JP2006143765A - ジフェニルメタン重合体およびその製造方法、有機エレクトロルミネッセンス素子用重合体組成物並びに有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

ジフェニルメタン重合体およびその製造方法、有機エレクトロルミネッセンス素子用重合体組成物並びに有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

Info

Publication number
JP2006143765A
JP2006143765A JP2004331691A JP2004331691A JP2006143765A JP 2006143765 A JP2006143765 A JP 2006143765A JP 2004331691 A JP2004331691 A JP 2004331691A JP 2004331691 A JP2004331691 A JP 2004331691A JP 2006143765 A JP2006143765 A JP 2006143765A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
diphenylmethane
polymer
organic
organic electroluminescent
electroluminescent element
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004331691A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4462016B2 (ja
Inventor
Toshiyuki Akiike
利之 秋池
Kenichi Sumiya
憲一 角谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JSR Corp
Original Assignee
JSR Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JSR Corp filed Critical JSR Corp
Priority to JP2004331691A priority Critical patent/JP4462016B2/ja
Publication of JP2006143765A publication Critical patent/JP2006143765A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4462016B2 publication Critical patent/JP4462016B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Electroluminescent Light Sources (AREA)
  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)

Abstract

【課題】 溶剤に対する溶解性に優れていて容易に薄膜を形成することができ、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料として有用な新規なジフェニルメタン重合体およびその製造方法を提供すること、また、発光特性および耐久性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子が得られる有機エレクトロルミネッセンス素子用重合体組成物および有機エレクトロルミネッセンス素子を提供すること。
【解決手段】 ジフェニルメタン重合体は、特定の繰り返し単位よりなることを特徴とし、また、有機エレクトロルミネッセンス素子用重合体組成物は、上記ジフェニルメタン重合体よりなる重合体成分と三重項発光性金属錯体化合物よりなる錯体成分とを含有してなることを特徴とし、更に、有機エレクトロルミネッセンス素子は、上記の有機エレクトロルミネッセンス素子用重合体組成物により形成された発光層を有することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料として有用な新規なジフェニルメタン重合体およびその製造方法に関する。また、本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子用重合体組成物および有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」ともいう。)は、直流電圧によって駆動することが可能であること、自己発光素子であるために視野角が広くて視認性が高いこと、応答速度が速いことなどの優れた特性を有することから、次世代の表示素子として期待されており、その研究が活発に行われている。
このような有機EL素子としては、陽極と陰極との間に有機材料よりなる発光層が形成された単層構造のもの、陽極と発光層との間に正孔輸送層を有する構造のもの、陰極と発光層との間に電子輸送層を有するものなどの多層構造のものが知られている。これらの有機EL素子は、いずれも、陰極から注入された電子と陽極から注入された正孔とが、発光層において再結合することによって発光するものである。
かかる有機EL素子において、発光層、電子もしくは正孔などの電荷を輸送する電荷輸送層などの機能性有機材料層を形成する方法としては、有機材料を真空蒸着によって形成する乾式法、並びに、有機材料が溶解されてなる溶液を塗布して乾燥することによって形成する湿式法が知られている。これらのうち、乾式法は、工程が煩雑で大量生産に適用することが困難であり、また、面積の大きい層を形成するには限界がある。これに対して、湿式法においては、工程が比較的に簡単で大量生産に対応することが可能であり、例えばインクジェット法により面積の大きい機能性有機材料層を容易に形成することができる。従って、湿式法は、以上の利点を有するため、乾式法に比較して有利である。
一方、有機EL素子の発光層は、高い発光効率を有するものであることが要求されている。そして最近においては、高い発光効率を実現するために、有機EL素子の発光に、励起状態である三重項状態の分子などのエネルギーを利用することが試みられている。
具体的に、このような構成を有する有機EL素子によれば、従来から有機EL素子の外部量子効率の限界値と考えられていた5%を超え、8%の外部量子効率が得られることが報告されている(例えば、非特許文献1参照。)。
しかしながら、この有機EL素子は低分子量の材料で構成されており、また、例えば蒸着法などの乾式法によって形成されるものであることから、物理的耐久性および熱的耐久性が小さい、という問題がある。
また、三重項状態の分子などのエネルギーを利用した有機EL素子として、例えばイリジウム錯体化合物とポリビニルカルバゾールとからなる組成物を用い、湿式法によって発光層が形成されてなるものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、この有機EL素子は、ポリビニルカルバゾールの構造中にビニル基が存在することにより、電気化学的安定性に劣るものであり、長い使用寿命を得ることができない、という問題がある。
「アプライドフィジックスレターズ(Applied Physics Letters)」,1999年,第75巻,p.4 特開2001−257076号公報
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、溶剤に対する溶解性に優れていて容易に薄膜を形成することができ、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料として有用な新規なジフェニルメタン重合体を提供することにある。
本発明の他の目的は、溶剤に対する溶解性に優れ、容易に薄膜を形成することができ、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料として有用な新規なジフェニルメタン重合体を製造する方法を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、発光特性および耐久性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子が得られる有機エレクトロルミネッセンス素子用重合体組成物および、有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することにある。
本発明のジフェニルメタン重合体は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位よりなることを特徴とする。
Figure 2006143765
〔式中、R1 およびR2 は、それぞれ独立に1価の芳香族基を示す。〕
本発明のジフェニルメタン重合体においては、一般式(1)におけるR1 およびR2 がカルバゾール構造を有する基であることが好ましい。
また、本発明のジフェニルメタン重合体においては、一般式(1)におけるR1 およびR2 が下記一般式(2)で表される構造を有する基であることが好ましい。
Figure 2006143765
〔式中、R3 は、水素原子または1価の有機基を示し、R4 は、1価の芳香族基を示す。〕
本発明のジフェニルメタン重合体の製造方法は、下記一般式(3)で表される単量体を過酸化物の存在下において重合させることにより、上記ジフェニルメタン重合体を得ることを特徴とする。
Figure 2006143765
〔式中、R1 およびR2 は、それぞれ独立に1価の芳香族基を示す。〕
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子用重合体組成物は、上記ジフェニルメタン重合体よりなる重合体成分と、三重項発光性金属錯体化合物よりなる錯体成分とを含有してなることを特徴とする。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、上記有機エレクトロルミネッセンス素子用重合体組成物により形成された発光層を有することを特徴とする。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、ホールブロック層を備えてなることが好ましい。
本発明のジフェニルメタン重合体は、溶剤に対する溶解性に優れていて容易に薄膜を形成することができると共に、良好なキャリア輸送性を有するため、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料として有用なものである。
本発明のジフェニルメタン重合体の製造方法によれば、上記のジフェニルメタン重合体を製造することができる。この製造方法においては、遷移金属触媒を用いることなく、原料物質である単量体を重合反応させることができるため、反応生成物の精製処理が容易となることから、目的生成物であるジフェニルメタン重合体を容易に得ることができる。
また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子用重合体組成物によれば、錯体成分として三重項発光性金属錯体化合物を含有すると共に、重合体成分として、上記のジフェニルメタン重合体を含有してなるものであるため、優れた発光特性および耐久性を有する有機エレクトロルミネッセンス素子が得られる。
更に、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子によれば、上記の有機エレクトロルミネッセンス素子用重合体組成物を発光層の材料として用いることにより、三重項発光による優れた発光特性および耐久性を達成することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<ジフェニルメタン重合体>
本発明のジフェニルメタン重合体は、上記一般式(1)で表される繰り返し単位(以下、「特定繰り返し単位」ともいう。)よりなるものであって、上記一般式(3)で表される単量体(以下、「特定のジフェニルメタン単量体」ともいう。)を重合することによって得られるものである。
本発明のジフェニルメタン重合体は、同一の構成を有する繰り返し単位よりなるものに限られず、各繰り返し単位におけるR1 およびR2 がその一部または全部が異なったものであってもよいが、その構造の異なる2種以上の特定繰り返し単位よりなる共重合体であることが好ましい。
一般式(1)において、R1 およびR2 は、それぞれ独立に、1価の芳香族基を示し、このR1 およびR2 は、互いに同一のものであっても異なるものであってもよいが、互いに同一のものであることが好ましい。
基R1 および基R2 を示す1価の芳香族基としては、具体的に、カルバゾール構造を有する基(以下、「カルバゾール構造含有基」ともいう。)、上記一般式(2)で表される構造を有する基(以下、「トリアゾール構造含有基」ともいう。)が好ましい。
ここに、一般式(2)において、R3 は、水素原子または1価の有機基を示し、このR3 を示す1価の有機基としては、例えばメチル基、t−ブチル基、フェニル基などが挙げられる。基R3 は、水素原子であることが好ましい。
また、一般式(2)において、R4 は、1価の芳香族基を示し、このR4 を示す1価の芳香族基としては、例えばフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
本発明のジフェニルメタン重合体を構成する特定繰り返し単位の好ましい具体例としては、下記式(1−1)〜式(1−4)で表される繰り返し単位が挙げられる。
ここに、下記式(1−1)で表される繰り返し単位および下記式(1−2)で表される繰り返し単位は、一般式(1)におけるR1 およびR2 がカルバゾール構造含有基であるものであり、また、下記式(1−3)で表される繰り返し単位および式(1−4)で表される繰り返し単位は、一般式(1)におけるR1 およびR2 がトリアゾール構造含有基であるものである。
Figure 2006143765
Figure 2006143765
Figure 2006143765
Figure 2006143765
また、本発明のジフェニルメタン重合体を構成する共重合体の好ましい具体例としては、下記式(1−1)で表される繰り返し単位と、下記式(1−2)で表される繰り返し単位とがモル比1:1の割合で含有されてなるもの、下記式(1−1)で表される繰り返し単位と、下記式(1−4)で表される繰り返し単位とがモル比1:1の割合で含有されてなるものが挙げられる。
本発明のジフェニルメタン重合体の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法によるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が500〜500000であることが好ましい。
また、本発明のジフェニルメタン重合体は、LUMO(lowest unoccupide moleular orbital)のエネルギーレベルが−3.0〜−2.0eVであり、HOMO(highest occupied molecular orbital)のエネルギーレベルが−7.0〜−5.0eVであることが好ましい。
これらのエネルギーレベルが上記の範囲以外である場合には、有機EL素子用材料として用いた際に、有機EL素子に良好な輝度、発光効率を得ることができない。
本発明のジフェニルメタン重合体は、特定のジフェニルメタン単量体を過酸化物の存在下において重合させる方法により製造することができる。
原料物質として用いられる特定のジフェニルメタン単量体の具体例としては、下記式(3−1)〜式(3−4)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2006143765
Figure 2006143765
Figure 2006143765
Figure 2006143765
また、過酸化物としては、ジ−t−ブチルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、α、α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メンタンヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、過酸化ベンゾイルなどを用いることができる。
これらのうちでは、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイルが好ましい。
過酸化物の使用量は、特定のジフェニルメタン単量体1molに対して0.5〜10molであることが好ましく、更に好ましくは1.0〜5.0molである。
このような製造方法において、過酸化物は直接あるいは高沸点の溶剤で希釈して滴下することが好ましい。特定のジフェニルメタン単量体に対する過酸化物の滴下は、酸化を防止する目的から窒素雰囲気下で行われることが好ましく、具体的な反応条件としては、反応温度は、100〜350℃、好ましくは130〜300℃、更に好ましくは150〜250℃の範囲から選択すればよい。過酸化物の滴下終了後、更に重合を進行させるため、0〜10時間、好ましくは0.2〜5時間反応を継続させてもよい。
また、特定のジフェニルメタン単量体の重合反応には、必要に応じて反応溶剤を用いることができ、係る反応溶剤としては、例えばジフェニルエーテルなどの高沸点を有する溶剤が好ましく用いられる。
また、この製造方法においては、特定のジフェニルメタン単量体の重合反応によって得られた反応生成物である重合体の末端を封止するための末端封止剤を用いることもできる。
末端封止剤は、重合反応系に特定のジフェニルメタン単量体と共に仕込んでもよく、また重合反応終了後、窒素雰囲気下において得られた反応生成物に添加してもよい。
具体的に、末端封止剤としては、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、シクロヘキセン等のアリル誘導体、トルエン、キシレン、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン等の芳香族炭化水素、2−メチルヘキサン、メチルシクロヘキサン等の3級炭素を含む炭化水素などを用いることができる。
更に、この重合反応系には、発光特性に影響を与えない範囲でジフェニルメタンを、特定のジフェニルメタン単量体と共に共重合体を形成するための共重合性単量体として用いることができる。
本発明のジフェニルメタン重合体は、溶剤に対して優れた溶解性が得られ、薄膜を形成するための塗布液を容易に調製することが可能であるため、当該塗布液によって容易に薄膜を形成することができる。従って、本発明のジフェニルメタン重合体は、有機EL素子用材料として有用なものである。
また、本発明のジフェニルメタン重合体は、良好なキャリア輸送性を有するものであることから、例えば燐光発光性を有する発光性材料と共に組み合わせることにより、有機EL素子の発光層を構成する材料として好適に用いることができる。
<有機EL素子用重合体組成物>
本発明の有機EL素子用重合体組成物は、上記のジフェニルメタン重合体よりなる重合体成分と、三重項発光性金属錯体化合物よりなる錯体成分とを含有してなるものである。
錯体成分を構成する三重項発光性金属錯体化合物としては、例えばイリジウム錯体化合物、白金錯体化合物、パラジウム錯体化合物、ルビジウム錯体化合物、オスミウム錯体化合物、レニウム錯体化合物などが挙げられるが、これらの中ではイリジウム錯体化合物が好ましい。
錯体成分を構成するイリジウム錯体化合物としては、イリジウムと、フェニルピリジン、フェニルピリミジン、ビピリジル、1−フェニルピラゾール、2−フェニルキノリン、2−フェニルベンゾチアゾール、2−フェニル−2−オキサゾリン、2,4−ジフェニル−1,3,4−オキサジアゾール、5−フェニル−2−(4−ピリジル)−1,3,4−オキサジアゾールまたはこれらの誘導体などの窒素原子含有芳香族化合物との錯体化合物を用いることができる。
このようなイリジウム錯体化合物の具体例としては、例えば下記一般式(4)〜下記一般式(6)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2006143765
Figure 2006143765
Figure 2006143765
上記一般式(4)〜一般式(6)において、R5 およびR6 は、それぞれ、フッ素原子、アルキル基またはアリール基よりなる置換基を示し、互いに同一のものであっても異なるものであってもよい。xは0〜4の整数であり、yは0〜4の整数である。
以上において、置換基R5 およびR6 に係るアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、オクチル基などを挙げることができる。
アリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、ナフチル基などを挙げることができる。
以上のうち、特に一般式(4)で表されるイリジウム錯体化合物(以下、「特定のイリジウム錯体化合物」ともいう。)を用いることが好ましい。
この特定のイリジウム錯体化合物は、通常、下記一般式(7)で表される化合物と、下記一般式(8)で表される化合物とを極性溶媒の存在下に反応させることにより合成することができるが、その場合に生ずる下記一般式(9)で表される特定の不純物化合物の含有量が1000ppm以下であることが重要である。
Figure 2006143765
Figure 2006143765
一般式(7)〜一般式(9)において、R5 およびR6 は、一般式(4)と同じである。xは0〜4の整数であり、yは0〜4の整数である。
上記の特定の不純物化合物の含有量が1000ppm以下である特定のイリジウム錯体化合物は、上記の合成反応による反応生成物を精製することにより、得ることができる。
特定のイリジウム錯体化合物において、上記の特定の不純物化合物の含有量が1000ppmを超える場合には、当該特定のイリジウム錯体化合物の有する発光性能が阻害されるため、発光輝度が高い有機EL素子を得ることが困難となる。
本発明の有機EL素子用重合体組成物における錯体成分の含有割合は、重合体成分100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10質量部である。錯体成分の含有割合が過小である場合には、十分な発光を得ることが困難となることがある。一方、錯体成分の割合が過大である場合には、発光の明るさが却って減少する濃度消光の現象が生じることがあるため、好ましくない。
本発明の有機EL素子用重合体組成物には、必要に応じて、例えば電荷輸送性化合物などの任意の添加物を加えることができる。
電荷輸送性化合物としては、下記式(ア−1)〜式(ア−10)で表される電荷輸送性を有する化合物、下記式(イ−1)〜(イ−20)で表される電子輸送性を有する化合物および下記式(ウ−1)〜(ウ−34)で表される正孔輸送性を有する化合物などが挙げられる。
Figure 2006143765
Figure 2006143765
Figure 2006143765
ここに、式(イ−16)において、Yは、下記式(a)〜式(c)で表される基のいずれかを示す。
Figure 2006143765
Figure 2006143765
Figure 2006143765
Figure 2006143765
Figure 2006143765
Figure 2006143765
Figure 2006143765
本発明の有機EL素子用重合体組成物は、通常、上記のジフェニルメタン重合体よりなる重合体成分と、上記の錯体成分とを適宜の有機溶剤に溶解させることによって組成物溶液として調製される。そして、この組成物溶液を、発光層を形成すべき基体の表面に塗布し、得られた塗膜に対して有機溶剤の除去処理を行うことにより、有機EL素子における発光層を形成することができる。
ここで、組成物溶液を調製するための有機溶剤としては、用いられる重合体成分および錯体成分を溶解し得るものであれば特に限定されず、その具体例としては、クロロホルム、クロロベンゼン、テトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶剤、シクロヘキサノン、乳酸エチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、メチルアミルケトンなどが挙げられる。これらの有機溶剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中では、均一な厚みを有する薄膜が得られる点で、適当な蒸発速度を有するもの、具体的には沸点が70〜200℃程度の有機溶剤を用いることが好ましい。
有機溶剤の使用割合は、重合体成分および錯体成分の種類によって異なるが、通常、組成物溶液中の重合体成分および錯体成分の合計の濃度が0.5〜10質量%となる割合である。
また、組成物溶液を塗布する手段としては、例えばスピンコート法、ディッピング法、ロールコート法、インクジェット法、印刷法などを利用することができる。
形成される発光層の厚みは、特に限定されるものではないが、通常、10〜200nm、好ましくは30〜100nmの範囲で選択される。
このような有機EL素子用重合体組成物によれば、十分に高い発光輝度で発光する発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができ、しかも、当該発光層をインクジェット法などの湿式法により容易に形成することができる。
<有機EL素子>
図1は、本発明の有機EL素子の構成の一例を示す説明用断面図である。
この例の有機EL素子は、透明基板1上に、正孔を供給する電極である陽極2が例えば透明導電膜により設けられ、この陽極2上に正孔注入輸送層3が設けられ、この正孔注入輸送層3上に発光層4が設けられ、この発光層4上にホールブロック層8が設けられ、このホールブロック層8上に電子注入層5が設けられ、この電子注入層5上に電子を供給する電極である陰極6が設けられている。そして、陽極2および陰極6は、直流電源7に電気的に接続される。
この有機EL素子において、透明基板1としては、ガラス基板、透明性樹脂基板または石英ガラス基板などを用いることができる。
陽極2を構成する材料としては、好ましくは、仕事関数の大きい例えば4eV以上の透明性材料が用いられる。ここで、仕事関数とは、固体から真空中に電子を取り出すのに要する最小限の仕事の大きさをいう。陽極2としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)膜、酸化スズ(SnO2 )膜、酸化銅(CuO)膜、酸化亜鉛(ZnO)膜などを用いることができる。
正孔注入輸送層3は、正孔を効率よく発光層4に供給するために設けられたものであって、陽極2から正孔(ホール)を受け取って、発光層4に輸送する機能を有するものである。この正孔注入輸送層3を構成する材料としては、例えばポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネートなどの電荷注入輸送材料を好適に用いることができる。また、正孔注入輸送層3の厚みは、例えば10〜200nmである。
発光層4は、電子と正孔とを結合させ、その結合エネルギーを光として放射する機能を有するものであり、この発光層4は、上記の有機EL素子用重合体組成物によって形成されている。発光層4の厚みは、特に限定されるものではないが、通常、5〜200nmの範囲で選択される。
ホールブロック層8は、正孔注入輸送層3を介して発光層4に供給された正孔が電子注入層5に侵入することを抑制し、発光層4における正孔と電子との再結合を促進させ、発光効率を向上させる機能を有するものである。
このホールブロック層8を構成する材料としては、例えば下記式(1)で表される2, 9−ジメチル−4, 7−ジフェニル−1, 10−フェナントロリン(バソクプロイン:BCP)、下記式(2)で表される1, 3, 5−トリ(フェニル−2−ベンゾイミダゾリル)ベンゼン(TPBI)などを好適に用いることができる。
また、ホールブロック層8の厚みは、例えば10〜30nmである。
Figure 2006143765
Figure 2006143765
電子注入層5は、陰極6から受け取った電子をホールブロック層8を介して発光層4まで輸送する機能を有するものである。この電子注入層5を構成する材料としては、バソフェナントロリン系材料とセシウムとの共蒸着系(BPCs)を用いることが好ましく、その他の材料としては、アルカリ金属およびその化合物(例えばフッ化リチウム、酸化リチウム)、アルカリ土類金属およびその化合物(例えばフッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム)などを用いることができる。この電子注入層5の厚みは、例えば0.1〜100nmである。
陰極6を構成する材料としては、仕事関数の小さい例えば4eV以下のものが用いられる。陰極6の具体例としては、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、インジウムなどよりなる金属膜、またはこれらの金属の合金膜などを用いることができる。
陰極6の厚みは、材料の種類によって異なるが、通常、10〜1000nm、好ましくは50〜200nmである。
本発明において、上記の有機EL素子は、例えば以下のようにして製造される。
先ず、透明基板1上に、陽極2を形成する。
陽極2を形成する方法としては、真空蒸着法またはスパッタ法などを利用することができる。また、ガラス基板などの透明基板の表面に例えばITO膜などの透明導電膜が形成されてなる市販の材料を用いることもできる。
このようにして形成された陽極2上に、正孔注入輸送層3を形成する。
正孔注入輸送層3を形成する方法としては、具体的に、電荷注入輸送材料を適宜の溶剤に溶解することによって正孔注入輸送層形成液を調製し、この正孔注入輸送層形成液を、陽極2の表面に塗布し、得られた塗布膜に対して溶剤の除去処理を行うことによって正孔注入輸送層3を形成する手法を用いることができる。
次いで、本発明の有機EL素子用重合体組成物を発光層形成液として用い、この発光層形成液を正孔注入輸送層3上に塗布し、得られた塗布膜を熱処理することにより、発光層4を形成する。
発光層形成液を塗布する方法としては、スピンコート法、ディップ法、インクジェット法、印刷法などを利用することができる。
そして、このようにして形成された発光層4上に、ホールブロック層8を形成すると共に、このホールブロック層8の上に電子注入層5を形成し、更に、この電子注入層5の上に、陰極6を形成することにより、図1に示す構成を有する有機EL素子が得られる。
以上において、ホールブロック層8、電子注入層5および陰極6を形成する方法としては、真空蒸着法などの乾式法を利用することができる。
上記の有機EL素子においては、直流電源7により、陽極2と陰極6との間に直流電圧が印加されると、発光層4が発光し、この光は、正孔注入輸送層3、陽極2および透明基板1を介して外部に放射される。
このような構成の有機EL素子によれば、発光層4が上記の有機EL素子用重合体組成物によって形成されているため、高い発光輝度が得られる。
また、ホールブロック層8が配設されていることにより、陽極2からの正孔と陰極2からの電子とにおける結合が高い効率をもって実現され、その結果、高い発光輝度および発光効率が得られる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〈特定のジフェニルメタン単量体の合成例1〉
容積500mlの三口フラスコ中において、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン20gと、N,N−ジメチルアミノピリジン0.610gとをピリジン200mlに溶解させ、得られた溶液を氷浴で0℃に冷却した後、滴下漏斗を用いてトリフルオロメタンスルホニルクロリド50gを加え、室温で12時間撹拌した。反応終了後、溶媒を留去し、残留物にクロロホルム200mlと、水200mlとを加えて分液操作でクロロホルム相を分取し、濃縮後カラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=4/1)によって精製処理することにより、4,4’−ビストリフルオロスルフォニロキシジフェニルメタン43gを得た。この4,4’−ビストリフルオロスルフォニロキシジフェニルメタンの純度をHPLCによって確認したところ、100%であった。
次いで、還流管付の容積500mlの三口フラスコに4,4’−ビストリフルオロスルフォニロキシジフェニルメタン20gと、カルバゾール17.3gと、ジ(t−ブチル)ホスフィノビフェニル0.51gと、リン酸カリウム25.6gと、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム0.39gとを加えて系内を十分窒素置換した後、ジメトキシエタン170mlを加えて85℃で20時間反応させた。得られた反応溶液の不溶物を濾過で除いた後、溶媒を留去し、残留物を酢酸エチルに溶解させて水で洗浄して濃縮し、その後、再結晶処理することにより、式(3−1)で表されるジフェニルメタン単量体(以下、「ジフェニルメタン単量体(1)」ともいう。)11gを得た。
〈特定のジフェニルメタン単量体の合成例2〉
還流管付の容積100mlの三口フラスコに、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン6.7gと、1−クロロ−3,5−ジ(カルバゾール−9−イル)−2,4,6−トリアジン30.2gと、クロロホルム700mlとを仕込んで撹拌した後、水酸化ナトリウム5.0gおよびベンジルセチルアンモニウムクロリド3.0gを水14ml中で撹拌することによって得られた溶液を加えて系内を窒素置換した後、6時間放置した。その後、クロロホルム1000mlで希釈して水で分液洗浄し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、濾過で硫酸マグネシウムおよび不溶物を除き、溶媒を留去することにより、式(3−2)で表されるジフェニルメタン単量体(以下、「ジフェニルメタン単量体(2)」ともいう。)13.0gを得た。このジフェニルメタン単量体(2)の純度をHPLCによって確認したところ、100%であった。
〈特定のジフェニルメタン単量体の合成例3〉
還流管付の容積500mlの三口フラスコに、特定のジフェニルメタン単量体の合成例1において合成した4,4’−ビストリフルオロスルフォニロキシジフェニルメタン20gと、ビス(ピナコラト)ジボロン24gと、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセンパラジウムジクロリド1.06gと、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン0.72gと、酢酸カリウム12.7gとを仕込んで系内を窒素置換した後、1,4−ジオキサン200mlを加えて16時間80℃に加熱した。得られた反応溶液にトルエン300mlを加えて希釈し、飽和食塩水200mlで2回洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させて濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製処理することにより、下記式(A)で表される化合物(以下、「ボロン酸化合物」ともいう。)10gを得た。このボロン酸化合物の純度をHPLCによって確認したところ、100%であった。
Figure 2006143765
還流管付の容積300mlの三口フラスコに、ボロン酸化合物10gと、3−(4−ブロモフェニル)−4,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾール18gと、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.8gとを仕込んで窒素置換した後、2N炭酸ナトリウム水溶液50mlおよびトルエン100mlを加えて24時間85℃で加熱した。得られた反応溶液にトルエン100mlを加えて希釈し飽和食塩水200mlで2回洗浄することによって得られた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、その後、濾過することによって硫酸マグネシウムを取り除いて濃縮した後、カラム(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製処理することにより、式(3−4)で表されるジフェニルメタン単量体(以下、「ジフェニルメタン単量体(3)」ともいう。)15gを得た。
〈比較用重合体(ポリビニルカルバゾール)の合成例1〉
窒素導入管および温度計付の容積100mlの三口フラスコに、N−ビニルカルバゾール15gと、アゾビスイソブチロニトリル0.0125gと、蒸留したジメチルホルムアミド30gとを仕込み、窒素を吹き込むことによって15分間バブリングを行った後、この系の温度を80℃に上昇させて4時間かけて重合処理を行った。重合処理後、得られた反応生成物をメタノール400ml中に注ぎ、沈殿をろ別してメタノールで洗浄し、その後、乾燥処理することにより、白色粉末としてポリビニルカルバゾール(以下、「比較用重合体(1)」ともいう。)を得た。得られた比較用重合体(1)の重量平均分子量は、30000であった。
〈実施例1〉
冷却管、滴下漏斗および温度計付の容積100mlの三口フラスコに、ジフェニルメタン単量体(1)3.0gと、ジフェニルメタン単量体(3)3.0gとを仕込み、窒素雰囲気下において210℃に加熱することによって液化し、この系にジ(t−ブチル)パーオキサイド5.0gを滴下した後、反応温度210℃で2時間加熱撹拌した。この反応液を室温まで冷却することによって得られた固体をテトラヒドロフランに溶解させてメタノールに沈殿させることにより、式(1−1)で表される繰り返し単位と、式(1−4)で表される繰り返し単位とがモル比1:1で含有されてなる共重合体(以下、「ジフェニルメタン共重合体(1)」ともいう。)1.8gを得た。
得られたフェニルメタン共重合体(1)のゲルパーミエションクロマトグラフ法によるポリスチレン換算の数平均分子量は3000であった。
また、ジフェニルメタン共重合体(1)のHOMOのエネルギーレベルEH を、ジフェニルメタン共重合体(1)を粉末状にしたものを試料とし、光電子分光装置「AC−2」(理研計器社製)を用いて測定したところ、−5.73eVであった。
更に、ジフェニルメタン共重合体(1)のLUMOのエネルギーレベルEL を、下記式(I)により算出したところ、−2.24eVであった。
式(I)において、EG は、下記式(II)から算出されるエネルギーギャップ(単位:eV)である。
式(II)において、hは、プランク定数であり、cは、光速(単位:m/sec)であって、λl は、石英基板上に、ジフェニルメタン共重合体(1)を溶剤(具体的には、シクロヘキサノン)に溶解させた重合体溶液をスピンコート法によって塗布し、得られた塗膜をホットプレートによって150℃で10分間加熱することによって溶剤を除去した、厚さ20〜50nmの薄膜が積層された測定用基板を紫外可視分光光度計「U−2010」(日立製作所製)によって測定した吸収スペクトルの長波長側の吸収端(単位:nm)である。
(式I) EL =EH +EG
(式II) EG =hc/λl
〈実施例2〉
実施例1において、ジフェニルメタン単量体(1)に代えてジフェニルメタン単量体(2)3.0gを用いたこと以外は実施例1と同様にして、式(1−2)で表される繰り返し単位と、式(1−4)で表される繰り返し単位とがモル比1:1で含有されてなる共重合体(以下、「ジフェニルメタン共重合体(2)」ともいう。)2.0gを得た。
得られたジフェニルメタン共重合体(2)のゲルパーミエションクロマトグラフ法によるポリスチレン換算の数平均分子量は4000であった。
また、ジフェニルメタン共重合体(2)のHOMOのエネルギーレベルおよびLUMOのエネルギーレベルを、実施例1と同様の手法によって求めたところ、HOMOのエネルギーレベルは−5.75eVであり、LUMOのエネルギーレベルは−2.40eVであった。
〈実施例3〉
(有機EL素子の作製例)
透明基板上にITO膜が形成されてなるITO基板を用意し、このITO基板を、中性洗剤、超純水、イソプロピルアルコール、超純水、アセトンをこの順に用いて超音波洗浄した後、更に紫外線−オゾン(UV/O3 )洗浄した。
洗浄を行ったITO基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS)溶液をスピンコート法によって塗布し、その後、得られた厚さ65nmの塗布膜を窒素雰囲気下において250℃で30分間乾燥することにより、正孔注入輸送層を形成した。
次いで、得られた正孔注入輸送層の表面に、発光層形成液として、ジフェニルメタン共重合体(1)および一般式(6)で示される特定のイリジウム錯体6mol%をアニソールに溶解することによって得られた有機EL素子用重合体組成物溶液(濃度3wt%)をスピンコート法によって塗布し、得られた厚さ40nmの塗布膜を窒素雰囲気下において150℃で10分間乾燥することにより、発光層を形成した。
次いで、ITO基板上に正孔注入輸送層および発光層がこの順に積層されてなる積層体を真空装置内に固定し、その後、当該真空装置内を1×10-4Pa以下にまで減圧し、バソクプロインを30nm蒸着し、ホールブロック層を形成した。次いで、フッ化リチウムを0.5nm蒸着することによって電子注入層を形成した後、カルシウム30nmおよびアルミニウム100nmを、この順で蒸着することにより陰極を形成した。その後、ガラス材料によって封止することにより、有機EL素子(以下、「有機EL素子(1)」ともいう。)を製造した。
得られた有機EL素子(1)からは、特定のイリジウム錯体に由来する波長515nm付近の発光が得られた。
また、有機EL素子(1)の耐久性を、その輝度が初期の輝度の半分となるまでの時間(以下、「半減時間」ともいう。)を、発光層の材料であるジフェニルメタン共重合体(1)に代えて比較用重合体(1)を用いたこと以外は有機EL素子(1)と同様の手法によって製造した有機EL素子(以下、「比較用有機EL素子」ともいう。)の半減時間と比較することによって評価した。結果を下記表1に示す。
表1においては、比較用有機EL素子の半減時間を基準とし、100としたときの相対値を耐久性を示す値として示している。
〈実施例4〉
実施例3の有機EL素子の作製例において、発光層の材料であるジフェニルメタン共重合体(1)に代えてジフェニルメタン共重合体(2)を用いたこと以外は実施例3と同様の手法によって有機EL素子(以下、「有機EL素子(2)」ともいう。)を製造した。
得られた有機EL素子(2)からは、特定のイリジウム錯体に由来する波長515nm付近の発光が得られた。
また、有機EL素子(2)の半減時間を測定し、その耐久性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2006143765
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の一例における構成を示す説明用断面図である。
符号の説明
1 透明基板
2 陽極
3 正孔注入輸送層
4 発光層
5 電子注入層
6 陰極
7 直流電源
8 ホールブロック層

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表される繰り返し単位よりなることを特徴とするジフェニルメタン重合体。
    Figure 2006143765
    〔式中、R1 およびR2 は、それぞれ独立に1価の芳香族基を示す。〕
  2. 一般式(1)におけるR1 およびR2 がカルバゾール構造を有する基であることを特徴とする請求項1に記載のジフェニルメタン重合体。
  3. 一般式(1)におけるR1 およびR2 が下記一般式(2)で表される構造を有する基であることを特徴とする請求項1に記載のジフェニルメタン重合体。
    Figure 2006143765
    〔式中、R3 は、水素原子または1価の有機基を示し、R4 は、1価の芳香族基を示す。〕
  4. 下記一般式(3)で表される単量体を過酸化物の存在下において重合させることにより、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のジフェニルメタン重合体を得ることを特徴とするジフェニルメタン重合体の製造方法。
    Figure 2006143765
    〔式中、R1 およびR2 は、それぞれ独立に1価の芳香族基を示す。〕
  5. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載のジフェニルメタン重合体よりなる重合体成分と、三重項発光性金属錯体化合物よりなる錯体成分とを含有してなることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子用重合体組成物。
  6. 請求項5に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用重合体組成物により形成された発光層を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  7. ホールブロック層を備えてなることを特徴とする請求項6に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
JP2004331691A 2004-11-16 2004-11-16 ジフェニルメタン重合体およびその製造方法、有機エレクトロルミネッセンス素子用重合体組成物並びに有機エレクトロルミネッセンス素子 Expired - Fee Related JP4462016B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004331691A JP4462016B2 (ja) 2004-11-16 2004-11-16 ジフェニルメタン重合体およびその製造方法、有機エレクトロルミネッセンス素子用重合体組成物並びに有機エレクトロルミネッセンス素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004331691A JP4462016B2 (ja) 2004-11-16 2004-11-16 ジフェニルメタン重合体およびその製造方法、有機エレクトロルミネッセンス素子用重合体組成物並びに有機エレクトロルミネッセンス素子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006143765A true JP2006143765A (ja) 2006-06-08
JP4462016B2 JP4462016B2 (ja) 2010-05-12

Family

ID=36623837

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004331691A Expired - Fee Related JP4462016B2 (ja) 2004-11-16 2004-11-16 ジフェニルメタン重合体およびその製造方法、有機エレクトロルミネッセンス素子用重合体組成物並びに有機エレクトロルミネッセンス素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4462016B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012238854A (ja) * 2011-04-29 2012-12-06 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 燐光発光に基づく発光装置、電子機器、および照明装置
JP2016222688A (ja) * 2007-05-17 2016-12-28 株式会社半導体エネルギー研究所 トリアゾール誘導体

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016222688A (ja) * 2007-05-17 2016-12-28 株式会社半導体エネルギー研究所 トリアゾール誘導体
US10790451B2 (en) 2007-05-17 2020-09-29 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Triazole derivative, and light-emitting element, light-emitting device, and electronic device with the use of triazole derivative
JP2012238854A (ja) * 2011-04-29 2012-12-06 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 燐光発光に基づく発光装置、電子機器、および照明装置
JP2017152709A (ja) * 2011-04-29 2017-08-31 株式会社半導体エネルギー研究所 発光素子、発光装置、電子機器、照明装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP4462016B2 (ja) 2010-05-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101230709B1 (ko) 인광 발광성 중합체 및 그의 제조 방법, 유기 전계발광소자, 및 금속 착체 함유 화합물 및 그의 제조 방법
JP4701818B2 (ja) トリアジン化合物および有機エレクトロルミネッセンス素子用組成物並びに有機エレクトロルミネッセンス素子
JP4929732B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子用材料およびその製造方法、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料組成物並びに有機エレクトロルミネッセンス素子
EP1589595A2 (en) Charge transporting polymer and production process thereof, and polymer composition for organic electroluminescence device and organic electroluminescence device
JP4867244B2 (ja) 電荷輸送性化合物およびその製造方法、有機エレクトロルミネッセンス素子用組成物並びに有機エレクトロルミネッセンス素子
JP6607606B2 (ja) トリアジン置換インドロカルバゾール誘導体、それからなる有機電子デバイス形成用アルコール不溶性塗膜、及びそれを用いた有機電子デバイス
JP2005060571A (ja) エレクトロルミネスセンスポリマー、有機el素子及びディスプレイ装置
JP2019501997A (ja) 発光組成物
JP4961540B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子用化合物、組成物および有機エレクトロルミネッセンス素子
KR101030400B1 (ko) 중합체, 유기 전계 발광 소자 형성용 중합체 및 유기 전계발광 소자용 중합체 조성물, 및 유기 전계 발광 소자
JP5040070B2 (ja) 電荷輸送材料、積層体及び有機電界発光素子
JP2004323823A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子形成用重合体材料および重合体組成物並びに有機エレクトロルミネッセンス素子
JP4655590B2 (ja) 発光剤およびその製造方法、発光性組成物並びに有機エレクトロルミネッセンス素子
JP4802472B2 (ja) アリーレンエーテル重合体、有機エレクトロルミネッセンス素子用重合体組成物並びに有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2009038280A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子用化合物および有機エレクトロルミネッセンス素子用組成物並びに有機エレクトロルミネッセンス素子
JP5003002B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子用材料およびその製造方法、並びに有機エレクトロルミネッセンス素子
JP4462016B2 (ja) ジフェニルメタン重合体およびその製造方法、有機エレクトロルミネッセンス素子用重合体組成物並びに有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2005171053A (ja) 重合体、有機エレクトロルミネッセンス素子形成用重合体および有機エレクトロルミネッセンス素子用重合体組成物、並びに有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2005314505A (ja) 燐光発光性重合体および有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2006056821A (ja) フルオレン化合物およびその製造方法、フルオレン重合体およびその製造方法並びに有機エレクトロルミネッセンス素子
JP5181437B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子用材料およびその製造方法、並びに有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2009060089A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子用化合物および有機エレクトロルミネッセンス素子用組成物並びに有機エレクトロルミネッセンス素子
EP1582550A1 (en) Polymer for organic el element, composition for organic el element, and organic el element
JP2006306997A (ja) カルバゾール系重合体とその製造方法、有機エレクトロルミネッセンス素子用重合体組成物および有機エレクトロルミネッセンス素子
CN112638956B (zh) 聚合物和包含其的有机发光器件

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070827

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20091228

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100126

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100208

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130226

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4462016

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130226

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130226

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140226

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees