JP2006143765A - ジフェニルメタン重合体およびその製造方法、有機エレクトロルミネッセンス素子用重合体組成物並びに有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ジフェニルメタン重合体は、特定の繰り返し単位よりなることを特徴とし、また、有機エレクトロルミネッセンス素子用重合体組成物は、上記ジフェニルメタン重合体よりなる重合体成分と三重項発光性金属錯体化合物よりなる錯体成分とを含有してなることを特徴とし、更に、有機エレクトロルミネッセンス素子は、上記の有機エレクトロルミネッセンス素子用重合体組成物により形成された発光層を有することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
このような有機EL素子としては、陽極と陰極との間に有機材料よりなる発光層が形成された単層構造のもの、陽極と発光層との間に正孔輸送層を有する構造のもの、陰極と発光層との間に電子輸送層を有するものなどの多層構造のものが知られている。これらの有機EL素子は、いずれも、陰極から注入された電子と陽極から注入された正孔とが、発光層において再結合することによって発光するものである。
具体的に、このような構成を有する有機EL素子によれば、従来から有機EL素子の外部量子効率の限界値と考えられていた5%を超え、8%の外部量子効率が得られることが報告されている(例えば、非特許文献1参照。)。
しかしながら、この有機EL素子は低分子量の材料で構成されており、また、例えば蒸着法などの乾式法によって形成されるものであることから、物理的耐久性および熱的耐久性が小さい、という問題がある。
しかしながら、この有機EL素子は、ポリビニルカルバゾールの構造中にビニル基が存在することにより、電気化学的安定性に劣るものであり、長い使用寿命を得ることができない、という問題がある。
本発明の他の目的は、溶剤に対する溶解性に優れ、容易に薄膜を形成することができ、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料として有用な新規なジフェニルメタン重合体を製造する方法を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、発光特性および耐久性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子が得られる有機エレクトロルミネッセンス素子用重合体組成物および、有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することにある。
本発明のジフェニルメタン重合体は、上記一般式(1)で表される繰り返し単位(以下、「特定繰り返し単位」ともいう。)よりなるものであって、上記一般式(3)で表される単量体(以下、「特定のジフェニルメタン単量体」ともいう。)を重合することによって得られるものである。
また、一般式(2)において、R4 は、1価の芳香族基を示し、このR4 を示す1価の芳香族基としては、例えばフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
ここに、下記式(1−1)で表される繰り返し単位および下記式(1−2)で表される繰り返し単位は、一般式(1)におけるR1 およびR2 がカルバゾール構造含有基であるものであり、また、下記式(1−3)で表される繰り返し単位および式(1−4)で表される繰り返し単位は、一般式(1)におけるR1 およびR2 がトリアゾール構造含有基であるものである。
これらのエネルギーレベルが上記の範囲以外である場合には、有機EL素子用材料として用いた際に、有機EL素子に良好な輝度、発光効率を得ることができない。
これらのうちでは、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイルが好ましい。
末端封止剤は、重合反応系に特定のジフェニルメタン単量体と共に仕込んでもよく、また重合反応終了後、窒素雰囲気下において得られた反応生成物に添加してもよい。
本発明の有機EL素子用重合体組成物は、上記のジフェニルメタン重合体よりなる重合体成分と、三重項発光性金属錯体化合物よりなる錯体成分とを含有してなるものである。
このようなイリジウム錯体化合物の具体例としては、例えば下記一般式(4)〜下記一般式(6)で表される化合物を挙げることができる。
アリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、ナフチル基などを挙げることができる。
これらの中では、均一な厚みを有する薄膜が得られる点で、適当な蒸発速度を有するもの、具体的には沸点が70〜200℃程度の有機溶剤を用いることが好ましい。
また、組成物溶液を塗布する手段としては、例えばスピンコート法、ディッピング法、ロールコート法、インクジェット法、印刷法などを利用することができる。
形成される発光層の厚みは、特に限定されるものではないが、通常、10〜200nm、好ましくは30〜100nmの範囲で選択される。
図1は、本発明の有機EL素子の構成の一例を示す説明用断面図である。
この例の有機EL素子は、透明基板1上に、正孔を供給する電極である陽極2が例えば透明導電膜により設けられ、この陽極2上に正孔注入輸送層3が設けられ、この正孔注入輸送層3上に発光層4が設けられ、この発光層4上にホールブロック層8が設けられ、このホールブロック層8上に電子注入層5が設けられ、この電子注入層5上に電子を供給する電極である陰極6が設けられている。そして、陽極2および陰極6は、直流電源7に電気的に接続される。
陽極2を構成する材料としては、好ましくは、仕事関数の大きい例えば4eV以上の透明性材料が用いられる。ここで、仕事関数とは、固体から真空中に電子を取り出すのに要する最小限の仕事の大きさをいう。陽極2としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)膜、酸化スズ(SnO2 )膜、酸化銅(CuO)膜、酸化亜鉛(ZnO)膜などを用いることができる。
また、ホールブロック層8の厚みは、例えば10〜30nmである。
陰極6の厚みは、材料の種類によって異なるが、通常、10〜1000nm、好ましくは50〜200nmである。
先ず、透明基板1上に、陽極2を形成する。
陽極2を形成する方法としては、真空蒸着法またはスパッタ法などを利用することができる。また、ガラス基板などの透明基板の表面に例えばITO膜などの透明導電膜が形成されてなる市販の材料を用いることもできる。
正孔注入輸送層3を形成する方法としては、具体的に、電荷注入輸送材料を適宜の溶剤に溶解することによって正孔注入輸送層形成液を調製し、この正孔注入輸送層形成液を、陽極2の表面に塗布し、得られた塗布膜に対して溶剤の除去処理を行うことによって正孔注入輸送層3を形成する手法を用いることができる。
発光層形成液を塗布する方法としては、スピンコート法、ディップ法、インクジェット法、印刷法などを利用することができる。
このような構成の有機EL素子によれば、発光層4が上記の有機EL素子用重合体組成物によって形成されているため、高い発光輝度が得られる。
容積500mlの三口フラスコ中において、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン20gと、N,N−ジメチルアミノピリジン0.610gとをピリジン200mlに溶解させ、得られた溶液を氷浴で0℃に冷却した後、滴下漏斗を用いてトリフルオロメタンスルホニルクロリド50gを加え、室温で12時間撹拌した。反応終了後、溶媒を留去し、残留物にクロロホルム200mlと、水200mlとを加えて分液操作でクロロホルム相を分取し、濃縮後カラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=4/1)によって精製処理することにより、4,4’−ビストリフルオロスルフォニロキシジフェニルメタン43gを得た。この4,4’−ビストリフルオロスルフォニロキシジフェニルメタンの純度をHPLCによって確認したところ、100%であった。
還流管付の容積100mlの三口フラスコに、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン6.7gと、1−クロロ−3,5−ジ(カルバゾール−9−イル)−2,4,6−トリアジン30.2gと、クロロホルム700mlとを仕込んで撹拌した後、水酸化ナトリウム5.0gおよびベンジルセチルアンモニウムクロリド3.0gを水14ml中で撹拌することによって得られた溶液を加えて系内を窒素置換した後、6時間放置した。その後、クロロホルム1000mlで希釈して水で分液洗浄し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、濾過で硫酸マグネシウムおよび不溶物を除き、溶媒を留去することにより、式(3−2)で表されるジフェニルメタン単量体(以下、「ジフェニルメタン単量体(2)」ともいう。)13.0gを得た。このジフェニルメタン単量体(2)の純度をHPLCによって確認したところ、100%であった。
還流管付の容積500mlの三口フラスコに、特定のジフェニルメタン単量体の合成例1において合成した4,4’−ビストリフルオロスルフォニロキシジフェニルメタン20gと、ビス(ピナコラト)ジボロン24gと、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセンパラジウムジクロリド1.06gと、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン0.72gと、酢酸カリウム12.7gとを仕込んで系内を窒素置換した後、1,4−ジオキサン200mlを加えて16時間80℃に加熱した。得られた反応溶液にトルエン300mlを加えて希釈し、飽和食塩水200mlで2回洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させて濃縮した後、カラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製処理することにより、下記式(A)で表される化合物(以下、「ボロン酸化合物」ともいう。)10gを得た。このボロン酸化合物の純度をHPLCによって確認したところ、100%であった。
窒素導入管および温度計付の容積100mlの三口フラスコに、N−ビニルカルバゾール15gと、アゾビスイソブチロニトリル0.0125gと、蒸留したジメチルホルムアミド30gとを仕込み、窒素を吹き込むことによって15分間バブリングを行った後、この系の温度を80℃に上昇させて4時間かけて重合処理を行った。重合処理後、得られた反応生成物をメタノール400ml中に注ぎ、沈殿をろ別してメタノールで洗浄し、その後、乾燥処理することにより、白色粉末としてポリビニルカルバゾール(以下、「比較用重合体(1)」ともいう。)を得た。得られた比較用重合体(1)の重量平均分子量は、30000であった。
冷却管、滴下漏斗および温度計付の容積100mlの三口フラスコに、ジフェニルメタン単量体(1)3.0gと、ジフェニルメタン単量体(3)3.0gとを仕込み、窒素雰囲気下において210℃に加熱することによって液化し、この系にジ(t−ブチル)パーオキサイド5.0gを滴下した後、反応温度210℃で2時間加熱撹拌した。この反応液を室温まで冷却することによって得られた固体をテトラヒドロフランに溶解させてメタノールに沈殿させることにより、式(1−1)で表される繰り返し単位と、式(1−4)で表される繰り返し単位とがモル比1:1で含有されてなる共重合体(以下、「ジフェニルメタン共重合体(1)」ともいう。)1.8gを得た。
更に、ジフェニルメタン共重合体(1)のLUMOのエネルギーレベルEL を、下記式(I)により算出したところ、−2.24eVであった。
式(I)において、EG は、下記式(II)から算出されるエネルギーギャップ(単位:eV)である。
式(II)において、hは、プランク定数であり、cは、光速(単位:m/sec)であって、λl は、石英基板上に、ジフェニルメタン共重合体(1)を溶剤(具体的には、シクロヘキサノン)に溶解させた重合体溶液をスピンコート法によって塗布し、得られた塗膜をホットプレートによって150℃で10分間加熱することによって溶剤を除去した、厚さ20〜50nmの薄膜が積層された測定用基板を紫外可視分光光度計「U−2010」(日立製作所製)によって測定した吸収スペクトルの長波長側の吸収端(単位:nm)である。
実施例1において、ジフェニルメタン単量体(1)に代えてジフェニルメタン単量体(2)3.0gを用いたこと以外は実施例1と同様にして、式(1−2)で表される繰り返し単位と、式(1−4)で表される繰り返し単位とがモル比1:1で含有されてなる共重合体(以下、「ジフェニルメタン共重合体(2)」ともいう。)2.0gを得た。
(有機EL素子の作製例)
透明基板上にITO膜が形成されてなるITO基板を用意し、このITO基板を、中性洗剤、超純水、イソプロピルアルコール、超純水、アセトンをこの順に用いて超音波洗浄した後、更に紫外線−オゾン(UV/O3 )洗浄した。
洗浄を行ったITO基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS)溶液をスピンコート法によって塗布し、その後、得られた厚さ65nmの塗布膜を窒素雰囲気下において250℃で30分間乾燥することにより、正孔注入輸送層を形成した。
次いで、ITO基板上に正孔注入輸送層および発光層がこの順に積層されてなる積層体を真空装置内に固定し、その後、当該真空装置内を1×10-4Pa以下にまで減圧し、バソクプロインを30nm蒸着し、ホールブロック層を形成した。次いで、フッ化リチウムを0.5nm蒸着することによって電子注入層を形成した後、カルシウム30nmおよびアルミニウム100nmを、この順で蒸着することにより陰極を形成した。その後、ガラス材料によって封止することにより、有機EL素子(以下、「有機EL素子(1)」ともいう。)を製造した。
表1においては、比較用有機EL素子の半減時間を基準とし、100としたときの相対値を耐久性を示す値として示している。
実施例3の有機EL素子の作製例において、発光層の材料であるジフェニルメタン共重合体(1)に代えてジフェニルメタン共重合体(2)を用いたこと以外は実施例3と同様の手法によって有機EL素子(以下、「有機EL素子(2)」ともいう。)を製造した。
得られた有機EL素子(2)からは、特定のイリジウム錯体に由来する波長515nm付近の発光が得られた。
また、有機EL素子(2)の半減時間を測定し、その耐久性を評価した。結果を表1に示す。
2 陽極
3 正孔注入輸送層
4 発光層
5 電子注入層
6 陰極
7 直流電源
8 ホールブロック層
Claims (7)
- 一般式(1)におけるR1 およびR2 がカルバゾール構造を有する基であることを特徴とする請求項1に記載のジフェニルメタン重合体。
- 請求項1〜請求項3のいずれかに記載のジフェニルメタン重合体よりなる重合体成分と、三重項発光性金属錯体化合物よりなる錯体成分とを含有してなることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子用重合体組成物。
- 請求項5に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用重合体組成物により形成された発光層を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
- ホールブロック層を備えてなることを特徴とする請求項6に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
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