JP2006144183A - 複合撚糸 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 紡績糸と水溶性糸を撚り合わせた複合撚糸であって、複合撚糸の撚り方向が紡績糸の撚り方向と逆であり、紡績糸の撚数Aに対する複合撚糸の撚数Bの比(B/A)が1.3〜3であり、且つ複合撚糸の質量に基づいて紡績糸の割合が98〜20質量および水溶性糸の割合が2〜80質量%である複合撚糸、及び該複合撚糸を含む織編物から水溶性糸を水で溶解除去した織編物。
【選択図】 なし
Description
さらに、本発明の目的は、高速の織機や編機を使用した際にも糸切れなどのトラブルの発生がなくて製編織性に優れ、天然繊維製の紡績糸、合成繊維製の紡績糸、半合成繊維製の紡績糸などの種々の紡績糸を使用でき、小ロット多品種に高い生産性で対応でき、しかも細番手から太番手まで任意の太さの複合糸を得ることができる、伸縮性の織編物の製造に有用な、ポリウレタン弾性糸不使用の複合糸を提供することである。
そして、本発明の目的は、前記した複合糸から形成した、伸縮性に優れ、且つ軽量性、風合、柔軟性などの特性に優れる、ポリウレタン弾性糸不使用の織編物を提供することである。
さらに、本発明者らは、上記した複合撚糸では、紡績糸として、羊毛繊維よりなる紡績糸だけではなく、天然繊維製の紡績糸、合成繊維製の紡績糸、半合成繊維製の紡績糸などの種々の紡績糸を使用できること、また該複合撚糸は製編織性に優れていて、高速の織機や編機を使用して製編織した際にも糸切れなどのトラブルが発生しないこと、細番手から太番手まで任意の複合撚糸を製造できることを見出し、それらの種々の知見に基づいて本発明を完成した。
(1)(i) 紡績糸と水溶性糸を撚り合わせた複合撚糸であって;
(ii) 複合撚糸の撚り方向が紡績糸の撚り方向と逆であり;
(iii) 紡績糸の撚数Aに対する複合撚糸の撚数Bの比(B/A)が1.3〜3であり;且つ、
(iv) 複合撚糸の質量に基づいて、紡績糸の割合が98〜20質量および水溶性糸の割合が2〜80質量%である;
ことを特徴とする複合撚糸である。
そして、本発明は、
(2) 水溶性糸が、水溶性のフィラメント糸である前記(1)の複合撚糸である。
(3) 前記(1)または(2)の複合撚糸を含む織編物から、複合撚糸中の水溶性糸を水で溶解除去したことを特徴とする織編物;および、
(4) 前記(1)または(2)の複合撚糸を10質量%以上の割合で含む織編物から、複合撚糸中の水溶性糸を水で溶解除去してなる前記(3)の織編物;
である。
本発明の複合撚糸では、紡績糸として、羊毛繊維よりなる紡績糸だけではなく、天然繊維製の紡績糸、合成繊維製の紡績糸、半合成繊維製の紡績糸などの種々の紡績糸を使用できる。
本発明の複合撚糸は糸中に水溶性糸が存在するために、毛羽が少なく、さらに補強の役割を果たすことから、高速の織機や編機を使用して、糸切れなどのトラブルを発生することなく、更には整経の際に糊付け処理を行わなくても、織編物を高い生産性で円滑に製造することができる。
本発明の複合撚糸は、細番手から太番手まで任意の紡績糸を使用して製造できる。
本発明の複合撚糸および伸縮性の織編物は、ポリウレタン弾性糸を含まないため、ポリウレタン弾性糸の使用に起因する熱や光などによる経時劣化がない。
本発明の複合撚糸を含む織編物を水で処理して複合撚糸中の水溶性糸を水で溶解除去して得られる本発明の織編物は、紡績糸の糸長が水溶性糸に比べて長いため、水溶解処理後の布帛では、その長い分、伸縮性が得られ、さらに水溶性糸が溶け出たところに隙間が生じ、その隙間を埋めようとして糸に縮む力が生ずることにより、高い伸縮性を有し、しかも外観、感触、通気性、軽量性に優れる。そのため、本発明の織編物は、前記した特性を活かして、衣類用途、医療用途、工業資材などの広範な分野に有効に使用することができる。
本発明の複合撚糸は、紡績糸および水溶性糸の2種類の糸から構成されている。
複合撚糸を構成する紡績糸は、水(熱水、温水、冷水)に溶解しない繊維から形成された紡績糸であればいずれでもよく、例えば、木綿、麻、絹、ウールなどの天然繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維、水(熱水)不溶性のポリビニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維などの合成繊維、アセテートなどの半合成繊維、レーヨン、キュプラなどの再生繊維などから選ばれる1種の繊維からなる単独紡績糸、前記した繊維の2種以上からなる混紡紡績糸のいずれであってもよい。複合撚糸およびそれを用いて製造する織編物の用途などに応じて、適当な紡績糸を選択して使用すればよい。
ここで、本発明でいう「紡績糸の撚数」とは、紡績糸を製造するに当たって最後にかけられた撚りの撚数をいう。例えば、紡績糸が単糸である場合は単糸を製造するために紡績時にかけられた撚数をいい、双糸の場合は双糸を製造するために2本の糸を撚り合わせたときの撚数をいい、3本以上の合撚糸の場合は合撚糸を製造するために3本以上の糸を撚り合わせたときの撚数をいう。
紡績糸の撚数は特に制限されないが、撚数をT(単位:回/2.54cm)、綿番手をS(単位:番手)とすると、K=T/√Sで表される撚係数Kが2〜4の紡績糸が、紡績糸の品質安定性、複合撚糸製造時の生産性、紡績糸の入手容易性などの点から好ましく用いられる。
また、紡績糸の番手としては、綿番手5番〜200番のものが、複合撚糸を製造する際の工程性、紡績糸の入手の容易性、市場の要求などの点から好ましく用いられる。
紡績糸および水溶性糸の割合を前記範囲にすることによって、製編織性、糸強力、撚の安定性などに優れる複合撚糸が得られる。しかも、複合撚糸から作製した織編物から複合撚糸中の水溶性糸を水で溶解除去する際に、水溶性糸の除去が良好に行われ、しかも水溶性糸の除去された隙間を埋めようとする収縮力が織編物に働いて、伸縮性を向上させることができ、併せて織編物の風合、感触、軽量性、通気性なども向上する。
複合撚糸における水溶性糸の割合が上記範囲よりも少ないと(紡績糸の割合が上記範囲よりも多いと)、複合撚糸から製造した織編物から水溶性糸を除去した後の織編物の伸縮性、軽量性、通気性などが低下し、しかも硬くて劣った風合になり易い。一方、複合撚糸における水溶性糸の割合が上記範囲よりも多いと(紡績糸の割合が上記範囲よりも少ないと)、複合撚糸から製造した織編物から水溶性糸を除去した後の織編物は、形態安定性に劣るようになって、目寄れなどが生じ易くなる。
撚糸のトルクの低減、風合の向上などの点から、上撚の撚り方向と下撚の撚り方向とを逆にすることは従来からも行われているが、従来は、その際の上撚の撚数は下撚の撚数の0.3〜0.9倍程度であって、上撚の撚数の方が下撚の撚数よりも少ないのが一般的である。
それに対して、本発明の複合撚糸では、上撚の撚数(複合撚糸の撚数A)の方を、下撚の撚数(紡績糸の撚数B)よりも多くし、しかも両撚数の比(B/A)を前記した1.3〜3という特定の範囲にしている点で、上撚の撚数の方が下撚の撚数よりも少ない前記した従来技術と大きく相違する。
一方、上撚の撚数が下撚の撚数の3倍を超えると、上撚をかける際の撚糸工程(複合撚糸を製造するための合撚工程)で糸切れなどのトラブルを生じて、複合撚糸の生産性の低下、得られた複合撚糸の強度低下、複合撚糸を用いての織編時の工程不良などを招き、更には複合撚糸のトルクが強くなり過ぎて、紡績糸と水溶性糸との合撚工程や製編織工程での工程不良、生産性の低下などが生ずる。
本発明の複合撚糸では、上撚の撚数が下撚の撚数の1.4〜3倍(B/A=1.4〜3)であることが好ましく、1.5〜2倍(B/A=1.5〜2)であることがより好ましい。
なお、本明細書でいう「複合撚糸の撚数」(上撚の撚数)とは、紡績糸と水溶性糸を撚り合わせたときの撚数のことであり、実際には撚糸工程時の設定撚数に準じた値となる。
織編物の製造に当っては、織編物の種類、用途、織編物に要求される伸縮の程度などに応じて、本発明の複合撚糸の使用割合を調節することができる。高い伸縮性を有する織編物を得るためには、織編物を形成している複合撚糸中の水溶性糸を水に溶解して除去する処理を行う前の織編物において、本発明の複合撚糸の使用割合を該織編物の質量に対して10質量%以上にすることが好ましく、20質量%以上にすることがより好ましい。それによって、該織編物を水(熱水)で処理して織編物を形成している複合撚糸中の水溶性糸を溶解除去したときに、高い伸縮性を有する織編物を得ることができる。織編物における複合撚糸の使用割合が低すぎると、織編物を水(熱水)で処理して織編物を形成している複合撚糸中の水溶性糸を溶解除去しても、伸縮性のある布帛が得られにくくなる。
織編物を形成している複合撚糸中の水溶性糸を水で溶解除去する際の水の温度は、水溶性糸を構成する水溶性繊維の種類や水に対する溶解度、糸の形態や太さなどに応じて調節できる。水溶性糸が水溶性ポリビニルアルコール系繊維から形成されている場合は、通常、温度70〜100℃の水を用いて処理を行うと、水溶性糸を短い時間で速やかに織編物から溶解除去することができる。
以下の実施例および比較例において、織物(平織生地)の伸長率は次のようにして測定した。
(1) 以下の例で製造した平織生地から、生地の経方向の寸法が15cm(長さ)で緯方向の寸法が2.5cm(幅)である試験片(a)と、生地の経方向の寸法が2.5cm(幅)で緯方向の寸法が15cm(長さ)である試験片(b)をそれぞれ切り取った。
(2) 上記(1)で切り取った試験片(a)の長さ方向の一方の端部の中央(幅方向の中央)に1gの重りを取り付けて、重りを付けた端部を下にして試験片を垂直に吊してその状態で1分間放置し、その時の試験片(a)の長さ(La1)を測定した。
次いで、前記1gの重りを試験片(a)の端部から取り去り、代わりに300gの重りを同じ箇所に取り付けて垂直に吊してその状態で3分間放置し、その時の試験片(a)の長さ(La2)(cm)を測定して、下記の数式(i)から平織生地の経方向の伸長率(%)を求めた。
経方向の伸長率(%)={(La2−La1)/La1}×100 (i)
(3) 上記(1)で切り取った試験片(b)の長さ方向の一方の端部の中央(幅方向の中央)に1gの重りを取り付けて、重りを付けた端部を下にして試験片を垂直に吊してその状態で1分間放置し、その時の試験片(b)の長さ(Lb1)を測定した。
次いで、前記1gの重りを試験片(b)の端部から取り去り、代わりに300gの重り取りを同じ箇所に取り付けて垂直に吊してその状態で3分間放置し、その時の試験片(b)の長さ(Lb2)(cm)を測定して、下記の数式(ii)から平織生地の緯方向の伸長率(%)を求めた。
緯方向の伸長率(%)={(Lb2−Lb1)/Lb1}×100 (ii)
(1)(i) 紡績糸として、撚数が600回/m(Z撚)の木綿100%の20番手紡績糸(都築紡績社製「TS20単糸」)を準備した。なお、この紡績糸は、2.54cm当りの撚数T=15.24回であり、番手S=20であることにより、式:K=(T/√S)から求められる撚り係数Kは、15.24/√20=15.24/4.47=3.24である。
(ii) 水溶性糸として、ポリビニルアルコールマルチフィラメント糸(56dtex)(80℃の水に溶解)(株式会社クラレ製「水溶性ビニロン」)を準備した。
(3) 上記(2)で得られた複合撚糸から所定長(1m)の糸を切り取って、試料糸とし、その試料糸の上撚を解除して、紡績糸と水溶性糸の2種類の糸に分離し、分離したそれぞれの糸の質量を測定し、その測定結果から複合撚糸におけるそれぞれの糸の割合を求めたところ、該複合撚糸は紡績糸84質量%および水溶性糸16質量%からなっていた。
(5) 上記(4)で得られた平織生地を、80℃の熱水中に30分間浸漬して(浴比=1:10)、生地を形成している複合撚糸中の水溶性糸を溶解除去し、次いで生地を水から取り出して150℃で乾燥した。これにより得られた生地の経方向および緯方向の伸長率を上記した方法で測定したところ、経方向の伸長率が20%および緯方向の伸長率が22%であり、高い伸縮性を有していた。しかも、この生地は、ふっくらとしていて風合に優れ、軽量性よび通気性にも優れていた。
(1) 木綿40番双糸を経糸として使用し、実施例1の(2)で得られた複合撚糸を緯糸として使用し、経25本/cm、緯20本/cmの平織生地を製織した(平織生地における複合撚糸の混率40%)。その際に、経糸にサイジング処理を施すことなく前記製織工程を実施したが、糸切れなどのトラブルを全く生ずることなく、平織生地を高速で織ることができ、製織量産性において何ら問題がなかった(織速度0.1m/分)。
(2) 上記(1)で得られた平織生地を、80℃の熱水中に30分間浸漬して(浴比=1:10)、生地の緯糸をなす複合撚糸中の水溶性糸を溶解除去し、次いで生地を水から取り出して150℃で乾燥した。これにより得られた生地の経方向および緯方向の伸長率を上記した方法で測定したところ、経方向の伸長率が11%および緯方向の伸長率が23%であり、緯方向に高い伸縮性を有していた。その上、この生地は、ふっくらとしていて風合に優れ、しかも軽量性および通気性にも優れていた。
(1)(i) 撚数が800回/m(Z撚)の木綿100%の40番手紡績糸(都築紡績社製「TS40単糸」)を準備し、この紡績糸2本をダブルツイスター(村田機械社製「36M」)に供給して撚数600回/m(S撚)で撚糸して双糸を製造した。
(ii) 水溶性糸として、ポリビニルアルコールマルチフィラメント糸(56dtex)(80℃の水に溶解)(株式会社クラレ製「水溶性ビニロン」)を準備した。
(3) 上記(2)で得られた複合撚糸から所定長(1m)の糸を切り取って、試料糸とし、その試料糸の上撚を解除して、紡績糸(双糸)と水溶性糸の2種類の糸に分離し、分離したそれぞれの糸の質量を測定し、その測定結果から複合撚糸におけるそれぞれの糸の割合を求めたところ、該複合撚糸は紡績糸(双糸)85質量%および水溶性糸15質量%からなっていた。
(5) 上記(4)で得られた平織生地を、80℃の熱水中に30分間浸漬して(浴比=1:10)、生地を形成している複合撚糸中の水溶性糸を溶解除去し、次いで生地を水から取り出して150℃で乾燥した。これにより得られた生地の経方向および緯方向の伸長率を上記した方法で測定したところ、経方向の伸長率が10%および緯方向の伸長率が21%であり、緯方向に高い伸縮性を有していた。また、この生地は、ふっくらとしていて風合に優れ、軽量性および通気性にも優れていた。
(1) 撚数が600回/m(Z撚)の木綿100%の20番手紡績糸(都築紡績社製「TS20単糸」)と、実施例1で使用したのと同じポリビニルアルコールマルチフィラメント糸(56dtex)よりなる水溶性糸を、ダブルツイスター(村田機械社製「36M」)に供給して、撚数(上撚)が400回/m(S撚)となるようにして撚り合わせて複合撚糸を製造した[複合撚糸の撚数Bと紡績糸の撚数Aの比(B/A)=約0.67]。
(2) 上記(1)で得られた複合撚糸から所定長(1m)の糸を切り取って、試料糸とし、その試料糸の上撚を解除して、紡績糸と水溶性糸の2種類の糸に分離し、分離したそれぞれの糸の質量を測定し、その測定結果から複合撚糸におけるそれぞれの糸の割合を求めたところ、該複合撚糸は紡績糸84質量%および水溶性糸16質量%からなっていた。
(4) 上記(3)で得られた平織生地を、80℃の熱水中に30分間浸漬して(浴比=1:10)、生地を形成している複合撚糸中の水溶性糸を溶解除去し、次いで生地を水から取り出して150℃で乾燥した。これにより得られた生地の経方向および緯方向の伸長率を上記した方法で測定したところ、経方向の伸長率が11%および緯方向の伸長率が12%であって伸縮性が低いものであった。
(1) 撚数が600回/m(Z撚)の木綿100%の20番手紡績糸(都築紡績社製「TS20単糸」)と、実施例1で使用したのと同じポリビニルアルコールマルチフィラメント糸(56dtex)よりなる水溶性糸を、ダブルツイスター(村田機械社製「36M」)に供給して、撚数(上撚)が700回/m(S撚)となるようにして撚り合わせて複合撚糸を製造した[複合撚糸の撚数Bと紡績糸の撚数Aの比(B/A)=約1.17]。
(2) 上記(1)で得られた複合撚糸から所定長(1m)の糸を切り取って、試料糸とし、その試料糸の上撚を解除して、紡績糸と水溶性糸の2種類の糸に分離し、分離したそれぞれの糸の質量を測定し、その測定結果から複合撚糸におけるそれぞれの糸の割合を求めたところ、該複合撚糸は紡績糸84質量%および水溶性糸16質量%からなっていた。
(4) 上記(3)で得られた平織生地を、80℃の熱水中に30分間浸漬して(浴比=1:10)、生地を形成している複合撚糸中の水溶性糸を溶解除去し、次いで生地を水から取り出して150℃で乾燥した。これにより得られた生地を緯方向に引っ張ったところ、糸が抵抗感なく素抜けしてしまい、実用価値のないものであった。
撚数が600回/m(Z撚)の木綿100%の20番手紡績糸(都築紡績社製「TS20単糸」)と、実施例1で使用したのと同じポリビニルアルコールマルチフィラメント糸(56dtex)よりなる水溶性糸を、ダブルツイスター(村田機械社製「36M」)に供給して、撚数(上撚)が3500回/m(S撚)となるようにして撚り合わせて複合撚糸を製造しようとしたところ[上撚の撚数Bと紡績糸の撚数Aの比(B/A)=約5.93]、糸切れが多くて撚糸が困難で、複合撚糸を製造することができなかった。
(1)(i) 撚数が350回/m(Z撚)の木綿100%の10番手紡績糸(都築紡績社製「TS10単糸」)を準備し、この紡績糸2本をダブルツイスター(村田機械社製「36M」)に供給して撚数300回/m(S撚)で撚糸して双糸を製造した。
(ii) 水溶性糸として、ポリビニルアルコールマルチフィラメント糸(56dtex)(80℃の熱水に溶解)(株式会社クラレ製「水溶性ビニロン」)を準備した。
(3) 上記(2)で得られた複合撚糸から所定長(1m)の糸を切り取って、試料糸とし、その試料糸の上撚を解除して、紡績糸(双糸)と水溶性糸の2種類の糸に分離し、分離したそれぞれの糸の質量を測定し、その測定結果から複合撚糸におけるそれぞれの糸の割合を求めたところ、該複合撚糸は紡績糸(双糸)98.2質量%および水溶性糸1.8質量%からなっていた。
(5) 上記(4)で得られた平織生地を、80℃の熱水中に30分間浸漬して(浴比=1:10)、生地を形成している複合撚糸中の水溶性糸を溶解除去し、次いで生地を水から取り出して150℃で乾燥した。これにより得られた生地の経方向および緯方向の伸長率を上記した方法で測定したところ、経方向の伸長率が10%および緯方向の伸長率が13%であって伸縮性が低いものであった。
(1)(i) 紡績糸として、撚数が1500回/m(Z撚)の木綿100%の120番手紡績糸[Royal Textile Mills Ltd.(インド)製「Royal 120」]を準備した。
(ii) 水溶性糸として、ポリビニルアルコールマルチフィラメント糸(330dtex)(80℃の水に溶解)(株式会社クラレ製「水溶性ビニロン」)を準備した。
(2) 上記(1)で準備した紡績糸1本と水溶性糸1本を、ダブルツイスター(村田機械社製「36M」)に供給して、撚数(上撚)が2500回/m(S撚)となるようにして撚り合わせて複合撚糸を製造した[複合撚糸の撚数Bと紡績糸の撚数の撚数Aの比(B/A)=約1.67]。
(3) 上記(2)で得られた複合撚糸から所定長(1m)の糸を切り取って、試料糸とし、その試料糸の上撚を解除して、紡績糸と水溶性糸の2種類の糸に分離し、分離したそれぞれの糸の質量を測定し、その測定結果から複合撚糸におけるそれぞれの糸の割合を求めたところ、該複合撚糸は紡績糸17質量%および水溶性糸87質量%からなっていた。
(5) 上記(4)で得られた平織生地を、80℃の熱水中に30分間浸漬して(浴比=1:10)、生地を形成している複合撚糸中の水溶性糸を溶解除去し、次いで生地を水から取り出して150℃で乾燥した。これにより得られた生地は、形態安定性に劣っていて目寄れが生じ易く、実用価値の低いものであった。
(1) 経糸として木綿40番双糸の1本を使用し、緯糸として実施例1の(2)で得られた複合撚糸と木綿30番双糸を1本:4本の割合で使用して、経25本/cm、緯13本/cmの平織生地を製織した(平織生地における複合撚糸の混率8%)。
(2) 上記(1)で得られた平織生地を、80℃の熱水中に30分間浸漬して(浴比=1:10)、生地を形成している複合撚糸中の水溶性糸を溶解除去し、次いで生地を水から取り出して150℃で乾燥した。これにより得られた生地の経方向および緯方向の伸長率を上記した方法で測定したところ、経方向の伸長率が11%および緯方向の伸長率が10%であり、伸縮性の低いものであった。
本発明の複合撚糸を含む織編物を水で処理して複合撚糸中の水溶性糸を水で溶解除去して得られる本発明の織編物は、その高い伸縮性、優れた風合、感触、軽量性、通気性などの特性を活かして、スポーツ衣料、肌着、ファンデーション、その他の衣料用、弾性包帯などの医療用途、車輛内装材、ベルトコンベア用生地、その他の工業資材などの広範な分野に有効に使用することができる。
Claims (4)
- (i) 紡績糸と水溶性糸を撚り合わせた複合撚糸であって;
(ii) 複合撚糸の撚り方向が紡績糸の撚り方向と逆であり;
(iii) 紡績糸の撚数Aに対する複合撚糸の撚数Bの比(B/A)が1.3〜3であり;且つ、
(iv) 複合撚糸の質量に基づいて、紡績糸の割合が98〜20質量および水溶性糸の割合が2〜80質量%である;
ことを特徴とする複合撚糸。 - 水溶性糸が、水溶性のフィラメント糸である請求項1に記載の複合撚糸。
- 請求項1または2に記載の複合撚糸を含む織編物から、複合撚糸中の水溶性糸を水で溶解除去したことを特徴とする織編物。
- 請求項1または2に記載の複合撚糸を10質量%以上の割合で含む織編物から、複合撚糸中の水溶性糸を水で溶解除去してなる請求項3に記載の織編物。
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