121,1122、引出電極1123,1124、および接続電極1125,1126は、少なくとも下地層と上層の2層で構成されている。下地層の構成材料には、水晶基板1110に対して密着性を有する材料が挙げられ、具体的には、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、タングステン(W)等やこれらの金属元素の1種、または2種以上の混合物または合金が用いられる。一方、上層の構成材料には、電気伝導性が特に高い材料が挙げられ、具体的には、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等の金属元素やこれらの金属元素の1種、または2種以上を含む混合物または合金が用いられる。なお、励振電極1121,1122、引出電極1123,1124、および接続電極1125,1126は、1層で構成されていてもよく、例えば、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等の金属元素やこれらの金属元素の1種、または2種以上を含む混合物または合金で構成されていてもよい。
振動領域1113は、振動領域中心1114を有する。本実施形態では、励振電極1121,1122は、上から見て、矩形状をしているとともに略重なるように配置されているため、振動領域1113は、上から見て、矩形状をしているとともに、振動領域中心1114と励振電極1121,1122の中心とは略重なっている。ここで、振動領域中心1114は、振動領域1113を上から見た形状の重心点(図心)である。
[パッケージ]
パッケージ1200は、基板としての底板1201と、側壁1204と、シールリング1205などから構成されており、底板1201は、上面1202および下面1203を有している。
具体的には、パッケージ1200は、底板1201の上面1202の周縁部に側壁1204が積層されることによって、中央部が窪んだ形状の内部空間1209(収納空間)が形成されており、この内部空間1209には、振動片1100が収納されている。パッケージ1200の外形形状は限定されず、例えば、直方体状、円柱状などとすることができる。
底板1201、および側壁1204は、振動片1100やリッド1210の熱膨張係数と一致、あるいは近い熱膨張係数を備えた材料によって形成されるのが好ましく、本実施形態ではセラミックを用いている。
シールリング1205は、側壁1204とリッド1210との接合材として、例えば、金ろうや銀ろう等の金属のろう材、ガラス、またはコバールなどの金属で形成されており、側壁1204の上面に沿って枠状に設けられている。
また、底板1201の上面1202には、内部接続端子1206,1207が形成されており、底板1201の下面1203には、水晶振動子1000の外部の回路や実装基板と少なくとも電気的に接続される外部接続端子1208が複数形成されている。
内部接続端子1206,1207および複数の外部接続端子1208は、例えば、タングステンメタライズ、ニッケルめっき、および金めっきの順に形成することにより得られる。
内部接続端子1206,1207は、底板1201に配置されている配線(図示せず)によって、複数の外部接続端子1208のうち異なる2つの外部接続端子1208に電気的に接続されている。また、複数の外部接続端子1208は、外部の実装基板(図示せず)と少なくとも電気的に接続して、振動片1100に交流電圧を供給したり、周波数などの電気信号を出力したりするために使用される電極である。
[リッド]
リッド1210は、パッケージ1200の開口を覆う平板形状を有しており、例えば、コバールや42アロイなどの金属、セラミック、またはガラスなどで形成されている。
リッド1210は、パッケージ1200の内部空間1209に振動片1100を収納した後、内部空間1209が気密状態、となるようにシールリング1205と接合される。気密状態とされた内部空間1209は、その内部圧力が所望の圧力に設定されている。例えば、内部空間1209を、真空(大気圧より低い圧力(1×105Pa〜1×10-10Pa(JIS Z 8126−1:1999))の圧力の状態)状態としたり、窒素やアルゴン等の不活性ガスが充てんされ大気圧と同等の圧力状態としたりすることで、振動片1100は、より安定した振動を継続することができる。
なお、本実施形態の内部空間1209は、真空に密閉されている。内部空間1209が真空に密閉されることにより、収納された振動片1100のQ値が高められ、さらに、振動片1100の振動が安定した状態を継続することができる。
[接合部材]
第1接合部材1301と、第2接合部材1302と、は、水晶基板1110の下面1112にある第1辺1115が延伸する方向に並んで配置されている。
第1接合部材1301および第2接合部材1302は、導電性の部材を含有する樹脂、例えば、導電性接着剤で形成されている。導電性の部材としては、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)等の金属元素やこれらの金属元素の一種または二種以上を含む混合物等の金属の微粒子や、前述の金属がめっきされた樹脂微粒子や、炭素微粒子等、である。樹脂としては、エポキシ系の樹脂、シリコン系の樹脂、ポリイミド系の樹脂、ポリアミド系の樹脂、またはアクリル系の樹脂等、が用いられる。
第1接合部材1301は、接続電極1125と電気的および機械的に接続されているとともに、内部接続端子1206と電気的および機械的に接続されている。第2接合部材1302は、接続電極1126と電気的および機械的に接続されているとともに、内部接続端子1207と電気的および機械的に接続されている。換言すると、振動片1100は、第1接合部材1301および内部接続端子1206と、且つ、第2接合部材1302および内部接続端子1207と、を介して、底板1201に支持されている。すなわち、振動片1100は、上から見て、第1辺1115が励振電極1121,1122を挟んで向かい合う辺側の領域では、底板1201、側壁1204、シールリング1205、およびリッド1210と接触しておらず、底板1201に片持ち支持されている。
第1接合部材1301および第2接合部材1302は、導電性を有するため、接続電極1125と内部接続端子1206との間と、接続電極1126と内部接続端子1207との間と、の機械的接合と電気的接合とを同時に行うことができる。従って、振動片1100と底板1201との機械的接合と電気的接合とをそれぞれ別の部材を用いて行う場合と比較して、振動デバイスに用いる部材を低減することができ、水晶振動子1000を効率よく製造することができる。
第1接合部材1301の接続電極1125側、すなわち振動片1100側の上面1303は、第1接合中心1305を有する。第2接合部材1302の接続電極1126側、すなわち振動片1100側の上面1304は、第2接合中心1306を有する。
第1接合中心1305および第2接合中心1306は、それぞれ、第1接合部材1301および第2接合部材1302を上から見た形状、すなわち上面1303および上面1304を上から見た形状の重心点(図心)である。
次に、振動領域1113と、第1接合部材1301および第2接合部材1302と、の関係について説明する。
まず、振動領域中心1114を通り、第1接合中心1305と第2接合中心1306とを結ぶ仮想線である第3仮想直線1403に対して直交する仮想線を第1仮想直線1401とする。なお、第1仮想直線1401と第3仮想直線1403との交点1404は第1接合中心1305と第2接合中心1306との間に配置される。また、振動領域中心1114を通り第1仮想直線1401と直交する仮想線を第2仮想直線1402とする。すなわち、第1接合部材1301と第2接合部材1302とは、上から見て、第1仮想直線1401を挟んで、第1辺1115が延伸する方向である第1方向1405に並んで配置されている。
ここで、第1接合中心1305から第1仮想直線1401までの距離をL1、第2接合中心1306から第1仮想直線1401までの距離をL2とする。また、振動領域中心1114から、上から見て、振動領域1113と第2仮想直線1402とが交差する交点のうち、第1接合部材1301側の交点である端部1131までの距離をW1、振動領域中心1114から、上から見て、振動領域1113と第2仮想直線1402とが交差する交点のうち、第2接合部材1302側の交点である端部1132までの距離をW2、とする。以降に、上述のL1、L2、W1、およびW2と、ヒステリシスの関係について説明する。
まず、水晶振動子1000のヒステリシスについて説明する。振動片1100の共振周波数は、水晶振動子1000の周囲温度が上昇している過程における所定の温度Tでの共振周波数と、水晶振動子1000の周囲温度が低下している過程における所定の温度Tでの共振周波数と、が異なる特性を有している。この周囲温度が上昇しているときと周囲温度が低下しているときとで異なる特性を有することを、ヒステリシスを持つという。これは、以下の理由によると考えられる。
本実施形態に係る水晶振動子1000は、振動片1100と底板1201とは同一の材料で構成されていないため、熱膨張係数が異なっており、水晶振動子1000の周囲温度の変化にともなう振動片1100の伸びまたは縮み量と、底板1201の伸びまたは縮み量と、が異なる。従って、水晶振動子1000の周囲温度が変化した場合には、振動片1100の伸びまたは縮み量と、底板1201の伸びまたは縮み量と、の差によって振動片1100の内部に応力が発生することになる。
また、振動片1100が水晶振動子1000の内部、すなわちパッケージ1200の内部に第1接合部材1301および第2接合部材1302を介して接合されていることにより、水晶振動子1000の周囲温度の変化は、底板1201よりも振動片1100の方が温度変化の伝わり方が遅くなる。すなわち、水晶振動子1000の周囲温度が上昇している過程では、水晶振動子1000の周囲温度が所定の温度Tとなったときでも、振動片1100の温度は所定の温度Tよりも低い状態にあり、水晶振動子1000の周囲温度が下降している過程では、水晶振動子1000の周囲温度が所定の温度Tとなったときでも、振動片1100の温度は所定の温度Tよりも高い状態にある。
上述のことから、水晶振動子1000の周囲温度が所定の温度Tであっても、周囲温度が上昇している過程か、下降している過程か、によって振動片1100の温度が異なるので、振動片1100の伸びまたは縮み量が異なる。従って、振動片1100の伸びまたは縮み量と、底板1201の伸びまたは縮み量と、の差によって振動片1100に発生する応力は、水晶振動子1000の周囲温度が上昇している過程で周囲温度が所定の温度Tになった場合と、周囲温度が下降している過程で周囲温度が所定の温度Tになった場合と、では異なる。
また、所定の交流電圧が印加された場合の振動片1100の共振周波数は、振動片1100にかかる応力によって変化することが知られている。
従って、振動片1100を有する水晶振動子1000の共振周波数は、水晶振動子1000の周囲温度が上昇している過程における温度Tでの共振周波数と、水晶振動子1000の周囲温度が低下している過程における温度Tでの共振周波数とが異なることになり、これをヒステリシス特性またはヒステリシスという。
上述の振動片1100に応力がかかると振動片1100の共振周波数が変化する理由は、振動片1100が振動している状態において振動エネルギーが多く集まる振動領域1113に対しても応力がかかり、振動領域1113内の振動エネルギーの分布が変化するためと考えられる。また、振動領域1113内の一部に応力がかかる場合と比較して、振動領域1113の全体に応力がかかる場合、すなわち振動領域1113において応力がかかる領域が広がるほど、振動領域1113内の振動エネルギーの分布に影響を与えるため、振動片1100の共振周波数の変化量は大きくなると考えられる。以上のことから、水晶振動子1000の周囲温度の変化にともなう振動片1100の伸びまたは縮み量と、底板1201の伸びまたは縮み量と、の間の差によって発生する応力が振動領域1113に伝わることを低減すれば、振動片1100の共振周波数の変化が低減できると考えられる。
また、振動片1100の伸びまたは縮み量と、底板1201の伸びまたは縮み量と、の差によって発生して振動領域1113に伝わる応力のうち、第1方向1405における応力の分布は、第1接合中心1305から第2接合中心1306までの距離に依存し、第1接合中心1305から第2接合中心1306までの距離が長いほど、第1方向1405に広がる。よって、振動領域1113内での第1方向1405、すなわち第2仮想直線1402が延伸する方向における応力の分布は、振動領域1113の第2仮想直線1402が延伸する方向の長さの絶対値ではなく、第1接合中心1305から第2接合中心1306までの長さと、第2仮想直線1402が延伸する方向における振動領域1113の長さと、の比に関係すると考えられる。
さらに、応力による振動片1100の共振周波数の変化は、振動片1100が振動している状態において振動エネルギーが多く集まる振動領域1113のうち、振動エネルギーが大きい振動領域中心1114に対して応力がどのように分布するかが関係すると考えられる。従って、第1接合部材1301および第2接合部材1302と、振動領域1113と、の位置関係が重要であると考えられる。
上述のように、振動片1100を有する水晶振動子1000は、振動片1100にかかる応力に応じたヒステリシスを持つと考えられ、水晶振動子1000のヒステリシスを低減するためには、第1接合部材1301および第2接合部材1302と、振動領域1113と、の位置関係が重要であると考えられる。従って、本願発明者は、水晶振動子1000のヒステリシスが、第1接合中心1305と第1仮想直線1401との距離L1と、振動領域中心1114と振動領域1113の端部1131との距離W1と、の比であるL1/W1、または、第2接合中心1306と第1仮想直線1401との距離L2と、振動領域中心1114と振動領域1113の端部1132との距離W2と、の比であるL2/W2に関係すると考えて実験を行ない、図2に示す結果を得た。
本実験に用いた振動片1100は、図1(a)に示す第1方向1405の短辺が1.25mm、第1方向1405と交差する方向の長辺が1.80mmの矩形(長方形)である。励振電極1121,1122は、上から見て、矩形状であるとともに略重なるように配置され、振動片1100の短辺に沿った方向に短辺が、振動片1100の長辺に沿った方向に長辺が配置されている。
励振電極1121,1122は、短辺が0.90mm、長辺が1.08mmの矩形(長方形)である。励振電極1122は、第1接合部材1301および第2接合部材1302と直接接触しないような位置に配置されている。
振動片1100の中心および励振電極1121,1122の中心は、第1仮想直線1401と略重なっている。振動領域1113は、上から見て、励振電極1121,1122の中心が略重なっているため、励振電極1121,1122と略同じ大きさおよび位置に配置されている。
第1接合中心1305および第2接合中心1306は、第1辺1115に沿った方向に並んでいる。また、振動片1100、励振電極1121,1122、および振動領域1113は、上から見て、第1仮想直線1401に対して略線対称に配置されている。従って、本実験では、W1=W2=0.45mm、L1=L2とみなすことができる。また、本実施形態の実験において、第1接合部材1301の上面1303および第2接合部材1302の上面1304は、それぞれ、第1接合中心1305を中心とした直径0.35mmの円および第2接合中心1306を中心とした直径0.35mmの円となっている。
図2は、L2/W2(本実験ではL2/W2=L1/W1)と水晶振動子1000のヒステリシスとの関係を示す図である。ここで、ヒステリシスは、後述するように、温度下降時の各温度における水晶振動子1000の共振周波数と、温度上昇時の各温度における水晶振動子1000の共振周波数と、を測定し、それぞれの温度における温度下降時の共振周波数と、温度上昇時の共振周波数と、の差の絶対値を求め、その値の最大値としている。
また、図2における、水晶振動子1000のヒステリシスは、以下のようにして測定および計算している。本実験では、L2/W2が0.40、0.56、0.77、0.89、1.00の5種類の水晶振動子1000についてヒステリシスの測定および計算を行った。本実験における水晶振動子1000のヒステリシスの測定および計算は、以下に示す方法を用いた。
まず、水晶振動子1000の周囲温度を、常温(+25℃)、から+85℃まで加熱する。そして、水晶振動子1000の周囲温度を+85℃から−40℃まで下降させつつ、5℃の温度間隔で、温度下降時の水晶振動子1000の共振周波数を測定する。次に、水晶振動子1000の周囲温度を−40℃から+85℃まで上昇させつつ、温度下降時に共振周波数を測定した温度で、温度上昇時の水晶振動子1000の共振周波数を測定する。次に、温度下降時および温度上昇時に測定された同一温度条件での水晶振動子1000の共振周波数に対して、温度下降時の共振周波数と温度上昇時の共振周波数との差である差周波数を求める。次に、各温度条件での差周波数を水晶振動子1000の公称周波数(常温(+25℃)での共振周波数)で正規化して、各温度条件での正規化された周波数を求める。最後に、各温度条件での正規化された周波数のうち、絶対値が最大となる値を求め、その値を水晶振動子1000のヒステリシスとして抽出する。本実験に用いたL2/W2が5種類の水晶振動子1000について、上記の測定を行って、それぞれのL2/W2における水晶振動子1000のヒステリシスを計算する。
図2から、第2接合中心1306と第1仮想直線1401との距離L2と、振動領域中心1114と振動領域1113の端部1132との距離W2と、の比であるL2/W2が0.89のとき、水晶振動子1000のヒステリシスは0.07ppmとなっている。また、図2から、L2/W2に0.40よりも小さな値を外挿しても、さらに水晶振動子1000のヒステリシスが小さくなることがわかる。従って、0<L2/W2≦0.89の範囲において、水晶振動子1000ヒステリシスは0.07ppm以下を満たしている。また、L2/W2=0.77のとき、水晶振動子1000のヒステリシスは0.05ppmとなっている。従って、0<L2/W2≦0.77の範囲において、水晶振動子1000のヒステリシスは0.05ppm以下となっている。
水晶振動子1000のヒステリシスは、水晶振動子1000や水晶振動子1000を用いた発振器等を基準周波数源として電子機器などの製品に用いる場合には、電子機器の性能を低下させないために絶対値が小さいことが要求される。特に、水晶振動子1000や水晶振動子1000を用いた発振器等が、例えば、携帯電話機のフェムトセル用基地局装置等の基準周波数源に用いられる場合には、水晶振動子1000や水晶振動子1000を用いた発振器等の周波数温度特性の変動は、0.25ppm以下が求められており、この値を満足するために、ヒステリシスは0.1ppm以下が求められている。従って、水晶振動子1000や水晶振動子1000を用いた発振器等のヒステリシスは、0.07ppm以下であることが好適である。
また、水晶振動子1000や水晶振動子1000を用いた発振器等がさらに高い周波数精度が要求される電子機器に使用される場合、例えば、GPS信号と同期をとるための装置や、携帯電話機のマクロセル用基地局装置や、光ネットワーク(基幹系)用基地局装置等に用いられる場合には、水晶振動子1000や水晶振動子1000を用いた発振器等のヒステリシスは、0.05ppm以下であることが好適である。
以上述べたように、本実施形態に係る水晶振動子1000によれば、以下の効果を得ることができる。水晶振動子1000において、例えば、水晶振動子1000の周囲温度の変化にともなう振動片1100の伸びまたは縮み量と、底板1201の伸びまたは縮み量と、の差によって応力が発生した場合でも、L2/W2を0<L2/W2≦0.89の関係を満足することによって、振動片1100の振動領域1113に伝わる応力を低減させることができる。その結果、水晶振動子1000の特性変動、例えば、ヒステリシスの大きさを低減することができる。
また、水晶振動子1000において、例えば、水晶振動子1000の周囲温度の変化にともなう振動片1100の伸びまたは縮み量と、底板1201の伸びまたは縮み量と、の差によって応力が発生した場合でも、L2/W2を0<L2/W2≦0.77の関係を満足することによって、振動片1100の振動領域1113に伝わる応力をさらに低減させることができる。その結果、水晶振動子1000の特性変動、例えば、ヒステリシスの大きさを0<L2/W2≦0.89場合と比較して28%以上低減することができる。
なお、本実験では、L1=L2、W1=W2として、L2/W2について実験を行っているが、これに限らず、L1≠L2、W1≠W2でもよい。この場合は、L1/W2>L2/W2の場合は、0<L1/W1≦0.89または0<L1/W1≦0.77の関係を、L1/W2≦L2/W2の場合、0<L2/W2≦0.89または0<L2/W2≦0.77の関係を、満足すればよい。これは、L1/W1およびL2/W2のうち大きい方が、振動領域1113に対して応力を伝えやすい、すなわち、振動領域1113のより広い範囲に応力を伝えやすいためである。
また、本実験においては、水晶振動子1000の周囲温度を下降させたときの共振周波数の測定を先に行っているが、これに限らず、水晶振動子1000の周囲温度を上昇させたときの共振周波数の測定を先に行ってもよい。また、測定する温度間隔についても、上記実験で設定した5℃間隔に限らず、ヒステリシスが計算できる温度間隔であればよく、例えば、0.5℃以上10℃以下の範囲内の温度間隔でもよい。さらに、上記実験において、常温を+25℃としているが、これに限らず、例えば、常温は0℃以上40℃以下の範囲としてもよい。
また、本実施形態では、振動片1100に水晶基板1110を用いているが、振動片1100は、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウムなどの他の圧電単結晶で構成されていてもよい。振動片1100が水晶以外の圧電単結晶で構成される場合には、水晶で構成された場合と同様の特性が得られるように、結晶の方位(カット角)などが選択される。振動片1100は、圧電振動片以外にも、弾性表面波素子やMEMS振動片等を用いることができる。また、振動片1100は、圧電単結晶以外にも、ジルコン酸チタン酸鉛等の圧電セラミックス等の圧電材料、又はシリコン基板等で構成されていてもよい。さらに、振動片1100の形状は、特に限定されず、二脚音叉、H型音叉、三脚音叉、くし歯型、直交型、角柱型等の形状であってもよい。振動片1100の励振手段としては、圧電効果によるものを用いてもよいし、クーロン力による静電駆動を用いてもよい。加えて、振動片1100としては、物理量を検出する素子、例えば、慣性センサー(加速度センサー、ジャイロセンサー等)、力センサー(傾斜センサー等)用の素子であってもよい。
また、振動片1100、励振電極1121,1122については、本実験に用いた形状や大きさ以外にも、各種の形状や大きさとすることができる。さらに、第1接合部材1301の上面1303および第2接合部材1302の上面1304については、本実験に用いた形状や大きさ以外にも、各種の形状や大きさとすることができる。
また、本実施形態では、第1接合部材1301および第2接合部材1302は導電性を有する部材を用いているが、これに限らず、第1接合部材1301および第2接合部材1302の少なくとも一方が導電性を有さない部材、例えば、導電性の部材を含有しない樹脂やガラス等であってもよい。第1接合部材1301および第2接合部材1302が導電性を有さない部材の場合は、例えば、振動片1100は第1接合部材1301および第2接合部材1302を介して底板1201に機械的に支持され、励振電極1121と内部接続端子1206と、および励振電極1122と内部接続端子1207と、は、ボンディングワイヤー等の導電性部材を介して電気的に接続することができる。また、第1接合部材1301および第2接合部材1302のうち、一方が導電性を有し他方が導電性を有さない部材であっても、導電性を有さない方の接合部材側は上記と同様の方法を用いて機械的接続および電気的接続を行い、導電性を有する方の接合部材側は第1実施形態と同様の機械的接続および電気的接続を行うことができる。
このように、第1接合部材1301および第2接合部材1302の少なくとも一方に導電性を有さない部材を用いても、第1実施形態の少なくとも一部の効果を得ることができる。すなわち、第1接合部材1301および第2接合部材1302の少なくとも一方に導電性を有さない部材を用いても、振動片1100は第1接合部材1301および第2接合部材1302を介して底板1201に機械的に接続されている。従って、第1接合部材1301および第2接合部材1302が、
L1/W1>L2/W2の場合、0<L1/W1≦0.89
の関係、あるいは、
L1/W1<L2/W2の場合、0<L2/W2≦0.89
の関係を、満足すれば、水晶振動子1000の周囲温度の変化にともなう振動片1100の伸びまたは縮み量と、底板1201の伸びまたは縮み量と、の差によって発生した応力が振動片1100の振動領域1113に伝わることを低減できる。その結果として、水晶振動子1000の特性変動、例えば、ヒステリシスの大きさを低減することができるためである。
さらに、本実施形態において、振動デバイスの一例として振動片1100を有する水晶振動子1000を例示して説明したが、これに限らず、各種の振動デバイスに応用することができる。振動デバイスの例としては、物理量を検出するための素子と、素子からの信号を検出する検出回路または素子を発振させるための発振回路と、を有する、慣性センサー(加速度センサー、ジャイロセンサー等)、力センサー(傾斜センサー等)等のセンサーでもよい。上述の発振回路および検出回路は、例えば、底板1201の内部空間1209側に配置されていてもよいし、底板1201の複数の外部接続端子1208が形成されている側に配置されていてもよい。また、上述の発振回路および検出回路は、振動デバイスと離れて配置され、振動デバイスの複数の外部接続端子1208を介して振動片1100と電気的に接続されていてもよい。
<第2実施形態>
第2実施形態に係る振動デバイスの一例として、水晶振動子2000について説明する。なお、上記第1実施形態に係る水晶振動子1000と同じ構成要素については、同一符号を付して説明を省略し、上記第1実施形態に係る水晶振動子1000と異なる部分を中心に説明する。
図3は、第2実施形態に係る振動デバイスとしての水晶振動子2000の概略図であり、図3(a)は平面図、図3(b)は図3(a)中のB−B断面図である。
[振動片]
図3に示すように、水晶振動子2000は、振動片2100が第1実施形態とは異なり、上から見て、第1接合中心1305と第2接合中心1306とを結ぶ第3仮想直線1403と、下面2112の励振電極2122と、の間に、水晶基板2110の下面2112側に窪み2116が形成されている。また、窪み2116は、第1方向1405に沿った方向において、第1接合中心1305から第2接合中心1306まで延設されている。
窪み2116の部分の水晶基板2110の上面2111および下面2112と交差する方向の距離、すなわち窪み2116の厚さT1は、窪み2116が形成されていない水晶基板2110の厚さT2よりも薄くなっている。また、窪み2116は、上から見て、水晶基板2110の第1方向1405の端部よりも内側に形成されている。
本実施形態の水晶振動子2000は、周囲温度の変化にともなう水晶振動子2000の伸びまたは縮み量と、振動片2100と基板としての底板1201の伸びまたは縮み量と、の間の差によって発生する応力が、振動片2100の振動領域2113、すなわち図3(a)の水晶基板2110において励振電極2121,2122と重なっている領域、および図3(b)の水晶基板2110において網掛けハッチングされている領域へは、窪み2116のある領域を介して振動領域2113に伝わる。水晶基板2110の窪み2116の厚さT1は、水晶基板2110の厚さT2よりも薄い。厚さT1の領域を介して厚さT2の領域に応力が伝わる場合、厚さT1の領域は厚さT2の領域と比較して、より大きくひずむことで応力を吸収するため、厚さT2の領域に伝わる応力は低減する。従って、水晶振動子2000の周囲温度の変化にともなう振動片2100の伸びまたは縮み量と、底板1201の伸びまたは縮み量と、の間の差によって発生する応力は、窪み2116をひずませることで、振動領域2113に伝わりにくくなる。
以上述べたように、本実施形態に係る水晶振動子2000によれば、第1接合部材1301および第2接合部材1302が、
L1/W1>L2/W2の場合、0<L1/W1≦0.89
の関係、あるいは、
L1/W1<L2/W2の場合、0<L2/W2≦0.89
の関係を、満足させることにより、第1実施形態に係る水晶振動子1000における効果に加えて、以下の効果を得ることができる。本実施形態の水晶振動子2000では、第1実施形態と比較して、周囲温度の変化にともなう振動片2100の伸びまたは縮み量と、底板1201の伸びまたは縮み量と、の差によって発生して振動領域2113に伝わる応力がさらに低減する。従って、第1実施形態と比較して、水晶振動子2000の特性変動、例えば、ヒステリシスの大きさをさらに低減することができる。
なお、窪み2116が形成される位置は、本実施形態の位置以外でもよい。窪み2116は、例えば、上から見て、第1接合中心1305と励振電極2121,2122との間と、第2接合中心1306と励振電極2121,2122との間と、の2箇所以上に分離して形成されていてもよい。さらに、窪み2116は、第3仮想直線1403と、励振電極2121,2122と、の間であれば、第1方向1405と交差する方向において、2箇所以上に形成されていてもよい。
<第3実施形態>
第3実施形態に係る振動デバイスの一例として、水晶振動子3000について説明する。なお、上記第1実施形態に係る水晶振動子1000と同じ構成要素については、同一符号を付して説明を省略し、上記第1実施形態に係る水晶振動子1000と異なる部分を中心に説明する。
図4は、第2実施形態に係る振動デバイスとしての水晶振動子3000の概略図であり、図4(a)は平面図、図4(b)は図4(a)中のC−C断面図である。
[振動片]
図4に示すように、水晶振動子3000は、振動片3100が第1実施形態とは異なり、上から見て、第1接合中心1305と第2接合中心1306とを結ぶ第3仮想直線1403と、励振電極3121,3122と、の間に、水晶基板3110の上面3111から下面3112までを貫通する孔3117が形成されている。また、孔3117は、第1方向1405に沿った方向において、第1接合中心1305から第2接合中心1306まで延設されている。
本実施形態の水晶振動子3000は、周囲温度の変化にともなう振動片3100の伸びまたは縮み量と、基板としての底板1201の伸びまたは縮み量と、の間の差によって発生する応力が、振動片3100の振動領域3113、すなわち図4(a)の水晶基板3110において励振電極3121,3122と重なっている領域、および図4(b)の水晶基板3110において網掛けハッチングされている領域へは、水晶基板3110の孔3117に隣接していない領域および孔3117に隣接した領域の両方を介して振動領域3113に伝わる。水晶基板3110の孔3117に隣接した領域は、孔3117に隣接していない領域よりもひずみやすい。その結果、水晶振動子3000の周囲温度の変化にともなう振動片3100の伸びまたは縮み量と、底板1201の伸びまたは縮み量と、の間の差によって発生する応力は、孔3117に隣接した領域をひずませることで、振動領域3113に伝わりにくくなる。
以上述べたように、本実施形態の水晶振動子3000によれば、第1接合部材1301および第2接合部材1302が、
L1/W1>L2/W2の場合、0<L1/W1≦0.89
の関係、あるいは、
L1/W1<L2/W2の場合、0<L2/W2≦0.89
の関係を、満足させることにより、第1実施形態に係る水晶振動子1000における効果に加えて、以下の効果を得ることができる。本実施形態の水晶振動子3000では、第1実施形態と比較して、水晶振動子3000の周囲温度の変化にともなう振動片3100の伸びまたは縮み量と、底板1201の伸びまたは縮み量と、の間の差によって発生して振動領域3113に伝わる応力がさらに低減する。従って、第1実施形態と比較して、水晶振動子3000の特性変動、例えば、ヒステリシスの大きさをさらに低減することができる。
なお、孔3117の形成される位置は、本実施形態の位置以外でもよい。孔3117は、例えば、上から見て、第1接合中心1305と励振電極3121,3122との間と、第2接合中心1306と励振電極3121,3122との間と、の2箇所以上に形成されていてもよい。さらに、孔3117は、第3仮想直線1403と、励振電極3121,3122と、の間であれば、第1方向1405と交差する方向において、2箇所以上に形成されていてもよい。
<第4実施形態>
第4実施形態に係る振動デバイスの一例として、水晶振動子4000について説明する。なお、上記第1実施形態に係る水晶振動子1000と同じ構成要素については、同一符号を付して説明を省略し、上記第1実施形態に係る水晶振動子1000と異なる部分を中心に説明する。
図5は、第4実施形態に係る振動デバイスとしての水晶振動子4000の概略図であり、図5(a)は平面図、図5(b)は図5(a)中のD−D断面図、図5(c)は図5(b)の励振電極部の部分断面図である。
[振動片]
本実施形態の水晶振動子4000は、振動片4100において、水晶基板4110の上面および下面と交差する方向の距離、すなわち水晶基板4110の厚さが、第1の厚さT3を有する第1領域4118と、T3よりも薄い厚さT4を有する第2領域4119と、を有し、いわゆるメサ型の構造を持っている。水晶基板4110は、上から見て、第1領域4118が第2領域4119に囲まれた形状をしている。
図5(a)に示すように、励振電極4121,4122は、上から見て、矩形状をしており、略重なるように配置されている。すなわち、上から見て、励振電極4121の中心と、励振電極4122の中心とが、略重なるように配置されている。また、水晶基板4110には、励振電極4121,4122で挟まれた振動領域4113、すなわち図5(a)の水晶基板4110において励振電極4121,4122と重なっている領域、および図5(b)の水晶基板4110において網掛けハッチングされている領域を有している。さらに、励振電極4121,4122は、上から見て、第1方向1405においては第1領域4118と重なるように、第1方向1405と交差する方向においては第1領域4118および第2領域4119と重なるように配置されている。
振動領域4113は、振動領域中心4114を有する。振動領域4113は、励振電極4121,4122が上述の配置となっているため、上から見て、矩形状をしており、振動領域中心4114と励振電極4121,4122の中心とは、略重なっている。
振動領域中心4114と第1領域4118の中心とは、上から見て、略重なるように配置されている。また、本実施形態では、第1領域4118は、振動領域4113の大部分と重なっている。振動領域4113の大部分とは、例えば80%以上であることが好ましい。なお、上述した励振電極4121,4122の中心、振動領域中心4114、および第1領域4118の中心は、それぞれ、励振電極4121,4122を上から見た形状の重心(図心)、振動領域4113を上から見た形状の重心(図心)、および第1領域4118を上から見た形状の重心(図心)である。
また、図5(b),(c)に示すように、励振電極4121は、第1方向1405と交差する方向において、第1領域4118の上面と、第1領域4118の上面と第2領域4119の上面とをつなぐ側面4141と、第2領域4119の上面と、に連続して配置されている。励振電極4122は、第1方向1405と交差する方向において、第1領域4118の下面と、第1領域4118の下面と第2領域4119の下面とをつなぐ側面4142と、第2領域4119の下面と、に連続して配置されている。
本実施形態の水晶振動子4000は、上から見て、振動領域中心4114が、第1の厚さT3を持つ第1領域4118と重なっているとともに、第1接合中心1305および第2接合中心1306が、T3よりも薄い厚さT4を持つ第2領域4119と重なっている。すなわち、振動片4100は、振動片4100が振動している状態において振動エネルギーの多くが集まる第1領域4118の厚さT3よりも薄い厚さT4を持つ第2領域4119で、第1接合部材1301および第2接合部材1302を介して底板1201に支持されている。このため、水晶振動子4000の周囲温度の変化にともなう振動片4100の伸びまたは縮み量と、底板1201の伸びまたは縮み量と、の間の差によって発生する応力は、第2領域4119を介して振動領域4113に伝わる。厚さT4の領域を介して厚さT3の領域に応力が伝わる場合、厚さT4の領域は厚さT3の領域と比較してより大きくひずむことで応力を吸収するため、厚さT3の領域に伝わる応力は低減する。従って、水晶振動子4000の周囲温度の変化にともなう振動片4100の伸びまたは縮み量と、底板1201の伸びまたは縮み量と、の間の差によって発生する応力は、振動片4100の第2領域4119をひずませることで、振動領域4113に伝わりにくくなる。
以上述べたように、本実施形態に係る水晶振動子4000によれば、第1接合部材1301および第2接合部材1302が、
L1/W1>L2/W2の場合、0<L1/W1≦0.89
の関係、あるいは、
L1/W1<L2/W2の場合、0<L2/W2≦0.89
の関係を、満足させることにより、第1実施形態に係る水晶振動子1000における効果に加えて、以下の効果を得ることができる。本実施形態の水晶振動子4000では、第1実施形態と比較して、水晶振動子4000の周囲温度の変化にともなう振動片4100の伸びまたは縮み量と、基板としての底板1201の伸びまたは縮み量と、の間の差によって発生して振動領域4113に伝わる応力がさらに低減する。従って、第1実施形態と比較して、水晶振動子4000の特性変動、例えば、ヒステリシスの大きさをさらに低減することができる。
なお、本実施形態の振動片4100は、上から見て、励振電極4121,4122の中心、振動領域中心4114、および第1領域4118の中心が略重なるように配置されているが、これに限らず、上から見て、振動領域中心4114と第1領域4118とが重なるように励振電極4121,4122が配置されていればよい。また、励振電極4121,4122は、上から見て、一方の励振電極が他方の励振電極の内側に配置されていてもよいし、両方の励振電極が第1領域4118のみと重なるように配置されていてもよい。
<振動片の変形例>
本実施形態に係る振動デバイスにおいて、振動片は、図5に示した振動片4100の形状以外でもよい。振動片の変形例について、図6を用いて説明する。なお、第1実施形態に係る振動片1100または第5実施形態に係る振動片4100と同じ構成要素については、同一符号を付して説明を省略し、第1実施形態に係る振動片1100または第5実施形態に係る振動片4100と異なる部分を中心に説明する。
図6は、本実施形態に係る振動片の変形例を示す概略図であり、図6(a)は、変形例の一例である振動片4100aの平面図、図6(b)は、図6(a)中のE−E断面図、図6(c)は、変形例の他の例である振動片4100bの平面図、図6(d)は、図6(c)中のF−F断面図、図6(e)は図6(d)の励振電極部の部分拡大断面図である。なお、以下の説明では、図6(b)、(d)中の上側を「上」、下側を「下」として説明する。また、図6(b)、(d)中の各部材の上側にある面を上面、下側にある面を下面として説明する。
振動片4100aは、図6(a)、(b)に示すように、水晶基板4110aの厚さT3の第1領域4118aの上側の面が、厚さT4の第2領域4119aの上側の面よりも上側に突出しているとともに、第1領域4118aの下側の面と第2領域4119aの下側の面とが、平面状につながっている。励振電極4121a,4122aは、上から見て、略重なるように配置されている。また、水晶基板4110aには、励振電極4121a,4122aで挟まれた振動領域4113a、すなわち図6(a)の水晶基板4110aにおいて励振電極4121a,4122aと重なっている領域、および図6(b)の水晶基板4110aにおいて網掛けハッチングされている領域を有している。さらに、振動領域中心4114aは、第1領域4118aの中心と略重なるように配置されている。
また、励振電極4121aは、第1方向1405と交差する方向において、第1領域4118aの上面と、第1領域4118aの上面と第2領域4119aの上面とをつなぐ側面4143と、第2領域4119の上面と、に連続して配置されている。
振動片4100bは、図6(c)、(d)に示すように、水晶基板4110bの第1領域4118bの厚さが、第2領域4119bの厚さT4よりも厚いT5の領域と、T5よりも厚いT6の領域と、を有している。また、励振電極4121bおよび4122bは、上から見て、第1領域4118bの厚さT6の領域および厚さT5の領域と、第2領域4119bと、に重なるように配置されている。また、水晶基板4110bには、励振電極4121b,4122bで挟まれた振動領域4113b、すなわち図6(c)の水晶基板4110bにおいて励振電極4121b,4122bと重なっている領域、および図6(d)の水晶基板4110bにおいて網掛けハッチングされている領域を有している。さらに、振動領域中心4114bは、第1領域4118bの厚さT6の領域と重なるように配置されている。
また、図6(d)、(e)に示すように、励振電極4121bは、第1方向1405と交差する方向において、第1領域4118bの厚さT6の領域の上面と、第1領域4118bの厚さT6の領域の上面および厚さT5の領域の上面をつなぐ側面4144と、第1領域4118bの厚さT5の領域の上面と、第1領域4118bの厚さT4の領域の上面および第2領域4119bの上面をつなぐ側面4145と、第2領域4119bの上面と、に連続して配置されている。励振電極4122bは、第1方向1405と交差する方向において、第1領域4118bの厚さT6の領域の下面と、第1領域4118bの厚さT6の領域の下面および厚さT5の領域の下面をつなぐ側面4146と、第1領域4118bの厚さT5の領域の下面と、第1領域4118bの厚さT5の領域の下面および第2領域4119bの下面をつなぐ側面4147と、第2領域4119bの下面と、に連続して配置されている。
上述の振動片4100aまたは振動片4100bを用いた水晶振動子4000においても、振動片4100を用いた本実施形態の水晶振動子4000と同様の効果を奏することができる。
なお、上述の変形例の振動片4100aは、上から見て、励振電極4121a,4122aの中心、振動領域中心4114a、および第1領域4118aの中心が略重なるように配置されているが、これに限らず、上から見て、振動領域中心4114aと第1領域4118aとが重なるように励振電極4121a,4122aが配置されていればよい。また、励振電極4121a,4122aは、上から見て、一方の励振電極が他方の励振電極の内側に配置されていてもよいし、両方の励振電極が第1領域4118aのみと重なるように配置されていてもよい。
さらに、上述の変形例の振動片4100bは、上から見て、励振電極4121b,4122bの中心、振動領域中心4114b、および第1領域4118bの中心が略重なるように配置されているが、これに限らず、上から見て、振動領域中心4114bと第1領域4118bの厚さT6の領域とが重なるように励振電極4121b,4122bが配置されていればよい。また、励振電極4121b,4122bは、上から見て、一方の励振電極が他方の励振電極の内側に配置されていてもよいし、両方の励振電極が第1領域4118bのみと重なるように配置されていてもよい。
<第5実施形態>
第5実施形態に係る振動デバイスの一例として、水晶振動子5000について説明する。なお、上記第1実施形態に係る水晶振動子1000と同じ構成要素については、同一符号を付して説明を省略し、上記第1実施形態に係る水晶振動子1000と異なる部分を中心に説明する。
図7は、第5実施形態に係る振動デバイスとしての水晶振動子5000の概略図であり、図7(a)は平面図、図7(b)は図7(a)のG−G断面図である。
[接合部材]
本実施形態の水晶振動子5000は、図7に示すように、第1実施形態の水晶振動子1000と異なり、第1接合部材5301および第2接合部材5302が金属バンプで形成されている。第1接合部材5301の接続電極1125側、すなわち振動片1100側の上面5303は、第1接合中心5305を有する。第2接合部材5302の接続電極1126側、すなわち振動片1100側の上面5304は、第2接合中心5306を有する。
金属バンプは、めっき法やボンディング法等によって形成されている。めっき法では、振動片1100またはパッケージ1200の所定の位置に、第1接合部材5301および第2接合部材5302が形成されるように所定のパターンを形成した後に金属をめっきすることで、金属バンプの第1接合部材5301および第2接合部材5302を形成することができる。
また、ボンディング法では、金(Au)等金属製のワイヤー(細線)を振動片1100またはパッケージ1200の第1接合部材5301および第2接合部材5302のそれぞれが形成される位置に接続し、接続された部分以外のワイヤーを切断することで、金属バンプの第1接合部材5301および第2接合部材5302を形成することができる。
なお、上記のめっき法やボンディング法に代えて、振動片1100またはパッケージ1200の第1接合部材5301および第2接合部材5302が形成される位置に金属部材を含むペースト(溶剤)を印刷やディスペンス等で塗布した後に、ペーストが塗布された振動片1100またはパッケージ1200を加熱することで、金属以外の溶剤成分を揮発させて、金属バンプの第1接合部材5301および第2接合部材5302を形成することもできる。
金属バンプの形状としては、特に限定されず、柱状(円柱状)や多角柱や円錐台等であってもよい。また、金属製のワイヤーは、金(Au)以外にも、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)などを主成分とする金属で構成されていてもよい。また、金属部材の材質は、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)などを主成分とする金属や、無鉛はんだや有鉛半田などの合金でもよい。
金属バンプは、接着剤等の樹脂部材と比較して、加熱や時間経過による金属バンプ内部からの気体の放出が低減する。このため、水晶振動子5000が加熱されたり、水晶振動子5000の製造後に時間が経過したりしても、第1接合部材5301および第2接合部材5302が樹脂部材で形成されている場合と比較して、第1接合部材5301および第2接合部材5302からの気体の放出が低減する。
また、第1接合部材5301および第2接合部材5302から放出される気体は、気密状態とされた内部空間1209に放出されるので、放出された気体が励振電極1121,1122に付着して質量を増加させたり、放出された気体が励振電極1121,1122を変質させたりすることで、振動片1100の特性、例えば、共振周波数や周波数温度特性や等価直列抵抗を変動させる場合がある。
上述のことから、加熱や時間経過により、本実施形態に係る水晶振動子5000の第1接合部材5301および第2接合部材5302から放出される気体は、第1実施形態に係る水晶振動子1000の第1接合部材1301および第2接合部材1302から放出される気体より低減する。従って、第1実施形態の水晶振動子1000と比較して、水晶振動子5000の特性、例えば、共振周波数や周波数温度特性や等価直列抵抗等の変動を低減することができる。
以上述べたように、本実施形態に係る水晶振動子5000によれば、第1接合部材5301および第2接合部材5302が、
L1/W1>L2/W2の場合、0<L1/W1≦0.89
の関係、あるいは、
L1/W1<L2/W2の場合、0<L2/W2≦0.89
の関係を、満足させることにより、第1実施形態に係る水晶振動子1000における効果に加えて、以下の効果を得ることができる。水晶振動子5000は、第1実施形態の水晶振動子1000と比較して、第1接合部材5301および第2接合部材5302からの気体の放出を低減することができ、水晶振動子5000の特性変動、例えば、出力周波数や周波数温度特性や等価直列抵等の変動を低減することができる。
なお、本実施形態では、第1接合部材5301および第2接合部材5302を金属バンプで形成しているが、第1接合部材5301および第2接合部材5302の少なくとも一方の接合部材を金属バンプで形成し、他方の接合部材を導電性または非導電性の接着剤等で形成しても、上述の理由により、本実施形態と同様の効果を奏することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良などを加えたり、上述した実施形態を2つ以上組み合わせたりすることが可能である。
<第6実施形態>
次に、第1実施形態から第5実施形態に係る水晶振動子1000,2000,3000,4000,5000のいずれかを備えた第6実施形態に係る電子機器について、図8から図11を用いて説明する。なお、本実施形態の説明では、振動デバイスとして第1実施形態に係る水晶振動子1000を用いた例を示している。
図8は、本発明の一実施形態に係る水晶振動子1000を備える電子機器の一例としての発振器6000の構成の概略を示す概略構成図であり、図8(a)は平面図、図8(b)は図8(a)のH−H断面図を表わしている。なお、説明の便宜上、図8(a)ではリッド6020の図示を省略している。また、以下の説明では、図8(b)中の上側を「上」、下側を「下」として説明する。また、図8(b)中の各部材の上側にある面を上面、下側にある面を下面として説明する。
図8に示すように、発振器6000は、水晶振動子1000、容器6010、リッド6020、発振回路6030、およびボンディングワイヤー6040などから構成されている。
容器6010は、中央部が窪んだ形状の内部空間6018が形成されており、容器6010の上面に沿って枠状にシールリング6012が、内部空間6018側にある面に複数の内部接続端子6014が、下面に複数の外部接続端子6016が、それぞれ設けられている。内部接続端子6014と外部接続端子6016とは、図示しない内部配線を介して電気的に接続されている。
水晶振動子1000は、容器6010の内部空間6018側に搭載されており、図示しない内部配線を介して内部接続端子6014と電気的に接続されている。
発振回路6030は、水晶振動子1000を発振させるための回路であり、上面に複数のパッド6032を有し、水晶振動子1000の上面に図示しない接合部材、例えば、接着剤やはんだ等で接続されている。
ボンディングワイヤー6040は、金(Au)等の金属製のワイヤー(細線)であり、パッド6032と内部接続端子6014とを電気的に接続する。
リッド6020は、容器6010の開口を覆う平板形状を有しており、容器6010の内部空間6018が気密状態となるように、シールリング6012と接合されている。
上述の発振器6000は、複数の外部接続端子6016の少なくとも1つの端子に発振回路6030を動作させるための電圧が印加されて、複数の外部接続端子6016の他の端子の少なくとも1つの端子から、発振回路6030から出力される発振信号が出力される。
上述のように、電子機器の一例として発振器6000に、本発明の一実施形態に係る水晶振動子1000を備えることにより、発振器の基準周波数源として水晶振動子1000から安定した周波数信号が出力されるため、発振器6000の動作の信頼性を向上させることができる。
図9は、第1実施形態に係る水晶振動子1000を備える電子機器の一例としてのモバイル型(又はノート型)のパーソナルコンピューター6100の構成の概略を示す斜視図である。図9に示すように、パーソナルコンピューター6100は、キーボード6102を備えた本体部6104と、表示部6106を備えた表示ユニット6108とにより構成され、表示ユニット6108は、本体部6104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。このようなパーソナルコンピューター6100には、水晶振動子1000が内蔵されている。
上述のように、電子機器の一例としてのモバイル型(又はノート型)のパーソナルコンピューター6100に、本発明の一実施形態に係る水晶振動子1000を、例えば、クロック源として備えることにより、パーソナルコンピューター6100に供給されるクロック源として水晶振動子1000から安定した周波数信号が出力されるため、パーソナルコンピューター6100の動作の信頼性を向上させることができる。
図10は、第1実施形態に係る水晶振動子1000を備える電子機器の一例としての携帯電話機6200(PHSも含む)の構成の概略を示す斜視図である。図10に示すように、携帯電話機6200は、複数の操作ボタン6202、受話口6204および送話口6206を備え、操作ボタン6202と受話口6204との間には、表示部6208が配置されている。このような携帯電話機6200には、水晶振動子1000が内蔵されている。
上述のように、電子機器の一例としての携帯電話機6200(PHSを含む)に、本発明の一実施形態に係る水晶振動子1000を、例えば、クロック源として備えることにより、携帯電話機6200に供給されるクロック源として水晶振動子1000から安定した周波数信号が出力されるため、携帯電話機6200の動作の信頼性を向上させることができる。
図11は、第1実施形態に係る水晶振動子1000を備える電子機器の一例としてのデジタルカメラ6300の構成の概略を示す斜視図である。なお、図11には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。ここで、従来のフィルムカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、デジタルカメラ6300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
デジタルカメラ6300におけるケース6302(ボディー)の背面には、表示部6304が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、表示部6304は、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。また、ケース6302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット6306が設けられている。
撮影者が表示部6304に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン6308を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリー6310に転送・格納される。また、このデジタルカメラ6300においては、ケース6302の側面に、ビデオ信号の出力端子6312と、データ通信用の入出力端子6314とが設けられている。そして、図示されるように、ビデオ信号の出力端子6312にはテレビモニター6410が、データ通信用の入出力端子6314にはパーソナルコンピューター6420が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、メモリー6310に格納された撮像信号が、テレビモニター6410や、パーソナルコンピューター6420に出力される構成になっている。このようなデジタルカメラ6300には、水晶振動子1000が内蔵されている。
上述のように、電子機器の一例としてのデジタルカメラ6300に、本発明の一実施形態に係る水晶振動子1000を、例えば、クロック源として備えることにより、デジタルカメラ6300に供給されるクロック源として水晶振動子1000から安定した周波数信号が出力されるため、デジタルカメラ6300の動作の信頼性を向上させることができる。
なお、第1実施形態に係る水晶振動子1000は、図8の発振器6000、図9のパーソナルコンピューター6100(モバイル型パーソナルコンピューター)、図10の携帯電話機6200、図11のデジタルカメラ6300の他にも、他の電子機器に適用することができる。
他の電子機器の例としては、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、ラップトップ型パーソナルコンピューター、タブレット型パーソナルコンピューター、ルーターやスイッチなどのストレージエリアネットワーク機器、ローカルエリアネットワーク機器、移動体端末基地局用機器、テレビ、ビデオカメラ、ビデオレコーダー、カーナビゲーション装置、リアルタイムクロック装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシミュレーター、ヘッドマウントディスプレイ、モーショントレース、モーショントラッキング、モーションコントローラー、PDR(歩行者位置方位計測)などが挙げられる。
<第7実施形態>
次に、第1実施形態から第5実施形態に係る水晶振動子1000,2000,3000,4000,5000のいずれかを備えた第7実施形態に係る移動体について、図12を用いて説明する。なお、本実施形態の説明では、振動デバイスとして第1実施形態に係る水晶振動子1000を用いた例を示している。
図12は、第1実施形態に係る水晶振動子1000を備える移動体の一例としての自動車6500を概略的に示す斜視図である。
自動車6500には第1実施形態に係る水晶振動子1000が搭載されている。図12に示すように、移動体としての自動車6500には、水晶振動子1000を内蔵してタイヤ6504などを制御する電子制御ユニット6510が車体6502に搭載されている。また、本発明の一実施形態に係る水晶振動子1000は、他にもキーレスエントリー、イモビライザー、カーナビゲーションシステム、カーエアコン、アンチロックブレーキシステム(ABS)、エアバック、タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)、エンジンコントロール、ブレーキシステム、ハイブリッド自動車や電気自動車の電池モニター、車体姿勢制御システム、などの電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)に広く適用できる。
上記のように、移動体の一例としての自動車6500に、本発明の一実施形態に係る水晶振動子1000を、例えば、クロック源として備えることにより、自動車6500および電子制御ユニット6510のうち少なくとも一方に供給されるクロック源として水晶振動子1000から安定した周波数信号が出力されるため、自動車6500および電子制御ユニット6510のうち少なくとも一方の動作の信頼性を向上させることができる。